JPH072831B2 - 熱硬化性組成物 - Google Patents

熱硬化性組成物

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JPH072831B2
JPH072831B2 JP5027246A JP2724693A JPH072831B2 JP H072831 B2 JPH072831 B2 JP H072831B2 JP 5027246 A JP5027246 A JP 5027246A JP 2724693 A JP2724693 A JP 2724693A JP H072831 B2 JPH072831 B2 JP H072831B2
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杉郎 大谷
洋一郎 永井
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杉郎 大谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性芳香族樹脂の製
造に有用な熱硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、芳香族炭化水素化合物を原料と
し、これにホリマリンを加え、酸触媒の存在下、加熱反
応させることによって、芳香族炭化水素樹脂を製造する
ことは知られており、その代表的な樹脂として、キシレ
ンホルマリン樹脂が知られている。しかし、このような
樹脂は熱硬化性を示さず、これを加熱しても耐熱性の硬
化樹脂を与えない。また、特公昭37−17499号公
報によれば、ポリ芳香族炭化水素グリコールを原料とし
て用い、これを酸性触媒下でアセナフテン又はアセナフ
テンのホルムアルデヒド樹脂と反応させて硬化樹脂を得
る方法が示されている。しかしながら、この方法の場
合、原料として用いるポリ芳香族炭化水素グリコールの
製造に難点があり、工業的に有利な方法とは言うことが
できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明はこの
ような技術的背景に基づいてなされたものであって、耐
熱性にすぐれた芳香族炭化水素樹脂を容易に与える熱硬
化性組成物を提供することを、その目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱性に
すぐれた芳香族樹脂を工業的に安価に製造し得る方法を
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、意外にも、ナフタレ
ン及び/又はアルキルナフタレンを主成分とする原料物
質と、ヒドロキシメチル基又はハロメチル基を少なくと
も2個有する芳香族化合物を主成分とする架橋剤とを、
特定の混合割合で混合してなる組成物から、容易に耐熱
性に著しくすぐれた不融性硬化樹脂が得られることを見
出し、本発明を完成するに到った。
【0005】即ち、本発明によれば、ナフタレン及び/
又はアルキルナフタレンを主成分とする原料物質と、少
なくとも2個のヒドロキシメチル基又はハロメチル基を
有する芳香族化合物を主成分とする架橋剤と、酸触媒と
の混合物又はその中間縮合反応物からなり、該混合物
中、原料物質と架橋剤とは、関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×1/n (式中、W1、W2、a、b及びnは前記と同じ意味を有
する)を満たす割合で存在することを特徴とする熱硬化
性組成物が提供される。
【0006】本発明の熱硬化性組成物は、加熱により、
耐熱性にすぐれた不融性の縮合多環多核芳香族樹脂(以
下、COPNA樹脂という)を与える。このCOPNA
樹脂は、ナフタレン環が1環以上の芳香環を介してメチ
レン結合により結合した基本構造を有する熱不融性の芳
香族炭化水素高分子物質である。
【0007】本発明の熱硬化性組成物を加熱硬化させる
場合、ヒドロキシメチル基又はハロメチル基を有する芳
香族化合物は架橋剤として作用し、ナフタレン環を縮合
(架橋化)させ、高分子化させるが、この架橋化に際し
ては、架橋剤としてヒドロキシメチル基を有するものを
用いる時には水が副生し、ハロメチル基を有するものを
用いる時にはハロゲン化水素が副生する。そして、この
反応は、酸触媒により促進されることから、その硬化反
応機構は、カチオン反応機構に基づくものと考えられ
る。
【0008】本発明の熱硬化性組成物から得られる硬化
物(固化生成物)は、ナフタレン環がランダムに架橋基
によって架橋された構造を有するもので、温度120℃
で加熱時間20時間程度で不融性になったこの硬化物の
収率は、多くの場合、脱水反応により生成されたものと
して計算される理論収率よりも2〜3%大きいのが普通
である。これは、反応により生じた水分が硬化初期には
まだ完全には系外に除かれていないためと、架橋反応が
完全には完了していないためと考えられる。この硬化物
は200℃以上の温度に加熱することによって完全な硬
化物となる。この後硬化処理の終つた硬化物は堅く、か
つ極めてすぐれた耐熱性をもつ。例えば、200℃で1
時間後硬化処理して得られる生成物は、10℃/分の昇
温速度による熱重量分析の結果によれば、空気中におい
てすら480℃まで顕著な減量はない。この後硬化物
は、通常のデジタル式テスターでは抵抗値が測定できな
い程度の電気絶縁体である。
【0009】本発明の熱硬化性組成物の硬化反応から得
られるCOPNA樹脂の構造についての概略は前記の通
りであるが、次に、本発明組成物の成分組成及びその予
備縮合反応とその硬化反応における各種因子の影響につ
いて説明する。
【0010】(1)原料物質 本発明で用いる原料物質は、ナフタレン及び/又はアル
キルナフタレンあるいはこれを主成分として含む混合物
が用いられる。ナフタレン及び/又はアルキルナフタレ
ンを主成分とする混合物からなる原料物質としては、石
炭系又は石油系の炭化水素油から分留されたナフタレン
留分を挙げることができる。
【0011】前記の原料物質と架橋剤との反応は、勿論
適当な溶媒を用いた溶液反応として行うことができる。
特に初期の段階だけを溶液反応で取り扱うことには意味
がある。しかし、生成物の分子量が増加するにつれて溶
解度が低下するので、通常は、溶媒を使用しない溶融状
態で行う方が簡単である。架橋剤としてのヒドロキシメ
チル基とハロメチル基の反応性を比較すれば、後者の方
が遥かに大きく、低温から進行する。従って、低温の溶
液状態での反応では後者が適する。架橋剤としてヒドロ
キシメチル芳香族化合物を用いた場合、反応開始温度は
おおよそ70℃ないし120℃からはじまる。本発明に
おいては、コールタールの分留により得られるナフタレ
ン油は好ましい原料物質である。
【0012】(2)架橋剤 架橋剤としては、ヒドロキシメチル基(HOCH2−)
又はハロメチル基(XCH2−、X:ハロゲン)を少な
くとも2個、通常2〜3個有する芳香族化合物が用いら
れ、この場合、芳香族化合物としては、縮合環芳香族化
合物及び非縮合芳香族化合物を問わず使用可能である
が、一般には、そのベンゼン核数が、1〜5、好ましく
は、1〜4のものが使用される。このような芳香族化合
物から誘導された架橋剤の具体例としては、例えば、ベ
ンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、ピレ
ン、又はそれらのアルキル誘導体等のポリ(ヒドロキシ
メチル)化合物や、ポリ(ハロメチル)化合物が挙げら
れる。また、前記芳香族化合物を含むコールタール留分
や石油留分のポリ(ヒドロキシメチル)化物や、ポリ
(ハロメチル)化物も使用可能である。本発明で用いる
架橋剤のうち、ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ジ
(ヒドロキシメチル)キシレン及びトリ(ヒドロキシメ
チル)ベンゼンは特に好ましいものである。
【0013】ポリ(ヒドロキシメチル)芳香族化合物と
ポリ(ハロメチル)芳香族化合物とを比較した場合、後
者の方がはるかに大きな反応性を示し、一般には、低温
の溶液反応では後者が適し、高温の無溶媒反応では前者
が適する。COPNA樹脂を得る場合、架橋剤として用
いるポリ(ヒドロキシメチル)芳香族化合物及びポリ
(ハロメチル)芳香族化合物においては、その芳香核
は、ベンゼン核よりも、縮合多環芳香核の方が反応性の
点では好ましく、従って、ジ(ヒドロキシメチル)ナフ
タレン、ジ(ハロメチル)ナフタレン等の縮合多環芳香
族化合物のポリ(ヒドロキシメチル)化合物やポリ(ハ
ロメチル)化合物は好ましい架橋剤となる。
【0014】(3)架橋剤/原料物質モル比 2置換の架橋剤を用いた時に、架橋剤/原料物質モル比
を0.5にすれば2量体が生成し、融点の低い生成物と
なり、0.5を越えて1.75に近付くほど硬化速度は
速くなり、且つ硬化生成物の強度は大きくなるが、しか
し、2.0を越えると、反応は逆に抑制傾向を示し、や
や不均質な生成物を与えるようになる。
【0015】ナフタレン油のような複雑な混合物を原料
とする場合には、その平均分子量が架橋剤の混合量をき
める基準として有用である。多くの経験をまとめると、
平均分子量を使用すれば、前述した架橋剤/原料物質モ
ル比の影響は、そのままナフタレン油のような混合物つ
いても当てはまる。この関係をモル比でなくて、混合重
量で表現すれば、平均分子量の増大につれて、混合すべ
き架橋剤重量は逆比例の関係で減少することになる。こ
の関係は、架橋剤として2置換体を用いた場合を例にと
れば、均質で強固な硬化生成物を得るには、原料物質
と、架橋剤との重量割合は、次の関係式を満たすことが
要件になる。 (W2/W1)×(a/b)=0.55〜3.0 (好ましくは0.75〜2.0) 前記式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の重量、
aは原料物質の分子量又は平均分子量、bは架橋剤の分
子量又は平均分子量である。
【0016】一般的に言うと、n個の反応基(ヒドロキ
シメチル基又はハロメチル基)を持つ架橋剤を用いる場
合、均質で強固な硬化生成物を得るためには、原料混合
比は、次の関係式を満足させることが要件になる。 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×1/n (式中、nは架橋剤としての芳香族化合物1モルに 結
合する反応基の数で2以上の整数である)
【0017】硬化反応を進行させ、目的の硬化固形物を
得るには、前記のように、架橋剤の使用割合量には、そ
の架橋剤の持つ反応基の数に対応した最小値があり、本
発明では、次の関係式 (W2/W1)×(a/b)=1.1×1/n を満たす場合の架橋剤使用割合量を、架橋剤の最小架橋
化割合値と定義する。この値より小さな架橋剤割合で
は、初期硬化反応が遂行されるだけであり、目的の硬化
固形物を得るには、この値以上の架橋剤割合が必要とさ
れる。
【0018】(4)硬化反応温度の選択 ポリ(ハロメチル)芳香族化合物を架橋剤とし、塩化ア
ルミニウムのようなルイス酸を触媒とする方が反応温度
としては有利である。一般には、50℃以上、好ましく
は70℃以上である。しかし、ポリ(ハロメチル)芳香
族化合物には有毒性の大きなものがあり、反応の結果ハ
ロゲン化水素が発生するなど、装置設計及び操業上不利
な点もあらわれる。
【0019】ポリ(ヒドロキシメチル)芳香族化合物を
架橋剤とし、プロトン酸を触媒として無溶媒で行う時に
は、反応は約70℃付近から開始され、120℃付近で
は顕著になる。この場合、反応の進行は、水蒸気の発生
と反応物の粘度の増加が伴う。緻密な気孔のない生成物
を得るためには反応速度が小さい方が好ましく、温度を
上げて反応を促進させれば、生成する固体は多孔質な状
態を示すようになる。反応性は原料物質及び架橋剤の種
類によって差があらわれるし、架橋剤/原料物質モル比
によっても影響されるから、適当な反応温度もまた原料
の種類と組成によって違ってくる。不融性の硬化物を得
るための加熱温度は、一般的には70℃から300℃、
好ましくは110℃〜250℃が適当な温度である。緻
密な気孔のない生成物を得るには、特に、100〜15
0℃の加熱温度を用いて硬化し、その後さらに200℃
以上で後硬化処理を行う方がよい。
【0020】反応処理温度に関して、さらに考慮してお
くべきことは、その反応処理の目的によって選定さるべ
き温度が違うことである。本発明の組成物の利用にあた
っては、組成物から直接最終の耐熱性樹脂成形物を得る
場合と、まだ溶融性が残っている段階の中間縮合反応物
(Bステージ樹脂)をつくり、これを成形後再び熱処理
(硬化処理)をして不融性の耐熱性硬化物を得る場合と
がある。従って、本発明の熱硬化性組成物には、前記原
料物質、架橋剤、触媒等を含む混合物からなる場合と、
前記中間縮合反応物からなる場合とがある。
【0021】この中間縮合反応物の調製は、原則的に
は、不融性硬化物に達する以前の反応時間で反応を停止
するか、架橋剤と原料物質とのモル比を前記最小架橋化
割合未満にすることによって目的を達する。この場合に
は生成物はまだ溶融状態にあるから直接硬化物をつくる
場合とは違って、仮に反応温度が高く、気泡の発生が盛
んであっても、そのことが特に支障をきたすことはな
い。従って、中間縮合反応物を硬化させる場合は、直接
硬化物をつくる場合にくらべて取りうる温度範囲は高温
側に広くなる。
【0022】(5)触媒の選択 反応触媒としては、ルイス酸、プロトン酸のいずれも利
用できる。従って、その選択は原料組成と反応手法の選
択に応じてなされるべきである。ポリ(ハロメチル)芳
香族化合物を架橋剤とする溶液法による場合は、塩化ア
ルミニウムのようなルイス酸が適当であろうし、ポリ
(ヒドロキシメチル)芳香族化合物を架橋剤とする時に
は、プロトン酸がより好ましいことは明らかである。無
溶媒で後者の触媒を利用する場合の触媒量は、原料物質
の反応性と反応温度によって影響を受ける。一般的に
は、原料物質に対し、0.2重量%以上が必要で、好ま
しくは1〜10重量%である。添加量の上限は純ナフタ
レン系化合物の場合には7重量%程度で、これ以上の添
加は、反応速度が速くなりすぎて取り扱い難くなる。ル
イス酸及びプロトン酸としては、従来公知のもの、例え
ば、塩化アルミニウム、フッ化硼素、硫酸、有機スルホ
ン酸等の種々のものが挙げられる。
【0023】 (6)中間縮合反応物(Bステージ樹脂)の調製と性質 熱硬化性組成物を各種複合材料の結合剤として利用する
にしても、単独で硬化させて成形物として利用するにし
ても、原料組成物を直接使用するよりは、ある程度反応
が進行し、まだ不融性硬化物にはいたらない中間段階の
中間縮合反応物を結合剤又は成形素材として使用する方
が便利である。一般には、不融性硬化物に至る以前の、
溶融性、溶解性のある段階の樹脂前駆体(中間縮合反応
物)をBステージ樹脂と呼んでいる。
【0024】COPNA樹脂のBステージ樹脂をつくる
には、大きく区分すれば、次のような方法がある。1つ
は最終硬化に必要な架橋剤量及び触媒を含む原料組成物
を加熱し、不融性硬化物が生成するよりも短い反応時間
で加熱を止め、反応を停止する方法である。そのために
適当な反応時間は、原料組成物の組成や反応温度によっ
て異なる。このようにしてつくられるBステージ樹脂
は、成形後単に加熱するだけで不融性硬化物を得ること
ができる。つぎの方法は、架橋剤/原料物質モル比が前
記最小架橋化割合値前後の混合原料を加熱して充分反応
を進め、その後最終硬化のために必要とする架橋剤を追
加する方法である。この方法の利点は、最初の段階の反
応温度と反応時間の設定に広い選択範囲がある点であ
る。最後の方法は、触媒量を少く、反応温度を高くし
て、Bステージ樹脂をつくる方法である。このBステー
ジ樹脂を成形し、硬化させる場合には、成形に先立っ
て、改めて触媒を追加混合した方が成形物の硬化を容易
にする。いずれの方法をとるにしても、最終硬化物に到
達する時の原料組成はこれまでに述べてきた組成範囲に
入る。Bステージ樹脂を得るための反応温度は、一般
に、70〜300℃、好ましくは、90〜250℃であ
る。
【0025】COPNA樹脂のBステージ樹脂はメタノ
ール、n−ヘキサンなどには不溶で、ピリジン、キノリ
ン、テトラヒドロフランなどには可溶で、ベンゼンには
かなり溶け難い。反応初期で取り出したBステージ樹脂
は、室温でペースト状を示す。やや反応が進めば、しだ
いに軟化温度が上昇する。各種複合材料の結合剤や接着
剤として利用するためには70〜120℃の温度範囲で
完全に流動状態となる程度のものが利用しやすく、単独
の成形物のためには、更に反応を進めて、80〜150
℃で注型できる程度の溶融粘度を示すものの方が便利で
ある。粉末を利用して加熱成形法を適用するような場合
には、更に溶融粘度の高いものの方が扱い易い。またB
ステージ樹脂は、前述したように各種の溶媒に可溶であ
るから、溶液状態で基材に塗布乾燥させてフィルム状に
成形することも可能である。Bステージ樹脂の成形に際
しては、骨材を添加するのが有利である。
【0026】(7)硬化処理 本発明の熱硬化性組成物は、これを空気中又は不活性ガ
ス中で70〜350℃に加熱することにより、メタノー
ル、ヘキサン等の溶剤には全く溶解しないが、テトラヒ
ドロフラン、ピリジン、キノリンに溶解する成分をわず
かに含み、ベンゼン中で膨潤する不融性硬化物を経由し
た後、完全に不融不溶性硬化物に変換される。熱硬化性
組成物から完全に不融不溶性硬化物を好ましく製造する
ためには、(i)熱硬化性組成物を100〜350℃、
好ましくは150〜300℃の同一温度で加熱する方
法、(ii)熱硬化性組成物を100〜200℃、好まし
くは110〜150℃に加熱して硬化させる硬化工程
と、得られた硬化物を150〜350℃、好ましくは1
80〜300℃で加熱する後硬化工程との組合せを用い
る方法、及び(iii)熱硬化性組成物を加熱し、150
〜300℃の温度に連続的に昇温させる方法等が採用さ
れる。
【0027】最終硬化物の製造のしやすさ及び得られる
最終硬化物の品質の面から言うと、前記した(ii)の
方法の採用が有利である。特に、原料物質としてナフタ
レン油を用いる場合、ナフタレン油を100〜200℃
で硬化させて完全不融不溶性の硬化物に変換しようとす
ると、ナフタレン油中には反応性の低い低分子量の芳香
族化合物を含むため、著しく長時間を要する場合が多
い。このような場合には、ナフタレン油を100〜20
0℃の温度で加熱して硬化物とした後、この硬化物をさ
らに150〜350℃の温度に短時間加熱する後硬化処
理を施すのが有利である。
【0028】以上において示した本発明の熱硬化性組成
物、即ちナフタレン及び/又はアルキルナフタレンを主
成分とする原料物質と2置換以上の官能基をもつ架橋剤
と、酸触媒とからなる混合物及びその中間縮合反応物
は、得られる硬化樹脂の構造を制御しやすい点に特徴が
ある。
【0029】本発明の熱硬化性組成物から得られるCO
PNA樹脂の最大の特徴は、きわめて容易にかつ安価に
製造し得る樹脂であるにもかかわらず、きわめてすぐれ
た耐熱性を示すことである。10℃/分程度の昇温速度
で熱天秤で重量変化を測定すると、空気中、不活性雰囲
気中を問わず、400℃以下の重量変化は2%を越えな
い。また不活性雰囲気中では480℃〜600℃間で大
きな減量がみられるが、550℃での重量減少は約50
%に止る。これらの特性は現在最もすぐれた耐熱性樹脂
とみられるビスマレイミド樹脂に匹敵するし、このCO
PNA樹脂は、原料及び硬化反応の容易さからみてこれ
まで無かった汎用の耐熱性樹脂と称することができる。
【0030】本発明の熱硬化性組成物を100〜350
℃で硬化して得られた成形物は、電気的には絶縁体であ
る。この特徴は450℃においても保持され、600℃
以上の処理温度で徐々に比抵抗は減少する。
【0031】COPNA樹脂の前駆体である本発明の中
間縮合反応物をアルミ箔に薄く塗布し、熱硬化させるこ
となく冷却すれば、箔よりはがすことができ、フィルム
状の成形物が得られ、これを加熱することにより、フイ
ルム状のCOPNA樹脂を得ることができる。一方、塗
布したまま加熱して硬化させれば、アルミ箔と強固に結
合した樹脂の塗膜が得られる。従って、本発明の中間縮
合反応物は、耐熱性の焼付け塗料に使用することができ
る。また、本発明の中間縮合反応物をシリコンゴム製の
成形型を用いてこれに流し込んだり、粉末状として加熱
プレスすることによって樹脂単独の成形物を得ることが
できる。
【0032】なお、予備的な研究によれば、前記中間縮
合反応物を炭素繊維やガラス繊維の結合剤として使用す
ることができる。従って、ガラス繊維/COPNA樹脂
複合材又は炭素繊維/COPNA樹脂複合材は、安価で
かつ耐熱性にすぐれた絶縁材料として大きな応用分野を
持つ。勿論骨材はこれら繊維材料に限らない。
【0033】本発明の組成物には、粒状、フレーク状、
繊維状の各種セラミックス、炭素質、有機質を骨材とし
て添加し、硬化させることによって、強度の大きな硬化
成形物を得ることができる。この場合、炭素質骨材を用
いた成形体は、そのまますぐれた炭素成形体の前駆体と
なる。COPNA樹脂を、骨材使用の有無にかかわらず
炭素前駆体として評価した時に、最も面白いのは、用い
る原料物質及び架橋剤とのモル比を選択することによっ
て、構造の異なる前駆体をかなり任意に用意しうること
である。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】実施例 ナフタレンにP−キシリレングリコ−ル(PXG)及び
p−トルエンスルホン酸(PTS)を表1に示した割合
に配合し、乳鉢で混合し、本発明の熱硬化性組成物(混
合物)を得た。
【表1】 PXG/ナフタレン モル比:1.0 PTS :全混合物量の5wt%
【0036】次に、上記混合物を試験管に入れ、窒素ガ
スを流しながら、加熱した。加熱温度120℃では20
時間でやや弾性を残す程度に硬化し、また加熱温度15
0℃では約1時間の加熱により灰白色のある完全な硬化
樹脂が得られた。Bステ−ジ樹脂の調製を目的とすれ
ば、約120℃程度の温度条件の加熱を採用するのが好
ましい。また、この加熱過程においてはナフタレンが約
20%昇華することから、実際に反応しているPXG/
ナフタレンモル比は約1.25程度になる。
【0037】次に、前記において、120℃で3時間加
熱してBステ−ジ樹脂を作り、これを150℃で1時間
加熱して硬化させた後、さらに5℃/分の昇温速度で3
00℃まで温度を高め、この温度で1時間保持して後硬
化処理を行った。このようにして灰黒色の硬化体を得
た。得られた硬化体の耐熱性を調べるために、空気中で
10℃/分の昇温速度で加熱する熱重量分析を行ったと
ころ、450℃まではその重量減少はほとんど見られ
ず、500℃で約15%の重量減少を生じた。また、前
記後硬化処理を200℃で1時間の条件で行って得た硬
化体も同様の熱重量分析結果を示したが、この場合に
は、その耐熱性は、前記300℃で1時間の条件の後硬
化処理を施した得た硬化体よりもやや劣る傾向を示し
た。また、これらの硬化体はいずれも、メタノ−ル、ヘ
キサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、及びキノリン
等の溶媒に対して不溶性を示した。
【0038】応用例 実施例において、120℃で3時間加熱して得たBステ
−ジ樹脂(中間縮合反応物)の固体微粉末を炭素繊維ペ
−パの表面に均一塗布し、その塗布面の上にさらに炭素
繊維のペ−パを重ね、80kg/cm2のプレス圧力下
で、温度110℃、130℃、160℃と段階的にあ
げ、合計100分の加熱を行った後成形体をプレスから
はずした。次いで得られた成形体を300℃で1時間後
硬化処理した。このようにして、耐熱性にすぐれかつ機
械的強度にもすぐれた炭素繊維COPNA樹脂複合体を
得ることができた。
【0039】
【発明の効果】本発明の熱硬化性組成物は(アルキル)
ナフタレンを主成分とする原料物質と、少なくとも2個
のヒドロキシメチル基又はハロメチル基を有する芳香族
化合物を主成分とする架橋剤とを特定の割合で含み、更
に酸触媒を含有する混合物又はその中間縮合反応物から
なるものとしたことから、本組成物を加熱することによ
り、容易に、安価に、耐熱性にすぐれた不融性の縮合多
環多核芳香族樹脂を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレン及び/又はアルキルナフタレ
    ンを主成分とする原料物質と、少なくとも2個のヒドロ
    キシメチル基又はハロメチル基を有する芳香族化合物を
    主成分とする架橋剤と、酸触媒との混合物又はその中間
    縮合反応物からなり、該混合物中、原料物質と架橋剤と
    は関係式 1.1×1/n≦(W2/W1)×(a/b)≦6×1/n (式中、W1は原料物質の重量、W2は架橋剤の重量、a
    は原料物質の分子量又は平均分子量、bは架橋剤の分子
    量又は平均分子量を示し、nは架橋剤としての芳香族化
    合物1モルに結合するヒドロキシメチル基又はハロメチ
    ル基の数であり、2以上の整数である)を満たす割合で
    存在することを特徴とする熱硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 該混合物又はその中間縮合反応物が骨材
    と結合されている請求項1記載の組成物。
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