JPH056050B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は３位置シリンダ機構を備えたギヤシフ
トアクチユエータの制御装置に関する。

（従来技術） 自動車に代表される内燃機関を持つた車両は、
内燃機関の出力を有効に利用するため、内燃機関
と駆動輪との間に変速機を設けている。そして、
たとえば、車両が低速走行するとき、変速機のギ
ヤ比を大きくして内燃機関の回転数を高くしてい
る。

ところで、従来のギヤ切換操作をマニユアルで
行う変速機では、このギヤ切換えをする際、内燃
機関の回転合わせを行い、シフトレバーを移動
し、ドライブギヤがメインシヤフトに同期回転し
たことを感知した上で、シフトレバーを押し込む
操作を行い、変速シヨツクを生じない様にすると
ともに、同期不完全によるギヤ鳴りを防止してい
る。

一方、最近電子制御装置により制御される油圧
機構を用いて変速機のギヤ切換えを自動的に行う
自動変速機が提供されている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この自動変速機では変速指示デ
ータに基づき、シフトラインごとに設けた油圧式
ギヤシフトユニツトを全ストロークにわたつて一
定の力、早さで作動せしめる構成となつていたた
め、ドライブシヤフトとメインシヤフトが同期し
ないうちに噛合作動してしまい、ギヤ鳴りや同期
機構のダメージを招き易いという問題があつた。
つまり、人間の勘による既述の回転合せ動作がな
いため、機械的噛合動作時にギヤ鳴りを生じてい
た。

もつとも、上記油圧式ギヤシフトユニツトの系
内に絞り弁を挿入し、緩慢に変化する油圧によつ
て各シフトラインとも同一の速度でドライブシヤ
フトにメインシヤフトを徐々に繋ぐ方法も考えら
れているが、各ギヤ段ごとに最適のシフト条件と
することが難しく、ギヤ切換えに時間が掛かり過
ぎるほか、特定ギヤ段でのギヤ鳴りや同期機構の
ダメージが避けられない。

また、本出願人は３位置シリンダ機構の２つの
油室に、この油室に接続したバルブをオン・オフ
制御することによつて油圧を給排するギヤシフト
アクチユエータを特開昭59−120524号公報（特公
昭62−33097号公報）等において提案しているが、
ギヤをニユートラルシフトする際には、上記両油
室の油圧差を利用してピストンをメカストツパに
衝突させる構成となつていたため、メカストツパ
やピストンの耐久性が著るしく劣化するという問
題をも生じていた。

本発明はかかる従来の問題点に着目してなされ
たもので、油室のそれぞれに給圧専用および排圧
専用のバルブを設けて、これらのバルブの選択し
たものをデユーテイコントロールして、ギヤシフ
トはもとよりニユートラ制御の際に、アクチユエ
ータロツドが目標ストローク位置に達する付近ま
ではシフトスピードを早く、その後はそのシフト
スピードを遅くすることができるギヤシフトアク
チユエータの制御装置を提供することを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、ギヤを切換えるアクチユエータロツ
ドの位置を目標ストロークに一致させるよう制御
する自動変速機のギヤシフトアクチユエータにお
いて、シリンダ内を移動するピストンによつて隔
成される油室には給圧バルブおよび排圧バルブを
接続し、これらの給圧バルブ及び排圧バルブを、
アクチユエータロツドの現在ストロークと目標ス
トロークとの差に応じてデユーテイ比を変更した
デユーテイパルスにより駆動することによつて、
ギヤシフトスピードを緩急コントロールするよう
にしたものである。

（作用） ドライブギヤに対してメインギヤを完全に噛合
させるまでのアクチユエータロツドのストローク
を目標ストロークとして、また、ニユートラルシ
フトの際に、ピストンがメカストツパに接触する
までのアクチユエータロツドのストロークを目標
ストロークとして、これらの各目標ストローク付
近の設定ストローク位置およびこのストローク位
置に対する給圧バルブおよび排圧バルブの作動デ
ユーテイをコントローラのメモリに記憶させてお
き、アクチユエータロツドの現在ストロークと目
標ストロークとの差に応じたデユーテイパルスを
各給圧バルブおよび排圧バルブに出力して、ギヤ
シフトスピードを緩急自在に自動コントロールす
る。つまり、ギヤシフトスピードを設定ストロー
クまでは急速に、その後目標ストロークまでは緩
まんにする。

（実施例） 第１図は本発明にかかるギヤシフトアクチユエ
ータの制御装置を示す。同図において、１は３位
置シリンダ機構のギヤシフトアクチユエータであ
る。つまり、このアクチユエータ１は３位置に停
止できる構成となつており、段付シリンダ２と、
第１のピストン３と、この第１のピストン３を嵌
合する筒状の第２のピストン４とからなり、第１
のピストン３のアクチユエータロツド５が図示し
ない変速機のインターナルレバに係合している。
このアクチユエータ１は２つの油室６，７に油圧
が作用したとき中立位置にあり、油室６に油圧が
作用すると第１のピストン３が第２のピストンを
伴つて、図中左方向に移動し、また油室７に油圧
が作用したとき、第１のピストン３のみが図中右
方に移動する。

また、８，９は油室６，７にそれぞれ油圧源１
０からの油圧を供給するための電磁バルブである
給圧バルブ、１１，１２は油室６，７からタンク
１３に油を戻すための排圧バルブであり、これら
の各バルブ８，９，１１，１２はデユーテイパル
スで制御されるべき応答性にすぐれたものが用い
られる。また、１４はストロークセンサでアクチ
ユエータロツド５のストロークを検出する。

１５は電子制御装置としてのコントローラで、
コントローラ１５は入出力インタフエースを介し
てストロークセンサ１４等の出力をデータメモリ
に取り込み、この取り込みデータに対応する予め
定めた目標データとの比較誤差を処理装置にて演
算して求め、この演算結果に対応するギヤシフト
信号を上記バルブ８，９，１１，１２のいずれか
に入力して、ギヤシフトアクチユエータを最適ス
トローク量およびスピードで作動制御し、変速作
業を行う。なお、給圧バルブ８，９はノーマルク
ローズタイプ、排圧バルブ１１，１２はノーマル
オープンタイプのものがそれぞれ用いられる。

次に、作用について述べる。

先ず、ギヤをシフト１方向にシフトする場合に
は、給圧バルブ９を開き、排圧バルブ１２を閉
じ、油室７に油圧源１０から油圧を供給し、給圧
バルブ８を閉じたまま排圧バルブ１１をデユーテ
イパルスにより駆動することにより、そのパルス
デユーテイに応じたスピードでアクチユエータロ
ツド５を右行させうる。同様に、シフト２方向に
ついても、給圧バルブ８を開き、排圧バルブ１１
および給圧バルブ９を閉じた状態にて排圧バルブ
１２をデユーテイ制御することにより、アクチユ
エータロツド５のスピードを任意のスピードで左
行させうる。なお、ストロークセンサ１４はアク
チユエータロツド５の現在のストローク位置を検
出しており、その検知したストロークが目標スト
ロークに達したとコントローラ１５が判定したと
き、アクチユエータロツド５のシフトを停止す
る。

次に、ギヤをニユートラルにシフトさせる場合
には、給圧バルブ８，９を開き、排圧バルブ１
１，１２を閉じて、油室６，７の油圧をバランス
させるようにアクチユエータロツド５を変移させ
る。このとき、油圧差分の力でアクチユエータロ
ツド５がメカストツパに当ることになるが、スト
ロークセンサ１４の出力を常時読み込み、目標ス
トローク近傍の予定ストローク位置にきたら、給
圧バルブ８，９をデユーテイ制御することで、ア
クチユエータロツド５をゆつくりしたスピードで
メカストツパに当てることができる。

第２図および第３図はこのようなギヤシフトイ
ン制御およびニユートラルシフト制御のフロー図
である。

第２図においては、先ず、車両の走行中に変速
指示を行い、このとき、ギヤ位置に対応するアク
チユエータロツド５の現在のストローク位置を、
ストロークセンサ１４からコントローラ１５のメ
モリに読み込む、（ステツプ）。次に、ギヤのシ
フトインにおいてアクチユエータロツド５の目標
ストロークと上記の現在ストロークとの差に応じ
た各バル１１または１２のデユーテイを、上記コ
ントローラ１５のシフトインマツプ（第４図）よ
り決定する（ステツプ）。

このため、コントローラ１５は、既述のように
給圧バルブ８を閉、給圧バルブ９を開、排圧バル
ブ１２を閉として、排圧バルブ１１をデユーテイ
制御したり、あるいは給圧バルブ８を開、給圧バ
ルブ９を閉、排圧バルブ１１を閉として、排圧バ
ルブ１２をデユーテイ制御し、それぞれアクチユ
エータロツド５を右行または左行させる。このた
め、シフトインマツプに応じたギヤシフトを行う
（ステツプ）。

次に、所定の微小時間Tcごとに、目標ストロ
ークに対するアクチユエータロツド５のストロー
クの差を繰り返し比較し、所定の時間Toごと
（To＞To）にデユーテイ比の更新を行う（ステ
ツプ）。そして目標ストロークと現在ストロー
クとが一致したとき、全バルブ８，９，１１，１
２の作動を停止する（ステツプ）。この場合に
おいて、ステツプ、ステツプにおけるシフト
インのデユーテイの決定および排圧バルブ１１ま
たは１２のデユーテイ制御は、コントローラ１５
のメモリに予め記憶させてある第４図に示すシフ
トインマツプにもとづて実行され、目標ストロー
ク近傍たとえば目標ストロークまでの距離が２mm
付近の位置に達した後には、排圧バルブ１１また
は１２のデユーテイ幅を小さく抑え、シフト動作
を緩慢にする。つまり、同期作動が完了するまで
はシフト動作を早くし、それ以後はシフト動作を
緩慢にすることにより、ギヤ鳴りを防止できる。

次に、ギヤをニユートラルにシフトする際に
は、アクチユエータロツド５の現在ストローク位
置をストロークセンサ１４からコントローラ１５
のメモリに読み込む（ステツプ）。次に、ギヤ
のシフト抜きについて、アクチユエータロツド５
の目標ストロークであるニユートラル位置と実測
した現在ストロークとの差に応じた給圧バルブ
８，９のデユーテイを、第５図のシフト抜きマツ
プにより決定する（ステツプ）。ニユートラル
指示によつてコントローラ１５は決定したデユー
テイパルスにより、排圧バルブ１１，１２を閉じ
た状態にて、給圧バルブ８，９をデユーテイ制御
する（ステツプ）。次に、所定の微小時間Tcご
とに目標ストロークに対する現在ストロークの差
を繰り返し比較し（ステツプ）、時間Toごとに
（To＞Tc）、デユーテイ幅の更新を行ない、目標
ストロークに達したとき、各バルブ８，９の作動
を停止する（ステツプ）。こうしてニユートラ
ルモードに入る。この場合において、各バルブ
８，９のデユーテイ制御は第５図のシフト抜きマ
ツプにもとづいて実行され、アクチユエータロツ
ド５が目標ストロークとしてのニユートラル点付
近に達したときは、両バルブ８，９のデユーテイ
幅を小さく抑え、シフト動作を緩慢にする。この
ようにすることで、アクチユエータロツド５のニ
ユートラルシフトの際に、このアクチユエータロ
ツドをメカストツパに衝撃するのを防止でき、メ
カストツパおよびアクチユエータロツドの損傷や
破損を防止し、ギヤシフトアクチユエータの耐久
性を向上できる。また、かかる制御方法は並列タ
イプやＸ−Ｙタイプのシフトアクチユエータやセ
レクトアクチユエータの機構にも採用できること
はいうまでもない。

（発明の効果） 本発明によれば、アクチユエータロツドの現在
ストロークと目標ストロークとの差に応じて予め
定めたデユーテイパルスによつて、ギヤシフトの
スピードを緩急コントロールするようにしたこと
によつて、ギヤシフトインまたはシフト抜きを、
目標ストローク付近までは急速に、その後の目標
ストロークまでは緩まんに行うようにすることが
できる。この結果、ギヤ鳴りを生じることない迅
速なギヤチエンジを行えるほか、アクチユエータ
ロツドやメカストツパの損傷を防止できる等の効
果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかるギヤシフトアクチユエ
ータの制御装置を示す説明図、第２図はギヤシフ
トイン制御のフロー図、第３図はニユートラルシ
フト制御のフロー図、第４図はギヤシフトインの
デユーテイマツプ、第５図はシフト抜きのデユー
テイマツプである。 １……ギヤシフトアクチユエータ、２……シリ
ンダ、３……第１のピストン、４……第２のピス
トン、５……アクチユエータロツド、６，７……
油室、８，９……給圧バルブ、１１，１２……排
圧バルブ、１３……タンク、１４……ストローク
センサ、１５……コントローラ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ギヤを切換えるアクチユエータロツドの位置
   を目標ストロークに一致させるよう制御する自動
   変速機のギヤシフトアクチユエータにおいて、 シリンダ内を移動するピストンによつて隔成さ
   れる油室には給圧バルブ及び排圧バルブを接続
   し、これらの給圧バルブ及び排圧バルブを、アク
   チユエータロツドの現在ストロークと目標ストロ
   ークとの差に応じてデユーテイ比を変更したデユ
   ーテイパルスにより駆動することを特徴とするギ
   ヤシフトアクチユエータの制御装置。