JPH0559524A - 超高真空機器用ステンレス鋼部材およびその製造法 - Google Patents
超高真空機器用ステンレス鋼部材およびその製造法Info
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- JPH0559524A JPH0559524A JP24496791A JP24496791A JPH0559524A JP H0559524 A JPH0559524 A JP H0559524A JP 24496791 A JP24496791 A JP 24496791A JP 24496791 A JP24496791 A JP 24496791A JP H0559524 A JPH0559524 A JP H0559524A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ベーキング処理に要する時間を短縮し、ある
いは省略できる超高真空機器用ステンレス鋼部材を提供
する。繰り返しの大気開放に対してもその脱離特性が持
続されることから、トータル的な省力化を図る。鋼中ガ
ス成分の拡散放出に対してもバリヤー効果を有するから
最終到達圧力を低下させる。 【構成】 ステンレス鋼中のCrとMoの含有量(単位:wt
%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足するステンレス
鋼部材において、その表層を20〜150ÅのCr2O3 を
主体とする酸化皮膜を被覆する。
いは省略できる超高真空機器用ステンレス鋼部材を提供
する。繰り返しの大気開放に対してもその脱離特性が持
続されることから、トータル的な省力化を図る。鋼中ガ
ス成分の拡散放出に対してもバリヤー効果を有するから
最終到達圧力を低下させる。 【構成】 ステンレス鋼中のCrとMoの含有量(単位:wt
%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足するステンレス
鋼部材において、その表層を20〜150ÅのCr2O3 を
主体とする酸化皮膜を被覆する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は半導体製造用、理化学
機器、粒子加速器、或いは医療機器用等に用いられてい
る超高真空(P<10-7Pa)装置、或いはこのシステム
を構成するチャンバー、配管、バルブ、フランジ、ベロ
ーズ、エルボ等の構造部材として用いられる超高真空機
器用ステンレス鋼部材およびその製造法に関するもので
ある。
機器、粒子加速器、或いは医療機器用等に用いられてい
る超高真空(P<10-7Pa)装置、或いはこのシステム
を構成するチャンバー、配管、バルブ、フランジ、ベロ
ーズ、エルボ等の構造部材として用いられる超高真空機
器用ステンレス鋼部材およびその製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体製造技術、表面解析機器、粒子加
速器等の最先端産業分野においては、超高真空(P<1
0-7Pa)装置及び更に圧力の低い極高真空(P<10
-10Pa )装置の利用が必要不可欠となっている。これら
の装置を構成するチャンバー、配管、バルブ、フラン
ジ、ベローズ、エルボ、容器等には、SUS316L,
SUS304L等のステンレス鋼が主に用いられてい
る。
速器等の最先端産業分野においては、超高真空(P<1
0-7Pa)装置及び更に圧力の低い極高真空(P<10
-10Pa )装置の利用が必要不可欠となっている。これら
の装置を構成するチャンバー、配管、バルブ、フラン
ジ、ベローズ、エルボ、容器等には、SUS316L,
SUS304L等のステンレス鋼が主に用いられてい
る。
【0003】例えば、超LSI製造技術において、MB
E(分子線エピタキシャル成長)装置のチャンバーや、
反応ガス供給用配管には、SUS316Lのステンレス
鋼が用いられている。このガス供給系やチャンバー内面
からの放出ガスを極小にするために、系内表面を電解研
磨することにより、加工変質層のない鏡面に仕上げてい
る。
E(分子線エピタキシャル成長)装置のチャンバーや、
反応ガス供給用配管には、SUS316Lのステンレス
鋼が用いられている。このガス供給系やチャンバー内面
からの放出ガスを極小にするために、系内表面を電解研
磨することにより、加工変質層のない鏡面に仕上げてい
る。
【0004】また材料内に含有している吸蔵ガスを減ら
したり、電解研磨時の水素チャージによる水素のトラッ
プサイトとなる欠陥(例えば鋼中の非金属介在物)を減
らすために清浄なステンレス鋼を用いている。これらに
加えてこの材料内からのガス放出を低減しながら、排気
中の真空装置をヒータ等で数十時間加熱するベーキング
法を用いて超高真空以下の領域に到達させている。
したり、電解研磨時の水素チャージによる水素のトラッ
プサイトとなる欠陥(例えば鋼中の非金属介在物)を減
らすために清浄なステンレス鋼を用いている。これらに
加えてこの材料内からのガス放出を低減しながら、排気
中の真空装置をヒータ等で数十時間加熱するベーキング
法を用いて超高真空以下の領域に到達させている。
【0005】また例えば、特開昭64-87760号公報におい
ては、「電解研磨処理を施したステンレス鋼部材表面
に、膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮膜が形成する半導
体製造装置用ステンレス鋼部材」が提供されている。こ
れによれば膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮膜が形成さ
れたものは耐ガス放出性が極めて良好であることを知見
しているが、良好な耐ガス放出を得るには真空引きを行
いながら、リボンヒータにより管部を200℃にして3
0時間保持した後室温に戻し、その後10時間の真空引
きで1×10-10 torr・l/s が達成されている。
ては、「電解研磨処理を施したステンレス鋼部材表面
に、膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮膜が形成する半導
体製造装置用ステンレス鋼部材」が提供されている。こ
れによれば膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮膜が形成さ
れたものは耐ガス放出性が極めて良好であることを知見
しているが、良好な耐ガス放出を得るには真空引きを行
いながら、リボンヒータにより管部を200℃にして3
0時間保持した後室温に戻し、その後10時間の真空引
きで1×10-10 torr・l/s が達成されている。
【0006】一方「真空」誌Vol.32(1989)No.
4,P,444〜の文献「ステンレス鋼の放出ガス速度
の低減−ベーキング温度、履歴の効果−」においては、
ベーキングによりステンレス鋼の表面状態(表面酸化
層)の構造や厚みが変化し、吸着ガスの脱離性に影響を
与えていることを指摘している。
4,P,444〜の文献「ステンレス鋼の放出ガス速度
の低減−ベーキング温度、履歴の効果−」においては、
ベーキングによりステンレス鋼の表面状態(表面酸化
層)の構造や厚みが変化し、吸着ガスの脱離性に影響を
与えていることを指摘している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の超高真空機器に
用いられているステンレス鋼部材は表層を機械研磨ある
いは電解研磨により超平滑化することによって実表面積
を低減し、その結果(ステンレス鋼部材の表面の)ガス
成分の吸着量を減少させている。そのような内面を平滑
化したチャンバー・フランジ・配管等によってこのシス
テムを構成した後、例えばリボンヒータによりこのシス
テム全体を100〜200℃程度で、24〜72時間加
熱しながら排気を行い、その後、加熱を終了した後、室
温に戻し、排気を続けると目的の超高真空領域(P<1
0-7Pa)に到達する。しかし真空機器のほとんどは一度
目標の圧力域に達したとしても、装置内部での試料への
処理が終了すると試料交換を行なわなくてはならず、大
気開放にすることになる。また測定系のフィラメントの
交換、ポンプ類の油、部品の交換のメンテナンス時も同
様に大気開放することになる。そしてひとたび大気に戻
すと、再び前述のベーキング作業を数十時間行なわなく
ては所定の圧力に到達しないため、運転コストが上昇す
るとともに作業時間も掛かる問題がある。
用いられているステンレス鋼部材は表層を機械研磨ある
いは電解研磨により超平滑化することによって実表面積
を低減し、その結果(ステンレス鋼部材の表面の)ガス
成分の吸着量を減少させている。そのような内面を平滑
化したチャンバー・フランジ・配管等によってこのシス
テムを構成した後、例えばリボンヒータによりこのシス
テム全体を100〜200℃程度で、24〜72時間加
熱しながら排気を行い、その後、加熱を終了した後、室
温に戻し、排気を続けると目的の超高真空領域(P<1
0-7Pa)に到達する。しかし真空機器のほとんどは一度
目標の圧力域に達したとしても、装置内部での試料への
処理が終了すると試料交換を行なわなくてはならず、大
気開放にすることになる。また測定系のフィラメントの
交換、ポンプ類の油、部品の交換のメンテナンス時も同
様に大気開放することになる。そしてひとたび大気に戻
すと、再び前述のベーキング作業を数十時間行なわなく
ては所定の圧力に到達しないため、運転コストが上昇す
るとともに作業時間も掛かる問題がある。
【0008】また、特開昭64-87760号公報に記載された
技術において、表層に膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮
膜が形成されると耐ガス放出性が良好となると記載され
ているが、この発明は材料は半導体製造装置におけるガ
ス系路(例えばガス供給配管)の構成材料としてガス放
出量の低減化に優れていると記載されているとおり、超
高純度ガスを供給している際に材料壁から不純ガスが発
生しないとされている。即ち皮膜によるバリヤ効果を特
徴としているため、真空機器用部材として用いるには上
記同様のベーキング作業が必要となる。また大気開放毎
に繰り返しベーキングを行なわなくてはならないことも
同様である。
技術において、表層に膜厚:75Å以上の非晶質酸化皮
膜が形成されると耐ガス放出性が良好となると記載され
ているが、この発明は材料は半導体製造装置におけるガ
ス系路(例えばガス供給配管)の構成材料としてガス放
出量の低減化に優れていると記載されているとおり、超
高純度ガスを供給している際に材料壁から不純ガスが発
生しないとされている。即ち皮膜によるバリヤ効果を特
徴としているため、真空機器用部材として用いるには上
記同様のベーキング作業が必要となる。また大気開放毎
に繰り返しベーキングを行なわなくてはならないことも
同様である。
【0009】前記した「真空」誌Vol.32(1989)
No. 4,P,444〜の文献「ステンレス鋼の放出ガス
速度の低減−ベーキング温度、履歴の効果−」に記載さ
れた技術は、前述のベーキング作業の繰り返しによりス
テンレス鋼の表面酸化層が変化することにより吸着ガス
の脱離特性を良化させている。しかしこの技術もやはり
コスト、時間のかかるベーキング作業を繰り返し行なわ
なくてはならない。また、実際の真空機器の大気開放は
不定期に生じる場合が多くこの技術が適用できないこと
が予想される。
No. 4,P,444〜の文献「ステンレス鋼の放出ガス
速度の低減−ベーキング温度、履歴の効果−」に記載さ
れた技術は、前述のベーキング作業の繰り返しによりス
テンレス鋼の表面酸化層が変化することにより吸着ガス
の脱離特性を良化させている。しかしこの技術もやはり
コスト、時間のかかるベーキング作業を繰り返し行なわ
なくてはならない。また、実際の真空機器の大気開放は
不定期に生じる場合が多くこの技術が適用できないこと
が予想される。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を解決するためになされたもので、半導体製造用
・理化学機器等に用いられている超高真空(P<10-7
Pa)装置を構成するステンレス鋼部材の表層にCr2O3 主
体の酸化皮膜を一定厚さに生成して、従来のベーキング
法に比べ著しく短時間でベーキングを終了させることが
できると共に、到達圧力もより低くすることが可能な構
成部材を提供することに成功したものであって、以下の
如くである。
問題点を解決するためになされたもので、半導体製造用
・理化学機器等に用いられている超高真空(P<10-7
Pa)装置を構成するステンレス鋼部材の表層にCr2O3 主
体の酸化皮膜を一定厚さに生成して、従来のベーキング
法に比べ著しく短時間でベーキングを終了させることが
できると共に、到達圧力もより低くすることが可能な構
成部材を提供することに成功したものであって、以下の
如くである。
【0011】(1)ステンレス鋼中のCrとMoの含有量
(単位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足する
ステンレス鋼部材において、その表層を20〜150Å
のCr2O3 を主体とする酸化皮膜を被覆したことを特徴と
する超高真空機器用ステンレス鋼部材。
(単位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足する
ステンレス鋼部材において、その表層を20〜150Å
のCr2O3 を主体とする酸化皮膜を被覆したことを特徴と
する超高真空機器用ステンレス鋼部材。
【0012】(2)表面粗さをRmax 1μm以下とした
ことを特徴とする前記(1)項に記載の超高真空機器用
ステンレス鋼部材。
ことを特徴とする前記(1)項に記載の超高真空機器用
ステンレス鋼部材。
【0013】(3)ステンレス鋼中のCrとMoの含有量
(単位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足する
ステンレス鋼部材を、酸素分圧5Pa以下または同等の酸
素ポテンシャルをもつガス雰囲気下で250〜550℃
で加熱処理し、表面を20〜150ÅのCr2O3 とするこ
とを特徴とする超高真空機器用ステンレス鋼部材の製造
法。
(単位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足する
ステンレス鋼部材を、酸素分圧5Pa以下または同等の酸
素ポテンシャルをもつガス雰囲気下で250〜550℃
で加熱処理し、表面を20〜150ÅのCr2O3 とするこ
とを特徴とする超高真空機器用ステンレス鋼部材の製造
法。
【0014】
【作用】真空領域への材料壁からのガス分子の放出は、
真空機器中に当初からあった気体の排気後、 :大気開放時に、ステンレス鋼部材の材料壁に吸着し
たガス分子の脱離、 :ステンレス鋼部材の材料内の固溶ガスが拡散し、表
層でガス分子となって放出、 の2種類が考えられ、特に目的とする圧力までの到達時
間は主にに支配される。
真空機器中に当初からあった気体の排気後、 :大気開放時に、ステンレス鋼部材の材料壁に吸着し
たガス分子の脱離、 :ステンレス鋼部材の材料内の固溶ガスが拡散し、表
層でガス分子となって放出、 の2種類が考えられ、特に目的とする圧力までの到達時
間は主にに支配される。
【0015】ベーキング作業自体は長時間加熱すること
で吸着したガス分子に熱エネルギーを与え励起脱離させ
ているものである。従ってガス分子が吸着し難い、つま
りは、ガス分子の平均滞留時間の短い材料壁ならば、大
気開放時に材料壁に吸着したガス分子も真空排気を始め
ると、容易に壁から脱離し、真空系外へ排気され、ベー
キングの省略、もしくは短時間のベーキングで、目標と
する超高真空圧力へ到達することができる。
で吸着したガス分子に熱エネルギーを与え励起脱離させ
ているものである。従ってガス分子が吸着し難い、つま
りは、ガス分子の平均滞留時間の短い材料壁ならば、大
気開放時に材料壁に吸着したガス分子も真空排気を始め
ると、容易に壁から脱離し、真空系外へ排気され、ベー
キングの省略、もしくは短時間のベーキングで、目標と
する超高真空圧力へ到達することができる。
【0016】
【実施例】上記したような本発明について仔細を説明す
ると、本発明者らは、種々の溶解方法を用いて各種ステ
ンレス鋼を溶製し、圧延後の内表面積が5000cm2 以
上の管状の容器を作成した。この容器について、酸化皮
膜の生成は酸素分圧計により酸素の分圧が例えば5Pa以
下の混合ガス(残部は、Arガス)もしくは真空引きによ
り酸素分圧5Pa以下とした圧力域で、250〜550℃
の温度で加熱処理を施すことにより生成させた。
ると、本発明者らは、種々の溶解方法を用いて各種ステ
ンレス鋼を溶製し、圧延後の内表面積が5000cm2 以
上の管状の容器を作成した。この容器について、酸化皮
膜の生成は酸素分圧計により酸素の分圧が例えば5Pa以
下の混合ガス(残部は、Arガス)もしくは真空引きによ
り酸素分圧5Pa以下とした圧力域で、250〜550℃
の温度で加熱処理を施すことにより生成させた。
【0017】後述の実施例から明らかなように、ステン
レス鋼中のCrとMoの含有量(単位:wt%)が〔Cr〕+3
×〔Mo〕<18の場合、加熱処理による被覆はFe主体の
酸化皮膜となる。また酸素分圧が1Pa超の場合も同様に
Fe主体の酸化皮膜となる。酸化皮膜形成後、吸着ガス脱
離量を各容器に対して測定したが、後述する実施例に示
すように、Fe主体の酸化皮膜を形成させたものは、いず
れも脱離特性が悪い。
レス鋼中のCrとMoの含有量(単位:wt%)が〔Cr〕+3
×〔Mo〕<18の場合、加熱処理による被覆はFe主体の
酸化皮膜となる。また酸素分圧が1Pa超の場合も同様に
Fe主体の酸化皮膜となる。酸化皮膜形成後、吸着ガス脱
離量を各容器に対して測定したが、後述する実施例に示
すように、Fe主体の酸化皮膜を形成させたものは、いず
れも脱離特性が悪い。
【0018】一方酸素分圧が5Pa以下の圧力域において
加熱処理する場合においても250℃未満の場合は温度
が低すぎて表面を全面に被覆することが難しい。一方こ
の加熱温度が500℃を超えると酸化皮膜が表面で粒状
に成長して凹凸の激しい表面になってしまい、吸着実表
面積が桁違いに大きくなり良好な脱離特性が得られな
い。上述の適性条件で処理した場合、ほぼ20〜150
Åの厚さを有するCr2O3 主体の酸化皮膜を表面に生成さ
せ得る。加熱時間は特に規定はしないが加工部材の軟
化、コスト等から考えて5〜120分程度が標準であ
る。
加熱処理する場合においても250℃未満の場合は温度
が低すぎて表面を全面に被覆することが難しい。一方こ
の加熱温度が500℃を超えると酸化皮膜が表面で粒状
に成長して凹凸の激しい表面になってしまい、吸着実表
面積が桁違いに大きくなり良好な脱離特性が得られな
い。上述の適性条件で処理した場合、ほぼ20〜150
Åの厚さを有するCr2O3 主体の酸化皮膜を表面に生成さ
せ得る。加熱時間は特に規定はしないが加工部材の軟
化、コスト等から考えて5〜120分程度が標準であ
る。
【0019】以下に本発明の具体的実施例について添附
図面を参照して説明するが、本発明はこのような以下の
具体例に限定されるものではなく、前記および後記の趣
旨に鑑みて適宜に設計変更することは本発明の技術的範
囲に当然含まれるものである。
図面を参照して説明するが、本発明はこのような以下の
具体例に限定されるものではなく、前記および後記の趣
旨に鑑みて適宜に設計変更することは本発明の技術的範
囲に当然含まれるものである。
【0020】先ず、本発明者等は、次の表1に示すよう
な組成の鋼を夫々溶製した後、造塊−分塊により、ビレ
ットにし、、熱間押出により製管した。なお表1にはす
べての鋼についてその被膜構造、電解研磨仕上げRmax
が0.3〜0.7μm、酸素分圧1.0Pa,Arガス,加熱温度
400℃,被膜厚さ50Åのガス放出率についても示し
た。
な組成の鋼を夫々溶製した後、造塊−分塊により、ビレ
ットにし、、熱間押出により製管した。なお表1にはす
べての鋼についてその被膜構造、電解研磨仕上げRmax
が0.3〜0.7μm、酸素分圧1.0Pa,Arガス,加熱温度
400℃,被膜厚さ50Åのガス放出率についても示し
た。
【0021】
【表1】
【0022】上記のようにして得られたものは、その後
冷間圧延および伸管により外径114.3mm、肉厚3mmの
管体とし、固溶化処理を施した後、最後に内面を電解研
磨加工仕上げと精密機械研磨仕上げを行い、表面粗さは
何れもRmax :0.3〜0.7μmに調整した。このような
供試管の熱処理条件、被膜厚さおよびガス放出率は次の
表2および表3に示す如くであって、表2は表1におけ
る鋼種Iの中A鋼、4鋼、5鋼、表3は表1における鋼
種IIの中G鋼、7鋼の結果を示した。
冷間圧延および伸管により外径114.3mm、肉厚3mmの
管体とし、固溶化処理を施した後、最後に内面を電解研
磨加工仕上げと精密機械研磨仕上げを行い、表面粗さは
何れもRmax :0.3〜0.7μmに調整した。このような
供試管の熱処理条件、被膜厚さおよびガス放出率は次の
表2および表3に示す如くであって、表2は表1におけ
る鋼種Iの中A鋼、4鋼、5鋼、表3は表1における鋼
種IIの中G鋼、7鋼の結果を示した。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】なお被膜の厚さは鋼種成分によりÅ単位で
はバラツキがあったが、いずれも測定の誤差範囲内であ
ると考えられたため、前記表の値で代表させた。ガス放
出率の欄で、○、×はそれぞれ析出率が5×10-13 To
rr・l/s ・cm2 を判定基準として、これ以下、これを超
えるものを区分して表に示した。ちなみに通常の真空機
器に用いられるステンレス鋼については前記放出率は1.
0×10-12 Torr・l/s ・cm2 以下が基準となってい
る。
はバラツキがあったが、いずれも測定の誤差範囲内であ
ると考えられたため、前記表の値で代表させた。ガス放
出率の欄で、○、×はそれぞれ析出率が5×10-13 To
rr・l/s ・cm2 を判定基準として、これ以下、これを超
えるものを区分して表に示した。ちなみに通常の真空機
器に用いられるステンレス鋼については前記放出率は1.
0×10-12 Torr・l/s ・cm2 以下が基準となってい
る。
【0026】又図1、図2にはそれぞれCO,H2O につい
てのガスの脱離量(molec/cm2)についての測定結果を要
約して示したが、本発明範囲のものは何れも優れた結果
を得しめている。
てのガスの脱離量(molec/cm2)についての測定結果を要
約して示したが、本発明範囲のものは何れも優れた結果
を得しめている。
【0027】なお、上記図1、図2の場合においてガス
放出率およびガス脱離量の測定方法は次の通りである。
2mの供試管の一方の管端を閉じるとともに他方の管端
をオリフィスを経由して真空ポンプに接続させた。オリ
フィスの両側にB−A型電離真空計を備え、両側の真空
計の差圧、前記真空ポンプの排気量、および真空部分の
内表面積からガス放出量(torr・l/s ・cm2)を求めた。
また、オリフィスの供試管側には四重極質量分析計を備
え、CO、H2O についてそれぞれガス分圧を測定し、これ
を分子数に換算したものと、真空部分の内表面積から吸
着分子の脱離量を求めた。
放出率およびガス脱離量の測定方法は次の通りである。
2mの供試管の一方の管端を閉じるとともに他方の管端
をオリフィスを経由して真空ポンプに接続させた。オリ
フィスの両側にB−A型電離真空計を備え、両側の真空
計の差圧、前記真空ポンプの排気量、および真空部分の
内表面積からガス放出量(torr・l/s ・cm2)を求めた。
また、オリフィスの供試管側には四重極質量分析計を備
え、CO、H2O についてそれぞれガス分圧を測定し、これ
を分子数に換算したものと、真空部分の内表面積から吸
着分子の脱離量を求めた。
【0028】供試管はいずれも、1回目は真空引きを行
いながら供試管をリボンヒータにより200℃にして、
20時間保持した後、室温に戻した。その後排気を中断
し、大気に開放後、2回目は200℃にて2時間保持し
た後、室温に戻した。ガス放出量の測定は、室温に戻し
てから、3時間の真空引き後、1回目、2回目について
は上記真空計の差圧の測定値から得られたものである。
ガス放出率は、1回目、2回目とも上記判定基準による
○、×は変わらなかった。
いながら供試管をリボンヒータにより200℃にして、
20時間保持した後、室温に戻した。その後排気を中断
し、大気に開放後、2回目は200℃にて2時間保持し
た後、室温に戻した。ガス放出量の測定は、室温に戻し
てから、3時間の真空引き後、1回目、2回目について
は上記真空計の差圧の測定値から得られたものである。
ガス放出率は、1回目、2回目とも上記判定基準による
○、×は変わらなかった。
【0029】また吸着ガスの離脱量は、1回目、2回目
ともにリボンヒータ加熱の開始から200℃保持終了ま
での分圧を四重極質量分析計にて測定し、各ガスに対す
る感度係数・排気速度を用いて、各ガス分子の脱離量
(molec/cm2)を計算したものである。
ともにリボンヒータ加熱の開始から200℃保持終了ま
での分圧を四重極質量分析計にて測定し、各ガスに対す
る感度係数・排気速度を用いて、各ガス分子の脱離量
(molec/cm2)を計算したものである。
【0030】次の表4には代表的に前記した表1におけ
るA鋼、4鋼における表面粗さの影響を要約して示し
た。表面粗さRmax が1μm以下とされることにより機
械研磨、電解研磨の何れであってもガス放出率が低く好
ましい結果を得しめることは明かである。
るA鋼、4鋼における表面粗さの影響を要約して示し
た。表面粗さRmax が1μm以下とされることにより機
械研磨、電解研磨の何れであってもガス放出率が低く好
ましい結果を得しめることは明かである。
【0031】
【表4】
【0032】また次の表5には雰囲気の影響について前
記A鋼、4鋼、G鋼に関して示したが、1Pa程度の酸素
を含有したガスで処理を行うことによりCr2O3 を主体と
した被膜が形成され、ガス放出率の低下の図られること
は明かである。
記A鋼、4鋼、G鋼に関して示したが、1Pa程度の酸素
を含有したガスで処理を行うことによりCr2O3 を主体と
した被膜が形成され、ガス放出率の低下の図られること
は明かである。
【0033】
【表5】
【0034】上記したような各表によれば、本発明の鋼
は比較鋼に比べて吸着ガスが少いことは明かで、またベ
ーキング処理時間の大幅な短縮を行なうことができるも
のであり、到達真空度も高くなることが明らかである。
は比較鋼に比べて吸着ガスが少いことは明かで、またベ
ーキング処理時間の大幅な短縮を行なうことができるも
のであり、到達真空度も高くなることが明らかである。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明の超高真空機器
用ステンレス鋼部材を用いて真空装置を構成すれば、こ
れまでベーキング処理に要した数十時間を例えば2〜3
時間の短時間で済ませることができ、また目標到達圧力
によっては省略することも可能である。更に繰り返しの
大気開放に対してもその脱離特性は持続されることか
ら、トータル的な省力化は大きい。このような利点に加
えて鋼中ガス成分の拡散放出に対してもバリヤー効果を
有することが充分に予想されるものであるから最終到達
圧力が低下することが期待できるなどの効果を有してお
り、工業的にその効果の大きい発明である。
用ステンレス鋼部材を用いて真空装置を構成すれば、こ
れまでベーキング処理に要した数十時間を例えば2〜3
時間の短時間で済ませることができ、また目標到達圧力
によっては省略することも可能である。更に繰り返しの
大気開放に対してもその脱離特性は持続されることか
ら、トータル的な省力化は大きい。このような利点に加
えて鋼中ガス成分の拡散放出に対してもバリヤー効果を
有することが充分に予想されるものであるから最終到達
圧力が低下することが期待できるなどの効果を有してお
り、工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるH2O の脱離量と被膜厚
さの関係を示した図表である。
さの関係を示した図表である。
【図2】同じく本発明の実施例におけるCOの脱離量と被
膜厚さの関係を示した図表である。
膜厚さの関係を示した図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 雅夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 ステンレス鋼中のCrとMoの含有量(単
位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足するステ
ンレス鋼部材において、その表層を20〜150ÅのCr
2O3 を主体とする酸化皮膜を被覆したことを特徴とする
超高真空機器用ステンレス鋼部材。 - 【請求項2】 表面粗さをRmax 1μm以下としたこと
を特徴とする請求項1に記載の超高真空機器用ステンレ
ス鋼部材。 - 【請求項3】 ステンレス鋼中のCrとMoの含有量(単
位:wt%)が〔Cr〕+3×〔Mo〕≧18を満足するステ
ンレス鋼部材を、酸素分圧5Pa以下または同等の酸素ポ
テンシャルをもつガス雰囲気下で250〜550℃で加
熱処理することを特徴とする超高真空機器用ステンレス
鋼部材の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24496791A JPH0559524A (ja) | 1990-08-31 | 1991-08-30 | 超高真空機器用ステンレス鋼部材およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2-231392 | 1990-08-31 | ||
JP23139290 | 1990-08-31 | ||
JP24496791A JPH0559524A (ja) | 1990-08-31 | 1991-08-30 | 超高真空機器用ステンレス鋼部材およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0559524A true JPH0559524A (ja) | 1993-03-09 |
Family
ID=26529838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24496791A Pending JPH0559524A (ja) | 1990-08-31 | 1991-08-30 | 超高真空機器用ステンレス鋼部材およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0559524A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04183846A (ja) * | 1990-11-16 | 1992-06-30 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高純度ガス用ステンレス鋼材及びその製造方法 |
WO1995011321A1 (fr) * | 1993-10-20 | 1995-04-27 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Acier inoxydable pour gaz haute purete |
WO1995018246A1 (fr) * | 1993-12-30 | 1995-07-06 | Tadahiro Ohmi | Acier inoxydable et systeme de tuyauterie |
WO1995025184A1 (fr) * | 1994-03-16 | 1995-09-21 | Tadahiro Ohmi | Acier austenitique inoxydable destine a la formation d'une couche de passivation et son procede d'obtention |
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JPS63538A (ja) * | 1986-06-19 | 1988-01-05 | 株式会社 ビ−・エム | スケ−ル除去器及びこれを使用した屋内給水系における給水装置 |
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-
1991
- 1991-08-30 JP JP24496791A patent/JPH0559524A/ja active Pending
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