JPH0559627A - ポリエステルタイヤコード及びその製法 - Google Patents

ポリエステルタイヤコード及びその製法

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JPH0559627A
JPH0559627A JP22280691A JP22280691A JPH0559627A JP H0559627 A JPH0559627 A JP H0559627A JP 22280691 A JP22280691 A JP 22280691A JP 22280691 A JP22280691 A JP 22280691A JP H0559627 A JPH0559627 A JP H0559627A
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JP
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polyester
yarn
elongation
cord
tire cord
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JP22280691A
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Inventor
Yutaka Kurihara
豊 栗原
Jun Tanaka
潤 田中
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高弾性率で熱収縮特性及び耐疲労性が改善さ
れラジアルタイヤに適したポリエステルタイヤコードを
提供すること。 【構成】 固有粘度が0.45〜0.85のエチレンテ
レフタレートを主たる繰り返し単位とする繊維からな
り、下記特性を同時に備えたポリエステルタイヤコー
ド。 (a)中間伸度KE=3〜4(%) (b)乾熱収縮率HSc≦2.5(%) (c)チューブ発熱温度Tc=50〜80(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルタイヤコー
ド、特に高弾性率で熱収縮特性及び耐疲労性の改善され
たポリエステルタイヤコード及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速走行時の操縦安定性及び乗り
心地性に優れ、ラジアルタイヤに適したタイヤコードが
求められてきている。そのため、タイヤコードとして用
いたとき、高弾性率で熱収縮特性及び耐疲労性が改善さ
れ、前記高性能タイヤコードに適したポリエステル繊維
が提案されている。
【0003】例えば特開昭53−58031号公報、特
開昭57−154410号公報、特開昭57−1611
9号公報、特開昭58−98419号公報等に開示され
ている様に高重合度のポリエステルを使用し、2〜5K
m/分の紡糸速度、高応力で紡糸することによって比較
的高配向の紡出糸(いわゆるPOY)を得てこれを延伸
する方法が知られている。
【0004】これらの方法によって得られたポリエステ
ル繊維は、確かに従来の方法で得られた繊維と比較する
と、相当の改善が認められる。しかし、これらの方法に
よって得られたポリエステル繊維からなるタイヤコード
は、熱収縮特性がレーヨン繊維に比べ未だに劣ってお
り、また、疲労性についても充分満足のゆくところまで
は改善されていない。
【0005】これに対して、例えば特開昭61−413
20号公報、特開昭62−69819号公報、特開昭6
3−159518号公報、特開昭63−165547号
公報に開示されている様に、3.5〜8.5Km/分の
紡糸速度で更に紡糸時の応力を増大せしめ、より高配向
の紡出糸を得て、これを延伸することにより、レーヨン
に近い熱収縮特性をもったポリエステル繊維とすること
も提案されている。
【0006】即ち、これらの方法では、より高配向のマ
ルチフィラメント状紡出糸を得るために、高重合度のポ
リエステルを前記の文献に開示されているようにより高
速度で紡糸することを特徴としている。しかしながら、
高重合度ポリエステルをこの様な高速度で紡糸すると、
各単繊維間での冷却不足や紡糸随伴流の増大に伴う単糸
融着や糸ゆれが発生し、糸切れ、毛羽の増加とともに各
単繊維の均一性が極めて悪くなる。このことは、引き続
き行われる延伸性の悪化につながり、充分な高配向化も
成し得ない。そのために、これらの方法によって得られ
たポリエステル繊維からなるタイヤコードは、熱収縮特
性や耐疲労性を飛躍的に改善することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高速
時の操縦安定性、乗り心地及び耐疲労性に優れた高性能
タイヤ用ポリエステルタイヤコード及びその製法を提供
しようとすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題を解消しようとして鋭意検討した結果、従来に比べて
低重合度のポリエステルを、極めて高い配向性を有する
高結晶ポリエステル紡出糸となし、これを特定倍率で多
段延伸熱処理し、更に特定の撚係数で撚糸処理し、特定
の条件下で熱処理することによってのみ、レーヨンに匹
敵する低熱収縮率で、高弾性率を有し、耐疲労性が著し
く改善されたポリエステルタイヤコードが得られること
を見い出し、本発明に達した。
【0009】即ち、本発明は、固有粘度が0.45〜
0.85のエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単
位とする繊維からなるポリエステルタイヤコードであっ
て、上記繊維が下記特性を同時に備えていることを特徴
とするポリエステルタイヤコード。 (a)中間伸度KE=3〜4(%) (b)乾熱収縮率HSc≦2.5(%) (c)チューブ発熱温度Tc=50〜80℃ その製法として、 エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする
ポリエステルを少なくとも6Km/分の紡糸速度で溶融
紡糸し紡出糸とし、次いで、 上記紡出糸を下記条件(1)〜(3)で熱延伸し、 (2.05−12.3△n+43.6△n2 )≦DR≦ (2.60−16.5△n+50.0△n2 )…… (1) (Tg−10)≦DTl≦(Tg+100) …… (2) (Tg+100)≦DT2≦Tm2 …… (3) (但し、△nは紡出糸の複屈折率、DRは延伸倍率、D
T1は延伸前期の延伸温度で、DT2は延伸後期の延伸
温度、Tgはポリマーのガラス転移点、Tm2はポリマ
ーの融点) リラックス熱処理することにより下記(d)〜(f)の
物性を有する延伸糸とした後 (d)固有粘度〔η〕=0.45〜0.85 (e)2次降伏点での伸度E1に対する2次降伏点以降
切断点までの伸度E2の伸度比 E2/El≦0.49 (f)150℃仕事損失△Eと175℃乾熱収縮率との
積の逆数で示される安定度係数が50以上 上記延伸糸を撚係数1000〜2800で合撚糸して
生コードとなし、 上記コードを接着剤付与後230〜260℃で30〜
240秒間、緊張熱処理することにより 中間伸度KE=3〜4(%) にすることを特徴とするポリエステルタイヤコードの製
法、である。
【0010】本発明のポリエステルタイヤコードは、先
ず第1に、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単
位とするポリエステルを少なくとも6Km/分の紡糸速
度で溶融紡糸し紡出糸を得ることが必要である。ここで
いうポリエステルとは分子鎖中にエチレンテレフタレー
ト繰り返し単位を85モル%以上、好ましくは90モル
%以上、より好ましくは95モル%以上含むポリエステ
ルをいう。かかるポリエステルとしてはポリエチレンテ
レフタレートが好適であるが、15モル%未満、好まし
くは10モル%未満、より好ましくは5モル%未満の場
合で他の共重合成分を含んでいても差し支えない。
【0011】このような共重合成分としては例えば、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、オ
キシ安息香酸、ジエチレングリコール、1−4ブタンジ
オール等が挙げられる。また、これらのポリエステルに
は、安定剤、艶消し剤、着色剤等を含んでいても差し支
えない。本発明に用いる紡出糸は、以下の方法によって
得られる。即ち、固有粘度0.5〜0.9より好まし
くは0.55〜0.85のポリエステルポリマーを通常
のスクリュー押し出し機にて310℃以下のポリマ−温
度で紡糸口金から紡糸し、紡出糸を得ること、上記紡
糸口金直下には、5cm以上で且つ内部雰囲気温度が1
50〜350℃の過熱域を通過させ、冷風を外周より吹
きつけ冷却固化させること、収束ガイドとして給油ノ
ズルを用いて所定量の油剤を付与させた後、6Km//
分以上の紡糸速度で巻き取ること、によって得られる。
【0012】ポリマ−の固有粘度、ポリマ−温度、過熱
域温度、冷却条件は、得られる紡出糸の均一性を向上さ
せ、延伸性を高めるのに顕著な効果を有する。なお、上
記方法により得られる本発明で用いられる紡出糸の複屈
折率△nは、0.100以上、好ましくは0.110、
より好ましくは、0.120と従来の「POY−延伸
法」で得られる紡出糸より著しく高い値であることも特
徴的である。
【0013】本発明の方法において紡出糸は、一旦ボビ
ンに巻き取った後別延伸すか、或いは巻き取ることなく
連続的に延伸を行ってもよい。なお、別延伸する場合
は、延伸巻き取り速度は、任意であるが、延伸安定性と
生産性を考慮すると500〜3000m/分の範囲が好
ましい。延伸倍率DRは、上記紡出糸の複屈折率△nに
よって下記の範囲に決められる値である。
【0014】 (2.05−12.3△n+43.6△n2 )≦DR≦ (2.60−16.5△n+50.0△n2 )…… (1) 紡出糸の複屈折率に対して延伸倍率が(1)式より大き
すぎる場合は、毛羽や糸切れが頻発し且つ熱収縮特性の
低下がおこるので好ましくない。また、(1)式より小
さすぎると、ポリエステルタイヤコードの中間伸度を本
発明の値まで下げることが難しくなり、その結果、タイ
ヤコードとして充分な強度を得られないばかりでなく、
耐化学安定性も不足するので好ましくない。
【0015】なお、具体的な延伸倍率は、紡糸速度が7
Km/分の場合、1.05〜1.55倍、好ましくは
1.1〜1.4倍、より好ましくは1.2〜1.3の範
囲である。延伸温度は、下記式(2)、(3)の範囲内
で実施する必要がある。但し、(2)式のDTlは延伸
前期の延伸温度を示し、(3)式のDT2は延伸後期の
延伸温度を示す。また、Tgは繊維のガラス転移点を示
し、Tm2は繊維の融点を示す。
【0016】 (Tg−10)≦DTl≦(Tg+100) …… (2) (Tg+100)≦DT2≦Tm2 …… (3) この延伸温度は、上記の延伸倍率とともにポリエステル
繊維の基本性能を決める上で重要であることはいうまで
もない。以上の延伸を行った糸は、引き続いて連続的に
0.9〜1倍の制限処理下、180〜260℃の温度で
リラックス・熱延伸処理することが好ましい。このリラ
ックス・熱処理によって、延伸工程までの応力歪みが均
一に緩和され、本発明の延伸糸の特性がきまる。
【0017】上記の紡糸条件及び延伸条件は相互に関連
づけて決定し、以下に述べる特徴の延伸糸とすることが
必要である。本発明に用いる延伸糸の固有粘度は、0.
45〜0.85とすることが必要である。固有粘度
〔η〕が0.45未満では、タイヤコードとして好まし
い強度を得ることができないので、適当でない。
【0018】また、紡糸速度6Km/分以上の高速で溶
融紡糸を行い固有粘度〔η〕が0.85より大きいポリ
エステル繊維を得ようとすると、前記したように単繊維
間での冷却不足や紡糸随伴流の増加に伴う単繊維融着や
糸ゆれが発生し、糸切れ、毛羽の増加と共に各単繊維の
均一性が極めて悪い繊維となる。更にこの紡糸性の悪化
は引き続いて行われる延伸工程での悪化にもつながり、
繊維の強力及び撚糸・接着処理といった加工性能が低下
し、その結果、タイヤコードとして好ましい強度を維持
できなくなる。
【0019】更に、本発明に用いる延伸糸は、応力−伸
度曲線において、 2次降伏点での応力Tlが5g/d以上 2次降伏点での伸度E1が6〜13% 2次降伏点での伸度E1に対する2次降伏点以降切断
までの伸度比E2/Elが0.49以下 の特徴を同時に備えており、E2/E1が低いことが極
めて特徴的である。
【0020】図1はポリエステル延伸糸の応力−伸度曲
線を示し、図中のaは本発明の応力−伸度曲線であり、
曲線bは従来の技術の「POY−延伸法」によって得ら
れたポリエステル繊維の応力−伸度曲線である。ここ
で、2次降伏点とは、図中(A)点で示される特性値で
あり、上記の2次降伏点前後の曲線状の接点の交点から
上記の応力−伸度曲線にθ/2の角度で直線を引き、こ
の直線と応力−伸度曲線との交点で決定される。
【0021】伸度比E2/E1が大きすぎるポリエステ
ル繊維では、タイヤコードにした際の延伸糸に対する強
度低下率が大きくなり、コードをタイヤ加工工程でいわ
ゆる加硫を行った場合の強力低下率も増大し、その結果
タイヤコードとして充分な強度が得られないので好まし
くない。又、E2/E1が小さすぎる場合は、結果的に
延伸配向の過剰な繊維となり、撚糸コードとする場合の
原糸に対する強度が低下しタイヤコードとして好ましい
強度が維持できくなる。従って、E2/E1は0.49
以下にする必要であり、好ましくは0.10〜0.49
にすべきである。
【0022】本発明に用いる延伸糸は150℃仕事損失
と175℃乾熱収縮率との積の逆数で示される安定度係
数が50以上であり、好ましくは55以上である。ここ
でいう仕事損失とは、糸長10インチ、歪み速度0.5
インチ/分、温度150℃の条件下に0.6g/dと
0.05g/dの間の応力でヒステリシスロスをインチ
ホ・ポンドの単位で表示したものをいい、その値が低く
なる程微小な伸長・弛緩の繰り返しに対する発熱が少な
いことを示しており、繊維の耐疲労性の向上に重要な役
割を果たすパラメーターである。
【0023】図2は175℃乾熱収縮率と上記定義によ
る安定度係数との関係をしめしている。図中のAは、本
発明に用いる延伸糸の収縮率−安定度係数の範囲をしめ
し、Bは前記した「POY−延伸法」によって得られた
延伸糸の収縮率−安定度係数の範囲を示している。この
様に、本発明に用いる延伸糸は、乾熱収縮率と仕事損失
の両方を小さくすることを同時に達成されている。従っ
て、熱的変化にも、伸長・弛緩変化にも極めて安定な延
伸糸を得られたことになる。
【0024】これに対して従来技術による安定度係数は
高々20にすぎず、紡糸延伸工程を安定させて高弾性率
で且つ安定度係数を20以上、更には45以上にするこ
とが非常に困難であったことは、先行技術(例えば特開
昭53−58031号公報)が教えるところである。上
記特徴を有するポリエステル延伸糸は撚り係数で100
0〜2800で合撚糸し生コードとされる。ここで撚り
係数KはK=T×√Dで定義される。
【0025】ここでTは10cm当たりの撚り数、Dは
生コードのデニールを示す。撚り係数が1000未満で
はタイヤコードの疲労性が低下し、また、280以上で
はタイヤコードの強力が低下するので好ましくない。次
に上記生コードはそのまま、又は、すだれ状に製織した
のち通常のタイヤコード用接着剤、例えばRFL(レゾ
ルシン−ホルマリン−ラテックス)液とエポキシ化合物
又は「PEXUL」(ICI社製)の混合液に浸漬され
る。接着剤の付着量は通常1〜6%である。次に過熱炉
中を通過させ接着剤を乾燥させたのち緊張熱処理をする
が、これらは通常連続処理して行う。本発明のポリエス
テルタイヤコードは高弾性に設計するため、中間伸度を
3〜4%に設定する必要がある。
【0026】緊張熱処理は温度220〜260℃、好ま
しくは230〜255℃で処理時間は30〜300秒
間、好ましくは60〜200秒間、緊張率は1〜8%処
理することによって達成される。緊張処理は通常2段階
で行い、前段のホットゾーンで緊張処理し、後段のノル
マルゾーンでは低緊張又は弛緩しながら処理する方法が
採用されるが、結果としてトータルの緊張率が上記範囲
を満足するように行うことが必要である。
【0027】かくして得られるポリエステルタイヤコー
ドは次の特性を備えている。 (a)中間伸度KE=3〜4(%) (b)乾熱収縮率HS≦2.5(%) (c)チューブ発熱温度=50〜80℃ 本発明のポリエステルタイヤコードは中間伸度が低く、
即ち弾性率が高いが、乾熱収縮率は従来より著しく低く
なる。例えば、中間伸度を3.5%程度にした場合、乾
熱収縮率が従来技術の「POY−延伸法」で得られるタ
イヤコードでは、3%以上であるのに対して本発明のポ
リエステルタイヤコードでは2.5%以下、好ましくは
2%以下になる。それ故、乾熱収縮率と中間伸度の和で
示される寸法安定性が、従来技術の「POY−延伸法」
では、せいぜい7%程度に過ぎないのに対し、本発明の
ポリエステルタイヤコードでは6%以下と著しい改善を
行っている。
【0028】また、本発明のポリエステルタイヤコード
は、ゴムチューブに埋めて「伸長−圧縮」変形を行った
際のいわゆるチューブ発熱温度が著しく低く、80℃以
下になる。チューブ発熱温度は、JISL−1017−
1963A法に準じて測定されるチューブ疲労法におい
て、100分間疲労試験後にゴム表面を非接触の温度計
で測定した際の温度をいう。本発熱温度が低い程、「伸
長−圧縮」変形によるコードの疲労性が良好になること
を示すパラメーターである。例えば、従来技術の「PO
Y−延伸法」では、せいぜい低くても90℃である。
【0029】このように本発明のポリエステルタイヤコ
ードが、従来の技術に比べ低熱収縮率で、然もチューブ
発熱温度が低いのは、前記のように本発明のポリエステ
ルタイヤコードを構成する延伸糸の安定度係数が大幅に
改善されているためである。上記の特性を有する本発明
のポリエステルタイヤコードは、ラジアルタイヤ用カー
カス材として用いられたとき、寸法安定性及び耐疲労性
に優れ、高速走行時の操縦安定性及び乗り心地性に優れ
た高性能タイヤコードとすることができる。
【0030】また、上記特性を活かしてタイヤコード以
外の用途、例えばVベルト、タイミングベルト、運搬用
ベルト等、ゴム補強用コードとしても有用なものであ
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、上記説明及び実施例に記載した特性の定義並
びに測定方法を以下に示す。 (1) 応力−伸度曲線 島津オートグラフSS−100型を使用してJISL−
1017−1983(7.5)に準じて測定を行った。 (2) 固有粘度〔η〕 オストワルド粘度計を用いて、オルソクロロフェノール
100mlに対して1gの試料を溶解した溶液の還元粘
度ηsp/cを35℃の恒温槽中で測定し、次式により
〔η〕を算出した。 ηsp/c〔η〕+0.277〔η〕2
【0032】(3) 乾熱収縮率HS 延伸糸の場合は175℃で、タイヤコードの場合は15
0℃でJISL−1017−1983(7.10.2)
に準拠して測定した。 (4) 150℃仕事損失△E 糸長10インチ、歪み速度0.5インチ/分、温度15
0℃の条件下に0.6g/dと0.05g/dの間の応
力でヒステリシスループを測定し得られた1000デニ
ール当たりのヒステリシスループをインチ・ボンドで表
わした。詳細な方法は特開昭53−58031号公報に
準拠した。
【0033】(5) 複屈折率△n オリンパス製偏光光学顕微鏡を用い、Na−D線を光源
とし、α−ブロムナフタリン/オリーブオイル油を浸漬
液としてベレックコンペンセーターを用いたリターデー
ション法により測定した。 (6) 中間伸度KE 延伸糸のデーニールをd、合撚糸数をnとした時、中間
伸度KEは下記式により算出される加重Wを掛けたとき
の伸度が示した。 W=4.5×d×n/1000×2(kg)
【0034】(7) 対原糸強度利用率 ディップ処理後の強度を測定し、延伸糸に対する強度の
割合を100分率で示した。 (8) 加硫強力保持率 温度153℃、圧力60Kg/cm2 、処理時間60分
で加硫処理を行い、加硫後にコードを引き剥がし強力を
測定し、処理前のコードに対する強力の割合を100分
率で示した。
【0035】(9) 耐疲労性 疲労試験はディスク法JISL−1017−1963
(1.3.2.2)で、72時間疲労試験後にゴムブロ
ックより取り出してコード強力を測定し、疲労試験前に
ゴムブロックよりとりだしたコードの強力に対する割合
を百分率で示した。 (10)チューブ発熱温度 JISL−1017−1963(1.3.2.1)A法
(グッドイヤー法)に準じたチューブ疲労試験に於い
て、100分間疲労試験後のゴム表面温度を非接触式温
度計で測定した。 (11)紡糸状態 紡糸状態、及び延伸状態は、サンプル100kgを得る
ために紡糸・延伸時の毛羽発生、糸切れ発生が3回以下
であったものを○、10回以上のものを×で示した。
【0036】
【実施例1〜9及び比較例1〜6】表1に示す固有粘度
のポリエチレンテレフタレートチップを表1の紡糸温度
で溶融紡糸した。このとき、紡糸口金は、孔径0.35
mm、同心円状に孔が配列されているものを使用し、口
金より吐出後、長さ100mm、内部表面温度300℃
の加熱域を通過させた後、温度20℃の冷風を糸状の外
周より吹きつけ、オイリングノズルで油剤を付与し、表
1の速度にて巻き取った。
【0037】得られた紡出糸を合糸させながら引取ロー
ラー、第一延伸ローラー、第2延伸ローラー、リラック
スローラー及び巻き取り機からなる延伸機によって15
00m/分の速度で巻き取り、延伸・加熱処理し、15
00デニール/256フィラメントの各延伸糸した。以
上の条件によって得られた紡出糸及び延伸糸の物性を同
じく表2に示した。
【0038】表1において、延伸倍率DR1とは上記の
引取ローラーと第1延伸ローラーの周速度の比であり、
DR2とは第1延伸ローラーと第2延伸ローラーの比で
あり、Rとは第2延伸ローラーとリラックスローラーの
比である。また、温度の欄におけるFR、1GD、2G
D、RRとはそれぞれ引取ローラー、第1延伸ローラ
ー、第2延伸ローラー、リラックスローラーの温度を示
す。
【0039】上記の延伸糸を撚糸機で下撚りをZ方向に
400T/m、上撚りをS方向に400T/mかけ、即
ち撚り係数を2312とし、得られた撚糸コードにRF
L及びICI社製「PEXUL」を主成分とする接着剤
を付与したのち160℃の加熱炉中で定長状態で90秒
間処理し、引続き240℃の加熱炉(セットゾーン)中
で120秒間緊張処理し、1%の弛緩を与えながら24
0℃で40秒間熱処理(ノルマルゾーン)し、タイヤコ
ードとした。処理した際のコード緊張率と得られたタイ
ヤコードの物性を表3に示す。本発明のポリエステルタ
イヤコードは、特定の物性を有しているのに対し、それ
以外の方法で得られたタイヤコードは本発明のポリエス
テルタイヤコード物性は得られなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明のポリエステルタイヤコードは、
高弾性率・低収縮率で、しかも「伸長−圧縮」による発
熱が少ないため、乗用車用ラジアルタイヤカーカス材と
して用いられた時、タイヤの均一性がこれまでのエステ
ルコードで得られなかったレベルまで改善され、高速時
の操縦安定性、乗り心地及び耐疲労性に優れた高性能タ
イヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリエステル延伸糸の応力−伸度曲線図。
【図2】ポリエステル延伸糸の乾熱収縮率と安定度係数
の関係を示すグラフ。
【符号の説明】 a 本発明に用いるポリエステル延伸糸の応力−伸度曲
線 b 従来の技術、「POY−延伸法」によって得られた
ポリエステルに延伸糸の応力−伸度曲線 A 本発明に用いるポリエステル延伸糸の乾熱収縮率と
安定度係数の範囲 B 従来の技術の「POY−延伸法」によって得られた
延伸糸の乾熱収縮率と安定度係数の範囲 E1 2次降伏点での伸度 E2 2次降伏点以降切断までの伸度 T1 2次降伏点での応力 (A)降伏点前後での接線の交点からθ/2の角度で直
線を引いた時、応力−伸度曲線と交わる点 θ 降伏点前後での接線の交わる角度

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固有粘度が0.45〜0.85のエチレ
    ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする繊維から
    なるポリエステルタイヤコードであって、上記繊維が下
    記特性を同時に備えていることを特徴とするポリエステ
    ルタイヤコード。 (a)中間伸度KE=3〜4(%) (b)乾熱収縮率HSc≦2.5(%) (c)チューブ発熱温度Tc=50〜80℃
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレートを主たる繰り
    返し単位とするポリエステルを少なくとも6Km/分の
    紡糸速度で溶融紡糸し紡出糸とし、次いで、 上記紡出糸を下記条件(1)〜(3)で熱延伸し、リ
    ラックス熱処理することにより下記(d)〜(f)の物
    性を有する延伸糸とした後、 (2.05−12.3△n+43.6△n2 )≦DR≦ (2.60−16.5△n+50.0△n2 )…… (1) (Tg−10)≦DTl≦(Tg+100) …… (2) (Tg+100)≦DT2≦Tm2 …… (3) (d)固有粘度〔η〕=0.45〜0.85 (e)2次降伏点での伸度E1に対する2次降伏点以降
    切断点までの伸度E2の伸度比 E2/E1≦0.49 (f)150℃仕事損失△Eと175℃乾熱収縮率との
    積の逆数で示される安定度係数が50以上 上記延伸糸を撚係数1000〜2800で合撚糸して
    生コードとなし、 上記生コードを接着剤付与後230〜260℃で30
    〜240秒間、緊張熱処理することにより 中間伸度KE=3〜4% にすることを特徴とするポリエステルタイヤコードの製
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101312798B1 (ko) * 2008-09-26 2013-09-27 코오롱인더스트리 주식회사 타이어 코드지 및 그 제조방법
JP2017535682A (ja) * 2014-11-21 2017-11-30 オリエンタル インダストリーズ (スウ ゾウ) リミテッド 低デニール高モジュラスのポリエステルタイヤコード織物の作製方法

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KR101312798B1 (ko) * 2008-09-26 2013-09-27 코오롱인더스트리 주식회사 타이어 코드지 및 그 제조방법
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