JPH056751A - 活性酸素発生装置 - Google Patents
活性酸素発生装置Info
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- JPH056751A JPH056751A JP3026245A JP2624591A JPH056751A JP H056751 A JPH056751 A JP H056751A JP 3026245 A JP3026245 A JP 3026245A JP 2624591 A JP2624591 A JP 2624591A JP H056751 A JPH056751 A JP H056751A
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Landscapes
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- Chemical Vapour Deposition (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
〔目的〕 従来装置に比較して少ない酸素流量で、密度
の高い活性酸素原子を発生させ、原子層レベルの制御を
行って薄膜を作製することを可能にする。 〔構成〕 同軸ケーブルおよびマイクロ波アンテナを利
用して、放電室内で有磁場マイクロ波放電を起こし、活
性酸素原子を発生し、この活性酸素原子を、移送部材を
通して主真空室の任意の場所に移送する。マイクロ波導
入端子と放電室内壁の空間に放電抑制材を配置し、放電
を抑える。活性酸素発生装置におけるプラズマと接触す
る部分には失活防止部材を取付け、活性酸素の失活を抑
制する。
の高い活性酸素原子を発生させ、原子層レベルの制御を
行って薄膜を作製することを可能にする。 〔構成〕 同軸ケーブルおよびマイクロ波アンテナを利
用して、放電室内で有磁場マイクロ波放電を起こし、活
性酸素原子を発生し、この活性酸素原子を、移送部材を
通して主真空室の任意の場所に移送する。マイクロ波導
入端子と放電室内壁の空間に放電抑制材を配置し、放電
を抑える。活性酸素発生装置におけるプラズマと接触す
る部分には失活防止部材を取付け、活性酸素の失活を抑
制する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性酸素発生装置に関
し、特に、種々の薄膜プロセス、例えば酸化物超伝導薄
膜の作製等に用いられ、高真空の条件下で動作する高効
率の活性酸素発生装置に関するものである。
し、特に、種々の薄膜プロセス、例えば酸化物超伝導薄
膜の作製等に用いられ、高真空の条件下で動作する高効
率の活性酸素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物超伝導体の実用化では高品質の薄
膜化技術が必要であり、現在CVD、MBE、スパッタ
リング、レーザーアブレーションなどの様々な手法が検
討されている。これらの手法の中で、MBE以外の手法
は、10-3Torr以上の比較的に高い酸素圧力を必要と
し、代表的な酸化物超伝導体の作製には適した方法であ
るといえる。しかし、薄膜化の技術が進むにつれて、従
来手法の問題が明らかになってきた。例えば、ジョセフ
ソン素子などに対する応用では、接合界面の微視的な構
造や電子状態が重要となり、薄膜作製時にこれらを制御
できることが必要となる。ところが、酸化物超伝導体の
界面は化学的に不安定であり、このため接合を形成した
ときに界面に第3の不純物層が形成され、素子の性能が
劣化するという事実が報告されている。上記の不純物層
をなくすためには、より高い真空中で原子層を一層づつ
成長させることのできるMBE法を用いることが必要と
なる。この場合、使用する酸素ガスを放電などで活性化
し、実際の圧力を低く保つのが一般的であるが、実際上
超伝導膜を合成することができかつその上にMBE的な
原子層の制御を行えるようにすることは、依然として難
しい。そこで、この問題を解決するため、より少ない酸
素流量で、効率よく多くの活性酸素を発生できる技術が
求められている。従来この種の装置としては、英国のOx
ford Applied Research 社の装置が知られている。この
従来装置では、13.56MHz の高周波を用いて酸素流
量2SCCM、高周波電力150Wを投入し、放電室から1
0cmの距離で2×1014個/sec ・cm2 の酸素原子密度
を得ている。プラズマ化した酸素中には、種々の活性化
学種が存在するが、特に分子が解離して作られる酸素原
子は最も活性が高いと考えられるので、酸素原子を多く
発生するようにすればよい。このためには、気体の密度
を高く、かつプラズマに投入される電力を大きくする必
要がある。
膜化技術が必要であり、現在CVD、MBE、スパッタ
リング、レーザーアブレーションなどの様々な手法が検
討されている。これらの手法の中で、MBE以外の手法
は、10-3Torr以上の比較的に高い酸素圧力を必要と
し、代表的な酸化物超伝導体の作製には適した方法であ
るといえる。しかし、薄膜化の技術が進むにつれて、従
来手法の問題が明らかになってきた。例えば、ジョセフ
ソン素子などに対する応用では、接合界面の微視的な構
造や電子状態が重要となり、薄膜作製時にこれらを制御
できることが必要となる。ところが、酸化物超伝導体の
界面は化学的に不安定であり、このため接合を形成した
ときに界面に第3の不純物層が形成され、素子の性能が
劣化するという事実が報告されている。上記の不純物層
をなくすためには、より高い真空中で原子層を一層づつ
成長させることのできるMBE法を用いることが必要と
なる。この場合、使用する酸素ガスを放電などで活性化
し、実際の圧力を低く保つのが一般的であるが、実際上
超伝導膜を合成することができかつその上にMBE的な
原子層の制御を行えるようにすることは、依然として難
しい。そこで、この問題を解決するため、より少ない酸
素流量で、効率よく多くの活性酸素を発生できる技術が
求められている。従来この種の装置としては、英国のOx
ford Applied Research 社の装置が知られている。この
従来装置では、13.56MHz の高周波を用いて酸素流
量2SCCM、高周波電力150Wを投入し、放電室から1
0cmの距離で2×1014個/sec ・cm2 の酸素原子密度
を得ている。プラズマ化した酸素中には、種々の活性化
学種が存在するが、特に分子が解離して作られる酸素原
子は最も活性が高いと考えられるので、酸素原子を多く
発生するようにすればよい。このためには、気体の密度
を高く、かつプラズマに投入される電力を大きくする必
要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、マイクロ波を用
いたプラズマ源では石英の窓を通じてマイクロ波を導入
するように構成される。この方式では、大きな電力の導
入には耐えることができるが、外部に導波管を用いるた
めに、装置が全体的に大きくなる。一方、使用時の利便
性を考慮すると、装置を小型に形成することができ、さ
らに取付け性についての融通性を高くできる同軸ケーブ
ルを用いることが望ましい。しかし、同軸ケーブルを用
いる構成の場合には、インピーダンスの不整合から電力
損失が生じやすく、また熱的な破壊も起りやすいという
不具合を有する。また、気体の密度を高める場合、流量
自体を増加させると、全体の圧力が上昇する。したがっ
て、放電室と主真空室との間のコンダクタンス(流れや
すさ)を小さくして圧力差を設ける必要が生じる。さら
に、酸素原子は非常に活性が高いので、活性酸素発生装
置を形成する容器の材質に、酸素原子の影響を受けない
ものを用いる必要があり、そのために容器の材質に制限
を受けるという問題が提起される。
いたプラズマ源では石英の窓を通じてマイクロ波を導入
するように構成される。この方式では、大きな電力の導
入には耐えることができるが、外部に導波管を用いるた
めに、装置が全体的に大きくなる。一方、使用時の利便
性を考慮すると、装置を小型に形成することができ、さ
らに取付け性についての融通性を高くできる同軸ケーブ
ルを用いることが望ましい。しかし、同軸ケーブルを用
いる構成の場合には、インピーダンスの不整合から電力
損失が生じやすく、また熱的な破壊も起りやすいという
不具合を有する。また、気体の密度を高める場合、流量
自体を増加させると、全体の圧力が上昇する。したがっ
て、放電室と主真空室との間のコンダクタンス(流れや
すさ)を小さくして圧力差を設ける必要が生じる。さら
に、酸素原子は非常に活性が高いので、活性酸素発生装
置を形成する容器の材質に、酸素原子の影響を受けない
ものを用いる必要があり、そのために容器の材質に制限
を受けるという問題が提起される。
【0004】本発明の目的は、上記の各問題に鑑み、よ
り高い真空状態で動作し、かつ高い反応性を有する活性
酸素を生じる活性酸素発生装置を提供することにある。
り高い真空状態で動作し、かつ高い反応性を有する活性
酸素を生じる活性酸素発生装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る活性酸素発
生装置は、上記の目的を達成すべく、マイクロ波の電力
損失を抑えかつマイクロ波の伝送効率を向上するため
に、内部が真空であり、かつこの真空の中でプラズマを
発生させる放電室と、外部より前記放電室に導入された
マイクロ波を放電室内部の気体に供給するマイクロ波放
射部材と、放電室で発生した活性酸素を反応場所へ移送
する移送部材を備えてなることを特徴とする。本発明に
係る活性酸素発生装置は、前記の構成において、放電室
を筒型形状とし、マイクロ波放射部材を棒状としかつ筒
型の放電室の中心軸上に配置したことを特徴とする。本
発明に係る活性酸素発生装置は、前記の各構成におい
て、マイクロ波放射部材のマイクロ波導入部における、
マイクロ波導入端子から放電室に至るまでの箇所の周囲
に放電抑制部材を配設したことを特徴とする。本発明に
係る活性酸素発生装置は、前記の各構成において、プラ
ズマに接触する壁部分を、失活防止材で形成したことを
特徴とする。本発明に係る活性酸素発生装置は、前記の
各構成において、さらに、移送部材は交換可能構造を有
し、かつ任意の形状を有することを特徴とする。
生装置は、上記の目的を達成すべく、マイクロ波の電力
損失を抑えかつマイクロ波の伝送効率を向上するため
に、内部が真空であり、かつこの真空の中でプラズマを
発生させる放電室と、外部より前記放電室に導入された
マイクロ波を放電室内部の気体に供給するマイクロ波放
射部材と、放電室で発生した活性酸素を反応場所へ移送
する移送部材を備えてなることを特徴とする。本発明に
係る活性酸素発生装置は、前記の構成において、放電室
を筒型形状とし、マイクロ波放射部材を棒状としかつ筒
型の放電室の中心軸上に配置したことを特徴とする。本
発明に係る活性酸素発生装置は、前記の各構成におい
て、マイクロ波放射部材のマイクロ波導入部における、
マイクロ波導入端子から放電室に至るまでの箇所の周囲
に放電抑制部材を配設したことを特徴とする。本発明に
係る活性酸素発生装置は、前記の各構成において、プラ
ズマに接触する壁部分を、失活防止材で形成したことを
特徴とする。本発明に係る活性酸素発生装置は、前記の
各構成において、さらに、移送部材は交換可能構造を有
し、かつ任意の形状を有することを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明による活性酸素発生装置では、同軸ケー
ブルおよび所定位置に配置されるマイクロ波放射部材を
利用して放電室に対しマイクロ波を導入し、かつ磁場発
生手段で放電室内に所要の磁場を形成し、放電室内の真
空の条件下で、例えば、電子サイクロトロン共鳴条件を
満たす有磁場マイクロ波放電により、放電室内に供給さ
れた酸素ガスについてプラズマを発生させる。放電室で
発生した活性酸素は、所定の反応場所へ移送部材で移送
される。特に、放電室の形状を筒型形状とし、マイクロ
波放射部材の形状をを棒状とし、かつ筒型の放電室の中
心軸上にマイクロ波放射部材を配置すること、およびマ
イクロ波放射部材のマイクロ波導入部における、マイク
ロ波導入端子から放電室に至るまでの箇所の周囲に放電
抑制部材を配設することにより、インピーダンスを小さ
くでき、電力損失を低減することができる。また、放電
室や移送部材においてプラズマに接触する壁部分を、失
活防止材で形成し、発生した活性酸素を効率よく利用す
ることができる。さらに、移送部材は交換可能構造を有
し、かつ任意の形状を有し、もって、任意の箇所に活性
酸素を移送することを可能にする。
ブルおよび所定位置に配置されるマイクロ波放射部材を
利用して放電室に対しマイクロ波を導入し、かつ磁場発
生手段で放電室内に所要の磁場を形成し、放電室内の真
空の条件下で、例えば、電子サイクロトロン共鳴条件を
満たす有磁場マイクロ波放電により、放電室内に供給さ
れた酸素ガスについてプラズマを発生させる。放電室で
発生した活性酸素は、所定の反応場所へ移送部材で移送
される。特に、放電室の形状を筒型形状とし、マイクロ
波放射部材の形状をを棒状とし、かつ筒型の放電室の中
心軸上にマイクロ波放射部材を配置すること、およびマ
イクロ波放射部材のマイクロ波導入部における、マイク
ロ波導入端子から放電室に至るまでの箇所の周囲に放電
抑制部材を配設することにより、インピーダンスを小さ
くでき、電力損失を低減することができる。また、放電
室や移送部材においてプラズマに接触する壁部分を、失
活防止材で形成し、発生した活性酸素を効率よく利用す
ることができる。さらに、移送部材は交換可能構造を有
し、かつ任意の形状を有し、もって、任意の箇所に活性
酸素を移送することを可能にする。
【0007】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面を参照し
て説明する。図1は本発明による活性酸素発生装置の要
部縦断面図であり、本図において、1は例えば円筒型の
放電室、2は気体導入口である。気体導入口2を通して
導入された酸素ガスは、放電室1で、一例として電子サ
イクロトロン共鳴が発生する所定条件の下でプラズマ化
され、その結果、解離酸素原子を生じる。放電室1は所
要の真空状態に保持される。なお、酸素ガスのプラズマ
化の条件は電子サイクロトロン共鳴条件に限定されな
い。また、発生した酸素原子は高い活性を有する酸素原
子である。放電室1の図中左端に位置する部分3はマイ
クロ波導入端子であり、このマイクロ波導入端子3に
は、さらに外部からの同軸ケーブルが接続されている。
マイクロ波導入端子3を介して、外部の同軸ケーブルか
らマイクロ波が放電室1および図中右側の真空装置内に
導入される。マイクロ波導入端子3の先端に取り付けた
4は、棒状のアンテナで、マイクロ波を放電室1内に放
射する部材である。アンテナ4は、放電室1内に突出し
た状態で、かつ円筒型放電室1の中心軸部に配置されて
いる。アンテナ4の図中左側部分は、同軸ケーブルの中
心軸4aにつながっていく。マイクロ波導入端子3の周
辺部分から放電室1に至るまでの空間であって、アンテ
ナ4の周囲のアース電位に保持された壁部5に囲まれた
空間には、例えば石英ブロック6が充填される。この石
英ブロック6は、アンテナ4と壁部5との間の空間で発
生する放電を抑制し、かつ放電に起因する電力損失やマ
イクロ波導入端子3の熱破壊を防止する機能を有する。
石英ブロック6の軸方向の寸法は、例えば1cm程度で
ある。なお、7は放電室1の周囲に配設され、放電室内
部に所要の磁場を発生するコイル、8は放電室1を冷却
するための水冷アセンブリ、9は真空封止セラミックで
ある。
て説明する。図1は本発明による活性酸素発生装置の要
部縦断面図であり、本図において、1は例えば円筒型の
放電室、2は気体導入口である。気体導入口2を通して
導入された酸素ガスは、放電室1で、一例として電子サ
イクロトロン共鳴が発生する所定条件の下でプラズマ化
され、その結果、解離酸素原子を生じる。放電室1は所
要の真空状態に保持される。なお、酸素ガスのプラズマ
化の条件は電子サイクロトロン共鳴条件に限定されな
い。また、発生した酸素原子は高い活性を有する酸素原
子である。放電室1の図中左端に位置する部分3はマイ
クロ波導入端子であり、このマイクロ波導入端子3に
は、さらに外部からの同軸ケーブルが接続されている。
マイクロ波導入端子3を介して、外部の同軸ケーブルか
らマイクロ波が放電室1および図中右側の真空装置内に
導入される。マイクロ波導入端子3の先端に取り付けた
4は、棒状のアンテナで、マイクロ波を放電室1内に放
射する部材である。アンテナ4は、放電室1内に突出し
た状態で、かつ円筒型放電室1の中心軸部に配置されて
いる。アンテナ4の図中左側部分は、同軸ケーブルの中
心軸4aにつながっていく。マイクロ波導入端子3の周
辺部分から放電室1に至るまでの空間であって、アンテ
ナ4の周囲のアース電位に保持された壁部5に囲まれた
空間には、例えば石英ブロック6が充填される。この石
英ブロック6は、アンテナ4と壁部5との間の空間で発
生する放電を抑制し、かつ放電に起因する電力損失やマ
イクロ波導入端子3の熱破壊を防止する機能を有する。
石英ブロック6の軸方向の寸法は、例えば1cm程度で
ある。なお、7は放電室1の周囲に配設され、放電室内
部に所要の磁場を発生するコイル、8は放電室1を冷却
するための水冷アセンブリ、9は真空封止セラミックで
ある。
【0008】前記のアンテナ4の形状はインピーダンス
を考慮して決定される。例えば、放電室1の内径d1と
マイクロ波導入端子3の真空側の内径d0は等しく、か
つ同軸ケーブルの中心軸4aの径d2とアンテナ径d3
を等しくすることにより、真空内でのインピーダンスの
変化が最小になり、反射されるマイクロ波成分を最小に
することができる。具体的な数値の例としては、d1=
d2=16mm、d2=d3=3mmである。
を考慮して決定される。例えば、放電室1の内径d1と
マイクロ波導入端子3の真空側の内径d0は等しく、か
つ同軸ケーブルの中心軸4aの径d2とアンテナ径d3
を等しくすることにより、真空内でのインピーダンスの
変化が最小になり、反射されるマイクロ波成分を最小に
することができる。具体的な数値の例としては、d1=
d2=16mm、d2=d3=3mmである。
【0009】前記の放電室1の周辺構成に基づき、放電
室内部に所要の磁場が形成され、かつアンテナ4でマイ
クロ波が導入されると、放電室内部に導入された酸素ガ
スは放電により解離され、活性酸素原子が発生する。発
生した酸素原子は、放電室1の図中右端の壁部に形成さ
れたスリット状の通路10を通って、さらに移送用パイ
プ11を経由して目標とする場所まで移送される。12
は真空装置の容器壁部であり、その図中右側は、主真空
室になっている。通路10は、気体の流量を調節し、放
電室1内の圧力を高く保持する機能を有する。また、パ
イプ11によって気体、すなわち酸素原子の拡散が抑え
られ、高い活性種密度を保つことができる。13は、通
路10の右端拡大径部とパイプ11の左端部との接続部
であり、この接続部13を用いてパイプ11は通路10
に対して着脱自在にすることができる。本実施例の場
合、例えば直円筒型のパイプ11を用いているが、着脱
自在な構造に基づき他の任意の形状を有するパイプに交
換することにより、あるいはフレキシビリティを有する
パイプ部材を用いることにより、放電室1から特別な位
置にある任意な場所にも、放電室1で発生した活性種を
移送できる。任意の形状をしたパイプは、複数種類を用
意することが可能である。また放電室1、通路10、パ
イプ11の内壁面にセラミック、石英の材料をコーティ
ング等によって設ければ、酸素原子の内壁における失活
を最小に抑えることができる。また通路10や移送用パ
イプ11は、そのものをセラミックや石英等で形成する
こともできる。
室内部に所要の磁場が形成され、かつアンテナ4でマイ
クロ波が導入されると、放電室内部に導入された酸素ガ
スは放電により解離され、活性酸素原子が発生する。発
生した酸素原子は、放電室1の図中右端の壁部に形成さ
れたスリット状の通路10を通って、さらに移送用パイ
プ11を経由して目標とする場所まで移送される。12
は真空装置の容器壁部であり、その図中右側は、主真空
室になっている。通路10は、気体の流量を調節し、放
電室1内の圧力を高く保持する機能を有する。また、パ
イプ11によって気体、すなわち酸素原子の拡散が抑え
られ、高い活性種密度を保つことができる。13は、通
路10の右端拡大径部とパイプ11の左端部との接続部
であり、この接続部13を用いてパイプ11は通路10
に対して着脱自在にすることができる。本実施例の場
合、例えば直円筒型のパイプ11を用いているが、着脱
自在な構造に基づき他の任意の形状を有するパイプに交
換することにより、あるいはフレキシビリティを有する
パイプ部材を用いることにより、放電室1から特別な位
置にある任意な場所にも、放電室1で発生した活性種を
移送できる。任意の形状をしたパイプは、複数種類を用
意することが可能である。また放電室1、通路10、パ
イプ11の内壁面にセラミック、石英の材料をコーティ
ング等によって設ければ、酸素原子の内壁における失活
を最小に抑えることができる。また通路10や移送用パ
イプ11は、そのものをセラミックや石英等で形成する
こともできる。
【0010】次に本実施例による活性酸素発生装置の動
作の実施状況の実験を、図2を参照して説明する。マイ
クロ波周波数は2.45GHz 、磁場強度は875Gauss
、マイクロ波電力200W、酸素ガス流量0.8SCCM
である。図2に示す如き構成において、本実施例による
活性酸素発生装置で活性酸素原子の定量を行った。放電
室1から60cmの距離だけ離れた場所に基板14を配
置する。基板14は基板ホルダ15に固定される。基板
14と活性酸素原子を移送するためのパイプ11との間
には5cmの距離が設定される。16は銅蒸着用クヌー
センセル、17は真空排気用クライオポンプである。本
実施例による活性酸素発生装置を動作させながら、銅蒸
着用クヌーセンセル16を動作させて、基板14への銅
の蒸着を行った。基板14上に製作される酸化物超伝導
体は、銅を含む化合物であり、その生成反応は、銅の酸
化によって進行する。銅自身は不活性な基底状態の酸素
によって酸化されず、活性な酸素と反応するので、酸化
された銅の量から活性な酸素の量を知ることができる。
なお、図2において、18は真空室を形成する真空容器
である。
作の実施状況の実験を、図2を参照して説明する。マイ
クロ波周波数は2.45GHz 、磁場強度は875Gauss
、マイクロ波電力200W、酸素ガス流量0.8SCCM
である。図2に示す如き構成において、本実施例による
活性酸素発生装置で活性酸素原子の定量を行った。放電
室1から60cmの距離だけ離れた場所に基板14を配
置する。基板14は基板ホルダ15に固定される。基板
14と活性酸素原子を移送するためのパイプ11との間
には5cmの距離が設定される。16は銅蒸着用クヌー
センセル、17は真空排気用クライオポンプである。本
実施例による活性酸素発生装置を動作させながら、銅蒸
着用クヌーセンセル16を動作させて、基板14への銅
の蒸着を行った。基板14上に製作される酸化物超伝導
体は、銅を含む化合物であり、その生成反応は、銅の酸
化によって進行する。銅自身は不活性な基底状態の酸素
によって酸化されず、活性な酸素と反応するので、酸化
された銅の量から活性な酸素の量を知ることができる。
なお、図2において、18は真空室を形成する真空容器
である。
【0011】上記構成に基づく実験の結果を図3を参照
して説明し、本実施例による活性酸素発生装置の効果を
明らかにする。図3はCu2pXPSスペクトルを示
し、横軸は電子結合エネルギ(eV)を表し、縦軸は任
意単位の強度を表す。図3において、グラフAは本実施
例による活性酸素発生装置を用いないときの前記スペク
トルを示し、グラフBは本実施例による活性酸素発生装
置を用いるときの前記スペクトルを示す。グラフAで
は、酸化がまったく発生していないのに対して、グラフ
Bでは超伝導体を形成するのに必要な2価まで酸化され
ているのが明らかである。この場合において、基板14
の位置での活性酸素原子の密度は3×1014atoms /se
c ・cm2 であった。これは、通常のMBE法における膜
の成長速度と同程度であり、反応に充分な酸素を供給す
ることができる。またこのときの真空度は1.4×10
-5Torr、酸素流量に換算すると0.8sccmとなる。同程
度の活性酸素を発生する装置として前述の従来製品が存
在するが、要求される酸素流量は2sccmであり、本発明
と比較すると、本発明の方が少ないので、より高真空に
適しているということができる。また、放電室1と酸化
反応が起きる基板14の表面との距離は60cmである
が、このように長い距離を移送した後にも、内面に石英
を用いたため、すなわち石英パイプを用いたため、活性
酸素の失活が少ないことが判明した。
して説明し、本実施例による活性酸素発生装置の効果を
明らかにする。図3はCu2pXPSスペクトルを示
し、横軸は電子結合エネルギ(eV)を表し、縦軸は任
意単位の強度を表す。図3において、グラフAは本実施
例による活性酸素発生装置を用いないときの前記スペク
トルを示し、グラフBは本実施例による活性酸素発生装
置を用いるときの前記スペクトルを示す。グラフAで
は、酸化がまったく発生していないのに対して、グラフ
Bでは超伝導体を形成するのに必要な2価まで酸化され
ているのが明らかである。この場合において、基板14
の位置での活性酸素原子の密度は3×1014atoms /se
c ・cm2 であった。これは、通常のMBE法における膜
の成長速度と同程度であり、反応に充分な酸素を供給す
ることができる。またこのときの真空度は1.4×10
-5Torr、酸素流量に換算すると0.8sccmとなる。同程
度の活性酸素を発生する装置として前述の従来製品が存
在するが、要求される酸素流量は2sccmであり、本発明
と比較すると、本発明の方が少ないので、より高真空に
適しているということができる。また、放電室1と酸化
反応が起きる基板14の表面との距離は60cmである
が、このように長い距離を移送した後にも、内面に石英
を用いたため、すなわち石英パイプを用いたため、活性
酸素の失活が少ないことが判明した。
【0012】
【発明の効果】上記の説明で明らかなように、本発明に
よれば、次の効果が生じるまず、酸化物超伝導体の高品
質薄膜をMBE法で作製できる真空構造を有する活性酸
素発生装置としたため、薄膜成長時の真空度を高く保つ
ことができ、原子層程度の微小なスケールの精密制御
や、圧力が高いが故に使用できなかった測定手段の使用
が可能になった。マイクロ波を給電する手段として同軸
ケーブルを用いた場合において、マイクロ波導入部のイ
ンピーダンスを小さくするように構成したため、比較的
に小型の形態にて大きな電力を導入することができ、こ
の構成は広くプラズマプロセッシングの装置に適用する
こともできる。所定の条件の下、放電室にて発生した活
性酸素は、放電室や移送通路の少なくとも内面部分を石
英で形成するようにしたため、活性酸素原子の失活を最
小限に抑えることができる。このことは特に活性酸素原
子を長距離移送しなければならないときに好都合であ
る。活性酸素を放電室から所要の位置まで移送するため
の移送部材は、任意形状のものを複数用意し、かつ着脱
自在の構成を採用することにより、適宜な交換で、放電
室に関して任意の位置に活性酸素を移送することができ
る。
よれば、次の効果が生じるまず、酸化物超伝導体の高品
質薄膜をMBE法で作製できる真空構造を有する活性酸
素発生装置としたため、薄膜成長時の真空度を高く保つ
ことができ、原子層程度の微小なスケールの精密制御
や、圧力が高いが故に使用できなかった測定手段の使用
が可能になった。マイクロ波を給電する手段として同軸
ケーブルを用いた場合において、マイクロ波導入部のイ
ンピーダンスを小さくするように構成したため、比較的
に小型の形態にて大きな電力を導入することができ、こ
の構成は広くプラズマプロセッシングの装置に適用する
こともできる。所定の条件の下、放電室にて発生した活
性酸素は、放電室や移送通路の少なくとも内面部分を石
英で形成するようにしたため、活性酸素原子の失活を最
小限に抑えることができる。このことは特に活性酸素原
子を長距離移送しなければならないときに好都合であ
る。活性酸素を放電室から所要の位置まで移送するため
の移送部材は、任意形状のものを複数用意し、かつ着脱
自在の構成を採用することにより、適宜な交換で、放電
室に関して任意の位置に活性酸素を移送することができ
る。
【図1】本発明に係る活性酸素発生装置の模式的な要部
縦断面図である。
縦断面図である。
【図2】本発明に係る活性酸素発生装置を薄膜作製装置
に適用した構成図である。
に適用した構成図である。
【図3】本発明に係る活性酸素発生装置に基づく活性酸
素の発生状態を示す特性図である。
素の発生状態を示す特性図である。
1 放電室
2 気体導入口
3 マイクロ波導入端子
4 アンテナ(マイクロ波放射部材)
6 石英ブロック(放電抑制材)
7 磁場発生用コイル
10 通路
11 移送用パイプ
14 基板
15 基板ホルダ
16 銅蒸着用クヌーセンセル
17 クライオポンプ
18 真空容器
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 伊原 英雄
茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技
術院電子技術総合研究所内
(72)発明者 寺田 教男
茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技
術院電子技術総合研究所内
(72)発明者 金 京植
東京都府中市四谷5丁目8番1号 日電ア
ネルバ株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 内部が真空であり、この真空の中でプラ
ズマを発生させる放電室と、外部より前記放電室に導入
されたマイクロ波を放電室内部の気体に供給するマイク
ロ波放射部材と、前記放電室で発生した活性酸素を反応
場所へ移送する移送部材を備えてなることを特徴とする
活性酸素発生装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の活性酸素発生装置におい
て、前記放電室を筒型形状とし、前記マイクロ波放射部
材を棒状としかつ筒型の前記放電室の中心軸上に配置し
たことを特徴とする活性酸素発生装置。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の活性酸素発生装
置において、前記マイクロ波放射部材のマイクロ波導入
部における、マイクロ波導入端子から前記放電室に至る
までの箇所の周囲に放電抑制部材を配設したことを特徴
とする活性酸素発生装置。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項の活性酸素
発生装置において、前記プラズマに接触する壁部分を、
失活防止材で形成したことを特徴とする活性酸素発生装
置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の活
性酸素発生装置において、前記移送部材は交換可能構造
を有し、かつ任意の形状を有することを特徴とする活性
酸素発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026245A JPH056751A (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 活性酸素発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026245A JPH056751A (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 活性酸素発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH056751A true JPH056751A (ja) | 1993-01-14 |
Family
ID=12187911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3026245A Pending JPH056751A (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 活性酸素発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH056751A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09165206A (ja) * | 1995-12-19 | 1997-06-24 | Mitsubishi Electric Corp | オゾン発生方法およびオゾン発生装置 |
KR100502783B1 (ko) * | 2002-04-17 | 2005-07-20 | 스마트전자 주식회사 | 오존 발생 장치 |
WO2005087973A1 (ja) * | 2004-03-15 | 2005-09-22 | Ulvac, Inc. | 成膜装置及びその成膜方法 |
JP2021080149A (ja) * | 2019-11-23 | 2021-05-27 | Wef技術開発株式会社 | 活性酸素発生装置 |
WO2024180723A1 (ja) * | 2023-03-01 | 2024-09-06 | Wef技術開発株式会社 | 活性酸素発生装置 |
-
1991
- 1991-02-20 JP JP3026245A patent/JPH056751A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09165206A (ja) * | 1995-12-19 | 1997-06-24 | Mitsubishi Electric Corp | オゾン発生方法およびオゾン発生装置 |
KR100502783B1 (ko) * | 2002-04-17 | 2005-07-20 | 스마트전자 주식회사 | 오존 발생 장치 |
WO2005087973A1 (ja) * | 2004-03-15 | 2005-09-22 | Ulvac, Inc. | 成膜装置及びその成膜方法 |
JPWO2005087973A1 (ja) * | 2004-03-15 | 2008-01-31 | 株式会社アルバック | 成膜装置及びその成膜方法 |
JP4773347B2 (ja) * | 2004-03-15 | 2011-09-14 | 株式会社アルバック | 成膜装置及びその成膜方法 |
JP2021080149A (ja) * | 2019-11-23 | 2021-05-27 | Wef技術開発株式会社 | 活性酸素発生装置 |
WO2024180723A1 (ja) * | 2023-03-01 | 2024-09-06 | Wef技術開発株式会社 | 活性酸素発生装置 |
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