JPH0566716U - 電流プロテクション回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度変化に対する温度係数を有したサーミス
タR_TH によって過電流保護回路の検出トランジスタQ1の
温度補償を行うものである。 【構成】 パワーアンプ出力段Q2,Q3 に設けた過電流保
護回の検出トランジスタQ1のベースバイアス回路の分割
抵抗器R2に並列接続したにサーミスタR_TH を設け、過電
流プロテクション動作の温度補償を行うよう構成したも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はパワーアンプ出力段の電流プロテクション回路に係り、特に、温度 変化に対する温度補償を行うのに好適な電流プロテクション回路に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来より、パワーアンプ出力段に過電流保護回路を設けた電流プロテクション 回路は図４の回路図に示すものが多く提供されていた。図において、１及び２は プシュプル形式のパワーアンプ出力段の入力端子、３はパワーアンプ出力端子で あり、パワーアンプ出力段は NPNトランジスタQ2と PNPトランジスタQ3とがシリ ーズに接続され、トランジスタQ2,Q3 のエミッタより抵抗器R4,R5 を介して出力 される。

【０００３】 トランジスタQ1は過電流保護回路の検出トランジスタであり、上記パワーアン プ出力段のトランジスタQ2のエミッタからの出力信号が検出トランジスタQ1のベ ースバイアス回路の抵抗器R1を介してのベースに供給される。ベースバイアス回 路は分割抵抗器R1,R2 と過電流プロテクション動作の誤動作を防止するコンデン サC1、ダイオードD1及び抵抗器R3より構成されている。

【０００４】 この様に構成された電流プロテクション回路は出力端子３に接続した負荷（図 示せず）に過電流が流れた時、検出トランジスタQ1がON動作して検出電流I_Xが発 生しパワーアンプ出力段の過電流保護を行うことができる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記した従来の電流プロテクション回路の検出トランジスタQ1のベー ス−エミッタ電圧V_BE の温度特性により、前記、過電流保護の検出トランジスタ Q1の検出電流I_Xが大きく変化して過電流プロテクション感度が変わってしまうと いう欠点があった。

【０００６】 例えば、高温時検出トランジスタQ1の検出電流I_Xが急激に増加してパワーアン プ出力段からの音声信号に音切れが発生するという欠点があり、また、低温時に は逆に検出トランジスタQ1の検出電流I_Xが減少し、パワーアンプ出力段の過電流 プロテクション動作が非動作状態になるという問題があった。

【０００７】 この考案は上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは 従来例の欠点を解消し、検出トランジスタQ1のベースバイアス回路にサーミスタ を設けて温度変化に対する温度補償を行う電流プロテクション回路を提供すると ころにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案の電流プロテクション回路はパワーアンプ出力段に過電流保護回路を 設けた電流プロテクション回路において、上記過電流保護回路の検出トランジス タのベースバイアス回路にサーミスタを設け、過電流プロテクション動作の温度 補償を行うよう構成したものである。

【０００９】

【作用】

この考案によれば、パワーアンプ出力段に接続した過電流保護回路の検出トラ ンジスタのベースバイアス回路にサーミスタを設けたものであり、検出トランジ スタのベースバイアス回路はパワーアンプ出力から分割抵抗器R1,R2 を介して検 出トランジスタのベースに出力信号が供給されるが、この分割抵抗器R1,R2 の抵 抗器R2に並列にサーミスタを接続する。

【００１０】 上記、サーミスタは温度変化に対して負の温度係数を有しているため、周囲温 度が上昇して高温になると分割抵抗器R2に並列接続したサーミスタの抵抗値が小 さくなってベースバイアス回路のバイアス電圧が小さくなる。即ち、検出トラン ジスタのベース−エミッタ電圧V_BE を低く制御され検出電流I_Xの増加を押え温度 変化に対する温度補償を行うことができる。

【００１１】 また、逆に周囲温度が低下して低温になると、バイアス回路のサーミスタの抵 抗値が増大して前記高温時と逆に作用し、過電流保護回路の温度補償を行うこと ができる。

【００１２】 この様に、負の温度係数を有したサーミスタによって過電流保護回路の検出ト ランジスタは温度変化に対して略一定の検出電流I_Xを流すよう制御し、従来のよ うな温度変化に対する不具合を解消することができる。

【００１３】

【実施例】

この考案に係る電流プロテクション回路の実施例を図１乃至図３に基づいて説 明する。なお、従来例と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。図 １はこの考案の実施例を示した回路図であり、図２は温度変化に対する検出電流 特性を表わした電流特性図、図３は他の実施例を示した回路図である。

【００１４】 図１において、R_TH はサーミスタであり、このサーミスタR_TH は過電流保護回 路の検出トランジスタQ1のベースバイアス回路の分割抵抗器R2に並列に接続され ている。

【００１５】 この様に構成した電流プロテクション回路は、パワーアンプ出力段Q2,Q3 の出 力端子３に接続された負荷（図示せず）に過電流が流れると、従来例と同様に過 電流保護回路の検出トランジスタQ1の検出電流I_Xが発生してパワーアンプ出力段 Q2,Q3 の過電流を保護することができる。

【００１６】 この検出トランジスタQ1の検出電流I_Xはベースバイアス回路により制御され、 このベースバイアス回路による検出トランジスタQ1のベース−エミッタ電圧V_BE は次式のようになる。

【００１７】 ベース−エミッタ電圧V_BE ＝（V_E−V_C）＊R2／（R1＋R2) 但し、上記式のR2は抵抗器R2とサーミスタR_TH との並列接続した合成抵抗値で であり、V_E：パワーアンプ出力段Q2のエミッタ電圧、V_C：コンデンサC1に荷電し た荷電電圧である。

【００１８】 上記、サーミスタR_TH の温度特性は負の温度係数を有しているため、温度が上 昇して高温になると、上記、R2の合成抵抗値は小さくなり、ベース−エミッタ電 圧V_BE も低くなり検出電流I_Xが流れ無い方向に作用する。また、逆に周囲温度が 低下して低温状態になると、ベース−エミッタ電圧V_BE は逆に大きくなり、検出 電流I_Xが増加する方向に制御される。

【００１９】 図２は上記検出トランジスタQ1の検出電流I_Xの周囲温度変化に対する電流特性 を示した特性図であり、図２において、10はこの考案のサーミスタR_TH を検出ト ランジスタQ1のベースバイアス回路に用いた時の温度変化に対する検出電流I_Xを 表わして特性であり、11は従来例の電流プロテクション回路（上記、サーミスタ R_TH を用い無い場合）の温度変化に対する検出電流I_X特性を示したものである。 12はこの考案の検出トランジスタQ1のベース−エミッタ電圧V_BE の温度変化に対 する特性を示したものである。

【００２０】 即ち、図２に示したように周囲温度が上昇すると、従来例の検出電流I_Xの特性 11は大きく上昇するが、この考案のベース−エミッタ電圧V_BE 特性12はサーミス タR_TH の動作作用により温度上昇に対して下降し、検出トランジスタQ1の検出電 流I_X特性10は温度上昇に対して略一定した特性10になる。

【００２１】 この様に、パワーアンプ出力が過負荷状態になって過電流プロテクションが動 作し、検出トランジスタQ1の検出電流I_Xが発生し、この過電流保護回路の周囲温 度が上昇（又は下降）しても検出トランジスタQ1の検出電流I_Xは常に略同じ電流 値を保つよう温度補償を行って過電流プロテクション動作を続けることがができ る。

【００２２】 図３に示した他の実施例はサーミスタR_TH を検出トランジスタQ1のベースとエ ミッタ間に接続したものであり、この様に構成した過電流保護回路においても前 記、図１の実施例の回路と同様の動作を行うことができ、また、同様の効果を得 ることができる。

【００２３】

【考案の効果】

この考案に係る電流プロテクション回路は前述のように、過電流保護回路の検 出トランジスタQ1のベースバイアス回路に負の温度係数を有したサーミスタR_TH を設けたので、検出トランジスタQ1の温度変化に対する検出電流I_Xを略一定値に 温度補償することができ、過電流保護回路の動作が温度変化に対しても常に正常 に動作させることができるという効果がある。

【００２４】 しかも、構造が簡単であって、また、安価に構成することができるため実施も 容易であるなどの優れた特長を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る電流プロテクション回路の実施
例を示した回路図である。

【図２】この考案の温度変化に対するベース−エミッタ
電圧V_BE 及び検出電流I_X特性を示した特性図である。

【図３】この考案の他の実施例を示した回路図である。

【図４】従来例を示した回路図である。

【符号の説明】

1,2 パワーアンプ出力段の入力端子 ３ パワーアンプの出力端子 Q1 過電流保護回路の検出トランジスタ R1,R2 ベースバイアス回路の分割抵抗器 R3 誤動作防止抵抗器 C1 誤動作防止コンデンサ D1 誤動作防止ダイオード

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パワーアンプ出力段に過電流保護回路を
   設けた電流プロテクション回路において、 上記過電流保護回路の検出トランジスタのベースバイア
   ス回路にサーミスタを設け、過電流プロテクション動作
   の温度補償を行うよう構成したことを特徴とする電流プ
   ロテクション回路。