JPH0579743B2 - - Google Patents

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JPH0579743B2
JPH0579743B2 JP63258931A JP25893188A JPH0579743B2 JP H0579743 B2 JPH0579743 B2 JP H0579743B2 JP 63258931 A JP63258931 A JP 63258931A JP 25893188 A JP25893188 A JP 25893188A JP H0579743 B2 JPH0579743 B2 JP H0579743B2
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Japan
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steel
graphite
hardenability
rolling
graphitization
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Yoshikazu Kawabata
Masahiko Morita
Fusao Togashi
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は加工性、焼入性に優れた鋼材に係り、
詳しくは、低炭素鋼なみの冷間加工性と強度を有
し、かつ、焼入性に優れ、さらに靭性、メツキ性
にも優れた鋼材に係る。 従来の技術 機械部品に用いられる鋼の多くは、切削、穿
孔、曲げ等の各種成形加工を受けた後に、焼入
れ、焼戻しなどの熱処理により強度、耐摩耗性を
得ている。このような用途に用いられる鋼(以
下、熱処理用途鋼という。)では熱処理後の強度、
耐摩耗性の必要性から0.15%以上のCを含んでい
るのが一般的である。しかしながら、このように
0.15%以上のCを含む鋼は焼入れ前においても強
度が高く、延性が低く十分な加工性を有していな
い。そのため、機械部品などの成形工程では材料
の成形性を補うため成形前に球状化焼鈍などの軟
質化処理を施すのが一般的である。しかしなが
ら、このような球状化焼鈍によつて得られるフエ
ライト−球状化セメンタイト組織での軟質化には
限度があり低炭素鋼なみの加工性を得ることは難
しい。さらに、加工性を向上させる手段として、
特公昭63−9578号公報では、フエライト−黒鉛組
織を利用しているものの、その実施例に示される
ように本発明が目標とした低炭素鋼なみの加工性
は達成できていない。そこで、複雑な成形加工を
必要とする部分においては使用材料として加工性
の良好な低炭素鋼を用いて所定形状までの加工を
施し、その後焼入性を確保するために浸炭、浸窒
処理を施す方法が採られてはいるが、このような
方法で加工が可能になるにしても、当然ながら工
数の増加をともない、経済的に不利である。 以下、さらに上記の従来技術について詳しく説
明する。 上記の如く、熱処理用途鋼は、通常、焼入性の
観点から材料の成分が決定され、C等を比較的多
量に添加するため難加工性のものであつた。この
ような鋼の軟質化の方法としては、例えば焼鈍に
よつてフエライト−球状化セメンタイト組織とす
る方法、フエライト−黒鉛組織とする方法が考え
られる。しかしながら、前者は、たとえセメンタ
イトを球状化したとしてもセメンタイトが堅く
て、脆いという性質がある限り大幅な加工性の向
上は望めない。一方、後者のフエライト−黒鉛組
織では2つの問題点が考えられる。そのひとつ
は、焼鈍によりセメンタイトを分解、黒鉛を析出
させる反応が通常起こり難いため、黒鉛化促進の
ためにSiを多量に添加しており、そのため、熱間
圧延時の赤スケール生成によるスケール傷、シリ
カ層の生成によるメツキ性の低下、さらには、靭
性や延性の低下を生ずるという点、もうひとつ
は、一般に広く知られているように、焼入時のオ
ーステナイト化処理時に、黒鉛はセメンタイトと
比べてマトリツクスへの溶け込みが遅いため熱処
理性が低下するという点が問題となる。前述の特
公昭63−9578号公報でもフエライト−黒鉛組織に
するためにSiを多量に添加しており、また、フエ
ライト−黒鉛組織が熱処理性を有することに触れ
ているものの、熱処理性の低下の改善策について
は何ら触れておらず、上記の問題点を解決してい
ない。また、フエライト−黒鉛組織を利用した従
来技術として、例えば、特開昭49−67816号公報、
特開昭49−103817号公報、特開昭51−57621号の
諸公報があげられ、これらはいずれも黒鉛のチツ
プブレーク作用を利用した黒鉛快削鋼に係るので
あるが、これらはいずれも切削性のみの改善を目
的としたものであり、熱処理性については何ら開
示されていない。 発明が解決しようとする課題 本発明は上記問題の解決を目的とし、具体的
に、成形加工時には低炭素鋼なみの冷間加工性と
強度を有し、かつ、浸炭、浸窒等の特別な処理を
施すことなく、通常の焼入れ、焼戻し処理によ
り、一般の熱処理用途鋼なみの特性が得られ、さ
らに、靭性、延性、めつき性等にも優れた鋼材を
提供することを目的とする。 課題を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明の鋼材は、下記(1)、(2)、(3)、
(4)で示される成分元素を含有し、残部がFe及び
不可避的不純物よりなり、しかも、フエライト相
と100個/mm2以上の分布で存在する黒鉛粒を主体
とする組織を有することを特徴とする。 (1) C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれ
か1種以上を含有する。 (2) C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下、B:5〜50ppm、N:5〜50ppm
を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、Co:0.10〜
3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか1種以上
を含有する。 (3) C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれ
か1種以上を含み、かつ、Mo:0.05〜2.00%、
Cr:0.05〜0.70%のいずれか1種以上を含有す
る。 (4) C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下、B:5〜50ppm、N:5〜50ppm
を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、Co:0.10〜
3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか1種以上
を含み、かつ、Mo:0.05〜2.00%、Cr:0.05〜
0.70%のいずれか1種以上を含有する。 そこで、これらの手段たる構成ならびにその作
用について更に具体的に説明すると、次の通りで
ある。 まず、本発明者等は低炭素鋼と同等程度の冷間
加工性を有し、しかも、通常の焼入れ、焼戻し処
理により一般の熱処理用途鋼と同等以上の特性を
具えた熱処理用途鋼を開発するため、いろいろ検
討を重ねた結果、次に示す方針で製造すれば所望
のものが得られるということがわかつた。 (1) フエライト−球状化セメンタイト組織を利用
して加工性を向上させるのには限界があり、低
炭素鋼なみの加工性は得難い。そこで、セメン
タイト相に変わる伸展性に富んだ黒鉛相を利用
すればよいが、この時は、黒鉛相を析出させる
ためのSiの添加は極力抑えること、 (2) 黒鉛化に伴う熱処理性の低下に対しては析出
する黒鉛粒数を増加させることで黒鉛全体とし
てのマトリツクスへの溶け込み速度を向上させ
ること、 そこで、本発明者らは以上の方針のもと、Siの
添加に代わる黒鉛化促進のための手段を研究し、
かつ、焼入性に十分な黒鉛粒数を工業的規模で生
産しうる手段を研究した結果、以下の知見を得、
本発明はこれに基づいて成立したものである。 (a) 従来のフエライト−球状セメンタイト鋼なみ
の焼入性を得るには100個/mm2の黒鉛粒数が必
要である。 (b) Ni、Co、Cuを添加することによりSi添加と
同様に黒鉛化が促進される。Si添加と黒なり
Ni、Co、Cuの添加により優れた靭性が得ら
れ、また、メツキ不良、スケール傷の発生も抑
えられる。 (c) Cr、Moを添加することにより、特に高C側
で、焼入れ硬度が向上する。 (d) 黒鉛化促進、黒鉛粒微細化のためにはできる
だけ低温で高圧下率の圧延が有効であり、具体
的には、850℃以下での圧下率18%以上の熱間
圧延、または、圧下率20%以上の冷間圧延が黒
鉛化促進、黒鉛粒微細化のためには有効であ
る。 (e) B、Nを複合添加することにより、特別な熱
間圧延、冷間圧延等を行うことなく黒鉛化促進
の効果が得られるとともに、黒鉛粒数の著しい
増加が観られる。これにより短時間のγ化処理
でもCがマトリツクスへ固溶して高い焼入性が
得られる。 以上の知見に基づく効果を利用することで、フ
エライト−黒鉛組織を有する加工性、焼入性、靭
性、及びメツキ性に優れた鋼を得ることが可能と
なつた。 以上の効果が得られる理由は必ずしも明確では
ないが、以下、その理由について述べる。 (c)の効果については、Mnと異なり、Cr、Mo
はフエライト安定化元素であり、特にC、Ni、
Co、Cu等のオーステナイト安定化元素が多い場
合の焼入れ時に生成しがちな残留オーステナイト
の生成を抑えて焼入れ硬度を向上させた可能性も
考えられる。 (d)、(e)の効果については、セメンタイトの分
解、黒鉛化の反応が起こりにくいのは、その反応
の過程で大きな体積膨脹を伴うためであると考え
れば、この体積膨脹を緩和するような黒鉛の析出
サイトの存在が黒鉛化のために必要であり、(d)の
効果は圧延によつて導入される転移やボイド等の
欠陥が析出サイトとなると考えられ、そのため、
例えば、熱延条件としては低温で高圧下圧延ほど
黒鉛化促進、黒鉛粒微細化に有効であつたと考え
られる。また、(e)の効果についても、黒鉛の分布
がBのそれに対応していること、B、N自身は単
独ではセメンタイト安定化元素であるにも拘ら
ず、B、Nを複合添加した場合、多少の過剰の
B、Nが存在しても、黒鉛化促進、微細化の効果
が得られることを考えるとBを含む析出物が黒鉛
の析出サイトとなつた効果と考えるのが妥当と思
われる。また、本発明鋼におけるBを含む析出物
としてはBNが最も一般的であり、また、BNの
格子定数が黒鉛のそれに非常に近いことを考えれ
ば、BNが黒鉛の析出サイトとして働いたと考え
られる。そして、このBNの析出が鋼中でほぼ均
一に生じ、BNを析出サイトとして微細な黒鉛が
均一に分散した組織を得ることが可能となつたと
考えられる。 次に、鋼成分元素の数値限定理由について述べ
る。 C:Cは焼入れ、焼戻し後の強度、耐摩耗性の必
要性に応じて適量を添加するが、機械部品用
の熱処理用途鋼の一般的なC範囲である0.15
〜1.5%と定めた。 Ni、Co、Cu:これらの元素は黒鉛化を促進する
元素である点はSiと同じであるが、Siと異な
り焼入性、靭性、延性の向上にも効果があ
り、また、メツキ性を阻害しない。本発明で
は、それぞれの元素の黒鉛化促進の効果が現
れる最小の量を下限に、また、黒鉛化促進の
効果が飽和する量を上限にそれぞれ0.10〜
3.00%、0.10%〜3.00%、0.10〜1.00%と定め
た。 Mn:MnはS、Oと化合物を作り、これらを固
定して清浄な鋼とするために必要な元素であ
り、その下限は清浄な鋼を作るために必要な
0.05%とした。また、Mnは鋼の焼入れ時の
臨界冷却速度を低下させ焼入性を向上させる
元素であり、機械部品の大きさなどに応じて
適量添加するが、一方で、黒鉛化を阻害し、
その量が1.00%を越えると黒鉛化が進まない
ため上限を1.00%に定めた。 Si:Siは黒鉛化を促進する元素ではあるが、0.49
%を越えて添加すると熱間圧延時にスケール
傷を著しく生じ易くなり、また、靭性、延性
を阻害するため、上限を0.49%に定めた。 B、N:これらの元素は複合添加することにより
黒鉛化を著しく促進し、かつ、黒鉛粒数を著
しく増加させる。その効果は第4図に示すよ
うにB、Nをそれぞれ5ppm以上複合増加す
ることにより現れ、また、それぞれを50ppm
を越えて添加しても飽和するので、B、Nそ
れぞれの下限を5ppm、上限を50ppmに定め
た。ただし、B、Nそれぞれは単独では黒鉛
化を阻害する元素であり余剰のB、Nを出さ
ないことが必要であると考えられるので重量
比でB/N=0.5〜2であることが望ましい。 なお、第4図は0.5%C−0.5%Ni−0.1%Mnを
含み、B/N1の割合で添加した鋼を熱間圧延
(温度900℃)した場合の黒鉛粒数に及ぼすB添加
量の効果を調べたB添加量と黒鉛粒数との関係グ
ラフである。 このグラフによればB、Nをそれぞれ5ppm以
上複合添加することにより黒鉛粒数を増加させる
効果が現れることが分る。 また、それぞれ50ppmを越えて添加しても黒鉛
粒数を増加させる効果は飽和することが分る。 Cr、Mo:これらの元素は鋼の焼入れ時の臨界冷
却速度を低下させ、焼入性を向上させる元素
であり、機械部品の大きさなどに応じて適量
添加される点はMnと同様であるが、特に、
高いCを含む本発明鋼において焼入れ後の硬
度をMn以上に向上させる。しかしながら、
いずれもMnと同様に黒鉛化を阻害する元素
であり、Crについてはその添加量が0.7%を
越えると、Moについては2.0%を越えると黒
鉛化が進まないため、上限をCrについては
0.7%、Moについては2.0%に定めた。また、
それぞれの下限は焼入性を向上させる効果の
現れる0.05%に定めた。 黒鉛粒数:化学成分が0.5%C−0.5%Ni−0.1%
Mnの割合で含む発明鋼(請求項1)の熱
延、冷延条件を変化させて黒鉛粒数を50〜
200mm-2に調整した試料、及び化学成分が0.5
%C−0.5%Ni−0.1%Mn−20ppmBの割合
で含む発明鋼(請求項2)で黒鉛粒数が1000
mm-2である試料を用いて、オーステナイト化
処理時間12分以下で、フエライト−球状セメ
ンタイト組織を有する場合と同程度の焼入れ
硬度が得られる黒鉛粒数を調べた結果を第1
図のオーステナイト化処理時間と焼入れ硬度
との関係グラフに示す。この結果より良好な
焼入性を得るためには、黒鉛粒数が100mm-2
以上必要であり、黒鉛粒数の下限を100mm-2
に定めた。 次に、本発明鋼の製造方法について説明する。 以上のような化学成分を有する鋼を、通常の転
炉、または、電炉法にて溶解後、請求項1,3に
相当する鋼については、焼入性に必要な黒鉛粒数
を得るため、第2図及び第3図に示す黒鉛粒数と
熱間圧延温度、圧下率の関係、及び黒鉛粒数と冷
間圧延圧下率の関係から、850℃以下で圧下率18
%以上の熱間圧延、または、100℃以下で10%以
上の熱間圧延後に圧下率20%以上の冷間圧延、ま
たは、850℃以下で圧下率18%以上の熱間圧延後
に圧下率20%以上の冷間圧延、または、850℃以
下で18%以上の熱間圧延後に500〜800℃で1〜
200時間保持し、これを圧下率5%以上の冷間圧
延を施した後に、500〜800℃で1〜200時間保持
することによりフエライト相と100個/mm2で分布
する黒鉛粒を主体とする組織を有する加工性、焼
入性に優れた鋼となる。 なお、第2図は0.5%C−0.5%Ni−0.1%Mnを
含む発明鋼(請求項1)を用いて、熱間圧延温度
を900℃〜700℃の範囲で変えて圧延し、その圧下
率を10〜70%の範囲で変化させ得られた鋼につい
て黒鉛粒数を調べた結果の熱間圧延圧下率と黒鉛
粒数との関係グラフである。また、第3図は第2
図の試験に用いたと同じ化学成分の鋼を熱間圧延
温度900℃、圧下率50%で圧延した後、冷間圧延
し、その圧下率を10〜80%の範囲で変化させた場
合の冷間圧延圧下率と黒鉛粒数との関係グラフで
ある。 これらのグラフによれば黒鉛粒数を増すには熱
間圧延温度を低く、熱間圧延圧下率を高くするこ
と、及び冷間圧延圧下率を高くすることが有効で
あることがわかる。 また請求項2,4に相当する鋼については、特
別な圧延を行う必要がなく、1000℃以下で10%以
上の熱間圧延、または、1000℃以下で10%以上の
熱間圧延後に圧下率5%以上の冷間圧延、また
は、1000℃以下で10%以上の熱間圧延後に500〜
800℃で1〜200時間保持し、これを圧下率5%以
上の冷間圧延を施した後に、500〜800℃で1〜
200時間保持することによりフエライト相と100
個/mm2以上で分布する黒鉛粒を主体とする組織を
有する加工性、焼入性に優れた鋼となる。 実施例 以下、実施例により本発明を説明するが、ま
ず、初めに、供試材の試験方法ならびに表中の記
号について述べる。 (1) 微細組織は、各実施例に示すような化学成分
の鋼を溶製後、圧延、焼鈍を行つた供試材をバ
フ研磨により鏡面に仕上げた後、ナイタール液
を用いて腐食、光学顕微鏡にて400倍以上の倍
率で観察した。第2〜5表中、微細組織の相の
欄のFはフエライト、Gは黒鉛、Cはセメンタ
イトを示し、GとCの順番は黒鉛とセメンタイ
トのどちらが第2相として主体的であるかを示
す。すなわち、F+G+Cはフエライト中に黒
鉛が主に析出しており、わずかにセメンタイト
が残つていることを示し、F+C+Gはフエラ
イト中にセメンタイトが主に析出しており、わ
ずかに黒鉛が析出していることを示す。また、
黒鉛粒数は1mm2当りの黒鉛の数を示した。 (2) TS、Elはそれぞれ、各施例に示すような化
学成分の鋼を溶製後、圧延、焼鈍を行つた供試
材をJIS5号試験片(板厚2mm)で引つ張り試験
を行つた時の引つ張り強度、破断伸びを示し、
加工性の評価とした。本発明ではTS<50Kg
f/mm2、El≧25.0%を加工性良とした。 (3) DBTTは各実施例に示すような化学成分の
鋼を溶製後、圧延、焼鈍を行つた供試材をVノ
ツチシヤルピー試験片で衝撃試験を行つた時の
延性−脆性遷移温度を示し、靭性の評価とな
る。DBTTが0℃以下で靭性良とした。 (4) メツキ性は各実施例に示すような化学成分の
鋼を溶製後、圧延、焼鈍を行つた供試材を焼鈍
後、酸洗して通常の溶融亜鉛メツキが行える
か、否かで〇、×の判定を行つた。 (5) 焼入れ硬度は各実施例に示すような化学成
分、圧延、焼鈍を行つた供試材を870℃で12分
保持した後、油焼入れを行つた時の硬度で、焼
入性の評価となる。本発明では第1表に示す添
加C量によつて決まる焼入れ硬度以上で焼入性
良とした。
【表】 (6) スケール傷は各実施例に示すような化学成
分、圧延、焼鈍を行なつた後、目視にて検査、
傷のあるなしで〇、×の判定を行つた。 次に、実施例にもとずいて本発明を説明する。 各実施例の条件及び結果を示す第2〜5表中の
備考欄の×印は比較鋼を示す。また、各成分元素
の数字のアンダーラインは比較鋼である理由を示
す。 実施例 1 C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか
1種以上を含み、残部Fe、及び不可避的不純物
よりなる本発明の範囲の試料(請求項1の発明鋼
である鋼試料No.1〜11、13、15、17、19)とNi、
Co、Cu、Mn、Siが本発明の範囲外の試料(比較
鋼である鋼試料No.12、14、16、18、20)を転炉に
て溶製後、第2表に示すような熱延、冷延、焼鈍
を行つた時の微細組織、及び引つ張り特性、延性
−脆性遷移温度、焼入れ硬度及びメツキ性を示
す。本発明の範囲の化学成分を有する試料はフエ
ライト中に100mm-2以上の黒鉛粒が析出した組織
となり、加工性、焼入性に優れた鋼になるととも
に良好な靭性、メツキ性を有し、また、スケール
傷を生じにくいのに対し、Mnが本発明の範囲よ
り多い試料(鋼試料No.14)は十分に黒鉛化が進ま
ず加工性が低い、また、Ni、Co、Cu量が本発明
の範囲以下(鋼試料No.16、18、20)では黒鉛化が
進まず加工性が低い。 また、Siが本発明の範囲外で0.5%以上(比較
鋼12)では、黒鉛化は進むものの靭性が低下し、
メツキ性も不良となる。 実施例 2 C:0.15〜1.50%、Si:0.49%以下、B:5〜
50ppm、N:5〜50ppmを含み、かつ、Ni:0.10
〜3.00%、Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%
のいずれか1種以上を含み、残部Fe、及び不可
避的不純物よりなる本発明の範囲の試料(請求項
2の発明鋼である鋼試料No.24〜28、30〜34)と
B、N量が本発明の範囲外である他は本発明の範
囲内である試料(比較鋼である鋼試料No.21〜23、
29)を転炉にて溶製後、900℃で圧下率50%の熱
間圧延を施した後、第3表に示すような冷延、黒
鉛化焼鈍を行つた時の微細組織、引つ張り特性、
延性−脆性遷移温度、焼入れ硬度及びメツキ性を
示す。第4図に示すように本発明の範囲内のB、
Nを含む試料はフエライト中に100mm-2以上の黒
鉛粒が、B、N量を適正にすれば1000mm-2以上析
出した組織となり、加工性、焼入性に優れた鋼と
なるのに対し、B、N量の低い試料(鋼試料No.21
〜23)は黒鉛化が進まず加工性が低い。また、
B、Nを50ppmを越えて添加(鋼試料No.29)して
も黒鉛粒数の増加、黒鉛化の促進にあまり効果が
ない。また、実施例1と比較すると、B、Nの添
加には黒鉛粒数の増加、黒鉛化の促進の著しい効
果が有り、特に焼入性に優れた鋼が得られること
が分る。また、B、N複合添加による靭性、メツ
キ性への悪影響は観察されない。 実施例 3 C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか
1種以上を含み、かつ、Mo:0.05〜2.00%、
Cr:0.05〜0.70%のいずれか1種以上を含み、残
部Fe及び不可避的不純物よりなる試料(請求項
3の発明鋼である鋼試料No.35〜38、40、42)と
Cr、Moが本発明の範囲外である試料(比較鋼で
ある鋼試料No.39、41)を転炉にて溶製後、第4表
に示すような熱延、冷延、焼鈍を行つた時の微細
組織、引つ張り特性、焼入れ硬度を示す。Cr、
Moを本発明の範囲以上添加(鋼試料No.39、41)
すると黒鉛化が進まず加工性が低下する。また、
実施例1の本発明鋼である供試材4と実施例3の
本発明鋼である供試材35,36を比較、実施例
1の本発明鋼である供試材9と実施例3の本発明
鋼である供試材37を比較すると、Cr、Moを添
加することにより特に高C側で焼入れ硬度が向上
することが分る。 実施例 4 C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Si:
0.49%以下、B:5〜50ppm、N:5〜50ppmを
含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、Co:0.10〜3.00
%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか1種以上を含
み、かつMo:0.05〜2.00%、Cr:0.05〜0.70%の
いずれか1種以上を含み、残部Fe及び不可避的
不純物よりなる試料(請求項4の発明鋼である鋼
試料No.43〜47)を転炉にて溶製後、第5表に示す
ような熱延、冷延、焼鈍を行つた時の微細組織、
引つ張り特性、焼入れ硬度を示す。本発明の範囲
の試料は十分な粒数の黒鉛が析出して加工性、焼
入性に優れた鋼になるとともに良好な靭性、メツ
キ性を有し、また、スケール傷を生じにくいこと
が分る。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明の鋼は特定量の
C、Mn、SiあるいはC、Mn、Si、B、Nを含
み、かつ、特定量のNi、Co、Cuのいずれか1種
以上を含むかあるいはこれらに特定量のCr、Mo
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりな
り、しかも、フエライト相と100個/mm2以上で分
布する黒鉛粒を主体とする組織を有することを特
徴とする。 従つて、従来の熱処理用途鋼では得ることので
きなかつた曲げ、張り出し、穿孔、打ち抜き等の
冷間加工性と強度を有し、かつ、焼入性に優れ、
さらに靭性、メツキ性にも優れた鋼である。更
に、適量のB、Nを添加したものは鋼中の黒鉛粒
数が増加し、フエライト−黒鉛組織の熱処理性を
一層向上させることが可能である。本発明鋼を例
えば低炭素鋼を用いて成形しなければならない複
雑形状を有する機械部品用材料として用いると、
浸炭、浸窒等の処理工程を省略することができ、
大幅な生産性向上ならびにコスト低減効果が得ら
れる画期的なものである。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例の鋼に係るもので、第1
図は黒鉛粒数の異なる鋼のオーステナイト化処理
時間と焼入れ硬度との関係を示すグラフ、第2図
は熱間圧延圧下率と黒鉛粒数との関係を示すグラ
フ、第3図は冷間圧延圧下率と黒鉛粒数との関係
を示すグラフ、第4図はB添加量と黒鉛粒数との
関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量%で、C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜
    1.00%、Si:0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10
    〜3.00%、Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%
    のいずれか1種以上を含有し、残部がFe及び不
    可避的不純物よりなり、しかも、フエライト相と
    100個/mm2以上で分布する黒鉛粒を主体とする組
    織を有する加工性、焼入性に優れた鋼材。 2 重量%で、C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜
    1.00%、Si:0.49%以下、B:5〜50ppm、N:
    5〜50ppmを含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
    Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか
    1種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純
    物よりなり、しかも、フエライト相と100個/mm2
    以上で分布する黒鉛粒を主体とする組織を有する
    加工性、焼入性に優れた鋼材。 3 重量%で、C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜
    1.00%、Si:0.49%以下を含み、かつ、Ni:0.10
    〜3.00%、Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%
    のいずれか1種以上を含み、かつ、Mo:0.05〜
    2.00%、Cr:0.05〜0.70%のいずれか1種以上を
    含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、
    しかも、フエライト相と100個/mm2以上で分布す
    る黒鉛粒を主体とする組織を有する加工性、焼入
    性に優れた鋼材。 4 重量%で、C:0.15〜1.50%、Mn:0.05〜
    1.00%、Si:0.49%以下、B:5〜50ppm、N:
    5〜50ppmを含み、かつ、Ni:0.10〜3.00%、
    Co:0.10〜3.00%、Cu:0.10〜1.00%のいずれか
    1種以上を含み、かつ、Mo:0.05〜2.00%、
    Cr:0.05〜0.70%のいずれか1種以上を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物よりなり、しかも、
    フエライト相と100個/mm2以上で分布する黒鉛粒
    を主体とする組織を有する加工性、焼入性に優れ
    た鋼材。
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