JPH057614U - 断熱複合紙カツプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエチレンフィルム１と紙２とのラミネー
ト紙のポリエチレンフィルム側をカップの内側とし、紙
側の外周面に柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シート４を被
覆し、さらにその外周面に紙５を被覆してなる断熱複合
紙カップ。トップカール部９及び底部接着部１０となる
部分をあらかじめ熱圧着して薄くしておき、カップの縁
にトップカール１１を施し、底部１２の周縁部を熱圧着
して薄くしておき、ヒートシール法により胴部の下部に
接合する。 【効果】 最外層が紙であるため、印刷性及び見ばえの
良い、断熱性の複合紙カップが提供される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は断熱複合紙カップに関し、更に詳しくは、適度の剛性を有し、しかも 断熱性に優れており、且つ非常に美麗な印刷層を施し得る断熱複合紙カップに関 するものである。 尚、本考案におけるカップは、飲料用のカップの他、牛乳、ジュース、酒等の 容器を全て包含するものとして用いられる。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えばホット飲料用としてはポリエチレンをラミネートした紙カップや ハイインパクトスチレン等のプラスチックカップが用いられている。しかし乍ら 、これらは剛性に欠け子供等が固く握りしめると容易に変形し、内容物が溢れ火 傷する危険があり、また断熱性が充分でないために手で持つには熱すぎるという 欠点がある。

【０００３】 他方、温湯食品用カップとしては、内側にポリエチレンをラミネートした紙カ ップの胴部外側にコルゲートした紙を貼合して断熱層を形成させたもの、発泡ポ リスチレンシートを真空成型もしくは加圧成型してカップ状若しくは丼状にした もの、あるいは発泡プラスチックビーズを熱融着させて成型した所謂ビーズカッ プまたは真空成型したハイインパクトポリスチレンで造ったカップを二重に組み 合わせて中間に空気層を形成させて断熱層とした所謂二重カップなどがある。し かし、これらは温湯食品用カップとしては剛性及び断熱性には優れているが、胴 部外周面の印刷性及び見ばえが良くないという問題点がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案はかかる実情に鑑み、これらの問題点を一挙に解消した断熱複合紙カッ プを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案は、ポリエチレンフィルムと紙とのラミネート紙のポリエチレン フィルム側をカップの内側とし、紙側の外周面に柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シ ートを被覆し、さらにその外周面に紙を被覆してなる断熱複合紙カップを内容と するものである。

【０００６】 本考案の実施態様を示す図面に基づいて説明する。 図１乃至図３は、それぞれ本考案に用いられるカップ用積層材料を示す概略断 面図で、図１は、内面（矢示方向）にポリエチレンフィルム１でラミネートした 紙２の外周面に接着剤層３を設けて柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シート４を接着 させ、さらにその外周面に接着剤層を設けることなく紙５を被覆させている。

【０００７】 本考案に用いられる柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シートとしては、ポリエチレ ン、軟質ポリウレタン、軟質塩化ビニル、蒸気処理ポリスチレン等の発泡シート が好適に用いられ、特に、柔軟・伸縮性に優れているばかりでなく廃棄処理がし 易い点で、ポリエチレンの発泡シートが好適である。これらの発泡シートは柔軟 でしかも伸縮性があるため、円錐台形に成形したときには発泡シートの内面が収 縮し、外面が伸長する。即ち、図１のように発泡シートの内側のみに接着剤層を 設けた場合、発泡シートの外側に接する紙は発泡シートと接着されていないため 、成形時の発泡シートの伸縮の影響を受けることがないので、発泡シートの両側 に互いに接着層を設けて紙でサンドして成形したときのように紙に折れじわが発 生するようなことはなく、綺麗な外観を呈し、印刷性も良好である。

【０００８】 図２は、発泡シート４の外側のみに接着剤層６を設けた積層材料を示し、この 場合も発泡シートの内側に接する紙２は発泡シートと接着されていないため、成 形時における発泡シートの伸縮の影響を受けず、従って図１と同様に、紙の折れ じわを発生させることがない。

【０００９】 図３は、発泡シート４の両側のいずれにも接着剤層を設けない構成からなり、 この場合は発泡シート４の両側の紙２，５がともにフリーとなるため、成形時に おける発泡シートの伸縮の影響を全く受けず、紙の折れじわは全く発生しない。

【００１０】 上記の如きカップ用積層材料は、いずれもカップの胴部最外層が紙であり、し かも折れじわの発生がないため、印刷層を非常に綺麗に施すことができ好都合で ある。上記積層材料は、扇形状に切り抜いてから、該積層材料の、カップを形成 する胴部の継ぎ目接着部の接着剤層のない紙層と発泡シート層とをあらかじめヒ ートシール法により仮止めしておくこと、及びトップカール部と底部接着部とな る部分をあらかじめ熱圧着することにより薄くしておくことを特徴とする他は常 法によりカップに成形される。

【００１１】

【実施例】

以下、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本考案はこれにより何ら制限さ れるものではない。

【００１２】 実施例１ 内面にポリエチレンフィルム１をラミネートした晒クラフト紙２（坪量：１２ ０ｇ／m²）の紙側にアクリル系接着剤（サイビノールＸ−４８９−０１９Ｅ−３ 、サイデン化学株式会社製）をマイヤーバーを用いて、ドライで約２０ｇ／m²に なるようにコーティングを行い、オーブンで１２０℃×１分間乾燥して接着剤層 ３を形成させた後、その上に厚さ２mmの発泡ポリエチレンシート４を貼合せた。 発泡シート４の他の側（接着剤層が存在しない側）にも前記と同じ晒クラフト紙 ５を積層し図１に示すようなカップ用積層材料を得た。

【００１３】 次いで、図４に示すように該積層材料を扇形状に切抜いてから、この積層材料 の、カップを形成する胴部の継ぎ目接着部７をあらかじめヒートシール法により 発泡ポリエチレンシート４と紙５を仮止めしておいてから、ポリエチレンフィル ム１がカップの内側になるように円錐台状に成形した。 この時に、積層材料の仮止めしていない端部８の各層にずれが生じるが、最外 層の晒クラフト紙５の上に、仮止めしておいた部分が約５mm重なり前記ずれが隠 れるようにヒートシールした。 次いで、図６に示すように、成形された円錐台のトップカール部９及び底部接 着部１０となる部分をあらかじめ熱圧着することにより薄くしておき、カップの 縁にトップカール１１を施し、一方、胴部と同一構成の積層材料からなる底部１ ２の周縁部１３を、あらかじめ図５のようにドーナツ状に熱圧着して薄くしてお き、これをヒートシール法により胴部の下部に接合して断熱複合紙カップを作製 した。 このようにして作製された断熱複合紙カップは、厚さ２mmの発泡ポリエチレン シートを紙でサンドしているにもかかわらず胴部最外層の紙にしわが生じること なく、剛性はもちろん断熱性も優れており、しかも胴部最外層が紙であるため、 印刷層を施したときの印刷性及び見ばえは非常に美麗なものであった。

【００１４】 実施例２ 実施例１において、ポリエチレンフィルムラミネートした晒クラフト紙２側の 接着剤層３を省略し、最外層側の晒クラフト紙５側に実施例１と同様に接着剤層 ６を設け、発泡シート４に貼合せ図２に示すような積層材料を得た。この積層材 料を用い、実施例１と同様にして断熱複合カップを得た（但し、発泡シート４と 紙２とを仮止めする）ところ、結果は同じく良好であった。

【００１５】 実施例３ 実施例１において、接着剤層３を省略した構成の、図３に示すような積層材料 を用い、実施例１と同様にして断熱複合カップを得た（但し、発泡シート４と紙 ２及び紙５とを仮止めする）ところ、結果は同じく良好であった。

【００１６】 比較例 実施例１において、更に発泡シート４と晒クラフト紙５とを接着した構成の積 層材料を用いた他は、実施例１と同様にしてカップを成形しようとしたところ、 多数の折れじわが発生し、カップ成形が不可能であった。 以上、カップを例に挙げて本考案を説明したが、本考案は、牛乳、ジュース、 酒等の容器にも同様に適用できることは云うまでもない。

【００１７】

【考案の効果】

叙上のとおり、本考案によれば、 カップの胴部最外層が紙であるため、印刷性や見ばえが良いことはもちろん 、プラスチックと比べて多種多様の印刷インクの使用が可能である、 柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シートが中間層にあり、且つ紙の層が２層であ るため、剛性及び断熱性に優れており、ラーメンカップ等多くの用途に使用が可 能である、 図１〜３のような構成の積層材料を用いることにより、最外層の紙への折り じわの発生を防止でき、外観及び印刷性が頗る良好である、 内面がポリエチレンラミネートのためヒートシールが可能である、 等数多くの利点を有し、その実用性は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に用いられるカップ用積層材料を示す概
略断面図である。

【図２】本考案に用いられるカップ用積層材料を示す概
略断面図である。

【図３】本考案に用いられるカップ用積層材料を示す概
略断面図である。

【図４】扇形状に切抜いた積層材料の平面図である。

【図５】カップ底部の平面図である。

【図６】本考案の実施例を示す概略断面図及びＡ部拡大
図である。

【符号の説明】

１ ポリエチレンフィルム ２ 紙 ３ 接着剤層 ４ 柔軟性熱可塑性
合成樹脂発泡シート ５ 紙 ６ 接着剤層 ７ 仮止め ８ 仮止めしていな
い端部 ９ トップカール部 １０ 底部接着部 １１ トップカール １２ 底部 １３ 周縁部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリエチレンフィルムと紙とのラミネー
   ト紙のポリエチレンフィルム側をカップの内側とし、紙
   側の外周面に柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シートを被覆
   し、さらにその外周面に紙を被覆してなる断熱複合紙カ
   ップ。
2. 【請求項２】 柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シートが紙
   と接する２層のうち、どちらか一方の層のみに接着剤層
   を設けるか、または、どちらの層にも接着剤層を設けな
   い請求項１記載の断熱複合紙カップ。
3. 【請求項３】 柔軟性熱可塑性合成樹脂発泡シートが発
   泡ポリエチレンである請求項１記載の断熱複合紙カッ
   プ。