JPH0577570U - カーボンキャニスタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 垂直隔壁で区分した容器内に活性炭を充填
し、燃料ガスが上方から下方、次いで下方から上方へと
二つの室を流れるようにし、上方の大気口の前に活性炭
を充填したＵ字形通路を設け、かつＵ字形通路に通ずる
副放出パイプを設けて速かに吸気管へ放出させ、大気中
への放散を阻止する。 【構成】 第１室５と第２室６に中部活性炭室１０、１
３を設けて順次に吸着させ、大気口２４の前に活性炭を
充填したＵ字形通路２２を設け、さらにこれに連通する
副放出パイプ２６を設けて、速かにＵ字形通路内の燃料
ガスを吸入管へ放出して、大気中への燃料ガス放散を防
ぐ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、燃料タンク等から蒸発する燃料ガスを一旦吸着し機関運転時に機 関側へ放出するカーボンキャニスタに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば実開昭６０−１２７４６５号公報に開示されているように、ケーシング 内に隔壁を設けて活性炭を収容した吸着剤室を複数個設け、燃料ガスが各吸着剤 室を順次に通過しながら吸着され、燃料ガスを放出した空気が容器底部の大気口 から大気中へ放出されるようにしたカーボンキャニスタがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の構成のカーボンキャニスタは、機関の停止時間が長いときは燃料タンク から長時間にわたり蒸発する燃料ガスを吸着し続けるので活性炭の吸着量が飽和 状態となり吸着されない燃料ガスが大気口から大気中へ放出される。また機関停 止中の活性炭からの自然脱離もあって大気中への燃料ガス放散が生ずる。更に活 性炭から自然脱離した燃料ガスは空気より重いので下方へ移動して大気口から流 出しやすくなり液化して滴下するおそれもある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案のカーボンキャニスタは、横長のほぼ直方体をなす容器の長軸に平行 な直角隔壁と、垂直隔壁で区分される室の一方の上部に長軸に平行な水平隔壁を 設けて第１室、第２室および第２室の上方の第３室に区分し、第１室、第２室に それぞれ上部空気室、中部活性炭室、下部空気室を設けてガスの流通を許すよう にし、第３室に垂直障壁を設けてＵ字形通路を形成させ、第１室の上部空気室に 導入パイプ、主放出パイプを設け、下部空気室同士を連通させ、第２室の上部空 気室とＵ字形通路の一端を連通させ、他端に大気口を設け、第１、第２室の中部 活性炭室と第３室に活性炭を充填し、更に第３室にパージ制御バルブを付設した 副放出パイプを設けたものである。

【０００５】

【作用】

この考案のカーボンキャニスタは長軸を横方向にする姿勢で取付けられ導入パ イプを燃料タンクの上部に接続し、主放出パイプと副放出パイプを機関の吸気管 に接続して使用される。機関停止中の蒸発燃料ガスは導入パイプから第１室の上 部空気室へ入って拡散し第１室の中部活性炭室で吸着され、さらに第１室、第２ 室の下部空気室を経て第２室の中部活性炭室を下方から上方へ通過する間にほと んど完全に吸着される。

【０００６】 残余のわずかな燃料ガスを伴った空気は第２室の上部空気室から第３室のＵ字 形通路の一端へ入る。断面積に比較して経路長さの長いＵ字形通路は吸着作用上 無効部分がないので通過する間に燃料ガスは完全に吸着され、空気は燃料ガスを 伴わず大気口から放出される。

【０００７】 機関の運転に伴い大気口から大気が吸入され、活性炭に吸着された燃料を脱離 させて上記の吸着時の逆の順序で進行し主放出パイプから吸気管へ燃料ガスを放 出する。この際Ｕ字形通路はまづ新鮮空気に触れ、更にパージ制御バルブの開弁 時はＵ字形通路から直接に副放出パイプを経て燃料ガスを放出する。従ってこの 部分の燃料の脱離は速かにかつ完全に行われ、次の燃料ガスの大気への放散阻止 態勢が速かにかつ完全に整い、機関運転時間が短いときでも十分に対応できる。

【０００８】 またＵ字形通路は下方に第２室があるので、自然脱離した燃料ガスがあっても 第２室側に流れ、大気口から放散されることはない。

【０００９】

【実施例】

図１、図２、図３に実施例を示す。カーボンキャニスタ１は、横方向に長軸Ｈ −Ｈを有する合成樹脂製のほぼ長方形の容器２内に長軸Ｈ−Ｈに平行な垂直隔壁 ３、および垂直隔壁３で区画される一方の室の上方に水平隔壁４を設けて容器２ 内を第１室５、第２室６、第３室７に区分し、第１室５、第２室６内に格子板と 繊維質フィルタとを重ねてガスを通過自在にした仕切格子８をそれぞれ上部と下 部に設け、第１室５、第２室６を上方から上部空気室９、１４中部活性炭室１０ 、１３および下部空気室１１、１２に区画する。中部活性炭室１０、１３および 第３室７内に活性炭１５を充填する。

【００１０】 第１室５の上部空気室９に導入パイプ１６、主放出パイプ１７を取付け、垂直 隔壁３の下部に開口１８を設けて下部空気室１１、１２を連通させ、水平隔壁４ に開口２０を設ける。上部室７内は垂直障壁２１によってＵ字形通路２２を形成 し、その一方端に開口２０が連通する。Ｕ字形通路２２の他端は仕切格子８で隔 てた端末空気室２３を介して大気口２４に連通する。さらに第３室にパージ制御 バルブ２５を付設した副放出バルブ２６を取付ける。

【００１１】 機関停止中は燃料タンクの蒸発燃料ガスが導入パイプ１６から入って上部空気 室９で中部活性炭室１０上面全面に広がり活性炭室１０の活性炭１５に吸着され 、さらに下部空気室１１、開口１８、下部空気室１２を経て中部活性炭室１３と 下から上へ通過する間にほとんど吸着される。残余のわずかな燃料ガスは開口２ ０からＵ字形通路２２へ入り、長い経路長さのため完全に吸着され、端末空気室 ２３、大気口２４から流れる空気中には燃料ガスは存在しない。

【００１２】 機関運転によって主放出パイプ１７に吸気管の負圧を受けると、大気口２４か ら吸入される大気により上記吸着時の逆の順序で脱離し吸入管へ放出される。こ の場合、パージ制御バルブ２５は吸気管内の燃料濃度を検知し、燃料が濃くなっ ても運転状態に支障がないと判断したとき開弁するように制御される。また副放 出パイプ２６は小径で流量は主放出パイプ１７に対し１／２以下になるように設 定してある。

【００１３】 従って開弁条件が整うとＵ字形通路の燃料ガスは副放出パイプ２６から直接吸 気管へ速かに放出される。

【００１４】

【考案の効果】

この考案のカーボンキャニスタは吸着時に空気が流出する大気口の直前に経路 の長いＵ字形通路を設け、これを容器の上方に位置させたので、大気中へ流出空 気は完全に燃料ガスを含まないものとなる。また活性炭が飽和状態となっても、 脱離し液化した燃料が外部へ滴下することはない。

【００１５】 さらに副放出パイプを設けて少くともＵ字形通路の燃料ガスを速かに放出する ようにしたので、機関の運転開始後短時間で運転停止し、第１、第２室の活性炭 の脱離が完全に行われないうちに吸着を開始する状態になっても、第３室の燃料 ガス放散阻止態勢は整っており、大気中への燃料ガス放散はない。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の側面断面図（図２のＡ−Ａ線）

【図２】実施例の平面断面図（図１のＢ−Ｂ線）

【図３】実施例の正面断面図（図１のＣ−Ｃ線）

【符号の説明】

３ 垂直隔壁 ４ 水平隔壁 ８ 仕切格子 ９、１４ 上部空気室 １０、１３ 中部活性炭室 １１、１２ 下部空気室 １６ 導入パイプ １７ 主放出パイプ ２２ Ｕ字形通路 ２４ 大気口 ２５ パージ制御バルブ ２６ 副放出パイプ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 横方向に長軸を有するほぼ直方体状の容
   器内に長軸に平行な垂直隔壁と、該垂直隔壁で区画され
   る室の一方の上部に水平隔壁を設けて容器内を第１室、
   第２室および第２室の上方の第３室に区画し、第１室、
   第２室内をそれぞれ互にガスの流通を許す上部空気室、
   中部活性炭室および下部空気室に区分し、第３室に長軸
   方向の垂直障壁を設けてＵ字形通路を形成させ、第１
   室、第２室の中部活性炭室および第３室に活性炭を充填
   し、第１室の上部空気室に開口する導入パイプと主放出
   パイプを設け、第１室と第２室の下部空気室を互に連通
   させ第２室の上部空気室とＵ字形通路の一方端とを連通
   させ、Ｕ字形通路の他方端に端末空気室と大気口を設
   け、第３室にパージ制御バルブを付設した副放出パイプ
   を設けてなるカーボンキャニスタ。