JPH0579094B2 - - Google Patents

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JPH0579094B2
JPH0579094B2 JP8633327A JP3332786A JPH0579094B2 JP H0579094 B2 JPH0579094 B2 JP H0579094B2 JP 8633327 A JP8633327 A JP 8633327A JP 3332786 A JP3332786 A JP 3332786A JP H0579094 B2 JPH0579094 B2 JP H0579094B2
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heating
resin
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、耐熱性芳香族樹脂の製造方法、該樹
脂を与える熱硬化性物質の製造方法に関するもの
である。
〔従来技術〕
従来、芳香族炭化水素化合物を原料とし、これ
にホリマリンを加え、酸触媒の存在下、加熱反応
させることによつて、芳香族炭化水素樹脂を製造
することは知られており、その代表的な樹脂とし
て、キシレンホルマリン樹脂が知られている。し
かし、このような樹脂は熱硬化性を示さず、これ
を加熱しても耐熱性の硬化樹脂を与えない。ま
た、特公昭37−17499号公報によれば、ポリ芳香
族炭化水素グリコールを原料として用い、これを
酸性触媒下でアセナフテン又はアセナフテンのホ
ルムアルデヒド樹脂と反応させて硬化樹脂を得る
方法が示されいる。しかしながら、この方法の場
合、原料として用いるポリ芳香族炭化水素グリコ
ールの製造に難点があり、工業的には有利な方法
とは言うことができない。
〔目的〕
本発明は、耐熱性にすぐれた芳香族炭化水素樹
脂を工業的に安価に製造し得る方法を提供すると
共に、耐熱性にすぐれた芳香族炭化水素樹脂を容
易に与える熱硬化性物質の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
〔構成〕
本発明者らは、耐熱性にすぐれた芳香族樹脂を
工業的に安価に製造し得る方法を開発すべく鋭意
研究を重ねた結果、意外にも、原料としてナフタ
レン及び/又はアルキルナフタレンを主成分とす
る原料物質に対し、ヒドロキシメチル基又はハロ
メチル基を少なくとも2個有する芳香族化合物を
特定の混合割合で混合し、この混合物を加熱反応
させる時には、耐熱性に著しくすぐれた不融性硬
化樹脂が得られることを見出し、本発明を完成す
るに到つた。
本発明によれば、第1の発明として、ナフタレ
ン及び/又はアルキルナフタレンを主成分とする
原料物質と、少なくとも2個のヒドロキシメチル
基又はハロメチル基を有する芳香族化合物を主成
分とする架橋剤とを、関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×
1/n (式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の
重量、aは原料物質の分子量又は平均分子量、b
は架橋剤の分子量又は平均分子量を示し、nは架
橋剤としての芳香族化合物1モルに結合するヒド
ロキシメチル基又はハロメチル基の数であり、2
以上の整数である) を満たす割合で混合し、この混合物を、酸触媒の
存在下、70〜300℃に加熱し、該混合物の中間縮
合反応物からなる熱硬化性物質を生成させること
を特徴とする熱硬化性芳香族樹脂の製造方法が提
供され、第2の発明として、ナフタレン及び/又
はアルキルナフタレンを主成分とする原料物質
と、少なくとも2個のヒドロキシメチル基又はハ
ロメチル基を有する芳香族化合物を主成分とする
架橋剤とを、関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×
1/n (式中、W1,W2,a,b及びnは前記と同じ
意味を有する) を満たす割合で混合し、この混合物を酸触媒の存
在下、70〜350℃に加熱し、該不融性の硬化物を
生成させることを特徴とする耐熱性芳香族樹脂の
製造方法が提供される。
本発明における原料物質、架橋剤及び酸触媒か
らなる熱硬化性組成物は、加熱により、耐熱性に
すぐれた不融性の縮合多環多核芳香族樹脂(以
下、COPNA樹脂という)を与える。この
COPNA樹脂は、ナフタレン環が1環以上の芳香
環を介してメチレン結合により結合した基本構造
を有する熱不融性の芳香族炭化水素高分子物質で
ある。
前記の熱硬化性組成物を加熱硬化させる場合、
ヒドロキシメチル基又はハロメチル基を有する芳
香族化合物は架橋剤として作用し、ナフタレン環
を縮合(架橋化)させ、高分子化させるが、この
架橋化に際しては、架橋剤としてヒドロキシメチ
ル基を有するものを用いる時には水が副生し、ハ
ロメチル基を有するものを用いる時にはハロゲン
化水素が副生する。そして、この反応は、酸触媒
により促進されることから、その硬化反応機構
は、カチオン反応機構に基づくものと考えられ
る。
前記の熱硬化性組成物から得られる硬化物(固
化生成物)は、ナフタレン環がランダムに架橋基
によつて架橋された構造を有するもので、温度
120℃で加熱時間20時間程度で不融性になつたこ
の硬化物の収率は、多くの場合、脱水反応により
生成されたものとして計算される理論収率よりも
2〜3%大きいのが普通である。これは、反応に
より生じた水分が硬化初期にはまだ完全には系外
に除かれていないためと、架橋反応が完全には完
了していないためと考えられる。この硬化物は
200℃以上の温度に加熱することによつて完全な
硬化物となる。この後硬化処理の終つた硬化物は
堅く、かつ極めてすぐれた耐熱性をもつ。例え
ば、200℃で1時間後硬化処理して得られる生成
物は、10℃/分の昇温速度による熱重量分析の結
果によれば、空気中においてすら480℃まで顕著
な減量はない。この後硬化物は、通常のデジタル
式テスターでは抵抗値が測定できない程度の電気
絶縁体である。
前記の熱硬化性組成物の硬化反応から得られる
COPNA樹脂の構造についての概略は前記の通り
であるが、次に、前記組成物の成分組成及びその
予備縮合反応とその硬化反応における各種因子の
影響について説明する。
(1) 原料物質 本発明で用いる原料物質は、ナフタレン及び/
又はアルキルナフタレンあるいはこれを主成分と
して含む混合物が用いられる。ナフタレン及び/
又はアルキルナフタレンを主成分とする混合物か
らなる原料物質としては、石炭系又は石油系の炭
化水素油から分留されたナフタレン留分を挙げる
ことができる。
本発明において、前記の原料物質と架橋剤との
反応は、勿論適当な溶媒を用いた溶液反応として
行うことができる。特に初期の段階だけを溶液反
応で取り扱うことには意味がある。しかし生成物
の分子量が増加するにつれて溶解度が低下するの
で、通常は、通常は、溶媒を使用しない溶融状態
で行う方が簡単である。架橋剤としてのヒドロキ
シメチル基とハロメチル基の反応性を比較すれ
ば、後者の方が!?かに大きく、低温から進行す
る。したがつて、低温の溶液状態での反応では後
者が適する。架橋剤としてヒドロキシメチル芳香
族化合物を用いた場合、反応開始温度はおおよそ
70℃ないし120℃からはじまる。
本発明においては、コールタールの分留により
得られるナフタレン油は好ましい原料物質であ
る。
(2) 架橋剤 架橋剤としては、ヒドロキシメチル基
(HOCH2−又はハロメチル基(XCH2−,X:ハ
ロゲン)を少なくとも2個、通常2〜3個有する
芳香族化合物が用いられ、この場合、芳香族化合
物としては、縮合環芳香族化合物及び非縮合芳香
族化合物を問わず使用可能であるが、一般には、
そのベンゼン核数が、1〜5、好ましくは、1〜
4のものが使用される。このような芳香族化合物
から誘導された架橋剤の具体例としては、例え
ば、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラ
セン、ピレン、又はそれらのアルキル誘導体等の
ポリ(ヒドロキシメチル)化合物や、ポリ(ハロ
メチル)化合物が挙げられる。また、前記芳香族
化合物を含むコールタール留分や石油留分のポリ
(ヒドロキシメチル)化物や、ポリ(ハロメチル)
化物も使用可能である。本発明で用いる架橋剤の
うち、ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ジ(ヒ
ドロキシメチル)キシレン及びトリ(ヒドロキシ
メチル)ベンゼンは特に好ましいものである。
ポリ(ヒドロキシメチル)芳香族化合物とポリ
(ハロメチル)芳香族化合物とを比較した場合、
後者の方がはるかに大きな反応性を示し、一般に
は、低温の溶液反応では後者が適し、高温の無溶
媒反応では前者が適する。本発明のCOPNA樹脂
を得る場合、架橋剤として用いるポリ(ヒドロキ
シメチル)芳香族化合物及びポリ(ハロメチル)
芳香族化合物においては、その芳香核は、ベンゼ
ン核よりも、縮合多環芳香核の方が反応性の点で
は好ましく、従つて、ジ(ヒドロキシメチル)ナ
フタレン、ジ(ハロメチル)ナフタレン等の縮合
多環芳香族化合物のポリ(ヒドロキシメチル)化
合物やポリ(ハロメチル)化合物は好ましい架橋
剤となる。
(3) 架橋剤/原料物質モル比 2置換の架橋剤を用いた時に、架橋剤/原料物
質モル比を0.5にすれば2量体が生成し、融点の
低い生成物となり、0.5を越えて1.75に近付くほ
ど硬化速度は速くなり、且つ硬化生成物の強度は
大きくなるが、しかし、2.0を越えると、反応は
逆に抑制傾向を示し、やや不均質な生成物を与え
るようになる。
ナフタレン油のような複雑な混合物を原料とす
る場合には、その平均分子量が架橋剤の混合量を
きめる基準として有用である。多くの経験をまと
めると、平均分子量を使用すれば、前述した架橋
剤/原料物質モル比の影響は、そのままナフタレ
ン油のような混合物についても当てはまる。この
関係をモル比でなくて、混合重量で表現すれば、
平均分子量の増大につれて、混合すべき架橋剤重
量は逆比例の関係で減少することになる。この関
係は、架橋剤として2置換体を用いた場合を例に
とれば、均質で強固な硬化生成物を得るには、原
料物質と、架橋剤との重量割合は、次の関係式を
満たすことが要件になる。
(W2/W1)×(a/b)=0.55〜3.0 (好ましくは0.75〜2.0) 前記式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤
の重量、aは原料物質の分子量又は平均分子量、
bは架橋剤の分子量又は平均分子量である。
一般的に言うと、n個の反応基(ヒドロキシメ
チル基又はハロメチル基)を持つ架橋剤を用いる
場合、均質で強固な硬化生成物を得るためには、
原料混合比は、次の関係式を満足させることが要
件になる。
1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×
1/n (式中、nは架橋剤としての芳香族化合物1モ
ルに結合する反応基の数で2以上の整数である) 本発明においては、硬化反応を進行させ、目的
の硬化固形物を得るには、前記のように、架橋剤
の使用割合量には、その架橋剤の持つ反応基の数
に対応した最小値であり、本発明では、次の関係
式 (W2/W1)×(a/b)=1.1×1/n を満たす場合の架橋剤使用割合量を、架橋剤の最
小架橋化割合値と定義する。この値より小さな架
橋剤割合では、初期硬化反応が遂行されるだけで
あり、目的の硬化固形物を得るには、この値以上
の架橋剤割合が必要とされる。
(4) 硬化反応温度の選択 ポリ(ハロメチル)芳香族化合物を架橋剤と
し、塩化アルミニウムのようなルイス酸を触媒と
する方が反応温度としては有利である。一般に
は、50℃以上、好ましくは70℃以上である。しか
し、ポリ(ハロメチル)芳香族化合物には有毒性
の大きなものがあり、反応の結果ハロゲン化水素
が発生するなど、装置設計及び操業上不利な点も
あらわれる。
ポリ(ヒドロキシメチル)芳香族化合物を架橋
剤とし、プロトン酸を触媒として無溶媒で行う時
には、反応は約70℃付近から開始され、120℃付
近では顕著になる。この場合、反応の進行は、水
蒸気の発生と反応物の粘度の増加が伴う。緻密な
気孔のない生成物を得るためには反応速度が小さ
い方が好ましく、温度を上げて反応を促進させれ
ば、生成する固体は多孔質な状態を示すようにな
る。反応性は原料物質及び架橋剤の種類によつて
差があらわれるし、架橋剤/原料物質モル比によ
つても影響されるから、適当な反応温度もまた原
料の種類と組成によつて違つてくる。不融性の硬
化物を得るための加熱温度は、一般的には70℃か
ら300℃、好ましくは110℃〜250℃が適当な温度
である。緻密な気孔のない生成物を得るには、特
に、100〜150℃の加熱温度を用いて硬化し、その
後さらに200℃以上で後硬化処理を行う方がよい。
反応処理温度に関して、さらに考慮しておくべ
きことは、その反応処理の目的によつて選定され
るべき温度が違うことである。本発明における熱
硬化性組成物の利用にあたつては、組成物から直
接最終の耐熱性樹脂成形物を得る場合と、まだ溶
融性が残つている段階の中間縮合反応物(Bステ
ージ樹脂)をつくり、これを成形後再び熱処理
(硬化処理)をして不融性の耐熱性硬化物を得る
場合とがある。Bステージ樹脂の調製は、原則的
には、不融性硬化物に達する以前の反応時間で反
応を停止するか、架橋剤と原料物質とのモル比を
前記最小架橋化割合未満にすることによつて目的
を達する。この場合には生成物はまだ溶融状態に
あるから直接硬化物をつくる場合とは違つて、仮
に反応温度が高く、気泡の発生が盛んであつて
も、そのことが特に支障をきたすことはない。従
つて、中間縮合反応物を硬化させる場合は、直接
硬化物をつくる場合にくらべて取りうる温度範囲
は高温側に広くなる。
(5) 触媒の選択 反応触媒としては、ルイス酸、プロトン酸のい
ずれも利用できる。従つて、その選択は原料組成
と反応手法の選択に応じてなされるべきである。
ポリ(ハロメチル)芳香族化合物を架橋剤とする
溶液法による場合は、塩化アルミニウムのような
ルイス酸が適当であろうし、ポリ(ヒドロキシメ
チル)芳香族化合物を架橋剤とする時には、プロ
トン酸がより好ましいことは明らかである。無溶
媒で後者の触媒を利用する場合の触媒量は、原料
物質の反応性と反応温度によつて影響を受ける。
一般的には、原料物質に対し、0.2重量%以上が
必要で、好ましくは1〜10重量%である。添加量
の上限は純ナフタレン系化合物の場合には7重量
%程度で、これ以上の添加は、反応速度が速くな
りすぎて取り扱い難くなる。ルイス酸及びプロト
ン酸としては、従来公知のもの、例えば、塩化ア
ルミニウム、フツ化硼素、硫酸、有機スルホン酸
等の種々のものが挙げられる。
(6) 中間縮合反応物(Bステージ樹脂)の調製と
性質 熱硬化性組成物を各種複合材料の結合剤として
利用するにしても、単独で硬化させて成形物とし
て利用するにしても、原料組成物を直接使用する
よりは、ある程度反応が進行し、まだ不融性硬化
物にはいたらない中間段階の中間縮合反応物を結
合剤又は成形素材として使用する方が便利であ
る。一般には、不融性硬化物に至る以前の、溶融
性、溶解性のある段階の樹脂前駆体(中間縮合反
応物)をBステージ樹脂と呼んでいる。
COPNA樹脂のBステージ樹脂をつくるには、
大きく区分すれば、次のような方法がある。1つ
は最終硬化に必要な架橋剤量及び触媒を含む原料
組成物を加熱し、不融性硬化物が生成するよりも
短い反応時間で加熱を止め、反応を停止する方法
である。そのために適当な反応時間は、原料組成
物の組成や反応温度によつて異なる。このように
してつくられるBステージ樹脂は、成形後単に加
熱するだけで不融性硬化物を得ることができる。
つぎの方法は、架橋剤/原料物質モル比が前記最
小架橋化割合値前後の混合原料を加熱して充分反
応を進め、その後最終硬化のために必要とする架
橋剤を追加する方法である。この方法の利点は、
最初の段階の反応温度と反応時間の設定に広い選
択範囲がある点である。最後の方法は、触媒量を
少く、反応温度を高くして、Bステージ樹脂をつ
くる方法である。このBステージ樹脂を成形し、
硬化させる場合には、成形に先立つて、改めて触
媒を追加混合した方が成形物の硬化を容易にす
る。いずれの方法をとるにしても、最終硬化物に
到達する時の原料組成はこれまでに述べてきた組
成範囲に入る。Bステージ樹脂を得るための反応
温度は、一般に、70〜300℃、好ましくは、90〜
250℃である。
COPNA樹脂のBステージ樹脂はメタノール、
n−ヘキサンなどには不溶で、ピリジン、キノリ
ン、テトラヒドロフランなどには可溶で、ベンゼ
ンにはかなり溶け難い。反応初期で取り出したB
ステージ樹脂は、室温でペースト状を示す。やや
反応が進めば、しだいに軟化温度が上昇する。各
種複合材料の結合剤や接着剤として利用するため
には70〜120℃の温度範囲で完全に流動状態とな
る程度のものが利用しやすく、単独の成形物のた
めには、更に反応を進めて、80〜150℃で注型で
きる程度の溶融粘度を示すものの方が便利であ
る。粉末を利用して加熱成形法を適用するような
場合には、更に溶融粘度の高いものの方が扱い易
い。またBステージ樹脂は、前述したように各種
の溶媒に可溶であるから、溶液状態で基材に塗布
乾燥させてフイルム状に成形することも可能であ
る。Bステージ樹脂の成形に際しては、骨材を添
加するのが有利である。
(7) 硬化処理 本発明における前記熱硬化性組成物は、これを
空気中又は不活性ガス中で70〜350℃に加熱する
ことにより、メタノール、ヘキサン等の溶剤には
全く溶解しないが、テトラヒドロフラン、ピリジ
ン、キノリンに溶解する成分をわずかに含み、ベ
ンゼン中で膨潤する不融性硬化物を経由した後、
完全に不融不溶性硬化物に変換される。熱硬化性
組成物から完全に不融不溶性硬化物を好ましく製
造するためには、()熱硬化性組成物を100〜
350℃、好ましくは150〜300℃の同一温度で加熱
する方法、()熱硬化性組成物を100〜200℃、
好ましくは110〜150℃に加熱して硬化させる硬化
工程と、得られた硬化物を150〜350℃、好ましく
は180〜300℃で加熱する後硬化工程との組合せを
用いる方法、及び()熱硬化性組成物を加熱
し、150〜300℃の温度に連続的に昇温させる方法
等が採用される。最終硬化物の製造のしやすさ及
び得られる最終硬化物の品質の面から言うと、前
記した()の方法の採用が有利である。特に、
原料物質としてナフタレン油を用いる場合、ナフ
タレン油を100〜200℃で硬化させて完全不融不溶
性の硬化物に変換しようとすると、ナフタレン油
中には反応性の低い低分子量の芳香族化合物を含
むため、著しく長時間を要する場合が多い。この
ような場合には、ナフタレン油を100〜200℃の温
度で加熱して硬化物とした後、この硬化物をさら
に150〜350℃の温度に短時間加熱する後硬化処理
を施すのが有利である。
〔効果〕
以上において示した本発明における熱硬化性組
成物、即ちナフタレン及び/又はアルキルナフタ
レンを主成分とする原料物質と2置換以上の官能
基をもつ架橋剤と、酸触媒とからなる組成物及び
その中間縮合反応物は、得られる硬化樹脂の構造
を制御しやすい点に特徴がある。
前記の組成物から得られるCOPNA樹脂の最大
の特徴は、きわめて容易にかつ安価に製造し得る
樹脂であるにもかかわらず、きわめてすぐれた耐
熱性を示すことである。10℃/分程度の昇温速度
で熱天秤で重量変化を測定すると、空気中、不活
性雰囲気中を問わず、400℃以下の重量変化は2
%を越えない。また不活性雰囲気中では480℃〜
600℃間で大きな減量がみられるが、550℃での重
量減少は約50%に止る。これらの特性は現在最も
すぐれた耐熱性樹脂とみられるビスマレイミド樹
脂に匹敵するし、本発明のCOPNA樹脂は、原料
及び硬化反応の容易さからみてこれまで無かつた
汎用の耐熱性樹脂と称することができる。
本発明のCOPNA樹脂組成物において、100〜
350℃で硬化して得られた成形物は電気的に絶縁
体である。この特徴は450℃においても保持され、
600℃以上の処理温度で徐々に比抵抗は減少する。
COPNA樹脂の前駆体である中間縮合反応物を
アルミ箔に薄く塗布し、熱硬化させることなく冷
却すれば、箔よりはがすことができ、フイルム状
の成形物が得られ、これを加熱することにより、
フイルム状のCOPNA樹脂を得ることができる。
一方、塗布したまま加熱して硬化させれば、アル
ミ箔と強固に結合した樹脂の塗膜が得られる。従
つて、COPNA樹脂前駆体の中間縮合反応物は、
耐熱性の焼付け塗料に使用することができる。
中間縮合反応物をシリコンゴム製の成形型を用
いてこれに流し込んだり、粉末状として加熱プレ
スすることによつて樹脂単独の成形物を得ること
ができる。予備的な研究によれば、中間縮合反応
物を炭素繊維やガラス繊維の結合剤として使用す
ることができる。従つて、ガラス繊維/COPNA
樹脂複合材又は炭素繊維/COPNA樹脂複合材
は、安価でかつ耐熱性にすぐれた絶縁材料として
大きな応用分野を持つ。勿論骨材はこれら繊維材
料に限らない。本発明の組成物には、粒状、フレ
ーク状、繊維状の各種セラミツクス、炭素質、有
機質を骨材として添加し、硬化させることによつ
て、強度の大きな硬化成形物を得ることができ
る。この場合、炭素質骨材を用いた成形体は、そ
のまますぐれた炭素成形体の前駆体となる。
COPNA樹脂を、骨材使用の有無にかかわらず炭
素前駆体として評価した時に、最も面白いのは、
用いる原料物質及び架橋剤とのモル比を選択する
ことによつて、構造の異なる前駆体をかなり任意
に用意しうることである。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
実施例 1 ナフタレンにP−キシリレングリコール
(PXG)及びP−トルエンスルホン酸(PTS)を
表−1に示した割合に配合し、乳鉢で混合し、試
験管に入れ、窒素ガスを流しながら、加熱した。
表−1 PXG/ナフタレンモル比:1.0 PTS :全混合物量の5wt% 加熱温度120℃では20時間でやや弾性を残す程
度に硬化し、また加熱温度150℃では約1時間の
加熱により灰白色のある完全な硬化樹脂が得られ
た。Bステージ樹脂の調製を目的とすれば、約
120℃程度の温度条件の加熱を採用するのが好ま
しい。また、この加熱過程においてはナフタレン
が約20%昇華することから、実際に反応している
PXG/ナフタレンモル比は約1.25程度になる。
次に、前記において、120℃で3時間加熱して
Bステージ樹脂を作り、これを150℃で1時間加
熱して硬化させた後、さらに5℃/分の昇温速度
で300℃まで温度を高め、この温度で1時間保持
して後硬化処理を行つた。このようにして灰黒色
の硬化体を得た。得られた硬化体の耐熱性を調べ
るために、空気中で10℃/分の昇温速度で加熱す
る熱重量分析を行つたところ、450℃まではその
重量減少はほとんど見られず、500℃で約15%の
重量減少を生じた。また、前記後硬化処理を200
℃で1時間の条件で行つて得た硬化体も同様の熱
重量分析結果を示したが、この場合には、その耐
熱性は、前記300℃で1時間の条件の後硬化処理
を施した得た硬化体よりもやや劣る傾向を示し
た。また、これらの硬化体はいずれも、メタノー
ル、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、
及びキノリン等の溶媒に対して不溶性を示した。
実施例 2 実施例1において、120℃で3時間加熱して得
たBステージ樹脂(中間縮合反応物)の固体微粉
末を炭素繊維ペーパの表面に均一塗布し、その塗
布面の上にさらに炭素繊維のペーパを重ね、80
Kg/cm2のプレス圧力下で、温度110℃、130℃、
160℃と段階的にあげ、合計100分の加熱を行つた
後成形体をプレスからはずした。次いで得られた
成形体を300℃で1時間後硬化処理した。このよ
うにして、耐熱性にすぐれかつ機械的強度にもす
ぐれた炭素繊維COPNA樹脂複合体を得ることが
できた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ナフタレン及び/又はアルキルナフタレンを
    主成分とする原料物質と、少なくとも2個のヒド
    ロキシメチル基又はハロメチル基を有する芳香族
    化合物を主成分とする架橋剤とを、 関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×
    1/n (式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の
    重量、aは原料物質の分子量又は平均分子量、b
    は架橋剤の分子量又は平均分子量を示し、nは架
    橋剤としての芳香族化合物1モルに結合するヒド
    ロキシメチル基又はハロメチル基の数であり、2
    以上の整数である) を満たす割合で混合し、この混合物を、酸触媒の
    存在下、70〜300℃に加熱し、該混合物の中間縮
    合反応物からなる熱硬化性物質を生成させること
    を特徴とする熱硬化性芳香族樹脂の製造方法。 2 架橋剤が、ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン
    である特許請求の範囲第1項の方法。 3 ナフタレン及び/又はアルキルナフタレンを
    主成分とする原料物質と、少なくとも2個のヒド
    ロキシメチル基又はハロメチル基を有する芳香族
    化合物を主成分とする架橋剤とを、関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×
    1/n (式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の
    重量、aは原料物質の分子量又は平均分子量、b
    は架橋剤の分子量又は平均分子量を示し、nは架
    橋剤としての芳香族化合物1モルに結合するヒド
    ロキシメチル基又はハロメチル基の数であり、2
    以上の整数である) を満たす割合で混合し、この混合物を、酸触媒の
    存在下、70〜350℃に加熱し、不融性の硬化物を
    生成させることを特徴とする耐熱性芳香族樹脂の
    製造方法。 4 該混合物を、酸触媒の存在下、70〜300℃に
    加熱し、該混合物の中間縮合反応物からなる熱硬
    化性物質を生成させる工程と、該熱硬化性物質を
    酸触媒の存在下、100〜200℃に加熱し、不融性硬
    化物を生成させる工程と、該硬化物を150〜350℃
    に加熱する後硬化工程からなる特許請求の範囲第
    3項の方法。 5 該不融性硬化物を生成させる工程を、骨材の
    存在下で行う特許請求の範囲第4項の方法。 6 該不融性硬化物が実質的に溶剤不溶性である
    特許請求の範囲第3項〜第5項のいずれかの方
    法。 7 ナフタレン及び/又はアルキルナフタレンを
    主成分とする原料物質と、ジ(ヒドロキシメチ
    ル)又は(ハロメチル)芳香族化合物を主成分と
    する架橋剤とを、関係式 (W2/W1)×(a/b)≦0.5 (式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の
    重量、aは原料物質の分子量又は平均分子量及び
    bは架橋剤の分子量又は平均分子量を表わす) を満たす割合で混合し、この混合物を酸触媒の存
    在下、70〜300℃で加熱反応させた後、得られた
    生成物に、さらに前記架橋剤を、関係式 0.55≦(W2/W1)×(a/b)≦3.0 (式中、W1,W2,a及びbは前記と同じ意味
    を有する) を満たす割合で混合し、この混合物を70〜400℃
    に加熱反応させることを特徴とする耐熱性芳香族
    樹脂の製造方法。
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