JPH0579803B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車両駆動用又は汎用の４サイクルエ
ンジンにおけるバルブ装置に関する。

（従来の技術） 一つのシリンダに吸気バルブと排気バルブをそ
れぞれ２個以上設けたエンジンにおいては、吸気
側と排気側のバルブを別々のカム軸で駆動するい
わゆるDOHC型にしたものが知られている（例
えば特開昭57−176311）。

この型式のエンジンでは、燃焼室の上方に比較
的空いた空間が残されるので、その中央に点火プ
ラグを配設することができ、このように配置する
と、点火による火炎面の拡がりが均一化されて短
時間で燃焼が行なわれ、燃焼効率の向上が期待で
きる。また、火炎伝播が不均一であると、燃焼室
内に部分的に圧力差が生じ未燃焼部分で急激な圧
力増加による自己着火と、これに起因するノツキ
ングが生じるが、燃焼室中心に点火プラグを配置
するとこのような不都合も予防することができ
る。

（発明が解決しようとする課題） 前記のDOHC型エンジンは、前記の利点は有
するものの、２本のカム軸を用いるためシリンダ
ヘツドが比較的大型で大重量になり、小極で軽量
であることが要求される自動二輪車用エンジンに
用いる場合にはより軽量化することが望まれてい
る。そこで１本のカム軸を用いるSOHC型にすれ
ば軽量化は可能になるが、該カム軸に妨げられて
点火プラグを燃焼室の中心に設けることは困難に
なり、中心からずらせて配置すると燃焼効果の低
下、ノツキングの発生等の不具合が生じ易く、こ
れを避けるために点火プラグを中心に配置してカ
ム軸を中心から偏寄させると、両側のロツカアー
ムの長さが極端に異なるものになり、支点の設定
等において設計上の困難を伴う。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前記の問題点を解決することを目的
とするもので、該目的を達成するための手段は、
一つのシリンダに複数個ずつの吸気バルブと排気
バルブを配置し、これらを１本のカム軸によりロ
ツカアームを介して開閉駆動するようにした４サ
イクルエンジンのバルブ装置において、該カム軸
を燃焼室の略中央上方を横切るように配置し、該
カム軸の一側に３個の吸気バルブ、他側に２個の
排気バルブをそれぞれ配置し、該カム軸を挾んで
排気バルブ側に、中央の吸気バルブと略対称に点
火プラグを傾斜して配置し、かつその点火電極
を、燃焼室頂部の略中央で各吸気バルブの燃焼室
への開口から略等距離の位置に臨ませて配置した
ことを特徴とする。

（作用） 点火プラグを中心の吸気弁と対称的に排気弁側
に配置したので、カム軸に邪魔されずに点火プラ
グを着脱することができ、点火電極を燃焼室中心
で各吸気バルブの開口から略等距離の位置に配置
したので、各開口から吸入した混合気を均一かつ
急速に燃焼させる。

（実施例） 次いで本発明の実施例を図面について説明す
る。該実施例は、前記の吸気バルブ、排気バルブ
及び点火プラグの配置構成を備えるほかに、各バ
ルブのボアを加工し易い構造としたものである。

図面で１は２輪車車体Ａに搭載される４サイク
ルモノブロツクエンジンのエンジン本体を示し、
該本体１はシリンダヘツド部２からシリンダ部３
とクランクケース部４とに亘つて一体成形した例
えばマグネシウム合金の鋳造品で構成されるもの
とし、該クランクケース部４の下面に該シリンダ
部３のボア３ａに臨む鋳抜き穴から成る開口５を
形成して、該ボア３ａにシリンダライナ３ｂをね
じ込み式に装着し、開口５にオイルパン６を取付
け、エンジンの分解組立時は該オイルパン６を取
外してクランクシヤフト７にピストン８を組付け
て成る組立体を該開口５を通して該エンジン本体
１内に挿脱自在とした。

更に図示のものでは、クランクケース部４から
後方にのびるミツシヨンケース部９も該エンジン
本体１と一体に形成し、その一側面を開放面とし
てミツシヨン機構１０を該開放面に施蓋されるミ
ツシヨンホルダ１１に組付けた状態で該ミツシヨ
ンケース部９内に装着せしめるようにした。

又、シリンダヘツド部２には、第５図に示す如
く燃焼室１２の中心を囲んでその周囲一側に吸気
バルブ１３の３個と、その他側に排気バルブ１４
の２個とを設けて、全体として５バルブ式のエン
ジンを構成するものとし、ここでこれら吸排気バ
ルブ１３，１４は、各バルブ１３，１４の軸線の
延長線がシリンダ部３のボア３ａの軸線上の共通
の交点Ｏで交わるように且つクランクケース部４
の上記した開口５内を通るように配置されるもの
とした。したがつて、吸排気バルブ１３，１４の
バルブシートの開口は、ボア３ａの軸線から略等
距離の位置に臨んで設けられる。

而してこれによれば、第６図に示す如くシリン
ダヘツド部２の各バルブシート面１５を研削加工
する先端の刃部１６ａを備えた従前の座ぐりカツ
タ工具１６を用い、これを該開口５から挿入して
該各バルブシート面１５の加工を行い得られるも
ので、即ち各バルブ軸線の延長線が該開口５内を
通ることから、該工具１６を任意何れかのバルブ
シート面１５のバルブ軸線に沿つて該開口５から
エンジン本体１内にこれとの干渉を生ずることな
く挿入して該バルブシート面１５の精密な加工を
行うことが可能となり、且つ各バルブ軸線の延長
線がボア軸線上の共通の交点Ｏで交わることか
ら、該工具１６を該交点Ｏを中心にしてシリンダ
ヘツド部２に対し相対的に首振り動作させ、その
軸線を順次各バルブシート面１５のバルブ軸線に
合致させて全てのバルブシート面１５を同様に精
度良く加工出来る。

又、かくするときは、多バルブ式エンジンであ
つても各バルブシート面１５間の段差を無くして
燃焼室１２の壁面を交点Ｏを曲率中心とする滑ら
か凹球面に形成することが可能となり、燃焼性の
向上による出力アツプが図られる。そして、３本
の吸気バルブ１３のうちの中央のものに対向する
位置にプラグ穴１７ａが設けられこれに点火プラ
グ１７が螺着され、点火電極１７ｂは燃焼室中心
で各吸気バルブから等距離に位置している。この
構成により該燃焼室内で火炎伝播が均一かつ急速
に行なわれ、且つノツキングの発生が防止され
る。

図面で１８はカムシヤフト、１９はロツカアー
ム、２０は水ポンプ、２１はオイルポンプ、２２
はエンジン本体１の一側面に着脱自在に取付けた
サイドカバー、２３はシリンダヘツド部２に着脱
自在に設けたヘツドカバーを示す。

この様に吸気バルブと排気バルブとを夫々の軸
線の延長線がシリンダ部のボア軸線上の共通の交
点で交わり且つクランクケース部の下面の開口内
を通るように配置すれば、モノブロツクエンジン
であつても、シリンダヘツド部を分離形成する従
来のエンジンのバルブシート面の加工に用いると
同様の座ぐりカツタ工具を用い、これを該開口か
ら挿入して全てのバルブシート面を精度良く加工
出来、バルブシート面からの圧洩れが防止され、
且つ燃焼室の壁面を該交点を曲率中心とする滑め
らかな凹球面に形成出来て、エンジンの出力アツ
プを図ることが出来る。

（発明の効果） 以上のように本発明は、点火プラグの点火電極
を燃焼室の頂部中心に位置させると共に各吸気バ
ルブから等距離の位置に臨ませたから、燃焼及び
火炎の伝播が均一かつ急速に行なわれて燃焼効率
が良好であり、未燃焼部分で急激な圧力増加が生
じないから、自己着火によるノツキングも生じな
い効果を有し、かつ点火プラグを中央の吸気バル
ブと略対称に傾斜して排気バルブ側に配置したこ
とにより、シリンダ上方の略中央に配置されるカ
ム軸に妨げられることがなく点火プラグの着脱が
できるから、バルブ数が多いにも拘らず、１本の
カム軸を用いるエンジンに適用され、エンジンの
小型軽量化に役立つ効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々本案装置を具備するエ
ンジンの一側と他側の側面図、第３図は第１図の
−線截断面図、第４図は第３図の−線截
断面図、第５図はそのシリンダヘツド部の平面
図、第６図はバルブシート面の加工を説明する要
部の截断面図である。 １……エンジン本体、２……シリンダヘツド
部、３……シリンダ部、３ａ……ボア、４……ク
ランクケース部、５……開口、１３……吸気バル
ブ、１４……排気バルブ、１７……点火プラグ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一つのシリンダに複数個ずつの吸気バルブと
   排気バルブを配置し、これらを１本のカム軸によ
   りロツカアームを介して開閉駆動するようにした
   ４サイクルエンジンのバルブ装置において、該カ
   ム軸を燃焼室の略中央上方を横切るように配置
   し、該カム軸の一側に３個の吸気バルブ、他側に
   ２個の排気バルブをそれぞれ配置し、該カム軸を
   挾んで排気バルブ側に、中央の吸気バルブと略対
   称に点火プラグを傾斜して配置し、かつその点火
   電極を、燃焼室頂部の略中央で各吸気バルブの燃
   焼室への開口から略等距離の位置に臨ませて配置
   したことを特徴とする４サイクルエンジンのバル
   ブ装置。 ２ 前記カム軸が燃焼室中央から吸気バルブ側に
   偏寄していることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の４サイクルエンジンのバルブ装置。 ３ 前記吸気バルブ及び排気バルブが燃焼室の中
   心から略等距離の位置に配置されていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載の
   ４サイクルエンジンのバルブ装置。