JPH056004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はダイヤモンド工具素材の構造に関す
る。

今日の切削刃物の大部分は、切削能率の向上、
仕上面の改善等を図るため、ダイヤモンド工具素
材を切刃として用いている。多くの場合、このよ
うな切刃はダイヤモンド工具素材を適宜切断し刃
物本体にロウ付するか若しくはねじを用いて機械
的に固着している。一般にこのようなダイヤモン
ド工具素材を切刃に持つ刃物をダイヤモンド刃物
といい、使い捨て方式の刃物を除いてはいずれも
切刃部分にはダイヤモンド工具素材を切断若しく
は何等かの加工を施して用いているのが現状であ
る。

従来の技術及び問題点 第３及び３Ａ図は、従来の一般的なダイヤモン
ド工具素材の構造及びこの素材を切削刃物として
使用するために当該素材を切断するためのこれま
での方法の一例を示している。通常これまでのダ
イヤモンド工具素材１０は、第３Ａ図に示すよう
に所定層のダイヤモンド層ａを、一般にこれより
厚い超硬合金等の素材ｂ上に張り合わせて作られ
ており、これら両層の接触面積は実質的に等しく
かつ全体が円板形状をなしていた（第３図）。し
かしてこの素材を切削刃物として利用するために
切断する場合には、第３及び３Ａ図に示すように
必要な幅ｃをもつて法線方向Ｎ−Ｎに対しある角
度αだけ傾斜して線ｄに沿つて切断している。こ
の結果ダイヤモンド層ａの一部分a_Zは超硬合金ｂ
による裏打ちがない状態となるため使用不可能と
なる。またこれに隣接する切断素材Ｙは超硬合金
ｂによる裏打ち層が不完全なため使用することが
できない。更にこれに隣接する切断素材Ｘもダイ
ヤモンド工具素材１０が円形状のためにその円形
の一部をなす両端縁には超硬合金層ｂの裏打ちが
完全でない部分が発生する。このためダイヤモン
ド層のその両端縁を取り除いて使用する必要があ
る。このようにこれまでのものにおいては高価な
ダイヤモンド工具素材をかなり無駄に捨てなけれ
ばならず結局ダイヤモンド刃物の価格が高価なも
のとなつていた。

問題点解決のための手段 本考案は、上記の問題点を解消するため、ダイ
ヤモンド工具素材１０の超硬合金層ｂをダイヤモ
ンド層ａよりも広く形成し、ダイヤモンド層ａを
一層有効に、無駄なく使用することができるダイ
ヤモンド工具素材を提供することを目的とする。

実施例 第１，１Ａ図は本考案によるダイヤモンド工具
素材２０の一例を示す。本考案のダイヤモンド工
具素材２０は、所定の厚みを有するダイヤモンド
層２２と、一般にこれより厚くかつ大直径の超硬
合金層等の基材２４と、から成り、ダイヤモンド
層２２の片面が超硬合金層２４の片面へロウ付け
されて一体的に形成されている。ここでダイヤモ
ンド層２２の直径が実質的に超硬合金層２４の直
径より小さくなつている。超硬合金層２４にはダ
イヤモンド層２２が飛び出る程度の深さの埋込み
穴を設けここにダイヤモンド層２２を埋込み両者
を形成することも出来る。

第２及び２Ａ図は本考案のダイヤモンド工具素
材２０を切削刃物として使用するために切断する
例を示す。ダイヤモンド工具素材２０は第３，３
Ａ図に示すと同様に、所定の幅２６をもつて線２
８に沿つて切断する。本考案によるダイヤモンド
工具素材２０によれば、超硬合金層等の基材層が
ダイヤモンド層より大径となつているため第２，
２Ａ図の切断線２８のように切断した場合高価な
ダイヤモンド層２２の部分全てが完全に超硬合金
層２４によつて裏打ちされている。そのためダイ
ヤモンド層２２の一部が超硬合金層２４によつて
裏打ちされてないという切断素材が発生すること
はなく、更にまたこれまでのように工具素材１０
が円柱の一部をなすため上方又は下方の部分の切
断素材の両端線において超硬合金による裏打ちが
不完全な個所が生じるという欠点も完全に解消し
ている。

ここで素材２４は超硬合金に限定されるもので
はなく、望ましくはロウ付可能であ材料であれば
よい。また該素材２４の形状は丸形、矩形を問わ
ず、その厚さも用途に合せて任意に決定できる。

考案の効果 以上のように本考案によるダイヤモンド工具素
材を用いることにより、従来は切断に伴う形状的
問題により使用することができなかつた部分も余
すことなく有効に用いることができる。その結
果、非常に高価なダイヤモンド工具素材を切断代
を除いてはほとんど完全に有効利用できるのでダ
イヤモンド刃物の価格のうちダイヤモンド工具素
材の占める割合が減少し、より安価なダイヤモン
ド刃物を提供できる。本考案はダイヤモンド層が
円形のものについてのみ述べたが、これは限定事
項ではなく矩形その他の場合にも同様に有効に使
用できる。勿論その場合には第３Ａ図の切断素材
Ｘにおける両端縁部に生じるような問題点は初め
から発生しないが、同図のダイヤモンド層a_Z及び
切断素材Ｙにおけるような不備を極めて有効に解
決するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるダイヤモンド工具素材の
第１実施例を示す平面図、第１Ａ図は第１図のＡ
−Ａ矢視図、第２図は第１図のダイヤモンド工具
素材を切断する状態を示す図、第２Ａ図は第２図
の側面図、第３図は公知のダイヤモンド工具素材
の第２図と同様の図、第３Ａ図は第３図のＡ−Ａ
矢視図である。 符号の説明、１０，２０……ダイヤモンド工具
素材、ａ，２２……ダイヤモンド層、ｂ，２４…
…基材、２８……切断線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ダイヤモンド層と、超硬合金等から成る基材層
   と、より構成されているダイヤモンド工具素材を
   法線方向に対して傾斜して切断することによりダ
   イヤモンド切削刃物を形成するダイヤモンド工具
   素材であつて、 ダイヤモンド層が、該ダイヤモンド層の外延に
   まで伸長する基材層の面上に載置されかつ該基材
   層の面から突出していることを特徴とするダイヤ
   モンド工具素材の構造。