JPH0579832B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、空調機、冷蔵庫等に使用される冷凍
用電動圧縮機に関するものである。

従来の技術 冷凍用の電動圧縮機としては、現在圧縮機構部
がレシプロ式のもの、ロータリ式のもの、そして
スクロール式のものが家庭用、業務用空調分野で
使用される。ロータリ式の場合は、密閉容器内が
吐出圧力になるので一般に高圧タイプ、レシプロ
式は密閉容器が吸入圧力になるので低圧タイプと
云われている。スクロール圧縮機については、高
温式、低圧式いずれのタイプも考えられるが、ど
ちらの方式も現在既に一部実用化されてきてい
る。

第４図に従来の低圧式のスクロール型圧縮機の
断面構成図を示す。密閉容器１の内部に一圧縮機
構２と、これを回転駆動する電動機３を配設して
いる。４は電動機３の固定子で、密閉容器１に固
着されている。５は回転子であり、回転子５に圧
縮機構２を駆動するシヤフト６が結合されてい
る。７は密閉容器１に配設された密閉絶縁端子
で、電動機３に電力を供給する。密閉容器１の下
方底部には潤滑油８を貯溜する油溜め９を設け、
潤滑油８がシヤフト６に設けた偏心孔１０を介し
て遠心力で上昇し、圧縮機構２の偏心軸受部１１
ａ、摺動部１２、再び主軸受部１１ｂに図の矢印
のように供給されて潤滑又は冷却を行い、シヤフ
ト６に設けた油溝１３を流れて軸受部品１４の副
軸受１４ａを潤滑しながら回転子５の上部へ流出
し、固定子４の上部空間へ放出されて密閉容器１
と固定子４の間の複数の外縁切欠部１５を通つて
再び油溜め９へ戻る構成になつている。１６は吐
出管で圧縮機構２で圧縮されたガスが吐出され、
吸入管１７から密閉容器１内に入り、軸受部品１
４に設けた吸入口１８から圧縮機構２へ吸入され
る構成になつている。

発明が解決しようとする問題点 上記スクロール型の従来の電動圧縮機は密閉容
器の内部に吸入側の冷媒ガスの圧力が作用すると
いわゆる低圧形の圧縮機である。第４図のスクロ
ール圧縮機の場合を例にとつて説明する。この低
圧形圧縮機の問題点の一つは、前述のように油溜
め９の潤滑油８がシヤフト６の偏心孔１０を通つ
て圧縮機構２の偏心軸受部１１ａ、摺動部１２、
主軸受部１１ｂ、そして副軸受１４ａへ供給され
て潤滑又は冷却した後、電動機３上部空間へ放出
されて外縁切欠部１５を通つて油溜め９へ戻る前
に潤滑油８が拡散され、噴霧状となつて吸入管１
７から吸入口１８へ戻るガス吸入に吸引されて圧
縮機構２へ入り、吐出管１６から圧縮されたガス
と共に密閉容器１外へ吐出されてしまい、再び吸
入管１７から戻つても、潤滑油８は油溜め９から
戻らず、吸入口１８へガスと共に吸引やれて軸受
部１１等に供給すべき油溜め９の潤滑油８が不足
してしまつて摺動部が焼付きを生じたり、密閉容
器１外の冷媒回路（図示せず）を循環する潤滑油
８が増加して熱交換器の伝熱効率が低下したりす
る問題点を有していた。

第５図に圧縮機回転数Ｎ（rpm）可変時の圧縮
機外への潤滑油８の吐出量Ｖ（c.c.／min）のグラ
フで従来方式の場合ということで破線で示してい
るように、上記問題は、回転数可変用の圧縮機で
は高速運転時に顕著になつていた。なぜなら、高
速運転時にはシヤフト６の回転数が大きくなり、
遠心力の増大で潤滑油の給油能力が大となる。従
つて、油溝１３から飛び出し、軸受部品１４と電
動機３の空間へ放出される潤滑油が多くなる。更
に、吸入口１８から吸入される冷媒ガスの速度も
増加するので、多量の潤滑油が吸入口１８から吸
引されてしまい、圧縮機構２、吐出管１６経て密
閉容器１外へ出て、再び吸入管１７から戻つて来
る。従つて、吸入管１７から戻つてくる潤滑油
と、各軸受部、摺動部を潤滑、冷却して回転子５
上部から放出された潤滑油とが合計されて吸入口
１８へ吸込まれてゆくので増々油吐出量が第５図
破線のように指数的に増えゆくことになり、つい
には油溜め９内の潤滑油８が無くなつてしまうこ
とになる。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するための本発明の手段は、
密閉容器の内部に圧縮機構とこの圧縮機構を支承
する軸受部品、圧縮機構をシヤフトを介して回転
駆動する回転子、固定子からなる電動機を軸受部
品の下部に配設し、電動機の固定子を密閉容器で
固着配設し、密閉容器下方の底部に潤滑油を貯溜
する油溜め、密閉容器の側壁に吸入管を設けて密
閉容器の油溜めに吸入側の圧力が作用する構成と
し、軸受部品に圧縮機の軸受部や摺動部を潤滑、
冷却した潤滑油を排出する油排出孔と、圧縮機構
へガスを導入する吸入口とを設けると共に、軸受
部品の吸入口と油排出孔とをシヨフトの回転中心
に対して相対する位置関係に構成することであ
る。

作 用 本発明の技術的手段による作用は次の通りであ
る。

軸受部や摺動部を潤滑あるいは冷却した潤滑油
が軸受部品に設けた油排出孔から排出する。この
時油排出孔は軸受部品のガスの吸入口と反対側の
位置にあるので、油排出孔から飛出してくる潤滑
油の吸入口の方へは殆んど吸入されずに、電動機
の上部へ落下して、固定子の外縁切部を通つて油
溜めに戻る。従つて油溜め内の潤滑油が不足した
り、吸入口から圧縮機構へ吸入されて密閉容器外
へ多量に吐出したりすることが無くなる。第５図
に本発明を実施した場合の油吐出量変化を示すグ
ラフを実線で示している。従来方式に比べて、電
動圧縮機が回転数可変式の場合には、高速回転域
で油吐出量が格段に少なくなる。

実施例 第１図は本発明の電動圧縮機の一実施例を示す
横断面図、第２図ぱ同じくそのＡ−A′断面図、
第３図は同じくそれらの基本的な部品の組付図で
ある。第１図から第３図までの本発明の同一機能
部品については同一番号を付している。

第１図の実施例で説明すると、密閉容器４１の
内部に圧縮機構４２とこれを支承する軸受部品５
４、圧縮機構４２をシヤフト４６を介して回転駆
動する回転子４５、固定子４４からなる電動機４
３を軸受部品５４の下部に配設している。電動機
４３の固定子４４は密閉容器４１で固着配設され
ており、密閉容器４１の下方底部には潤滑油４８
を貯溜する油溜め４９を設けている。４７は密封
絶縁端子で、固定子４４に電力を外部から供給す
る。シヤフト４６下端には油溜め４９に浸された
吸込み管５０を設け、この吸込み管５０から潤滑
油４８を回転によつて吸入し、偏心孔５１を通つ
て、遠心力作用で各摺動部、軸受部へ給油する。
つまり、偏心孔５１を通つた潤滑油４８は、シヤ
フト４６の横孔５２へ入り込んで油溝５３へ流れ
て、軸受部品５４の副軸受５４ａを潤滑して上部
の細孔５５を通つて圧縮機構４２の一部品である
旋回渦巻羽根部品５６の偏心軸受部５７へ流れ込
む潤滑回路と、偏心孔５１から直節潤滑油４８が
偏心軸受部５７へ流れる潤滑経路を有する。この
２つの経路は、偏心軸受部５７で合流して、潤滑
油４８は圧縮機構４２の旋回渦巻羽根部品５６の
スラスト力を支えるスラスト軸受５８、摺動部５
８ａを潤滑、冷却し、そして軸受部品５４主軸受
部５９を潤滑してから軸受部品５４に設けた油排
出孔６０から排出される。排出された潤滑油４８
は、固定込４４と軸受部品５４の間の空間へ放出
されるが、反対側の位置にある吸入口６３から吸
入ガスと共に吸引されること無く直接固定子４４
の上部へ貯まつて、固定子４４の外縁切欠部６５
から下部へ落下して油溜め４９へ戻る。６１は圧
縮機構４２の旋回渦巻羽根部品５６と固定渦巻羽
根部品６６とで圧縮されたガスが外部へ吐出され
る吐出管で、吸入管６２から再び密閉容器４１へ
入り、吸入口６３から圧縮機構４２へ吸入される
ようになつている。従つて、この場合、密閉容器
４１内、特に油溜め４９には吸入側の冷媒ガス圧
力が作用している。６４は旋回渦巻羽根部品５６
を固定渦巻羽根部品６５に対して旋回運動させる
ための自転拘束部品である。

本発明の実施例として圧縮機構４２がスクロー
ク式のもので説明したが、別にスクロール式に限
らず圧縮機構４２が密閉容器４１の上部にあり、
電動機４３が下部にある電動圧縮機であれば良
い。

発明の効果 本発明によれば、圧縮機構の軸受部や摺動部を
潤滑、冷却した潤滑油を軸受部品に設けた油排出
孔から排出させると共に、ガスの吸込口を油排出
孔とほぼ反対の位置に遠く設けているので、油排
出孔からの潤滑油が圧縮機構へ吸入するのを防止
出来、軸受部や摺動部を潤滑した油が常に油溜め
に戻り、油溜め内の潤滑油を確保出来、オイル欠
乏による摺動部の焼付きを防げる。更に潤滑油が
密閉容器外の冷媒回路へ多量に飛出すのを防ぐこ
とで、熱交換器の伝熱性を損なうことも防止出来
る。これらの効果は回転数可変用の電動圧縮機に
おいては、特に高速回転域でその効果が大きくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すスクロール型
の電動圧縮機の縦断面図、第２図は同電動圧縮機
の水平断面図、第３図は同電動圧縮機の基本部品
の分解斜視図、第４図は従来のスクロール型の電
動圧縮機の縦断面図、第５図は本発明と従来形の
電動圧縮機の回転数が変化した場合の油吐出量を
示す特性図である。 ４１……密閉容器、４２……圧縮機構、４３…
…電動機、４４……固定子、４５……回転子、４
６……シヤフト、４８……潤滑油、４９……油溜
め、５４……軸受部品、６０……油排出孔、６２
……吸入管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 密閉容器の内部に圧縮機構と前記圧縮機構を
   支承する軸受部品、前記圧縮機構をシヤフトを介
   して回転駆動する回転子、固定子からなる電動機
   を前記軸受部品の下部に配設し、前記電動機の固
   定子を前記密閉容器で固着配設し、前記密閉容器
   の下方底部に潤滑油を貯溜する油溜め、及び前記
   密閉容器にガスの吸入管を設けて、前記油溜めに
   吸入側のガス圧力が作用する構成とし、前記軸受
   部品に前記圧縮機構の軸受部あるいは摺動部を潤
   滑あるいは冷却した潤滑油を排出する油排出孔と
   前記圧縮機構へガスを導入する吸入口とを設ける
   と共に、前記吸入口と前記油排出孔とを前記シヤ
   フトの回転中心に対してほぼ反対の位置関係に構
   成してなる電動圧縮機。