JPH0563185A - シリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート形静電誘導サイリスタ - Google Patents

シリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート形静電誘導サイリスタ

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JPH0563185A
JPH0563185A JP19702591A JP19702591A JPH0563185A JP H0563185 A JPH0563185 A JP H0563185A JP 19702591 A JP19702591 A JP 19702591A JP 19702591 A JP19702591 A JP 19702591A JP H0563185 A JPH0563185 A JP H0563185A
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JP
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thin film
silicon thin
film layer
ballast resistor
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JP19702591A
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Kimihiro Muraoka
公裕 村岡
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Toyo Electric Manufacturing Ltd
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Toyo Electric Manufacturing Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 内部バラスト抵抗の他に、シリコン薄膜層バ
ラスト抵抗を各カソード領域に配置した埋込ゲート形静
電誘導サイリスタを提供する。 【構成】 単位セルに電流集中が発生してもターンオン
条件を成立させないように、電流集中の増長を抑えるバ
ラスト抵抗を各々のセルに対して備える素子の基本構成
とし、ゲート層8と対を成してその中心線上の真上に部
分的にチャンネル幅に近い寸法で微細化してn+ 層4を
選択的に配置する。更に上記n+ 層の所定の位置に接触
してシリコン薄膜層9′をカソード電極9との間に介在
させる。チャンネルを通過した電流は横方向に方向を変
え、n+ 層4へ比較的長い電流通路ができ、バラスト抵
抗として有効に動作しシリコン薄膜層バラスト抵抗の抵
抗値を所望の値に設定でき、従来素子に比べて可制御オ
ン電流耐量を約2倍に向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己消弧形電力用半導
体素子である埋込ゲート形静電誘導サイリスタ(以下S
Iサイリスタと称す)の可制御オン電流の耐量を向上さ
せるためのものであり、更に具体的にはカソード領域と
カソード電極との間にシリコン薄膜層からなるバラスト
抵抗層を介在させたことを特徴とするシリコン薄膜層バ
ラスト抵抗を有する埋込ゲート形SIサイリスタに関す
る。
【0002】可制御オン電流の耐量の向上は、電力変換
装置に適用するSIサイリスタ素子の利用効率を高め、
かつ装置のシステムとしての高効率化が達成されるの
で、本発明の利用価値は大きい。
【0003】
【従来の技術】先ず、本発明のSIサイリスタにつき説
明するに先立ち、従来提案されている埋込ゲート構造を
有するSIサイリスタにつき、図6乃至図8を用いて説
明する。
【0004】図6は従来の埋込ゲート構造を有するSI
サイリスタの模式的断面構造図を示し、図7は図6のS
Iサイリスタの模式的等価回路図であって、トランジス
タモデルを示す。図6において、1はSIサイリスタを
示し、これは例えばn型の半導体層2の一側面3の側に
設けた第1高濃度層例えばn+ 層と、他側面5の側に設
けた第2高濃度層例えばp+ 層6と、この半導体層2の
一側面3に設けられているゲート領域7と共にこの半導
体層2中にも埋込まれて設けられている埋込ゲート領域
8とを有し、両領域7及び8が相俟ってゲートとして作
用する。
【0005】更に第1高濃度層3上にカソード電極9を
設け、第2高濃度層5上にはアノード電極10を設け、
更にゲート領域7上にはゲート電極11を設けている。
これらの各電極は例えばアルミニウムで形成し得る。更
にアノード電極10の上側に支持電極12が設けられて
おり、これら両者が相俟ってアノードとして作用し得
る。
【0006】SIサイリスタのゲート構造によって特徴
付けられる主要特性を、図7及び図8に示す2つのトラ
ンジスタモデルによる等価回路で説明する。
【0007】図7は2つのトランジスタモデルで、p+
-+ のバイポーラトランジスタQ2 とn- + +
接合のSIトランジスタQ1 から構成されている。
【0008】図8はその等価回路である。SIトランジ
スタ(以下SITと称す)Q1 の電流増幅率をαnpn
で、バイポーラトランジスタQ2の電流増幅率をαpn
pで示す。SITQ1 の電流増幅率は図6から判るよう
に、SITのソースであるn+ 層とドレインであるn-
層がチャンネルを介して接合されている。この構成はフ
ック構造であり、SITの場合はソースからドレインへ
多量の電子注入が行なわれるので、一般のトランジスタ
に比較して非常に大きな電流増幅率αnpnとなる。α
npnが非常に大きいことがSITの特徴である。
【0009】ターンオン動作は図8において(αpnp
+αnpn)≧1なる時にSITはターンオンする。S
Iサイリスタはαnpnが非常に大きいので、小さなゲ
ート電流で大きなアノード電流をターンオンさせること
が出来る。即ち、ターンオン時の電流ゲイン(IA /I
G )は大きい。ターンオフ動作時の電流ゲインを図7の
モデルで説明する。
【0010】図8でSITQ1 のベース電流IB
(1)式となる。
【0011】
【数1】 IB =αpnp・IA −IG (1)
【0012】またSIサイリスタ全体では(2)式が成
立する。
【0013】
【数2】 IA =IK +IG (2)
【0014】またSITQ1 で再結合する電流IB ′は
(3)式となる。
【0015】
【数3】 IB ′=(1−αnpn)・IK (3)
【0016】(1)〜(3)式からゲート電流IG とア
ノード電流IA との関係は(4)式となる。
【0017】
【数4】 IG =(αnpn+αpnp−1)/αnpn・IA (4)
【0018】(4)式からIA =ITGQ をオフさせるに
必要な最小の負ゲート電流のピーク値をIGQとすると、
ターンオフ電流ゲインGGQは(5)式となる。
【0019】
【数5】 GGQ=ITGQ /IGQ=αnpn/(αnpn+αpnp−1) (5)
【0020】(5)式は(6)式のように表される。
【0021】
【数6】
【0022】(6)式から判るようにSIサイリスタの
αnpnは非常に大きいので、ターンオフ電流ゲインも
原理的に大きくなる。自己消弧形サイリスタでは電流ゲ
インは大きいことが望ましい。このため(αnpn+α
pnp)ができるだけ1に近く、かつαnpn≫αpn
pとなるようなデバイス構造が望ましい。SIサイリス
タはこの条件を満たすに最も適したデバイスである。
【0023】ターンオフ時の再印加オフ電圧上昇率を比
較的緩やかにした場合の実験では、ターンオフ電流ゲイ
ンは約10が得られている。このターンオフゲインの値
については J. Nishizawa,らによる文献、" Low-Loss H
igh-Speed Switching Devices, 2300V・150A SI Thyris
tor ", IEEE Trans., Electron Devices, ED-32, 822(1
985) において開示されている通りである。
【0024】自己消弧形サイリスタの応用に際しては、
テイル損失(テイル電流によるテイル時間内における電
力損失)を低減することが重要な課題である。この課題
に対しては、図8でターンオン条件が成立(αnpn+
αpnp≧1)する範囲で、αpnpを小さくすること
が一つの解決手段である。SIサイリスタのαnpnは
GTOに比較して非常に大きいので、αpnpを小さく
してもターンオン条件が成立し易い。このためSIサイ
リスタは原理的にテイル損失を低減できるデバイス構造
である。
【0025】SIサイリスタ特有の特性として、順方向
阻止電圧とゲート逆電圧との比で表される電圧ゲインが
ある。埋込ゲート形SIサイリスタの電圧ゲインμは
(7)式で示される。
【0026】
【数7】
【0027】 ただし、VGK:ゲート・カソード間逆電圧 VAK:アノード・カソード間阻止電圧 d :チャンネル幅 L :チャンネル長 LGA:ゲート・アノード間空乏層幅
【0028】電圧ゲインはチャンネル幅を小さく、また
第2ベースの不純物濃度を低くする程高くなる。埋込ゲ
ート形SIサイリスタの電圧ゲインは、10程度から無
限大の広範囲で製作できることが報告されている。この
点については例えば J. Nishizawa,らによる文献、" Se
miconductor Technologies ", Japan Annual Reviewsin
Electronics, Computers & Telecommunications, Vol.
113, OHMSHA, LTD, and NORTH-HOLLAND PUBLISHING COM
PANY において開示されている通りである。
【0029】前述のように、埋込ゲート形SIサイリス
タは原理的にターンオフ電流ゲイン、電圧ゲインとも大
きな素子である。しかしながら、素子の電流容量が30
0A以上と比較的大きくなると、(5)式のターンオフ
電流ゲインに表示されるITGQ の大きさ、即ち可制御オ
ン電流の耐量はあまり大きくなく、ばらつきがある。よ
ってこの改善が必要であった。本出願はこの問題点を解
決するための発明である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】図6の構成のSIサイ
リスタでは、可制御オン電流の耐量の向上と均一化が困
難であった。その理由は次のように推察される。
【0031】 製作面からみると、単位セルが数万個
から成る素子(数百A級)では(7)式のdのチャンネ
ル幅、即ち図6のp+ 層8に挟まれたn層の幅を数μm
に整えてその電圧ゲインを均一にすることが難しい。
【0032】 電圧ゲインに不均一が生じている場合
は、ターンオフ動作の過程で電圧ゲインの一番低い(チ
ャンネル幅の最も広い)単位セルに電流が集中する。
【0033】 ノーマリ・オン形SIサイリスタはα
npnが非常に大きいので、電流集中が生じた単位セル
ではαnpn+αpnp≧1なるターンオン条件が成立
し易いため、ターンオン動作が生じて素子としてはター
ンオフ失敗して破損にいたる。
【0034】 上記の原因によって、可制御オン電流
の耐量の低下とそのばらつきが大きくなる。この現象が
前記問題点を引き起こす主な理由と考えられる。これを
解決するためには、数万個から成る単位セルの電圧ゲイ
ンを完全に整えることは困難なので、単位セルに電流集
中が発生してもターンオン条件を成立させないように、
電流集中の増長を抑えるような機能を各々のセルに対し
て備えた素子の基本構成が必要である。
【0035】従って、本発明の目的は、電流集中抑制機
能を備え、可制御オン電流の耐量を向上させた静電誘導
サイリスタを提供することである。
【0036】
【課題を解決するための手段】電流集中抑制機能を備え
たSIサイリスタの基本構造を実現する技術的手段につ
いて説明する。
【0037】図6に示す従来構造の素子では、アノード
電流の通路であるチャンネル真上にn+ 層4が全面に配
置されているので、チャンネルからn+ 層4に至る距離
が短かすぎてバラスト抵抗の効果を生じ難い。このため
バラスト抵抗の効果を出し易くするためには、アノード
からチャンネルに垂直に向かって流れている電流の方向
を横方向に変えて、電流通路の距離を長くする素子構造
が必要である。これを実現するための素子構造を図1に
示す。図1の構成記号は絶縁層4′及びシリコン薄膜層
9′の他は図6と同一である。シリコン薄膜層としては
所望のバラスト抵抗値を与えるものであればよく単結晶
シリコン薄膜層の他にアモルファスシリコン層もしくは
多結晶(ポリ)シリコン層等、もしくはこれらの複合層
を適用することができる。ここではアモルファスシリコ
ン層を用いた場合について説明する。なお、ポリシリコ
ン薄膜層、或いは単結晶シリコン薄膜層でも同様の効果
が得られることは、当業者ならば容易に推察できるであ
ろうことは明らかである。
【0038】図1の特徴は、n+ 層4が図5のように全
面に存在するのではなく、ゲート層8と対を成してその
中心線上の真上に部分的にチャンネル幅に近い寸法で微
細化して選択的に配置していることと、更にn+ 層4と
カソード電極9との間にシリコン薄膜層9′としてアモ
ルファスシリコン層9′を介在させたことである。また
図2は図1のカソード平面パターンである。この構成に
より、チャンネルを通過した電流は横方向に方向を変
え、n+ 層4へ比較的長い電流通路ができ、バラスト抵
抗として有効に動作させるとともに、更に、アモルファ
スシリコン層の抵抗値によって、バラスト抵抗の設定範
囲を広くとることができる。
【0039】図1のバラスト抵抗を備えたSIサイリス
タのトランジスタモデルを図3に、その等価回路を図4
に示す。図3及び図4においてバラスト抵抗は13及び
13′で表わされている。
【0040】従って、本発明の構成は下記に示す通りで
ある。即ち、本発明は半導体層(2)の一側面(3)側
に設けた第1高濃度層(4)と、他側面(5)側に設け
た第2高濃度層(6)と、該半導体層(2)中に設けた
埋込ゲート領域(8)と、前記一側面(3)に設けたカ
ソード電極(9)と、前記他側面(5)に設けたアノー
ド電極(10)とを有する静電誘導サイリスタにおい
て、前記第1高濃度層(4)を、前記埋込ゲート領域
(8)から前記一側面(3)を該一側面(3)に垂直な
方向にみて、該埋込ゲート領域(8)の真上の領域の前
記半導体層(2b)にゲート領域(8)の形状より微細
にして、かつ選択的に設け、前記第1高濃度層(4)の
所定の位置に接触してシリコン薄膜層(9′)を前記カ
ソード電極(9)との間に介在させたことを特徴とする
シリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート形静電
誘導サイリスタとしての構成を有するものである。或い
はまた、
【0041】半導体層(2)の一側面(3)側に設けた
第1高濃度層(4)と、他側面(5)側に設けた第2高
濃度層(6)と、該半導体層(2)中に設けた埋込ゲー
ト領域(8)と、前記一側面(3)に設けたカソード電
極(9)と、前記他側面(5)に設けたアノード電極
(10)とを有する静電誘導サイリスタにおいて、前記
第1高濃度層(4)を、前記埋込ゲート領域(8)から
前記一側面(3)を該一側面(3)に垂直な方向にみ
て、該埋込ゲート領域(8)の真上の領域の前記半導体
層(2b)にゲート領域(8)の形状より微細にして、
かつ選択的に設け及び該チャンネル領域の真上の領域と
前記カソード電極(9)との間に絶縁層(4′)を設
け、前記第1高濃度層(4)の所定の位置に接触してシ
リコン薄膜層(9′)を前記カソード電極(9)との間
に介在させたことを特徴とするシリコン薄膜層バラスト
抵抗を有する埋込ゲート形静電誘導サイリスタとしての
構成を有するものである。或いはまた、
【0042】前記シリコン薄膜層バラスト抵抗を形成す
るシリコン薄膜層(9′)がポリシリコン層であること
を特徴とするシリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込
ゲート形静電誘導サイリスタとしての構成を有するもの
である。或いはまた、
【0043】前記シリコン薄膜層バラスト抵抗を形成す
るシリコン薄膜層(9′)がアモルファスシリコン層で
あることを特徴とするシリコン薄膜層バラスト抵抗を有
する埋込ゲート形静電誘導サイリスタとしての構成を有
するものである。
【0044】本発明のデバイスの特徴は下記に示す通り
である。
【0045】1)図6のデバイスではバラスト抵抗値を
変える場合にはゲートマスク、及びnエミッタのマスク
の寸法、を変える必要がある。本発明のデバイスではこ
の変更が不要である。
【0046】2)同上のマスク寸法の変更ではバラスト
抵抗の設定範囲が限定される。図1のデバイスでは広範
囲にバラスト抵抗値を設計できる。
【0047】3)図1のデバイスでは広範囲にバラスト
抵抗の設計が可能なため、デバイスの応用装置に適した
バラスト抵抗の設計が可能となる。即ち、ASOの最適
設計が可能となる。
【0048】本発明の構成とする利点は以下の通りであ
る。
【0049】1)アモルファスSiの比抵抗と厚みを変
えることによりバラスト抵抗の値を広範囲に設定でき
る、
【0050】2)アモルファスSiの製作工程ではウェ
ハ全体にわたり抵抗を大面積に均一に作成できる、
【0051】3)p+ 層8とn+ 層4のパターンを変更
することなくアモルファス層9′によってバラスト抵抗
値を設計することができるという点である。
【0052】
【作用】電圧ゲインの高い単位セルと低い単位セルが並
列にターンオフ動作する過程を考えると、電圧ゲインの
高い方の単位セルが先にピンチオフするので、アノード
電流は遅れてピンチオフする電圧ゲインの低い方の単位
セル(オン状態にある)に横流する。このため、遅れて
ピンチオフする電圧ゲインの低い単位セルの電流密度は
倍増して、ピンチオフ時にチャンネル域に電流集中が発
生する。
【0053】バラスト抵抗がない時は、ここで破損が生
じる。バラスト抵抗が存在する場合には、電圧ゲインの
高い単位セルから電圧ゲインの低い単位セルへアノード
電流が横流しても電流が制限され、余剰電流は電圧ゲイ
ンの高い単位セルへと逆横流する。この繰り返しによっ
て、両セルの電流分担はバランスしながらターンオフす
る。この作用によって電流集中は緩和されるため、可制
御オン電流耐量は向上する。一般に可制御オン電流耐量
は素子の定格電流の2〜3倍の値で評価されるので、こ
の時の電流密度においてバラスト抵抗として作用するも
のであればよい。
【0054】
【実施例】以下、図面につき本発明の実施例を詳述す
る。尚、各図面において同一の構成成分については、同
一符号を附して示す。又、これら構成成分の寸法、幾何
的形状・配置は正確なものではなく、概略的なものであ
る。
【0055】図1及び図2は本発明の第1実施例を示
す。図2は図1のカソード平面パターンを示している。
この実施例では、第1高濃度層例えばn+ 層4をカソー
ド電極9と対向する半導体層2の領域全面にわたり一様
に設けるのではなく、埋込ゲート領域8から半導体層2
の一側面3をこの一側面3に対し直交する方向にみて、
この埋込ゲート領域8の真上に微細化して選択的に設け
る。
【0056】更に、前記n+ 層4の所定の位置に接触し
てアモルファスシリコン層9′を前記カソード電極9と
の間に介在させている。
【0057】図2のカソード平面パターンを参照する
と、n+ 層4は点線で図示される如く、島状に配置さ
れ、これらの島状に配置されたn+ 層4に対して、アモ
ルファスシリコン層9′が所定の位置で接触して、絶縁
層4′を介して全体を覆っている形状となっていること
がわかる。
【0058】更に、これらのアモルファスシリコン層
9′に対して、全体を覆うように、カソード電極9が接
触している。
【0059】図1の実施例のSIサイリスタは、下記の
手順で製作することができる。
【0060】1)ボロンの選択拡散により表面濃度2×
1019cm-3、深さ13μm程度のp+ ゲート7、アノー
ド層6を形成する。
【0061】2)カソード側表面に厚さ約10μm、濃
度1〜3×1014cm-3のn型シリコンを2bエピタキシ
ャル成長させる。このときp+ ゲート層7は15μm程
度に深くなり、ゲート層7のシート抵抗は約20Ω/口
である。
【0062】3)リンの選択拡散により深さ約5μmの
+ カソード層4を形成する。
【0063】4)リンを選択拡散したカソード側面にア
モルファスシリコン層9′を形成する。
【0064】アモルファスSiの形成条件は以下の通り
である。
【0065】装置としてはプラズマCVDを使用し、
【0066】原料ガスとしてモノシランSiH4
【0067】ドーピングガスとしてホスフィンPH3
使用する。
【0068】上記の装置と原料ガスを用いてn形のアモ
ルファスSi層を形成する場合には、ホスフィンの濃度
を変えることにより、比抵抗を104 〜1011Ωcmと
広範囲に形成することができる。
【0069】実施例では比抵抗1.3×105 Ωcmで
厚み1μmのアモルファスを形成した。この時のアモル
ファスSi層の抵抗値は、約13Ωであった。1200
0コのセルから成る実効電流150Aの素子に適用した
場合の素子全体としての合成バラスト抵抗値は1.1m
Ωとなる。
【0070】5)ゲート電極11を形成する部分を溝エ
ッチングし、埋込んだp+ 拡散層7を表面に現わす。
【0071】6)カソード、アノード及びゲート電極を
形成する。
【0072】7)ペレット周辺の表面に、安定化のため
パッシベーション用材料を被覆する。
【0073】8)完成したペレットをパッケージ内に封
入する。
【0074】上記手順で製作した素子の(7)式に関係
する設計寸法は、次のようである。d=3.5μm、L
=15μm、LGA=375μmであり、平均的な電圧ゲ
インμ=460である。この時のp+ 層8の横方向幅は
30μm、n+ 層4の幅は10μmに設計した。
【0075】内部バラスト抵抗13の成分となるp+
8とn+ 層4の距離は、図6の従来素子では約5μmで
ある。図1の実施例の素子では、p+ 層8とn+ 層4の
距離はチャンネルからn+ 層までの横方向の10μmと
厚み方向の5μmの和で15μmとなり、従来形の3倍
の値となる。アモルファスシリコン層バラスト抵抗1
3′を介在させない構成によるバラスト抵抗の効果を、
12000個の単位セルから成る実効電流150A定格
の3倍の電流450Aでオン電圧の差から評価した。図
6の従来例の素子のオン電圧は2.2Vであり、図1で
アモルファスシリコン層バラスト抵抗13′を介在させ
ない素子のオン電圧は3.0Vであった。両素子のオン
電圧の差から、内部バラスト抵抗13の値は0.8V/
450Aで1.8mΩであった。従って、更にアモルフ
ァスシリコン層バラスト抵抗13′を上記の形成条件に
より介在させた本発明による図1の構造では、バラスト
抵抗値は全体として、2.9mΩとなる。この場合のオ
ン電圧は450Aにおいて3.5Vであった。
【0076】尚、図1には表現していないが、n+ 層4
の奥行方向の配置は、n+ 層内の電流分布を均一化して
電流集中を避けるために、両極性キャリヤの平均拡散長
約60μm以下のピッチで選択的に設けてある。
【0077】図1の基本構造を採用することにより、本
出願の主目的の他に下記に示すような大きな副次効果が
ある。即ち、エピタキシャル成長層2b内に設けられた
動作領域であるn+ 層4の面積が半減するので、エピタ
キシャル成長に伴い発生する結晶欠陥に動作領域が遭遇
する確率が半減する。これにより素子のゲート逆耐圧に
関する歩留りと信頼性の向上が達成されるので、本出願
の持つ意味は大きい。
【0078】
【発明の効果】次に、本実施例の効果を説明する。素子
の耐圧が2300V、実効電流が150A級の図5の従
来形素子と図1の本実施例の素子に対して、スナバーコ
ンデンサCS を変化させた場合の可制御オン電流の破壊
耐量を比較した。測定は印加電圧が1000V、ゲート
引き抜き電流dig/dtが−100A/μs、接合温
度が125℃の条件である。図5に比較の結果を示す。
図中の曲線Cは本実施例の破壊耐量を示し、曲線Bは図
6に示した構造を有する従来形素子の破壊耐量を示す。
曲線Aは図1に示した構造で、アモルファスシリコン層
9′を介在させない場合、即ち、内部バラスト抵抗13
のみを有する場合の破壊耐量を示す。スナバーコンデン
サが1μFでの両者の破壊耐量の比較では、従来形素子
では300A程度で破壊するのに対し、本実施例では5
40A程度と高い値である。本実施例の素子は、従来形
の素子に対して破壊耐量が1.8倍に増大している。可
制御オン電流耐量は約2倍に向上し、かつ素子が大面積
化しても均一なバラスト抵抗が得られるという利点もあ
り、ASO拡大のため応用装置に適したバラスト抵抗を
自由に設定できるという利点もある。尚、前述の如くシ
リコン薄膜層9′としては所望のバラスト抵抗値を与え
るものであれば良く、他の単結晶シリコン薄膜層、ポリ
シリコン薄膜層、或いは、複合層であってもよい。いず
れも内部バラスト抵抗13だけでは得られない幅広いバ
ラスト抵抗値を外部バラスト抵抗13′として提供でき
るという利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例としてのSIサイリスタの
模式的断面構造図を示す。
【図2】図1の構造のカソード平面パターン図を示す。
【図3】本発明の実施例におけるSIサイリスタのトラ
ンジスタモデルを示す。
【図4】図3に示した本発明のSIサイリスタの等価回
路を示す。
【図5】本発明の実施例におけるSIサイリスタの可制
御オン電流とスナバーコンデンサ容量との関係を示す。
【図6】従来の埋込ゲート構造を有するSIサイリスタ
の模式的断面構造図を示す。
【図7】従来例としてのSIサイリスタのトランジスタ
モデルを示す。
【図8】図6に示した従来のSIサイリスタの等価回路
を示す。
【符号の説明】
1 SIサイリスタ 2 半導体層(又はn層) 2a 基板 2b エピタキシャル成長層 3 (半導体層の)一側面 4 第1高濃度層(又はn+ 層) 4′ 絶縁層 5 (半導体層の)他側面 6 第2高濃度層(又はp+ 層) 7 ゲート領域 8 埋込ゲート領域(p+ 層) 9 カソード電極 9′ シリコン薄膜層 10 アノード電極 11 ゲート電極 12 支持電極 13 内部バラスト抵抗 13′ シリコン薄膜層バラスト抵抗

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体層の一側面側に設けた第1高濃度
    層と、他側面側に設けた第2高濃度層と、該半導体層中
    に設けた埋込ゲート領域と、前記一側面に設けたカソー
    ド電極と、前記他側面に設けたアノード電極とを有する
    静電誘導サイリスタにおいて、前記第1高濃度層を、前
    記埋込ゲート領域から前記一側面を該一側面に垂直な方
    向にみて、該埋込ゲート領域の真上の領域の前記半導体
    層にゲート領域の形状より微細にしてかつ選択的に設
    け、前記第1高濃度層の所定の位置に接触してシリコン
    薄膜層を前記カソード電極との間に介在させたことを特
    徴とするシリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲー
    ト形静電誘導サイリスタ。
  2. 【請求項2】 半導体層の一側面側に設けた第1高濃度
    層と、他側面側に設けた第2高濃度層と、該半導体層中
    に設けた埋込ゲート領域と、前記一側面に設けたカソー
    ド電極と、前記他側面に設けたアノード電極とを有する
    静電誘導サイリスタにおいて、前記第1高濃度層を、前
    記埋込ゲート領域から前記一側面を該一側面に垂直な方
    向にみて、該埋込ゲート領域の真上の領域の前記半導体
    層にゲート領域の形状より微細にして、かつ選択的に設
    け及び該チャンネル領域の真上の領域と前記カソード電
    極との間に絶縁層を設け、前記第1高濃度層の所定の位
    置に接触してシリコン薄膜層を前記カソード電極との間
    に介在させたことを特徴とするシリコン薄膜層バラスト
    抵抗を有する埋込ゲート形静電誘導サイリスタ。
  3. 【請求項3】 前記シリコン薄膜層バラスト抵抗を形成
    するシリコン薄膜層がポリシリコン層であることを特徴
    とする前記請求項1乃至2の内、いずれか一項記載のシ
    リコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート形静電誘
    導サイリスタ。
  4. 【請求項4】 前記シリコン薄膜層バラスト抵抗を形成
    するシリコン薄膜層がアモルファスシリコン層であるこ
    とを特徴とする前記請求項1乃至2の内、いずれか一項
    記載のシリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート
    形静電誘導サイリスタ。
JP19702591A 1991-07-11 1991-07-11 シリコン薄膜層バラスト抵抗を有する埋込ゲート形静電誘導サイリスタ Pending JPH0563185A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014531772A (ja) * 2011-09-29 2014-11-27 パカル テクノロジーズ エルエルシー ベース幅決定式ラッチおよび非ラッチ状態を伴うmct素子
US10439061B2 (en) 2014-12-08 2019-10-08 Fuji Electric Co., Ltd. Semiconductor device

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