JPH0561520U - カップリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動に対する減衰性、および耐久性を向上さ
せる。 【構成】 ハブ１の外周側に軸受１２を介してプーリー
部１１を一体に連結するとともに、プーリー部１１とハ
ブ１との間に、周方向に向かって所定の間隔ごとに、金
属片１０の内周側に内側ゴム８を、外周側に外側ゴム９
を一体に連結したダンパ部７を設けて、ダンパ部７の内
側ゴム８の内周側をハブ１の外周側に、ダンパ部７の外
側ゴム９の外周側をプーリー部１１の内周側にそれぞれ
一体に連結する。さらに、隣接するダンパ部７間のハブ
１に、各ダンパ部７の金属片１０と周方向に対して所定
の間隙が形成されるように、ストッパー部５を一体に設
ける。駆動側のトルクが小さい場合には、ダンパ部７の
内側ゴム８により低ばね状態が得られ、駆動側からのト
ルクが大きい場合には、ダンパ部７の外側ゴム９により
高ばね状態を得ることができることになる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はカップリングに関し、特に、自動車等の動力伝達部に有効に用いら れるカップリングに関するものである。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】

一般に、自動車等の駆動側の軸と従動側の軸との間に設けられて、駆動側のト ルクを従動側に伝達するようになっているカップリングにあっては、例えば、実 開平３−６８６２５号公報に開示されたカップリング（弾性カップリング）が既 に知られていて、このカップリングは、図４に示すように、２段特性のばね定数 を有していて、１段目のばね定数（低いばね定数）で入力する振動を減衰し、２ 段目のばね定数（高いばね定数）で全体の剛性を高めて、強度を確保するととも に、高トルク入力時におけるトルクの伝達性を高めるようになっている。

【０００３】 しかしながら、上記のように構成されるカップリングにあっては、構造上、１ 段目のばね定数を得る範囲を大きくとることができないため、防振効果を得る範 囲を広くとることができず、低トルク入力時に発生する振動を完全に減衰するこ とができない。

【０００４】 また、１段目の特性から２段目の特性に切り替わる際の立ち上がりが急激とな るため、打音が発生してしまうという問題点があった。

【０００５】 この考案は前記のような従来のもののもつ問題点を解決したものであって、１ 段目のばね定数を得る範囲を大きくすることによって、防振効果が得られる範囲 を広げるとともに、１段目の特性から２段目の特性に切り替わる際の立上がりを 緩やかにすることによって、打音の発生を防止することのできるカップリングを 提供することを目的とするものである。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】

上記の問題点を解決するためにこの考案は、駆動側の軸に連結されて駆動側の 軸と一体に回転するハブの外周側に軸受を介してプーリー部を設けるとともに、 このプーリー部と前記ハブとの間に、周方向に向かって所定の間隔ごとに、金属 片の内周側に内側ゴムを、外周側に外側ゴムをそれぞれ一体に連結したダンパ部 を複数設けて、内側ゴムの内周側を前記ハブの外周側に、外側ゴムの外周側を前 記プーリー部の内周側にそれぞれ一体に連結し、さらに、隣接するダンパ部間の 前記ハブに、各ダンパ部との間に周方向に対して所定の間隙が形成されるように ストッパー部を一体に設け、前記ダンパ部は、内側ゴムの方が外側ゴムよりもば ね定数が低く形成され、かつ、内側ゴムまたは外側ゴムの一部が金属片の回転方 向側の面にも回り込んで、そこを被覆しているという手段を採用したものである 。

【０００７】

【作用】

この考案は前記のような手段を採用したことにより、駆動側からのトルクが小 さい場合には、ダンパ部の内側ゴムにより全体を低ばね状態とすることができる ので、低トルク入力時に発生する振動を効果的に減衰することができ、また、駆 動側からのトルクが大きい場合には、ダンパ部の金属片が内側ゴムの一部または 外側ゴムの一部を介してストッパー部に当接することにより、内側ゴムによる低 ばね状態から外側ゴムによる高ばね状態に切り替えることができるので、全体の 剛性が高まることになる。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に示すこの考案の実施例について説明する。 図１および図２には、この考案によるカップリングの一実施例が示されていて 、図１は全体を示す概略図、図２は図１に示すもののＸ−Ｘ線断面図である。

【０００９】 すなわち、この実施例に示すカップリングは、駆動側の軸に連結されて駆動側 の軸と一体に回転するハブ１の外周側に、軸受１２を介してプーリー部１１を一 体に連結するとともに、このプーリー部１１と前記ハブ１との間に、周方向に向 かって所定の間隔ごとにダンパ部７を設けて、ダンパ部７の内周側をハブ１の外 周側に、ダンパ部７の外周側をプーリー部１１の内周側にそれぞれ一体に連結し 、さらに、隣接するダンパ部７、７間の前記ハブ１に、各ダンパ部７と周方向に 対して所定の間隙が形成されるようにストッパー部５を一体に設けて構成したも のである。

【００１０】 前記ハブ１は、円板状をなすフランジ部２と、このフランジ部２の一側の中心 部に一体に形成される軸線方向に突出する突出部３とから構成されていて、突出 部３の中心部には駆動側の軸に取り付けるための取付用の孔４が穿設されている 。

【００１１】 前記プーリー部１１は環状をなすとともに、外周側には図示しないＶベルトが 巻回されていて、このＶベルトを介して図示しない従動側の軸との間が一体に連 結されるようになっている。

【００１２】 前記ダンパ部７は、円弧状をなす金属片１０と、この金属片１０の内周側に加 硫接着等により一体に連結される内側ゴム８と、金属片１０の外周側に加硫接着 等により一体に連結される外側ゴム９とから構成されていて、内側ゴム８の内周 側を前記ハブ１の突出部３の外周側に加硫接着等により一体に連結し、外側ゴム ９の外周側を前記プーリー部１１の内周側に加硫接着等により一体に連結するよ うになっており、この場合、外側ゴム９の一部は金属片１０の回転方向側の面に も回り込んでいて、そこを被覆するようになっている。

【００１３】 なお、この場合、内側ゴム８の一部を金属片１０の回転方向側の面に回り込ま せて、そこを被覆するようにしてもよいものである。

【００１４】 前記内側ゴム８は、径方向に細長く形成されていて回転方向に対するばね定数 が低く設定され、また、前記外側ゴム９は周方向に細長く形成されていて、回転 方向に対するばね定数が前記内側ゴム８よりも高く設定されている。

【００１５】 前記ストッパー部５は、前記ハブ１のフランジ部２の突出部３が設けられてい る側の面に軸線方向に突出した状態で一体に設けられていて、この場合、ストッ パー部５と各ダンパ部７の金属片１０との間には、周方向に対して所定の間隙が 形成されるようになっている。

【００１６】 次に、前記に示すものの作用について説明する。 まず、ハブ１を中心部の取付用の孔４を介して図示しない駆動側の軸に連結す るとともに、ハブ１の外周側に位置しているプーリー部１１と図示しない従動側 の軸との間を図示しないＶベルトを介して一体に連結する。

【００１７】 そして、駆動側の軸が回転すると駆動側の軸と一体にハブ１が回転し、このハ ブ１の回転がダンパ部７を介してプーリー部１１に伝達されることにより、プー リー部１１が一体に回転するとともに、プーリー部１１の回転が図示しないＶベ ルトを介して従動側の軸に伝達されることにより、駆動側の軸と従動側の軸とが 一体に回転することになる。

【００１８】 そして、駆動側からのトルクが小さい場合には、ダンパ部７の内側ゴム８によ る柔らかいばね定数（低いばね定数）が得られることになるので、低トルク入力 時に発生する振動を効果的に減衰することができることになり、この状態は図３ の１段目の特性であって、この１段目の特性は内側ゴム８が回転方向に変位して ダンパ部７の金属片１０がストッパー部５に当接する範囲内で得られるものであ り、この範囲は内側ゴム８の回転方向への変位量を大きくとってあるので、従来 のものよりも大幅に広げることができることになり、したがって、防振効果を得 ることのできる範囲を大幅に広げることができることになって、低トルク入力時 に発生する振動を完全に減衰することができることになる。

【００１９】 一方、駆動側からのトルクが大きい場合には、ダンパ部７の金属片１０が外側 ゴム９の一部を介してストッパー部５に当接することにより、内側ゴム８の回転 方向への変位が制限されて内側ゴム８による低ばね状態から外側ゴム９による高 ばね状態に切り替わり、この状態は図３の２段目の特性であって、この２段目の 特性により全体の剛性を高めることができるので、内側ゴム８の破損等を防止す ることができ、また、駆動側からの高トルクを従動側に確実に伝達することがで きることになる。

【００２０】 また、この場合、ダンパ部７の金属片１０は外側ゴム９を介してストッパー部 ５に当接するので、内側ゴム８による１段目の特性から外側ゴム９による２段目 の特性に切り替わる際の立上がりを緩くすることができることになり、これによ り、立上がりの際の打音の発生を防止することができることになる。

【００２１】

【考案の効果】

この考案は前記のように構成したことにより、低ばね状態が得られる範囲を広 げることができるとともに、低ばね状態から高ばね状態に切り替える際の立上が りを緩やかにすることができることになり、したがって、振動に対する防振効果 が得られる範囲を大幅に広げることができるので、低トルク入力時に発生する振 動を確実に減衰することができるとともに、高トルク入力時に全体の剛性を高め ることができるので、高トルク入力時に内側ゴムのの破損等を防止することがで きて、耐久性を向上させることができ、また、高トルクを確実に従動側に伝達す ることができることになる。また、低ばね状態から高ばね状態に切り替える際、 ダンパ部の金属片は外側ゴムの一部を介してストッパー部に当接することになる ので、切り替わる際の立上がりを緩やかにすることができることになり、これに より、立上がりの際の打音の発生を防止することができることになる等の優れた 効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案によるカップリングの一実施例を示し
た概略図である。

【図２】図１に示すもののＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】図１に示すもののトルクと捩じり角との関係を
示した説明図である。

【図４】従来のカップリングのトルクと捩じり角との関
係を示した説明図である。

【符号の説明】

１……ハブ ２……フランジ部 ３……突出部 ４……取付用の孔 ５……ストッパー部 ６……スリーブ ７……ダンパ部 ８……内側ゴム ９……外側ゴム １０……金属片 １１……プーリー部 １２……軸受

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動側の軸に連結されて駆動側の軸と一
   体に回転するハブ（１）の外周側に軸受（１２）を介し
   てプーリー部（１１）を設けるとともに、このプーリー
   部（１１）と前記ハブ（１）との間に、周方向に向かっ
   て所定の間隔ごとに、金属片（１０）の内周側に内側ゴ
   ム（８）を、外周側に外側ゴム（９）をそれぞれ一体に
   連結したダンパ部（７）を複数設けて、内側ゴム（８）
   の内周側を前記ハブ（１）の外周側に、外側ゴム（９）
   の外周側を前記プーリー部（１１）の内周側にそれぞれ
   一体に連結し、さらに、隣接するダンパ部（７）間の前
   記ハブ（１）に、各ダンパ部（７）との間に周方向に対
   して所定の間隙が形成されるようにストッパー部（５）
   を一体に設け、前記ダンパ部（７）は、内側ゴム（８）
   の方が外側ゴム（９）よりもばね定数が低く形成され、
   かつ、内側ゴム（８）または外側ゴム（９）の一部が金
   属片（１０）の回転方向側の面にも回り込んで、そこを
   被覆していることを特徴とするカップリング。