JPH0563712U - 工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 工具Ｔを嵌合固定させる工具固定手段２を先
端部に設けたホルダ本体１の内奥部に、円筒状アダプタ
７を螺合し、該アダプタ７にはその先端部側に、工具Ｔ
の基端部１７が掛嵌しうるスプライン穴８を設けると共
に、該スプライン穴８の後方に螺子穴９を連設し、該螺
子穴９には工具Ｔの突出量を調整する螺軸１２を螺合し
てなる。 【効果】 工具Ｔの空転を阻止しうるアダプタ７に対し
て工具基端部の形状がスプライン軸状及び四角柱状との
他の多角柱状と数種の形状のものを掛嵌させることがで
きる一方、工具Ｔの突出量を容易に調整、変更すること
ができる効果がある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はドリル、エンドミル、リーマ等の工具を、例えばコレットと締付ナッ トからなる工具固定手段を介して工作機械の主軸に固定する工具ホルダに関する もので、特に重切削加工時に工具が空転し抜け出るのを防止できる構造を有する 工具ホルダに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の工具ホルダとして、実開昭６３−２１５０３号公報に開示されたものが ある。すなわち、この工具ホルダは、コレットホルダであって、工具の基端部に 形成された角柱部を受入れる角穴を有する工具保持用アダプタを、ホルダ本体の 内奥部に設けた螺子穴部に螺合して取付けたもので、このアダプタの角穴に工具 基端部の角柱部を嵌合させることにより工具に対して廻り止めを施し、重切削加 工時に工具が空転して抜け出るのを防止できるようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の工具ホルダにあっては、工具保持用アダプタに設けられる 工具受入れ用の穴が角穴、つまり断面四角形の穴であるため、工具基端部の形状 はほとんど角柱状に限られ、汎用性に欠ける問題があった。また、この工具ホル ダでは、工具の突出量が工具保持用アダプタによって特定されるため、工具の突 出量を調整したり変更する場合には、その都度それ相応の軸方向長さを有する工 具保持用アダプタと取換えて使用しなければならず、従って長さの異なる多数類 の工具保持用アダプタが必要になると共に、このアダプタの取換作業が面倒で作 業能率の向上を著しく防げるという問題があった。

【０００４】 本考案が解決しようとする課題は、工具基端部の形状が異なった類種の工具の 使用を可能とすると共に、工具の突出量の調整変更を容易に可能とすることであ る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記のような課題を解決するものであって、工具を嵌合固定させる工 具固定手段を先端部に設けたホルダ本体の内奥部に、円筒状アダプタを螺合し、 該アダプタにはその先端部側に、工具の基端部が掛嵌しうるスプライン穴を設け ると共に、該スプライン穴の後方に螺子穴を連設し、該螺子穴には工具の突出量 を調整する螺軸を螺合してなるものである。

【０００６】

【作用】

本考案の工具ホルダにおいて、アダプタのスプライン穴には、このスプライン 穴に対応するようなスプライン軸状に形成した工具の基端部を嵌合させることが できる他、所要の隅角部がスプライン穴のいずれかの凹溝条部に掛合しうる四角 柱、六角柱等の多角柱状に形成した工具基端部を嵌合させることができる。しか して、このスプライン穴に工具の基端部を嵌合させることにより、工具固定手段 に対する工具の相対回転、つまり空転が阻止される。

【０００７】 また、アダプタの螺子穴に螺合される螺軸はその先端面を、常にスプライン穴 に掛嵌される工具基端部の端面に接当させておく。しかしてこの螺軸はこれを回 転させることにより軸方向に移動するから、工具をホルダ本体から取外した状態 で螺軸を回転させることによって工具の突出量を任意に設定することができる。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例について図面を参照して説明すると、工具ホルダの全体を示す 図１において１は中空状のホルダ本体で、その先端部には工具Ｔを嵌合固定させ るコレット式の工具固定手段２が設けてある。この工具固定手段２は、ホルダ本 体１内の先端部側に設けられたテーパ穴３に嵌合されるコレット４と、ホルダ本 体１の先端部外周面に螺合されると共にコレット４の先端部外周面に係合された 締付ナット５とから構成されていて、締付ナット５を締め込むことにより、コレ ット４がホルダ本体１内へ押し込まれて収縮し、コレット４内に嵌合された工具 Ｔのストレートシャンク部６を掴持固定するようになっている。

【０００９】 ７は円筒状のアダプタで、図２及び図３で明らかなように先端部側にはスプラ イン穴８が当該アダプタ７と同心に形成され、このスプライン穴８の後方にはこ れより径小の螺子穴９がスプライン穴８と同軸線上に連設されており、またこの アダプタ７の軸方向中央部外周にはフランジ部１０が突設されていると共に、そ の後端部外周には雄螺子部１１が形成されている。１２は工具Ｔの突出量を調整 する螺軸で、図４で明らかなようにその外周面に雄螺子部１３が形成されていて 、この雄螺子部１３を介してアダプタ７の螺子穴９に螺合されている。また螺軸 １２の先端面には回転操作具用の掛合凹部１４が設けてある。

【００１０】 前記ホルダ本体１の内奥部には螺子穴１５が設けられていると共に、この螺子 穴１５と前記テーパ穴３との間に径大穴部１６が設けられていて、螺子穴１５に アダプタ７の雄螺子部１１が螺合され、またこの雄螺子部１１が螺子穴１５に十 分にねじ込まれた状態でフランジ部１０の後端面が前記径大穴部１６の奥端壁１ ６ａに接当される。

【００１１】 一方、前記工具Ｔの基端部は、図１、図５に示すように、前記アダプタ７のス プライン穴８に対応する形状のスプライン軸部１７に形成してもよいし、また図 ６に示すような四角柱部１８に形成してもよい。スプライン軸部１７の場合には この軸部１７の全ての凸条部１７ａ…がスプライン穴８の全ての凹溝条部８ａ… にそれぞれ確実に掛合することになる。また四角柱部１８の場合にはその四つの 隅角部１８ａ…が図３の仮想線で示すようにスプライン穴８の一部の凹溝条部８ ａ…に適宜掛合するようにする。尚、角柱部としては四角柱のみならず、五角柱 、六角柱等の多角柱状に形成することが可能であるが、いずれの多角柱状の場合 にもスプライン穴８に対して周方向にガタや滑りを生じることなく確実に掛嵌し うるような形状にする必要がある。

【００１２】 以上のような構成を有する工具ホルダの使用による重切削加工時において、工 具固定手段２により嵌合固定されている工具Ｔにその切削抵抗による回転阻止力 が作用して、この工具Ｔがコレット４との間で相対回転を生じようとしても、工 具Ｔの基端部たるスプライン軸部１７あるいは四角柱部１８がアダプタ７のスプ ライン穴８に掛嵌されているため、その相対回転、つまり空転が阻止されて、抜 け出ることがなくなる。またこの場合、工具Ｔに作用する回転阻止力によりアダ プタ７が逆回転トルクを受けても、このアダプタ１０は螺子穴１５と螺合してい る雄螺子部１１及びストッパとしてのフランジ部１０によって逆回転トルクを受 ける方向に締まり勝手となるため回転を生ずることがなく、したがって工具Ｔも 空転することがない。

【００１３】 一方、工具Ｔの突出量を調整するには、工具Ｔを工具ホルダから取外した状態 において螺軸１２の掛合凹部１４にドライバー等の回転操作具を掛合し、この螺 軸１２を回転して軸方向に適宜移動させればよい。

【００１４】 尚、この実施例では工具固定手段としてコレット式のものについて説明したが 、ホルダ本体と一体を成す工具嵌着用スリーブと締付ナットとこれらスリーブ及 びナット間に介装されるニードルローラとからなる工具固定手段を用いることも できる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の工具ホルダによれば、工具の空転を阻止しうるアダプタに対して工具 基端部の形状がスプライン軸状及び四角柱状との他の多角柱状と数種の形状のも のを掛嵌させることができる一方、工具の突出量を容易に調整、変更することが できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す工具ホルダの半縦断面図
である。

【図２】アダプタの半縦断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】螺軸の縦断面図である。

【図５】スプライン軸部からなる基端部を有する工具の
側面図である。

【図６】四角柱部からなる基端部を有する工具の一部側
面図である。

【符号の説明】

１ ホルダ本体 ２ 工具固定手段 ７ アダプタ ８ スプライン穴 ９ 螺子穴 １１ 雄螺子部 １２ 螺軸 Ｔ 工具 １７ 工具基端部（スプライン軸部） １８ 工具基端部（四角柱部）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具を嵌合固定させる工具固定手段を先
   端部に設けたホルダ本体の内奥部に、円筒状アダプタを
   螺合し、該アダプタにはその先端部側に、工具の基端部
   が掛嵌しうるスプライン穴を設けると共に、該スプライ
   ン穴の後方に螺子穴を連設し、該螺子穴には工具の突出
   量を調整する螺軸を螺合してなる工具ホルダ。