JPH0579010U - 自在継手のブーツ用固定バンド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブーツ２の材質や硬さに拘らず適切な締め付
け力で装着することができると共に、装着スペースを削
減し、装着性を向上させることにある。 【構成】 両端１１，１２近傍が互いに交差した状態に
環状に曲げられたバンド本体１０と、その両端１１，１
２が定着された可撓性を有する帯状板２０からなり、帯
状板２０を押し付けることによって、バンド本体１０を
両端１１，１２側へ引っ張り、ブーツ２の端部２ａを締
め付けることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車や産業機械等の自在継手を包囲してシール及び保護するブー ツを、前記自在継手に装着するための固定バンドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のドライブシャフト等における自在継手として、例えば図６に示すよう なものがある。この自在継手１は、蛇腹状に成形されたブーツ２によって包囲さ れ、継手作動部の潤滑のために封入されたグリースの漏洩やダストの侵入が防止 されている。前記ブーツ２は、その両端がそれぞれ固定バンド３によって、シャ フト４及び自在継手１の外輪１ａに締め付け固定されている。

【０００３】 前記固定バンド３の典型的な従来例としては、図７（Ａ）（Ｂ）に示すような ものがある。このうち（Ａ）は、環状に曲げられたバンド本体の両端間に設けた 折り倒し片３ａを、図中矢印方向に倒すことによって締め付けるものであり、ま た、（Ｂ）は、バンド本体の一端近傍に設けた係止孔３ｂを他端近傍に設けた係 止突起３ｃに係止すると共に、バンド本体の屈曲部３ｄを矢印方向に潰すことに よって締め付けるものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記図７（Ａ）の構造によれば、締め付け対象のブーツ２の材 質が硬いと、折り倒し片３ａを容易に倒すことが困難になり、しかも折り倒し片 ３ａがその中途部３ａ’において屈曲変形して、十分に締め付けられないことが ある。また、図７（Ｂ）の構造のものは、高硬度材からなるブーツ用の固定バン ドとして使用されているが、潰された屈曲部３ｄが突起部として残るので、自在 継手１における角変位運動に伴ってブーツ２が大きく変形動作した時に、その蛇 腹部が接触して動作に支障を来すおそれがあることから、固定バンド３の装着部 周辺に、前記蛇腹部の変位の障碍にならないようなスペースを確保する必要があ る。

【０００５】 本考案は、上記のような事情のもとになされたもので、その目的とするところ は、ブーツの材質や硬さに拘らず適切な締め付け力で装着することができると共 に、装着スペースを削減し、装着性を向上させることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述した技術的課題は、本考案によって有効に解決することができる。 すなわち、本考案に係る自在継手のブーツ用固定バンドは、両端近傍が互いに 交差した状態に環状に曲げられたバンド本体と、このバンド本体の両端が定着さ れた可撓性を有する帯状板からなるものである。 また、前記バンド本体には、前記帯状板を拘束する屈曲可能な所要数の係止片 が突設されていることが望ましい。

【０００７】

【作用】

帯状板に定着されるバンド本体の両端部の間隔は、ブーツの端部外周への装着 に必要なバンド内径によって決定される。装着の際には、自在継手を包囲するよ うに配置したブーツ端部外周に、環状に曲げられたバンド本体を位置させ、この 状態で、帯状板をブーツ端部の外周面へ向けてバンド本体上に重合させるように 押し付けることによってバンド本体の両端が引っ張られ、ブーツの端部に対する 締め付けが行われる。バンド本体上に重合するように押し付けられた帯状板の両 端は、バンド本体に突設された係止片を折り曲げることによって固定され、バン ド本体による締め付け状態を保持する。

【０００８】

【実施例】

図１は、本考案に係る自在継手のブーツ用固定バンドの一実施例を示すもので ある。この固定バンドは、両端近傍が互いに交差した状態に環状に曲げられたバ ンド本体１０と、このバンド本体１０の両端１１，１２が、所要の間隔をもって 強固に定着された帯状板２０とを有する。これらバンド本体１０及び帯状板２０ は、典型的には例えばバネ鋼からなるものであって、その板厚は０．４〜１．０ ｍｍ程度である。

【０００９】 バンド本体１０は、図２において明確に示すように、その一端１１近傍に細幅 部１３が、また、他端１２近傍に前記細幅部１３と対応する幅及び長さを有する 溝部１４によって幅方向に分割された一対の分割片１５が形成されており、この 細幅部１３が溝部１４において分割片１５，１５と互いに交差する。また、これ ら細幅部１３及び分割片１５の近傍に位置して、バンド本体１０の幅方向端部に は、前記帯状板２０を拘束するための係止片１５，１６がそれぞれ一対ずつ突設 されている。

【００１０】 図１の形状に組み立てられた本実施例の固定バンドは、装着の際には、環状に 曲げられたバンド本体１０の内径を適当に拡げて、図３に示すように、自在継手 を包囲するように配置したブーツ２の端部２ａ外周に嵌め込み、この状態で、図 中矢印Ｆで示すように帯状板２０を前記端部２ａの外周面へ向けて押し付けるこ とによって、バンド本体１０がその両端１１，１２側へ引っ張られ、前記端部２ ａを締め付ける。また、バンド本体１０は、長手方向両側へ同時にかつ均等に引 っ張られることから、締め付けが容易・円滑になされる。

【００１１】 ここで、図４に示すように、バンド本体１０の細幅部１３及び分割片１５上に 重合するように押し付けられた帯状板２０は、バンド本体１０に突設された係止 片１６，１７を叩打する等して内側へ折り曲げることによって、両端近傍をバン ド本体１０に固定することができるので、ブーツ２の端部２ａに対するバンド本 体１０の締め付け状態が確実に保持される。また、この状態では、バンド本体１ ０及び帯状板２０の外周に、ブーツ２の蛇腹部の変位を阻害するような突起部が 存在しない。

【００１２】 なお、上述の実施例では、バンド本体１０の両端１１，１２近傍に細幅部１３ 及び一対の分割片１５を形成したが、この形状はとくに限定するものではなく、 例えば図５に他の実施例として示すように、前記両端１１，１２近傍を互いに対 応した段差形状にして交差させるようにしたり、あるいは分割片同士で交差させ るようにする等、種々の形状が適用できる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案に係る自在継手のブーツ用固定バンドは、ブーツ端部外周に、環状に曲 げられたバンド本体を嵌め込んでから、帯状板を押し付けることによって、バン ド本体に張力を付与して前記ブーツ端部を締め付けるものであるため、ブーツの 材質や固さに関係なく、適切な締め付け力でブーツの固定作業を容易に行うこと ができ、また、装着後にブーツの変形動作の阻害となる突出部が形成されないの で、装着スペースを削減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の固定バンドを示す斜視図で
ある。

【図２】同実施例の固定バンドをバンド本体と帯状板に
分離した状態を示す斜視図である。

【図３】同実施例の固定バンドによる装着作業の過程を
示す説明図である。

【図４】同実施例の固定バンドによる装着作業の完了状
態を示す説明図である。

【図５】本考案の他の実施例によるバンド本体を示す要
部斜視図である。

【図６】自在継手へのブーツの装着状態の一例を示す一
部切断した正面図である。

【図７】従来構造の二種類の固定バンドを示す斜視図で
ある。

【符号の説明】

２ ブーツ ２ａ 端部 １０ バンド本体 １１ 一端 １２ 他端 １３ 細幅部 １４ 溝部 １５ 分割片 １６，１７ 係止片 ２０ 帯状板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端１１，１２近傍が互いに交差した状
   態に環状に曲げられたバンド本体１０と、 このバンド本体１０の両端１１，１２が定着された可撓
   性を有する帯状板２０からなることを特徴とする自在継
   手のブーツ用固定バンド。
2. 【請求項２】 請求項１の記載において、前記バンド本
   体１０に、前記帯状板２０の両端近傍を拘束する所要数
   の係止片１６，１７が突設されたことを特徴とする自在
   継手のブーツ用固定バンド。