JPH0568682U - 小管式筆記具のペン先 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ペン先Ｐの前端部に、中孔１０と外周壁とを
連通する放射状溝１１として、例えば、深さαが一定で
も幅βが中孔側から外周壁側に向けて次第に狭くなるも
のなど、外周壁側開口量ｘが中孔側開口量ｙよりも小さ
くなるものを形成する。 【効果】 本来インキの吐出路たるべき放射状溝が空気
の侵入路となることを極力抑制でき、従来よりも早い筆
記でも、十分な濃度で鮮明な筆跡を呈することができる
ものとなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ペン先の前端部に中孔と外周壁とを連通する放射状溝を形成してな る小管式筆記具のペン先に関する。プロッタなどの自動製図機に使用されると好 適である。

【０００２】

【従来の技術とその課題】

一般的な小管式筆記具のペン先の前端部は単なるパイプ状となっている。この ペン先の欠点は、筆記時、筆記面がペン先前端部の中孔開口部を少なからず栓す るものとなってしまうので、特に、筆記面がインキ浸透性に乏しいフィルムなど からなる場合、また、高速筆記の場合、筆跡の濃度が不足したり、かすれたりし てしまうことにある。

【０００３】 これに対し、ペン先の前端部に、中孔と外周壁とを連通する、一定深さ，一定 幅の放射状溝を形成したものがある。インキは放射状溝を通って中孔から外周壁 に向かうことができるので上述欠点を解消することが可能となる。

【０００４】 しかし、実際のペン先においては、筆記速度が早くなるほど、次第に、この放 射状溝がインキの吐出路ではなくなり、即ち、空気の侵入路となり、逆に筆跡を 不鮮明にし、かすれを生じる原因となっている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

放射状溝の外周壁側開口量を中孔側開口量に比べて小さくする。即ち、本考案 は、ペン先の前端部に中孔と外周壁とを連通する放射状溝を形成してなる小管式 筆記具のペン先において、前記放射状溝の外周壁側開口量を中孔側開口量に比べ て小さくしたことを特徴とする小管式筆記具のペン先を要旨とする。

【０００６】

【実施例】 添付図１〜図３に基づいて一例の説明をする。まず、小管式筆記具の全体構造 の一例を示す図１において、図面の上方が後側、下方が前側であるが、軸１は後 部内孔をインキタンク部２としており、外周壁にプロッタなどの装置本体への取 付鍔３を有する。インキタンク部２は、一時的インキ溜め部材４の後部外壁に取 り付けた環状弾性体５により軸１の前部内壁と区分されている。一時的インキ溜 め部材４は縦断面櫛歯状となる一時的インキ溜め部４ａと貫通孔４ｂとを有し、 貫通孔４ｂに摺動体６が遊挿されている。ここで、例えば、軸と別体のカ−トリ ッジとなるインキタンクを使用するものとしてもよい。また例えば、一時的イン キ溜め部として螺旋状の溝を有するものとすることなどもできる。

【０００７】 摺動体６は、インキタンク２内に後端突出する後部材６ａと針体７を前端突出 する前部材６ｂとよりなっている。この摺動体６は、錘として針体７に摺動力を 付与し、針体７とともに摺動するもので、後部材６ａが錘本体となっており、前 部材６ｂはこの錘本体としての後部材６ａと針体７との接続部材となっている。 ここで、摺動体６を２部材からなるものとしたのは、針体との一体化を例えばイ ンサ−ト成形によって容易に得られることを考慮したもので、勿論、一部品から なる摺動体とすることもできる。また、落錘と呼ばれるものが一般的であるが、 摺動体と表したのは、コイルスプリングなど別の弾撥付与部材により摺動体自体 が摺動力付与を受け、摺動体が針体に積極的に自重による摺動力付与をしなくて もよい場合もあることによる。

【０００８】 摺動体６の前部材６ｂの前部は、軸１の前端に取り付けたチップホルダ−８の 内孔を延在し、その前端部は、チップホルダ−８に圧入などにより突出固定され たペン先Ｐの貫通孔１０内に位置している。即ち、ペン先Ｐの貫通孔１０は、後 部が大径部１０ａ、前部が小径部１０ｂとなっており、大径部１０ａが摺動体６ の前進位置を規制し、小径部１０ｂは針体７を挿入し、その前端部を突出してい る。尚、参照符号９は、適宜一部品とされてよい軸１とチップホルダ−８との間 に確保された空気孔である。

【０００９】 さて、図２，図３に拡大して示したように、ペン先Ｐの前端部には放射状溝１ １が形成されている。図では４個となっているが、この放射状溝１１の数は、奇 数，偶数も含めて適宜である。但し、放射状溝１１の外周壁側開口量ｘ（図２で 高密度のドットを付した部分）は中孔側開口量ｙ（図２でドットを付した部分の 全体）に比べて小さくなっている。即ち、深さαは一定であるが、幅βは、外周 壁側開口幅の方が中孔側開口幅より狭くなっている。これにより、毛細管力が外 周壁側開口部で強くなり、インキの膜（インキと空気との境界面）の位置が中孔 側から外周壁側に積極的に向かうものとなる。尚、図示の放射状溝１１の幅βは 中孔側から外周壁側へ次第に狭くなるようになっているが、途中から次第に狭く なっていたり、段階的に狭くなっていたりしてもよい。

【００１０】 次に、図４と図５に基づいて別の一例を説明する。上述のものと同一の部位に は同一の参照符号及びドット表示をしてあるが、本例のものにおける放射状溝１ １は、幅βは一定であるが、深さαは、外周壁側開口深さの方が中孔側開口深さ より浅くなっている。これにより、毛細管力が外周壁側開口部で強くなり、イン キの膜の位置が中孔側から外周壁側に積極的に向かうものとなる点は上述のもの と同様である。尚、本例のものにおける放射状溝１１の底部１１ａの外周壁側端 部は、筆記面との当接を滑らかにするために丸み付けをした部分の境界部分に位 置している（図４参照）が、例えば、丸み付けをした部分の内に位置するように することもできる。

【００１１】 以上の２例において、ペン先Ｐは射出成形を利用したものを意識して示してあ る。本考案のペン先としては、ステンレスやタングステンカ−バイトなどよりな る引抜加工を利用した一般的な直管状のものを用いることもできるが、上述のよ うな放射状溝１１を形成するのは必ずしも容易と言えない。例えば、放電加工に よってもよいが、高価なものとなってしまう。これに対し、射出成形を利用すれ ば、ペン先の全体形状だけでなく、相当に複雑な形状の放射状溝１１であっても 容易に形成できる。この点、アルミナ，ジルコニア，シリカなどの適宜焼結粉末 とポリ塩化ビニル，ポリビニルアルコ−ル，ワックスなど適宜賦形材とを少なく も主材とするセラミック材料を使用し、射出成形後、セラミック品化の熱処理を 施したもの、即ち、セラミック製ペン先は好ましい一例である。また、ポリアセ タ−ル，ポリアミド，ポリエ−テルエ−テルケトンなどの合成樹脂製ペン先とす るのも好ましい一例である。但し、合成樹脂製ペン先とする場合には、比較的耐 摩耗性に劣るので、適宜表面処理などによる耐摩耗性の向上をなしておくのが望 ましい。

【００１２】 更に、図示はしないが、以上の外にも種々なせる。例えば、上述した２例の組 合せとなる形状の放射状溝１１、即ち、深さαは、外周壁側開口深さの方が中孔 側開口深さより浅くなり、また、幅βは、外周壁側開口幅の方が中孔側開口幅よ り狭くなる放射状溝１１を形成したものとすることもできる。また例えば、上述 ２例においては、放射状溝１１の断面形状（図２や図４におけるドットを付した 部分の形状に相当）は略四角形としたが、ペン先の前端側を底辺とする三角形状 のものや台形状のものなど適宜断面形状のものとすることもできる。更にまた例 えば、上述のものにも部分的に示したが、放射状溝１１の縁部も含め、ペン先Ｐ の適宜箇所を適宜丸みのあるものとすることもできる。その他、例えば、上述一 例として挙げた小管式筆記具は、所謂、生インキ式構造のものの一種であるが、 所謂、インキ吸蔵体式とか中綿式の構造のものとすることなどもできる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案の小管式筆記具のペン先は、ペン先の前端部に中孔と外周壁とを連通す る放射状溝を形成してなる小管式筆記具のペン先において、前記放射状溝の外周 壁側開口量を中孔側開口量に比べて小さくしてなるので、インキの吐出路として 十分な大きさを求められる反面、毛細管力もそれだけ弱くなってしまいがちな放 射状溝内におけるインキ膜の外周壁側から中孔側への後退を極力抑制でき、その 分、より高速筆記になっても放射状溝が空気の侵入路となるのを防止でき、従っ て、従来よりも早い筆記でも、十分な濃度で鮮明な筆跡を呈することができるも のとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を説明する要部縦断面図。

【図２】図１のＩ部におけるペン先の拡大図。

【図３】図２に示すペン先の前端部の正面図。

【図４】本考案の別の一実施例を説明する図２相当拡大
図。

【図５】図４に示すペン先の前端部の正面図。

【符号の説明】

１ 軸 ２ インキタンク部 ３ 取付鍔 ４ 一時的インキ溜め部材 ４ａ 一時的インキ溜め部 ４ｂ 貫通孔 ５ 環状弾性体 ６ 摺動体 ６ａ 後部材 ６ｂ 前部材 ７ 針体 ８ チップホルダ− ９ 空気孔 Ｐ ペン先 １０ 貫通孔 １０ａ 大径部 １０ｂ 小径部 １１ 放射状溝 １１ａ 底部 ｘ 外周壁側開口量 ｙ 中孔側開口量 α 深さ β 幅

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペン先の前端部に中孔と外周壁とを連通
   する放射状溝を形成してなる小管式筆記具のペン先にお
   いて、前記放射状溝の外周壁側開口量を中孔側開口量に
   比べて小さくしたことを特徴とする小管式筆記具のペン
   先。