JPH0577352A - 熱収縮性フイルム - Google Patents

熱収縮性フイルム

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JPH0577352A
JPH0577352A JP3270575A JP27057591A JPH0577352A JP H0577352 A JPH0577352 A JP H0577352A JP 3270575 A JP3270575 A JP 3270575A JP 27057591 A JP27057591 A JP 27057591A JP H0577352 A JPH0577352 A JP H0577352A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱収縮操作時内容物との密着性が優れ、均
一な熱収縮性および良好な寸法安定性を有し、かつ、ガ
スバリアー性、保香性あるいは耐有機溶剤性が良好で製
造が容易な熱収縮性フィルムを提供することにある。 【構成】 エチレン含有量20−60モル%、けん化
度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体1
0−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−90
重量%からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体組
成物層を少なくとも一層、あるいは、少なくとも一層の
該層と少なくとも一層のポリアミド樹脂層を有し、か
つ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面積収縮率が
10%以上である熱収縮性多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリアー性が優
れ、製造が容易な熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【発明の背景】生肉、加工畜肉などの脂肪性食品の多く
はその形状が不規則で大きさも不揃いである。このよう
に、形態が多様な食品の包装方法としては、熱収縮性の
フィルムを用いる収縮包装が工業的に採用されている。
この方法の一般的な操作手順は、袋状のフィルムに内容
物を入れ、次いで減圧下で袋内の空気を除去し、袋の開
口部を密封した後、加熱処理することによりフィルムを
熱収縮せしめて内容物に密着せしめて綺麗な包装体を得
ることからなっている。この方法において、加熱処理は
内容物の殺菌を兼ねて行われる場合があり、通常70〜
120℃の温度が採用される。
【0003】このような収縮包装に使用されるフィルム
は、ガスバリアー性および密着性に優れ、且つ70〜1
20℃の熱水もしくは温風などによる加熱によって充分
に熱収縮する特性を有することが必要である。
【0004】エチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下、EVOHと記す。)は高ガスバリアー性を有してい
る。これらEVOH樹脂を用いて収縮包装用フイルムを
作成することも考えられるが、EVOH樹脂フイルムは
延伸性に劣り優れた収縮包装用フイルムを得ることはで
きない。
【0005】この欠点を解決するために種々の提案がな
されている。例えば、特開昭56−136365号公報
にはポリオレフィン層、ポリアミド樹脂層及びEVOH
樹脂層からなる積層フィルムなどが記載されている。
【0006】しかし、EVOH樹脂単独をポリアミド樹
脂と積層しても、満足がいく延伸性が得られず、均一な
熱収縮性を有するフィルムを得ることができない。
【0007】特開昭64−9238号公報には、EVO
Hに6−66、6−12ナイロンを中心とする融点12
0〜210℃のポリアミド樹脂をブレンドし、延伸性を
改良することが記載されているが、芳香族ポリアミド樹
脂を用いることについては何も記載されておらず、しか
も、該フイルムは、本発明の熱収縮フィルムが有する優
れたガスバリアー性、熱収縮性を有してはいない。
【0008】また、特開昭53−49050号公報に
は、EVOHにポリアミド樹脂をブレンドした樹脂を用
いたフイルムが記載されているが、該フイルムは、耐ボ
イル性、加熱時寸法安定性を目的として二軸延伸及びそ
れにつづく熱固定を行ったガスバリアー性フィルムであ
り、熱収縮性フィルムとすることについては全く記載さ
れていない。
【0009】従って、高いガスバリアー性を有し、且つ
より優れた熱収縮性、寸法安定性を示し、製造が容易な
熱収縮性フィルムの提供が望まれている。
【0010】本発明者等は、EVOH樹脂の高いガスバ
リアー性を維持しながらその延伸性、熱収縮性、寸法安
定性を改良すべく検討した結果、EVOH樹脂自体の延
伸性、熱収縮性は、EVOH樹脂に芳香族系ポリアミド
樹脂を特定の割合でブレンドした場合、透明性、熱安定
性が大巾に改善されるだけでなく、極めて延伸性が向上
し、均一な熱収縮性、寸法安定性の優れた多層フィルム
が得られる事を見出だし、本発明を成すに至った。
【0011】
【発明の目的】本発明の第1の目的は、熱収縮操作時内
容物との密着性が優れ、均一な熱収縮性および良好な寸
法安定性を有し、かつ、ガスバリアー性、保香性あるい
は耐有機溶剤性が良好な熱収縮性フィルムを提供するこ
とにある。
【0012】本発明の第2の目的は、無理な延伸配向を
することなく製造でき、製造時ゲル、ブツの発生がな
く、良好な透明性を有するフィルムを容易に製造できる
熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記熱収縮性フィルムによって達成される。 (1)エチレン含有量20−60モル%、けん化度90
%以上のEVOH(以下、本発明のEVOHと記す。)
10−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−9
0重量%からなるEVOH組成物層を少なくとも一層有
し、かつ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面積収
縮率が10%以上である熱収縮性フィルム。 (2)本発明のEVOH10−95重量%および芳香族
系ポリアミド樹脂5−90重量%からなるEVOH組成
物層とポリアミド樹脂層をそれぞれ少なくとも一層有
し、かつ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面積収
縮率が10%以上である熱収縮性多層フィルム。 (3)ポリアミド樹脂層のポリアミド樹脂が芳香族系ポ
リアミド樹脂である上記(2)に記載の熱収縮性多層フ
ィルム。 (4)本発明のEVOH10−95重量%および芳香族
系ポリアミド樹脂5−90重量%からなるEVOH組成
物層とオレフィン系樹脂層をそれぞれ少なくとも一層有
し、かつ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面積収
縮率が10%以上である熱収縮性多層フィルム。 (5)本発明のEVOH10−95重量%および芳香族
系ポリアミド樹脂5−90重量%からなるEVOH組成
物層とポリアミド樹脂層とオレフィン系樹脂層をそれぞ
れ少なくとも一層有し、かつ、90℃の熱水中に一分間
浸漬した時の面積収縮率が10%以上である熱収縮性多
層フィルム。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】本発明において、本発明のEVOHとはエ
チレン−ビニルエステル共重合体けん化物であり、エチ
レン含有量20−60モル%、好適には25−58モル
%、ビニルエステル成分のけん化度90%以上、好適に
は95%以上のものが使用できる。エチレン含有量20
モル%未満では溶融成形性が悪く、一方60モル%以上
では、ガスバリアー性が不足する。また、けん化度が9
0%未満では、ガスバリアー性および熱安定性が悪くな
る。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表例として
挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(例えば
ピバリン酸エステル)も使用できる。
【0016】本発明のEVOHには本発明の目的が阻害
されない範囲で、他の共単量体〔例えば、プロピレン、
ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル{(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(メチル
エステル、エチルエステルなど)など}、ビニルシラン
化合物(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシランなど)、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリ
ドンなど)を共重合体することもでき、また、可塑剤、
熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラ
ー、他の樹脂(ポリアミド、部分けん化エチレン−酢酸
ビニル共重合体など)をブレンドすることもできる。ま
た、本発明のEVOHのメルトインデックス(MI)
(190℃、2160g荷重下)は0.1−50g/1
0min.であることが好ましく、0.5−20g/10mi
n.であることが更に好ましい。
【0017】本発明のEVOH組成物に用いられる芳香
族ポリアミド樹脂とは、ジアミン成分、ジカルボン酸成
分のいずれか一方、あるいは、双方が芳香族化合物であ
る重縮合体であり、その好ましい代表例としてメタキシ
リレン基含有ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0018】メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂とし
ては、メタキシリレンジアミンと全量の80%以下のパ
ラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと
炭素数が6〜10個のα、ω−脂肪族ジカルボン酸とか
ら生成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル
%含有した重合体が好ましい。これらの重合体の例とし
ては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリ
レンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミドなどの
ような単独重合体、および、メタキシリレン/パラキシ
リレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシ
リレンアゼラミド共重合体などのような共重合体、なら
びにこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサ
メチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン
のような脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエ
チル)ベンゼンのような芳香族ジアミン、テレフタル酸
のような芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのよ
うなラクタム、アミノヘプタン酸のようなアミノカルボ
ン酸、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミ
ノカルボン酸等とを共重合した共重合体等が挙げられ
る。上記の共重合体において、パラキシリレンジアミン
は全キシリレンジアミンに対して75%以下であるであ
ることが更に好ましい。またキシリレンジアミンと脂肪
族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中に
おいて少なくとも70モル%以上有するのが好ましく、
75モル%以上有するのが更に好ましい。また、これら
のポリマーは、例えばナイロン6、ナイロン6−6、ナ
イロン6−10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン6−12等の重合体、帯電防止剤、滑剤、耐ブロッキ
ング剤、安定剤、染料、顔料等を含有してもよい。該メ
タキシリレン基含有ポリアミド樹脂の相対粘度(96%
硫酸溶液(1g/100ml)、25℃)は1.0〜5dl
/g、さらには1.5〜4dl/gあることが望ましい。
【0019】さらに、本発明において使用できる芳香族
ポリアミドとして非晶質ポリアミドを挙げることができ
る。ここで非晶質ポリアミドとは、DSC測定におい
て、実質上吸熱結晶融解ピークを有さないもので、ジア
ミン成分、ジカルボン酸成分のうちの少なくとも一方が
芳香族化合物である重縮合体であり、その代表例として
は、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合
体が挙げられる。
【0020】上記脂肪族ジアミンとしては、たとえばヘ
キサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサ
メチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビ
ス−(4−アミノヘキシル)−メタン、2,2−ビス−
(4−アミノヘキシル)−イソプロピリデン、1,4−
ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキ
サン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブ
タン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジ
アミノブタンなどが挙げられる。これらのジアミンは、
一種またはそれ以上を同時に用いることができる。なか
でも、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチ
レンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジ
アミノブタンおよび1,3−ジアミノプロパンが好適に
用いられる。
【0021】上記芳香族カルボン酸としては、たとえば
イソフタール酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフ
タール酸、アルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙
げられる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以
上を同時に用いることができる。中でも、イソフタール
酸、テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸などが熱成形性、透明性およ
びガスバリアー性などの面で好適である。
【0022】非晶質ポリアミドの具体例としては、ヘキ
サメチレンジアミンとイソフタール酸の重縮合体、ヘキ
サメチレンジアミンとイソフタール酸/テレフタール酸
の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジ
アミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジ
アミンとテレフタール酸の重縮合体などが挙げられる。
中でも、イソフタール酸/テレフタール酸のモル比が6
0/40〜95/5、さらには65/35〜90/10
の範囲にあるヘキサメチレンジアミンとイソフタール酸
/テレフタール酸の重縮合体が好適である。
【0023】また、本発明のEVOHへの上記芳香族ポ
リアミド樹脂の添加量は5−90重量%、好適には7−
80重量%である。添加量が5重量%以下では延伸性の
改善効果が十分でなくムラが発生し易い。一方、90重
量%以上ではガスバリアー性が大巾に低下し、高ガスバ
リアーフィルムとしては使用に耐えない。
【0024】本発明のEVOHと芳香族ポリアミド樹脂
とをブレンドする方法は、特に限定されるものではな
い。本発明のEVOHと芳香族ポリアミド樹脂とをドラ
イブレンドしてそのまま使用してもよいが、バンバリー
ミキサー、単軸、または二軸スクリュー押出し機などで
ペレット化、乾燥して使用する方法がより好ましい。ブ
レンドが不均一であったり、またブレンドペレット化操
作時にゲル、ブツの発生や混入があると、加熱延伸成形
時にEVOH組成物層の破れ、クラック、ムラが発生す
る可能性が大きい。従って、ブレンドペレット化操作時
に混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素ガス
でシールし、低温で押出しすることが望ましい。また、
ブレンド、ペレット化する際、他の添加物(可塑剤、熱
安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラ
ー、他の樹脂など)を本発明の目的が阻害されない範囲
で使用することができる。特に、ゲル発生防止対策とし
て、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノー
ル系、ヒンダードアミン系熱安定剤を0.01−1重量
%添加することは好適である。
【0025】本発明のEVOH組成物層(以下、層
(A)と記す。)に積層するポリアミド樹脂層(以下、
層(B)と記す。)の樹脂としては、ナイロン6、ナイ
ロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、
ナイロン69、ナイロン611、ナイロン612を構成
する単量体成分の二元以上の共重合体、およびナイロン
6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン66、ナイロン69、ナイロン611、ナイロン61
2が挙げられ、また、ガスバリアー性が上記ポリアミド
樹脂より優れた前記芳香族系ポリアミド樹脂、あるいは
これと上記ポリアミド樹脂との共重合、あるいは溶融ブ
レンド物なども好ましいものとして挙げられる。
【0026】本発明の熱収縮性フィルムは層(A)、あ
るいは、層(A)および層(B)を有している。層
(A)および層(B)はそれぞれ2層以上あってもよ
い。層(A)および層(B)をそれぞれ2層以上有する
場合、各層を構成する樹脂組成は、それぞれ同一であっ
ても、又異なっていてもよい。
【0027】本発明の熱収縮性フィルム中の層(B)の
厚みは耐熱性の点から3μm以上、延伸性、寸法安定性
の点から30μm以下が好ましい。
【0028】また、層(A)の厚みはガスバリアー性と
延伸性のバランスから3〜20μm、好ましくは3〜1
5μmである。また、層(B)の厚みは層(A)の厚み
よりも厚いことが好ましい。また、層(A)および層
(B)がそれぞれ2層以上ある場合、層(B)の合計厚
みが層(A)の合計厚みよりも厚いことが好ましく、全
厚みは15〜200μmであることが好ましい。
【0029】本発明の熱収縮性フィルムは少なくとも一
層の層(A)、あるいは、層(A)と層(B)との2層
からなるが、種々の機能を付加する為に他の熱可塑性樹
脂を積層することができる。熱可塑性樹脂としては押出
成形性、延伸性およびシール性の見地からオレフィン系
樹脂が好ましい。
【0030】オレフィン系樹脂としては、エチレンとビ
ニルエステル単量体との共重合体、例えばエチレン−酢
酸ビニル共重合体(以下、EVAと記す。)、脂肪族不
飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸エステルより
選ばれる単量体とエチレンとの共重合体、例えばアクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル等から選ばれた単量体とエチレンとの共重合
体、アイオノマー樹脂、線状低密度ポリエチレン(以
下、LLDPEと略称する。)及びLLDPEとEVA
との混合樹脂、密度0.91以下でビッカト軟化点(A
STMD−1525により測定)95℃以下、好ましく
は85℃以下の超低密度ポリエチレン(以下、VLDP
Eと略称する。)及びVLDPEと少量のLLDPEの
混合樹脂、結晶性プロピレン−エチレン共重合体とポリ
プロピレン系エラストマーの混合樹脂が好ましい。EV
Aとしては酢酸ビニル含量が3〜19重量%のものが好
ましい。LLDPEとEVAの混合樹脂中のEVAの割
合は少なくとも55重量%を含有していることが延伸性
の見地から好ましい。LLDPEとしては、エチレンと
少量のブテン−1、ペンテン−1、4メチル−ペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数4〜18
のα−オレフィンとの共重合体で結晶融点118〜12
5℃のものが好ましい。アイオノマー樹脂としては、エ
チレン、プロピレン等のα−オレフィンとアクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸との
共重合体及びこれらα−オレフィンと不飽和カルボン酸
エステルとの共重合体の一部をけん化した共重合体の陰
イオン部分をNa、K、Mg、Ca、Zn等の金属イオ
ンで一部を中和したものが用いられる。通常、Naおよ
びZnが用いられる。2価の金属イオンで一部中和して
なるアイオノマー樹脂にポリアミドオリゴマーが含まれ
ているものでもよい。
【0031】本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、
オレフィン系樹脂を2層以上積層する場合は、それぞれ
のオレフィン系樹脂は同一であっても、また異なってい
てもよい。オレフィン系樹脂は層(A)と層(B)の間
に配置されていてもよいが、好ましくは層(A)あるい
は層(A)と層(B)の積層フィルムの片側または両側
に積層される。オレフィン系樹脂を積層することにより
押出成形性、寸法安定性などが改善され、又優れたシー
ル性を付与することが出来る。
【0032】層(A)、層(B)およびオレフィン系樹
脂層には延伸性、ガスバリアー性を阻害しない範囲で熱
可塑性樹脂、無機フィラー、顔料などの無機添加物およ
び/または有機添加物、およびフィルム製造時などで発
生するトリム、屑などの回収再使用品などを添加するこ
とが出来る。また回収再使用品などを含む樹脂は1層あ
るいはそれ以上の層として別に本発明の積層フイルム中
に設けることができる。
【0033】本発明の熱収縮性フィルムを製造する方法
を以下に述べる。
【0034】本発明の熱収縮性フィルムが多層構造を有
するものである場合、多層構造体は、押出ラミネート
法、ドライラミネート法、共押出ラミネート法、共押出
シート成形法、共押出インフレ成形法、溶液コート法な
どにより積層することによって得ることができる。積層
に当り層間に接着性樹脂を介してもよい。
【0035】接着性樹脂としては、各層を強固に接着す
るものであれば、特に限定されるものではないが、不飽
和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)
をオレフィン系重合体または共重合体〔ポリエチレン
{低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超
低密度ポリエチレン}、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエ
ステル、エチルエステルなど)共重合体〕にグラフトし
たものが、好適に用いられる。
【0036】押出成形された積層物は直ちに急冷し実質
上可能な限り非晶質にすることが好ましい。次いで、該
積層体をEVOHの融点以下の範囲で再加熱し、ロール
延伸法、パンタグラフ式延伸法あるいはインフレ延伸法
などにより一軸、あるいは二軸延伸する。延伸に先立
ち、該多層構造体に放射線、電子線、紫外線などを照射
し、層(A)、層(B)あるいは/および特にオレフィ
ン系樹脂層を架橋すること、押出成形時化学架橋剤を添
加し化学架橋すること、あるいは架橋オレフィン系樹脂
層に層(A)、層(B)を積層した多層構造体を用いる
ことは、延伸成形性がより改善されるのでより好適であ
る。延伸倍率としては縦あるいは/および横それぞれ
1.3〜9倍、好ましくは1.5〜4倍であり、又加熱
温度としては、50〜140℃、好ましくは60〜10
0℃である。加熱温度が50℃以下未満では延伸性が悪
くなり、寸法変化も大きくなる。また、加熱温度が14
0℃以上になると、所望の熱収縮率が得られない。本発
明の熱収縮性フィルムを90℃熱水中に一分間浸漬した
時の面積収縮率は10%以上であり、好ましくは20%
以上、さらには30%以上、さらには45%以上であ
る。面積収縮率が10%未満であると包装品の表面にフ
ィルムのしわが発生したり、内容物と包装フィルムとの
密着性が損なわれ商品の外観が劣る事になる。また縦お
よび/または横の収縮率は10%以上が好ましく、さら
には15%以上が好ましい。
【0037】多層フィルムの構成としては、層(A)/
接着性樹脂層/オレフィン系樹脂層、オレフィン系樹脂
層/接着性樹脂層/層(A)/接着性樹脂層/オレフィ
ン系樹脂層、層(A)/層(B)/接着性樹脂層/オレ
フィン系樹脂層、オレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/
層(A)/層(B)/接着性樹脂層/オレフィン系樹脂
層、層(B)/層(A)/接着性樹脂層/オレフィン系
樹脂層、オレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/層(A)
/接着性樹脂層/層(B)/接着性樹脂層/オレフィン
系樹脂層などが代表的なものとして挙げられる。両外層
にオレフィン系樹脂層を設ける場合は、それぞれの樹脂
は異なっていてもよいし、また同じであってもよい。
【0038】また、本発明において、層(A)の含水率
については、特に限定するものではないが0.001−
10重量%以内であることが好適である。
【0039】以下、実施例により本発明をさらに説明す
るが、これによりなんら限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
実施例1 エチレン含有量44モル%、けん化度99.4%、メル
トインデックス(MI190℃、2160g荷重)5.
5g/10min.のEVOH(クラレ製EVAL EP−
E105)80重量部、芳香族ジアミン成分として90
モル%のメタキシリレンジアミンと10モル%のオルト
キシリレンジアミンを用い、ジカルボン酸成分としてア
ジピン酸を用いた芳香族系ポリアミド樹脂(三菱ガス化
学製レニー6001)20重量部を二軸スクリュータイ
プ、ベント式30mmΦの押出機に入れ、窒素ガス雰囲気
下、200℃で押出しペレット化を行った。得られたペ
レットのメルトインデックス(MI)は28g/10mi
n.であった。
【0041】上記ペレットをEVOH層の組成物として
用い、4種5層共押出装置にかけ、5層よりなる原反シ
ートを作成した。原反シートの層構成は表2に示すとお
りである。得られたシートをパンタグラフ式二軸延伸機
にかけ、70℃で延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行
った。
【0042】得られた熱収縮性多層フィルムの特性を表
3に示す。 実施例2−5、比較例1−4 表1に示すようにEVOH層の組成物を変え、表2に示
すように原反シートの層構成を変えた以外は実施例1と
同様にして熱収縮性多層フィルムを作成した。
【0043】得られた熱収縮性多層フィルムの特性を表
3に示す。 実施例6 原反シートを構成する各樹脂を複数の押出機で別々に押
出し、環状ダイに供給し、表2に示す層構成の原反シー
トを共押出した。EVOH層の組成物としては表1に示
した物を用いた。ダイから押出された筒状体を10℃の
冷却槽で冷却し、折り巾150mm、厚さ900μmのチ
ューブ状積層体を得た。該積層体を80℃に調節した加
熱槽中を通過させ昇温加熱後、チューブ状積層体内に送
られた空気によって長手方向に2.5倍、横(直径)方
向に2.5倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムの
折り巾は約375mm、厚さは140μmであった。
【0044】得られた熱収縮性多層フィルムの特性を表
3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明の熱収縮性フィルムは、均一な熱
収縮性および良好な寸法安定性を有し、熱収縮操作時、
内容物との密着性が優れており、また、ガスバリアー
性、保香性及び耐有機溶剤性が良好である。また、本発
明の熱収縮性フィルムを製造する場合、極めて延伸性が
良い為無理な延伸配向をすることなく製造でき、また、
熱安定性が良好なためゲル、ブツの発生がなく、透明性
も良好なものを得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量20−60モル%、けん
    化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    10−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−9
    0重量%からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体
    組成物層を少なくとも一層有し、かつ、90℃の熱水中
    に一分間浸漬した時の面積収縮率が10%以上である熱
    収縮性フィルム。
  2. 【請求項2】 エチレン含有量20−60モル%、けん
    化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    10−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−9
    0重量%からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体
    組成物層とポリアミド樹脂層をそれぞれ少なくとも一層
    有し、かつ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面積
    収縮率が10%以上である熱収縮性多層フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリアミド樹脂層のポリアミド樹脂が芳
    香族系ポリアミド樹脂である請求項2に記載の熱収縮性
    多層フィルム。
  4. 【請求項4】 エチレン含有量20−60モル%、けん
    化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    10−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−9
    0重量%からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体
    組成物層とオレフィン系樹脂層をそれぞれ少なくとも一
    層有し、かつ、90℃の熱水中に一分間浸漬した時の面
    積収縮率が10%以上である熱収縮性多層フィルム。
  5. 【請求項5】 エチレン含有量20−60モル%、けん
    化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    10−95重量%および芳香族系ポリアミド樹脂5−9
    0重量%からなるエチレン−ビニルアルコール共重合体
    組成物層とポリアミド樹脂層とオレフィン系樹脂層をそ
    れぞれ少なくとも一層有し、かつ、90℃の熱水中に一
    分間浸漬した時の面積収縮率が10%以上である熱収縮
    性多層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005121194A1 (ja) 2004-06-10 2005-12-22 The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd. エチレン−ビニルアルコール共重合体およびその成形物
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JP2010241910A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 樹脂組成物および多層構造物
JP2012046584A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 2軸延伸フィルム

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