JPH0574723U

JPH0574723U - 転削工具

Info

Publication number: JPH0574723U
Application number: JP1576792U
Authority: JP
Inventors: 政一土田; 隆幸寒川; 義宗三浦
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 1992-03-25
Filing date: 1992-03-25
Publication date: 1993-10-12
Anticipated expiration: 2007-03-25
Also published as: JP2562258Y2

Abstract

(57)【要約】【目的】切屑の排出能力を向上させるとともに、切削抵
抗により発生する剪断応力や曲げモーメントによりスロ
ーアウェイチップにチッピング（欠損）や緩みの発生す
ることを阻止し、且つ、工具の剛性と耐久性を向上させ
る。【構成】スローアェイチップ６０ａ乃至６０ｄが装着さ
れる切刃部４４ａ乃至４４ｄの外周面４７ａ乃至４７ｄ
を、回転軸Ｏ₁からの距離が回転方向後方に向けて漸次
減少するように形成することにより、ワークとの間隙６
４を確保するとともに、スローアェイチップ６０ａ乃至
６０ｄを保持する係止面６２ｂの面積を確保する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、転削工具に関し、一層詳細には、工具本体に装着されたスローアウェイチップの緩みや欠損等を阻止するとともに、切屑排出能力を向上させることが可能な転削工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

工作物の外周部、穴部、溝部等の転削加工に際して、工具本体の端面と外周部に複数のスローアウェイチップが装着された転削工具であるエンドミルが用いられている。

【０００３】図５にこの種のエンドミル２の側面図を、図６に前記エンドミル２による転削状態を示す。当該エンドミル２は、軸線回りに回転する円柱状の本体部４と、本体部４の外周４ａを切り欠いて形成された複数の切屑排出溝６と、隣接する切屑排出溝６間に設けられた切刃部８とからなる。切刃部８の切屑排出溝６側の縁部には、スローアウェイチップ１２が図示しないクランプ螺子等によって着脱自在に装着されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、通常、この種のエンドミル２において、前記スローアウェイチップ１２の本体部４の外周４ａからの突出量Ａは、１ｍｍから２ｍｍ程度に設定されているために、ワークＷの送り量Ｂを大きく設定すると、本体部４の外周４ａとワークＷとの間に画成される間隙が狭小化され、本体部４に振動やびびりが発生した場合には、外周４ａとワークＷが干渉してしまう不都合が顕在化していた。また、間隙の挟小化により切屑の円滑な排出が阻害されるために切屑を噛み込みスローアウェイチップ１２を損傷させる不都合が存在した。

【０００５】一方、前記不都合を解決するために、スローアウェイチップ１２の突出量Ａを大きく設定した場合には、突出量Ａの増加分に応じてスローアウェイチップ１２の保持力が減少する。そこで、例えば、スローアウェイチップ１２を大型化して、スローアウェイチップ取付部１０の係止面１０ａの面積を増大することが考えられるが、前記係止面１０ａの面積増大に伴って、本体部４自体の剛性が低下する不都合が生じてしまう。

【０００６】そこで、前記不都合を克服すべくなされた「転削工具」に係る技術的思想が実公平２−３３７６号に開示されている。図７に当該転削工具２０の正面図を示す。該転削工具２０は、基端部２２ａから先端部２２ｂに向けて漸時縮径された段状若しくはテーパ状の本体部２２と、この本体部２２の切刃部２４の切屑排出溝２６側の縁部に装着されたスローアウェイチップ２８とからなる。そして、このような構造とすることで、ワークとの干渉を回避し、また、切屑の排出性能を向上させることが可能となる。

【０００７】しかしながら、当該転削工具２０において、本体部２２は、基端部２２ａから先端部２２ｂに向かって漸時縮径された形状となっているために、好適な切屑の排出能力が得られるものの、縮径された先端部２２ｂに行くに従って、スローアウェイチップ取付部３０における係止面３０ａの面積が減少する。この結果、切削抵抗が加わることでスローアウェイチップ２８に発生する剪断応力や曲げモーメントに対して、スローアウェイチップ取付部３０が充分に対抗することができず、スローアウェイチップ２８にチッピング（欠損）や緩みが生じる不都合が指摘されている。

【０００８】そこで、本考案は、切屑の排出能力を向上させるとともに、切削抵抗によるスローアウェイチップのチッピング（欠損）や緩みの発生を阻止して、工具の剛性と耐久性を向上させることが可能な転削工具を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するために、本考案は、軸線を中心にして回転される工具本体の外周部に、その軸線方向に沿って、複数のスローアウェイチップが装着されてなる転削工具において、前記工具本体の外周部は、前記スローアウェイチップの装着部位が、当該スローアウェイチップのすくい面近傍から回転方向後方に向かって、前記軸線からの距離を漸次減少させて構成されることを特徴とする。

【００１０】

【作用】

本考案に係る転削工具では、工具本体の切刃部の外周部がすくい面近傍から回転方向後方に向かって、回転中心の軸線からの距離を漸次減少するように構成している。従って、切削に際して、ワークと外周部との間に切屑を排出するために充分な間隙を画成することができるとともに、切削抵抗に対しても充分に対抗できる。

【００１１】

【実施例】

次に、本考案に係る転削工具について好適な実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。

【００１２】図１に本実施例のエンドミルの側面図、図２に断面説明図を示す。図１並びに図２において、参照符号４０は、スローアウェイチップ装着エンドミルを示す。当該スローアウェイチップ装着エンドミル４０は、基本的には、回転軸Ｏ₁を中心として回転自在に保持される円柱状の工具本体部４２と、この工具本体部４２の外周に設けられた螺旋状の切刃部４４ａ乃至４４ｄと、隣接する切刃部４４ａ乃至４４ｄ間に設けられた螺旋状の切屑排出溝５２ａ乃至５２ｄと、前記各切刃部４４ａ乃至４４ｄに着脱自在に装着された複数のスローアウェイチップ６０ａ乃至６０ｄとからなる。

【００１３】切刃部４４ａ乃至４４ｄは、すくい面４５ａ乃至４５ｄと、外周面４７ａ乃至４７ｄと、背面４９ａ乃至４９ｄと、前記すくい面４５ａ乃至４５ｄと外周面４７ａ乃至４７ｄとの縁部に設けられたスローアウェイチップ取付部６２とからなる。

【００１４】なお、本実施例において、切刃部４４ａ乃至４４ｄ、切屑排出溝５２ａ乃至５２ｄは、夫々同じ形状からなるので、以後の説明において、切刃部４４ａおよび切屑排出溝５２ａを用いて説明し、他の同一形状からなる部位の説明を省略する。

【００１５】外周面４７ａは、前記工具本体部４２の回転軸Ｏ₁を中心とする半径Ｒ₁の仮想円Ｌ₁と、前記切刃部４４ａのすくい面４５ａの延長線との交点Ｐ₁を通り、前記すくい面４５ａ側に所定量Ｑ₂だけ変位したＯ₂を中心とする半径Ｒ₂の仮想円Ｌ₂の一部として形成されている（図３参照）。従って、外周面４７ａの外形線は、すくい面４５ａ側から背面４９ａを指向して、すなわち、該スローアウェイチップ装着エンドミル４０の回転方向後方に向かって回転軸Ｏ₁からの距離が漸次減少するように形成されている。

【００１６】また、前記外周面４７ａと前記すくい面４５ａとの間の壁面が交わる縁部には、スローアウェイチップ６０ａを取着するスローアウェイチップ取付部６２が形成されている。該スローアウェイチップ取付部６２は、略円周方向に沿った取付座６２ａと、略半径方向に沿った係止面６２ｂとからなる。

【００１７】前記スローアウェイチップ取付部６２に取着されるスローアウェイチップ６０ａは、略三角形の形状からなり、各側面を取付座６２ａおよびその係止面６２ｂに当接させ、締付螺子６６により装着されている。

【００１８】本実施例のスローアウェイチップ装着エンドミル４０は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にその作用並びに効果について説明する。

【００１９】当該スローアウェイチップ装着エンドミル４０を用いてワークＷを切削するには、先ず、図示しない回転駆動源に対して工具本体部４２の基端部を、例えば、チャック等の手段を介して固定する。次いで、該回転駆動源の始動により、該スローアウェイチップ装着エンドミル４０が矢印Ｔ₁で示される回転方向に回転を開始する。そして、該スローアウェイチップ装着エンドミル４０の工具本体部４２の外周から突出されたスローアウェイチップ６０ａ乃至６０ｄによりワークＷを所定の送り量で切削加工する。

【００２０】この時、各切刃部４４ａ乃至４４ｄの外周面４７ａ乃至４７ｄとワークＷとの間隙６４は、該スローアウェイチップ装着エンドミル４０の回転方向後方に指向して漸時拡大しているため、例えば、切屑排出溝５２ｂ側のすくい面４５ｂにおいて発生した切屑が切刃部４４ａ側の間隙６４に食い込むことがなく、従って、切屑の噛み込みや、切削抵抗の増大による切屑排出能力の低下を阻止し、ひいては、切削能力自体を向上させることができる。

【００２１】また、スローアウェイチップ取付部６２の係止面６２ｂは充分の面積を有しており、従って、スローアウェイチップ６０ａ乃至６０ｄを確実に保持することができる。これにより、チッピングや緩みの発生が好適に回避される。さらに、工具本体部４２は、その先端部を縮径する必要がないため、工具本体部４２の剛性が充分に確保され、従って、送り量が大きく設定された場合でも、工具本体部４２自身に振動やびびりが発生することが回避される。

【００２２】次に、本考案に係る転削工具の他の実施例について説明する。図４に示すスローアウェイチップ装着エンドミル７０は、切刃部７１ａ、７１ｂ、…を構成する外周面７３ａ、７３ｂ、…を、工具本体部７４の回転軸Ｏ₁を中心とする仮想円Ｌ₁と、前記切刃部７１ａ、７１ｂ、…のスローアウェイチップ取付部７６の係止面７６ａとの交点Ｐ₂を通り、すくい面７２ａ、７２ｂ、…側に所定量Ｑ₃だけ変位したＯ₃を中心とする半径Ｒ₃の仮想円Ｌ₃の一部として形成される。従って、外周面７３ａ、７３ｂ、…の外形線は、すくい面７２ａ、７２ｂ、…側から背面７５ａ、７５ｂ、…を指向して回転軸Ｏ₁との距離が漸時減少するように形成される。この結果、上述したスローアウェイチップ装着エンドミル４０の場合と同様の作用効果を得ることができる。

【００２３】

【考案の効果】

本考案に係る転削工具では、工具本体の切刃部の外周部がすくい面近傍から回転方向後方に向かって、回転中心の軸線からの距離を漸次減少させて形成されている。従って、切削に際しては、ワークと前記外周部との間に、ワーク取付部の係止面の面積を減少させることなく、切屑を排出するために充分な間隙を画成することができる。この結果、切屑の排出能力を向上させるとともに、切削抵抗に充分対抗することができ、スローアウェイチップのチッピングや緩みの発生を阻止して、工具の剛性と耐久性を向上させる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る転削工具の側面図である。

【図２】図１に示す転削工具の断面説明図である。

【図３】図２に示す転削工具の要部拡大説明図である。

【図４】本考案に係る転削工具の他の実施例の要部拡大
説明図である。

【図５】従来技術に係る転削工具の側面図である。

【図６】図５に示す転削工具による転削状態の説明図で
ある。

【図７】他の従来技術に係る転削工具の正面図である。

【符号の説明】

４０、７０…スローアウェイチップ装着エンドミル４２…工具本体部４４ａ〜４４ｄ…切刃部４５ａ〜４５ｄ…すくい面４７ａ〜４７ｄ…外周面４９ａ〜４９ｄ…背面５２ａ〜５２ｄ…切屑排出溝６０ａ〜６０ｄ…スローアウェイチップ６２…スローアウェイチップ取付部６２ａ…取付座６２ｂ…係止面６４…間隙６６…締付螺子

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】軸線を中心にして回転される工具本体の外
周部に、その軸線方向に沿って、複数のスローアウェイ
チップが装着されてなる転削工具において、前記工具本体の外周部は、前記スローアウェイチップの
装着部位が、当該スローアウェイチップのすくい面近傍
から回転方向後方に向かって、前記軸線からの距離を漸
次減少させて構成されることを特徴とする転削工具。