JPH0558989A - アルキルチオ安息香酸誘導体 - Google Patents

アルキルチオ安息香酸誘導体

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JPH0558989A
JPH0558989A JP24450491A JP24450491A JPH0558989A JP H0558989 A JPH0558989 A JP H0558989A JP 24450491 A JP24450491 A JP 24450491A JP 24450491 A JP24450491 A JP 24450491A JP H0558989 A JPH0558989 A JP H0558989A
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acid
liquid crystal
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alkylthiobenzoic
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JP24450491A
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English (en)
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Shiyuuichi Uchijiyou
秀一 内條
Mikako Okamoto
美賀子 岡本
Ayako Matsukawa
彩子 松川
Ayako Kurotaki
綾子 黒滝
Naoko Motohashi
直子 本橋
Osami Inoue
長三 井上
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K19/00Liquid crystal materials
    • C09K19/52Liquid crystal materials characterised by components which are not liquid crystals, e.g. additives with special physical aspect: solvents, solid particles
    • C09K19/58Dopants or charge transfer agents
    • C09K19/586Optically active dopants; chiral dopants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C323/00Thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides substituted by halogen, oxygen or nitrogen atoms, or by sulfur atoms not being part of thio groups
    • C07C323/50Thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides substituted by halogen, oxygen or nitrogen atoms, or by sulfur atoms not being part of thio groups containing thio groups and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
    • C07C323/62Thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides substituted by halogen, oxygen or nitrogen atoms, or by sulfur atoms not being part of thio groups containing thio groups and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton having the sulfur atom of at least one of the thio groups bound to a carbon atom of a six-membered aromatic ring of the carbon skeleton

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単独で、または他の液晶化合物と混合するこ
とにより強誘電性の新規な液晶化合物、その製造方法、
これを利用した光スイッチング素子。 【構成】 一般式(1) R−S−A−COO(A)m −OCO−CFH−Q ……(1) (R;炭素数1〜18のアルキル基、A;フェニレン
基、m;1または2、Q;炭素数1以上のアルキル
基。) 【効果】 一般式(1)の化合物単体またはベース液晶
に少量添加することで組成物全体が強誘電性相が誘起さ
れるドーパント液晶としても極めて優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な液晶化合物、当
該化合物を含有する液晶組成物を提供するものである。
本発明によって提供される液晶化合物は、単独でまたは
他の液晶化合物と混合することにより強誘電性(キラル
スメクチックC相)を呈する化合物であり、電気光学的
スイッチング素子として使用される強誘電性液晶表示素
子の構成成分となり得る新規液晶化合物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の表示方式として、現在広
く実用に供されているものにねじれネマチック(TN)
型がある。これは、ネマチック液晶と呼ばれる液晶化合
物を主成分とした液晶表示素子であるが、短所の一つに
応答速度が遅く、最高数ミリ秒のオーダーの応答速度し
か得られないということが挙げられる。そしてこのこと
が、ネマチック液晶を用いる表示素子の大型化を制約す
る一因となっている。このような従来型の液晶表示素子
の欠点を改善するものとして、クラーク及びラガウエル
により提案された双安定性を有する液晶を用いた液晶表
示素子が注目されている(特開昭56−107216号
参照)。
【0003】この双安定性を有する液晶は強誘電性液晶
と呼ばれ、高速応答性とメモリー性が得られることが注
目され、特に近年において液晶テレビなどのディスプレ
イ用のみならず、光プリンターヘッド、ライトバルブ、
光コンピュータ素子などオプトエレクトロニクス分野に
おいても、その実用化に向けた開発が急務になってい
る。
【0004】一般に、強誘電性液晶は光学活性部位を有
する化合物で、かつその分子長軸が層の法線方向からチ
ルトした分子配向を有する一連のスメクチック相におい
て発現される。中でもキラルスメクチックC(以下、S
C *と略記する)相は、粘性が低く、比較的低電圧動作性
のため実用上優位とされる。このような強誘電性液晶と
して、1975年、マイヤー(R.B.Meyer)ら
により合成された4−(4−n−デシルオキシベンジリ
デンアミノ)桂皮酸−2−メチルブチルエステル(以
下、DOBAMBCと略記する。)が知られている
(J.Physique 36 L−69(1975)
参照)。しかし、このDOBAMBCは、シッフ塩基を
構造として含むため、水や光等に対する安定性に難があ
り、そこで強誘電性液晶材料として物理的化学的に安定
で、しかもSC *相を示す温度範囲が広い材料系の実現が
強く期待されている。
【0005】強誘電性液晶の応答速度(τ)は、 τ=η/(Ps×E) (Ps:自発分極、η:粘性、E:印加電界) として表され、自発分極(Ps)が大きいほどτが小、
すなわち応答速度は速くなる。従って、応答速度の速い
強誘電性液晶を得るためには、自発分極の大きな材料開
発が必要である。実際に、自発分極の増大をねらい、環
状分子(ベンゼン環、ピリミジン環、シクロヘキサン環
など)を含むコア骨格とキラル骨格の間の結合子(スペ
ーサ部)の検討が盛んである(特開平1−238557
号)。
【0006】しかし、これらは大きな自発分極を示すも
のの、逆に粘性が増大して応答速度が遅くなったり、液
晶相やSC *相の温度範囲が狭くなることが多く、必ずし
も強誘電性液晶として有効な分子設計指針と言えなかっ
た。そこで既知の強誘電性液晶に比べ、SC *相の温度範
囲が広くかつ自発分極の大きい強誘電性液晶の開発が望
まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強誘
電性液晶材料に用いる液晶化合物として、 1.構造から見て物理的、化学的に安定な化合物 2.広い温度範囲でSC *相を示す化合物 3.不斉炭素にフッ素を導入して炭素−フッ素結合の双
極子モーメントに由来した大きな自発分極を有する化合
物 4.他の液晶化合物と混合することにより、または単独
で強誘電性を発現させる化合物 5.印加電圧に対して高速応答性を示す化合物 を満たす化合物を見いだし、単独で、あるいはこの少な
くとも1種を成分とする組成物で、実際に表示素子用の
液晶として使用できる化合物を提供することにある。
【0008】より具体的に言えば、本発明の目的はこの
ような要求に応じるため、物理的、化学的に安定で、広
い温度範囲にわたり強誘電性を有するアルキルチオ安息
香酸誘導体(特開平2−134361号参照)の光学活
性基として、炭素−フッ素原子間に大きな双極子モーメ
ントを持つフッ素化アルキル基を導入することに着目
し、大きな自発分極を有し、かつ低い温度で幅広いSC *
相を持つ化合物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の化合物は以下に
示す一般式(1) R−S−A−COO−(A)m −OCO−CFH−Q (1) (式中、Rは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキ
ル基、Aはフェニレン基、mは1または2の整数、Qは
炭素数1以上の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
で表されることを特徴とする光学活性アルキルチオ安息
香酸誘導体である。
【0010】本発明の化合物はアルキル基と安息香酸エ
ステル基とを硫黄で結合したチオエーテル骨格を含むコ
ア骨格R−S−A−COO−(A)m と、フッ素化アル
キル基からなるキラル骨格−CFH−Qがカルボニル基
−OCO−で結合された構造を形成している。コア骨格
としてチオエーテル骨格を用いたことにより、硫黄原子
の物性をSC *相の発現や強誘電性に寄与させている。
【0011】一方、キラル骨格において不斉炭素部に電
気陰性度の大きなフッ素原子を導入することによって不
斉炭素部に隣接するカルボニル基の双極子モーメント
を、高速応答性を実現するために必要な自発分極の増大
に寄与させることができた。
【0012】一般式(1)で示される化合物において、
置換基Rは直鎖または分岐の炭素数1〜18のアルキル
基であり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テト
ラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ル、オクタデシル等が挙げられる。特に炭素数6〜14
のアルキル基が液晶温度領域が広いので好ましい。炭素
数が19以上であると液晶性を示さなくなるので好まし
くない。mは1または2である。m=0の場合は液晶性
を示さず、m=3以上の場合は液晶性は示すが温度域が
高く実用的ではない。またQは炭素数1以上の直鎖また
は分岐のアルキル基であり、炭素数が多くなるにしたが
い、Sc *の温度幅が狭くなる傾向があるので、炭素数7
以下のアルキル基が好ましい。
【0013】−CH3 ,−C25 ,−n−C37
−n−C49 ,−n−C511,−n−C613,−
n−C715,−CH(CH32 ,−C−(CH3
3 ,−CH(CH3 )C25 ,−CH2 CH(CH
32 ,−CH2 CH(CH3)C25 ,−C24
CH(CH32 ,−C36 CH(CH32 などを
挙げることができる。これらの化合物は市販されてお
り、また合成も容易である。
【0014】本発明に係る式(1)の化合物は次の製造
法に従って製造することができる。即ち、一般式(7) HOOC−CFH−Q (7) (式中、Qは炭素数1以上の直鎖または分岐のアルキル
基を表す。)で表される化合物と、一般式(8) B−O−(A)m −OH (8) (式中、Bはベンジル基、Aはフェニレン基、mは1ま
たは2の整数を表す。)で表される化合物とを反応さ
せ、一般式(9) B−O−(A)m −OCO−CFH−Q (9) (式中、Bはベンジル基、Aはフェニレン基、mは1ま
たは2の整数、Qは炭素数1以上の直鎖または分岐のア
ルキル基を表す。)で表される化合物を製造した後、適
宜溶媒中、接触還元して脱ベンジル化した後、一般式
(10) HO−(A)m −OCO−CFH−Q (10) (式中、Aはフェニレン基を、mは1または2の整数、
Qは炭素数1以上の直鎖または分岐のアルキル基を表
す。)で表される化合物を得る。
【0015】次に一般式(10)で示される化合物と、
一般式(11) R−S−A−COOH (11) (式中、Rは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキ
ル基、Aはフェニレン基を表す。)で表される化合物を
反応させることによって一般式(1) R−S−A−COO−(A)m −OCO−CFH−Q (1) (式中、Rは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキ
ル基、Aはフェニレン基、mは1または2の整数、Qは
炭素数1以上の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
が得られる。
【0016】一般式(7)で示される光学活性フルオロ
カルボン酸は入手しがたい化合物であるが、光学活性な
α−ヒドロキシカルボン酸やアミノ酸を原料として合成
することができる。
【0017】廉価で入手しやすい光学活性アミノ酸を出
発原料とする場合は、まずアミノ酸を亜硝酸ナトリウム
でジアゾ化し、加水分解してα−ヒドロキシカルボン酸
に変換する。更にα−ヒドロキシカルボン酸をアルコー
ルでエステル化した後、トリフルオロメタン酸無水物を
用いてトリフルオロメタンスルホン酸エステルにし、次
にテトラ(n−ブチル)アンモニウムフルオライドを加
え、フッ素化することで、光学活性α−フルオロカルボ
ン酸が得られる。上記合成法で得られたα−フルオロカ
ルボン酸の立体配置はトリフルオロメタンスルホン酸エ
ステルと、フッ素化する段階においてOSO2 CF3
からF基へ変換する反応で反転が起こるため、不斉炭素
部の立体配置は反転する。
【0018】一般式(8)で示される化合物は市販の化
合物が使用でき、一般式(7)で示される化合物と常法
により反応させることにより一般式(9)で示される化
合物が得られる。一般式(9)で示される化合物は常法
により溶媒中接触還元して脱ベンジル化した後、一般式
(10)で示される化合物を得る。一般式(11)で示
される化合物は特開平2−134361号に記載された
方法により合成することができる。一般式(10)と一
般式(11)で示される化合物の反応は、例えば酢酸エ
チル、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジクロロメタン、ヘキサン等の溶媒中、縮合剤の存
在下で行うか、一般式(11)で示される化合物の反応
誘導体を使用して行う。その際の縮合剤としてはジシク
ロヘキシルカルボジイミド等が挙げられ、反応誘導体を
使用する場合における反応誘導体としては酸クロライド
等の酸ハライド等が挙げられる。
【0019】本発明のアルキルチオ安息香酸誘導体は新
規な液晶化合物であり、一般式(1)で示される化合物
の単一の化合物、複数の一般式(1)で示される化合物
よりなる組成物あるいはそれらと他の液晶化合物との組
成物を用いることにより広い温度範囲で強誘電性を示す
と共に、印加電圧に対して高速応答性を示す光スイッチ
ング素子として利用できる。
【0020】以下、本発明の液晶組成物について説明す
る。本発明の一般式(1)で示される光学活性なフッ素
化アルキル基を有するアルキルチオ安息香酸誘導体はそ
れ自体でもSc *相を有する液晶化合物であり、このもの
を単独として液晶素子の成分として使用することもでき
るが、この少なくとも1種を他のスメクチックC相を有
する液晶化合物に少量配合することにより、この組成品
はSc *相を示す強誘電性の液晶組成物とすることができ
る。もちろん他の液晶化合物がSc *相を有するものであ
っても構わないことは当然である。このような混合用液
晶として使用できる化合物に特に制限は考えられない
が、好ましい液晶化合物として下記一般式(2)で示さ
れる化合物を挙げることができる。
【化6】
【0021】この一般式(2)で示される化合物を例示
すると、下記一般式(3)で表されるトラネキサム酸誘
導体(特願平1−158993)、
【化7】 下記一般式(4)で表されるアミン誘導体(特願平2−
86948)、
【化8】 下記一般式(5)で表されるトラネキサム酸誘導体(特
願平2−149487)、
【化9】 下記一般式(6)で表されるアミン誘導体、
【化10】 などを挙げることができる。
【0022】この場合、一般式(1)で示される本発明
の化合物は光学活性体なので、組成物として配合される
他のスメクチック液晶がSc *相を有していないとしても
一般式(1)の化合物を少量添加することにより強誘電
性が誘起され、液晶組成物としてはSc *相を示すことに
なる。
【0023】即ち、本化合物はベース液晶(Sc 相ある
いはSc *相を持つ液晶)に添加することでSc *相を誘起
する光学活性化合物であって、それ自体液晶であっても
なくとも良い混合用液晶としての作用を有するものであ
る。
【0024】一般式(1)で示される化合物の中でSc *
相を有する化合物は、任意の割合で液晶組成物と配合し
て用いることができるが、粘性が高くなり応答速度が遅
くなること、電界を印加していると焼き付け現象が起こ
り反転しにくくなりやすいことがあるので液晶組成物中
に1〜20%程度配合して用いることが好ましい。
【0025】例えば、本発明の実施例6に示した(2
R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸−
4’−(4”−n−デシルチオフェニルベンゾイルオキ
シフェニル)フェニルエステルは単独で116℃〜14
3℃でSC *相を示し応答速度3.3μsecを示す。
【0026】この化合物10重量%に対しベース液晶と
して既知のアミン系液晶[4−(N−ヘプチル−N−メ
チルアミノメチル)安息香酸4”−ノニルオキシカルボ
ニル−4’−ビフェニルエステル](SC *相43.8℃
〜63.6℃)90重量%と混合した液晶組成物は、3
8℃〜60℃においてSC *相を示し、応答速度145μ
secを示した。このように本発明の化合物を他液晶組
成物と混合した液晶組成物は混合前の化合物よりもより
低温でSC *相を示し、また格段に速い応答速度を示し
た。
【0027】
【作用】本発明における化合物は、光学活性なフッ素化
アルキル基を有するアルキルチオ安息香酸誘導体の液晶
化合物である。
【0028】今回、物理化学的に安定で幅広い温度範囲
で強誘電性を有するアルキルチオ安息香酸誘導体の光学
活性基に、炭素フッ素原子間の大きな双極子モーメント
を有するフッ素化アルキル基を導入することで、大きな
自発分極を持ち、かつ低い温度で幅広いSC *相を持つ化
合物を提供することが可能になった。即ち、ベンゼン環
に近いカルボニル基の隣の不斉炭素部に電気陰性度の大
きなフッ素原子を導入し、分子の短軸方向の双極子モー
メントの増大に利用した。更にチオエーテルを有するア
ルキルチオ安息香酸骨格を用いることで、既知のエーテ
ル結合と同様に広い温度範囲で強誘電性を示し、低粘性
化の効果を利用した。
【0029】本発明は、応答性、メモリー性に優れた液
晶表示素子の利用可能性を有する強誘電性液晶材料を提
供することができる。また本発明の化合物は、すでに知
られている液晶化合物と混合して強誘電性を示す温度領
域や自発分極、応答性を改善する液晶組成物の有効な混
合用光学活性物質を提供することができた。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明の化合物について
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により
限定されるものでない。以下、記号K、Sx、Sc *、S
A、N* 、Iはそれぞれ、結晶、同定できないスメクチ
ック相、キラルスメクチックC相、スメクチックA相、
コレステリック相、等方相を表す。本化合物の精製は、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶にて行
った。以下に示す相転移点の測定値は、物質の純度によ
り若干の影響を受けることもある。
【0031】なお、以下実施例においては、原料の光学
活性体としてS体のものを使用した例のみを記載する
が、R体を原料にした場合にもそれぞれ同一の相転移温
度、自発分極の絶対値、応答速度が得られることは理論
上からも明らかである。
【0032】(相転移温度の測定)得られたアルキルチ
オ安息香酸誘導体(実施例3〜6)について相転移温度
を測定した。
【0033】(自発分極、応答速度の測定)得られたア
ルキルチオ安息香酸誘導体を加熱し、等方性液体とした
後ポリイミドを塗布し、ラビング処理を施した透明電極
付き薄型セル(4ミクロン)に注入した。然る後、セル
を除冷し、螺旋構造が消失している均一なSc *のモノド
メインを得、このセルに30VPP、50Hzの矩形波を
印加し、自発分極及び応答速度を測定した。
【0034】〔実施例1〕 (R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸の合成; (1−1) (S)−2−ヒドロキシ−3−メチルブタ
ン酸エチルの合成;かき混ぜ機、滴下ロートを取りつけ
た内容500mlの三つ口フラスコに、L−バリン1
5.39g及び0.5M硫酸262mlを加え、温度を
0〜−2℃に維持しながら撹拌した。次に、この反応溶
液の温度を0℃〜−2℃に保ち、撹拌しながら滴下ロー
トから水50mlに溶解した亜硝酸ナトリウム13.2
gの冷たい溶液を1.5時間かけ徐々に加えた。滴下終
了後、引き続きそのまま1時間かき混ぜながら同温度に
保ち、その後反応溶液を室温で一晩撹拌した。次に、固
体の重炭酸ナトリウムを加えて反応溶液のpHを6に調
整し、減圧下で溶液を75mlまで濃縮した。40%り
ん酸で溶液をリトマス酸性とし、次にテトラヒドロフラ
ン(THF)300mlを用いて生成物を抽出した。抽
出した有機層は、飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、THFを減圧留去し、淡黄色の油状物
(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸13.3
gを得た(収率86%)。
【0035】次に、内容200mlのナスフラスコに、
得られた(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸
13.1g、エタノール80ml及び濃硫酸3mlを加
え、3時間加熱還流した。室温まで放冷した後、エタノ
ールを減圧留去し、次に80mlの氷冷水を加え、15
0mlのエーテルで抽出した。このエーテル層を飽和食
塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減
圧留去(1mmHg,53℃)し、(R)−2−ヒドロ
キシ−3−メチルブタン酸エチル(薄淡黄色の液体)
7.18gを得た(収率44%)。得られた生成物はN
MRにより構造を確認した。1 H−NMR;ppm 0.87(3H,d)、 1.02(3H,d) 1.30(3H,t)、 2.10(1H,m) 2.70(1H,bs)、4.02(1H,d) 4.25(2H,q)
【0036】(1−2)(S)−2−ヒドロキシ−3−
メチルブタン酸エチルのトリフルオロメタンスルホン酸
エステルの合成;内容50mlのナスフラスコに、前記
(1−1)で得られた(S)−2−ヒドロキシ−3−メ
チルブタン酸エチル7.18g、ジクロロメタン13m
l及びルチジン5.7mlを加え、この溶液を氷浴上0
℃に保ちながら、11.0mlのトリフルオロメタンス
ルホン酸無水物を滴下し、滴下終了後0℃で30分間、
次に室温で2時間撹拌した。次に、水10mlを加え反
応を終了させ、分液ロートで水層を除いた。無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、有機溶媒を減圧留去し、得られた
粗生成物を200gのシリカゲルを用いてヘキサン/酢
酸エチル混合溶媒でカラムクロマトグラフィーを行い、
さらに減圧蒸留(1mmHg,70℃)して、(S)−
2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸エチルのトリフル
オロメタンスルホン酸エステル6.05gを得た(収率
46%)。1 H−NMR;ppm 1.01(3H,d)、 1.20(3H,d) 1.35(3H,t)、 2.40(1H,m) 4.31(2H,q)、 4.98(1H,d)
【0037】(1−3) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸エチルの合成;内容100mlのテフロ
ン製ナスフラスコに、前記(1−2)で得られた(S)
−2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸エチルのトリフ
ルオロメタンスルホン酸エステル6.05g、アセトニ
トリル30mlを加え、氷浴上溶液を0℃に保ちなが
ら、7.26gのテトラ(n−ブチル)アンモニウムフ
ルオライド3水和物を加え、0℃で一晩撹拌する。この
反応溶液に水40mlを加え、100mlのエーテルを
用いて抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、有機溶媒を減圧留去した。得られた粗生成
物を200gのシリカゲルを用いてヘキサン/酢酸エチ
ル混合溶媒でカラムクロマトグラフィーを行い、溶媒を
減圧留去して1.36gの(R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸エチルを得た(収率40%)。これを1
N水酸化ナトリウム水溶液38mlに加え、室温下12
時間撹拌した後、10%塩酸で中和し、エーテル100
mlで抽出した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで
乾燥後留去し、(R)−2−フルオロ−3−メチルブタ
ン酸1.06gを得た(収率92%)。1 H−NMR;ppm 1.03(3H,d)、 1.12(3H,d) 2.20(1H,m)、 4.80(1H,dd) 6.95(1H,bs)
【0038】〔実施例2〕 (2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸
の合成;
【0039】(2−1) (2S,3S)−2−ヒドロ
キシ−3−メチルペンタン酸エチルエステルの合成;前
記(1−1)において、L−バリンに換えてL−イソロ
イシンを用いて同様の反応を行った。得られた(2S,
3S)−2−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸エチル
はNMRにより構造を確認した。1 H−NMR;ppm 0.87(3H,t)、 0.98(3H,d) 1.30(5H,m)、 1.80(1H,m) 2.60(1H,bs)、4.05(1H,d) 4.25(2H,q)
【0040】(2−2) (2S,3S)−2−ヒドロ
キシ−3−メチルペンタン酸エチルエステルのトリフル
オロメタンスルホン酸エステルの合成;前記(1−2)
において(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸
エチルに換えて、前記(2−1)で得られた(2S,3
S)−2−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸エチルエ
ステルを用いて、同様の反応を行った。得られた(2
S,3S)−2−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸エ
チルのトリフルオロメタンスルホン酸エステルは、NM
Rにより構造を確認した。1 H−NMR;ppm 0.95(3H,t)、 1.08(3H,d) 1.32(3H,t)、 1.60(2H,m) 2.18(1H,m)、 4.31(2H,q) 5.02(1H,d)
【0041】(2−3)前記(1−3)において(S)
−2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸エチルのトリフ
ルオロメタンスルホン酸エステルに換えて、前記(2−
2)で得られた(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−
メチルペンタン酸エチルのトリフルオロメタンスルホン
酸エステルを用いて、同様の反応を行った。得られた
(2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸
はNMRにより構造を確認した。1 H−NMR;ppm 1.03(6H,m)、 1.50(2H,m) 2.00(1H,m)、 4.92(1H,dd) 9.42(1H,bs)
【0042】〔実施例3〕 (R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸−4’−
(4”−n−デシルチオフェニルベンゾイルオキシフェ
ニル)フェニルエステルの合成;
【0043】(3−1) 4−n−デシルチオ安息香酸
の合成;p−アミノ安息香酸10.3g、濃塩酸15.
0ml及び水30.0mlを、激しく撹拌しながら50
℃に加熱し懸濁させた後、0℃付近まで液温を下げる。
この懸濁液に、亜硝酸ナトリウム5.18gを最少量の
水に溶かしたものを徐々に加えてジアゾ化する。このと
き必要ならば氷を加え液温が0〜5℃に保たれるように
する。反応液が黄色透明になる点を終点とし、次に酢酸
ナトリウム冷飽和水溶液で液のpHを6にする。このと
き析出物があればろ過する。デシルメルカプタン13.
1gを水酸化ナトリウム6.00gの水30.0ml溶
液に溶かし、これを0〜5℃に保ち、撹拌しながら上記
のジアゾニウム塩溶液を徐々に滴下していく。滴下終了
後、反応液を1時間かけて60℃に加熱し、その後60
℃、2時間撹拌を続けると激しい反応が起こり、窒素が
発生する。窒素発生が収まった後冷却し、褐色の固形物
をろ過する。この固形物に水500ml、2−プロパノ
ール50mlを加え、撹拌しながら70℃に加熱し固形
物を溶解させる。その後10wt%硫酸により液のpH
を1以下になるように加えた後、5℃に冷却して析出物
を得る。この析出物をn−ヘキサン300mlおよびメ
タノール200mlで再結晶を行うことで無色針状晶の
4−n−デシルチオ安息香酸8.20gが得られる(収
率37%)。1 H−NMR;ppm 0.90、1.28、3.00 7.30、7.98(ppm)
【0044】(3−2) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−(p−ベンジルオキシフェニ
ル)フェニルエステルの合成;実施例1で得られた
(R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸0.5g
と、常法により製造した4−(p−ベンジルオキシフェ
ニル)フェノール1.27gを、ジクロロメタン5ml
中0.95gのジシクロヘキシルカルボジイミドと0.
14gの4−ピロリジノピリジンを加え、室温で12時
間撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチル10mlを
加え、しばらく撹拌して不溶物をろ過後、この酢酸エチ
ル層を水30ml、ついで飽和食塩水30mlで洗った
後、無水硫酸マグネシウムを入れ乾燥させた。酢酸エチ
ルを留去してこれを溶離液としてn−ヘキサン/酢酸エ
チル系を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より分離し、0.50gの無色結晶(R)−2−フルオ
ロ−3−メチルブタン酸−4’−(p−ベンジルオキシ
フェニル)フェニルエステルを得た(収率32%)。1 H−NMR;ppm 1.12(3H,d)、 1.19(3H,d) 2.40(1H,m)、 4.95(1H,dd) 5.10(2H,s)、 7.05(2H,d) 7.15(2H,d)、 7.40〜7.60(9H,
m)
【0045】(3−3) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−(p−ヒドロキシフェニル)フ
ェニルエステルの合成;前記(3−2)で得られた
(R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸−4’−
(p−ベンジルオキシフェニル)フェニルエステル0.
5gを酢酸エチル15mlに溶解し、シクロヘキセン
1.60mlおよびパラジウムブラック0.05gの存
在下、2時間加熱還流した。反応液をろ過し、パラジウ
ムブラックを除いた後、酢酸エチルおよびシクロヘキセ
ンを留去して得られる生成物を、n−ヘキサン/酢酸エ
チル系を溶離液としシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより精製し、0.20gの(R)−2−フルオロ−
3−メチルブタン酸−4’−(p−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルエステルを得た(収率54%)。1 H−NMR;ppm 1.12(3H,d)、 1.19(3H,d) 2.40(1H,m)、 4.98(1H,dd) 6.90(2H,d)、 7.17(2H,d) 7.44(2H,d)、 7.55(2H,d)
【0046】(3−4) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−(4”−n−デシルチオフェニ
ルベンゾイルオキシフェニル)フェニルエステルの合
成;前記(3−1)で合成した4−n−デシルチオ安息
香酸0.22gを四塩化炭素5ml中、塩化チオニル
1.28ml、ジメチルホルムアミド0.01gと共に
4時間加熱還流した後、未反応の塩化チオニルおよび四
塩化炭素を留去し黄色の油状物を得た。次に前記(3−
3)で合成した(R)−2−フルオロ−3−メチルブタ
ン酸−4’−(p−ヒドロキシフェニル)フェニルエス
テル0.19gをトルエン5mlに溶かした溶液を加
え、更にピリジン0.60mlを加え、60℃にて3時
間次いで室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸エチル
30mlおよび水50mlを加え、酢酸エチルを抽出し
た。更にこの酢酸エチル層を5wt%塩酸20ml、5
wt%炭酸水素ナトリウム水溶液20ml、水20ml
で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチ
ルを留去した。これをn−ヘキサン/酢酸エチル系を溶
離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、(R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸−
4’−(4”−n−デシルチオフェニルベンゾイルオキ
シフェニル)フェニルエステル0.080gを得た(収
率21%)。得られた化合物についてNMRにより確認
した。1 H−NMR;ppm 0.88(3H,t)、 1.15(6H,dd) 1.26(14H,m)、1.70(2H,m) 2.40(1H,m)、 3.00(2H,t) 4.98(1H,dd)、7.20(2H,d) 7.35(2H,d)、 7.60(4H,d) 8.10(2H,d)
【0047】〔実施例4〕 (R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸−4’−n
−デシルチオフェニルベンゾイルオキシフェニルエステ
ルの合成;
【0048】(4−1) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−ベンジルオキシフェニルエステ
ルの合成;前記(3−2)において4−(p−ベンジル
オキシフェニル)フェノールに換えて、p−ベンジルオ
キシフェノールを用いて同様の反応を行った(収率95
%)。得られた(R)−2−フルオロ−3−メチルブタ
ン酸−4’−ベンジルオキシフェニルエステルはNMR
により構造を確認した。1 H−NMR;ppm 1.12(3H,d)、 1.19(3H,d) 2.20(1H,m)、 5.08(1H,s) 5.15(2H,dd)、7.00(4H,d) 7.40(5H,m)
【0049】(4−2) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−ヒドロキシフェニルエステルの
合成;前記(3−3)において(R)−2−フルオロ−
3−メチルブタン酸−4’−(p−ベンジルオキシフェ
ニル)フェニルエステルに換えて、(R)−2−フルオ
ロ−3−メチルブタン酸−4’−ベンジルオキシフェニ
ルエステルを用いて、同様の反応を行った(収率46
%)。得られた(R)−2−フルオロ−3−メチルブタ
ン酸−4’−ヒドロキシフェニルエステルはNMRによ
り構造を確認した。1 H−NMR;ppm 1.12(3H,d)、 1.19(3H,d) 2.30(1H,m)、 5.10(1H,dd) 6.85(2H,d)、 6.95(2H,d)
【0050】(4−3) (R)−2−フルオロ−3−
メチルブタン酸−4’−n−デシルチオフェニルベンゾ
イルオキシフェニルエステルの合成;前記(4−2)で
得られた(R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸−
4’−ヒドロキシフェニルエステル0.3gと、前記
(3−1)で得られた4−n−デシルチオ安息香酸0.
37gをジクロロメタン3ml中0.31gのジシクロ
ヘキシルカルボジイミドと0.04gの4−ピロリジノ
ピリジンを加え、室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧
留去し、酢酸エチル10mlを加え、しばらく撹拌して
不溶物をろ過後、n−ヘキサン/酢酸エチル系を溶離液
とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製
し、これを80mlのn−ヘキサンから再結晶し、0.
088gの無色結晶(R)−2−フルオロ−3−メチル
ブタン酸−4’−n−デシルチオフェニルベンゾイルオ
キシフェニルエステルを得た(収率14%)。1 H−NMR;ppm 0.87(3H,t)、 1.13(3H,d) 1.17(3H,d)、 1.27(14H,m) 1.70(2H,m)、 2.40(1H,m) 3.00(2H,t)、 4.95(1H,dd) 7.20(4H,m)、 7.35(2H,d) 8.07(2H,d)
【0051】〔実施例5〕 (2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸
−4’−n−デシルチオフェニルベンゾイルオキシフェ
ニルエステルの合成;実施例4において(R)−2−フ
ルオロ−3−メチルブタン酸に換えて、実施例2で合成
した(2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタ
ン酸を用いて同様の反応を行い、(2R,3S)−2−
フルオロ−3−メチルペンタン酸−4’−n−デシルチ
オフェニルベンゾイルオキシフェニルエステルを得た。
得られた化合物のNMRを示す。1 H−NMR:ppm 0.88(3H,t)、 1.03(3H,d) 1.10(3H,d)、 1.28(14H,m) 1.60(4H,m)、 2.15(1H,m) 3.00(2H,t)、 5.13(1H,dd) 7.20(4H,m)、 7.35(2H,d) 8.07(2H,d)
【0052】〔実施例6〕 (2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸
−4’−(4”−n−デシルチオフェニルベンゾイルオ
キシフェニル)フェニルエステルの合成;実施例3にお
いて、(R)−2−フルオロ−3−メチルブタン酸に換
えて、実施例2で合成した(2R,3S−2−フルオロ
−3−メチルペンタン酸を用いて同様の反応を行い、
(2R,3S)−2−フルオロ−3−メチルペンタン酸
−4’−(4”−n−デシルチオフェニルベンゾイルオ
キシフェニル)フェニルエステルを得た。得られた化合
物のNMRは実施例3におけるものとほとんど同様であ
って、イソブチル基に対応するピークのみ異なるスペク
トルが得られた。実施例3〜6で得られたアルキルチオ
安息香酸誘導体の相転移温度、自発分極、106℃にお
ける応答速度の測定結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】〔実施例7〕実施例4の化合物を、下記に
示すSc相を有する光学活性でないアミン系液晶(A)
と任意の割合で混合し、相転移温度を測定し図1に示す
相転移の図を得た。これらの液晶組成物は、広い温度範
囲でSC *相を示した。実施例3,5,6の化合物におい
ても同様な液晶組成物の相転移が行われることがわかっ
た。 C511−N(CH3 )−CH2 −A−COO−A−A−COOC511 ……(A) (但し、Aはフェニレン基を表す。)
【0055】〔実施例8〕アミン系液晶(A)90重量
%部に対して、それぞれ実施例3,4,5,6の化合物
を10重量%部添加した液晶組成物を調整し、実施例7
で述べたセルを用い30VPP、50Hzの矩形波を印加
し自発分極、応答速度を測定した。すべて明瞭な明暗の
スイッチングを示した。これらの組成物の相転移温度、
自発分極、52℃における応答速度を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表1より実施例3および6の化合物は、幅
広い温度範囲で液晶相を示し、SC *相も有することがわ
かる。実施例4,5の化合物は、単独では液晶性を示さ
ないが、これをSC 相を持つ液晶に加えることによっ
て、SC *相を発現させる光学活性な混合用液晶となりえ
る。
【0058】
【発明の効果】以上例示したように、本発明の化合物は
物理化学的に安定であり、単独あるいは他の液晶と混合
することによって広範な温度領域において強誘電性を呈
する新規な化合物である。特に、自発分極の値が充分に
大きいので、実用的な液晶組成物を得るために種々の他
のスメクチックC相を有する(キラルであってもなくと
もよい。)液晶と混合して液晶組成物としてSc *相を有
する強誘電性液晶組成物とするための混合用液晶として
も有用な化合物である。従って、本発明によれば実用温
度領域において高速応答性を有する電気光学液晶表示素
子の材料として有用な新規な化合物を簡単に廉価に提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4−(N−ヘプチル−N−メチルアミノメチ
ル)安息香酸4”−ノニルオキシカルボニル−4’−ビ
フェニルエステルと実施例4で得た(R)−2−フルオ
ロ−3−メチルブタン酸−4’−n−デシルチオフェニ
ルベンゾイルオキシフェニルエステルとの混合物の相転
移を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒滝 綾子 東京都大田区多摩川2−24−25昭和電工株 式会社生化学研究所内 (72)発明者 本橋 直子 東京都大田区多摩川2−24−25昭和電工株 式会社生化学研究所内 (72)発明者 井上 長三 東京都大田区多摩川2−24−25昭和電工株 式会社生化学研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) R−S−A−COO−(A)m −OCO−CFH−Q (1) (式中、Rは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキ
    ル基、Aはフェニレン基、mは1または2の整数、Qは
    炭素数1以上の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
    で表されることを特徴とする光学活性アルキルチオ安息
    香酸誘導体。
  2. 【請求項2】 2−フルオロカルボン酸と(ベンジルオ
    キシ)フェノール誘導体を反応させて、2−フルオロカ
    ルボン酸−(P−ベンジルオキシ)フェノール誘導体エ
    ステルとし、脱ベンジルし、ついでアルキルチオ安息香
    酸と反応させることを特徴とする請求項1に示される光
    学活性アルキルチオ安息香酸誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】 2−フルオロカルボン酸がα−アミノ酸
    に亜硝酸を作用させ、2−ヒドロキシカルボン酸とし、
    アルコールによりカルボン酸をエステル化した後、トリ
    フルオロメタンスルホン酸を加えてヒドロキシ基をエス
    テル化し、テトラ(n−ブチル)アンモニウムフルオラ
    イド3水和物を加え、2−フルオロカルボン酸エステル
    とし、さらに水酸化ナトリウム水溶液を加えエステル加
    水分解し、2−フルオロカルボン酸とした請求項2の光
    学活性アルキルチオ安息香酸誘導体の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光学活性化合物の少なく
    とも1種を成分として含有することを特徴とする液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のアルキルチオ安息香酸誘
    導体と一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種
    を配合成分として含有する液晶組成物。 【化1】
  6. 【請求項6】 請求項1記載のアルキルチオ安息香酸誘
    導体と一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種
    を配合成分として含有する請求項4または5記載の液晶
    組成物。 【化2】
  7. 【請求項7】 請求項1記載のアルキルチオ安息香酸誘
    導体と一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種
    を配合成分として含有する請求項4または5記載の液晶
    組成物。 【化3】
  8. 【請求項8】 請求項1記載のアルキルチオ安息香酸誘
    導体と一般式(5)で表される化合物の少なくとも1種
    を配合成分として含有する請求項4または5記載の液晶
    組成物。 【化4】
  9. 【請求項9】 請求項1記載のアルキルチオ安息香酸誘
    導体と一般式(6)で表される化合物の少なくとも1種
    を配合成分として含有する請求項4または5記載の液晶
    組成物。 【化5】
  10. 【請求項10】 少なくともアミン系液晶[C511
    N(CH3 )−CH2 −A−COO−A−A−COOC
    511;但しAはフェニレン基を表す]と、請求項1記
    載の光学活性アルキルチオ安息香酸誘導体からなる液晶
    組成物。
  11. 【請求項11】 請求項4記載の光学活性液晶組成物を
    使用して構成されることを特徴とする光スイッチング素
    子。
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