JPH056375Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、周知複滑車の倍力装置を利用して
至つて円滑軽快に操作ができる様にした倒回窓の
開閉装置に関する。

（従来の技術） 従来、定滑車を窓枠側に、他方動滑車を窓側に
配設した周知複滑車の倍力原理を利用の窓開閉装
置が、例えば実開昭50−63938号公報や特開昭51
−133948号公報などに開示され市場に散見された
が、何れもその装置全体が窓やその周辺に露呈し
美感上著しいマイナスとなつて需要が敬遠される
に至つたため、これら露呈部材をすべて内設して
閉窓時だけは外部から装置全体（巻取器を除く）
が全然見えないように改良した窓開閉装置が特開
昭56−77480号公報によつて提供されたが、窓側
の滑車が水平に保持された構成のため所詮開窓角
が変動するに従い、ワイヤが窓上辺の端縁（かど
ぶち）に付設した案内部材にへの字状に圧接する
度合いが累増し、窓が全開時（開窓角90度）前記
圧接度は最大となるので、ワイヤと案内部材との
摩擦抵抗によつて閉窓するための手動操作（ワイ
ヤ巻取り）には著しい労力が強いられることとな
り、多連窓のように窓数が増加したり、大型化に
より窓の重量が増大する場合の実施には省力化の
見地より不適とされるに至つた。

（考案が解決しようとする問題点） 排煙設備（消防法規）に適合する窓開閉装置は
手動操作を指定している関係上、電気，油圧，空
圧，水圧などに依存できず必然的に最も効果的な
ワイヤと滑車の組み合せによる周知技術を如何に
して、外観的に美感を保ち、かつ円滑軽快に手動
操作ができる装置に勘案して提供することが、業
界の願望（経済性，機能性，適法面，美感面）達
成に最適となるも、近年窓の大型化による重量増
大や窓数が増加する排煙連窓などでは手動操作に
よつてワイヤを巻取つていく労力は倍加する一方
で、特にワイヤと接する部材の減数を始め摺動に
より生ずる摩擦抵抗の排除は徹底的にしておかな
いと、開窓時はステーダンパーの作動により多少
の抵抗は抑制できても、閉窓時はワイヤを手動操
作によつて巻回する関係上、多連窓や大型窓など
では大変な労力が強いられるという極めて憂慮す
べき問題点を有している。

亦、滑車装置が内設される関係上、窓枠側の滑
車が単に俯下揺動するだけでは、閉窓時窓上辺の
突条などが不測に接触した場合、該滑車が水平に
傾動せねば閉窓が不能になるという突発性の問題
点も併有している。

（考案の目的） 消防法規に適合する多数の慣用手段中最も合理
的で経済性のある複滑車による倍力装置を利用す
る旁ら、手動時に最も負符が増大する閉窓用のワ
イヤ巻回操作力を著しく軽減することに重点をお
いて省力化を計り、同時に閉窓直前に窓枠側の滑
車が俯下して窓上辺の突条に接触し、不測にも全
閉が阻害されるような事態が生じない安定構造の
装置を実現させると共に、需要層に設備負担が軽
度となるようにコストダウンを充足して提供する
ことを目的とする。

（問題点を解決するための手段） この考案による倒回窓の開閉装置は、窓上辺の
至端縁部に立設した複数の架台に揺層自在に短軸
着された回動台に、Ｕ形バンドで抱持され定滑車
の隣接側で左右対称に軸着された動滑車と、別の
上部窓枠両側に垂設され、常に水平保持を弾機付
勢された定滑車とを連架する一連のワイヤを別の
位置に付設の巻取器まで懸架して成るものであ
る。

（作用） 開窓時 巻取器の押釦（構成図示せず）を押圧して後退
させると、周知のステーダンパー（図示せず）内
のコイルばねの弾発力によつてロツドが延伸して
窓を押し出すから、窓は下端の蝶軸を支点として
傾動を開始し壁面に対し直角まで全開することに
なるが、斯かる際窓枠側の定滑車と窓側の動滑車
は何れも閉窓時では略々水平状態におかれている
が、開窓が進行するに伴つてワイヤが送り出され
ながら窓が傾動するため、閉窓時のような両滑車
の水平状態は崩れることになる、すなわちワイヤ
の進行方向が水平線に対し第３図示のα角（反開
窓）からβ角（全開窓）にと順次変動するに追随
して両滑車は常にワイヤと同じ直線上に位置する
よう傾動し、最終的には壁面に対し直角度開窓し
た時点で開窓作用は停止することになるが、窓枠
側に垂設された定滑車は水平付勢中の弾板ともど
も俯下揺動できる構成（第８図参照）により、他
方窓側に立設された架台に短軸着された回動台に
軸着された動滑車は回動台の揺動自在の構成によ
り、ともに両滑車の位置はワイヤと同一線上にお
かれるため、全開時には両滑車とも水平線に対し
45度まで傾動（首振り）することになる（第２
図）。

閉窓時 巻取器のハンドルを手動回転させると、全開に
よつて最高に延伸されたワイヤは巻取器内のドラ
ム（図示せず）に遂次巻回されることになるが、
複滑車機構の原理により、巻取器に近い側の窓か
らワイヤに牽引されて閉鎖し、引続き隣側の窓が
牽引されて閉鎖する作用を複数窓の数に応じて繰
り返すことになるが、この作用は従来の複滑車を
用いた慣用装置と全く同一であるが、異なれる点
は開窓の進行に応じて刻々と変化するワイヤの水
平線に対する俯角線上に定滑車および動滑車がと
もに位置するために傾動していくことで、全開窓
時の45度俯角状態から、全閉窓時の俯角ゼロ（水
平状態）までがワイヤと両滑車の変動範囲とな
り、ともに足並みを揃えた作用となつている。

亦、閉窓時において窓上辺側の突条が窓枠側の
定滑車に接触したり、窓側の動滑車が閉窓を阻害
するようなケースは、窓枠側に垂設された定滑車
が弾板により絶えず水平方向に付勢されているた
め動滑車をも閉窓時水平方向に従動させる作用が
働いているため前記接触事故は全然発生せず、閉
窓は頗る円滑に行なわれるものである。

（実施例） 第１図は、この考案の一実施例を複数窓（多連
窓とも別称する）に内設した場合の全体概略図で
あり、窓枠Ｓ上部の下面側には複数の定滑車と、
他方窓Ｗの上辺側には動滑車が夫々配設され、こ
れら両滑車間に一連のワイヤ１０を複滑車状態で
掛架し、媒車１１を介して側柱内を降下させ手動
操作による巻取器Ｂ（内部機構図示せず）に巻回
している。

つぎに、この考案の要部となる複滑車について
詳細には、第８図示の如く１は俯下自在の定滑車
で常時弾板で水平方向に付勢されており、溝形状
の取付台２に固着され窓枠Ｓ上部の下面側に垂設
されている（第２，３図および第８図）。

また別の動滑車３は、ワイヤ１０の離脱防止部
材であるＵ形バンド７に抱持されて、窓上辺の端
縁部に立設された別の架台４に揺動自在に短軸
６，６によつて軸着されたコの字形の回動台５の
下面に軸着８されるが、閉窓時には定滑車１と動
滑車３はともに水平線上に位置すると共に著しく
接近する関係上第４図および第６図示の如くワイ
ヤ１０が横に流れる空間が必要となるため、第７
図示のように左右の回動台５，５に軸８着される
動滑車３の位置は何れも定滑車１，１間の内方と
なり、反面ワイヤ１０が横に移行す（流れ）る空
間は飽くまで左右対称に動滑車３から見て定滑車
１側に確保された状態となつている。

そして、上記回動台５の短軸６中心と、動滑車
３および定滑車１の夫々の溝の中心は、常にワイ
ヤ１０の中心線上に合致しているため、この考案
では定滑車および動滑車以外の箇所で摩擦抵抗は
一切生じないうえ、巻取器Ｂに至るワイヤの屈折
箇所も媒車１１により減摩されているので、ワイ
ヤの窓開閉に伴う往復運動が最小限の滑車数によ
つて著しく円滑に行なはれることになる。

第９図における動滑車３はブロツク状の架台に
片持ち状で枢着されており、Ｕ形バンドを前後対
称に位置を変えれば、この考案の第７図示におけ
る動滑車と同様な作用が得られるが、所詮は片持
ち荷重が作用する構成のため、上述した回動台５
のような安定度は得られないが、窓上辺の端縁部
に付設スペースが制限される様な場合には適する
ことになる。

（考案の効果） この考案によれば、窓上辺に立設した架台に軸
着された回動台の枢芯と動滑車および定滑車の溝
の中心線は、窓の全閉時から全開時（開放角90
度）に至る開窓範囲中如何なる位置でもワイヤの
中心線上に合致する構成としたため、ワイヤが滑
車以外の部材に当接するようなことは全然無くし
かも最小数の滑車に掛架されるものであるから、
大型窓や複数窓と雖も頗る軽微な手動操作で円滑
に開閉ができるので省力化に役立つ、そして閉窓
時における各滑車の姿勢は悉く水平方向に傾動維
持されるよう工夫されているため、不測のトラブ
ルが全然発生せず確実に閉窓が行なわれるという
従来装置に無い利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す全体の概
略図、第２図は同上のＡ−Ａ視拡大縦断面図、第
３図は閉窓から全開窓に至る状態の窓と窓枠の一
部を示す縦断面図、第４，５，６図は架台にセツ
トされた動滑車の平面図，側面図，および正面
図、第７図はワイヤと各滑車の掛架状態平面図、
第８図は取付台にセツトされた定滑車の拡大側面
図、第９図は特殊架台にセツトされた動滑車の一
部切欠側面図、第１０図は従来技術の開窓状態を
示す縦断面図である。 図において、１は定滑車、３は動滑車、４は架
台、５は回動台、６は短軸、７はＵ形バンド、１
０はワイヤ、Ｗは窓、Ｓは窓枠、Ｂは巻取器であ
る。なお、各図中同一符号は同一または相当部分
を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 窓Ｗ上辺の至端縁部に立設した複数の架台４、
   この複数の架台に揺動自在に短軸６着された回動
   台５、この回動台にＵ形バンド７で抱持され定滑
   車の隣接側で左右対称に軸着された動滑車３，
   ３、この動滑車と別の上部窓枠Ｓ両側に垂設さ
   れ、常に水平保持を弾機付勢された定滑車１，１
   とを連架する一連のワイヤ１０、このワイヤを別
   の位置に付設の巻取器Ｂまで懸架して成る倒回窓
   の開閉装着。