JPH0570716A - 水生生物の付着防止塗料 - Google Patents

水生生物の付着防止塗料

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JPH0570716A
JPH0570716A JP3262749A JP26274991A JPH0570716A JP H0570716 A JPH0570716 A JP H0570716A JP 3262749 A JP3262749 A JP 3262749A JP 26274991 A JP26274991 A JP 26274991A JP H0570716 A JPH0570716 A JP H0570716A
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JP
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powder
adhesion
fine powder
embedded
porous fine
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JP3262749A
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English (en)
Inventor
Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は船底等に塗布して水生生物が付着しな
いようにするための塗料について忌避成分の溶出速度を
調節してライフをコントロールできるようにすることを
目的とした水生生物の付着防止塗料に関するものであっ
て、多孔性微粉末に水生生物の忌避物質を機械的衝撃手
段により埋設ないし固着させたものが塗料成分中に含有
されて成ることを特徴とする。 【効果】 プレートテストとビーカーテストにおいて、
本発明の付着防止塗料である実施例1〜21の塗布面に
は、ほとんどムラサキイガイの足糸が付着せず、本発明
に係る水生生物の付着防止塗料が水生生物の忌避効果を
有することが認められた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は船底、港湾施設、生け簀
等にフジツボ、イガイ等の水生生物が付着することを防
止する為に塗布される塗料に関する。
【0002】
【発明の背景】船舶や港湾施設、あるいは魚網、生け簀
等の漁獲施設等、海水に曝されているものには、フジツ
ボ、イガイ等の水生生物が付着し、これら施設等の機能
低下や耐久性の劣化をもたらしている。このため従来か
ら船底に塗布してこれら水生生物の付着を防止する塗料
が開発されている。
【0003】しかしながらそれらによる水生生物の防除
効果は必ずも満足のゆくものが得られておらず、加えて
これらの塗料等の多くは錫化合物を含有していることか
ら、これらが溶出拡散することによる周辺の海域や海棲
生物の汚染も指摘されている。本出願人はこのような実
情の中、既に幾種類かの物質を塗料成分に含ませること
により、それぞれについて忌避効果のあることを確認し
ている。
【0004】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景に
鑑みなされたものであって、種々の忌避物質を多孔性微
粉末に機械的衝撃手段で埋設ないし固着させることで忌
避成分の溶出制御や忌避効果の持続性制御ができるよう
にした新規な水生生物の付着防止塗料の開発を試みたも
のである。
【0005】
【発明の構成】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、多孔性微粉末に水生生物の忌
避物質を機械的衝撃手段で埋設ないし固着させたものが
塗料成分中に含有されて成ることを特徴として成るもの
である。
【0006】また本出願に係る第二の発明たる水生生物
の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記水生生物の忌
避物質は、イオン化傾向の異なる二種以上の金属粉であ
ることを特徴として成るものである。
【0007】更に本出願に係る第三の発明たる水生生物
の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記イオン化傾向
の異なる二種以上の金属粉は、種類毎別々に多孔性微粉
末に埋設ないし固着されていることを特徴として成るも
のである。
【0008】更にまた本出願に係る第四の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記イオン化
傾向の異なる二種以上の金属粉は、一つの多孔性微粉末
に一緒に埋設ないし固着されていることを特徴として成
るものである。
【0009】更にまた本出願に係る第五の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記イオン化
傾向の異なる二種以上の金属粉は、吸水性樹脂とともに
前記多孔性微粉末に埋設ないし固着されていることを特
徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る第六の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記イオン化
傾向の異なる二種以上の金属粉は、各金属粉が別々に前
記吸水性樹脂に担持されていることを特徴として成るも
のである。
【0011】更にまた本出願に係る第七の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記イオン化
傾向の異なる二種以上の金属粉は、各金属粉が前記吸水
性樹脂に一緒に担持されていることを特徴として成るも
のである。
【0012】更にまた本出願に係る第八の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記水生生物
の忌避物質は、銅粉とカーボンブラックであることを特
徴として成るものである。
【0013】更にまた本出願に係る第九の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記銅粉とカ
ーボンブラックとは、種類毎別々に多孔性微粉末に埋設
ないし固着されていることを特徴として成るものであ
る。
【0014】更にまた本出願に係る第十の発明たる水生
生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記銅粉とカ
ーボンブラックとは、一つの多孔性微粉末に一緒に埋設
ないし固着されていることを特徴として成るものであ
る。
【0015】更にまた本出願に係る第十一の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記銅粉と
カーボンブラックとは、吸水性樹脂とともに前記多孔性
微粉末に埋設ないし固着されていることを特徴として成
るものである。
【0016】更にまた本出願に係る第十二の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記銅粉と
カーボンブラックとは、各々が別々に前記吸水性樹脂に
担持されていることを特徴として成るものである。
【0017】更にまた本出願に係る第十三の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記銅粉と
カーボンブラックとは、両者が前記吸水性樹脂に一緒に
担持されていることを特徴として成るものである。
【0018】更にまた本出願に係る第十四の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記水生生
物の忌避物質は、電気石であることを特徴として成るも
のである。
【0019】更にまた本出願に係る第十五の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
は金属粉とともに前記多孔性微粉末に埋設ないし固着さ
れていることを特徴として成るものである。
【0020】更にまた本出願に係る第十六の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
と金属粉とは、別々に多孔性微粉末に埋設ないし固着さ
れていることを特徴として成るものである。
【0021】更にまた本出願に係る第十七の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
と金属粉とは、一つの多孔性微粉末に一緒に埋設ないし
固着されていることを特徴として成るものである。
【0022】更にまた本出願に係る第十八の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
と金属粉とは、吸水性樹脂とともに前記多孔性微粉末に
埋設ないし固着されていることを特徴として成るもので
ある。
【0023】更にまた本出願に係る第十九の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
と金属粉とは、各々が別々に前記吸水性樹脂に担持され
ていることを特徴として成るものである。
【0024】更にまた本出願に係る第二十の発明たる水
生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記電気石
と金属粉とは、両者が前記吸水性樹脂に一緒に担持され
ていることを特徴として成るものである。
【0025】更にまた本出願に係る第二十一の発明たる
水生生物の付着防止塗料は、前記要件に加えて前記吸水
性樹脂はポリビニルアルコールであることを特徴として
成るものである。これら発明により前記目的を達成せん
とするものである。
【0026】以下本発明を具体的に説明する。まず本発
明中、多孔性微粉末とは一般にその粒径が0.1〜10
0μm程度で、且つ粒子の表面形態が各種形状の凹凸や
孔状、溝状を形成して成るものであり、マイクロカプセ
ル、マイクロスポンジ等とも呼ばれるものである。その
例としてはナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、
アクリルパウダー、スチレンパウダー、ABSパウダ
ー、ポリプロピレンパウダー、更にはゼラチン、各種ワ
ックス類、銅粉、銀粉等の有機物、無機物または金属類
が挙げられる。
【0027】また水生生物の忌避物質は、そのものが水
生生物に生理的、化学的、物理的或いは電気的に作用し
て忌避効果を発揮できるものであれば、液体状、固形
状、粉体状を問わず適用できるものである。
【0028】具体的には近年その忌避効果が認められつ
つあるユーカリ油(シオネール、ユーカリプトール)、
タンニン・タンニン酸、サポニンなど、また海水組成物
でありその成分含有率を高くすることで海中での忌避効
果を発揮する塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグ
ネシウム及び塩化カルシウムなど、更にはその刺激性な
いし覚醒作用により忌避効果を示す山葵、唐辛子(粉末
エキス)、カフェインなど、更にまたタンパク質等の分
解作用により忌避効果を発揮するリパーゼ、アミラー
ゼ、プロテアーゼ等の酵素物質、この他ニコチン、ニコ
チン酸などの毒素、アロエエキス、プロポリス等の傷治
療物質、サリチル酸ナトリウム、リモネン、チタン酸バ
リウム、アミノ変性シリコーンオイル、酸化亜鉛と二酸
化チタンと水との緊密結合粒子等が挙げられる。また例
えば塩化ナトリウム水溶液に塩化銅を混合したものを乾
燥して粉体としたもののように、上記忌避物質を複合し
たものでもよい。
【0029】更に以上は主として化学的、生理的作用に
より忌避作用を発揮するものであるが、これら作用に加
えて電気的、物理的にも忌避作用を発揮するものとし
て、イオン化傾向の異なる二種以上の金属粉の組合せ、
銅粉とカーボンブラックとの組合せ、電気石及び電気石
と金属との組合せ、またこれら金属粉・カーボンブラッ
ク・電気石と吸水性樹脂とのそれぞれ組合せを忌避物質
とすることができる。本発明では特にこのような忌避物
質を適用する場合に、忌避作用の持続性を制御できる点
が特徴となっている。
【0030】そこで以下、このような忌避物質について
具体的に説明するとともに、このような忌避物質を適用
した本発明に係る水生生物の忌避塗料について説明す
る。まずイオン化傾向の異なる二種以上の金属粉は、下
記に示すイオン化列中から任意の二種以上の金属を選択
し、これらを粉状にしたものである。
【0031】Li>Cs>K>Ba>Sr>Ca>Na
>Mg>Be>Al>Mn>Zn>Cr>Fe>Cd>
Co>Ni>Sn>Pb>(H)>Sb>Cu>Hg>
Ag>Pt>Au
【0032】このような組合せのうち、水生生物の付着
防止効果と経済性とを考慮して最も好ましい金属の組合
せは銅と銀である。尚、イオン化傾向の異なる二種以上
の金属粉が混在することで電池が形成され、局部的な電
流を生ずるものである。この点については作用の項で具
体的に説明する。尚、上記イオン化列に記載されていな
い金属であってもよい。
【0033】このような二種金属間での局部的な電流を
得るためには、必ずしも金属同士の組合せである必要は
なく、金属と導電性を有する非金属との組合せであって
もよい。このような組合せのうち、水生生物の付着防止
効果と経済性とを考慮して最も好ましい金属の組合せは
銅粉とカーボンブラックである。
【0034】また電気石とは化学組成の一般式がWx3B3
Al3(Al Si2O9)3 (O,OH, F)4で表される(W=Na,C
a、X=Al,FeIII ,Li,Mg)六法晶系の異極
像であって、通常は柱状であるが、しばしば細長い針
状、まれに扁平状のこともあるケイ酸鉱物である。この
鉱物はその名のとおり顕著な電気性を示し、特に加熱、
摩擦等によって容易に電気性を生じ、あるものは一端に
陽電気を起こし他端に陰電気を起こすものもある。異極
像は両端の形、色の相違及びピロ電気性で判明し、また
このものは極めて強い二色性を示す。へき開は不完全で
あり、硬度7〜7.5、比重2.9〜3.2、ガラス光
沢がある。
【0035】またこのものは結晶片岩、片麻岩、接触変
成岩中などに広く産し、花崗岩のペグマタイト中にはし
ばしば巨晶を産する。具体的にはリチア電気石Na(L
i,Al)3Al6(BO3)3 Si6O18(OH)4、苦土電気石
NaMg3 Al6(BO3)3 Si6O18(OH)4、鉄電気石N
aFe3 +2Al6(BO3)3 Si6O18(OH)9等があり、これ
らの用途としては色の美しいものは宝石として用いられ
る他、偏光板としても用いられる。尚、日本の代表的産
地は大分県尾平鉱山、岐阜県苗木地方などがある。
【0036】次に吸水性樹脂は、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸ソーダ、メチルセルローズ、カルボ
キシメチルセルローズ、ポリエチレンオキサイド、ポリ
ビニルピロリドン、アクリル酸アミド、ゼラチン、ニカ
ワ、カゼイン、ポリペプタイド、デンプン、セルロー
ズ、デキストリン、アルブミン、ダイズタンパク、アラ
ビアゴム、トラガントゴム、フノリ、寒天、アルギン酸
ソーダ等の水溶性樹脂が挙げられるが、これらに限定さ
れものではない。
【0037】尚、この他にも酢酸ビニル−アクリル酸メ
チル共重合体ケン化物、ビニルアルコール−アクリル酸
塩共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合
体、ポリアクリロニトリル系ケン化物、デンプン−アク
リロニトリルグラフト共重合体またはデンプン−アクリ
ル酸共重合体等の高吸収性樹脂を適用してもよい。
【0038】因みに吸水性樹脂の作用としては、イオン
化傾向の異なる二種以上の金属や銅粉とカーボンブラッ
クとを担持した状態で海水を吸収してゲル化し、二種以
上の金属間または銅粉とカーボンブラックとの間で電子
- の移動を可能にするとともに、吸水性樹脂自体のぬ
めりによる水生生物の付着防止作用をもなすものであ
る。尚、これらの点については発明の作用の項で詳しく
述べる。
【0039】また吸水性樹脂のうち特にポリビニルアル
コールは、重合度とケン化度とを容易に調整することが
でき、これらの調整によっても付着防止塗料のライフを
調節することができる。
【0040】次に本発明の水生生物の忌避塗料につい
て、イオン化傾向の異なる二種以上の金属粉の組合せ、
銅粉とカーボンブラックとの組合せ、電気石及び電気石
と金属との組合せ、またこれら金属粉・カーボンブラッ
ク・電気石と吸水性樹脂とのそれぞれ組合せを例にとっ
てその構造と製法について説明する。
【0041】本発明の水生生物の忌避塗料は、図1に示
すように多孔性微粉末に忌避物質を担持させた忌避物質
担持微粉末を塗料成分中に含有して成るものであるが、
この忌避物質の種類及びその担持形態により種々の態様
が採りえる。即ち図1(a)(b) (c)に示すもの
は、二種金属粉(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉
2とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実
施例では銅粉3)とを、それぞれ多孔性微粉末6に種類
毎別々に埋設ないし固着させたものである。
【0042】また図2(a)(b)(c)に示すもの
は、二種金属(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉2
とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実施
例では銅粉2)とを、一つの多孔性微粉末6に一緒に埋
設ないし固着させたものである。
【0043】更に図3(a)(b)(c)に示すもの
は、二種金属粉(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉
2とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実
施例では銅粉3)とを、それぞれ吸水性樹脂7と独立し
て組み合わせて種類毎別々に異なる多孔性微粉末6に埋
設ないし固着させたものである。
【0044】また更に図4(a)(b)(c)に示すも
のは、二種金属(本実施例では銅粉2と銀粉3)と吸水
性樹脂7、銅粉2とカーボンブラック4と吸水性樹脂
7、または電気石5と金属(本実施例では銅粉2)と吸
水性樹脂7とを、一つの多孔性微粉末6に一緒に埋設な
いし固着させたものである。
【0045】また更に図5(a)(b)(c)に示すも
のは、二種金属(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉
2とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実
施例では銅粉2)とを、各々種類毎に吸水性樹脂7に担
持させたものを種類毎別々に異なる多孔性微粉末6に埋
設ないし固着させたものである。
【0046】また更に図6(a)(b)(c)に示すも
のは、二種金属(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉
2とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実
施例では銅粉2)とを、各々種類毎に吸水性樹脂7に担
持させたものを一つの多孔性微粉末6に一緒に埋設ない
し固着させたものである。
【0047】また更に図7(a)(b)(c)に示すも
のは、二種金属(本実施例では銅粉2と銀粉3)、銅粉
2とカーボンブラック4、または電気石5と金属(本実
施例では銅粉2)とを、それぞれ一緒に吸水性樹脂7に
担持させたものを一つの多孔性微粉末6に埋設ないし固
着させたものである。
【0048】また以上のような忌避物質の組合せ以外に
も、図8に示すように例えば電気石のみ多孔性微粉末6
に埋設ないし固着させたり、他の忌避物質を単独でもし
くは吸水性樹脂に担持させて多孔性微粉末6に埋設ない
し固着させてもよい。
【0049】以下各付着防止塗料の製造法について、忌
避物質が銅粉と銀粉との組合せ(図1〜7(a))から
成る付着防止塗料を例にとって説明する。尚、銅粉と銀
粉との組合せ以外のイオン化傾向の異なる二種以上の金
属の組合せや、銅とカーボンブラックとの組合せ、また
電気石と金属粉との組合せの製造法も原則として同様で
ある。
【0050】まず図1(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、銅粉2と銀粉3とをそ
れぞれ別々に多孔性微粉末6と混合し、これらを別々に
処理室内の気相中で分散させながら、衝撃力を主体とす
る機械的熱的エネルギーを与える。
【0051】因みにこの種の処理方法としては、サンド
ブラスト等の手法を適用できる他、特開昭62−830
29号公報、特開昭62−262737号公報及び特開
昭62−298443号公報等に記載されている方法を
採り得る。またこのような処理機械としては、株式会社
奈良機械製作所の奈良ハイブリダイゼーションシステム
や株式会社ホソカワミクロンのAngmill等があ
る。尚、この種の処理方法を総じて機械的衝撃手段と定
義する。このような機械的衝撃手段により多孔性微粉末
6に銅粉2が埋設ないし固着されたものと、多孔性微粉
末6に銀粉3が埋設ないし固着されたものとができるの
で、これらを塗料成分中に一緒に混合分散させて付着防
止塗料とする。
【0052】次に図2(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、銅粉2と銀粉3とを混
合したものを多孔性微粉末6に混合し、これを機械的衝
撃手段にかけて多孔性微粉末6に銅粉2と銀粉3とを埋
設ないし固着させたものを塗料成分中に混合分散させて
作成する。
【0053】また図3(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、銅粉2と吸水性樹脂た
るポリビニルアルコールの粉末を機械的衝撃手段により
多孔性微粉末6に埋設ないし固着させ、一方銀粉3とポ
リビニルアルコールの粉末とを同じく機械的衝撃手段に
より多孔性微粉末6に埋設ないし固着させる。そしてこ
れら各忌避物質担持微粉末1を塗料成分中に一緒に混合
分散させて付着防止塗料を作成する。
【0054】更に図4(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、銅粉2と銀粉3、それ
にポリビニルアルコールの粉末を混合し、これを機械的
衝撃手段によって多孔性微粉末6に銅粉2、銀粉3及び
ポリビニルアルコールの粉末を埋設ないし固着させ、こ
のものを塗料成分中に混合分散させて作成する。
【0055】次に図5(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、まず銅粉2と銀粉3と
をそれぞれ別のポリビニルアルコールの水溶液に分散さ
せる。その後、銅粉2と銀粉3とをそれぞれ取り出し
て、これを加熱乾燥することにより銅粉2と銀粉3の表
面がそれぞれポリビニルアルコールで被われた粒体とす
る。このものを各々機械的衝撃手段により別々に多孔性
微粉末6に埋設ないし固着させ、これらを塗料成分中に
一緒に混合分散させて付着防止塗料を作成する。
【0056】次に図6(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、まず銅粉2と銀粉3と
をそれぞれ別のポリビニルアルコールの水溶液に分散さ
せる。その後、銅粉2と銀粉3とをそれぞれ取り出し
て、これを加熱乾燥することにより銅粉2と銀粉3の表
面がそれぞれポリビニルアルコールで被われた粒体とす
る。これら粒体を機械的衝撃手段によって多孔性微粉末
6に一緒に埋設ないし固着させ、このものを塗料成分中
に混合分散させて付着防止塗料を作成する。
【0057】次に図7(a)に示す形態の忌避物質担持
微粉末1を含む付着防止塗料は、まず銅粉2と銀粉3と
をポリビニルアルコールの水溶液に一緒に混合分散させ
る。その後、ポリビニルアルコールに銅粉2と銀粉3と
が一緒に担持されたものを取り出して、これを加熱乾燥
することにより銅粉2と銀粉3とが一緒になった状態で
表面がポリビニルアルコールで被われた粒体とする。こ
の粒体を機械的衝撃手段によって多孔性微粉末6に埋設
ないし固着させ、このものを塗料成分中に混合分散させ
て付着防止塗料を作成する。尚、以上の製造において、
銅粉2と銀粉3とをポリビニルアルコールに混合分散さ
せるときには、ポーセレインボールミル、遠心式グライ
ンドミル等の適宜の分散装置を用いて行う。
【0058】本発明たる水生生物の付着防止塗料は以上
のように製造されるものであるが、この製造途中におい
て得られる図1〜7に示す各忌避物質担持粉末は、これ
を塗料成分中に混合分散させれば付着防止塗料とするこ
とができるから、各忌避物質担持粉末を顔料として製造
することもできる。またこのような顔料は塗料に混ぜて
使用する他、例えば溶融している熱可塑性樹脂に混ぜて
所定形状のペレットにし、このものをエクストゥルーダ
で押し出して顔料を含む繊維を製造することもできる。
因みにこのような繊維を使用して魚網や綱類を作れば、
水生生物を忌避する漁具とすることができる。
【0059】
【発明の作用】本発明では船底等に塗布された塗料が海
水と接触することにより、図1〜2(a)(b)(c)
の忌避物質担持粉末を含む付着防止塗料では、金属イオ
ンの溶出促進による忌避効果、発生電流による忌避効果
及び海水成分の変性による忌避効果が相乗的に作用して
水生生物の忌避作用を発揮する。
【0060】また図3〜7(a)(b)(c)のように
吸水性樹脂を含有する忌避物質担持粉末を含む付着防止
塗料では、上記作用のほか吸水性樹脂のセルフクリーニ
ング効果を発揮するとともに、この吸水性樹脂がポリビ
ニルアルコールであれば、ケン化度と重合度との調整に
より付着防止効果のライフを調節することができる。
【0061】更に忌避物質が多孔性微粉末に担持されて
いるという本発明の特徴的構成により忌避物質の溶出制
御を行うことができる。以下これら各作用効果について
具体的に説明する。
【0062】〈金属イオンの溶出促進による忌避効果〉
金属は電解質溶液中では金属イオンとして一部溶出し、
Me⇔Men++ne- の平衡を保っている。しかし同じ
電解質溶液中に、この金属よりもイオン化傾向が小さか
ったり、電子受容性が大きい化学物質が存在すると、こ
のものが当該金属から放出される電子e- を受け取り、
そこで海水中の塩素イオン等に電子を与えて塩素ガスを
発生する等の一連の反応が進行するため、Me⇔Men+
+ne- の平衡がくずれて右方向への進行が促進され
る。従って電解質溶液中への金属イオンの溶出が促進さ
れて、当該金属イオンが持続的に供給されることにより
この金属イオンにより水生生物の持続的な忌避効果が発
揮される。
【0063】特に当該金属が銅である場合には、銀やカ
ーボンブラックや電気石等の存在によりCu⇔Cu2+
2e- の反応が右方向へ進行して銅イオンによる水生生
物の忌避効果が持続的に発揮されることになる。
【0064】〈発生電流による忌避効果〉上述したよう
に銅イオンの溶出が促進される状況下では、銅のイオン
化に伴って放出された電子が銅よりもイオン化傾向の小
さい銀側へ移動し、そこで海水中の塩素イオン等に電子
を与えて塩素等が発生する。このような作用は一種の電
池作用であり、イオン化傾向の異なる二種以上の金属
間、銅とカーボンブラックとの間、電気石と金属との間
ではそれぞれ電流が流れていることになる。この電流が
水生生物の忌避作用をなす。また陽極となるイオン化傾
向の小さい金属の側で発生する塩素等も水生生物の忌避
作用をなす。
【0065】〈海水成分の変性による忌避効果〉先に述
べたように、発生する電流は海水成分を電気分解等で変
性させる。また陽極となるイオン化傾向の小さい方の金
属側で発生する塩素等も海水成分に溶出することで周辺
の海水組成が変化する。このような海水環境の変化によ
り水生生物が生理現象を営むのに不都合となり、その結
果水生生物を忌避することができる。
【0066】〈吸水性樹脂のセルフクリーニング効果〉
吸水性樹脂が海水を吸収すると、その表面にぬめりを生
じ、水生生物がそのぬめりのため物理的に付着が困難と
なる。また吸水性樹脂が次第に自己研磨されていくこと
で銅イオンの溶出速度が抑制されて徐々に海水に拡散
し、忌避効果の持続性を図ることができる。
【0067】尚、吸水性樹脂がポリビニルアルコールで
ある場合に、そのケン化度を98.5mol%以上また
は78.5〜81.5mol%とし、これに対応して重
合度を1000以下または1500以上とすれば、忌避
効果の持続性を維持でき、しかも忌避物質担持微粉末を
製造しやすいという利点がある。
【0068】〈忌避物質が多孔性微粉末に担持されてい
ることによる作用〉図1、図3及び図5に示す形態の忌
避物質担持微粉末を含む付着防止塗料では、例えば図1
(a)を例に採ると、銅粉を埋設ないし固着させた多孔
性微粉末と、銀粉を埋設ないし固着させた多孔性微粉末
とが出会うことによって前記各作用が発揮されるので、
水生生物の忌避効果のライフを長くすることができる。
【0069】また図2、図4、図6及び図7に示す形態
の忌避物質担持微粉末を含む付着防止塗料では、例えば
図2、4、6、7の各(a)を例に採ると、一つの多孔
性微粉末に銅粉と銀粉とが埋設ないし固着されているか
ら、常に銅粉と銀粉とが接近した状態にあり、確実に前
記水生生物の忌避作用を発揮することができる。
【0070】
【実施例】イオン化傾向の異なる金属として三井金属鉱
業株式会社製造の銅粉(MF-D3 平均粒径13μ)と、福田
金属箔粉工業株式会社製造の銀粉シルコートAgc−B
を適用した。またカーボンブラックは、大日本インキ化
学工業株式会社製造のドナカーボを適用し、更にポリビ
ニルアルコールは、日本合成化学株式会社製造のゴーセ
ノールGM−14を用い、忌避物質担持微粉末を混合す
る塗料として大日本インキ化学工業株式会社製造のアク
リル樹脂であるアクリディックA−198−XBを用い
た。
【0071】〈実施例1〉銅粉1部、銀粉1部をそれぞ
れ別々に多孔性微粉末5部と混合する。これらを奈良ハ
イブリダイゼーションシステムを用いて別々に処理室内
の気相中で分散させながら、機械的衝撃手段により多孔
性微粉末に銅粉が埋設ないし固着したものと、多孔性微
粉末に銀粉が埋設ないし固着したものとを作成する。こ
れらをアクリル樹脂塗料30部に一緒に混合分散させ
て、図1(a)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実
施例1の付着防止塗料とする。
【0072】〈実施例2〉実施例1において、銀粉1部
の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例1と
同様な方法で、図1(b)に対応した忌避物質担持微粉
末を含む実施例2の付着防止塗料を作成する。
【0073】〈実施例3〉実施例1において、銀粉1部
の代わりに電気石1部を用いて、実施例1と同様な方法
で、図1(c)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実
施例3の付着防止塗料を作成する。
【0074】〈実施例4〉銅粉1部と銀粉1部を混合し
たものを多孔性微粉末5部に混合し、これを奈良ハイブ
リダイゼーションシステムを用いて処理室内の気相中で
分散させながら、機械的衝撃手段により多孔性微粉末に
銅粉と銀粉とを埋設ないし固着させたものをアクリル樹
脂塗料30部に混合分散させて、図2(a)に対応した
忌避物質担持微粉末を含む実施例4の付着防止塗料を作
成する。
【0075】〈実施例5〉実施例4において、銀粉1部
の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例4と
同様な方法で、図2(b)に対応した忌避物質担持微粉
末を含む実施例5の付着防止塗料を作成する。
【0076】〈実施例6〉実施例4において、銀粉1部
の代わりに電気石1部を用いて、実施例4と同様な方法
で、図2(c)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実
施例6の付着防止塗料を作成する。
【0077】〈実施例7〉銅粉1部とゴーセノールGM
−14の粉末10部を混合し、これを奈良ハイブリダイ
ゼーションシステムを用いて処理室内の気相中で多孔性
微粉末5部とともに分散させながら、機械的衝撃手段に
より多孔性微粉末に埋設ないし固着させ、一方銀粉1部
とゴーセノールGM−14の粉末10部を混合し、これ
を同じく機械的衝撃手段により多孔性微粉末5部に埋設
ないし固着させる。そしてこれらをアクリル樹脂塗料3
0部に混合分散させて、図3(a)に対応した忌避物質
担持微粉末を含む実施例7の付着防止塗料を作成する。
【0078】〈実施例8〉実施例7において、銀粉1部
の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例7と
同様な方法で、図3(b)に対応した忌避物質担持微粉
末を含む実施例8の付着防止塗料を作成する。
【0079】〈実施例9〉実施例7において、銀粉1部
の代わりに電気石1部を用いて、実施例7と同様な方法
で、図3(c)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実
施例9の付着防止塗料を作成する。
【0080】〈実施例10〉銅粉1部と銀粉1部、それ
にゴーセノールGM−14の粉末10部を混合し、これ
を奈良ハイブリダイゼーションシステムを用いて処理室
内の気相中で多孔性微粉末5部とともに分散させなが
ら、機械的衝撃手段により多孔性微粉末に埋設ないし固
着させ、このものをアクリル樹脂塗料30部に混合分散
させて、図4(a)に対応した忌避物質担持微粉末を含
む実施例10の付着防止塗料を作成する。
【0081】〈実施例11〉実施例10において、銀粉
1部の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例
10と同様な方法で、図4(b)に対応した忌避物質担
持微粉末を含む実施例11の付着防止塗料を作成する。
【0082】〈実施例12〉実施例10において、銀粉
1部の代わりに電気石1部を用いて、実施例10と同様
な方法で、図4(c)に対応した忌避物質担持微粉末を
含む実施例12の付着防止塗料を作成する。
【0083】〈実施例13〉ゴーセノールGM−14の
10%水溶液を二つ用意し、一方の水溶液9部に対して
銅粉1部を混入し、他方の水溶液9部に対して銀粉1部
を混入し、これらをそれぞれ攪拌しながら乾燥させたも
のをコーヒーミルとボールミルとで粉砕する。このよう
に粉砕したものを各々ふるい分けして粒径を100μ以
下とし、これらそれぞれ20部づつを奈良ハイブリダイ
ゼーションシステムを用いた機械的衝撃手段により別々
に多孔性微粉末5部に埋設ないし固着させ、このものを
アクリル樹脂塗料30部に一緒に混合分散させて、図5
(a)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実施例13
の付着防止塗料を作成する。
【0084】〈実施例14〉実施例13において、銀粉
1部の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例
13と同様な方法で、図5(b)に対応した忌避物質担
持微粉末を含む実施例14の付着防止塗料を作成する。
【0085】〈実施例15〉実施例13において、銀粉
1部の代わりに電気石1部を用いて、実施例13と同様
な方法で、図5(c)に対応した忌避物質担持微粉末を
含む実施例15の付着防止塗料を作成する。
【0086】〈実施例16〉ゴーセノールGM−14の
10%水溶液を二つ用意し、一方の水溶液9部に対して
銅粉1部を混入し、他方の水溶液9部に対して銀粉1部
を混入し、これらをそれぞれ攪拌しながら乾燥させたも
のをコーヒーミルとボールミルとで粉砕する。このよう
に粉砕したものを各々ふるい分けして粒径を100μ以
下とし、これらそれぞれ20部づつを奈良ハイブリダイ
ゼーションシステムを用いた機械的衝撃手段により一緒
に多孔性微粉末5部に埋設ないし固着させ、このものを
アクリル樹脂塗料30部に一緒に混合分散させて、図6
(a)に対応した忌避物質担持微粉末を含む実施例16
の付着防止塗料を作成する。
【0087】〈実施例17〉実施例16において、銀粉
1部の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例
16と同様な方法で、図6(b)に対応した忌避物質担
持微粉末を含む実施例17の付着防止塗料を作成する。
【0088】〈実施例18〉実施例16において、銀粉
1部の代わりに電気石1部を用いて、実施例16と同様
な方法で、図6(c)に対応した忌避物質担持微粉末を
含む実施例18の付着防止塗料を作成する。
【0089】〈実施例19〉ゴーセノールGM−14の
10%水溶液を用意し、この水溶液18部に対して銅粉
1部と銀粉1部とを混入し、これを攪拌しながら乾燥さ
せたものをコーヒーミルとボールミルとで粉砕する。こ
のように粉砕したものをふるい分けして粒径を100μ
以下とし、このもの20部を奈良ハイブリダイゼーショ
ンシステムを用いた機械的衝撃手段により多孔性微粉末
5部に埋設ないし固着させ、このものをアクリル樹脂塗
料30部に混合分散させて、図7(a)に対応した忌避
物質担持微粉末を含む実施例19の付着防止塗料を作成
する。
【0090】〈実施例20〉実施例19において、銀粉
1部の代わりにカーボンブラック1部を用いて、実施例
19と同様な方法で、図7(b)に対応した忌避物質担
持微粉末を含む実施例20の付着防止塗料を作成する。
【0091】〈実施例21〉実施例19において、銀粉
1部の代わりに電気石1部を用いて、実施例19と同様
な方法で、図7(c)に対応した忌避物質担持微粉末を
含む実施例21の付着防止塗料を作成する。
【0092】
【発明の効果】本発明は以上述べたような構成を有する
ものであり、次のような効果が確認された。まず効果確
認のためのテスト手法であるプレートテストとビーカー
テストについて説明する。
【0093】プレートテストは図9に示すように適宜寸
法のポリエステル系F.R.P.基板K上に、本発明た
る水生生物の付着防止塗料Tを直径5cmの円上に塗布
し、そのほぼ中央に殻長3cmのムラサキイガイAを水
平に固定し、このムラサキイガイからの足糸aの付着の
様子を見るものである。尚、ムラサキイガイはフジツボ
と並んで付着試験に使用される代表的水生生物であり、
海洋構築物に付着しやすいこと等の理由でこの生物を実
験に採用した。そしてムラサキイガイAを固定する具体
的手法は、付着防止塗料Tが塗布された中央部に1、2
mmの厚さのゴム片を介在させてムラサキイガイを瞬間
接着剤等で固着し、一週間ほど海水槽中に置いてその足
糸の着床状況を観察する。
【0094】またビーカーテストは図10に示すように
内周面及び内底面に付着防止塗料Tを塗布したビーカー
V内に海水を入れ、ビーカー底部にムラサキイガイAを
おいて、その足糸の着床状況を観察するものである。こ
のテストはプレートテストと併せていわばダブルチェッ
クの意味で行うものであって、特にムラサキイガイを固
定しないことでムラサキイガイの自由度を増し、より実
際に近い環境下での着床状況を観察することに意義があ
る。
【0095】プレートテストはサンプル数を6、ビーカ
ーテストはサンプル数を4としてテストを行った。その
結果は表1および表2のとおりである。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】表1および表2によれば、本発明の構成要
素を全く具備しないブランクとの比較において、実施例
1〜21のいずれもムラサキイガイの足糸の着床状況が
明らかに悪く、本発明に係る水生生物の付着防止塗料が
水生生物の忌避効果を有することが認められる。このよ
うなプレートテストとビーカーテストの結果より、実際
に海洋でこの塗料を塗布した場合にも、従来のこの種の
同様な試験結果からして水生生物の付着防止効果が認め
られると予想できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水生生物の付着防止塗料に含まれる忌
避物質担持微粉末の一例として、二種金属粉、銅粉とカ
ーボンブラック、または電気石と金属とを、それぞれ多
孔性微粉末に種類毎別々に埋設ないし固着させたものを
示す模式図である。
【図2】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものを一つの多孔性微粉末6に一緒に埋設な
いし固着させたものを示す模式図である。
【図3】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものをそれぞれ吸水性樹脂と独立して組み合
わせて種類毎別々に異なる多孔性微粉末に埋設ないし固
着させたものを示す模式図である。
【図4】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものを一つの多孔性微粉末に一緒に埋設ない
し固着させたものを示す模式図である。
【図5】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものを各々種類毎に吸水性樹脂に担持させた
ものを種類毎別々に異なる多孔性微粉末に埋設ないし固
着させたものを示す模式図である。
【図6】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものを各々種類毎に吸水性樹脂に担持させた
ものを一つの多孔性微粉末に一緒に埋設ないし固着させ
たものを示す模式図である。
【図7】同上忌避物質担持微粉末の一例として、同上の
各組合せのものをそれぞれ一緒に吸水性樹脂に担持させ
たものを一つの多孔性微粉末に埋設ないし固着させたも
のを示す模式図である。
【図8】同上忌避物質担持微粉末の一例として、電気石
のみを多孔性微粉末に埋設ないし固着させたものを示す
模式図である。
【図9】本発明たる水生生物の付着防止塗料の試験方法
であるプレートテストを示す斜視図である。
【図10】本発明たる水生生物の付着防止塗料の試験方
法であるビーカーテストを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 忌避物質担持微粉末 2 銅粉 3 銀粉 4 カーボンブラック 5 電気石 6 多孔性微粉末 7 吸水性樹脂 A ムラサキイガイ a 足糸 K F.R.P.基板 T 付着防止塗料 V ビーカー

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性微粉末に水生生物の忌避物質を機
    械的衝撃手段で埋設ないし固着させたものが塗料成分中
    に含有されて成ることを特徴とする水生生物の付着防止
    塗料。
  2. 【請求項2】 前記水生生物の忌避物質は、イオン化傾
    向の異なる二種以上の金属粉であることを特徴とする請
    求項1記載の水生生物の付着防止塗料。
  3. 【請求項3】 前記イオン化傾向の異なる二種以上の金
    属粉は、種類毎別々に多孔性微粉末に埋設ないし固着さ
    れていることを特徴とする請求項1または2記載の水生
    生物の付着防止塗料。
  4. 【請求項4】 前記イオン化傾向の異なる二種以上の金
    属粉は、一つの多孔性微粉末に一緒に埋設ないし固着さ
    れていることを特徴とする請求項1または2記載の水生
    生物の付着防止塗料。
  5. 【請求項5】 前記イオン化傾向の異なる二種以上の金
    属粉は、吸水性樹脂とともに前記多孔性微粉末に埋設な
    いし固着されていることを特徴とする請求項1、2、3
    または4記載の水生生物の付着防止塗料。
  6. 【請求項6】 前記イオン化傾向の異なる二種以上の金
    属粉は、各金属粉が別々に前記吸水性樹脂に担持されて
    いることを特徴とする請求項5記載の水生生物の付着防
    止塗料。
  7. 【請求項7】 前記イオン化傾向の異なる二種以上の金
    属粉は、各金属粉が前記吸水性樹脂に一緒に担持されて
    いることを特徴とする請求項5記載の水生生物の付着防
    止塗料。
  8. 【請求項8】 前記水生生物の忌避物質は、銅粉とカー
    ボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の水
    生生物の付着防止塗料。
  9. 【請求項9】 前記銅粉とカーボンブラックとは、種類
    毎別々に多孔性微粉末に埋設ないし固着されていること
    を特徴とする請求項1または8記載の水生生物の付着防
    止塗料。
  10. 【請求項10】 前記銅粉とカーボンブラックとは、一
    つの多孔性微粉末に一緒に埋設ないし固着されているこ
    とを特徴とする請求項1または8記載の水生生物の付着
    防止塗料。
  11. 【請求項11】 前記銅粉とカーボンブラックとは、吸
    水性樹脂とともに前記多孔性微粉末に埋設ないし固着さ
    れていることを特徴とする請求項1、8、9または10
    記載の水生生物の付着防止塗料。
  12. 【請求項12】 前記銅粉とカーボンブラックとは、各
    々が別々に前記吸水性樹脂に担持されていることを特徴
    とする請求項11記載の水生生物の付着防止塗料。
  13. 【請求項13】 前記銅粉とカーボンブラックとは、両
    者が前記吸水性樹脂に一緒に担持されていることを特徴
    とする請求項11記載の水生生物の付着防止塗料。
  14. 【請求項14】 前記水生生物の忌避物質は、電気石で
    あることを特徴とする請求項1記載の水生生物の付着防
    止塗料。
  15. 【請求項15】 前記電気石は金属粉とともに前記多孔
    性微粉末に埋設ないし固着されていることを特徴とする
    請求項1または14記載の水生生物の付着防止塗料。
  16. 【請求項16】 前記電気石と金属粉とは、別々に多孔
    性微粉末に埋設ないし固着されていることを特徴とする
    請求項1または15記載の水生生物の付着防止塗料。
  17. 【請求項17】 前記電気石と金属粉とは、一つの多孔
    性微粉末に一緒に埋設ないし固着されていることを特徴
    とする請求項1または15記載の水生生物の付着防止塗
    料。
  18. 【請求項18】 前記電気石と金属粉とは、吸水性樹脂
    とともに前記多孔性微粉末に埋設ないし固着されている
    ことを特徴とする請求項15、16または17記載の水
    生生物の付着防止塗料。
  19. 【請求項19】 前記電気石と金属粉とは、各々が別々
    に前記吸水性樹脂に担持されていることを特徴とする請
    求項18記載の水生生物の付着防止塗料。
  20. 【請求項20】 前記電気石と金属粉とは、両者が前記
    吸水性樹脂に一緒に担持されていることを特徴とする請
    求項18記載の水生生物の付着防止塗料。
  21. 【請求項21】 前記吸水性樹脂はポリビニルアルコー
    ルであることを特徴とする請求項5、6、7、11、1
    2、13、18、19または20記載の水生生物の付着
    防止塗料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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