JPH0573637B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、クランクケースから車両の進行方
向へ伸びる二対のシリンダ部を有する例えば水平
対向形エンジンやＶ形エンジンと変速機とからな
る自動二輪車用として好適な動力ユニツトに関す
るものであり、特に後輪を支持する揺動アームの
支軸と変速機の出力軸とを近接させることを目的
とするものである。

〔従来技術〕

従来、後輪を支持する揺動アームの揺動に伴つ
て、最終駆動チエーンの遊びが変化するのを減少
させるため、後輪を支持する揺動アームの支点を
変速機の出力軸に接近させる努力が行われてい
る。然しながら、後輪を支持する揺動アームの支
持軸と変速機の出力軸とを同一軸線上に配置し、
この支持軸の外周部に前記出力軸を回転自在に支
持させる構成にすると、支持軸にかかる負荷が過
大となり、好ましくない。

〔発明の概要〕

この発明は上記不具合を解決すべくなされたも
のであり、クランクケースに前後方向へ伸びるシ
リンダ部を設け、クランクケースのクランク軸下
方に変速機を配置し、クランクケースから後方へ
延びる後側シリンダ部をその軸線を後上がりに傾
斜させて形成すると共にこの後側シリンダ部に下
方へ伸びる排気管を接続し、この後側シリンダ部
の下方であつて前記排気管より前方となる部位
に、後輪支持用揺動アームの支持軸をクランクケ
ースから後側シリンダ部にわたつて一体形成され
た支持体と、車体枠とによつて支持させて配置
し、この後側シリンダ部に接続される排気管を前
後方向へ湾曲させて揺動アームにおける左右のア
ーム部の間に通した点に特徴がある。

〔実施例〕

以下、この発明を図示の実施例によつて説明す
ると、１は自動二輪車であり、シリンダの軸芯を
車両の進行方向に向けた水平対向形のエンジン２
を搭載している。自動二輪車１は車体枠３の前端
に、前フオーク４を介して前輪５を、また後部に
は揺動アーム６を介して後輪７をそれぞれ支持し
ている。車体枠３には前輪５と後輪７との間に位
置してエンジン２が配置されている。８はエンジ
ンの上方に設けられた燃料タンク、９は乗員の座
席シートである。

エンジン２は後述する変速機１１と共に動力ユ
ニツトＵをなしている。すなわち、第２〜３図で
示すように、左右に分割された各半部からなるク
ランクケース１２から前後方向へ伸びるシリンダ
部１３，１３を有する。また、クランクケース１
２から後方へ伸びる後側シリンダ部としてのシリ
ンダ部１３は、その軸線を後上がりに傾斜させて
形成されている。１４はクランク軸であり、クラ
ンクケース１２の左右に分割さた各半部に球軸受
（図示せず）で支持されると共に、連接棒１５に
よりシリンダ部１３に嵌合させたピストン１６へ
連結されている。１７はシリンダヘツドである。
クランクケース１２のクランク軸１４下方には、
変速機１１が配置されている。

変速機１１はクラツチ１８を介してクランク軸
１４に連結された入力軸１９と、最終駆動鎖車２
１を有する出力軸２２とからなり、両軸間に変速
ギヤ群２３，２４が設けられている。最終駆動鎖
車２１は駆動チエーン２５を介して後輪７に設け
られた鎖車２６を駆動する。２７，２７は変速ギ
ヤ群２３，２４のかみ合いを切り替えるシフタで
あり、このシフタ２７，２７は従来公知のように
円筒カム２８によつて制御される。

こゝで、クランクケース１２の外壁と後方のシ
リンダ部１３との間には後方に突出するリブ状の
部材２９を一体的に形成し、そこには第３図で示
すように揺動アーム６の支持軸たるボルト３０が
貫通され、揺動アーム６はそのボルト３０により
平軸受３１を介して上下揺動自在に軸支されてい
る。前記リブ状の部材２９が本発明に係る支持体
を構成している。すなわち、この支持体はクラン
クケース１２から後側のシリンダ部１３にわたつ
て一体形成されており、前後方向に伸びるその上
端が後側のシリンダ部１３と一体になつている。
また、前記ボルト３０は、車体枠３に設けられた
ブラケツト３ａをも貫通しこれに支持されてい
る。すなわち、揺動アーム６は車体枠３および動
力ユニツトＵの両方に支持されることになる。揺
動アーム６は第３図から明らかなように、左右の
アーム部としての左右２本の鋼管６ａ，６ａを基
部において鋼板製のガセツト６ｂで溶接連結した
ものである。ガセツト６ｂには透孔６ｃが穿設さ
れており、そこにはシリンダヘツド１７から下方
へ伸び消音器３２に接続される排気管３３を通し
てある。この排気管３３は、後側のシリンダ部１
３から下方へ伸びる部分が車体前後方向へ湾曲さ
れており、揺動アーム用支持軸たるボルト３０の
後方であつて左右のアーム部（鋼部６ａ）の間を
通されている。斯くて、揺動アーム６の前端はシ
リンダ部１３の直下に至つている。

なお、以上の説明において、クランクケース１
２は左右分割形であつたが、これに限らず第４〜
５図で示すように、前後分割形でも応用可能であ
る。すなわち、クランクケース１２はクランク軸
１４の軸上で前後に分割されており、変速機１１
の入力軸１９と出力軸２２とからなり、入力軸１
９は前記前後クランクケース１２の分割面に配置
され、出力軸２２は後方に配置され、クランクケ
ース１２の一側に設けた比較的大きな透孔３４か
らクランクケース１２の底部に挿入され、軸受３
５を有する蓋部材３６によつて固定される。

〔発明の効果〕

この発明の動力ユニツトは以上のように、クラ
ンクケースに前後方向へ伸びるシリンダ部を設
け、クランクケースのクランク軸下方に変速機を
配置したから、動力ユニツトの前後方向長さを短
縮でき、自動二輪車に搭載したときに前後車輪の
軸間距離が大きくなり過ぎる不具合がない。クラ
ンクケースから後方へ延びる後側シリンダ部をそ
の軸線を後上がりに傾斜させて形成すると共にこ
の後側シリンダ部に下方へ伸びる排気管を接続
し、この後側シリンダ部の下方であつて前記排気
管より前方となる部位に、後輪支持用揺動アーム
の支持軸をクランクケースから後側シリンダ部に
わたつて一体形成された支持体と、車体枠とによ
つて支持させて配置し、この後側シリンダ部に接
続される排気管を前後方向へ湾曲させて揺動アー
ムにおける左右のアーム部の間に通したため、同
様に前後車輪の軸間距離を短縮できる効果があ
る。更に、装置を大型化させることなく変速機の
出力軸と揺動アームの支持軸との距離を接近させ
得るから、揺動アームの揺動によつて駆動チエー
ンの張りが変化する不具合がない等の効果があ
る。また、後輪支持用揺動アームを動力ユニツト
と車体枠とで支持できるため、揺動アームを強固
に支持することができる。すなわち、揺動アーム
の支持軸を支持する動力ユニツトの支持体は、前
後方向に伸びる上端が後側シリンダ部と一体であ
るため、車体前後方向に対する剛性が高くなる。
言い換えれば、揺動アームから支持軸を介して伝
えられる車体前後方向の荷重に対してきわめて強
固になる。

加えて、後側シリンダ部を後上がりに傾斜させ
ると共に、この後側シリンダ部から下方へ伸びる
排気管を前後方向へ湾曲させたから、排気管が揺
動アームの支持軸に干渉されるのを避けることが
でき、その上、後側シリンダ部から排出される排
気を円滑に流すことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示すもので、第１
図は自動二輪車の側面図、第２図はそのエンジン
のを拡大して示す一部破断側面図、第３図はその
要部を示す−断面図、第４図は他の実施例を
示す第２図相当の側面図、第５図はその要部を示
す−断面図である。 ６……揺動アーム、Ｕ……動力ユニツト、１１
……変速機、１２……クランクケース、１３……
シリンダ部、１９……入力軸、２２……出力軸、
２８……リブ状の部材、３０……支持軸たるボル
ト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クランクケースに前後方向へ伸びるシリンダ
   部を設け、クランクケースのクランク軸下方に変
   速機を配置し、クランクケースから後方へ延びる
   後側シリンダ部をその軸線を後上がりに傾斜させ
   て形成すると共にこの後側シリンダ部に下方へ伸
   びる排気管を接続し、この後側シリンダ部の下方
   であつて前記排気管より前方となる部位に、後輪
   支持用揺動アームの支持軸をクランクケースから
   後側シリンダ部にわたつて一体形成された支持体
   と、車体枠とによつて支持させて配置してなり、
   この後側シリンダ部に接続される排気管を前後方
   向へ湾曲させて揺動アームにおける左右のアーム
   部の間に通したことを特徴とする自動二輪車の動
   力ユニツト。 ２ クランクケースはクランク軸の軸上で前後に
   分割可能であり、変速機は入力軸と出力軸とから
   なり、入力軸は前記前後クランクケースの分割面
   に配置されている特許請求の範囲第１項記載の自
   動二輪車の動力ユニツト。 ３ 揺動アームはシリンダ部とクランクケース外
   壁との間に設けたリブ状の部材に支持されている
   特許請求の範囲第１項記載の自動二輪車の動力ユ
   ニツト。 ４ シリンダ部は水平対向形に配置されている特
   許請求の範囲第１項記載の自動二輪車の動力ユニ
   ツト。 ５ シリンダ部はＶ形に配置されている特許請求
   の範囲第１項記載の自動二輪車の動力ユニツト。