JPH0565343A - 芳香族コポリマーおよびその製造方法 - Google Patents

芳香族コポリマーおよびその製造方法

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JPH0565343A
JPH0565343A JP3253085A JP25308591A JPH0565343A JP H0565343 A JPH0565343 A JP H0565343A JP 3253085 A JP3253085 A JP 3253085A JP 25308591 A JP25308591 A JP 25308591A JP H0565343 A JPH0565343 A JP H0565343A
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JP
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copolymer
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mol
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JP3253085A
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English (en)
Inventor
Yoshikatsu Satake
義克 佐竹
Nobuyuki Inaguma
宜之 稲熊
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融安定性、加工性、ハンドリング性、耐溶
剤性、耐吸湿性に優れた結晶性の高耐熱性コポリマーを
提供すること。 【構成】 ポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケ
トン・セグメント(A)と、ポリアリーレンチオエーテ
ル・セグメント(B)とからなるコポリマーであって、
セグメント(A)の合計量に対するセグメント(B)の
合計量の比率が重量比で0.1〜9の範囲であり、セグ
メント(B)の重量平均分子量が200以上、かつ、溶
融粘度(380℃)が2〜100,000ポイズ、で定
義づけられる芳香族コポリマー、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融安定性、加工性、
ハンドリング性、耐溶剤性、耐吸湿性に優れ、かつ、結
晶性の高耐熱性コポリマーに関し、さらに詳しくは、ポ
リアリーレンチオエーテルケトンケトンケトン・セグメ
ント
【0002】
【化19】 とポリアリーレンチオエーテル・セグメント
【0003】
【化20】 を含有する新規な芳香族コポリマーおよびその製造方法
に関する。また、本発明は、該コポリマーを経済的に製
造する方法に関する。
【0004】
【従来の技術】近年、電子・電気産業分野や自動車、航
空機、宇宙産業分野等において、融点が約300℃以上
の耐熱性を有し、しかも溶融加工が容易な結晶性熱可塑
性樹脂が強く求められており、構造式〔1〕、〔2〕
【0005】
【化21】
【0006】
【化22】 を有するポリエーテルケトンが検討されている[Pol
ymer,21,577(1980)]。
【0007】これらのポリエーテルケトンは、優れた耐
熱性、機械的強度を有するものの、高価なフッ素含有モ
ノマーを用い、また、溶媒としてポリマーとの分離や精
製にコストがかかる芳香族スルホンを利用するため、工
業的製法としては欠点が多い(特公昭57−22938
号公報)。
【0008】また、ポリアリーレンチオエーテルケトン
系ポリマーとして、構造式〔3〕〜〔6〕
【0009】
【化23】
【0010】
【化24】
【0011】
【化25】
【0012】
【化26】 を有するものが提案されている。
【0013】構造式〔3〕を有するポリアリーレンチオ
エーテルケトン(以下、PTKと略記)は、優れた耐熱
性を有するものの溶融時における安定性に乏しい問題点
を有する(特開昭60−58435号公報、特開昭64
−124号公報)。
【0014】構造式〔4〕〜〔5〕を有するポリマー
は、特殊な重合溶媒やモノマーを使用する必要があり、
工業的生産には不適当である(特開昭61−20017
号公報、特開昭61−197634号公報、特開昭62
−27434号公報)。
【0015】構造式〔6〕の構造を有するポリアリーレ
ンチオエーテルケトンケトン(以下、PTKKと略記)
は、融点が約410℃と極めて高く、そのために溶融加
工温度が高くなり、溶融加工時における結晶性の喪失、
あるいは溶融粘度の上昇を伴った架橋反応や炭化反応を
起こし易い。
【0016】一方、ポリアリーレンチオエーテル(以
下、PATEと略記)として、例えばポリp−フェニレ
ンチオエーテル(以下、PPSと略記)は、耐熱性、耐
溶剤性を有する高性能エンジニアリングプラスチックと
して広く利用されている。このものは、非常に安価で工
業的に入手し易いモノマーであるジクロロベンゼンと硫
化ナトリウムとを反応させることによって得られる(米
国特許第3,919,177号明細書)。しかし、その
結晶融点は約285℃であり、ガラス転移温度(Tg)
も約85℃と低いため、より高融点かつ高Tgのポリマ
ーの開発が望まれている。
【0017】特に部品の小型化、軽量化が進む電気・電
子分野では、SMT(表面実装技術)化に対応するため
より高い耐熱性、具体的にはPPSより10〜30℃以
上優れた耐熱性が要求されている。
【0018】上記問題点を解決する方法として、アリー
レンチオエーテル単位とケトン単位をランダムに導入し
たコポリマーが提案されている(特公昭59−5100
号公報)。
【0019】ところが、ジハロベンゼンと、ケトン基で
活性化されているジハロ芳香族化合物を一緒に極性有機
溶媒中でアルカリ金属硫化物と反応させる従来の方法で
は、両者の反応性や重合系中での化学的安定性が異なる
ため、共重合を試みても組成の均一性、耐熱性または溶
融安定性の満足なコポリマーは得られない。すなわち、
得られるランダムコポリマーは、アリーレンチオエーテ
ル単位が少なくなるにしたがい、特に90モル%以下に
なると、結晶性が低下し、耐熱性や機械的特性が劣った
ものになってしまう。
【0020】そこで、PATE部とPTK部からなるブ
ロックコポリマーが提案された(特開平2−22552
7)。しかし、ブロックコポリマー化により得られるコ
ポリマーの結晶融点がブロードになり、十分な耐熱性を
得るにはPTK部を多くする必要がある。しかし、PT
K部の分率を多くすると、溶融安定性や、耐熱性が低下
する等の問題があった。
【0021】芳香族チオエーテルとホスゲンもしくは芳
香族ジカルボン酸ジハライドをルイス酸の存在下、非プ
ロトン溶媒中で反応させ、構造式〔7〕,〔8〕
【0022】
【化27】
【0023】
【化28】 を有するポリマーを得る方法も提案されている(特開昭
60−104126号公報、特開昭60−120720
号公報)。しかしながら、得られるコポリマーは、低重
合度で、溶融安定性が悪く、すぐゲル化してしまう問題
点があった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、結晶
性、加工性、ハンドリング性、耐溶剤性、耐吸湿性に優
れた高耐熱性芳香族コポリマーを提供することにある。
また、該コポリマーを安価に製造する方法を提供するこ
とにある。本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭
意検討を重ねて、下記繰返し単位〔IV〕と繰返し単位
〔VI〕が類似の結晶格子を形成することと、ケトン基
の含有分率が高くなる程、ポリマーの結晶融点が高くな
ることを見いだした。
【0025】
【化29】
【0026】
【化30】
【0027】さらに、本発明者らは、繰返し単位〔I〕
【0028】
【化31】 を有するポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケト
ン(以下、PTKKKと略記)に着目し、このPTKK
Kの鎖中に繰返し単位〔II〕
【0029】
【化32】 を有するPATEをセグメントとして組込ませたPTK
KK−PATEコポリマーの製造を試みた。その結果、
含水有機アミド溶媒中で、特定の平均分子量および反応
性末端基として末端チオラート基を有するPATEをオ
リゴマーとし、このPATEオリゴマーとビス(ハロベ
ンゾイル)ベンゾフェノンとを特定の条件下で反応させ
ることによって、耐熱性、加工性に優れ、かつ、結晶性
のコポリマーが得られることを見いだした。
【0030】また、該PATEオリゴマーとPTKKK
オリゴマーとを特定の条件下で反応させることにより、
同様なコポリマーが得られることを見いだした。しか
も、該コポリマーが重合系からの通常の回収法により極
めてハンドリング性の良好な粒状物として得られること
が判った。そして、少量のPTKKK部の含有によって
も該コポリマーの結晶融点を著しく向上させる事を見い
だした。本発明は、これらの知見に基づいて完成される
に至ったものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、下記の新規な高耐熱性・結晶性芳香族コポリマーお
よびその製造方法が提供される。 (1)繰返し単位〔I〕
【0032】
【化33】 を有する少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
ケトンケトンケトン・セグメント(A)と、繰返し単位
〔II〕
【0033】
【化34】 を有する少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
・セグメント(B)を含有するコポリマーであって、
【0034】(イ)セグメント(A)の合計量に対する
セグメント(B)の合計量の比率が重量比で0.1〜9
の範囲であり、(ロ)セグメント(B)の重量平均分子
量が200以上、かつ、(ハ)溶融粘度(380℃、剪
断速度1,200/秒で測定)が2〜100,000ポ
イズ、で定義づけられる芳香族コポリマー。
【0035】(2) 水分の共存下に、ジハロベンゼ
ンとアルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加熱し
て、繰返し単位〔II〕
【0036】
【化35】 を有し、末端にチオラート基を有するポリアリーレンチ
オエーテル・オリゴマーを合成する第一工程と、
【0037】 含水有機アミド中、第一工程で得られ
たオリゴマーと、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノ
ンとを必要に応じてアルカリ金属硫化物とともに加熱し
て、繰返し単位〔I〕
【0038】
【化36】 を有するポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケト
ン・セグメントを生成させ、コポリマーとする第二工
程、の少なくとも2つの工程からなり、
【0039】かつ、各工程での反応を下記(a)〜
(f)の条件で行なうことを特徴とする、少なくとも1
つのポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケトン・
セグメント(A)と少なくとも1つのポリアリーレンチ
オエーテル・セグメント(B)を含む芳香族コポリマー
の製造方法。
【0040】(a)第一工程において、有機アミド溶媒
仕込量に対する共存水分量の比を0.1〜15(モル/
kg)、アルカリ金属硫化物の仕込量に対するジハロベ
ンゼンの仕込量の比を0.3〜0.98(モル/モル)
とし、生成するポリアリーレンチオエーテルオリゴマー
が末端にチオラート基を有し、かつ、重量平均分子量が
200以上となるように重合を行なうこと。
【0041】(b)第二工程において、有機アミド溶媒
仕込量に対する共存水分量の比を0.1〜15(モル/
kg)の範囲とすること。 (c)第二工程において、全アルカリ金属硫化物の仕込
量(第一工程でのアルカリ金属硫化物の仕込量と第二工
程で必要に応じてアルカリ金属硫化物を仕込む場合には
その仕込量との合計量)に対する全ジハロ芳香族化合物
の仕込量〔ジハロベンゼンおよびビス(ハロベンゾイ
ル)ベンゾフェノンを含むジハロ芳香族化合物の合計仕
込量〕の比を0.95〜1.2(モル/モル)の範囲と
すること。
【0042】(d)第二工程におけるビス(ハロベンゾ
イル)ベンゾフェノンの仕込量に対して、第一工程にお
けるジハロベンゼンの仕込量の比を0.4〜35(モル
/モル)の範囲となるようにすること。
【0043】(e)第二工程の反応を150〜300℃
の温度範囲で行なうこと。ただし、210℃以上での反
応時間は10時間以内とする。 (f)第二工程において、生成するコポリマーの溶融粘
度(380℃、剪断速度1,200/秒で測定)が2〜
100,000ポイズとなるまで反応を行なうこと。
【0044】(3) 水分の共存下に、ジハロベンゼ
ンとアルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加熱し
て、繰返し単位〔II〕
【0045】
【化37】 を有し、末端にチオラート基を有するポリアリーレンチ
オエーテル・オリゴマーを合成する第一工程と、 水分の共存下に、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフ
ェノンとアルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加
熱して、繰返し単位〔I〕
【0046】
【化38】 を有し、末端にハロゲン原子を有するポリアリーレンチ
オエーテルケトンケトンケトン・オリゴマーを合成する
第二工程と、
【0047】 含水有機アミド中、前記各工程で得ら
れたポリアリーレンチオエーテル・オリゴマーとポリア
リーレンチオエーテルケトンケトンケトン・オリゴマー
を反応させる第三工程、の少なくとも3つの工程からな
り、
【0048】かつ、各工程での反応を下記(a)〜
(g)の条件で行なわせることを特徴とする、少なくと
も1つのポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケト
ン・セグメント(A)と少なくとも1つのポリアリーレ
ンチオエーテル・セグメント(B)を含む芳香族コポリ
マーの製造方法。
【0049】(a)第一工程において、有機アミド溶媒
仕込量に対する共存水分量の比を0.1〜15(モル/
kg)、アルカリ金属硫化物の仕込量に対するジハロベ
ンゼンの仕込量の比を0.3〜0.98(モル/モル)
とし、末端にチオラート基を有するポリアリーレンチオ
エーテル・オリゴマーの重量平均分子量が200以上と
なるように重合を行なうこと。
【0050】(b)第二工程において、有機アミド溶媒
仕込量に対する共存水分量の比を0.1〜15(モル/
kg)とし、反応を60〜300℃の範囲の温度で行な
うこと。ただし、210℃以上での反応時間は10時間
以内であること。 (c)第三工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)の範囲
とすること。
【0051】(d)第三工程において、全アルカリ金属
硫化物の仕込量(第一工程および第二工程でのアルカリ
金属硫化物の合計仕込量)に対する全ジハロ芳香族化合
物の仕込量〔ジハロベンゼンおよびビス(ハロベンゾイ
ル)ベンゾフェノンを含むジハロ芳香族化合物の合計仕
込量〕の比を0.95〜1.2(モル/モル)の範囲と
すること。
【0052】(e)第二工程におけるビス(ハロベンゾ
イル)ベンゾフェノンの仕込量に対して、第一工程にお
けるジハロベンゼンの仕込量の比を0.4〜35(モル
/モル)の範囲となるようにすること。
【0053】(f)第三工程の反応を150〜300℃
の温度範囲で行なうこと。ただし、210℃以上での反
応時間は10時間以内とする。 (g)第三工程において、生成するコポリマーの溶融粘
度(380℃、剪断速度1,200/秒で測定)が2〜
100,000ポイズとなるまで反応を行なうこと。 以下、本発明について詳述する。
【0054】(芳香族コポリマー)コポリマーの化学構造 本発明のコポリマーは、繰返し単位〔I〕
【0055】
【化39】 を有する少なくとも1つのPTKKKセグメント(A)
と、繰返し単位〔II〕
【0056】
【化40】 を有する少なくとも1つのPATEセグメント(B)を
含有するコポリマーである。
【0057】これらの中で、セグメント(A)の繰返し
単位としては、下記繰返し単位〔III〕
【0058】
【化41】 、その中でも特に、下記繰返し単位〔V〕
【0059】
【化42】 が、また、セグメント(B)の繰返し単位としては、下
記繰返し単位〔IV〕
【0060】
【化43】 が結晶性、熱安定性、耐熱性、機械的特性、耐溶剤性、
耐吸湿性などの見地から特に優れたコポリマーを与える
ので好ましい。本発明の各セグメントの構成は、
【0061】
【化44】 (mは0または1以上の整数)、または
【0062】
【化45】 (nは0または1以上の整数)など、両セグメントを有
する任意の構成であってもよい。
【0063】セグメント(A)の合計量に対するセグメ
ント(B)の合計量の比率が重量比で0.1〜9の範囲
であることが必要であり、好ましくは0.26〜5、さ
らに好ましくは0.6〜4の範囲である。
【0064】セグメント(A)は、コポリマーに高度の
耐熱性と結晶性を付与する役割を有し、セグメント
(B)は、高結晶性を保持しつつ加工温度の低下をさ
せ、耐溶剤性・耐吸湿性の向上および粒状化に寄与す
る。そこで、セグメント(A)の合計量に対するセグメ
ント(B)の合計量の比率が重量比で0.1〜1未満、
好ましくは0.26〜1未満の範囲のコポリマーは、特
に耐熱性に優れ、結晶性が高い特徴を持つ。一方、この
比率が1〜9、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜
4の範囲では、優れた結晶性を保持するとともに、特に
加工性に優れたコポリマーとなる。また、ポリマーを適
度な粒状物として回収しやすい。さらに、得られるポリ
マーの耐溶剤性・耐吸湿性も優れたものとなる。
【0065】しかし、セグメント(A)の合計量に対す
るセグメント(B)の合計量の重量比率が0.1未満で
あると、得られるコポリマーの加工温度の低下や耐溶剤
性、耐吸湿性の向上が不十分となり、逆に、9を超える
と、耐熱性の低下が大となり、耐熱性と加工性のバラン
スが崩れるので、いずれも好ましくない。
【0066】セグメント(B)の重量平均分子量は、2
00以上であることが必要であり、好ましくは300以
上100,000以下、特に好ましく350以上10,
000以下である。本発明のコポリマーは、セグメント
(B)の長さが短くなることにより、融点がシャープに
なる。また、組成の均一性が高く、好ましい加工性や物
性が得られやすい。しかし、セグメント(B)の重量平
均分子量が200以下のものは、製造が困難である。一
方、セグメント(B)の重量平均分子量が100,00
0以上では、反応性末端基であるチオラート基の濃度が
低くなり、コポリマーが得にくくなる。
【0067】なお、本発明におけるPATEセグメント
(B)の重量平均分子量は、オリゴマーの段階で、ゲル
・パーミュエーション・クロマトグラフ法(GPC法)
で求める。
【0068】測定条件は以下のとおりである。 カラム:SHODEX AT80M/S直列2本 溶媒 :α−クロルナフタレン 流速 :0.7ml/分 温度 :220℃ 試料濃度:0.05重量% 注入量:200μl 検出器:水素炎イオン化検出器(FID) 分子量校正:標準ポリスチレンおよび下記化合物
【0069】
【化46】 データ処理:クロマトパックC−R4AX(島津製作所
製)
【0070】また、セグメント(A)およびセグメント
(B)は、それぞれの繰返し単位〔I〕
【0071】
【化47】 と、繰返し単位〔II〕
【0072】
【化48】 以外にも、本発明の目的を損なわない範囲内において他
の繰返し単位を含むことができる。ただし、上記各繰返
し単位〔I〕および〔II〕は、PTKKKセグメント
(A)もしくはPATEセグメント(B)中において、
50重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ま
しくは80重量%以上含まれる。
【0073】さらに、これらの各繰返し単位〔I〕およ
び〔II〕は、アルキル基やハロゲン等の置換基で核置
換された芳香族環を有するものであってもよい。
【0074】これら他の繰返し単位は、通常、対応する
各種ジハロ芳香族化合物をコモノマーとして使用するこ
とによりコポリマー中に導入される。
【0075】コポリマーの物性 本発明のコポリマーの物性および特徴について、融点
(加工性)、溶融安定性、結晶性などの観点から詳述す
る。 (1)融点(加工性) PTKKKホモポリマーの融点は、約436℃である。
異種モノマーとの共重合による融点の降下量ΔTm=
〔436℃−Tm(コポリマー融点)〕は、概ね、溶融
加工温度の低下量に比例する。したがって、ΔTmは加
工温度の低下効果、すなわち加工性改良効果を表わす指
標となりうる。
【0076】ΔTmは、40〜156℃、より好ましく
は46〜150℃、さらに好ましくは56〜140℃の
範囲にあることが好ましい。ΔTmが35℃未満では加
工性改良効果が不十分のおそれがあり、一方、ΔTmが
156℃を超えると本発明のコポリマーの耐熱性樹脂と
しての特徴を喪失するおそれがあり、いずれも好ましく
ない。なお、コポリマーが複数の融点を示すときは、主
ピークをとるものとする。
【0077】(2)結晶性 本発明のコポリマーの大きな特徴の1つは、加工性に優
れていると同時に結晶性を有していることである。結晶
性は、コポリマーに高耐熱性をもたらすものであり、コ
ポリマーが高耐熱性を具備するためには、十分な結晶性
を有することが必須である。
【0078】一般に、溶融結晶化エンタルピーΔHmc
は、溶融ポリマーが結晶化する際の結晶化量に比例す
る。一方、溶融結晶化温度Tmcは、結晶化のしやすさ
の目安となる。したがって、差動走査熱量計(以下、D
SCと略記)を用い、ポリマーを不活性ガス雰囲気中で
400℃まで昇温し、直ちに10℃/分の速度で降温し
た際に測定される溶融結晶化エンタルピーΔHmc(4
00℃)および溶融結晶化温度Tmc(400℃)は、
本発明のコポリマーの結晶性の尺度とすることができ
る。
【0079】本発明のコポリマーは、ΔHmc(400
℃)が15J/g以上、より好ましくは20J/g以
上、さらに好ましくは25J/g以上のものであること
が好ましい。また、Tmc(400℃)は、180℃以
上、より好ましくは190℃以上であることが望まし
い。ΔHmc(400℃)が15J/g未満あるいはT
mc(400℃)が180℃未満のものでは、高耐熱性
ポリマーとしてその耐熱性が不十分となる恐れがあり、
好ましくない。
【0080】(3)熱安定性 本発明のコポリマーの重要な特徴は、一般的溶融加工方
法の適用が可能な程度に高度の熱安定性(溶融安定性)
を有することである。熱安定性が悪いポリマーは、溶融
加工時に結晶性の喪失、あるいは溶融粘度の上昇を伴う
硬化反応や分解反応を起こし易い。そこで、溶融加工温
度以上の高温に一定時間保持した後のポリマーの残留結
晶性を調べることによって、そのポリマーの溶融加工適
性の指標にすることができる。
【0081】残留結晶性は、溶融結晶化エンタルピーを
DSCで測定することによって定量的に評価することが
できる。具体的には、コポリマーを不活性ガス雰囲気中
で50℃にて5分間保持後、75℃/分の速度で400
℃まで昇温し、400℃の温度にて10分間保持し、し
かる後10℃/分の速度で降温した際の残留溶融結晶化
エンタルピーΔHmc(400℃/10分)およびその
時の溶融結晶化温度Tmc(400℃/10分)を熱安
定性の尺度にすることができる。
【0082】熱安定性の悪いコポリマーであれば、上記
400℃の高温で10分間保持する条件下では架橋反応
等を起こして結晶性を殆ど喪失する。本発明のコポリマ
ーは、ΔHmc(400℃/10分)が10J/g以
上、より好ましくは15J/g以上、さらに好ましくは
20J/g以上、のポリマーであり、かつTmc(40
0℃/10分)が170℃以上、より好ましくは180
℃以上、さらに好ましくは190℃以上の物性を有する
ポリマーである。
【0083】ΔHmc(400℃/10分)が10J/
g未満あるいはTmc(400℃/10分)が170℃
未満のコポリマーは、溶融加工時に結晶性の喪失や粘度
の上昇を起こし易く、一般的溶融加工方法の適用が困難
である。また、熱安定性の尺度としては、溶融結晶化エ
ンタルピーの残留溶融結晶化エンタルピーに対する比
率、すなわちΔHmc(400℃)/ΔHmc(400
℃/10分)も目安となり、この比が小さい方が熱変性
が少ない。したがって、ΔHmc(400℃/10分)
が10J/g以上であって、かつ、前記比率が5以下で
あることが好ましく、3以下であればより好ましい。
【0084】(4)溶融粘度 本発明においては、溶融粘度η*をもってコポリマーの
分子量の指標とする。具体的には、内径1mmφ、L/
D=10/1のノズルを装着したキャピログラフ(東洋
精機社製)にポリマーサンプルを装填し、380℃にて
5分間予熱し、剪断速度1,200/秒での溶融粘度η
*を測定する。
【0085】本発明のコポリマーは、溶融粘度η*が2
〜100,000ポイズのものであり、好ましくは5〜
50,000ポイズ、さらに好ましくは10〜30,0
00ポイズのものである。溶融粘度η*が2ポイズ未満
のものは、分子量が小さいため流動性が高すぎて一般的
溶融加工が難しく、溶融成形物が得られたとしてもその
機械的物性が著しく劣るため好ましくない。また、溶融
粘度η*が100,000ポイズ超過のものは、分子量
が大きすぎるため流動性が低すぎて、やはり一般的溶融
加工が難しくなるので好ましくない。
【0086】(5)耐溶剤性・耐吸湿性 本発明のコポリマーの特徴の1つは、PTKKKホモポ
リマーの欠点の1つである耐溶剤性、耐吸湿性が改良さ
れていることである。PTKKKホモポリマーは、室温
において濃硫酸に容易に溶解し、吸湿性も大きい。本発
明のコポリマーは、組成比によっても異なるが、一般
に、PATEセグメント(B)の合計重量比が大きくな
ると濃硫酸に難溶か溶解に時間がかかり、吸湿性も低く
なる。
【0087】好ましい耐溶剤性と耐吸湿性を有するため
には、PTKKKセグメント(A)の合計量に対するP
ATEセグメント(B)の合計量の比率が重量比で、好
ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上のものが望
ましい。
【0088】(6)ブレンド物との相違点 本発明のコポリマーが、PTKKKセグメントとPAT
Eセグメントとが、化学的に結合したものであること
は、以下のことから確認される。
【0089】(a)PTKKKホモポリマーとPATE
ホモポリマーとの単なるブレンド物は、特定比のN−メ
チルピロリドン/水系の混合溶媒に、溶解・析出させる
と別々に結晶化し、微粉末のPTKKKホモポリマーと
粒状化したPATEホモポリマーに分離することができ
る。一方本発明のコポリマーは、粒径によらず仕込比と
ほぼ近い組成のものが回収される。 (b)PTKKKホモポリマーとPATEホモポリマー
との単なる混合物は、濃硫酸に浸漬すると、溶液は赤色
を呈する。一方本発明のコポリマーは、組成比によって
程度が異なるがPATE成分が多くなるに従い、その濃
硫酸溶液の色は褐色になり、さらには濃硫酸に溶けなく
なる。
【0090】(c)本発明のコポリマーは、PTKKK
ホモポリマーやPATEホモポリマーおよびそのブレン
ド物とは、異なる広角X線回析を示す。 (d)本発明のコポリマーは、PTKKKホモポリマー
とPATEホモポリマーの単なるブレンド物とは異なる
結晶融点を示す。
【0091】(コポリマーの製造方法)コポリマーの製
造方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、 予め調製したPATEオリゴマーにビス(ハロベン
ゾイル)ベンゾフェノンを加えて反応させ、PTKKK
セグメント(A)を生成させ、コポリマーとする方法、 予め調製したPTKKKオリゴマーにジハロベンゼ
ンを加えて反応させ、PATEセグメント(B)を生成
させ、コポリマーとする方法、 別個に調製したPTKKKオリゴマーとPATEオ
リゴマーとを化学的に結合させる方法、などが挙げられ
る。 本発明者らは、これらの方法を鋭意検討した結果、お
よびの方法が本発明のコポリマーを得るのに特に好適
であることが判った。
【0092】A.コポリマーの原料 本発明のコポリマーの製造方法においては、ポリマーの
原料としてアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物、
反応媒体として有機アミド溶媒および水(水和水を含
む)が主として用いられる。
【0093】(1)アルカリ金属硫化物 本発明で用いるアルカリ金属硫化物には、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、
硫化セシウム、およびこれらの混合物が包含される。ア
ルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から調製さ
れるアルカリ金属硫化物も使用することができる。
【0094】(2)ジハロ芳香族化合物 本発明でPTKKKセグメント(A)(PTKKKオリ
ゴマーを含む)を形成するために使用するジハロ芳香族
化合物は、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノンを主
成分とするものである。本発明の特徴の1つは、該ビス
(ハロベンゾイル)ベンゾフェノンが文献に未記載の新
規な化合物であることにある。
【0095】このようなビス(ハロベンゾイル)ベンゾ
フェノンは、次のようにして製造することができる。即
ち、(1)4−ハロベンゾイルクロリドとジフェニルメ
タンとをルイス酸触媒の存在下で反応させ、生成してく
る4,4′−ビス(4−ハロベンゾイル)ジフェニルメ
タンを分子状酸素で酸化するか、(2)4−ハロベンゾ
トリクロリドとジフェニルメタンとをルイス酸触媒の存
在下で反応させ、生成してくる4,4′−ビス(4−ハ
ロフェニルジクロロメチル)ジフェニルメタンを加水分
解し、得られた4,4′−ビス(4−ハロベンゾイル)
ジフェニルメタンを分子状酸素で酸化することにより製
造することができる。
【0096】本発明では、ビス(ハロベンゾイル)ベン
ゾフェノンとして好ましくは、4,4′−ビス(4−ク
ロロベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(4
−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、3,3′−ビス
(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェノン、3,3′−
ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、3,
4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェノン、
3,4′−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノ
ン等およびこれら二種以上の混合物が用いられる。
【0097】PATEセグメント(B)(PATEオリ
ゴマーを含む)を形成するために使用するジハロ芳香族
化合物は、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼンな
どのジハロベンゼンを主成分とするものである。好まし
くは、p−ジクロルベンゼンおよび/またはm−ジクロ
ルベンゼンが用いられる。
【0098】ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノンお
よびジハロベンゼンは、それぞれ単独で用いることがで
きるが、他のジハロ芳香族化合物と併用してもよい。
【0099】その他の共重合し得るジハロ芳香族化合物
としては、例えば、ビス(ハロベンゾイル)ベンゼン、
ジハロベンゾフェノン、ビス(ハロベンゾイルフェニ
ル)エーテル、ビス(ハロベンゾイルフェニル)チオエ
ーテル、ジハロアルキルベンゼン、ジハロビフェニル、
ジハロジフェニルスルフォン、ジハロナフタレン、ビス
(ハロフェニル)メタン、ジハロピリジン、ジハロチオ
フェン、ジハロベンゾニトリル、これらの芳香族環がア
ルキル基やハロゲンなどの置換基で置換された化合物お
よびこれらの混合物などが挙げられる。
【0100】これらの他のジハロ芳香族化合物は、50
重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましく
は20重量%以下の割合で併用する。なお、これらの他
のジハロ芳香族化合物を併用する場合には、ビス(ハロ
ベンゾイル)ベンゾフェノンは、該ビス(ハロベンゾイ
ル)ベンゾフェノンを主成分とする混合ジハロ芳香族化
合物を意味し、同様に、ジハロベンゼンは、該ジハロベ
ンゼンを主成分とする混合ジハロ芳香族化合物を意味す
るものとする。
【0101】末端置換基のハロゲンとしては、経済性の
観点から塩素もしくは臭素が好ましく用いられる。ただ
し、コストに過大な影響を及ぼさない範囲内で少量のフ
ッ素化合物を併用することは可能である。
【0102】また、コポリマーの加工性や物性をあまり
低下させない限度内で、トリハロ以上のポリハロ化合物
を反応系中に存在させて、重合したり、あるいはコポリ
マーを酸素存在下もしくは不存在下で熱処理することに
より、分枝や架橋構造を導入したコポリマーを製造する
ことは許容される。
【0103】上記目的に用いられるトリハロ以上のポリ
ハロ化合物としては、例えば、ビス(ジクロロベンゾイ
ル)ベンゼン、ビス(ジブロモベンゾイル)ベンゼン、
トリクロロベンゾフェノン、トリブロモベンゾフェノ
ン、テトラクロロベンゾフェノン、テトラブロモベンゾ
フェノン、トリクロロベンゼン、トリブロモベンゼン、
テトラクロロベンゼン、およびこれらの混合物などが挙
げられる。
【0104】(3)有機溶媒 本発明のコポリマーの製造方法に用いる反応媒体として
は、熱安定性、耐アルカリ性に優れたアプロチック極性
有機溶媒、その中でも特に、有機アミド溶媒(カルバミ
ン酸アミド類を含む)やスルホン類溶媒が好ましく用い
られる。
【0105】このような有機アミド溶媒もしくはスルホ
ン類溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−エチル
ピロリドン、N,N′−エチレンジピロリドン、ピロリ
ドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラメチル尿
素、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミ
ド、ε−カプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、
スルホラン、ジフェニルスルホン等が挙げられる。これ
らは、混合溶媒としても用いることができる。
【0106】有機アミド溶媒の中でも、熱安定性コポリ
マーの得やすさ、熱的・化学的安定性、経済性などの観
点から、N−メチルピロリドンもしくはN−エチルピロ
リドンおよびその混合溶媒が特に好ましい。
【0107】B.重合方法および反応条件 本発明におけるPATEオリゴマーの調製、PATEオ
リゴマーの存在下にPTKKKセグメントを形成させて
コポリマーを生成させる反応、PTKKKオリゴマーの
調製、およびPTKKKオリゴマーとPATEオリゴマ
ーを結合させてコポリマーを合成する反応には、特別の
条件、すなわち反応系中に水を特定量存在させること、
モノマーの組成を適切に制御すること、重合温度を適切
に制御し、かつ、高温での反応を短く制御された時間内
で行なうことなどが必要である。
【0108】さらに、適切な反応装置の材質の選択、反
応末期の安定化処理などが一層好ましい物性を有するコ
ポリマーを製造する上で有効である。これらの反応条件
を適切に制御しないと、一般的溶融加工に適した熱安定
性(溶融安定性)を有し、かつ、結晶性のコポリマーを
得ることができない。
【0109】<オリゴマーの製造方法> (1)PATEオリゴマー 本発明のコポリマーの原料として用いる特定の重量平均
分子量および末端チオラート基を有するPATEオリゴ
マーは、水分の共存下、有機アミド溶媒中でアルカリ金
属硫化物とジハロベンゼンを下記の条件(a)〜(c)
で、反応を行なわせることによって製造することができ
る。
【0110】(a)有機アミド溶媒仕込量に対する共存
水分量の比が0.1〜15(モル/kg)、好ましくは
0.3〜12(モル/kg)、さらに好ましくは0.5
〜11(モル/kg)の範囲であること、(b)アルカ
リ金属硫化物の仕込量に対するジハロベンゼンの仕込量
の比が0.3〜0.98(モル/モル)、好ましくは
0.4〜0.95(モル/モル)、さらに好ましくは
0.5〜0.9未満(モル/モル)の範囲であること。
【0111】(c)反応を150〜290℃、好ましく
は200〜280℃の範囲で行ない、生成オリゴマーの
重量平均分子量が200以上、好ましくは300以上1
00,000以下、更に好ましくは350以上10,0
00以下、となるように反応をコントロールすること。
また、このPATEオリゴマーは、ジハロベンゼンの仕
込量よりもアルカリ金属硫化物の仕込量の方が多く、末
端にチオラート基を有するものである。末端にチオラー
ト基を有するとは、両末端または片末端にチオラート基
を有するもの、あるいは両者の混合物であることを意味
する。
【0112】また、上記条件(b)において、アルカリ
金属硫化物の仕込量に対するジハロベンゼンの仕込比が
0.98(モル/モル)超過の場合、さらにアルカリ金
属硫化物で処理し、反応性末端基であるチオラート基を
多く有するPATEオリゴマーを製造してもさしつかえ
ない。
【0113】また、PATEオリゴマー合成時における
アルカリ金属硫化物の仕込量と有機アミド溶媒の仕込量
の比に関しては、一般にアルカリ金属硫化物の仕込量1
モル当り有機アミド溶媒は0.3〜5kg、より好まし
くは、0.4〜3kgの範囲である。
【0114】PATEオリゴマーは、特にトリハロ以上
のポリハロベンゼンを重合反応系に少量存在させること
により若干の架橋構造および/または分枝構造を導入し
たものであってもよい。なお、繰返し単位〔II〕
【0115】
【化49】 の中では、繰返し単位〔IV〕が好ましい。
【0116】
【化50】
【0117】(2)PTKKKオリゴマー 本発明のコポリマーの原料として用いるPTKKKオリ
ゴマーは、次の方法によって製造することができる。す
なわち、水分の共存下、有機アミド溶媒中で、アルカリ
金属硫化物と、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノン
とを、下記(a)〜(b)の条件で反応させる方法によ
り製造することができる。 (a)有機アミド溶媒仕込量に対する共存水分量の比が
0.1〜15(モル/kg)、好ましくは1〜12(モ
ル/kg)、より好ましくは2.5〜10(モル/k
g)の範囲が望ましい。共存水分量が0.1モル未満で
は熱安定性の高いPTKKKオリゴマーが得られ難く、
また、反応中に分解反応も起こし易い。一方、共存水分
量が15モル超過では反応速度が低下し、経済的ではな
い。
【0118】(b)反応を60〜300℃の範囲の温度
で行なうこと。好ましくは150〜290℃、より好ま
しくは170〜260℃の範囲である。ただし、210
℃以上での反応時間は10時間以内であること。PTK
KKオリゴマーは、特にトリハロ以上のポリハロベンゾ
フェノンを重合反応系に少量存在させることにより若干
の架橋構造および/または分枝構造を導入したものであ
ってもよい。
【0119】なお、PTKKKオリゴマー合成時のアル
カリ金属硫化物の仕込量に対するビス(ハロベンゾイ
ル)ベンゾフェノンの仕込量の比に関しては、1.15
(モル/モル)以上が好ましく、さらに好ましくは1.
2(モル/モル)、特に好ましくは1.3(モル/モ
ル)以上である。また、PTKKKオリゴマー合成時の
仕込組成において、アルカリ金属硫化物の仕込量と有機
アミド溶媒の仕込量の比に関しては、アルカリ金属硫化
物の仕込量1モル当たり有機アミド溶媒は0.6〜10
0kg、より好ましくは1.0〜50kg、の範囲が望
ましい。
【0120】<コポリマーの製造方法>本発明のコポリ
マーの第一の製造方法としては、予めPATEオリゴマ
ーを調製しておき、そのPATEオリゴマーの存在下に
PTKKKセグメントを形成させ、コポリマーを製造す
る方法(製造方法その1)方法がある。この方法は、本
質的に2段階の工程を含む方法である。
【0121】なお、第二工程では、第一工程で得られた
オリゴマーを含む反応液とビス(ハロベンゾイル)ベン
ゾフェノンとを混合し、アルカリ金属硫化物、有機アミ
ド溶媒または水を追加することなく、得られた混合液を
加熱することによりコポリマーとすることもできる。も
ちろん、第二工程において、アルカリ金属硫化物、有機
アミド溶媒または水を追加してもよい。
【0122】本発明のコポリマーの第二の製造方法とし
ては、予めPATEオリゴマーおよびPTKKKオリゴ
マーを調製しておき、その両者を反応させて結合させる
方法(製造方法その2)がある。この方法は、本質的に
3段階の工程を含む方法である。
【0123】コポリマー合成段階における反応条件につ
いて、さらに詳述する。 (1)共存水分量 本発明のコポリマーの製造方法において、反応系におけ
る共存水分量は、有機アミド溶媒の仕込量1kg当り
0.1〜15モル、好ましくは2.5〜15モル、さら
に好ましくは3.5〜14モルの範囲が望ましい。共存
水分量が0.1モル未満では熱安定性の高いブロックコ
ポリマーは得られ難いし、また、反応中に分解反応も起
こし易い。一方、共存水分量が15モル超過では、反応
速度が低下し、反応に長時間を要し、工業的ではない。
反応系中の共存水分量の調整のために、反応開始に先立
って、蒸留等による水分量や有機アミド溶媒量の低減、
あるいは水や有機アミド溶媒添加による水分量の増減を
行なうことができる。
【0124】(2)モノマー仕込組成 コポリマー合成時の全アルカリ金属硫化物の仕込量に対
する全ジハロ芳香族化合物の仕込量の比は、0.95〜
1.2(モル/モル)、より好ましくは0.97〜1.
10(モル/モル)、さらに好ましくは0.98〜1.
05(モル/モル)、の範囲が望ましい。ただし、全ア
ルカリ金属硫化物の仕込量とは、PTKKKオリゴマー
および/またはPATEオリゴマー合成時のアルカリ金
属硫化物の仕込量とコポリマー合成時のアルカリ金属硫
化物の仕込量との合計を意味する。
【0125】なお、PATEオリゴマーおよびPTKK
Kオリゴマー合成時に得られたオリゴマーの一部を用い
てコポリマーの合成をする場合には、アルカリ金属硫化
物の仕込量およびジハロ芳香族化合物の仕込量は、その
使用割合から計算した値とする。この比が0.95未満
では、溶融安定性に優れたコポリマーが得られ難く、ま
た、反応中に分解反応を起こし易い。他方、この比が
1.2超過では、低分子量のコポリマーしか得られない
ので好ましくない。
【0126】また、アルカリ金属硫化物の仕込量と有機
アミド溶媒の仕込量の比に関しては、ジハロ芳香族化合
物の組成にもよるが、一般に、アルカリ金属硫化物の仕
込量1モル当り有機アミド溶媒は0.3〜5kg、より
好ましくは0.4〜3kg、の範囲が望ましい。なお、
本発明において、「アルカリ金属硫化物の仕込量」と
は、脱水操作などにより反応開始前にアルカリ金属硫化
物の損失が生じる場合には、実際の仕込量から当該損失
分を差引いた残存量を意味するものとする。
【0127】第二工程におけるビス(ハロベンゾイル)
ベンゾフェノンの仕込量に対する第一工程におけるジハ
ロベンゼンの仕込量の比は、モル比で0.4〜35(モ
ル/モル)の範囲であることが必要であり、好ましくは
1.0〜19、さらに好ましくは2.3〜16の範囲で
ある。 ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノンは、コ
ポリマーに高度の耐熱性と結晶性を付与する役割を有
し、ジハロベンゼンは、高結晶性を保持しつつ加工温度
の低下をさせ、耐溶剤性・耐吸湿性の向上および粒状化
に寄与する。
【0128】そこで、第二工程におけるビス(ハロベン
ゾイル)ベンゾフェノンの仕込量に対して、第一工程に
おけるジハロベンゼンの仕込量がモル比で0.4〜3.
8、好ましくは1.0〜3.8の範囲のコポリマーは、
特に耐熱性に優れ、結晶性が高い特徴を持つ。一方、こ
の比率が1.0〜35、好ましくは3.9〜16の範囲
では、優れた結晶性を保持するとともに、特に加工性に
優れたコポリマーとなる。また、ポリマーを適度な粒状
物として回収しやすい。さらに、得られるポリマーの耐
溶剤性・耐吸湿性も優れたものとなる。
【0129】しかし、この比率が0.4未満であると、
得られるコポリマーの加工温度の低下や耐溶剤性・耐吸
湿性の向上あるいは粒状化が不十分となり、逆に、35
を超えると、耐熱性の低下が大きくなり、耐熱性と加工
性のバランスが崩れるので、いずれも好ましくない。本
発明において、「ジハロ芳香族化合物の仕込量」とは、
反応末期の安定化処理(後記)において添加されるハロ
ゲン置換芳香族化合物の添加量は含まれないものとす
る。
【0130】(3)反応温度および反応時間 本発明のコポリマーの製造方法において、反応は、15
0〜300℃の範囲内の温度で行なう。好ましくは20
0〜290℃、より好ましくは210〜280℃の範囲
内である。反応温度が150℃未満では、コポリマーを
得るのに長大な時間がかかりすぎるので、経済的に不利
である。他方、300℃超過では、熱安定性に優れたコ
ポリマーが得られ難く、また、反応中に分解を起こすお
それがある。
【0131】所望の分子量のPTKKKオリゴマーおよ
びコポリマーを得るために要する重合時間は、重合温度
が高いほど短く、逆に、重合温度が低いほど長くなる。
したがって、通常は、210℃以上の高温で重合を実施
するのが生産性の観点からは有利である。ただし、21
0℃以上の高温での反応を10時間以上続けると、熱安
定性に優れたPTKKKオリゴマーおよびコポリマーが
得られ難くなる。
【0132】(4)反応装置 本発明のPTKKKオリゴマー、PATEオリゴマーお
よびコポリマーを製造する方法において、反応装置(反
応の予備操作、例えば、脱水処理等に使用される装置も
含む)としては、少なくとも反応液が直接接触する部分
は、反応液と反応しない不活性な耐腐食性材料で構成さ
れたものであることが好ましい。
【0133】このような耐腐食性材料としては、チタン
やチタンを含んだ合金などのチタン材、ニッケルを含ん
だ耐腐食性材料などで構成されたものであることが好ま
しい。その中でも、チタン材で構成された反応装置を用
いることが特に好ましい。上述のような耐腐食性材料で
構成された反応装置を使用すると、溶融安定性の優れた
高分子量のコポリマーが得られる。
【0134】(5)反応末期処理 前記製造方法によって溶融安定性のすぐれたコポリマー
を得ることができるが、反応末期にある種のハロゲン化
合物を反応系中に添加して反応させることによって、さ
らに溶融安定性の改善されたコポリマーを得ることがで
きる。
【0135】ハロゲン化合物としては、炭素数1〜3の
アルキルハロゲン化合物やハロゲン置換芳香族化合物が
挙げられる。特に、(−CO−)基と同等またはこれ以
上の電子吸引性を有する置換基を1個以上含む少なくと
も1つのハロゲン置換芳香族化合物が好ましい。
【0136】このようなハロゲン置換芳香族化合物とし
ては、例えば、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノ
ン、ビス(ハロベンゾイル)ベンゼン、ジハロベンゾフ
ェノン、ジハロジフェニルスルフォン、モノハロベンゾ
フェノンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0137】この反応末期処理方法は、上述のハロゲン
置換芳香族化合物を、反応末期に重合反応系に好ましく
はアルカリ金属硫化物の仕込量100モル当たり0.1
〜20モル、好ましくは0.5〜10モル添加して、6
0〜300℃、より好ましくは150〜290℃、さら
に好ましくは220〜280℃で、0.1〜20時間、
より好ましくは0.1〜8時間、反応させることが望ま
しい。
【0138】(6)粒状化条件 本発明のコポリマーの製造方法の大きな特徴の1つは、
前述のコポリマーの反応条件を適切に選ぶことによっ
て、溶融安定性の優れたコポリマーを粒状物として得る
ことができる点にある。生成するコポリマーの50重量
%以上を目開き75μm(200メッシュ)のスクリー
ンで回収し得る粒状物として得る反応条件について詳述
する。 (i)コポリマー中のセグメント(A)の合計量とセグ
メント(B)の合計量の含有重量比率:セグメント
(B)は、コポリマーの粒状化に大きく寄与するので、
コポリマー中のセグメント(B)の重量比率は重要な条
件となる。本発明のコポリマーを粒状物として得ようと
する場合には、セグメント(A)の合計量に対するセグ
メント(B)の合計量の比率が重量比で0.5〜9とす
ることが必要であり、好ましくは1.0〜9、さらに好
ましくは1.5〜9である。この比が0.5未満ではコ
ポリマーを粒状物として得ることが困難となる。逆に、
9を超えると、コポリマーの耐熱性の低下が大となるの
で、いずれも好ましくない。
【0139】(ii)粒状化のための反応温度および反
応時間:コポリマーを粒状物として得ようとする場合に
は、反応途中もしくは末期に少なくとも240〜300
℃未満、より好ましくは250〜290℃の高温にする
ことが望ましい。240℃未満では、コポリマーを粒状
物として得るのが困難となり、逆に、反応温度が300
℃以上では、溶融安定性に優れたコポリマーが得られ難
くなる。
【0140】所望の粒状化された溶融安定性に優れたコ
ポリマーを得るために要する反応時間は、反応温度が高
いほど短く、逆に、反応温度が低いほど長くなる。した
がって、通常は、250℃以上の高温で反応を実施する
のが生産性の観点からは有利である。ただし、250℃
以上の高温での反応を7時間以上続けると、溶融安定性
に優れたコポリマーが得られ難くなる。
【0141】C.コポリマーの回収 反応液からのコポリマーの回収には、反応(反応末期処
理を含む)終了後、反応液をフラッシングおよび/また
は蒸留により溶媒の一部または全部を除去して濃縮し、
必要によってはさらに濃縮液を加熱して残存溶媒を除去
し、得られた固形物もしくは濃縮液を水および/または
有機溶剤で洗浄して生成塩等の可溶成分を除去し、再び
加熱乾燥してポリマーを回収する方法が適用できる。
【0142】本発明のコポリマーの製造方法において、
反応条件を適切に選ぶことにより、生成するコポリマー
の50重量%以上を目開き75μm(200メッシュ)
以上、より好ましくは106μm(140メッシュ)以
上、さらに好ましくは150μm(100メッシュ)以
上のスクリーン上に篩分けられる粒状物として得ること
ができる。
【0143】このように、反応終了後の反応液からコポ
リマーをスクリーン等により粒状物として簡単に捕集す
ることができる。捕集した粒状ポリマーを水および/ま
たは有機溶媒で洗浄し、加熱乾燥することによって乾燥
ポリマーを得ることができる。コポリマーが粒状物でハ
ンドリング性にすぐれているために、分離・水洗・搬送
・計量などを容易に行なうことができる。
【0144】本発明のコポリマーは、単独で各種成形用
樹脂として有用であるが、必要に応じて安定剤、他の熱
可塑性樹脂、繊維状充填材および/または無機充填材な
どを配合して、組成物として用いることができる。
【0145】本発明のコポリマーは、一般溶融加工に十
分耐える溶融安定性を有するが、例えば、過酷な条件で
溶融加工したり、長時間のロングラン加工をしたりする
場合には、安定剤を配合することがより効果的である。
有効な安定剤としては、非酸化性の耐熱性・難揮散性の
塩基性化合物が挙げられる。塩基性化合物として、具体
的には、周期律表第IIA族(ただし、マグネシウムを
除く)の水酸化物、酸化物、芳香族カルボン酸塩や第I
A族金属の芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、水酸化物およ
び炭酸ストロンチウムなどが効果の高いものとして挙げ
られる。
【0146】
【実施例】以下、本発明について、合成例、実施例およ
び比較例を挙げて、具体的に説明するが、本発明は、こ
れら実施例のみに限定されるものではない。
【0147】〔合成例〕 〔4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェ
ノンの合成〕撹拌装置、滴下装置、温度計、還流冷却器
を備えた500mlの四つ口フラスコに、塩化アルミニ
ウム25.60g(0.192モル)、1,1,2,2
−テトラクロロエタン100mlを加え、塩化アルミニ
ウムの塊がなくなるまで撹拌した後、5℃で4−クロロ
ベンゾトリクロリド44.14g(0.192モル)を
加えた。さらにこの温度でジフェニルメタン13.45
g(0.08モル)を適下し、2時間撹拌反応させた。
反応終了後、この反応混合物に水100mlを加え、液
温を100℃に上げ、3時間激しく撹拌することによ
り、上記反応で生成した4,4′−ビス(4−クロロフ
ェニルジクロロメチル)ジフェニルメタンを加水分解し
て、4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニ
ルメタンとした。
【0148】加水分解終了後、反応液を冷却し、クロロ
ホルム200mlを加えて、有機物を溶解し、クロロホ
ルム層を分離し、水洗した後、蒸留に付した。蒸留によ
りクロロホルムおよび1,1,2,2−テトラクロロエ
タンを留去した残渣に、トルエンを加えて再結晶し、
4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルメ
タンの灰白色針状結晶28.0gを得た。
【0149】次いで、撹拌装置、還流冷却器、空気吹き
込み管を備えた200mlのチタン製オートクレーブ
に、4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニ
ルメタン20.00g、酢酸90g、水10g、酢酸コ
バルト4水塩0.5g、酢酸マンガン4水塩1.0g、
臭化アンモニウム1.00gを入れ、窒素で10kg/
cm2Gに加圧した後、昇温した。反応系が180℃に
なった後、この温度で11kg/cm2Gの圧力を保ち
ながら、撹拌下毎時24リットルの空気を流し、7時間
反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結
晶を濾取し、酢酸で洗浄した。得られた結晶を1−メチ
ル−2−ピロリジノンから再結晶して、4,4′−ビス
(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェノン17.53g
を得た。メトラー社製の差動走査熱量計で解析した純度
は、99.90%であった。収率は84.9%であっ
た。
【0150】その構造は、質量分析(Mass)、赤外
線スペクトル分析(IR)、元素分析により下記構造式
で表される化合物である。
【0151】
【化51】
【0152】以下にその分析値を示す。 分子量(Mass): 458 IR: 1645cm-1(C=O) 元素分析: 〔実験値〕 〔理論値〕 C: 70.6重量% 70.61重量% H: 3.5重量% 3.51重量% Cl: 15.4重量% 15.44重量% 融点: 310.5〜311℃
【0153】さらに、上述した方法により以下の実施例
および比較例で用いた4,4′−ビス(4−クロロベン
ゾイル)ベンゾフェノン(以下、BCBBと略記)の必
要量を合成した。
【0154】〔実施例1〕(製造方法その1) (PATEオリゴマーの合成)含水硫化ナトリウム(水
分53.9重量%)170gおよびN−メチルピロリド
ン(以下、NMPと略記)500gをチタン張り重合缶
に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々に200℃まで昇温
しながら、水71.5g、NMP18gと硫化水素0.
03モルを留出させ、次いで、水14g、p−ジクロル
ベンゼン(以下、PDCBと略記)126gとNMP1
50gとの混合溶液を供給して、220℃で4時間、次
いで230℃で4時間重合を行なった(PDCB/硫化
ナトリウム=0.88モル/モル、共存水分量/NMP
=3.0モル/kg)。
【0155】ポリp−フェニレンチオエーテルのオリゴ
マー(オリゴマーP1)を含む反応液スラリー(スラリ
ーS1)869gの一部をとり、水中に投入してオリゴ
マーを析出させ、濾別し、蒸留水で十分に洗浄し減圧乾
燥し分子量測定用のサンプルとした。オリゴマーP1
重量平均分子量は2800であった。
【0156】このオリゴマーP1はチオフェノール臭が
した。その赤外線吸収スペクトルには、原料のPATE
には認められないチオール基に由来する2560cm-1
付近に弱い吸収が認められた。チオール化物の硫黄含有
量は、PATEの理論値29.60重量%に比べて、3
0.3重量%に増加していた。ガスクロマト法により求
めた反応液スラリー中のPDCB(残存モノマー)の量
は、仕込量の0.1重量%以下であった。
【0157】(コポリマー合成)BCBB30.8g、
前記反応液スラリー(S1)500g、NMP137g
および水52.4gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素
置換後、加熱昇温し270℃で30分間重合した。この
反応混合物を、240℃まで降温した後、反応末期処理
を行なった。反応末期処理は4,4′−ジクロロベンゾ
フェノン(以下、DCBPと略記)7.0gとNMP6
0gの混合液を圧入し、240℃で30分間反応させる
ことにより行なった。
【0158】コポリマーを合成する際の反応条件は次の
とおりであった。 アルカリ金属硫化物の全仕込量(オリゴマーP1
成時の有効硫化ナトリウム仕込量)に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量〔オリゴマーP1合成時のPDCB
仕込量とコポリマー合成時のBCBB仕込量の合計〕の
モル比は1.0である。 第二工程におけるBCBBの仕込量に対し、第一工
程におけるPDCBの仕込量の比は、モル比で7.4で
ある。 有機アミド(NMP)に対する共存水分量の仕込量
比は8.0モル/kgである。
【0159】(コポリマーの回収)得られた反応液であ
るスラリーを目開き150μm(100メッシュ)のス
クリーンで粒状ポリマーを篩別した。アセトン洗と水洗
を3回づつ繰返し、100℃で一昼夜乾燥してコポリマ
ー(C1)を得た。コポリマーC1の回収率は72%であ
った。
【0160】(コポリマーC1の属性)コポリマーC
1は、顆粒状であるため微粉末ポリマーに比べて静電気
による付着が非常に少ない。IRでは、1660cm-1
付近にケトン基に基づく鋭い吸収ピークが観察される。
広角X線回折(理学電機(株)社製RAD−Bシステム
を使用)では、PATEホモポリマーやPTKKKホモ
ポリマーおよびそのブレンド物とは、明らかに異なった
コポリマーによる回折パターンが示された。コポリマー
1中の硫黄分は、硫黄分析装置(堀場製作所製EMI
A−510)を用いて定量した。コポリマー中の繰返し
単位
【0161】
【化52】 の重量分率Wbは、下記の式により求めることができ
る。 Wb=[(W−W1)/(W2−W1)]×100 ただし、各記号の意味は次のとおりである。 W:コポリマー中の硫黄の重量分率 W1:PTKKK繰返し単位中の硫黄の重量分率 W2:PATE繰返し単位中の硫黄の重量分率 この式に、測定値W=22.1%、計算値W1=7.6
%、W2=29.6%を代入して求めたWbは、66%で
あった。
【0162】(コポリマーの物性)表1にまとめて示し
た。
【0163】〔実施例2〕(製造方法その1) (PATEオリゴマーの合成)硫化ナトリウムに対する
PDCBの仕込みモル比が0.85になるようにPDC
Bを仕込んだ以外は実施例1と同様にして、ポリp−フ
ェニレンチオエーテルのオリゴマーP2を含む反応液ス
ラリーS2を得た。
【0164】オリゴマーP2の重量平均分子量は235
0であり、残存PDCBは仕込量の0.1重量%以下で
あった。
【0165】(コポリマーの合成)前記反応液スラリー
2450g、BCBB35.32g、含水硫化ナトリ
ウム(水分53.9重量%)1.02g、NMP250
gおよび水64.4gをチタン張り重合缶に仕込み、窒
素置換後、加熱昇温し270℃で30分間反応を行っ
た。
【0166】この反応混合物を、240℃まで降温した
後、反応末期処理を行なった。反応末期処理はDCBP
6.3gとNMP60gの混合液を圧入し、240℃で
30分間反応させることにより行なった。
【0167】コポリマーを合成する際の アルカリ金属硫化物の全仕込量に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量のモル比は0.99であり、 BCBBの仕込量に対しするPDCBの仕込量のモ
ル比は5.6であり、 NMP仕込量に対する共存水分量の比は8モル/k
gであった。
【0168】(コポリマーの回収)得られた反応液スラ
リーから濾紙(5種A)を用いて、ポリマーを回収し、
アセトンおよび水で十分洗浄し、乾燥してコポリマーC
2を得た。コポリマーC2の回収率は92%であった。 (コポリマーの物性)コポリマーC2の物性を表1に示
す。
【0169】〔実施例3〕(製造方法その1) (PATEオリゴマーの合成)含水硫化ナトリウム(水
分39.1重量%)128.2g、PDCB129.4
g、NMP500gおよび水酸化ナトリウム3gをチタ
ン張り重合缶に仕込み、窒素置換後、250℃で3時間
重合を行ない(PDCB/硫化ナトリウム=0.88モ
ル/モル、共存水分量/NMP=5.6モル/kg)、
ポリp−フェニレンチオエーテルのオリゴマーP3を含
む反応液スラリーS3を得た。。オリゴマーP3の重量平
均分子量は3750であり、残存PDCB量は仕込量の
0.1%以下であった。
【0170】(コポリマーの合成)前記反応液スラリー
3を600gおよびBCBB40.0gをチタン製重
合缶に仕込み、窒素置換後、加熱昇温し270℃で30
分間反応を行なった。この反応混合物を、240℃に降
温した後、反応末期処理を行なった。反応末期処理はD
CBP8.0gとNMP70gの混合液を圧入し、24
0℃で30分間反応させることにより行った。
【0171】コポリマーを合成する際の アルカリ金属硫化物の全仕込量に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量のモル比は0.99であり、 BCBBの仕込量に対するPDCBの仕込量のモル
比は8.0であり、 NMPの仕込量に対する共存水分量は5.6モル/
kgであった。
【0172】(コポリマーの回収)実施例1と同様に行
い、コポリマーC3を得た。目開き150μm(100
メッシュ)のスクリーンで回収した時の回収率は81%
であった。 (コポリマーの物性)コポリマーC3の物性を表1に示
す。
【0173】〔実施例4〕(製造方法その1) (PATEオリゴマーの合成)硫化ナトリウムに対する
PDCBの仕込みモル比が0.75になるようにPDC
Bを仕込んだ以外は実施例1と同様にして、ポリp−フ
ェニレンチオエーテルのオリゴマーP4を含む反応液ス
ラリーS4を得た。オリゴマーP4の重量平均分子量は1
150であり、残存PDCBは仕込量の0.1重量%以
下であった。
【0174】(コポリマーの合成)前記反応液スラリー
4496g、BCBB62.0g、NMP131.5
gおよび水52.1gをチタン張り重合缶に仕込み、窒
素置換後、加熱昇温し270℃で30分間反応を行なっ
た。この反応混合物を、240℃に降温した後、反応末
期処理を行った。反応末期処理はDCBP7.0gとN
MP60gの混合液を圧入し、240℃で30分間反応
させることにより行なった。
【0175】コポリマーを合成する際の アルカリ金属硫化物の全仕込量に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量のモル比は0.99であり、 BCBBの仕込量に対しするPDCBの仕込量の、
モル比は3.2であり、 NMP仕込量に対する共存水分量の比は8モル/k
gであった。
【0176】(コポリマーの回収)得られた反応液スラ
リーから濾紙(5種A)を用いてポリマーを回収し、ア
セトンおよび水で十分洗浄し、乾燥してコポリマーC4
を得た。コポリマーC4の回収率は90%であった。 (コポリマーの物性)コポリマーC4の物性を表1に示
す。
【0177】〔実施例5〕(製造方法その2) (PATEオリゴマーの合成)硫化ナトリウムに対する
PDCBの仕込みモル比が0.897になるようにPD
CBを仕込んだ以外は実施例1と同様にして、ポリp−
フェニレンチオエーテルのオリゴマーP5を含む反応液
スラリーS5を得た。オリゴマーP5の重量平均分子量は
4100であり、残存PDCBは仕込量の0.1重量%
以下であった。
【0178】(PTKKKオリゴマーの合成)含水硫化
ナトリウム(水分53.9重量%)2.1g、BCBB
26.5g、NMP400gおよび水34.9gをチタ
ン張り重合缶に仕込み、窒素置換後、220℃で2時間
重合を行ない(共存水分量/NMP=5モル/kg)、
PTKKKオリゴマーK1を含む反応液スラリーKS1
得た。。
【0179】(コポリマーの合成)前記反応液スラリー
5を400g、反応液スラリーKS1を463.5gお
よび水63.4gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素置
換後、加熱昇温し270℃で30分間反応を行った。こ
の反応混合物を、240℃に降温した後、反応末期処理
を行った。反応末期処理はDCBP5.7gとNMP4
6gの混合液を圧入し、240℃で30分間反応させる
ことにより行った。
【0180】コポリマーを合成する際の アルカリ金属硫化物の全仕込量に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量のモル比は0.99であり、 BCBBの仕込量に対しするPDCBの仕込量の、
モル比は6.9であり、 NMP仕込量に対する共存水分量の比は8モル/k
gであった。
【0181】(コポリマーの回収)実施例1と同様に行
い、コポリマーC5を得た。目開き150μmのスクリ
ーンで回収した時のコポリマーC5の回収率は75%で
あった。 (コポリマーの物性)コポリマーC5の物性を表1に示
す。
【0182】〔実施例6〕(製造方法その2) (PATEオリゴマーの合成)実施例3のPATEオリ
ゴマーの合成と同様にして、ポリp−フェニレンチオエ
ーテルのオリゴマーP6を含む反応液スラリーS6を得
た。オリゴマーP6の重量平均分子量は3850であっ
た。
【0183】(PTKKKオリゴマーの合成)含水硫化
ナトリウム(水分53.9重量%)8.16g、BCB
B65.8g、NMP300gおよび水25.7gをチ
タン張り重合缶に仕込み、窒素置換後、220℃で2時
間重合を行ない(共存水分量/NMP=5.6モル/k
g)、PTKKKオリゴマーK2を含む反応液スラリー
KS2を得た。。
【0184】(コポリマーの合成)前記反応液スラリー
6を600g、反応液スラリーKS2を399.7gを
チタン張り重合缶に仕込み、窒素置換後、加熱昇温し2
70℃で30分間反応を行なった。この反応混合物を、
240℃に降温した後、反応末期処理を行った。反応末
期処理はDCBP5.7gとNMP46gの混合液を圧
入し、240℃で30分間反応させることにより行なっ
た。
【0185】コポリマーを合成する際の アルカリ金属硫化物の全仕込量に対するジハロ芳香
族化合物の全仕込量のモル比は1.00であり、 BCBBの仕込量に対するPDCBの仕込量の、モ
ル比は4.9であり、 NMP仕込量に対する共存水分量の比は5.6モル
/kgであった。
【0186】(コポリマーの回収)実施例2と同様に行
い、コポリマーC6を得た。コポリマーC6の回収率は9
3%であった。 (コポリマーの物性)コポリマーC6の物性を表1に示
す。
【0187】〔比較例1〕 (BCBBホモポリマーの合成)BCBB28.71
g、含水硫化ナトリウム(水分53.9重量%)10.
58g、およびNMP500g、水38.4gをチタン
張り1リットルの重合缶に仕込み、窒素置換し220℃
で4時間反応させた。反応液スラリーをアセトンに投入
し、ポリマーを沈降させ、ポリマーを濾別し、アセトン
と水で十分に洗浄後、乾燥して微粉末のポリマーR1
得た。得られたポリマーR1の平均粒径は20μm以下
で、粉末の融点は436℃であった。
【0188】〔比較例2〕 (ホモポリマーどうしの再溶解による造粒実験)比較例
1で得た微粉末PTKKKポリマーR115gとポリp
−フェニレンチオエーテル(呉羽化学工業(株)社製、
登録商標フォートロン#W214)15gを、NMP5
00g、水45gと共に1リットルのチタン製重合缶に
仕込み、260℃で2時間保持した。冷却後、得られた
スラリーを目開き75μm(200メッシュ)のスクリ
ーンで篩別し、粒状ポリマーを回収した。濾液から濾紙
(5種A)を用いて微粉末ポリマーを回収した。それぞ
れの回収したポリマーを実施例1と同様の方法で洗浄・
乾燥し、粒状ポリマーR2と微粉末ポリマーを得た。
【0189】粒状ポリマーR2は、ポリp−フェニレン
チオエーテルと同様に、98%濃硫酸に不溶であり、か
つ、α−クロロナフタレンに220℃で可溶であった。
また、その転移点(融点、ガラス転移温度)はポリp−
フェニレンチオエーテルとほぼ同一であり、コポリマー
は得られなかった。このことは、単にPTKKKとPA
TEを含水有機溶媒中で加熱しただけでは各ホモポリマ
ー間で反応は起こらず、したがってコポリマーは得られ
ないことを示す。
【0190】〔比較例3〕 (ランダムコポリマーの合成)BCBB28.7g、含
水硫化ナトリウム(水分53.9重量%)0.3576
モル、PDCB0.2365モル、NMP500gおよ
び水54.2gを1リットルのチタン張り重合缶に仕込
み、260℃で2時間反応させた〔共存水分量/NMP
=5モル/kg、BCBB/PDCB=50/50(重
量比)〕。
【0191】ランダムコポリマーR3を含む反応液であ
るスラリーは、黒褐色で分解臭がした。ガスクロマトグ
ラフで分析した結果、残存モノマーはPDCBであり、
仕込量の25%に相当した。反応液のスラリーを目開き
75μm(200メッシュ)のスクリーンで篩別した
が、粒状ポリマーは全く回収できなかった。
【0192】すなわち、ケトン基により活性化されてい
るBCBBとPDCBでは、反応性および重合系での化
学的安定性が大きく異なるため、共重合性が極端に悪
く、分解反応がおきてしまう。
【0193】
【表1】 (*1):重合あがりのポリマーをDSCにより10℃
/分の昇温過程で求めた融点(Tm)。 (*2):呉羽化学工業株式会社製、登録商標フォート
ロン♯W214(ポリp−フェニレンチオエーテル)
【0194】図1に、本発明のコポリマーの融点とコポ
リマー中の繰返し単位〔V〕の重量%(横軸)との関係
を示す。
【0195】
【化53】 また、比較として、特開平2−225527号に記載さ
れているポリアリーレンチオエーテルケトン・ブロック
とポリアリーレンチオエーテル・ブロックとのブロック
コポリマー(PTK−PATEブロックコポリマー)の
融点とコポリマー中の繰返し単位〔3〕の重量%(横
軸)との関係を示す。
【0196】
【化54】 図1から明らかなように、本発明によれば耐熱スペクト
ルの広いコポリマーを得ることができる。
【0197】また、特開平2−225527号に記載さ
れている繰返し単位〔3〕に比べ、本発明の繰返し単位
〔V〕を少量コポリマー中に導入することにより、耐熱
性を格段に向上できる。
【0198】
【発明の効果】本発明によれば、溶融安定性、加工性、
ハンドリング性、耐溶剤性、耐吸湿性に優れ、かつ、結
晶性の耐熱性コポリマーを経済的に提供することができ
る。本発明の高耐熱性・結晶性コポリマーは、種々の成
形品等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コポリマーの融点と、共重合成分(コポリマー
中の繰返し単位)の重量%との関係を示す図である。●
印は、本発明のコポリマーを、○印は、PTK−PAT
Eブロックコポリマーを示す。ただし、左端(0重量
%)は、ポリP−フェニレンチオエーテルを示し、右端
(100重量%)は、PTKKKホモポリマーまたはP
TKホモポリマーを示す。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰返し単位〔I〕 【化1】 を有する少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
    ケトンケトンケトン・セグメント(A)と、繰返し単位
    〔II〕 【化2】 を有する少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
    ・セグメント(B)を含有するコポリマーであって、
    (イ)セグメント(A)の合計量に対するセグメント
    (B)の合計量の比率が重量比で0.1〜9の範囲であ
    り、(ロ)セグメント(B)の重量平均分子量が200
    以上、かつ、(ハ)溶融粘度(380℃、剪断速度1,
    200/秒で測定)が2〜100,000ポイズ、で定
    義づけられる芳香族コポリマー。
  2. 【請求項2】 溶融結晶化温度Tmc(400℃)が1
    80℃以上で、溶融結晶化エンタルピーΔHmc(40
    0℃)が15J/g以上である請求項1記載のコポリマ
    ー。〔ただし、Tmc(400℃)およびΔHmc(4
    00℃)は、差動走査熱量計で該コポリマーを不活性ガ
    ス雰囲気中で50℃にて5分間保持後、75℃/分の速
    度で400℃まで昇温し、ただちに10℃/分の速度で
    降温した際の溶融結晶化ピーク温度および溶融結晶化エ
    ンタルピーである。〕
  3. 【請求項3】 コポリマー中のセグメント(A)が繰返
    し単位〔III〕 【化3】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化4】 を有するものである請求項1記載のコポリマー。
  4. 【請求項4】 コポリマー中のセグメント(A)が繰返
    し単位〔V〕 【化5】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化6】 を有するものである請求項3記載のコポリマー。
  5. 【請求項5】 コポリマー中のセグメント(A)の合計
    量に対するセグメント(B)の合計量の比率が重量比で
    0.1〜1未満の範囲である請求項1記載のコポリマ
    ー。
  6. 【請求項6】 コポリマー中のセグメント(A)の合計
    量に対するセグメント(B)の合計量の比率が重量比で
    1〜9の範囲である請求項1記載のコポリマー。
  7. 【請求項7】 水分の共存下に、ジハロベンゼンと
    アルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加熱して、
    繰返し単位〔II〕 【化7】 を有し、末端にチオラート基を有するポリアリーレンチ
    オエーテル・オリゴマーを合成する第一工程と、 含水有機アミド中、第一工程で得られたオリゴマー
    と、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェノンとを必要に
    応じてアルカリ金属硫化物とともに加熱して、繰返し単
    位〔I〕 【化8】 を有するポリアリーレンチオエーテルケトンケトンケト
    ン・セグメントを生成させ、コポリマーとする第二工
    程、の少なくとも2つの工程からなり、かつ、各工程で
    の反応を下記(a)〜(f)の条件で行なうことを特徴
    とする、少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
    ケトンケトンケトン・セグメント(A)と少なくとも1
    つのポリアリーレンチオエーテル・セグメント(B)を
    含む芳香族コポリマーの製造方法。 (a)第一工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
    る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)、アル
    カリ金属硫化物の仕込量に対するジハロベンゼンの仕込
    量の比を0.3〜0.98(モル/モル)とし、生成す
    るポリアリーレンチオエーテルオリゴマーが末端にチオ
    ラート基を有し、かつ、重量平均分子量が200以上と
    なるように重合を行なうこと。 (b)第二工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
    る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)の範囲
    とすること。 (c)第二工程において、全アルカリ金属硫化物の仕込
    量(第一工程でのアルカリ金属硫化物の仕込量と、第二
    工程で必要に応じてアルカリ金属硫化物を仕込む場合に
    はその仕込量との合計量)に対する全ジハロ芳香族化合
    物の仕込量〔ジハロベンゼンおよびビス(ハロベンゾイ
    ル)ベンゾフェノンを含むジハロ芳香族化合物の合計仕
    込量〕の比を0.95〜1.2(モル/モル)の範囲と
    すること。 (d)第二工程におけるビス(ハロベンゾイル)ベンゾ
    フェノンの仕込量に対して、第一工程におけるジハロベ
    ンゼンの仕込量の比を0.4〜35(モル/モル)の範
    囲となるようにすること。 (e)第二工程の反応を150〜300℃の温度範囲で
    行なうこと。ただし、210℃以上での反応時間は10
    時間以内とする。 (f)第二工程において、生成するコポリマーの溶融粘
    度(380℃、剪断速度1,200/秒で測定)が2〜
    100,000ポイズとなるまで反応を行なうこと。
  8. 【請求項8】 コポリマー中のセグメント(A)が繰返
    し単位〔III〕 【化9】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化10】 を有するものである請求項7記載のコポリマーの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 コポリマー中のセグメント(A)が繰返
    し単位〔V〕 【化11】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化12】 を有するものである請求項8記載のコポリマーの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 少なくとも反応液との接液部が耐腐食
    性材料で構成された反応装置を使用する請求項7記載の
    コポリマーの製造方法。
  11. 【請求項11】 耐腐食性材料がチタン材である請求項
    10記載のコポリマーの製造方法。
  12. 【請求項12】 有機アミド溶媒が、N−メチルピロリ
    ドンおよびN−エチルピロリドンから選ばれる少なくと
    も1種である請求項7記載のコポリマーの製造方法。
  13. 【請求項13】 生成するコポリマーの50重量%以上
    が目開き75μm以上のメッシュで回収され得る粒状物
    であることを特徴とする請求項7記載のコポリマーの製
    造方法。
  14. 【請求項14】 水分の共存下に、ジハロベンゼン
    とアルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加熱し
    て、繰返し単位〔II〕 【化13】 を有し、末端にチオラート基を有するポリアリーレンチ
    オエーテル・オリゴマーを合成する第一工程と、 水分の共存下に、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフ
    ェノンとアルカリ金属硫化物を含む有機アミド溶媒を加
    熱して、繰返し単位〔I〕 【化14】 を有し、末端にハロゲン原子を有するポリアリーレンチ
    オエーテルケトンケトンケトン・オリゴマーを合成する
    第二工程と、 含水有機アミド中、前記各工程で得られたポリアリ
    ーレンチオエーテル・オリゴマーとポリアリーレンチオ
    エーテルケトンケトンケトン・オリゴマーを反応させる
    第三工程、の少なくとも3つの工程からなり、かつ、各
    工程での反応を下記(a)〜(g)の条件で行なわせる
    ことを特徴とする、少なくとも1つのポリアリーレンチ
    オエーテルケトンケトンケトン・セグメント(A)と少
    なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル・セグメン
    ト(B)を含む芳香族コポリマーの製造方法。 (a)第一工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
    る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)、アル
    カリ金属硫化物の仕込量に対するジハロベンゼンの仕込
    量の比を0.3〜0.98(モル/モル)とし、末端に
    チオラート基を有するポリアリーレンチオエーテル・オ
    リゴマーの重量平均分子量が200以上となるように重
    合を行なうこと。 (b)第二工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
    る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)とし、
    反応を60〜300℃の範囲の温度で行なうこと。ただ
    し、210℃以上での反応時間は10時間以内であるこ
    と。 (c)第三工程において、有機アミド溶媒仕込量に対す
    る共存水分量の比を0.1〜15(モル/kg)の範囲
    とすること。 (d)第三工程において、全アルカリ金属硫化物の仕込
    量(第一工程および第二工程でのアルカリ金属硫化物の
    合計仕込量)に対する全ジハロ芳香族化合物の仕込量
    〔ジハロベンゼンおよびビス(ハロベンゾイル)ベンゾ
    フェノンを含むジハロ芳香族化合物の合計仕込量〕の比
    を0.95〜1.2(モル/モル)の範囲とすること。 (e)第二工程におけるビス(ハロベンゾイル)ベンゾ
    フェノンの仕込量に対して、第一工程におけるジハロベ
    ンゼンの仕込量の比を0.4〜35(モル/モル)の範
    囲となるようにすること。 (f)第三工程の反応を150〜300℃の温度範囲で
    行なうこと。ただし、210℃以上での反応時間は10
    時間以内とする。 (g)第三工程において、生成するコポリマーの溶融粘
    度(380℃、剪断速度1,200/秒で測定)が2〜
    100,000ポイズとなるまで反応を行なうこと。
  15. 【請求項15】コポリマー中のセグメント(A)が繰返
    し単位〔III〕 【化15】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化16】 を有するものである請求項14記載のコポリマーの製造
    方法。
  16. 【請求項16】 コポリマー中のセグメント(A)が繰
    返し単位〔V〕 【化17】 を有し、かつ、セグメント(B)が繰返し単位〔IV〕 【化18】 を有するものである請求項15記載のコポリマーの製造
    方法。
  17. 【請求項17】 少なくとも反応液との接液部が耐腐食
    性材料で構成された反応装置を使用する請求項15記載
    のコポリマーの製造方法。
  18. 【請求項18】 耐腐食性材料がチタン材である請求項
    17記載のコポリマーの製造方法。
  19. 【請求項19】 有機アミド溶媒が、N−メチルピロリ
    ドンおよびN−エチルピロリドンから選ばれる少なくと
    も1種である請求項14記載のコポリマーの製造方法。
  20. 【請求項20】 生成するコポリマーの50重量%以上
    が目開き75μm以上のメッシュで回収され得る粒状物
    であることを特徴とする請求項14記載のコポリマーの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107722274A (zh) * 2017-11-15 2018-02-23 天津工业大学 一种熔喷用聚苯硫醚树脂的制备方法

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