JPH057931U - 強制空冷多気筒頭上弁エンジンの一部液冷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 強制空冷多気筒頭上弁エンジンにおける各シ
リンダと各プッシュロッドとの間の各肉壁部の過熱によ
るシリンダの熱歪を防ぐ。しかも、そのための冷却液の
連通路を簡単に構成できるようにする。 【構成】 各シリンダ3a、3bと各プッシュロッド室16
a、16bとの間の各シリンダ・プッシュロッド室間肉壁部
17内に各シリンダ・プッシュロッド間ジャケット18a、1
8bを形成し、前記シリンダ同士間ジャケット15を連通路
20a、20bを介してシリンダ・プッシュロッド間ジャケッ
ト18a、18bに連通させ、その連通路20a、20bをシリンダ
ブロック３の上面とシリンダヘッド４の下面との少なく
とも一方に溝状に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、強制空冷多気筒頭上弁エンジンのシリンダ部及びシリンダヘッドを 圧送される冷却液で冷却するよう構成した一部液冷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

上記した一部液冷装置としては、特開平２−１１５５１６号公報で開示されて いるように、ポンプで圧送した冷却液を、圧送路からシリンダ同士間ジャケット と各吸排気弁間冷却路とに通過させてから、副燃焼室ジャケット及び放熱器に順 に通過させ、圧送路に戻して循環させるように構成したものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来構成においては、各シリンダと各プッシュロッド室との間に存在する シリンダ・プッシュロッド室間肉壁部での冷却が不充分になりやすく、シリンダ 部が周方向での温度差に起因して熱歪を生じることがあった。 本考案は、一部液冷装置における冷却液の供給構造に改良を加えることで、シ リンダブロックでの熱歪の発生を抑制できるようにすることを目的とするもので ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、多気筒頭上弁エンジン１の冷却ファン６ で起こした冷却風をシリンダブロック３、シリンダヘッド４及び一部液冷用の放 熱器８に供給するように構成し、その多気筒エンジン１の一部液冷用の冷却液を、 ポンプ10により少なくとも圧送路19からシリンダ同士間ジャケット15及び前記放 熱器８に順に通過させて、圧送路19に戻して循環させるように構成し た強制空冷多気筒頭上弁エンジンの一部液冷装置において、 各シリンダ3a、3bと各プッシュロッド室16a、16bとの間の各シリンダ・プッシ ュロッド室間肉壁部17内に各シリンダ・プッシュロッド間ジャケット18a、18bを 形成し、 前記シリンダ同士間ジャケット15を連通路20a、20bを介してシリンダ・プッシ ュロッド間ジャケット18a、18bに連通させ、その連通路20a、20bをシリンダブロ ック３の上面とシリンダヘッド４の下面との少なくとも一方に溝状に形成した。

【０００５】

【作用】

本考案構成によると、シリンダ同士間ジャケットのみならず、各シリンダ・プ ッシュロッド間ジャケットにも冷却液が供給されるので、各シリンダのプッシュ ロッド側の肉壁部分での冷却も十分行われる。

【０００６】

【実施例】

図１に、本考案の強制空冷多気筒頭上弁エンジンの一例である二気筒ディーゼ ルエンジンの一部を切欠いた側面が、図２にエンジン上部の縦断後面が、又、図 ３にシリンダヘッドの一部を切欠いた平面が夫々示されている。 このエンジン１は、強制空冷によるクランクケース２の冷却と、部分液冷(油 冷)によるシリンダブロック３及びシリンダヘッド４の冷却とを組合わせた冷却 システムを備えている。

【０００７】 つまり、クランクケース２に貫通支承したクランク軸５の前端に取付けたフラ イホイール兼用の冷却ファン６で冷却風を生起し、この冷却風をスパイラルケー ス７で案内してクランクケース２上部のシリンダブロック３及びその上面に連結 したシリンダヘッド４の外周に導いてこれらを冷却するとともに、スパイラルケ ース７の上部から導出した冷却風の一部で圧送式の一部冷却装置の放熱器８を冷 却する構造となっている。

【０００８】 シリンダブロック３及びシリンダヘッド４に対する一部液冷装置の構成が図２ 及び図３に示されている。 つまり、クランクケース２の底部に形成されたオイルパン９に冷却液を兼ねた 潤滑オイルが貯溜され、クランク軸５にギヤ連動連結されて駆動されるトロコイ ド型のポンプ10によって前記オイルがストレーナ11を介して吸引され、ポンプ10 で圧送されたオイルの一部はレギュレーティングバルブ12で調圧された所定の圧 力でもって潤滑油路13に供給されてエンジン１における潤滑必要箇所に送り込ま れたのち、オイルパン９に戻され、かつ、レギュレーティングバルブ12を通った オイルがシリンダブロック３及びシリンダヘッド４の一部液冷装置の冷却液とし て利用される。

【０００９】 つまり、シリンダブロック３に前後に並べて設けられたシリンダ3a、3bの間の シリンダ間肉壁部14にシリンダ同士間ジャケット15が立て向きに形成されるとと もに、各シリンダ3a、3bとその横側の各プッシュロッド室16a、16bとの間に存在 するシリンダ・プッシュロッド室間肉壁部17に夫々シリンダ・プッシュロッド間 ジャケット18a、18bが同じく立て向きに形成され、かつ、シリンダ同士間ジャケ ット15に前記レギュレーティングバルブ12を通ったオイルの圧送路19が接続され ている。

【００１０】 又、シリンダ同士間ジャケット15の一端と各シリンダ・プッシュロッド間ジャ ケット18a、18bとを連通する連通路20a、20bが設けられている。この連通路20a 、20bは、シリンダブロック３の上面に鋳造あるいは機械加工によって凹設した 溝をシリンダヘッド４の下面で覆って形成したものであるが、シリンダヘッド４ の下面にのみ、あるいはシリンダブロック３の上面とシリンダヘッド４の下面に 夫々溝を設けて前記連通路20a、20bを形成することもできる。

【００１１】 又、各シリンダ3a、3bに対する各吸・排気弁21、22の間の肉壁部には横向きに 走る弁間冷却路23a、23bが夫々形成され、各弁間冷却路23a、 23bの始端と各シリ ンダ・プッシュロッド間ジャケット18a、18bの上端とが夫々連通路24a、24bで連 通されるとともに、各弁間冷却路23a、23bの終端が各シリンダ3a、3bに対応する 副燃焼室25a、25bを取り囲む副燃焼室ジャケット26a、26bに夫々連通接続されて いる。

【００１２】 そして、各副燃焼室ジャケット26a、26bに接続された１本の排出路27が前記放 熱器８の入口8aに配管接続されるとともに、放熱器８の出口8bとシリンダヘッド ４に設けた戻り孔28とが配管接続され、更にこの戻り孔28がシリンダブロック３ 内の戻り通路29を介してクランクケース２内のオイルパン９に連通されている。

【００１３】 つまり、レギュレーティングバルブ12を通ってシリンダブロック３に送り込ま れたオイルは先ず、シリンダ同士間ジャケット15に流入してシリンダ同士間肉壁 部を冷却したのち連通路20a、20bを介して前後のシリンダ・プッシュロッド間ジ ャケット18a、18bに分岐し、各シリンダ3a、3bのプッシュロッド側を冷却する。 その後、各シリンダ・プッシュロッド間ジャケット18a、18bのオイルは連通路24 a、24b、 弁間冷却路23a、23bを経て副燃焼室ジャケット26a、26bに至り、この 間に弁間肉壁部と副燃焼室25a、25bとを冷却する。

【００１４】 その後、前後の副燃焼室ジャケット26a、26bから出た高温のオイルは排出路27 を経て放熱器８に入って強制冷却され、温度の下がったオイルは戻り孔28及び戻 り通路29を経てオイルパン９に回収される。 尚、戻り孔28と前側の弁間冷却路23aの始端部との間にはリリーフ弁30が介在 されており、弁間冷却路23a側のオイル圧が設定圧以上になるとオイルを戻り孔2 8側に放出して放熱器８に高熱が働くのを防止している。

【００１５】

【考案の効果】

本考案によれば、次のような効果が得られる。 (1) シリンダ・プッシュロッド間ジャケットを設けたことによって、シリンダの プッシュロッド側の肉壁部での過熱を抑制して、 シリンダブロックの熱歪の発生 を抑制できる。

【００１６】 (2) シリンダ同士間ジャケットとシリンダ・プッシュロッド間ジャケットとをつ なぐ連通路はシリンダブロックの上面、あるいはシリンダヘッドの下面、もしく は両者の接合面に鋳造や機械加工によって溝状に形成できるので、加工が容易で コスト低減に有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る一部液冷装置を備えた多気筒頭上
弁エンジンの一部を切欠いた側面図。

【図２】前側シリンダ周りの液冷装置の構成を示すエン
ジン上部の縦断後面図。

【図３】液冷装置の構成を示すシリンダヘッドの一部を
切欠いた平面図。

【図４】液冷装置の冷却液流路構成を示す概略斜視図。

【符号の説明】

１…多気筒頭上弁エンジン、 ３…シリンダブロック、
3a・3b…シリンダ、４…シリンダヘッド、
６…冷却ファン、 ８…放熱器、10…ポンプ、
15…シリンダ同士間ジャケット、16a・
16b…プッシュロッド室、 17…シリンダ・プッシュロッ
ド室間肉壁部、18a・18b…シリンダ・プッシュロッド間
ジャケット、 19…圧送路、20a・20b…連通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 多気筒頭上弁エンジン(１)の冷却ファン
   (６)で起こした冷却風をシリンダブロック(３)、シリン
   ダヘッド(４)及び一部液冷用の放熱器(８)に供給するよ
   うに構成し、その多気筒エンジン(１)の一部液冷用の冷
   却液を、ポンプ(10)により少なくとも圧送路(19)からシ
   リンダ同士間ジャケット(15)及び前記放熱器(８)に順に
   通過させて、圧送路(19)に戻して循環させるように構成
   した強制空冷多気筒頭上弁エンジンの一部液冷装置にお
   いて、 各シリンダ(3a)(3b)と各プッシュロッド室(16a)(16b)と
   の間の各シリンダ・プッシュロッド室間肉壁部(17)内に
   各シリンダ・プッシュロッド間ジャケット(18a)(18b)を
   形成し、 前記シリンダ同士間ジャケット(15)を連通路(20a)(20b)
   を介してシリンダ・プッシュロッド間ジャケット(18a)
   (18b)に連通させ、その連通路(20a)(20b)をシリンダブ
   ロック(３)の上面とシリンダヘッド(４)の下面との少な
   くとも一方に溝状に形成して構成したことを特徴とする
   強制空冷多気筒頭上弁エンジンの一部液冷装置。