JPH0576977B2

JPH0576977B2 -

Info

Publication number: JPH0576977B2
Application number: JP4843886A
Authority: JP
Inventors: Yasuo Matsumura; Toyofumi Inoe
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1986-03-07
Filing date: 1986-03-07
Publication date: 1993-10-25
Also published as: JPS62207375A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野本発明は、インクジエツト記録用インク組成物
に関する。

従来の技術インクジエツト記録は、騒音の発生が少なく、
カラー化が容易であり、かつ普通紙に対して特別
な定着を要することなく、高速記録を行えること
などから様々な方式のものが研究され、開発され
ている。これらインクジエツト記録に用いられる
インク組成物として主に以下に示す様な特性が要
求される。

噴射ノズル内で目詰まりを生じないこと、粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあ
ること、被記録媒体への定着速度が速いこと、保存安定性に優れていること、記録画像の濃度が充分に高く、品質が良好で
あること、記録画像が、耐水性、耐光性、耐摩擦性に優
れていること。

従来、酸性染料、直接染料などの水溶性染料、
グリコール系溶剤などの湿潤剤及び防腐剤などを
水性媒体中に溶解した水性インクあるいは、油溶
性染料を使用した油性インクなどが知られてい
る。

発明が解決しようとする問題点しかしながら、上記水性インクは、その染料の
物性により油溶性染料を使用した油性インクと比
較して、耐水性に劣り、又、紙などの被記録媒体
に対し、記録時に均等に浸透して画像を形成する
ため、充分な記録濃度を得るには染料濃度を増や
す必要性を生じ、蒸発、乾燥などによる噴射ノズ
ルの目詰まりなどの不都合を生じる欠点を有して
いた。

一方、油溶性染料を使用した油性インクは、水
性インクと比較し、耐水性は良好であるが、紙な
どに記録した場合、にじみ、裏移りが多いという
問題があり、また、使用する溶剤によつては蒸気
毒性、臭気、及び引火性の問題があつた。

本発明は、水性及び油性インクにおける上記の
ような問題点を解消することを目的としてなされ
たものである。即ち、本発明の目的は、高濃度でかつ耐水、耐光性に優れ高品質の記
録画像を形成し得るインクジエツト記録用イン
ク組成物を提供すること、噴射ノズル内で目詰まりを生じ難いインクジ
エツト記録用インク組成物を提供すること、及
び、経時による固形物の析出や物性変化のない保
存安定性に優れたインクジエツト記録用インク
組成物を提供すること、蒸気毒性、臭気、引火性の低い安全で安価な
インクジエツト記録用インク組成物を提供する
ことにある。

問題点を解決するための手段及び作用本発明の上記目的は、水を主成分とする媒体中
に油溶性染料を溶解した有機溶剤を微粒子化分散
してインク組成物を製造することによつて達成さ
れる。

本発明のインク組成物において、油溶性染料を
溶解した有機溶剤が微粒子状の油滴となつて水を
主成分とする媒体中に乳化分散した状態になつて
いる。

本発明において、「水を主成分とする媒体」（以
下、「水性媒体」という。）とは、水又は水と少量
の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて
界面活性剤、湿潤剤、安定化剤等の添加剤を添加
したものを意味する。

本発明において用いる有機溶剤は、一種類の溶
剤成分よりなつていてもよく、又二種類以上の溶
剤成分の混合物であつてもよい。例えば、乾燥速
度を調節する目的で、沸点の低い溶剤成分を使用
する場合には、インク組成物の沸点の高い溶剤成
分と組合せて使用される。この有機溶剤は、乳化
後の油滴の分散安定性を良好に保つ上で、常温に
おける比重が0.9〜1.1の範囲にあることが必要で
あり、0.95〜1.05の範囲にあるのが一層望まし
い。比重が水の比重に近いほど油滴の分散安定性
は良好になる。

なお、比重が上記範囲外の溶剤成分であつて
も、数種類のものを混合して上記範囲になるよう
に調整したものも、本発明において有機溶剤とし
て有利に使用できる。

また、有機溶剤は、水への溶解度が１重量％未
満であることが必要である。水への溶解度が１重
量％以上の有機溶剤を使用すると、油滴を保持す
ることができたとしても、水性媒体の極性が変化
し、有機溶剤に溶解している油溶性染料の水性相
への溶解量が多くなり、油滴の凝集、油溶性染料
の析出を招くことになる。

本発明において用いる有機溶剤を構成する溶剤
成分としては、例えばシクロヘキシルベンゼン、
ジエチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシ
ルベンゼン、ｍ−クロロベンゼン、、１，２，４
−トリクロロベンゼン、１−ブロモナフタレン、
ヘキサフルオロベンゼン、（１，２−ジフルオロ
エタン）１−ヘキサノール、１−ヘプタノール、
２−ヘプタノール、１−オクタノール、２−エチ
ル−１−ヘキサノール、１−ノナール、３，５，
５−トリメチル−１−ヘキサノール、１−デカノ
ール、フエネトール、ジエチレングリコール、ジ
ブチルエーテル、ホロン、アセトフエノン、カプ
リン酸、２−エチルヘキサン酸などがあげられ
る。

また、有機溶剤に溶解する油溶性染料として
は、水に不溶であつて有機溶剤に可溶なものであ
れば特に限定されるものではなく、例えば、ソルベントイエロー４，10，12，19，25、25，
26，28，29，36，38及び76 ソルベントレツド 19，24，27，29，19，63，
66，67，68，97，127及び128 ソルベントブルー 33，52，55，67及び70 ソルベントブラツク 10，11，13，14，８，19，
20及び21 その他、デイスパースイエロー３及び16 デイスパースブラツク３及び７などがあげられ
る。

本発明のインク組成物は、所定量の油溶性染料
を前記有機溶剤に溶解して染料溶液を生成し、こ
れを水性媒体中に添加し乳化分散させることによ
つて得られる。この場合における水性媒体と油溶
性染料を溶解した有機溶剤（以下、「染料溶液」
という。）との混合比は重量比で50：50ないし
90：１の範囲に設定するのが好ましく、より好ま
しくは65：35〜85：15の範囲に設定する。

本発明のインキ組成物において乳化分散した染
料溶液の微粒子状油滴は、インクジエツトノズル
の口径（通常２〜30μ）より小さい粒径を有する
必要がある。

一方、染料溶液の微粒子状油滴の分散安定性は
その粒径が小さいほど良好になるので、分散安定
性の点からみれば、染料溶液の微粒子状油滴は
10μ以下の粒径を有するのが望ましい。したがつ
て、本発明のインク組成物においては、染料溶液
の微粒子状油滴が、粒径が10μ以下で、かつ、イ
ンクジエツトノズルの口径より小さくなるように
染料溶液を乳化分散させるのが望ましい。

本発明において、染料溶液を微粒子状に、かつ
安定に乳化分散させるためには、水性媒体中に界
面活性剤、湿潤剤あるいは分散安定剤を添加する
のが望ましい。また添加剤として防黴剤が加えら
れてもよい。また、油滴成分となる有機溶剤中に
界面活性剤を含有させることも可能である。

本発明において使用できる界面活性剤として
は、周知のもの例えば、ドデシル硫酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフエニルエーテル、ポリオキシエチレン
ノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン−モノラウレートなどがあげられる。

また湿潤剤としては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール＃200、同＃300、
同＃400、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、１，３
−ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコー
ル−モノブチルエーテル、トリエタノールアミン
などがあげられる。

染料溶液の乳化分散は常法によつて行うことが
できるが、乳化分散に先立つて、水性媒体及び染
料溶液は濾過して固形物を除去しておくことが、
インクジエツトノズルの目詰り防止の上で必要で
ある。

乳化分散に用いる分散機としては、化学実験用
のラボスターラー、アトライター、ボールミル、
ダイノミル、マグスタラー等、種々のものが使用
できる。

実施例以下、本発明を実施例によつて説明する。

実施例１溶液Ａ：ドデシル硫酸ナトリウム0.5％水溶液を
膜厚0.45μｍのニトロセルロース製メンブラン
フイルターで濾過した。

溶液Ｂ：アセトフエノン（水への溶解度0.55重量
％、比重1.02）中にソルベントイエロー28を10
重量％を加え、溶解後、膜厚0.8μｍの再生セル
ロース製メンブランフイルターで濾過した。

インク：溶液Ａ：80部と溶液Ｂ：20部を混合し、
デイスパーサー（ヤマト科学製ウルトラデイス
パーサー）にて１時間分散した。

以上の様にして得られたインクを市販のインク
オンデマンド型インクジエツトプリンターを用
い、市販のインクジエツト用紙に印字したとこ
ろ、得られた記録画像は、濃度が高く、極めて鮮
明であつた。また、水中に５分間浸した時の画像
のにじみ及び濃度低下は、目視では観察されなか
つた。

実施例２実施例１の溶液Ｂにおけるアセトフエノンの代
わりにシクロヘキシルベンゼン（水に不溶、比重
0.94）を、ソルベントイエロー28の代わりにソル
ベントブルー67をそれぞれ用い、その他は実施例
１と同様にしてインク組成物を形成した。得られ
たインク組成物の分散状態は極めて良好で、作製
後、１か月間室温で放置した場合でも液の分離は
起らず、保存安定性にも優れていた。更に実施例
１におけると同様の印字テストをおこなつたとこ
ろ、同様に良好な結果が得られた。

実施例３実施例１の溶液Ｂにおけるアセトフエノンの代
わりに１，１，２，２−テトラクロロ−１，２−
ジフルオロエタン（水に不溶）（商品名ダイフロ
ンＳ−２）とｎ−デシルアルコール（水に不溶）
を１：２の比率で混合したもの（比重0.98）を用
い、これに、油溶性染料として、ソルベントブラ
ツク８を10重量％加え、加熱溶解後、充分に冷却
し、遠心分離機により、不溶物質を除いた。得ら
れた上澄を実施例１の溶液Ａと、溶液A80部：溶
液B20部の比率で混合した。得られた混合物20ml
をとり、ヤマト科学製ウルトラデイスパーサーに
て１時間分散し、顕微鏡観察により油滴の粒径を
測定したところ、最大径で9.5μｍ程度であつた。
得られたインク組成物を市販のインクジエツトプ
リンターに使用したところ、鮮明な印字が可能で
あり、又、水中に５分間浸漬した際の画像濃度の
低下は殆ど観察されなかつた。又、１週間の保存
においても、まつたく安定であつた。

発明の効果本発明のインクジエツト記録用インク組成物
は、水性媒体中に油溶性染料を溶解した有機溶剤
が微粒子状に乳化分散してなるから、それを用い
てインクジエツト記録用紙の上に印字した場合、
水性媒体は、紙内部に速やかに浸透し、一方、油
溶性染料は、選択的に紙の表面に残存する事にな
るので、滲みのない高い濃度の画像が得られる。
しかも、水によつて画像の滲みや濃度低下も来た
さない。更に、本発明のインク組成物は、安定性
に優れ、長期にわたりインクジエツト記録装置の
インクジエツトノズルに目詰を生じるさせること
がない。

Claims

【特許請求の範囲】

１水を主成分とする媒体中に油溶性染料を溶解
した有機溶剤を微粒化分散させてなり、該有機溶
剤の水への常温における溶解度が１重量％未満で
あり、かつ、油溶性染料を溶解する前における有
機溶剤の比重が、常温で0.9乃至1.1の間にあるこ
とを特徴とするインクジエツト記録用インク組成
物。