JPH0575682B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、酸素富化装置を結露した水の乾燥装
置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 近年、種々の呼吸器、循環器疾患者の酸素療法
に用いられている医療用酸素の供給装置は、深冷
分離プラントで作られた液体酸素を高圧ボンベに
填めて、末端の医療現場まで運んで、保存使用す
る方法が、一般に取られているが、医療用診療
所、家庭などで、高圧ボンベを持ち込む事は、保
管上の安全性、定期検査、安定供給の面で問題が
あり、液体酸素に代る小型の酸素の供給装置とし
て、酸素富化装置のニーズが高まりつつある。

以下図面を参照しながら、従来の酸素富化装置
について説明を行う。第１図は、従来の酸素富化
装置を示すものである。

第１図において、１は酸素を選択的に富化する
選択透過膜、２はこの選択透過膜１を支持する透
過膜モジユール、３は選択透過膜１の真空の度合
いを計る真空ゲージ、４は真空チユーブ、５は選
択透過膜１の部分に真空にするための手段として
の真空ポンプ、６はこの真空ポンプ４から富化さ
れた空気を運ぶ第１の導管、７は酸素が富化され
た空気を冷却するフイン付熱交換器、８はこの熱
交換器７によつて結露された水を分離する水分離
器、９は毛細血管現象を利用して結露させた水を
運ぶウイツクチユーブ、１０は水を乾燥させる蒸
発装置で、第２図ａ，ｂに示すように袋状の親水
性多孔質発泡体１０ａと疎水性多孔質の発泡体１
０ｂにより構成されている。１１は結露した水を
分離した後の酸素が富化された空気を運ぶ第２の
導管、１２は酸素が富化され空気から汚染物を取
り去るスクラツバ、１３はバクテリアを除去する
バクテリアフイルター、１４は富化空気の量を調
整する流量調整バルブ、１５は富化空気の量を示
す流量計、１６は富化空気を装置の外部へ取り出
すための取り出し口、１７は選択透過膜１表面に
常に新しい空気を送るための拡散フアン、１８は
選択透過膜１表面を塵より保護するフイルターで
ある。上記構成における酸素富化装置について以
下その動作について説明する。

まず、選択透過膜１は、窒素よりも大きな速度
で酸素を透過させるものであり、選択透過膜１と
透過膜モジユール２は気密に保たれ、真空ポンプ
５によつて大気との間に圧力差をもうけて真空チ
ユーブ４によつて、選択透過膜１表面に圧力を伝
達することにより、酸素の豊富な空気が得られ、
第１の導管６によつて運ばれる。そして、この酸
素が富化された空気は、フイン付熱交換器７によ
つて冷却され、結露した空気中の水分は、水分離
器８によつて適度に乾燥した空気と水に分離さ
れ、この分離された水は、毛細管現象を利用して
ウイツクチユーブ９を介して多孔質の発泡体を用
いた蒸発装置１０に運ばれ、自然乾燥される。ま
た、適当に乾燥した空気は、第２の導管１１を通
り、酸素の濃縮したガスから汚染物を取り去るス
クラツバ１２を通り、バクテリアを除去するバク
テリアフイルター１３を通り、そして酸素富化空
気の量を流量調整する、流量計１５を通つて取り
出し口１６より、40％の酸素富化空気が得られ
る。真空ゲージ３は、選択透過膜１と大気との差
圧を示し、拡散フアン１７は、フイルター１８を
通して選択透過膜１に常に新しい空気を与え、酸
素貧化空気を装置外に飛ばす。しかしながら、上
記のような酸素富化装置の乾燥方法では、日本の
様に、夏に湿度が高い場合、自然乾燥できず、蒸
発装置から、水があふれて、床に水が洩れるとい
う欠点を有していた。

発明の目的 本発明は、上記欠点に鑑み、外気の湿度に影響
されることなく、強制的に水を乾燥蒸発させるこ
とのできる酸素富化装置を提供するものである。

発明の構成 この目的を構成するために本発明の酸素富化装
置は、水分離器により分離した水をためる蒸発皿
を設けると共に、その貯水された蒸発皿の温度に
依存して発熱量が制御される定温発熱体を設けた
ものである。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を示す図面を参照しな
がら説明する。

第３図は本発明の一実施例における酸素富化装
置の構成を示すものである。第３図において、１
は選択透過膜、２は透過膜モジユール、３は真空
ゲージ、４は真空チユーブ、５は真空ポンプ、６
は第１の導管、７はフイン付熱交換器、８は水分
離器、９はウイツクチユーブ、１１は第２の導
管、１３はバクテリアフイルター、１４は流量調
整バルブ、１５は流量計、１６は取り出し口、１
７は拡散フアン、１８はフイルターで、以上は第
１図の構成と同じものである。

１９は活性炭フイルター、２０は分離した水を
ためる熱伝導のよい蒸発皿、２１は蒸発皿２０を
熱する定温発熱体、２２はこの定温発熱体を固定
するための止めビスである。

また、第４図および第５図に、第３図の構成を
実際に使用した装置を示している。

以上のように構成された酸素富化装置につい
て、以下その動作について説明する。

酸素の選択透過膜１は、窒素よりも大きな速度
で、酸素を透過させるものであり、選択透過膜１
を支持する透過膜モジユール２によつて、気密に
保たれ、真空ポンプ５によつて、大気と差圧をも
うけて真空チユーブ４によつて、選択透過膜表面
に差圧を伝達することにより、酸素の豊富な空気
が得られる。この空気は第１の導管６によつて運
ばれて、フイン付熱交換装置７によつて冷却さ
れ、空気中の結露した水分は、水分離装置８によ
つて、適度に乾燥した空気と水とに分離される。
この分離された水は、毛細管現象を利用してウイ
ツクチユーブ９を介して、熱伝導のよい蒸発皿２
０に落され、その水分は蒸発皿２０を温める定温
発熱体２１によつて強制的に蒸発乾燥させられ
る。また、選択透過膜１の表面に大気空気の流れ
を生じさせるための拡散フアン１７の廃棄径路上
には、真空ポンプ５と蒸発皿２０とが設置されて
おり、真空ポンプ５の熱を吸熱することによつて
温められた排気空気が蒸発皿２０にあてられる。
また、適度に乾燥した空気は、第２の導管１１を
通り、酸素を濃縮したガスからバクテリアを取り
去るバクテリアフイルター１３を通り、取り出し
口１６より患者に与える酸素富化空気が得られ
る。真空ゲージ３は膜と大気との差圧を示し、拡
散フアン１７は、フイルター１８、活性炭フイル
ター１９によつて選択透過膜１に常に新しい汚物
のない空気を与えると共に、蒸発皿２０に真空ポ
ンプ５の熱を吸熱して温められた排気空気をあて
る。

以上のように本実施例によれば、水分離器によ
り分離された水を乾燥させる方法として、蒸発皿
２０に定温発熱体２１を組み込んだ構造をとれ
ば、蒸発皿２０から、水があふれて、床に水が洩
れることがなくなる。すなわち、低温では相対湿
度が低く、結露する水分量が増すのに対して、従
来の自然乾燥では、低温では乾燥能力がないた
め、水が床に洩れてしまうが、この様な場合で
も、定温発熱体２１を使用して蒸発皿２０を加熱
して蒸発させるようにすれば、外気温度が影響さ
れることがなく自然乾燥の様に水が乾燥装置より
洩れることはない。また定温発熱体２１は第６図
からも理解できる様に、低温であればあるほど定
温発熱体２１の発熱量が大きくなり、選択透過膜
１の特性は、第７図の様に低温であるほど結露す
る水分量が増大するので、定温発熱体２１の特性
と、選択透過膜１の特性が適合するので、発熱量
を制御する形となり、乾燥装置から水が洩れるこ
とがなくなる。なお、ニクロムヒータでは、低温
でも高温でも発熱量が変化せず一定であるため、
選択透過膜１の特性と適合しない。

また、湿度の高い場合は、選択透過膜１の特性
上、かなり多くの水分を透過し、結露する水分量
が増大して、乾燥させる水分量が増すが、外気の
湿度が高い場合、自然乾燥においては、乾燥不能
であるのに対し、定温発熱体２１を使用すれば、
安定した乾燥装置が得られる。

また第８図に示している様に、電源電圧の電圧
が変化しても、表面温度に変化がない。また、自
己発熱特性を持つているので、安定した乾燥がで
きる。しかも、第９図の様に温度特性も良好であ
る。

発明の効果 以上のように本発明によれば、酸素を富化した
空気中の水分を除去して確実に乾燥させることが
でき、しかも安定した乾燥状態を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の酸素富化装置の構成図、第２図
ａ，ｂは第１図の装置の蒸発装置を示す正面図お
よび断面図、第３図は本発明の一実施例における
酸素富化装置の構成図、第４図は同装置を具体化
した場合の一例を一部を切欠いて示す正面図、第
５図は同断面図、第６図は定温発熱体とニクロム
ヒータとの発熱量を比較して示す図、第７図は選
択透過膜の特性図、第８図は定温発熱体の電源電
圧と正面温度の関係を示す特性図、第９図は定温
発熱体が一定温度になるまでの時間を示す特性図
である。 １……選択透過膜、２……透過膜モジユール、
７……熱交換器、８……水分離器、２０……蒸発
皿、２１……定温発熱体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 窒素よりも酸素を一層高い割合で透過させる
   ことが可能な選択透過膜と、この選択透過膜によ
   つて酸素が富化された空気を冷却する熱交換器
   と、この熱交換器によつて結露された水を分離す
   る水分離器とを備え、かつその水分離器により分
   離した水をためる蒸発皿を設けると共に、その貯
   水された蒸発皿の温度が低い場合は発熱量が多
   く、前記温度が高い場合は発熱量が少ない定温発
   熱体を設けた酸素富化装置。