JPH0577222A - スリツプキヤステイング用成形型、該成形型を使用して成形したセラミツク成形体及び前記成形型を使用するセラミツク部材の製造方法 - Google Patents

スリツプキヤステイング用成形型、該成形型を使用して成形したセラミツク成形体及び前記成形型を使用するセラミツク部材の製造方法

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JPH0577222A
JPH0577222A JP3268590A JP26859091A JPH0577222A JP H0577222 A JPH0577222 A JP H0577222A JP 3268590 A JP3268590 A JP 3268590A JP 26859091 A JP26859091 A JP 26859091A JP H0577222 A JPH0577222 A JP H0577222A
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JP
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ceramic
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ceramic molded
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JP3268590A
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English (en)
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Kazuo Osumi
和生 大角
Hidenori Kita
英紀 北
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、小形で複雑な形状をセラミック部
材に形成するスリップキャスティング用成形型、該成形
型を使用して成形したセラミック成形体及び前記成形型
を使用するセラミック部材の製造方法を提供する。 【構成】 このスリップキャスティング用成形型は、金
型2と石膏型3で構成した外枠1のキャビティ6内に取
外し可能な硬質の中子5と柔軟性で伸縮可能な中子4を
配置する。セラミック成形体の製造方法は、キャビティ
6にスラリーSを注入し、半固化時に着肉層Cから中子
5を引き抜き、中子5はセラミック成形体11に残存さ
せ、セラミック成形体11を乾燥固化した後に加熱によ
って中子5を除去する。従って、セラミック成形体に極
小で複雑な形状を成形でき、セラミック成形体の乾燥固
化時の収縮によるクラック等の発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミック成形体を
製作するためのスリップキャスティング用成形型、該成
形型を使用して成形したセラミック成形体及び前記成形
型を使用するセラミック部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック粒子、セラミック粉末
等を含むセラミック材料で噴射ノズルの先端チップ等の
小形精密部品のセラミック成形体を製作する成形方法と
して、上記小形精密部品のセラミック成形体における極
小部に複雑形状を形成する方法として、ボール盤、超音
波加工機、レーザ加工機、放電加工機等によって上記形
状を加工することは知られている。また、上記小形精密
部品のセラミック成形体を製作する成形方法として、射
出成形法、又はワックス中子を使用してスリップキャス
ティング(slip casting)で成形した後、
ワックス中子を加熱溶出する方法等が知られている。
【0003】また、窒化珪素質セラミックスの泥しょう
鋳込み成形方法として、特開昭64−5977号公報に
開示されたものがある。該成形方法は窒化珪素質セラミ
ックスの泥しょうに解膠剤としてポリアクリル酸のアン
モニウム塩を泥しょうの粉末に対し 0.1〜0.7 重量%添
加し、且つバインダとしてアクリルエマルジョンを泥し
ょう中に添加して鋳込み成形したものである。
【0004】また、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズ
ルとして、実開昭59−21084号公報に開示された
ものがある。該燃料噴射ノズルは、ノズルホルダを円筒
状の金属製ホルダ部とその先端部に位置するセラミック
材から成るノズル部とで構成され、ノズル部とホルダ部
の外部を覆って締付金具を設け、更に針弁の弁体部とノ
ズル部の内面とは微小な間隙を持って接触しないように
構成されているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
上記射出成形法では、高圧によって組成物を型内に充填
するため、例えば、ディーゼルエンジンの噴射ノズルの
噴孔形成用ピン(径:0.3mm)等は加圧時に破損す
る恐れがある。
【0006】また、スリップキャスティングで成形した
後にワックス中子を加熱溶出する方法は、精度上問題が
あり、高精度の孔等を形成することができず、成形乾燥
時に着肉部の収縮に起因する割れが発生することがあ
る。また、前掲特開昭64−5977号公報に開示され
た成形方法も同様な問題を有している。
【0007】そこで、本出願人は、上記の問題点を解決
するため、セラミック部材の成形方法、その装置及びそ
の成形方法で製作した噴射ノズルを開発し、先に特願平
2−415086号として出願した。該セラミック部材
の成形方法は、孔成形用ピンを配置した金型のキャビテ
ィにスラリーを注入する工程、スラリーの水分を多孔質
型に吸水させる工程、着肉部に保形性が発現した状態で
前記孔成形用ピンを抜き取って前記着肉部に孔を形成す
る工程、更にスラリーの水分を前記多孔質型に吸水させ
て前記着肉部を固化させる工程から成るものである。更
に、セラミック部材の成形方法において、成分やその構
成濃度の異なる組成の前記スラリーを前記キャビティに
順次注入し、異なった組成の着肉部を形成する工程を含
むものである。
【0008】また、上記セラミック部材の成形装置は、
スラリー注入口と該スラリー注入口に通じるキャビティ
を有する金型、該金型に対して着脱可能な孔成形用ピ
ン、前記金型を支持する位置決め台、該位置決め台に配
置されて前記キャビティの底部に位置する多孔質型、及
び前記位置決め台に対して着脱可能であり且つ前記キャ
ビティ内へ突出可能な成形用ピンを有するものである。
【0009】更に、上記成形方法で製作した噴射ノズル
は、その孔の形状が多角形で且つ少なくともノズル先端
部がセラミック材料から製作したものであり、また、ノ
ズル先端部のノズル本体との接合面近傍部分とそれ以外
の部分とで構成成分の種類や組成比が異なることを特徴
とするものである。
【0010】しかしながら、上記のような各種加工機を
用いてセラミック部材の極小部に複雑形状を付与する方
法では、加工機側から被加工部材の方向に拡がるような
逆テーパ面を有するような形状を加工することは困難で
あり、或いは中空部の途中に脹らみを持つ形状を形成す
ることはほとんど不可能である。また、上記のような中
子を使用する方法では、キャビティ内に設置した中子を
成形体から引き抜ける形状に構成しなければならない。
場合によっては、中子を熱により分解させて崩壊させる
方法もあるが、成形体に形成された中空部の表面粗度の
問題が生じ、該中空部を極小形状に形成することができ
ない。更に、成形体に形成される中空部を極小形状の寸
法精度はあまり高くならないという問題がある。
【0011】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、セラミック材料で多角形等の形状
を有する孔等のセラミック成形体に形成される中空部を
極小形状を高精度で形成することができると共に、被加
工部材の内部側に拡がるような逆テーパ面の形状、該中
空部の途中に脹らみを持つような形状を容易に形成で
き、中空部の表面粗度を平滑に成形でき、特に、セラミ
ック成形体の製造工程での着肉層の固化時に該着肉部が
乾燥収縮することで発生するクラック等の発生をを防止
できるスリップキャスティング用成形型、該成形型を使
用して成形したセラミック成形体及び前記成形型を使用
するセラミック部材の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決し、上記の目的を達成するために、次のように構
成されている。即ち、この発明は、吸水性のない部材と
吸水性に富んだ部材で形成したキャビティを有する外
枠、前記キャビティ内に取外し可能に配置され且つ前記
キャビティ内にスラリーを充填することで空間を形成す
る硬質の中子、及び該中子に接して前記キャビティ内に
配置され且つ前記キャビティ内にスラリーを充填するこ
とで空間を形成する柔軟性で伸縮可能な中子、から成る
スリップキャスティング用成形型に関する。
【0013】また、この発明は、上記スリップキャステ
ィング用成形型によって成形され、硬質の中子によって
噴孔を形成し、柔軟性で伸縮可能な中子によって前記噴
孔に通じる入口側のアール部を形成したノズルチップを
構成するセラミック成形体に関する。
【0014】更に、この発明は、上記スリップキャステ
ィング用成形型のキャビティ内にセラミック粉末とポリ
ビニルアルコールを含むスラリーを注入する工程、スラ
リーの水分を吸水性に富んだ部材に吸水させて着肉層を
形成する工程、該着肉部に保形性が発現した状態で硬質
の中子を抜き取って前記着肉層に空間を形成する工程、
更にスラリーの水分を前記吸水性に富んだ部材に吸水さ
せて前記着肉層を固化させてセラミック成形体を製作す
る工程、及び前記セラミック成形体を加熱して柔軟性で
伸縮可能な中子及びポリビニルアルコールを脱脂して次
いで昇温して焼成する工程から成るセラミック部材の製
造方法に関する。
【0015】
【作用】この発明によるスリップキャスティング用成形
型、該成形型を使用して成形したセラミック成形体及び
前記成形型を使用するセラミック部材の製造方法は、上
記のように構成されており、次のように作用する。即
ち、このスリップキャスティング用成形型は、吸水性に
富んだ部材を有する外枠のキャビティ内に取外し可能に
配置され且つ前記キャビティ内にスラリーを充填するこ
とで空間を形成する硬質の中子と、該中子に接して前記
キャビティ内に配置され且つ前記キャビティ内にスラリ
ーを充填することで空間を形成する柔軟性で伸縮可能な
中子から構成したので、この成形型を用いてセラミック
成形体を作製する場合に、スラリーの着肉部が半固化状
態で前記硬質の中子を前記外枠から取外してもセラミッ
ク成形体にクラックを発生させることがなく、また、前
記柔軟性で伸縮可能な中子は着肉部内に残した状態で着
肉部を完全に固化させた場合にも、セラミック成形体の
固化時の収縮で該中子がセラミック成形体にクラックを
発生させることがない。しかも、前記柔軟性で伸縮可能
な中子は加熱によって容易に消失させることができる。
【0016】また、このセラミック成形体は、上記スリ
ップキャスティング用成形型を用いて、硬質の中子によ
って噴孔を形成し、柔軟性で伸縮可能な中子によって前
記噴孔に通じる入口側のアール部を形成したノズルチッ
プを成形したので、前記アール部が被加工部材即ち成形
体自体の内部側に拡がるような逆テーパ形状であるにも
かかわらず、セラミック成形体の固化時に引き抜く必要
がなく、セラミック成形体内に残しておくことができ、
セラミック成形体内の空間を所望の形状に形成すること
ができる。
【0017】更に、このセラミック部材の製造方法は、
上記成形型のキャビティ内にセラミック粉末とポリビニ
ルアルコールを含むスラリーを注入し、該スラリーの着
肉層に保形性が発現した状態で硬質の中子を抜き取って
前記着肉層に空間を形成し、更にスラリーの水分を前記
吸水性に富んだ部材に吸水させて前記着肉層を固化させ
るので、着肉層に保形性が発現する状態では収縮はほと
んど発生していない状態であるから、前記中子は前記着
肉層に形成する孔の所定の形状を維持した状態で抜き取
ることができ、孔形状の破壊は発生しない。また、柔軟
性で伸縮可能な中子は前記着肉層内に残した状態で前記
着肉層を完全に乾燥固化させるので、前記中子を抜き取
った中空部へ前記伸縮可能な中子の一部が変形移動し、
前記着肉層の乾燥固化による成形体自体のクラックは発
生しない。従って、小形で精度を要求される燃料噴射ノ
ズルの噴孔等の孔を、セラミック成形体の内部側にアー
ル部を備えた噴孔等の複雑形状を有する孔を高精度で製
作することができる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明によるスリ
ップキャスティング用成形型、該成形型を使用するセラ
ミック部材の製造方法及び該製造方法で成形したセラミ
ック成形体の実施例を説明する。
【0019】まず、図1を参照して、この発明によるス
リップキャスティング用成形型の一実施例を説明する。
図1はこの発明によるスリップキャスティング用成形型
の一実施例を示す断面図である。このスリップキャステ
ィング用成形型は、吸水性のない部材としての金型2と
吸水性に富んだ部材としての多孔質型である石膏型3と
から成るキャビティ6を形成した外枠1、該外枠1のキ
ャビティ6内に取外し可能に配置され且つキャビティ6
内にスラリーを充填することで空間を形成することがで
きる中子5、及び該中子5に接してキャビティ6内に配
置され且つキャビティ6内にスラリーを充填することで
空間を形成する柔軟性で伸縮可能な中子4から構成され
ている。
【0020】このスリップキャスティング用成形型にお
いて、中子5は、例えば、φ0.2mmの硬質材料から
成る一種の孔形成用ピンである。また、中子4は、シリ
コーンゴム等の柔軟性即ち弾性があり且つ伸縮性を有す
る材質であり、室温で硬化する二液型のシリコーンゴム
が好ましい材料である。特に、中子4をシリコーンゴム
で製作した場合には、中子4によって形成されるセラミ
ック成形体の表面は、極めて平滑な面にすることがで
き、表面粗度は良好である。例えば、燃料噴射ノズル等
の噴孔を形成する場合に、噴孔の面が平滑であり、表面
加工を施す必要が無いので、液体に対する抵抗を低減で
き、噴射速度を低減することなく、所望の噴射パターン
を形成させることができる。
【0021】次に、この発明による上記のスリップキャ
スティング用成形型を使用するセラミック部材の製造方
法を、図1、図2、図3、図4及び図5を参照して説明
する。図2はスリップキャスティング用成形型にスラリ
ーを充填した工程を示す断面図、図3はスリップキャス
ティング用成形型内のスラリーが一部固化した状態で中
子を引き抜いた工程を示す断面図、図4はスリップキャ
スティング用成形型から取り外したセラミック成形体を
示す断面図、及び図5はセラミック成形体を焼成して中
子を除去したセラミック焼結体を示す断面図である。
【0022】このセラミック部材の製造方法は、図1に
示すスリップキャスティング用成形型を使用してセラミ
ック成形体を作製し、次いで該セラミック成形体を焼成
してセラミック部材を製造するものである。このセラミ
ック部材の製造方法は、主として、上記のスリップキャ
スティング用成形型で形成されているキャビティ6内に
セラミック粉末とポリビニルアルコールを含むスラリー
Sを注入する工程、スラリーSの水分を吸水性に富んだ
部材である石膏型3に吸水させて着肉層Cを形成する工
程、該着肉層Cに保形性が発現した状態で中子5を抜き
取って着肉層Cに空間である孔12を形成する工程、更
にスラリーSの水分を石膏型3に吸水させて着肉層Cを
乾燥固化させてセラミック成形体11を製作する工程、
及びセラミック成形体11を加熱して柔軟性で伸縮可能
な中子4及びポリビニルアルコールを除去して次いで昇
温して焼成し、セラミック焼結体であるセラミック部材
9を製造する工程から成るものである。
【0023】次に、このセラミック部材の製造方法を、
更に具体的に詳述する。このセラミック部材の製造方法
において、金型2に石膏型3を組み込んでキャビティ6
を形成した外枠1を形成する。図1に示すように、この
外枠1に、φ0.2mmの中子5を差し込んで立設し、
この中子5の中心部にシリコーンゴムを盛り付けて柔軟
性で伸縮可能な中子4を形成する。一方、窒化ケイ素
(Si34 )の粉末と酸化アルミニウムAl2 3
粉末と酸化イットリウムY2 3 の粉末とを92:3:
5の割合で調合して原料粉末を作る。この原料粉末に蒸
留水、解こう剤、ポリビニルアルコールPVAを混合し
てスラリーSを作る。次に、図2に示すように、中子
4,5を設置した外枠1に形成されているキャビティ6
内に、スラリーSを流し込んだ。スリップキャスティン
グ用成形型のキャビティ6内にスラリーSを流し込んだ
状態で1.5時間放置し、スラリーSの水分を石膏型3
に吸水させてある程度まで固化させて着肉層Cを形成し
た。図3に示すように、着肉層Cが収縮を始める前に、
スリップキャスティング用成形型から硬質の中子5を引
抜いた。その後、着肉層Cの水分を石膏型3に十分に吸
水させてセラミック成形体11を形成した後に、図4に
示すように、セラミック成形体11をスリップキャステ
ィング用成形型から脱型し、セラミック成形体11を取
り出した。このセラミック成形体11を十分に乾燥した
後に、セラミック成形体11を窒素ガスN2 中で500
℃に加熱してセラミック成形体11に残っている中子4
及びポリビニルアルコールPVAを脱脂し、セラミック
成形体11の内部に脹らみ部8を持つ空間部を形成し
た。このセラミック成形体11を、9.5kg/cm2
の圧力の下で窒素ガスN2 中で1750℃で焼成し、図
5に示すようなセラミック焼結体即ち窒化ケイ素焼結体
9を得ることができた。
【0024】このセラミック焼結体9は、上記のように
して製作するので、外枠1の形状、中子4,5の形状を
特定の形状に形成しておくことにより、種々のセラミッ
ク部材に使用できるものとなる。特に、このセラミック
焼結体9については、中子5を引き抜いた後に、中子4
はセラミック成形体11内に残っているが、シリコーン
ゴム等の柔軟性即ち弾性があり且つ伸縮性を有する材質
であるので、中子5を引き抜いた空間へと若干伸縮性に
よって変形移動でき、セラミック成形体11の乾燥収縮
時に中子4は追従でき、セラミック成形体11にクラッ
ク等を発生させることがない。しかるに、従来の中子に
よるセラミック成形体の製造方法では、セラミック成形
体の乾燥収縮時に、硬質の中子が存在するためセラミッ
ク成形体にクラック等が発生していた。
【0025】次に、この発明によるセラミック成形体の
製造方法の別の実施例を、図6、図7、図8、図9、図
10及び図11を参照して説明する。図6はこの発明に
よるスリップキャスティング用成形型の別の実施例を示
す断面図、図7は図6の成形型にスラリーを流し込んだ
状態を示す断面図、図8は図7の成形型から硬質の中子
を引き抜いた状態を示す断面図、図9は硬質の中子とシ
リコーンゴムによる中子を示す斜視図、図10はスリッ
プキャスティング用成形型から脱型したセラミック成形
体を示す断面図、図11はこの発明によるセラミック部
材の製造方法で製作したセラミック焼結体であるノズル
チップを示す断面図、及び図12はこのセラミック成形
体の製造方法で製作したノズルチップを用いて作製した
燃料噴射ノズルを示す概略図である。
【0026】このセラミック部材の成形方法の実施例
は、例えば、ディーゼルエンジンに使用する燃料噴射ノ
ズルのノズルチップを製作するのに適用されている。図
1に示すようなスリップキャスティング用成形型を用い
てセラミック成形体を製造する。具体的には、このセラ
ミック部材の製造方法で作製したセラミック焼結体13
は、中子15によって成形孔である噴孔16が形成さ
れ、柔軟性で伸縮可能な中子14によって噴孔16に通
じる噴孔入口側のアール部17を形成したノズルチップ
である。
【0027】このセラミック部材の成形方法によって、
別の実施例として燃料噴射ノズルのノズルチップを製作
するため、図6に示すようなスリップキャスティング用
成形型を利用する。このスリップキャスティング用成形
型は、吸水性のない部材としての金型22と吸水性に富
んだ部材としての多孔質型である石膏型23とから成る
キャビティ21を形成した外枠20、該外枠20のキャ
ビティ21内に取外し可能に配置され且つキャビティ2
1内にスラリーを充填することで空間即ち噴孔16(図
11)を形成することができる中子としての噴孔形成用
ピン15、ノズルサック18(図11)を形成すること
ができる中子としてのノズルサック形成用ピン19、及
び噴孔形成用ピン15とノズルサック形成用ピン19の
各中子に接してキャビティ21内に配置され且つキャビ
ティ21内にスラリーを充填することで空間即ち入口側
のアール部17(図11)を形成する柔軟性で伸縮可能
な中子14から構成されている。
【0028】金型22は燃料噴射ノズルのノズルチップ
の外形形状を有しており、石膏型23は燃料噴射ノズル
のノズル本体との接合面を構成するように形成されてい
る。また、金型22には噴孔形成用ピン15を挿入或い
は引抜き可能にする孔28が形成され、石膏型23には
ノズルサック形成用ピン19を挿入或いは引抜き可能に
する孔27が形成されている。噴孔形成用ピン15は、
例えば、0.19mm×0.51mmの硬質材料から成
るピンである。また、中子14は、シリコーンゴム等の
柔軟性即ち弾性があり且つ伸縮性を有する材質であり、
特に、室温で硬化する二液型のシリコーンゴムが好まし
い材料である。この中子14は、図9に示すように、噴
孔形成用ピン15に盛り付けて付着させ、キャビティ2
1内に挿入し、ノズルサック形成用ピン19の表面7に
当接させてキャビティ21内に設定するものである。
【0029】一方、原料粉末としてジルコニアZrO2
の粉末を用いる。このジルコニアZrO2 の粉末を蒸留
水、解こう剤、ポリビニルアルコールPVAを混合して
スラリーSを作る。次に、図7に示すように、噴孔形成
用ピン15、ノズルサック形成用ピン19及び中子14
を設置した外枠20に形成されているキャビティ21内
に、スラリーSを流し込む。キャビティ21内に注入口
24からスラリーSを流し込んだ状態で1.5時間放置
し、スラリーSの水分を石膏型23に吸水させてある程
度まで固化させて着肉層Cを形成した。図8に示すよう
に、着肉層Cが収縮を始める前に、スリップキャスティ
ング用成形型の硬質の金型22に形成した孔28から硬
質の噴孔形成用ピン15を引き抜くと共に、石膏型23
に形成した孔27からノズルサック形成用ピン19を引
抜いた。その後、着肉層Cの水分を石膏型23に十分に
吸水させてセラミック成形体10を形成した後に、図1
0に示すように、セラミック成形体10をスリップキャ
スティング用成形型から脱型し、セラミック成形体10
を取り出した。このセラミック成形体10を十分に乾燥
した後に、セラミック成形体10を窒素ガスN2 中で5
00℃に加熱してセラミック成形体10に残っている中
子14及びポリビニルアルコールPVAを脱脂し、セラ
ミック成形体10の内部に脹らみを持つ孔即ち噴孔16
の入口側アール部17を形成した。このセラミック成形
体10を、大気中で1500℃で焼成し、図11に示す
ようなセラミック焼結体即ちジルコニア焼結体13を得
ることができた。このジルコニア焼結体13はノズルチ
ップを構成するものである。次いで、図12に示すよう
に、ノズルチップ13を銀ろうを用いてノズル本体25
に接合部26で接合し、燃料噴射ノズルを作製した。
【0030】このセラミック焼結体は、中子である噴孔
形成用ピン15とノズルサック形成用ピン19を引き抜
いた後に、中子14は、セラミック成形体10内に残っ
ているが、シリコーンゴム等の柔軟性即ち弾性があり且
つ伸縮性を有する材質であるので、噴孔形成用ピン15
とノズルサック形成用ピン19を引き抜いた空間へと若
干伸縮性によって変形でき、セラミック成形体10の乾
燥収縮時に中子14は追従でき、セラミック成形体にク
ラック等を発生させることがない。
【0031】上記各実施例では、このセラミック部材の
成形方法において、上記セラミック粉末として、窒化ケ
イ素粉末及びジルコニア粉末を用いたが、これらの他
に、チタン酸アルミニウム、ムライト、チタン酸カリウ
ム等を使用することができる。また、有機バインダとし
ては、ポリビニルアルコールPVAの他にセラミック部
材の製造工程における寸法収縮を抑制することができる
熱可塑性アクリル樹脂を使用することができる。
【0032】
【発明の効果】この発明によるスリップキャスティング
用成形型、該成形型を使用して成形したセラミック成形
体及び前記成形型を使用するセラミック部材の製造方法
は、上記のように構成されており、次のような効果を有
する。即ち、この発明によるスリップキャスティング用
成形型は、吸水性のない部材と吸水性に富んだ部材で形
成したキャビティを有する外枠、前記キャビティ内に取
外し可能に配置され且つ前記キャビティ内にスラリーを
充填することで空間を形成する硬質の中子、及び該中子
に接して前記キャビティ内に配置され且つ前記キャビテ
ィ内にスラリーを充填することで空間を形成する柔軟性
で伸縮可能な中子から構成したので、成形体の単純な形
状を取外し可能な硬質の中子で形成し、また、成形体の
複雑形状は成形体内に残存させる柔軟性で伸縮可能な中
子で形成するように構成すれば、セラミック成形体に精
度に富んだ形状を容易に形成することができる。
【0033】また、このセラミック成形体は、上記スリ
ップキャスティング用成形型によって成形され、中子に
よって噴孔を形成し、柔軟性で伸縮可能な中子によって
前記噴孔に通じる入口側のアール部を形成したノズルチ
ップを構成したので、セラミック成形体であるノズルチ
ップ成形体にクラックが発生することなく、噴孔入口側
のアール部を良好に成形することができる。しかも、燃
料噴射ノズルに形成する噴孔自体を四角形等の異形噴孔
に容易に形成でき、噴射圧抵抗を低減することなく、燃
焼形態を改善できる良好な噴霧パターンで噴射させるこ
とができる。
【0034】更に、このセラミック部材の製造方法は、
上記スリップキャスティング用成形型のキャビティ内に
スラリーの水分を吸水性に富んだ部材に吸水させて着肉
層を形成し、該着肉層に保形性が発現した状態で硬質の
中子を抜き取って前記着肉層に空間を形成し、更にスラ
リーの水分を前記吸水性に富んだ部材に吸水させて前記
着肉層を固化させてセラミック成形体を製作し、前記セ
ラミック成形体を加熱して柔軟性で伸縮可能な中子及び
ポリビニルアルコールを除去して次いで昇温して焼成す
るので、セラミック部材の着肉部に形成される複雑な形
状を維持した状態を柔軟性で伸縮可能な中子で保持で
き、正確で且つ確実に所望の形状を成形することができ
る。特に、小形で複雑な形状を有する噴孔等を有する成
形体を高精度で製作することができ、柔軟性で伸縮可能
な中子をシリコーンゴムで製作すると、表面が極めて平
滑な面に形成することができる。また、乾燥固化時にセ
ラミック成形体内に複雑形状を成形する柔軟性で伸縮可
能な中子を残存させることができるので、硬質の中子は
半固化時に容易に抜き取ることができる単純な形状に形
成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるスリップキャスティング用成形
型の一実施例を示す断面図である。
【図2】スリップキャスティング用成形型にスラリーを
充填した工程を示す断面図である。
【図3】スリップキャスティング用成形型内のスラリー
が一部固化した状態で中子を引き抜いた工程を示す断面
図である。
【図4】スリップキャスティング用成形型から取り外し
たセラミック成形体を示す断面図である。
【図5】セラミック成形体を焼成して中子を除去したセ
ラミック焼結体を示す断面図である。
【図6】この発明によるスリップキャスティング用成形
型の別の実施例を示す断面図である。
【図7】図6の成形型にスラリーを流し込んだ状態を示
す断面図である。
【図8】図7の成形型から硬質の中子を引き抜いた状態
を示す断面図である。
【図9】硬質の中子とシリコーンゴムによる中子を示す
斜視図である。
【図10】スリップキャスティング用成形型から脱型し
たセラミック成形体を示す断面図である。
【図11】この発明によるセラミック部材の製造方法で
製作したセラミック焼結体であるノズルチップを示す断
面図である。
【図12】このセラミック成形体の製造方法で製作した
ノズルチップを用いて作製した燃料噴射ノズルを示す概
略図である。
【符号の説明】
1,20 外枠 2,22 金型(吸水性のない部材) 3,23 石膏型(吸水性に富んだ部材) 4,14 柔軟性で伸縮可能な中子 5 硬質の中子 6,21 キャビティ 8 脹らみ部 9 セラミック焼結体 10,11 セラミック成形体 13 セラミック焼結体(ノズルチップ) 15 噴孔形成用ピン(硬質の中子) 16 噴孔 17 アール部 19 ノズルサック形成用ピン(硬質の中子)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性のない部材と吸水性に富んだ部材
    で形成したキャビティを有する外枠、前記キャビティ内
    に取外し可能に配置され且つ前記キャビティ内にスラリ
    ーを充填することで空間を形成する硬質の中子、及び該
    中子に接して前記キャビティ内に配置され且つ前記キャ
    ビティ内にスラリーを充填することで空間を形成する柔
    軟性で伸縮可能な中子から成るスリップキャスティング
    用成形型。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスリップキャスティン
    グ用成形型によって成形され、硬質の中子によって噴孔
    を形成し、柔軟性で伸縮可能な中子によって前記噴孔に
    通じる入口側のアール部を形成したノズルチップを構成
    するセラミック成形体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のスリップキャスティン
    グ用成形型のキャビティ内にセラミック粉末とポリビニ
    ルアルコールを含むスラリーを注入する工程、スラリー
    の水分を吸水性に富んだ部材に吸水させて着肉層を形成
    する工程、該着肉層に保形性が発現した状態で硬質の中
    子を抜き取って前記着肉層に空間を形成する工程、更に
    スラリーの水分を前記吸水性に富んだ部材に吸水させて
    前記着肉層を固化させてセラミック成形体を製作する工
    程、及び前記セラミック成形体を加熱して柔軟性で伸縮
    可能な中子及びポリビニルアルコールを除去して次いで
    昇温して焼成する工程から成るセラミック部材の製造方
    法。
JP3268590A 1991-09-20 1991-09-20 スリツプキヤステイング用成形型、該成形型を使用して成形したセラミツク成形体及び前記成形型を使用するセラミツク部材の製造方法 Pending JPH0577222A (ja)

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