JP2518947Y2 - 旋盤チャック用ジョウピース取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はワークの内周面または外周面を複数のチャ
ック爪により把握して、同ワークの所要部を旋削する場
合に用いる旋盤用チャックに関するものである。

〔従来の技術〕

旋盤のチャックでワークの所要部を切削する場合は、
チャック本体の前面に設けたベースジョウとジョウピー
スからなる複数のチャック爪でワークの内径または外径
を把握する場合が多い。

上記のようにチャック本体の前面のワークをチャック
爪で把握する場合、形状や寸法の異なる多種類のワーク
に対し、ジョウピースを取替える必要が生じる。

第５図、第６図はその各例を示すもので、第５図の例
ではベースジョウ１の先端の凹所３の奥にネジ孔４を設
け、ジョウピース２の正面から後方に向けて設けた挿通
孔５にキャップスクリュー６を挿通し、このキャップス
クリュー６をネジ孔４にねじ込んで固定している。

また、第６図の例ではベースジョウ１の背部から凹所
３へ向けて挿通孔７を設け、この挿通孔７に挿通したキ
ャップスクリュー６をジョウピース２のネジ孔10にねじ
込んで固定している。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記の各従来例は何れもジョウピース２の交換に際し
てキャップスクリュー６を取外さなければならないので
きわめて面倒であり、このキャップスクリュー６を紛失
するおそれもある。

この考案の課題は上記のような従来技術の問題点を解
決するために、キャップスクリューを取外すことなく、
簡単にジョウピースを取替えることができるジョウピー
ス取付装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために、この考案は、チャック本
体の前面に突出して適宜の駆動手段により前後に動いて
開閉される複数のベースジョウと、このベースジョウの
先端部のワーク把握側に前側から着脱自在に取付けたジ
ョウピースとからなる複数のチャック爪を有する前述の
周知な旋盤チャックにおいて、 上記ベースジョウのジョウピース取付け部の背面から
そのジョウピース取付け部を貫通する背面側大幅の断面
Ｔ字状挿通孔を形成するとともに、上記ジョウピースに
はその後面から前方に前記挿通孔に対応する溝を形成
し、この溝は上記チャック本体の中心に向かってＴ字状
の断面となっており、そのＴ溝に後面からＴナットを嵌
め、前記挿通孔にキャップスクリューをすっぽり入り込
ませて挿通し、そのキャップスクリューの内端を前記Ｔ
ナットにねじ込んだ構成としたのである。

〔作用〕

この考案は上記の構成であり、ジョウピースの挿通孔
に挿通したキャップスクリューを弛め方向に回すと、こ
れにねじ込まれているＴナットが弛み、Ｔナットとジョ
ウピースのＴ溝の間に隙間が生じるのでジョウピースを
外して別のジョウピースと取替えることができる。

また、ジョウピースのＴ溝とＴナットをはめ合わせた
状態で、キャップスクリューを締め付け方向に回すと、
Ｔ溝内のＴナットがジョウピースをベースジョウの受面
に圧着してベースジョウとジョウピースを一体に結合す
るので、この状態でワークを把持できる。

〔実施例〕

第１図ないし第４図に示す実施例において、11はチャ
ック本体で、その後部に固定したアダプタ12を旋盤の主
軸（図示省略）にボルトなどで固定する。

14は複数のチャック爪で、丸棒状のベースジョウ15
と、ジョウピース16からなっている。

上記のベースジョウ15は本体11の前壁19に前広がり状
に設けた複数の傾斜孔20に進退自在に挿入したものであ
る。

本体11内のチャック爪駆動部材21は傘形でその前面は
傾斜した各ベースジョウ15の中心線に直交する面となっ
ている。

そして、上記駆動部材21の各ベースジョウ15に対応す
る位置の外周からそれぞれ切込部22を設け、この各切込
部22に各ベースジョウ15の後端の小径軸部23を係合さ
せ、この小径軸部23の後端両側にＴ字状となるように形
成した係止爪24を駆動部材21の後側に係止させて、駆動
部材21の進退により、各ベースジョウ15が各傾斜孔20に
沿って斜め方向に進退する構造になっている。

上記駆動部材21の後部の筒状部25はアダプタ12の中央
のガイド孔26に進退自在に嵌合し、かつ、ドローバー27
に連結されて、エアシリンダなどで駆動される。

上記各ベースジョウ15の外側には第１図のようにそれ
ぞれ軸方向の溝30を設け、チャック本体１の外側から各
傾斜孔20へ向けて設けたネジ孔にねじ込んだ止めネジ31
の内端の係止ピン29を各溝30に係合させてベースジョウ
15の回り止めとする。

32はベースジョウ15の先端内側の凹所で、第３図のよ
うに、この凹所32の内端面にピン33を固定する。

34はベースジョウ15の背部から凹所32へ向けて貫通さ
せた挿通孔で、背部側は大径孔となり、この挿通孔34に
回動自在に挿通したキャップスクリュー35の大径のキャ
ップが大径孔内に入り込む。

36はＴナットで、その小幅部から上記スクリュー35が
ねじ込まれ、大幅部が本体１の回転方向に向き、後側に
設けた縦溝37が第３図のように前記ピン33に係合して回
り止めとなる。

一方、ジョウピース16の後部から前部へ向けて第４図
のようにＴ溝40を形成する。

上記Ｔ溝40は前記Ｔナット36がしっくりと入る形状と
寸法に製作してある。

本体１の各傾斜孔20に対応する位置の外側前面には各
ベースジョウ15の背面を受ける弧状受面41を有する受部
42を一体に設け、この受部42に、レンチ挿入孔43を設け
てある。

また、本体11の前面中央にはワークストッパ44を固定
する。

なお、第１図の46はアダプタ12に固定した回り止めピ
ンで、チャック駆動部材21のガイド孔47に挿入して同部
材21の回り止めとする。

上記の実施例の作用を説明すれば、第１図、第４図は
ワーク45を把持した状態を示すもので、ベースジョウ15
とジョウピース16は一体に結合し、ジョウピース16がワ
ーク45の外周を把持している。

このとき、Ｔナット36とジョウピース16のＴ溝40が嵌
合し、キャップスクリュー35で締付けられているからベ
ースジョウ15とジョウピース16は一体となっている。

また、ドローバー27はエアシリンダなどで第１図に向
かって左方へ引いているから、各ベースジョウ15は各傾
斜孔20に沿って後方へ移動し、かつ内側へ寄ってその先
端の各ジョウピース16でワーク45を把握し、その反力で
受面41とベースジョウ15の背面は強く圧着し、ワーク45
をワークストッパ44に圧着せしめている。

上記のように各チャック爪14でワーク45を把握して旋
削加工を施したのち、ワーク45をチャックから外すには
チャックが所定位置に静止した状態で、ドローバー27を
駆動部材21とともに前進させ、各ベースジョウ15を傾斜
孔20に沿って前進させると、各チャック爪14が外方に動
き、ジョウピース16がワーク45から離れる。

また、各ジョウピース16を交換するには、各ベースジ
ョウ15を前進させて各カップスクリュー35を受部42の挿
入孔43に一致させた状態で、Ｌレンチの先を挿入孔43に
入れ、キャップスクリュー35のキャップ外面の係合孔に
係合させて、スクリュー35を弛め方向に回す。

上記のようにスクリュー35を回したとき、Ｔナット36
は回らずに本体11の中心の方向に動き、ピース16の締付
けを解除する。

こうして、今まで使用してきたピース16を取外し、新
しいピース16を取付けることができる。

新しいピース16を取付けるには、上記のようにキャッ
プスクリュー35を弛めた状態で、ピース16のＴ溝40とＴ
ナット36をはめ合せ、ピース16の後面をベースジョウ15
の凹所32の内端面に密着させた状態で、スクリュー35を
締め込むとＴナット36とスクリュー35のキャップにより
ピース16はベースジョウ15に強固に固定される。

なお、上記各実施例はワーク45の外側をチャック爪14
により把握してワーク45の前面や内周などに旋削加工を
施す場合について述べたが、ワークを内側から把握して
ワークの外周などを加工する場合は、各チャック爪４の
ベースジョウ15とジョウピース16の位置や作用方向を内
外逆にすればよい。

また、チャック爪の開閉方式は実施例以外の任意の方
式となし得る。

〔考案の効果〕

この考案は上記のように、チャック爪をベースジョウ
とジョウピースとで構成し、ベースジョウに回動自在に
取付けたキャップスクリューにねじ込んだＴナットをジ
ョウピースのＴ溝に係脱するものであるから、Ｔナット
をスクリューにねじ込んだまま、スクリューを若干弛め
るだけでジョウピースが着脱できる。

従ってジョウピースの着脱が容易かつ迅速に行え、キ
ャップスクリューやＴナットを紛失するおそれがないな
どの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施した旋盤チャックの一例を示す
縦断側面図、第２図は同上の正面図、第３図は要部の拡
大縦断側面図、第４図は第３図Ａ−Ａ線の縦断正面図、
第５図、第６図は従来例をす縦断側面図である。 11……チャック本体、14……チャック爪、15……ベース
ジョウ、16……ジョウピース、32……凹所、33……ピ
ン、34……挿通孔、35……キャップスクリュー、36……
Ｔナット、37……縦溝、40……Ｔ溝。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】チャック本体11の前面に突出して適宜の駆
   動手段により前後に動いて開閉される複数のベースジョ
   ウ15と、このベースジョウ15の先端部のワーク把握側に
   前側から着脱自在に取付けたジョウピース16とからなる
   複数のチャック爪14を有する旋盤チャックにおいて、 上記ベースジョウ15のジョウピース16取付け部の背面か
   らそのジョウピース16取付け部を貫通する背面側大幅の
   断面Ｔ字状挿通孔34を形成するとともに、上記ジョウピ
   ース16にはその後面から前方に前記挿通孔34に対応する
   溝40を形成し、この溝40は上記チャック本体11の中心に
   向かってＴ字状の断面となっており、そのＴ溝40に後面
   からＴナット36を嵌め、前記挿通孔34にキャップスクリ
   ュー35をすっぽり入り込ませて挿通し、そのキャップス
   クリュー35の内端を前記Ｔナット36にねじ込んだ旋盤チ
   ャック用ジョウピース取付装置。