JPH0568558A - モニターペプタイドのアミノ酸配列をコードする新規なdna - Google Patents

モニターペプタイドのアミノ酸配列をコードする新規なdna

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JPH0568558A
JPH0568558A JP10660291A JP10660291A JPH0568558A JP H0568558 A JPH0568558 A JP H0568558A JP 10660291 A JP10660291 A JP 10660291A JP 10660291 A JP10660291 A JP 10660291A JP H0568558 A JPH0568558 A JP H0568558A
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JP
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monitor peptide
plasmid
peptide
gene
pro
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JP10660291A
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English (en)
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Takemitsu Oomori
健充 大森
Shinjiro Imai
伸二郎 今井
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Nisshin Seifun Group Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次のアミノ酸配列を有するモニターペプタイ
ドすなわち、 Gly Asn Pro Pro Ala Glu Val Asn Gly Lys Thr Pro Asn Cys Pro Lys Gln Ile Met Gly Cys Pro Arg Ile Tyr Asp Pro Val Cys Gly Thr Asn Gly Ile Thr Tyr Pro Ser Glu Cys Ser Leu Cys Phe Glu Asn Arg Lys Phe Gly Thr Ser Ile His Ile Gln Arg Arg Gly Thr Cys をコードするDNA配列を有する化学合成遺伝子。 【効果】 本化学合成遺伝子を宿主細胞に導入すること
によりモニターペプタイドを効果的に生産しうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モニターペプタイドの
アミノ酸配列をコードするDNA配列を有する新規な化
学合成遺伝子と、この化学合成遺伝子をプラスミドベク
ターに挿入してなるプラスミド組換え体と、このプラス
ミド組換え体により形質転換された宿主細胞と、この宿
主細胞を培養してモニターペプタイドを発現させること
からなるモニターペプタイドの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】摂取した食物に応答する、膵臓からの消
化酵素の分泌の調節機能については未だ解明されていな
い。伏木らはラットを用いてこの機構の解明に努め、彼
らがモニターペプタイドと名付けたペプタイドが膵臓か
らの消化酵素の分泌に関与していることを発見した。
(FASEB J.;121〜126、1989)。本
ペプタイドは、ラット膵臓から単離、精製されており、
アミノ酸61個から成っていること及び次の式
【0003】 Gly Asn Pro Pro Ala Glu Val Asn Gly Lys Thr Pro Asn Cys Pro Lys Gln Ile Met Gly Cys Pro Arg Ile Tyr Asp Pro Val Cys Gly Thr Asn Gly Ile Thr Tyr Pro Ser Glu Cys Ser Leu Cys Phe Glu Asn Arg Lys Phe Gly Thr Ser Ile His Ile Gln Arg Arg Gly Thr Cys で示される一次構造を有するものであることが知られて
いる。
【0004】モニターペプタイドの機能は以下のとおり
とされている。本ペプタイドは、膵臓から小腸に恒常的
に分泌されているが、空腹時においては腸内に存在する
消化酵素によって分解されている。しかし、食物が腸内
に存在し、消化酵素が食物の消化に携わるようになると
本ペプタイドは残存することになる。残存した本ペプタ
イドは腸管壁に作用し、膵酵素分泌促進活性、摂食抑制
活性を持つコレシストキニン(CCK)の分泌を促す。以
上により本ペプタイドは、単純にはCCK放出促進活性
を有するものであり、個体全体として見れば腸管内の食
物の量をモニターして、消化に必要なだけの膵酵素の分
泌量、摂食行動を調節しているものと考えられている。
またこのような膵酵素の分泌調節機構は、ラットのみな
らずヒトでも存在することが予想される。その点におい
て、ラットをモデル動物として、消化酵素分泌機構を解
明することは有意義なことであり、同時にモニターペプ
タイドの入手が必要となる。
【0005】しかしながら、本ペプタイドを得ることは
極めて困難であり、本ペプタイドを入手する技術の開発
が望まれている。
【0006】また、本ペプタイドは、ヒトを含めた動物
の膵臓から分泌されている膵臓分泌トリプシン阻害剤
(PSTI)と似た配列を持ち、同様にトリプシン阻害
活性を示す。しかし、PSTIについては、モニターペ
プタイドのようなCCK放出活性は報告されていない。
【0007】更にまた、本ペプタイドが上皮成長因子
(Epidermal Growth Factor; EGF)のアミノ酸配列と相
同性の高い部分を持ち、EGF様活性を示すことも報告
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したようなモニタ
ーペプタイドの活性の本質を解明しまた他の類似のペプ
タイドとの差異を明らかにすると共に、モニターペプタ
イドの用途および消化器病治療薬、潰瘍治療薬などとし
ての利用分野拡大のためにはこのペプタイドの大量入手
が求められる。
【0009】ところで現在、モニターペプタイドを得る
ためには、多数のラットに外科手術を施して膵液を採取
し、更に各種クロマトグラフィーによる分離精製を行っ
ている。そのため、大量に得るには多くのラット、時
間、繁雑な操作を必要とし、標品調製は極めて困難であ
る。また、モニターペプタイドが組換えDNA技術を利
用して生産された例は全くなかった。
【0010】更にまた、有機化学合成法でペプタイドを
合成することも可能と考えられるが、モニターペプタイ
ドにはジスルフィド結合が3カ所あるとされており、有
機化学合成による調製は容易ではない。しかし、組換え
DNA技術により、生物体で生産すると天然と同等の物
が容易に得られると考えられるところから、組換えDN
A技術で用いうる、モニターペプタイドをコードした宿
主細胞によって最も効率的にモニターペプタイドを発現
させうる化学合成遺伝子と、同遺伝子をベクターに挿入
したプラスミド組換え体と、同組換え体により形質変換
された形質変換細胞と、同形質変換細胞を培養してモニ
ターペプタイドを発現させるモニターペプタイドの新規
な製法の解明が求められている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、次のア
ミノ酸配列を有するモニターペプタイド、すなわち Gly Asn Pro Pro Ala Glu Val Asn Gly Lys Thr Pro Asn Cys Pro Lys Gln Ile Met Gly Cys Pro Arg Ile Tyr Asp Pro Val Cys Gly Thr Asn Gly Ile Thr Tyr Pro Ser Glu Cys Ser Leu Cys Phe Glu Asn Arg Lys Phe Gly Thr Ser Ile His Ile Gln Arg Arg Gly Thr Cys をコードするDNA配列を有する化学合成遺伝子、この
化学合成遺伝子をプラスミドベクターに挿入したプラス
ミド組換え体、このプラスミド組換え体によって形質転
換された宿主細胞、およびこの宿主細胞を培養して所望
のモニターペプタイドを発現させることによるモニター
ペプタイドの製法方法が提供される。
【0012】モニターペプタイドの上記したアミノ酸配
列をコードするDNA配列は、そのアミノ酸配列を構成
する個々のアミノ酸に対応するDNAに基づき種々のも
のを想定することができるが、この想定し得たDNA配
列を有するDNAによって形質転換された宿主細胞によ
って所望のモニターペプタイドを発現させようとする場
合には、このDNA配列の設定に当っては次の諸点の考
慮が望まれる。すなわち、 (1) アミノ酸に対応するDNAが複数存在する場合に
おいて宿主細胞(例えば大腸菌)での使用頻度が高く、
宿主細胞になじまれたコドンを選択する。
【0013】(2) 設定されるDNA配列内およびその
両端の部位に特定の制限酵素認識部位を持たせ、他のD
NA配列またはプラスミドベクターへの挿入、連結を容
易なものとすると共に、組換え体中における設定された
DNA配列が正しく維持されているか否かの検定を容易
なものとする。
【0014】(3) DNA断片の連結によって目的とす
るDNAを化学合成する場合に、誤った連結が生ずるこ
とがないようなDNA断片の選択を行なう。
【0015】(4) 設定されたDNA配列中に例えばス
トップコドンなどのペプチド合成上不都合なDNA配列
が生ずることがないように設計する。
【0016】かかる配慮のもとに、本発明者らはモニタ
ーペプタイドを大腸菌に産生させる場合の遺伝子として
次のDNA配列を有する化学合成遺伝子を見出したので
ある。このDNA配列を対応するアミノ酸配列と共に記
述すると次のとおりである。
【0017】
【化2】
【0018】上記DNA配列において、1〜6番の塩基
のCCATGGはNcoIの認識部位としてDNA配列
中に導入された部分であり、その中のATGのメチオニ
ンから翻訳が開始され、***で示される停止コドンを
2つ連続して現れるようにして目的のペプタイド合成が
中止されるようにした。
【0019】すなわち、このDNA配列では宿主細胞と
して大腸菌を使用する場合の大腸菌における使用頻度の
高いコドンを選択しかつ、アンピシリン耐性遺伝子とt
rcプロモーターとを有する、市販されていて容易に入
手できる大腸菌用発現ベクターであるpKK233−2
のプロモーターの下流部分に容易に挿入できるようにN
末端側にNcoI認識部位、C末端側にHind III認
識部位を設けてなるものである。また、後の遺伝子の人
為的変換を容易にするため、約30塩基毎に制限酵素認
識部位を設けた。特に翻訳開始コドン(ATG)の直後
にBstE II部位を設け、別のベクターへの変換や別
の遺伝子との融合遺伝子の構築をしてもフレームがずれ
にくいようにした。また、ほぼ中央にKpnI部位を設
け、融合遺伝子が容易に構築出来るようにした。
【0020】このような構成を有するDNA配列を有す
る化学合成遺伝子としての本発明の遺伝子を上記特徴点
と共に記述すると次のとおりである。
【0021】
【化3】
【0022】上記した化学合成遺伝子はモニターペプタ
イドを合成する遺伝子として一本鎖の構造のものとして
示したが、宿主細胞を形質転換するためのプラスミドベ
クターにこの化学合成遺伝子を挿入するためには上記一
本鎖のDNA配列とは互に相補的なDNAとの二重鎖の
DNAが必要とされ、この二重鎖のDNAは次の配列を
有する。
【0023】
【化4】
【0024】上記したDNA配列を有する化学合成遺伝
子はこのものをプラスミドベクターへ接続することを考
慮したベクターへの接続部分を含むDNA配列を下記す
る表1に示す5個のオリゴヌクレオチド断片すなわち、
断片1、2、3、4および5に分け、これらのオリゴヌ
クレオチドとは相補的な断片すなわち断片6、7、8、
9および10と共に、すなわち合計10個のオリゴヌク
レオチドを合成的な手段で製造したのである。
【0025】
【表1】
【0026】このオリゴヌクレオチドの断片の夫々は通
常この技術分野において知られたDNA合成手段を用い
て合成することができ、このためにDNA合成機が用い
られ、例えばこの合成機としてはファルマシア社製のジ
ーンアセンブラーがある。
【0027】得られたオリゴヌクレオチド断片のうち断
片2〜5、7〜10は5′末端をリン酸化し、リン酸化
していない断片1および6と共にアニーリングを行ない
引き続いてリガーゼを作用させて次の式で示される二重
鎖のDNAが得られた。
【0028】
【化5】
【0029】この二重鎖のDNAはその構造中にさきに
述べた本発明のモニターペプタイドを大腸菌に産生させ
るための遺伝子部分と、その両末端に次のベクターDN
Aへ連結する際の付着端としてのNcoIおよびHin
d III部位に結合可能な末端をそなえている。
【0030】このようにして得られたモニターペプタイ
ドの遺伝子を含むDNA配列は次いで適当なプラスミド
ベクターに連結される。この場合上記したようにこのD
NA配列はその両末端にNcoIおよびHind III部
位に結合可能な付着端を有することから、プラスミドベ
クターはNcoIおよびHind IIIによって消化され
うるものが用いられる。しかしてこのプラスミドベクタ
ーは爾後の遺伝子情報の発現のために必要なプロモータ
ー部位をそなえておりかつ抗生物質耐性遺伝子部位のよ
うな形質転換された宿主細胞のマーカーとなる遺伝子を
そなえたものであることが好ましい。
【0031】そして本発明者らはこの目的のためにプラ
スミドpKK233−2を用いることが好適であること
を見出している。
【0032】しかしながらプラスミドpKK233−2
の他にモニターペプタイドをコードする遺伝子を運搬す
るベクターとしては、一般に大腸菌の形質転換に用いら
れるベクターを使用することが出来る。例えば、pBR
322、pKK223−3、pUC18、pUC19、
などのプラスミド、M13mp18、M13mp19な
どのファージから構築されるベクターなどが挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、モニターペプタ
イド遺伝子を運搬し、大腸菌に導入し、大腸菌内で複製
され、かつ発現させることが可能なものであれば良い。
ベクター全体あるいはその一部が化学合成により得られ
たものでも、或るいは天然から得られたものでも使用可
能である。
【0033】こうしてモニターペプタイドの遺伝子を連
結したプラスミド組換え体は宿主細胞を形質転換するた
めに用いられる。この形質転換された宿主細胞によって
所望のモニターペプタイドを産生させることも可能であ
る。またこの形質転換体によってモニターペプタイドの
遺伝子を連結した組換えプラスミドをクローニングして
大量調製することも可能である。
【0034】本発明者らによる本発明の実施の具体例に
おいては、プラスミドpKK233−2をNcoIおよ
びHind IIIで切断し、本発明による上記したモニタ
ーペプタイドをコードしたDNA配列を有する化学合成
遺伝子をこの切断されたプラスミド中に挿入しかくして
pKM1と命名したプラスミドを得、これを用いて大腸
菌を形質転換し、この大腸菌の培養によってpKM1を
クローニングした。
【0035】このようにして得られたプラスミドpKM
1をEcoRIおよびHind IIIで消化すると、モニ
ターペプタイド遺伝子のDNA配列の上流にプロモータ
ーPtrcを有する断片が得られる。そしてこのように
して得られた断片を例えばpMJR96と命名したプラ
スミドをEcoRIおよびHind IIIで消化して得ら
れたベクター断片とライゲーションしてプラスミドpM
ON8を得る。
【0036】なお、ここで用いられるプラスミドpMJ
R96は、プラスミドpMJR1560をKpnIおよ
びPstIで消化し、両末端にKpnIおよびPstI
部位に結合可能な付着末端を有するlacIQ 断片
(1.2Kbp)を取出し、これにKpnI部位をEc
oO109I部位に変換する合成オリゴヌクレオチド、
並びにPstI部位をSspI部位に変換する合成オリ
ゴヌクレオチドを結合させて末端にEcoO109I部
位およびSspI部位を有するlacIQ 遺伝子を得、
一方、マルチクローニングサイトを有するベクターpU
C18をEcoO109IおよびSspIで消化して得
られるベクターDNA断片(2.5Kbp)を取り出
し、これと上記lacIQ 遺伝子とをライゲーションし
て構築されたものである。
【0037】このようにして得られたプラスミドpMO
N8を用いて大腸菌を形質転換することによってきわめ
て効率的にモニターペプタイドを生産することができ
る。
【0038】宿主としては、モニターペプタイド発現ベ
クターを複製出来ること、およびモニターペプタイド発
現ベクターにコードされるモニターペプタイドを発現さ
せる機能を有すること、という条件を満たす大腸菌であ
ればいずれも使用可能である。例えばHB101、W3
110、C600、JM109などの大腸菌株があげら
れるが、これらに限らず上の条件を満たすものならば、
本発明に適用可能である。
【0039】培養方法は通常に微生物を培養する場合の
常法に従うことが可能であり、多くの文献や成書を参考
にして実施することが出来る。培地は、通常大腸菌の培
養に使用し得るもの、例えばLB培地やM9CA培地な
どを使用することが出来る。培養温度は大腸菌が増殖或
は成育出来る温度であれば良い。培養の形態は振とう培
養、或いはジャーファーメンターによる培養が好ましい
が、モニターペプタイドを生産するための培養方法はこ
れらに限定されるものではない。
【0040】モニターペプタイドの精製法は公知の精製
手段を用いて行うことが可能であり、多くの文献や成書
を参考にして実施することが出来る。精製方法として
は、例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニテ
ィクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル
濾過、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、遠心
分離操作、電気泳動などの精製手段あるいはこれらを組
み合わせた方法があり、適当な方法を選択して精製する
ことが可能である。
【0041】本発明で得られるモニターペプタイドは、
組換えDNA技術を利用した微生物培養系により生産さ
れ、ラットから抽出されたモニターペプタイドに対応す
る活性を有し、ラットに由来する他の蛋白質を実質的に
含有しないものである。
【0042】以下に実施例を示すが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。本発明に関わる諸実
験は内閣総理大臣の定める『組換えDNA実験指針』に
従って行った。また実施例中のプラスミド、DNA、種
々の酵素、大腸菌などを扱う諸操作は以下にあげる書
籍、製造業者、供給業者の添付資料を参考にして実施し
た。
【0043】 1 遺伝子操作実験法、高木康敬編著(1980)講談社 2 遺伝子操作マニュアル、高木康敬編著(1980)講談
社 3 Molecular Cloning. a laboratory manual T. Man
iatisら編(1982)ColdSpring Harbor Laboratory 4 Basic Methods in Molecular Biology L.G. Davis
ら編(1986) Elsevier
【0044】モニターペプタイドの遺伝情報をコードす
るDNA断片の合成および精製 遺伝子を構成するオリゴヌクレオチドを固相合成法で調
製した。すべての工程はジーンアセンブラー(Gene Ass
emblerTM)合成機(ファルマシア社製)により、β−シ
アノエチルフォスフォアミダイド方法で行った。
【0045】出発ヌクレオチドをあらかじめ結合してあ
る固相支持体、保護したヌクレオチド、溶媒、試薬を製
造業者から入手し、合成装置の製造業者の操作の指示に
従って自動化した方法で実施した。ある種の修正は、製
造業者の操作の指示および使用の報告に従って、導入し
た。
【0046】合成が終了した時、支持体を合成装置から
取り外し、濃アンモニア水と共に50℃に16時間密閉
容器中で加熱することにより、固体の支持体からオリゴ
マーを切り離し、溶液として回収した。
【0047】オリゴマーを含むアンモニア液は、FPL
TM装置を用い、MonoQTMカラム(いずれもファル
マシア社)において10mM NaOH中NaClの濃度
勾配を用いたイオン交換クロマトグラフィーにかけた。
溶出されてきたオリゴマーを含む液は、あらかじめ10
0mMトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したNAP−25TMカラム(ファルマシア社)で脱塩
し、減圧乾固した。残留物を蒸留水に溶解し、更にその
4倍量の酢酸を加えて室温で20分放置し、オリゴヌク
レオチドから保護基を外した。反応後、エーテルで酢酸
を除き、先に述べたFPLCTM装置、およびMonoQ
TMカラムで同様のイオン交換クロマトグラフィー、NA
P−25TMカラムでの脱塩を行い、さらに減圧乾固し
て、精製オリゴヌクレオチドとした。設計した10種の
DNA断片についてはすべて上記と同じ方法で精製品が
得られた。
【0048】水溶性の260nmでの吸光度を測定するこ
とより、30から200μgの精製物を得たことが判っ
た。
【0049】オリゴヌクレオチドの2本鎖DNAへの結
等モル量(300pmole)の精製された各オリゴヌクレ
オチドを、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)、1
0mM塩化マグネシウム、1mM ATP,10mMジチオス
レイトールおよび10単位のT4ポリヌクレオチドキナ
ーゼから成る反応液50μl中で37℃90分反応さ
せ、5′−ヒドロキシ末端をリン酸化した。なお、断片
1と6はリン酸化しなかった。各断片のリン酸化反応終
了後、これら10個の断片を混合し、95℃で15分間
加熱して酵素を不活性化した。そのままの容器で3時間
かけて30℃まで冷却し、各断片のアニーリングを行っ
た。次いでこの液をフェノール/クロロホルムで除蛋白
処理し、エタノール沈殿で濃縮した。得られた沈殿を1
00mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、5mM塩化マグネ
シウムから成る液に溶かし、E.coli DNAリガー
ゼを含むライゲーションキット(宝酒造株式会社)によ
り16℃にて一夜ライゲーション反応を行った。反応
後、エタノール沈殿で濃縮した後、1.5%アガロース
ゲル電気泳動にかけて目的の190bpのDNA断片を分
離、回収した。得られた断片を先に述べたと同じ反応系
で5′−ヒドロキシ末端をリン酸化した。
【0050】なお、この項目およびこれ以降で述べるエ
タノール沈殿とは以下の操作を言う。沈殿させようとす
る溶液にその体積の10分の1量の3M酢酸ナトリウム
(pH4.6)、2.5倍量のエタノールを加え、−80℃
に15分以上放置する。その後、遠心分離して沈殿を
得、70%エタノールで洗浄した後、真空乾燥する。
【0051】クローニング 調製したDNA断片は5′−末端にNcoI部位、3′
−末端にHindIII部位を持つので、NcoI、Hi
nd III制限プラスミドpKK233−2にクローニン
グし、pKM1を得た(図1)。
【0052】精製したpKK233−2のDNAを、N
coIおよびHindIIIで供給業者の指示する消化条
件により消化し、アガロースゲル電気泳動で展開した
後、エチジウムブロマイドで染色し、検出されたバンド
のうち約4KbのNcoI、Hind III断片を分離、
回収した。この調製物600ngとモニターペプタイドを
コードするDNA断片20ngとを混合し、E.coli
DNAリガーゼを用い、供給業者の指示する条件で反応
させて結合した。このDNA反応液を用い、一般に行わ
れている塩化カルシウム法に従ってコンピテントセルを
調製した、E.coli mH3株を宿主として形質転換を
行った。
【0053】50μg/m1のアンピシリンに耐性の形質
転換体100個を得、うち60個の形質転換体につい
て、アルカリ/SDS法による迅速プラスミド抽出法で
プラスミドを抽出し、得られたプラスミドDNAを、K
pnI、NcoIおよびHind IIIで消化した。ここ
に述べた3つの酵素の認識部位は合成したモニターペプ
タイド遺伝子の中に設計してあり、3つの酵素認識部位
の有無、および消化して得られたDNA断片の大きさで
スクリーニングした。
【0054】その結果、5クローンにKpnI部位があ
り、かつNcoIとHind IIIの二重消化で目的とす
る約180bpの断片が認められた。これらのプラスミ
ドを更に大量に調製し、ジデオキシ法によるDNA塩基
配列決定法によって配列を決定した。その結果、目的と
するラットモニターペプタイド合成遺伝子を持つクロー
ンが1個得られ、これをpKM1とした。
【0055】pMJR96の構築 モニターペプタイドを発現させるための発現用ベクター
pMJR96を構築した。手順は以下のとおりである
(図2)。
【0056】lacプロモーターを制御する遺伝子、l
acIQ を持つプラスミドpMJR1560(アマシャ
ム社)を制限酵素KpnIおよびPstIで消化して得
られる断片のうち、lacIQ 遺伝子を含む1200b
pの断片をアガロースゲル電気泳動で回収、精製した。
次にKpnI部位側にEcoO109I部位に変換する
合成オリゴヌクレオチドを、またPstI部位側にはS
spI部位に変換する合成オリゴヌクレオチドを結合さ
せ、EcoO109IおよびSspIを各端に持つla
cIQ 遺伝子断片を作成した。また、ベクターとして、
pUC19を制限酵素EcoO109IとSspIで消
化して、2500bpの断片をアガロースゲル電気泳動で
回収、精製した。
【0057】以上のようにして得たIacIQ 遺伝子断
片とEcoO109I、SspI制限プラスミドpUC
19とを常法に従ってE.coli DNAリガーゼで連
結反応させ、一般に行われている塩化カルシウム法で調
製したE.coli JM109株のコンピテントセルに
導入した。アンピシリン50μg/m1に耐性のコロニー
からプラスミドを抽出し、pUC19とlacIQ 遺伝
子がEcoO109IおよびSsplで連結されたプラ
スミドを得たことを確認し、これをpMJR96と名付
けた。
【0058】このプラスミドはpUC19由来の複製起
点、アンピシリン耐性遺伝子、lacプロモーター、そ
の下流のマルチクローニング部位、およびlacプロモ
ーターを制御するためのlacIQ 遺伝子を持つ3.7K
bのプラスミドである。
【0059】pMON8の構築 pKM1を大量に調製し、これをEcoRIおよびHi
nd IIIで消化してアガロースゲル電気泳動で分離し、
プロモーター部分、モニターペプタイド遺伝子部分を含
む約500bpの断片を単離、回収した。またベクターと
して、pMJR96を制限酵素EcoRIおよびHin
d IIIで順次消化し、アガロースゲル電気泳動で3.7K
bの断片を回収、精製した。
【0060】以上述べた断片とEcoRI、Hind I
II制限プラスミドとを結合し、pMON8を作成した
(図3)。
【0061】ベクター20ngとpKM1由来のモニター
ペプタイド遺伝子をコードする断片100ngとを混合
し、E.coli DNAリガーゼにより結合した。反応
液をそのまま用いて、一般に行われている塩化カルシウ
ム法でコンピテントセルを調製したE.coli JM1
09株を形質転換し、多数のアンピシリン(50μg/
m1)耐性形質転換体を得た。複数の形質転換体からプラ
スミドを迅速抽出法で抽出し、KpnI部位、BstP
I部位、EcoRI−Hind III二重消化による50
0bp断片を確認し、このプラスミドをpMON8とし
た。
【0062】pMON8を大量に調製し、E.coli
YK3340株の形質転換に用いた。形質転換は、塩化
カルシウム法で調製したコンピテントセルにDNA溶液
を作成させて導入するという、標準の方法によって行
い、アンピシリン50μg/m1に耐性の形質転換体を得
た。この形質転換体をM135株とした。この形質転換
体は微工研菌寄第12030号として工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託された。
【0063】尚、E.coli YK3340株は、E.
coli C600S株の1クローンであり、C600
Sの遺伝学的性質については文献(Sato, K., et al. V
irology, 34,637〜649、1968)に次のよ
うに記載されている。(T1、T5S、leuY、th
+、leu+、supE)
【0064】培養 モニターペプタイドを得るために、M135株を10g
/1のバクトトリプトン、5g/1の酵母エキス、5g
/1の塩化ナトリウム、およびアンピシリン50μg/
m1を含有する培地中で培養し、さらに培養途中に発現を
誘導した。試験管に5m1ずつ分注した上記の培地に、M
135株を接種し、37℃で一晩培養した。このブロス
10m1を1lの新鮮な培地に移植し、さらに3〜4時間
37℃で培養し、660nmでの吸光度0.8に達した所
で、発現誘導剤であるIPTG(IPTG:isopropyl
−β−thiogalactopyranoside)溶液を最終濃度1mMに
なるよう添加した。IPTG添加後3時間で培養を終了
し、4℃において4800×g、10分間の遠心分離で
菌体を集めた。
【0065】モニターペプタイドの精製 収集した菌体8gを氷冷した6Mグアニジン塩酸、pH
7.5の溶液80m1で懸濁し、超音波破砕装置で菌体を
破壊した。遠心分離で固形物を沈殿させて上澄みを得、
これを10倍量の0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)
水溶液で希釈した。再び遠心分離で固形物を除いた後、
上澄み約800m1を得た。この溶液をあらかじめ0.1
%TFAで平衡化したPREPARATIVE C18
(ウォーターズ社)カラム(1.8×10cm)にかけ、
0.1%TFA溶液中でアセトニトリルの濃度勾配で溶
出した。減圧濃縮機で溶出画分からアセトニトリルを除
いた後、凍結乾燥した。凍結乾燥標品を10mM酢酸ナト
リウム、pH4.5に溶かし、FPLCTM装置でMon
oSTMカラム(いずれもファルマシア社)に供し、塩化
ナトリウムの濃度勾配で溶出した。得られた画分を「ウ
ェスタンブロット」として知られている方法で分析し、
モニターペプタイドを含む画分を検出した。すなわち、
分析したいサンプルをSDS−ポリアクリルアミド電気
泳動で展開し、ニトロセルロース膜に電気的に転写し
た。1次抗体に本ペプタイドのアミノ末端側18アミノ
酸に対するウサギ抗体、2次抗体に西洋ワサビパーオキ
シダーゼで標識された、ウサギ抗体に対するヤギ抗体を
用いた。最終的にパーオキシダーゼによる発色で、モニ
ターペプタイドと思われるバンドを確認した。更にHP
LCのC18カラムにかけ、アセトニトリルの濃度勾配
で溶出し、先に述べたウェスタンブロットおよびトリプ
シン阻害活性を有するペプタイドを得た。
【0066】同様の方法で10l分の培養を行い、上記
と同様の方法で122μgのモニターペプタイドの標品
を得、うち19μgを6N塩酸中で110℃24時間加
水分解した。加水分解物を日立アミノ酸分析計375型
により分析した。得られたモニターペプタイドのアミノ
酸組成は下の表2のようになり、ラット膵液から得られ
た天然のものとよく一致した。
【0067】
【表2】
【0068】また、アミノ酸配列を気相式プロテインシ
ーケンサー(PSQ−1:島津製作所)で決定したとこ
ろ、アミノ末端のGlyからカルボキシ末端のCysま
で61アミノ酸の配列が、天然のモニターペプタイドと
一致した。
【図面の簡単な説明】
【図1】モニターペプタイドをコードする合成DNAの
二重鎖と、プラスミドpKK233−2をNcoIとH
ind IIIで消化して得られたものとのライゲーション
によるプラスミドpKMIの構築を模式的に示す図であ
る。
【図2】プラスミドpMJR1560とプラスミドpU
C18とからのプラスミドpMJR96の構築を模式的
に示す図である。
【図3】プラスミドpMJR96とプラスミドpKM1
とからのプラスミドpMON8の構築を模式的に示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/70 C12P 21/02 C 8214−4B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次のアミノ酸配列を有するモニターペプ
    タイドすなわち、 Gly Asn Pro Pro Ala Glu Val Asn Gly Lys Thr Pro Asn Cys Pro Lys Gln Ile Met Gly Cys Pro Arg Ile Tyr Asp Pro Val Cys Gly Thr Asn Gly Ile Thr Tyr Pro Ser Glu Cys Ser Leu Cys Phe Glu Asn Arg Lys Phe Gly Thr Ser Ile His Ile Gln Arg Arg Gly Thr Cys をコードするDNA配列を有する化学合成遺伝子。
  2. 【請求項2】 モニターペプタイドをコードするDNA
    配列が 【化1】 である請求項1記載の化学合成遺伝子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の化学合成遺伝子をプラス
    ミドベクターに挿入したプラスミド組換え体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の化学合成遺伝子をプラス
    ミドベクターに挿入したプラスミド組換え体により形質
    転換された宿主細胞。
  5. 【請求項5】 宿主細胞が大腸菌である請求項4記載の
    形質転換された宿主細胞。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の形質転換された宿主細胞
    を培養してモニターペプタイドを発現させることからな
    る、モニターペプタイドの製造方法。
  7. 【請求項7】 形質転換された宿主細胞が大腸菌である
    請求項6記載の方法。
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