JPH057950U - シリンダライナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この考案の目的は内燃機関の或程度の出力の
違いや冷却水温度の変化等の運転条件が変化してもシリ
ンダライナの摺動面温度を適正範囲に設定できるシリン
ダライナを提供することである。 【構成】 シリンダライナ部材内にシリンダライナ冷却
用冷却水通路（以下クーリングボアと称す）を有する内
燃機関において、前記シリンダライナのクーリングボア
内に冷却温度調整用のテフロン（登録商標）チューブ
（以下インシュレーションチューブと称す）と前記イン
シュレーションチューブの両側にそれぞれ前記クーリン
グボアに固定された２本のピンと、前記冷却水入口側ピ
ンと前記インシュレーションチューブとの間に設けられ
た押しばねと、前記インシュレーションチューブの冷却
水出口側において、前記ピンと前記インシュレーション
チューブとの間に設けられた或程度以上で伸びる形状記
憶合金ばねとより成り機関負荷や冷却水温度等運転条件
が変化してもシリンダライナ摺動面温度を最適値に設定
できることを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は内燃機関のシリンダライナに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３〜５によって従来の技術を説明する。 図３は従来例のシリンダ上部の断面図、図４は図３におけるＡ−Ａ断面図、図 ５は従来例のシリンダライナ上部の正面図である。 図において１はシリンダライナ、２は水通路接手で円筒形で内側に円周溝を２ 本有し、前記シリンダライナ１の上部外側に水密に縞り嵌めされ、下側の溝はシ リンダの水ジャケットに、上側の溝はシリンダヘッドの水ジャケットにそれぞれ 通じている。３はインシュレーションチューブ（断熱管）で前記クーリングボア ３内に挿入され固定されている。５はピンで２本あり前記インシュレーションチ ューブ４の両側にあって前記クーリングボアに固定され前記インシュレーション チューブ４を止めている。６は冷却水でシリンダの水ジャケットに通じている。 冷却水６はシリンダの水ジャケットから水通路接手２に入り、次にクーリングボ ア３に入りピン５の周囲、インシュレーションチューブ４の中を通り、ピン５の 周囲を流れてクーリングボア３に出て流れ、水通路接手２を経てシリンダヘッド へ流れる。インシュレーションチューブ４はクーリングボア３の一部を覆ってそ の部分の熱伝達率を小さくしている。機関がある運転状態のときシリンダライナ 摺動面の温度を適温にできる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが従来技術によるシリンダライナは機関の特定の運転状態にしか適せず 、異った出力又は冷却水温度の変化に対しては適さない不具合があった。

【０００４】 この考案の目的は前記不具合を解消し、内燃機関の或程度の出力の違いや冷却 水温度の変化等の運転条件が変化してもシリンダライナの摺動面温度を適正範囲 内に設定できるシリンダライナを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案はシリンダライナは部材内にシリンダライナ冷却用冷却水通路（以下ク ーリングボアと称す）を有する内燃機関において、前記シリンダライナのクーリ ングボア内に冷却温度調節用のテフロンチューブ（以下インシュレーションチュ ーブと称す）とクーリングボアに固定された２本のピンと前記冷却水入口側ピン とインシュレーションチューブとの間に設けられた或温度以上で伸びる形状記憶 合金ばねとを有してない機関の負荷や冷却水の温度等運転条件が変化してもシリ ンダライナ摺動面の表面温度を最適値に設定できることを特徴としている。

【０００６】

【作用】

シリンダライナの摺動面温度は第１ピストンリングが摺動する部分が最も問題 となる。この場合の温度の設定はこの部分のインシュレーションチューブの挿入 深さを変えることにより変更が可能である。前記インシュレーションチューブの 位置が一定であるとシリンダライナ摺動面温度が上昇するとシリンダライナ出口 の冷却水温が上昇する。この考案は前記のとおり構成されているので、シリンダ ライナの摺動面温度の温度変化に伴うシリンダライナ内クーリングボアの出口の 温度に形状記憶合金ばねが反応し、シリンダライナ摺動面の温度設定を行う。例 えばシリンダライナ摺動面温度が上昇し、冷却水出口温度が或温度以上に上昇す ると形状記憶合金ばねが伸び、インシュレーションチューブを冷却水入口側へ押 し下げ挿入深さを浅くして冷却効果を高めシリンダライナの摺動面の温度を下げ る。又逆によりシリンダライナ摺動面温度が下ったときは冷却水出口温度が下る ため形状記憶合金ばねは収縮し、冷却水入口側のばねによりインシュレーション チューブが押しこまれ、冷却効果が下りシリンダライナ摺動面温度が上昇する。 形状記憶合金の反応温度を最適化することによりシリンダライナ摺動面温度を最 適化することが可能である。

【０００７】

【実施例】 図１、図２により実施例を説明する。 図１は実施例のシリンダライナの上部の正面図でクーリングボアのビストンリ ングの摺動の上限近くのもの１個だけ画いた図、図１（ａ）はシリンダライナ摺 動面温度が上昇したときの図、図１（ｂ）はシリンダライナ摺動面温度が低くな ったときの図である。図２はシリンダ上部の断面図上にクーリングボア上の各点 のシリンダライナ摺動面からの距離をシリンダライナの軸方向にそって画き入れ た図、図２（ａ）はシリンダライナ摺動面温度が上昇したときの図、図２（ｂ） はシリンダライナ摺動面温度が低くなったときの図である。

【０００８】 図において１はシリンダライナ、２は水通路接手で円筒形で内側に円周溝を２ 本有し前記シリンダライナ１の外側に水密に絞り嵌めになっている。３はクーリ ングボアでシリンダライナのピストンリングの摺動範囲の上限近くにシリンダラ イナの軸に垂直な平面に傾いてあけられている。４はインシュレーションチュー ブでテフロン管で前記クーリングボア３内に下側へ下げると前記クーリングボア ３のシリンダライナ上部摺動面に近い部分を覆う長さが短くなる位置に挿入され ている。

【０００９】 ５はピンで２個あり前記インシュレーションチューブ４の両側にインシュレー ションチューブ４から離れて前記クーリングボア３に固定されている。６は冷却 水でシリンダの水ジャケットに通している。７は押しばねで前記インシュレーシ ョンチューブ４の下の端と前記ピン５との間に初荷重をもって取りつけられてい る。８は形状合金ばねで或温度以上で伸びる特性の形状記憶合金製で前記インシ ュレーションチューブ４の上側の端と前記ピン５との間に設けられている。

【００１０】 次に実施例の作用を説明する。 冷却水６はシリンダの水ジャケットから水通路接手２を経てクーリングボア３ の下の端に入りピン５、押しばね７の周囲を流れインシュレーションチューブ４ の内を流れてクーリングボア３内に出て形状記憶合金ばね８、ピン５の周りを流 れ、前記クーリングボア４内を流れている間にシリンダライナ１を冷し前記クー リングボア４の上の端から前記水通路接手２を経てシリンダヘッドの水ジャケッ トへ流れる。

【００１１】 シリンダライナ１のクーリングボア３が設けられている近くの摺動面温度が上 昇し、シリンダライナ冷却水のクーリングボア出口の温度がある温度になると、 形状記憶合金ばね８がその反応温度になって伸びインシュレーションチューブ４ を押しばね７の力に抗して押し下げるので、インシュレーションチューブ４はク ーリングボア４のシリンダライナ摺動面に近いところから遠いところへ移動させ られるので、クーリングボアの冷却能力が増してシリンダライナ１の摺動面温度 を下げる。逆にシリンダライナ摺動面の温度が低くなった場合、図１（ｂ）図２ （ｂ）に示すとおり形状記憶合金ばねの収縮によりインシュレーションチューブ ４は押しばね７に押されて冷却水下流側へ押し上げられシリンダライナ摺動面温 度を上昇させる。

【００１２】

【従来の効果】

この考案は前記のとおり構成したので形状記憶合金ばねの反応温度を適正化す ることによりシリンダライナ摺動面の温度をほぼ適正な値に自動的に設定できる 。 よってこの考案は内燃機関の或程度の運転条件の違いや冷却水温度の変化等の 運転条件が変化してもシリンダライナの摺動面温度をある温度範囲内に設定でき るシリンダライナを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例の正面図。

【図２】この考案の実施例のシリンダ上部の断面図１上
にクーリングボア上の各点のシリンダライナ摺動面から
の距離をシリンダライナ軸方向にそってかき入れた図。

【図３】従来例のシリンダライナ上部の断面図上にクー
リングボア上の各点のシリンダライナ摺動面からの距離
をシリンダライナ軸方向にそってかき入れた図。

【図４】図３におけるＡ−Ａ断面図。

【図５】従来例のシリンダライナ上部のクーリングボア
１個だけをかいた正面図。

【符号の説明】

１ シリンダライナ、 ３ クーリングボア、 ４ インシュレーションチューブ、 ５ ピン、 ７ 押しばね、 ８ 形状記憶合金ばね。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成４年４月２２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 シリンダライナ部材内にシリンダライナ
   （１）冷却水通路を有する内燃機関において、前記シリ
   ンダライナ（１）の内に冷却温度調整用のインシュレー
   ションチューブ（４）と、該インシュレーションチュー
   ブ（４）の両側にそれぞれ前記クーリングボア（３）に
   固定された２本のピン（５）と、前記冷却水入口側のピ
   ン（５）と前記インシュレーションチューブ（４）との
   間に設けられた押しばね（７）と、前記インシュレーシ
   ョンチューブ（４）の冷却水出口側において前記ピン
   （５）と前記インシュレーションチューブ（４）との間
   に設けられた或温度以上で伸びる形状記憶合金ばねとよ
   り成り、機関負荷や冷却水温度等運転条件が変化しても
   シリンダライナ摺動面の表面温度を最適値に設定できる
   ことを特徴とするシリンダライナ。