JPH0571477A - スクロールコンプレツサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自転運転時の圧縮漏れを解消し、高い圧縮効
率を確保する。。 【構成】 旋回スクロール２１又は固定スクロール１９
のいずれか一方の渦巻体２７及び渦溝２９を外周端から
中心へに向かって段階的に高くなるよう形成する一方、
他方の渦巻体３７及び渦溝３９を外周端から中心へ向か
って段階的に低くなるよう形成し、前記旋回スクロール
２１の渦巻体３７の段差部４１を固定スクロール１９の
渦溝２９の段差部３３と、旋回スクロール２１の渦溝３
９の段差部４３を固定スクロール１９の渦巻体２７の段
差部３１とそれぞれ対向させたスクロールコンプレッサ
において、前記旋回スクロール２１又は固定スクロール
１９の渦巻体４１及び渦溝３３のいずれか一方の段差部
を、旋回スクロール２１の旋回運動時に発生する自転方
向と対応する段差部に対して離れるよう後退させ、他方
の段差部３１，４３を、対向する段差部に対して近づく
よう前進させて非対称としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば、空調装置や
冷凍冷蔵庫等に適するスクロールコンプレッサに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に空調装置や冷凍冷蔵庫等に使用さ
れるスクロールコンプレッサにあっては、基板の一般面
から立上がる渦巻体を備えた旋回スクロールと、固定ス
クロールとを互いに噛み合せ、旋回スクロールの旋回運
動に対応して中心へ向け順次容積の減少を伴なう移動可
能な圧縮室を形成し、その圧縮室によって圧縮した冷媒
等を吐出管から取り出す構造となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した如くスクロー
ルコンプレッサは、旋回スクロールの旋回運動に対応し
て中心へ向けて順次容積の減少に伴なう移動可能な圧縮
室により、冷媒等の圧縮を行なうものであるが、この場
合、良り高い圧縮比を得る手段として、例えば、特公昭
６０−１７９５６号公報のものが知られており、図６，
図７にその具体例を示している。

【０００４】即ち、基板１０１から立上がる渦巻体１０
１と、渦溝１０５とを各段差部１０７，１０９によって
外周端から中心に向かって段階的に高くなるよう形成す
る一方、この渦巻体１０３と噛み合うよう基板１１１か
ら立上がる他方の渦巻体１１３および渦溝１１５を各段
差部１１７，１１９によって外周端から中心へ向かって
段階的に低くなるよう段付き形状とし、圧縮過程におい
て圧縮室１２１の軸方向の高さも併せて小さくしていく
ものである。

【０００５】したがって、図７に示すように旋回スクロ
ール側の渦巻体１０３の段差部１０７は、固定スクロー
ル側の渦溝１１５の段差部１１９と、また、旋回スクロ
ール側の渦溝１０５の段差部１０９は、固定スクロール
側の渦巻体１１３の段差部１１７とそれぞれ対向し合う
ようになり、渦巻体１０３，１１３及び渦溝１０５，１
１５の各段差部１０７，１１９、１０９，１１７を対称
とすることで各段差部の隙間は適正値に保たれるように
なっている。

【０００６】しかしながら、旋回スクロール側にあって
は、オルダム機構（図示していない）を介して旋回運動
が与えられ、この旋回スクロールの旋回運動時に、圧縮
時の圧力の影響によって自転トルクが発生する、この時
に、オルダム機構自体に遊びがある所から、その遊び
分、旋回スクロールは図７において矢印の如く自転する
ようになる。

【０００７】このため、自転運動した側の渦巻体と渦溝
の各段差部１０７，１１９は強く摺接し合うと共に、他
方の渦巻体と渦溝の各段差部１０９，１１７は適正値を
越える隙間αが発生して冷媒が逃げるようになり圧縮漏
れ等の不具合いを招来するようになる。

【０００８】そこで、この発明にあっては、旋回運動に
伴ない旋回スクロールに自転運動が発生しても各段差部
の適正値が得られるようにしたスクロールコンプレッサ
を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明にあっては、基板の一般面に、外側から中
心へ向けて渦巻状に立上がる渦巻体が設けられ、旋回運
動可能な旋回スクロールと、固定支持された固定スクロ
ールとを互いに噛み合せ、旋回スクロールの旋回運動に
対応して中心へ向け順次容積の減少を伴なう移動可能な
圧縮室を形成し、前記旋回スクロール又は固定スクロー
ルのいずれか一方の渦巻体及び渦溝を外周端から中心へ
に向かって段階的に高くなるよう形成する一方、他方の
渦巻体及び渦溝を外周端から中心へ向かって段階的に浅
くなるよう形成し、前記旋回スクロールの渦巻体の段差
部を固定スクロールの渦溝の段差部と、旋回スクロール
の渦溝の段差部を固定スクロールの渦巻体の段差部とそ
れぞれ対向させたスクロールコンプレッサにおいて、前
記旋回スクロール又は固定スクロールの渦巻体及び渦溝
のいずれか一方の段差部を、旋回スクロールでは、段差
部の位置が、渦又は渦溝に沿って、相手の対応する段差
部位置より、外周方向に後退させ、固定スクロールで
は、対向する段差部に対して渦又は渦溝に沿って、渦中
央方向に前進させてある。

【００１０】

【作用】かかるスクロールコンプレッサによれば、旋回
スクロールの旋回運動によって中心へ向け順次容積の減
少を伴なう移動可能な圧縮室が形成され、その圧縮室に
よって圧縮された冷媒は外部へ取出されるようになる。
この動作時において、旋回スクロールに自転運動が発生
しても、その自転運動の移動量を吸収するよう設定した
段差部によって対向し合う渦巻体と渦溝の各段差部は適
正値が確保されるようになり、効率のよい圧縮状態が得
られるようになる。

【００１１】

【実施例】以下、図１乃至図４の図面を参照しながらこ
の発明の一実施例を詳細に説明する。

【００１２】図２において、１は吸入管３と吐出管５と
を有する密閉ケースを示しており、密閉ケース１内の上
部に駆動部７が、下部に圧縮機部９がそれぞれ設けられ
ている。

【００１３】駆動部７は主軸受け１１により支持され回
転可能な主軸１３に固着されたロータ１５と、密閉ケー
ス１側に固着されたステータ１７とを有し、ステータ１
７に電流が流れることでロータ１５を介して前記主軸１
３に回転動力が与えられるようになっている。

【００１４】圧縮機部９は、固定スクロール１９と旋回
スクロール２１とから成り、固定スクロール１９は、前
記主軸受け１１のフランジ部１１ａにボルト２３によっ
て結合固着された基板２５の外側から中心へ向けて渦巻
状に渦巻体２７が立上がる形状となっている。

【００１５】この渦巻体２７と、渦巻体２７と渦巻体２
７の間の渦溝２９は各段差部３１，３３によって外側の
外周端から中心へ向かって段階的に高くなる二段の段付
き形状となっている。

【００１６】なお、固定スクロール１９の基板２５は、
前記主軸受け１１と一緒に密閉ケース１内に固定支持さ
れている。

【００１７】一方、旋回スクロール２１は、基板３５の
外側から中心へ向けて渦巻状に渦巻体３７が立上がる形
状となっている。この渦巻体３７と、渦巻体３７と渦巻
体３７の間の渦溝３９は各段差部４１，４３によって外
側の外周端から中心へ向かって段階的に浅くなる二段の
段付き形状となっている。

【００１８】これにより、旋回スクロール２１の旋回運
動に対応して中心へ向け軸方向に対しても順次容積の減
少を伴なう移動可能な圧縮室４５が作られるようになっ
ている。圧縮室４１は吸入管３と、また、中心部位にお
いて主軸１３を貫通した連結通路４３を介して吐出管５
とそれぞれ連通し合うようになっている。

【００１９】一方、旋回スクロール２１の軸受部４９
は、主軸１３の主軸軸心線Ｗより所定量偏心αした偏心
軸部５１に嵌挿固着される一方、溝５５内に係合し合う
係合部材５７により旋回スクロール２１に旋回運動を与
えるオルダム機構５９によって保持されている。これに
より、旋回スクロール２１は旋回運動が可能となる。

【００２０】一方、旋回スクロール２１の渦巻体３７の
段差部４１と、固定スクロール１９の渦溝２９の段差部
３３が、また、旋回スクロール２１の渦溝３９の段差部
４３と、固定スクロール１９の渦巻体２７の段差部３１
がそれぞれ対向している。そして、旋回スクロール２１
又は固定スクロール１９の渦巻体３７，２７及び渦溝３
９，２９のいずれか一方の段差部４１，３３を、旋回ス
クロール２１の旋回運動時に発生する自転方向と対応す
る段差部に対して離れるよう位置し、他方の段差部３
１，４３を、対向する段差部に対して近づくよう位置さ
せてある。

【００２１】具体的に説明すると、図４に示すように、
旋回スクロール２１側にあっては、オルダム機構５９自
体の遊び代をゼロと仮定した点線で示す渦巻体３７の段
差部４１と、渦溝３９の段差部４３の設計値ａに対し
て、渦巻体３７の段差部４１にあっては、中心に対して
所定量後退（実線位置）させてある。また渦溝３９の段
差部４３にあっても、中心に対して所定量（実線位置）
後退させてあり、この前進，後退の移動量はオルダム機
構５９自体の遊び代とほぼ同一となっている。また、渦
巻体３７と渦溝３９の各段差部４１，４３の後退移動量
はイコールとなるよう設定されている。

【００２２】なお、各段差部の後退移動量を固定スクロ
ール１９側に設ける場合にあっては、図５に示すよう
に、オルダム機構５９自体の遊び代をゼロと仮定した点
線で示す渦巻体２７の段差部３１と、渦溝２９の段差部
３３の設計値ｂに対して渦巻体２７の段差部３１にあっ
ては、中心に対して所定量前進（実線位置）させてあ
る。また渦溝２９の段差部３３にあっても、中心に対し
て所定量前進（実線位置）させるようになる。この前進
の移動量は、オルダム機構５９自体の遊び代とほぼ同一
となっており、また、渦巻体２７と渦溝２９の前進移動
量はイコールとなるよう設定される。

【００２３】このように構成されたスクロールコンプレ
ッサによれば、主軸１３に回転動力が与えられること
で、旋回スクロール２１はオルダム機構５９を介して旋
回運動し、容積の減少を伴なう圧縮室４５により吸入管
３から取入れた冷媒を圧縮して吐出管５から取り出すよ
うになる。

【００２４】この動作時において、図１に示すように両
スクロールによって形成される圧縮室４５の圧力は、吹
込圧Ｐｓ、中間圧Ｐ１、吐出圧Ｐｄであり、これらの差
圧によって旋回スクロール１には、ガス力Ｆ１，Ｆ２が
働く。このガス力Ｆ１，Ｆ２は旋回スクロール２１の基
礎円中心と、固定スクロール１９の基礎円中心を結ぶ線
分に垂直で中点に働く。

【００２５】この時、旋回スクロール２１の軸受部４９
は、基礎円中心と一致させてあるので、図１の場合、旋
回スクロール２１には、反時計方向に自転トルクが作用
する。この自転トルク発生時に、自転方向に対しては対
向する各段差部３３，４１は離れるよう後退させてある
ため、自転による移動量によって各段差部３３，４１は
適正値が確保される。一方、反自転側にあっては、対向
する各段差部３１，４３が近づくよう前進させてあるた
め、各段差部３１，４３は適正値が確保され効率のよい
圧縮が得られるようになる。

【００２６】

【発明の効果】以上、説明したように、この発明のスク
ロールコンプレッサによれば、旋回スクロールの旋回運
動時に発生する自転に対して常に最適な適正値を得るこ
とができるため、高い圧縮効率が得られると共に旋回ス
クロールの運転が安定し騒音も低く抑えられるメリット
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる旋回スクロールと固定スクロ
ールとを噛み合わせた切断平面図である。

【図２】この発明を実施したスクロールコンプレッサの
切断面図である。

【図３】旋回スクロールの斜視図である。

【図４】旋回スクロールの平面図である。

【図５】固定スクロールの平面図である。

【図６】従来例を示した旋回スクロールの説明斜視図で
ある。

【図７】従来例を示した図１と同様の切断平面図であ
る。

【符号の説明】

１９ 固定スクロール ２１ 旋回スクロール ２５ 基板 ２７ 渦巻体 ２９ 周溝 ３１ 渦巻体の段差部 ３３ 周溝の段差部 ３５ 基板 ３７ 渦巻体 ３９ 周溝 ４１ 渦巻体の段差部 ４３ 周溝の段差部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢嶋 寿也 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内 (72)発明者 小鮒 照男 東京都港区新橋３丁目３番９号 東芝エ ー・ブイ・イー株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基板の一般面に、外側から中心へ向けて
   渦巻状に立上がる渦巻体が設けられ、旋回運動可能な旋
   回スクロールと、固定支持された固定スクロールとを互
   いに噛み合せ、旋回スクロールの旋回運動に対応して中
   心へ向け順次容積の減少を伴なう移動可能な圧縮室を形
   成し、前記旋回スクロール又は固定スクロールのいずれ
   か一方の渦巻体及び渦溝を外周端から中心へに向かって
   段階的に高くなるよう形成する一方、他方の渦巻体及び
   渦溝を外周端から中心へ向かって段階的に浅くなるよう
   形成し、前記旋回スクロールの渦巻体の段差部を固定ス
   クロールの渦溝の段差部と、旋回スクロールの渦溝の段
   差部を固定スクロールの渦巻体の段差部とそれぞれ対向
   させたスクロールコンプレッサにおいて、前記旋回スク
   ロール又は固定スクロールの渦巻体及び渦溝のいずれか
   一方の段差部を、旋回スクロールでは、段差部の位置
   が、渦又は渦溝に沿って、相手の対応する段差部位置よ
   り、外周方向に後退させ、固定スクロールでは、対向す
   る段差部に対して渦又は渦溝に沿って、渦中央方向に前
   進させたことを特徴とするスクロールコンプレッサ。