JPH0559381B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、流体サンプルの分析に用いられる装
置に係り、特に、生物学的流体サンプルの化学定
量分析用の自動装置に主として用いられる自己積
重ね式試薬用スライドに関するものである。

従来技術、および発明が解決しようとする課題 人間の漿液のような流体サンプルの定量分析用
の自動装置には、各種形状の連続試験スライドが
使用されている。例えば、このようなスライド
は、米国特許第4151931号及びその関連特許また
は出願に開示されている。しかしながら、斯かる
従来のスライド・システムは、化学分析器におけ
るその効果的使用の障害になつていた。

そのような公知のスライド・システムにおいて
は、一般に分析器に挿入される受容器（すなわ
ち、カートリツジ）に装着され得るように、スラ
イドが積み重ねて編成されなければならない。試
験される流体や各種試薬がそれぞれの反応領域に
付与された、カートリツジ内スライド束から順次
スライドを取り出し、それら取り出されたスライ
ドを自動分析器内で搬送するように、自動分析器
が構成されている。カートリツジに装填されたス
ライドの反応領域には、血液中のジゴキシン濃度
の検出のような特殊な装置内試験に適する乾燥剤
が付着されることもある。その他のカートリツジ
は、他の血液検査を行なうのに適したスライドの
束を収容することもある。

スライドが夜間貯蔵のために分析器から取出さ
れる場合、あるいはカートリツジ内のスライドに
含まれるもの以外の異なる試薬を必要とする試験
がその分析器で行われる場合には常に、カートリ
ツジ内にある残りの試験スライド束を保持するた
めに、カートリツジ内に、比較的複雑なスライド
束編成機構が必要である。したがつて一般的に
は、再使用できないカートリツジに要する費用
と、スライド束構成内部機構に要する費用とによ
つて、分析器を使用する一試験当りの経費が増大
することになる。

スライド・カートリツジ・システムの他の欠点
は、スライド・カートリツジにより分析器の連続
自動動作が間接的に影響されることである。この
理由は、カートリツジ内に残つているスライド以
外の特殊な試薬を必要とする多くの試験が分析器
で行なわれる場合、分析器の動作を中断して新し
いカートリツジを分析器に挿入しなければならな
いからである。このことは、主として、追加のス
ライドをカートリツジ内に挿入できないためであ
る。この問題の唯一の他の解決手段は、行われる
試験の回数がスライドの残りを上回るとき、カー
トリツジ内の残りのスライドの数を数え続けて全
スライドを有する新しいカートリツジを使用する
ことである。しかしながら、この場合、数多くの
試薬とそれに必要なカートリツジとを維持するこ
とは、分析器で行なう多くの異なる試験が必要な
ときは煩わしいことである。

課題を解決するための手段、およびその作用 本発明による自己積重ね可能な試薬用スライド
は、公知のカートリツジ・スライド・システムの
上述の欠点を解消し、かつ該カートリツジ・スラ
イド・システムでは不可能な製造上および操作上
の利点が得られるように構成されている。

本発明によると、この利点は、高価であり機械
的に複雑であるカートリツジの必要性をなくすと
ともに、積重ねられたスライド中に試薬用スライ
ドが幾つ残つているか、また分析器で行なわれる
試験の回数に必要なスライドを幾つ追加すべきか
を、試験者に容易に認識させ得る自己積重ね式連
結スライドを提供することにより実現される。

本発明の連結手段によると、スライド同志を互
いにスナツプ係合（係合部片の弾性変形を利用し
た簡易な係合方法）でき、従つて製造後の包装に
おいて組立が簡略化されるとともに、必要に応じ
て試験者がスライド積重ね体にスライドを追加で
きる。

さらに、本発明の係合装置によれば、一旦係合
すると、スライド積重ね体は保持され、スライド
はその端面に平行な一軸線にそつて移動可能にな
る。従つて、積重ねられた後のスライドは、分析
器によつて積重ね体が外されるまで積重ね体中に
維持される。

さらに、本発明の試薬用スライドは、試薬およ
び流体サンプルを保持する新規な手段を有する。
好適実施例においては、この保持手段は、スライ
ドに形成された凹部に機械的に係合する挿入部材
によりスライドの固定位置に固定された繊維成形
体により形成されている。

本発明の他の目的および利点は、添付図面に示
した好適実施例についての以下の記載により当業
者に理解されるだろう。

実施例 第１図、第２図は、本発明の実施例に従つて構
成された試薬用スライド１２の積重ね体１０を示
す。スライド１２は、中心に反応領域２０を有す
るほぼ平坦な本体１４により構成された同一ユニ
ツトである。

反応領域２０は、平坦な本体１４に形成された
開口２２を有しており、この開口は多孔性媒体３
０を支持して試薬および流体サンプルを保持す
る。本発明の好適実施例においては、多孔性媒体
３０は、マイクロ・ガラス繊維ペーパー製繊維シ
ート３２からなるが、試薬および流体サンプルを
保持する手段は、自動分析器に用いられる薬品の
必要性に応じて使用される。しかしながら、マイ
クロ・ガラス繊維ペーパーが、試験中に繊維ペー
パーに伸びを生じさせず、乾燥反応物を保持しか
つ分析器により付着される少量（例えば、20μ
）の流体サンプルを一様に拡延させるために最
適であることが判つている。この種の自動分析器
は、反応面が一定の平面に保持される必要がある
繊維ペーパー上の化学反応を読み取るための高感
度光学装置を一般的に使用しているので、繊維ペ
ーパーの伸びを防止することは重要である。

第３図〜第５図に示すように、繊維シート３２
は、挿入部材４０により試薬用スライド開口２２
内に固定装着されている。反応物用スライド１２
内への繊維シート３２の上記取付も重要である。
その理由は、ひとたび流体サンプルが繊維シート
３２に付着すると、試薬用スライド内の繊維シー
ト３２の横方向のずれにより、分析器の光学装置
による正しい読み取り値が影響されるからであ
る。

挿入部材４０は、開口２２のまわりでスライド
１２の平坦な本体１４に形成された凹部１６に嵌
合している。第４図に示すように、繊維シート３
２は凹部１６の中に位置しており、開口２２の縁
部と重なつている。環状隆起条１８は、開口２２
と挿入部材４０との間に繊維シート３２を保持す
るように構成された開口２２のまわりの凹部１６
内に形成されている。

好適実施例においては、挿入部材４０は、該挿
入部材４０の縁辺に形成された横リブ４２と凹部
１６の周壁に形成された切り込み部１９との間の
スナツプ係合関係によつて凹部１６内に固定され
ている。かくして、挿入部材４０に形成された開
口４４がスライド本体の開口２２と整合し、凹部
１６の中に挿入部材４０を組付ける操作は単純化
され、挿入部材は接着剤等を必要とする他の取付
工程を必要とせず単に凹部１６と機械的に係合し
ているだけである。同様に、凹部１６の構成は、
組立において繊維シートを自然に位置決めするよ
うになつている。

実施例においては、スライド１２は開口２２を
有し、挿入部材４０も開口４４を有するように示
されたが、スライドの反応領域における化学反応
の必要性に応じてあるいは分析器の光学装置の必
要性に応じて、上記開口の一方あるいは両方の省
略することができる。

次に、第１図、第２図、第５図に示すように、
本発明の試薬用スライドを積重ね結合させる連結
構造について説明する。スライド１２の矩形平坦
本体１４は、その頂面１５から伸長する一対のリ
ブ５０およびその底面１７に形成された一対の係
合溝６０を有している。リブ５０および係合溝６
０は、実施例ではスライド１２の相対向する縁辺
１３近傍に沿つて形成され、凹凸連結構造を形成
している。

スライドの必要な摩擦および弾性特性を確保す
るため、平坦な本体１４は弾発性プラスチツク材
で一体成形されている。同様に、この材料は、繊
維シート３２を作成中にスライドに位置させて、
繊維シート３２上の試薬を加熱乾燥させるため
に、耐熱性を有することが好ましい。

第１図に示すように、係合リブ５０および溝６
０により、スライドが互いに連結されると、（矢
印Ａによつて示された）スライドの平坦な本体１
４の平面に平行な軸線にそつて移動可能である。
実施例に示したリブと溝の形は、前記軸線に沿つ
ていずれの方向へもスライドを動かすことができ
るが、適当な係止部材（図示せず）を用いて、前
記軸線に沿つて一方向のみにしか移動できないよ
うにしてもよい。

さらに、平坦な本体１４（矢印Ｂ）の平面に垂
直な軸線に沿つてスライドをその連結位置へいつ
しよにスナツプ結合させるために、リブ５０の内
縁部５２の両方または一方、および溝６０の外縁
部６２の両方または一方の面取り加工を施しても
よい。これらの縁部の面取り加工によつて、スラ
イドがスナツプ係合される間、リブ５０が外方へ
弾性変形する。

図示した本発明の実施例は一例であり、当業者
にとつて本発明の範囲で様々な変更例が可能であ
ることは云うまでもない。添付請求の範囲には本
発明の様々な変形例が含まれている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例による試薬用スラ
イドを積重ねた状態を示す斜視図、第２図は、第
１図の線２−２に沿つて截断した試薬用スライド
積重ね体の要部断面図、第３図は、第１図の３−
３線方向で見た試薬用スライドの底面図、第４図
は、試薬および流体サンプル保持手段の組付け関
係を示し、第１図の試薬用スライドの一つを示す
分解斜視図、第５図は、第３図の５−５線に沿つ
て截断した試薬用スライドの断面図である。 １０……試薬用スライド積重ね体、１２……試
薬用スライド、１４……平坦な本体、２０……反
応領域、２２……開口、３０……多孔性媒体、５
０……係合リブ、６０……係合溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自己積重ね形式の試薬用スライドが事実上平
   坦な本体を備え、貫通開口によつて画成されると
   ともにシート状多孔媒体の嵌め合わせに適合する
   反応領域を、前記平坦な本体が有しており、 該平坦な本体が、その平面に平行な軸線に沿つ
   て形成されたリブおよび係合溝を含む連続手段を
   備え、これらの連結手段によつて、同様な構造を
   有する他のスライドの底面に対する前記試薬用ス
   ライドの頂面の摺動係合および離脱と、同様な構
   造を有するその他のスライドの頂面に対する前記
   試薬用スライドの底面の摺動係合および離脱とが
   許容される構造になされた試薬用スライド。 ２ 前記連結手段のリブが平坦な本体の頂面に位
   置し、係合溝が平坦な本体の底面に位置している
   特許請求の範囲第１項に記載された試薬用スライ
   ド。 ３ リブが前記頂面から突出するとともに、係合
   溝が前記底面に形成されている特許請求の範囲第
   ２項に記載された試薬用スライド。 ４ 前記平坦な本体が矩形であり、リブおよび係
   合溝が平坦な本体の相対向する縁辺近傍で該縁辺
   に沿つて設けられている特許請求の範囲第３項に
   記載された試薬用スライド。 ５ リブおよび係合溝が凹凸係合部材である特許
   請求の範囲第４項に記載された試薬用スライド。 ６ リブの縁部分が面取加工されており、当該試
   薬用スライドと他の試薬用スライドとが、平坦な
   本体の平面と直交する軸線に沿つて係合位置でス
   ナツプ係合される特許請求の範囲第５項に記載さ
   れた試薬用スライド。 ７ 係合溝の縁部分もまた面取加工されている特
   許請求の範囲第６項に記載された試薬用スライ
   ド。 ８ 前記平坦な本体とリブが一体に形成されてい
   る特許請求の範囲第５項に記載された試薬用スラ
   イド。 ９ 前記平坦な本体とリブが弾発性材料で形成さ
   れている特許請求の範囲第８項に記載された試薬
   用スライド。 １０ 前記弾発性材料が耐熱性プラスチツクであ
   る特許請求の範囲第９項に記載された試薬用スラ
   イド。 １１ 前記反応領域が、試薬および流体サンプル
   を保持するための手段を具備する、平坦な本体に
   形成された開口を有する特許請求の範囲第１項に
   記載された試薬用スライド。 １２ 前記開口が平坦な本体のほぼ中央に形成さ
   れている特許請求の範囲第１１項に記載された試
   薬用スライド。 １３ 前記試薬および流体サンプルを保持するた
   めの手段が多孔性媒体を有する特許請求の範囲第
   １２項に記載された試薬用スライド。 １４ 前記多孔性媒体が、繊維シートである特許
   請求の範囲第１３項に記載された試薬用スライ
   ド。 １５ 前記繊維シートがマイクロ・ガラス繊維シ
   ートである特許請求の範囲第１４項に記載された
   試薬用スライド。 １６ 前記繊維シートを固定するための手段が平
   坦な本体の開口内の固定位置にある特許請求の範
   囲第１４項に記載された試薬用スライド。 １７ 前記繊維シートが前記開口の周囲と重なり
   合い、 前記繊維シートを固定するための手段が、前記
   繊維シートが位置づけられる凹部であつて、平坦
   な本体の開口周囲に形成された該凹部と、該凹部
   内の繊維シートを保持する手段とを有する特許請
   求の範囲第１６項に記載された試薬用スライド。 １８ 前記凹部内の繊維シートを保持する手段が
   凹部に係合する挿入部材であり、該挿入部材が凹
   部と係合するときに前記平坦な本体の開口と整合
   する開口を挿入部材が有する特許請求の範囲第１
   ７項に記載された試薬用スライド。 １９ 前記平坦な本体と前記挿入部材との間で繊
   維シートを固定する線状隆起が平坦な本体の開口
   の周囲に形成されている特許請求の範囲第１８項
   に記載された試薬用スライド。 ２０ 複数の試薬用スライドを収納する分配カー
   トリツジの使用に適合する自動化された臨床分析
   器で使用可能な試薬用スライド積重ね体であつ
   て、分配カートリツジを使用することなく、自動
   化された臨床分析器内で個々の試薬用スライドが
   順次取り去られ得るようになされた試薬用スライ
   ド積重ね体において、 該試薬用スライド積重ね体が貫通開口によつ
   て画成されるとともにシート状多孔媒体の嵌め合
   わせに適合する反応領域が与えられた事実上平坦
   な本体を有する複数の試薬用スライドと、各試
   薬用スライドと関連する連結手段とを含み、該連
   結手段が、平坦な本体の平面に平行な軸線に沿つ
   て形成されたリブおよび係合溝を包含し、もつて
   一つの試薬用スライドのリブと係合溝を、隣接試
   薬用スライドのリブと係合溝に噛み合せ係合させ
   ることにより、相互の頂面に試薬用スライドを積
   重ね編成するとともに、積重ね体から個々の試薬
   用スライドの連結手段を摺動離脱させて、積重ね
   体から個々のスライドを順次取り除くことが可能
   な構造の試薬用スライド積重ね体。