JPH0579704B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属等の加工時に於て、切削面の平滑
度、傷の有無、歯車の噛み合せ、或は筒体の嵌合
度等加工部分の精度を確認する為に、確認をすべ
き部分に塗布する油性着色材組成物に関する。

従来、係る組成物として揮発性溶剤に塗布時の
粘稠性等を得る為油溶性樹脂を溶解し、顔料を分
散させたものが知られているが、揮発性溶剤を使
用している為に塗布後時間が経過した場合塗膜が
乾燥するので確認精度が低下する。更には除去し
難くなつて取扱いが不便である。

又、火災等の危険性もあり、労働衛生環境上に
於ても好ましくない欠点を有している。

本発明は係る欠点を解消せんとするものであつ
て、エアゾール化されているので均一に噴霧塗布
でき使用に便利であつて、使用中有機溶剤揮発後
は組成物が乾燥する恐れがなく、高い確認精度が
得られると共に確認後の除去も容易であり、しか
も、溶剤としてハロゲン化炭化水素を使用すれば
火災等危険性も小さく労働衛生環境上も有利であ
る油性着色材組成物を得ることを目的とする。

即ち、本発明はポリブテン、固形ワツクス、半
固形ワツクス、有機溶剤および色素を配合したこ
とを特徴とする油性着色材組成物に関する。

本発明者は先にポリブテンおよび色素を配合し
たことを特徴とする油性着色材組成物を発明し特
願昭57−100078として出願したが、この発明はこ
の先願発明の改良に該当し諸種の加工部分の精度
をより正確に確認でき、かつ金属面にけがき線を
入れる場合、この組成物を塗布した後けがけば筆
跡が鮮明に認められるので便利である。

本発明で用いられるポリブテンは金属面との接
着をよくする等を目的とするビヒクルとして用い
られるものであり、本発明者が種々検討の結果見
出したものである。ポリブテンは無色、無味、無
毒の液体ポリマーであつてしかも通常の条件下で
は酸化、硬化後の変化を起さず極めて安定である
特徴を有しており、市販されているノルマルブテ
ンの重合物、イソブテンの重合物或はノルマルブ
テンとイソブテンの共重合物の各種グレードのも
のを用いることができる。

具体的には分子量が300〜5000、粘度が30cps.
（20℃）乃至高粘稠度に至るものまで用いること
ができる。

しかし、塗布の容易さや確認精度の面からビヒ
クルとしての粘度が500〜2500cps.（20℃）のもの
が望ましく、前記範囲に属するポリブテンを単独
で用いる。或は例えば前記範囲に属さない高粘度
のものと低粘度のものを混合して用いるなど異る
粘度を有する複数のポリブテンを併用して用い
る。

更には、例えば前記範囲に属さない高粘度のポ
リブテンに流動パラフインやスピンドル油等の不
揮発性鉱物油或はオリーブ油、ヒマシ油等の不乾
性油或いはアジピン酸ジオクチル等のポリブテン
と相溶性ある可塑剤を混合して所望の粘度に調整
し用いることができる。

尚、粘度調整に当つては品質、コストの面から
流動パラフイン等の不揮発性鉱物油が好ましく用
いられる。

本発明では組成物に硬度と粘稠度をもたせるた
めにポリブテンに固形ワツクスおよび半固形ワツ
クスを添加する。本発明に使用できる固形ワツク
スとしては、牛脂硬化油、みつろう、カルナバろ
う、ぬかろう等の動植物性ワツクス、パラフイン
ワツクス、マクロクリスタリンワツクス等の鉱物
性ワツクス、あるいは脂肪酸アミドやステアリル
ケトン等の合成ワツクスの様に高融点で硬度と可
塑性のあるいわゆる広義のワツクスが広く使用で
きる。

半固形ワツクスとしてはラノリン、ペトロラタ
ム（酸化ペトロラタム、酸化ペトロラタムのカル
シウム塩、バリウム塩等の金属塩を含む）が使用
できる。

又本発明では組成物をエアゾール化し使用に便
利ならしめるためにＮ−ヘキサン、リグロイン、
揮発油等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、
プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶剤が使用できる。好ましくは炭化水素系溶
剤が相溶性大、低コストの理由で使用できる。

四塩化炭素、クロロホルム、ふつ化炭化水素等
のハロゲン化炭化水素を使用すると不燃性のメリ
ツトがある。

本発明の組成物はポリブテン、固形ワツクス、
半固形ワツクスおよび有機溶剤の４成分でビヒク
ルを形成するが、ポリブテン（鉱物油、不乾性
油、可塑剤を混合するときを含む）４〜20重量部
（以下重量部を単に部と記す。）、好ましくは６〜
15部が、固形ワツクス１〜20部、好ましくは２〜
15部が、半固形ワツクス２〜25部、好ましくは４
〜20部が、有機溶剤50〜85部、好ましくは55〜80
部が使用される。

ポリブテンの粘度が小さいときは一般に半固形
ワツクスを多く、ポリブテンの粘度が大きいとき
は半固形ワツクスを少く調節することが望しい。
又溶剤の量は特に限定するものではなく、色素を
加えた組成物の粘度が10〜400cps（at20℃）とな
るよう添加すればよい。

本発明で用いられる色素は確認を要する加工部
分に、均一に塗布できたか否かを確認し、併せて
歯車を噛み合せる等した後の塗布層の変化の程度
の確認即ち、加工精度の判断を容易にし、あるい
はけがき線を鮮明に認識する為配合される。

本発明に於る色素は、オイルブルーBA、ネオ
ザポンブルーFLE等の油溶性染料、紺青等の無
機顔料、バルカンオレンジ等の有機顔料など各種
色素を一種或は二種以上併用でき組成物100部に
対して２〜25部が、好ましくは４〜20部が用いら
れる。

色素は任意発色のものを用いることができる
が、加工精度の確認がより容易に行える様に加工
部分の材質固有の発色と明瞭に対比できる発色例
えばバルカンオレンジ（C.I.No.21160）等の赤色
系統或はプルシヤンブルー（C.I.No.77510＆
77520）等の青色系統のものが好ましく、特に顔
料が好ましく用いられる。

又、色素は塗布した後加工面に傷を与えること
がない様、粒子径が5μ以下のものが、好ましく
は1μ以下のものが用いられる。

尚、色素は過剰になると組成物の流動性が減り
加工部分への塗布が難かしくなり、過少になると
透明性が増し、組成物と加工部分の材質固有の発
色との差が小となつて加工精度の判断がし難くな
る場合がある。

その他本発明に於ては必要に応じて組成物の品
質の安定性向上や組成物の粘度調整の為にクレ
ー、ベントナイト、炭酸カルシウム等公知の体質
顔料が適宜選択され一種又は二種以上が用いられ
る。

その他更に必要に応じて組成物の曳糸性を小と
する為にステアリン酸アルミニウム、ステアリン
酸マグネシウム等高分子脂肪酸の金属塩や、色素
の溶解或は分散をより良くする為にポリエチレン
グリコールアルキルフエニルエーテル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル或はポリエチレングリコールア
ルキルエーテル等の界面活性剤等を用いることが
できる。

本発明の組成物を製造するには例えば所望粘度
に調整したポリブテンに固形ワツクスおよび半固
形ワツクスを加え、固形ワツクスの融点より５〜
15℃高い温度で溶融、混合し均一な混合物とす
る。色素として染料を使用するときはこのとき同
時に溶解し、得られた混合物が有機溶剤の沸点以
下に冷却するのを待ち有機溶剤に投入し分散させ
る。

色素として顔料を使用するときはポリブテン、
固形ワツクスおよび半固形ワツクスの溶融混合物
に顔料及び必要に応じて体質顔料、界面活性剤等
をバタフライミキサー等の攪拌機に順次投入して
均一に混合し次いで、三本ロールミル等の混練機
で混練し粒度を5μ以下に調整し本発明の組成物
を得る。

尚本発明の組成物は最終スプレツドメーターに
よる粒度が40〜90ｍ／ｍφに調整したものが好ま
しく使用できる。

本発明の組成物のビヒクルは溶剤蒸発後には乾
燥固化する恐れがなく、金属加工において高い確
認精度を得られると共に確認後の除去も不乾性で
ある為布等でぬぐうことにより極めて容易であり
取扱いが便利である。又、溶剤としてハロゲン化
炭化水素を使用するときは火災等の危険性も小さ
く無毒であり労働衛生環境上も好ましく使用でき
る。

以下実施例により本発明を詳説する。

実施例 １ ポリブテン〔商品名、HV−100、粘度40000cps.
（20℃）古河化学工業(株)製〕 ７部 マイクロクリスタリンワツクス〔商品名、Hi−
Mic−2045、mp60℃、日本精蝋製〕 ９部 ペトロラタム〔商品名、JP−020F、軟化点60℃、
日本製蝋製〕 ９部 を70℃に加熱、溶融し均一に混合する。ついで 橙色顔料〔商品名、シムラフアーストオレンジ、
大日本インキ化学工業製〕 ５部 を加え、バタフライミキサーで均一に混合した
後、３本ロールミルで混練し5μｍ以下の顔料粒
度とした。

得られた混練物を キシレン 70部 に加えて分散させ橙色のエアゾール用油性着色材
組成物を得た。この組成物の粘度は158cps.（at20
℃）で、金属加工部分に噴霧したとき均一に塗布
され鮮明に発色し、高度の精度確認ができた。

又顔料の分散安定性もよく、エアゾール缶を僅
かに振盪するだけで容易に再分散し、長期間安定
に使用できた。

実施例 ２ ポリブテン〔商品名、15H、粘度2300cps.（20℃）
出光石油化学製〕 11部 牛脂硬化油〔mp.58℃、日本油脂製〕 ４部 ペトロラタム〔前出〕 16部 橙色顔料〔商品名、オレンジ2B、大日本インキ
化学工業製〕 ４部 キシレン 65部 実施例１に準じて橙色の粘度84cps.（20℃）の
エアゾール用油性着色材組成物を得た。

実施例 ３ ポリブテン〔商品名、5H、粘度270cps.（20℃）
出光石油化学製〕 ６部 マイクロクリスタリンワツクス〔前出〕 ８部 酸化ペトロラタム〔商品名、OX−0450、軟化点
38℃、日本精蝋製〕 ５部 青色顔料 ８部 〔商品名、ミロリブルー908、大日精化工業製〕 脂肪族炭化水素系溶剤〔商品名、Ａソルベント、
日本石油製〕 73部 実施例１に準じて青色の粘度23cps.（20℃）の
エアゾール用油性着色材組成物を得た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリブテン６〜15重量部、固形ワツクス２〜
   15重量部、半固形ワツクス４〜20重量部、有機溶
   剤50〜85重量部および色素を配合し、かつ該組成
   物の粘度が10〜400cps（at20℃）であることを特
   徴とする加工面の精度確認に用いるエアゾール用
   油性着色組成物。