JPH0568964B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本発明は、例えばキヤビネツトや室内の側壁等
の高所に収納部を設け、該収納部に対し、低い位
置でレバーを下降操作することによりアームを前
倒し状態にしたり、これを起立状態に回転復動さ
せ得るようにし、当該アーム上端部のハンガーパ
イプにコートや衣服等を係吊したり脱出したりで
きるように収納可能とした所謂リフトコートハン
ガーに関する。

≪従来の技術≫ 従来のリフトコートハンガーには、既知の如く
トーシヨンスプリングを用い、該トーシヨンスプ
リングの張力によつてアームを直接回転駆動させ
るようにしたダイレクトドライブ方式のものが知
られている。

≪発明が解決しようとする課題≫ リフトコートハンガーにあつては、一般にアー
ムが起立した高位状態となる閉時位置（収納位
置）から、前方へ倒した低位状態となる開時位置
に回転下降する際、当該アームの下降につれてア
ームトルクが大きくなることから、アームを回転
下降させるに際し、最大負荷（多数の衣服）がか
かつていると当該アームが急激に下降することと
なつて危険を伴うことになる。

そこで、上述作動による危険性を是正しようと
すれば、ワンウエイクラツチ等、複雑な機構を別
途装備させることとなるが、これではコストアツ
プとなるだけでなく、キヤビネツト等への取り付
け作業も面倒となる。

本発明は、上記の難点に鑑みアームの駆動力
を、圧縮スプリングとこれと関連するクランク機
構を介して得るようにすることによつて、アーム
に伝わるトルクを調整可能となし、これにより、
アームのトルクを、当該アームの可動範囲の中間
部前後で最大にし、両側で小さくなるようにし
て、アームを開時位置及び閉時位置へ緩やかに、
かつ静的に回転停止させ得るようにすると共に、
上記クランク機構を、アームと固定プレートと複
数個のリンクアームを直列的に連結して構成する
ことにより、当該アームのある角度において支点
が変り、駆動力のアツプを図ることができ、かく
してアームの駆動力減衰角度を小さくできるよう
にするのが、その目的である。

≪課題を解決するための手段≫ 本発明は上記目的を達成するため、上端にハン
ガーパイプを有し、回転操作用レバーにより前倒
自在としたアームの下端部が、ダンパーに固定さ
れた固定プレートに回転自在なるよう軸支されて
いると共に、上記アームには圧縮スプリングが、
一端をアームに支持し、かつ他端が上記アームに
摺動自在なるよう内装されたスプリング受に支持
された状態にて内装され、当該アームの回転時に
おける圧縮スプリングの撓み量が、アーム閉時位
置よりアーム開時位置において増大される配置に
て直列状に連結した複数個のリンクアームによ
り、上記スプリング受と固定プレートを回転可能
に連結し、当該複数個のリンクアームと上記アー
ム及び固定プレートとによりクランク機構を形成
し、上記圧縮スプリングによりクランク機構を介
して当該アームに対する回転駆動力を得るように
したことを特徴とするリフトコートハンガーを提
供しようとするものである。

≪作用≫ レバーの牽引力による外力が、アームに回転力
として加えられることで、閉時の起立状態にある
アームは固定プレートの支点を中心として前方へ
回転下降されていき、前倒し状態の開時位置まで
下降して停止する。

アームが閉時位置にあるときのクランク機構を
構成している複数個のリンクアームは、側面略く
の字形状に屈曲保持されているが、これが、アー
ムを回転下降することで、支点をもつて固定プレ
ートに枢着されている一方のリンクアームが、そ
の支点を中心として前方へ回転下降されることに
より、リンクアーム相互の枢着点は前方へ変位
し、当該リンクアーム相互が直線状となつて伸長
状態となる。

これによりスプリング受は圧縮スプリングを圧
縮しながらアーム内へ押し込まれて行き、このこ
とで圧縮スプリングにアームに対する戻り力が蓄
勢される。

即ちリンクアームの一端は、アームの支点より
も前方位置に枢着させてあるので、該リンクアー
ムが前方へ回転されることにより圧縮スプリング
は圧縮されるが、このリンクアームと、同アーム
他端とスプリング受を連結する他のリンクアーム
とが屈曲状態から略直線状に伸長されることによ
つて圧縮スプリングは更に圧縮されることとな
り、当該圧縮スプリングの撓み量は大きくなり、
この結果アームの戻り力（駆動力）アツプを図る
ことができる。

又、アームを閉時位置とするには、回転操作用
レバーによりアームを押し上げて回転上昇させる
が、この場合、上記アームを回転上昇させる為の
駆動力は、圧縮されている圧縮スプリングの復元
力によりクランク機構を介して得られるのである
が、圧縮スプリングは、上述した通り、撓み量が
大きくなるようにクランク機構を構成させてある
ことにより駆動力のアツプがはかられているの
で、アームが起立状態の閉時位置に戻る際の駆動
力減衰角度は小さくなる。

≪実施例≫ 以下本発明の実施例について図面を参照して説
明する。

第１図〜第３図に示したように、アーム１は側
面略くの字形状に形成され、その上端部には、パ
イプや杆によるハンガーパイプ２が直行状横向き
に架装させてあると共に、当該アーム１を上下両
方向へ回転操作する為の回転操作用レバー３が前
後方向へアーム１を回転可能なるよう垂設されて
いる。

もちろん、回転操作用レバー３は、アーム１で
はなく、ハンガーパイプ２に取り付けるようにし
てもよいこと当然である。

上記アーム１は、その下端が固定プレート６の
中心に軸７に、前後（上下）方向へ回転自在にな
るよう支持され、上記固定プレート６は、第２図
のネジ５……にて、当該実施例ではダンパー４に
固定されている。

上記アーム１はパイプ材にて形成されており、
当該アーム１には圧縮スプリング８が内装され、
該圧縮スプリング８の一端（上端）はアーム１に
固定した受軸９に支持されていると共に、他端
（下端）は、当該アーム１の下端部に、アームの
長さ方向へ摺動自在に内装されているスプリング
受１０により支持されている。

上記スプリング受１０は、アーム１内を内滑に
摺動できるよう、図示例では第３図にて示されて
いる如く正面略逆Ｕ字形状に曲成されている本体
１０ａに、アーム１の内径に対応する直径を有す
る二個のローラ１０ｂ，１０ｂが、本体１０ａの
外側へ受ガイド１０ｃ，１０ｃを介在してピン１
０ｄ，１０ｄにより回転自在なるよう支持される
ことにより構成されている。

又、上記アーム１の上端近傍一側に切欠して形
成された開口部１ａにはレバー受１１が嵌合さ
れ、このレバー受１１はアーム１の上端に嵌合し
たアームカバー１２の切欠部１２ａにそつて左右
方向へ移動可能としてあり、これにより回転操作
用レバー３は前後、左右方向へ移動調整できるよ
うにしてあると共に、上記レバー受１１に対して
回転操作用レバー３は変向可能として図示例の如
きアーム１が１本のシングルタイプだけでなくダ
ブルタイプにも使用可能としてある。上記アーム
１が図示例の如く薄肉のパイプ材からなるとき
は、その下端の枢着部分を補強する意味で、略樋
形状に形成されている二個の補強板１３，１３を
アーム１の下端部外側へ対称に重ね合わせた状態
で前記固定プレート６に軸支させてある。

更に、上記スプリング受１０の下端には第１の
リンクアーム１４の上端が上記ピン１０ｄによつ
て回転可能に連結させてあると共に、該第１のリ
ンクアーム１４の下端と第２のリンクアーム１５
の一端はリンクアーム軸１６にて回転可能に連結
させてあり、当該第１、第２の両リンクアーム１
４，１５は、上記アーム１の下端部前側に縦長に
切欠形成してある窓孔１ｂから前方（第１図にお
いて右方向）へ突出させてあり、その第２のリン
クアーム１５の他端（下端）が上記固定プレート
６の前側部に軸１７によつて回転可能に支持され
ている。

即ち、上記第２のリンクアーム１５の他端は、
上記アーム１が軸支されている位置よりも、所望
寸法だけ前方位にあつて固定プレート１６に支持
されており、これにより第１、第２の両リンクア
ーム１４，１５と、上記アーム１と固定プレート
６によつてクランク機構１８が形成されている。

ここで、上記圧縮スプリング８の伸長時におけ
る復元力によつて、上記アーム１は第１図中実線
で示したように起立した状態、すなわち後述のキ
ヤビネツト等の収納室に収納保持されている閉時
位置イにあるとき、上記第１のリンクアーム１４
と第２のリンクアーム１５はリンクアーム軸１６
で側面略くの字形状に屈曲した状態に保持され、
又第２のリンクアーム１５に対して第１のリンク
アーム１４が片側回転となるように、第２のリン
クアーム１５が当接する為のストツパー１４ａを
第１のリンクアーム１４に設けるようにしてあ
る。

又、上記アーム１は、その支点Ｏを通る鉛直線
ａより所望角度αだけ後方へ傾倒させてあり、こ
のことで閉時位置イに起立保持され、不本意に前
方へ回転下降しないようにしてある。

更に、上記アーム１は、当該アーム１の支点Ｏ
と、第２のリンクアーム１５の支点Ｐを通る直線
ｂよりも、所望角度βだけ下降傾斜した位置が、
第１図中二点破線で示す開時位置ロとなるよう予
め設定されている。

アーム１は閉時位置イから前方へ回転下降させ
ると、当該アーム１が支点Ｏを中心として回転さ
れ、一方第２のリンクアーム１５も支点Ｐを中心
として第１図において時計回り方向へ回転される
ので、第１、第２の両リンクアーム１４，１５の
枢着点Ｑは、同図中二点破線で示した如く、第２
のリンクアーム１５の長さを半径とする仮想円周
線上を変位するので、スプリング受１０は、上記
枢着点Ｑの変位量だけ圧縮スプリング８を圧縮し
ながらアーム１内へ押し込まれるよう摺動するこ
ととなる。

このとき屈曲状態にある第１、第２の両リンク
アーム１４，１５は直線状に伸長されることとな
るので、上記圧縮スプリング８は更に圧縮変形さ
れ、当該アーム１が前記直線ｂ上に位置すると
き、圧縮スプリング８の撓み量は最大となり、さ
らに開時位置ロまで回転下降させた状態では圧縮
スプリング８の撓み量は、上記の最大値よりも僅
かだけ小さくなつてアーム１は開時位置ロに停止
状態を保持され、上記圧縮スプリング８によりク
ランク機構１８を介してアーム１の戻り力、つま
り回転上昇される為の駆動力が蓄勢される。

従つて、アーム１を上記の開時位置ロから前記
直線ｂを僅かに越える位置まで引き上げてやれ
ば、上記の蓄勢駆動力によつて当該アーム１は閉
時位置イへ向け回転上昇して当該位置イに前記の
如く停止し、この状態が保持される。

又、上記固定プレート６が、図示例の如く薄肉
の金属板で形成される場合は、ボス１９ａ，１９
ｂを突設した軸受雄１９と、ボス孔２０ａ，２０
ｂを有する軸受雌２０で固定プレート６を両側か
ら挟持して一体化させ、当該固定プレート６を補
強するようにするのがよい。

更に、図示例では上記アーム１が回転下降され
るときと、回転上昇するときにダンパー４によつ
て制動力が付与されるよう形成されるもので、そ
の制動力の作用範囲は、当該アーム１が回転下降
させるときと、回転上昇されるときとでは異なる
ように設定してある。

即ち、図示のダンパー４は、その回転プレート
２１に正面略Ｘ字形状の溝２２が設けられてお
り、該溝２２にアーム１を嵌合させてある。

そして上記アーム１が閉時位置イにあるときを
0゜とし、この0゜から65゜まで回転下降させる位置ハ
までは、ダンパー効果がなく、この位置ハで溝２
２の一方の側壁２２ａ，２２ａがアーム１と当接
したときダンパー効果が発揮され、当該アーム１
に上記位置ハから開時位置ロの範囲で制動力が作
用するようにしてある。

又、アーム１を開時位置ロから閉時位置イへ回
転上昇させる場合は、当該アーム１が開時位置ロ
から例えば65゜回転上昇された位置ニまではダン
パー効果がなく、その位置ニにおいて上記溝２２
の他方の側壁２２ｂ，２２ｂがアーム１と当接し
たときダンパー効果が発揮し、当該アーム１に上
記位置ニから閉時位置イの範囲で制動力が作用す
るようにしてある。

つまり、アーム１を前倒し状態まで回転下降し
て開時位置ロに近ずいた場合と、起立状態まで回
転上昇して閉時位置イに近ずいた場合に夫々制動
力が作用して当該アーム１の回転速度が減速さ
れ、緩やかに夫々の位置ロ，イまで回転して、こ
の各位置ロ，イに静かに停止保持されるように構
成されている。

又、上記ダンパー４には固定プレート２３と図
示しない内装の可動デイスク間、及び可動デイス
クとプレート本体２４間に夫々ポリイソブチン等
の高分子粘性体を充填し、図示しないＯリング及
びパツキングによりシールすることで、上記可動
デイスク板の回転に際して生ずる高分子粘性体の
剪断抵抗を利用することにより抵抗力を得るよう
にし、当該抵抗力によつて外力に対する緩衝作
用、即ち制動力を発揮させるよう構成したものを
用いることができるが、このダンパー４として
は、もちろん、上述したものに限ることはなく、
既知の如き渦巻きバネ等を駆動源としてなるもの
等を用いることも可能である。

尚、第２図において２５はカバーを示してい
る。

上記構成のものを用いるときは、ダンパー４の
プレート本体２４を、第４図、第５図に例示した
如きキヤビネツト２６の高所に設けられている収
納室２７の側板２７ａの下部内面に第２図に示す
ネジ２８によつて固定し、アーム１が上記収納室
２７の前面開口部から前方へ傾斜下降して突出さ
れるように取り付ける。

閉時、つまり収納時は、アーム１が同図中実線
で示したように起立状態に保持されており、ハン
ガー２９等を用いてハンガーパイプ２に図示しな
い衣服を吊持して収納室２７に収納される。

上述閉時状態でレバー３を斜め下方へ牽引する
と、アーム１は支点Ｏを中心として前方へ回転下
降し、第６図中二点破線で示した如く前倒しの状
態となつて開時位置ロに停止保持されるので、こ
の状態において衣服の出し入れを行なうことにな
る。

≪発明の効果≫ 本発明は、以上説明したように構成されている
ので、アーム１に内装した圧縮スプリング８によ
りクランク機構１８を介してアーム１の駆動力が
得られるようにしてあり、さらに上記クランク機
構１８が、上記アーム１およびこれが軸支される
固定プレート６に直列にして、かつ回転自在なる
よう連結された複数個のリンクアーム１４，１５
により形成してあり、アーム１の回転下降により
両リンクアーム１４，１５の枢着点Ｑが変位する
ことにより圧縮スプリング８の撓み量が大きく得
られるよう構成されているから当該アーム１に対
する駆動力のアツプを図ることができ、アーム１
の回転上昇時における駆動力減衰角度を小さくす
ることができる。

又、上記クランク機構１８の採用により、リン
クアーム１４，１５の長さ及び枢着位置等を変え
ることで負荷等に応じてアーム１に伝わるトルク
調整ができるので、当該アーム１のトルクを中間
部で最大に、両側で弱くなるよう設定することが
でき、更にワンウエイクラツチ等複雑な機構を必
要としないから安価に提供できるだけでなくキヤ
ビネツト等への取り付け作業も容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るリフトコートハンガーの
一実施例を一部切欠して示す側面図、第２図は同
実施例におけるアーム及びクランク機構とダンパ
ーの分解斜視図、第３図は同実施例におけるアー
ムとクランク機構の分解斜視図、第４図、第５図
は同実施例の一使用例を夫々示す正面図と縦断側
面図である。 １……アーム、２……ハンガーパイプ、３……
回転操作用レバー、６……固定プレート、８……
圧縮スプリング、１０……スプリング受、１４，
１５……リンクアーム、１８………クランク機
構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上端にハンガーパイプを有し、回転操作用レ
   バーにより前倒自在としたアームの下端部が、ダ
   ンパーに固定された固定プレートに回転自在なる
   よう軸支されていると共に、上記アームには圧縮
   スプリングが、一端をアームに支持し、かつ他端
   が上記アームに摺動自在なるよう内装されたスプ
   リング受に支持された状態にて内装され、当該ア
   ームの回転時における圧縮スプリングの撓み量
   が、アーム閉時位置よりアーム開時位置において
   増大される配置にて直列状に連結した複数個のリ
   ンクアームにより、上記スプリング受と固定プレ
   ートを回転可能に連結し、当該複数個のリンクア
   ームと上記アーム及び固定プレートとによりクラ
   ンク機構を形成し、上記圧縮スプリングによりク
   ランク機構を介して当該アームに対する回転駆動
   力を得るようにしたことを特徴とするリフトコー
   トハンガー。