JPH0558834B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） この発明は、鋼管等の周方向の溶接を自動的に
行なうことのできる溶接装置に関するものであ
る。

（背景技術） 角鋼管の端部にフランジを溶接する場合等に
は、従来被溶接物をポジシヨナに取り付けて手作
業で溶接を行なつていたが、この方法では作業者
が常にトーチを保持して作業を行なわなければな
らないので多大の労働力を必要としていた。この
ような溶接作業が自動的に行なう装置として種々
の溶接装置が開発されているが、いずれも、機構
が複雑で高価なものとなる、溶接ケーブルが捻れ
て連続溶接ができない、溶接欠陥が生じやすい等
の欠点があつた。

これらの欠点を改良するものとして、溶接トー
チをそなえた溶接ヘツドに被溶接物の外周面に接
触する磁石製の駆動ローラと、該駆動ローラを回
転させるモータを設け、駆動ローラによつて被溶
接物を回転させつつ溶接を行なうように構成した
溶接装置が開発されているが、この種の溶接装置
は、溶接の際に発生する高熱によつて被溶接物駆
動用の駆動ローラやモータが加熱されるために故
障が生じやすかつた。すなわち、上記駆動ローラ
やモータは、アークの輻射熱、高温になつた被溶
接物からの輻射熱や伝導熱、周囲の空気の対流に
よつて伝えられる熱等によつて高温に加熱される
が、駆動ローラは高温になると磁性が失なわれる
ため駆動力不足になり易く、またモータは絶縁不
良を起したり、コイルが焼切れたりすることが多
かつた。また、駆動ローラにスパツタや、被溶接
物表面の錆、油等が付着すると、被溶接物の安定
した回転が得られなくなるという問題もあつた。

（発明の目的） この発明は、上記従来の溶接装置の問題点を改
良し、駆動ローラおよびモータ等の駆動装置が溶
接時の熱の影響を受けにくく、常に安定した溶接
状態が得られる溶接装置を提供することを目的と
している。

（発明の開示） すなわち、本発明にかかる溶接装置は、表面側
に被溶接物が取り付けられ、裏面側に設けた回転
軸によつて回転自在に支持された被溶接物支持用
の回転テーブルと、被溶接物の外形と同一もしく
は相似形の外形を有し、回転テーブルと同芯に回
転軸に取り付けられる溶接モデル、および前記回
転テーブルの表面側および裏面側に分離して設け
られ、それぞれが支持装置によつて回転テーブル
の回転中心軸に接近する方向に付勢されて支持さ
れた溶接ヘツドと駆動ヘツドとをそなえ、前記溶
接ヘツドは、被溶接物の外周面に当接し該外周面
に沿つて移動する案内部材と、溶接線に臨むよう
に支持された溶接トーチをそなえ、前記駆動ヘツ
ドは、前記溶接モデルの外周部に接触して該モデ
ルに回転動力を伝達する駆動ローラと該駆動ロー
ラを回転駆動する駆動装置をそなえていることを
特徴としている。

（実施例） 以下、図面にあらわされた実施例について説明
する。

第１図および第２図は本発明にかかる溶接装置
の１例をあらわす側面断面図、第３図および第４
図は第１図におけるＸ−ＸおよびＹ−Ｙ断面図で
ある。この溶接装置１は、回転テーブル２と溶接
ヘツド４および駆動ヘツド５をそなえてなる。溶
接ヘツド４および駆動ヘツド５は、同形の支持装
置６および６′に支持されている。

回転テーブル２は、中間部にフランジ８を有す
る回転軸９を中心部に一体にそなえ、この回転軸
９のフランジ８より下の部分９ａが基板１０上に
固定した軸受１１に回転自在に嵌合している。回
転テーブル２は、この回転軸９によつて水平面内
において回転自在に支持されている。回転テーブ
ル２上には被溶接物である角型鋼管５５とフラン
ジ板５６が載置されており、締付具５８によつて
回転テーブル２に固着されている。

回転軸９のフランジ８より上の部分９ｂには、
互いに隣接させた３枚の溶接モデル（パターン）
１２，１２′，１２″が取り付けられている。これ
ら３枚の板状溶接モデル１２，１２′，１２″の中
の１枚１２は、外周形状が回転テーブル２上に載
置されている角鋼管の外周形状と相似形をなして
おり、他の２枚の溶接モデル１２′，１２″は上記
の溶接モデル１２とコーナー部のＲの大きさが若
干異つている。すなわち、回転軸９には互いに異
なる３種の溶接モデルが取り付けられている。溶
接モデル１２，１２′，……は回転軸９若しくは
回転テーブル２と一体に設けておいてもよく、着
脱可能に設けておいてもよい。

溶接ヘツド４は、一定の幅をもつた切欠部４ａ
に上下方向に設けた支持軸１４によつて、該切欠
部４ａ内に遊嵌された支持装置６のアーム１５の
先端部に水平面内で回動自在に支持されている。
溶接ヘツド４の前面側には凹部１７が形成されて
おり、この凹部１７に案内部材である一対の案内
ローラ１８，１８′が設けられている。これら案
内ローラ１８，１８′は左右および上下にずらし
て設けられており、それぞれのローラ軸１９，１
９′は、前記支持軸１４を挾むようにして上下の
軸受２０，２０′に支承されている。案内部材と
しては、上記案内ローラに限らず、例えば球頭ピ
ンのように、被溶接物の外周面に接触して円滑に
移動することのできるものであればよい。溶接ヘ
ツド４の下端部に穿設した支持枠２２には溶接ト
ーチ２３が取り付けられている。溶接トーチ２３
は、その中心軸の延長線が溶接線Ｌに一致するよ
うに溶接線に臨ませて支持されている。図中、２
３ａは図示しない送り装置によつて自動的に繰り
出される溶接棒（ワイヤー）である。

駆動ヘツド５は、溶接ヘツド４と同様に、切欠
部５ａに設けた支持軸１４′によつて、支持装置
６′のアーム１５′に水平面内で回転自在に支持さ
れている。駆動ヘツド５は、前面側の上下位置に
凹部２５，２６が形成され、下端部にはモータ２
７が取り付けられている。下段の凹部２６内にモ
ータ２７の回転軸２９が突出しており、この回転
軸２９に駆動ギア３０が固着されている。上段の
凹部２５には上下に２個のローラが設けられてお
り、一方が強制回転させられる駆動ローラ４０、
他方が自由回転する遊動ローラ４１である。この
２個のローラ４０，４１は互いに左右に位置をず
らして設けられ、それぞれのローラ軸３２，３
２′は前記支持軸１４′を挾むようにして並設され
ている。なお、遊動ローラ４１を設けるかわり
に、駆動ローラ４０を２個設けておけば回転がよ
り確実となるので有利である。これらローラは３
個以上設けておき、そのうちの１個以上を駆動ロ
ーラとしておいてもよい。ローラ軸３２，３２′
は上下の軸受３３，３３′によつて回転自在に支
持され、駆動ローラ４０が取り付けられている方
のローラ軸３２の下端部には、前記駆動ギア３０
に噛合する従動ギア３７が取り付けられている。
なお、駆動ヘツド５を支持する支持装置６′は、
支柱４３に沿つて上下位置調節可能に設けられ、
前記駆動ローラ４０と遊動ローラ４１とを所望の
溶接モデル１２，１２′，１２″に接触させること
ができるようになつている。

溶接ヘツド４の１対の案内ローラ１８，１８′
の半径ｒの和および駆動ヘツド５の駆動ローラ４
０と遊動ローラ４１の半径ｒの和は、それぞれロ
ーラ軸１９，１９′および３２，３２′の軸間距離
ｌよりも大きくなつているので、ローラ１８と１
８′および４０と４１が軸方向視（図示例では平
面視）において長さｄだけ部分的に重なり合つて
いる。図示例では、各ローラ１８，１８′，４０，
４１がすべて等径２ｒのローラとして形成されて
いるが、場合によつては各ローラの径を異ならせ
ておいてもよい。

また、これら案内ローラ１８，１８′、駆動ロ
ーラ４０、遊動ローラ４１は、被溶接物に磁着す
るように磁石でつくておくのが好ましい。さら
に、ローラの外周部にローレツト加工等を施して
摩擦力を増大させてあればより好ましい。

支持装置６，６′は、基板１０上に立設された
支柱４３と、該支柱４３の上端部から前方に突出
する支持筒４５，４５′をそなえ、この支持筒４
５，４５′にアーム１５，１５′の基部１５ａ，１
５a′が摺動自在に嵌合している。支持筒４５，４
５′の外側前端部にはガイドローラ４７，４７′が
設けられており、アーム１５，１５′の基部１５
ａ，１５a′端部に一端を固定したワイヤ４９がこ
れに掛けられている。ワイヤ４９の反対側の端部
には錘り５０が吊り下げられており、この錘り５
０の重力によつてアーム１５，１５′が常に前方
即ち回転テーブル２の回転中心軸側へ突出するよ
うに付勢されている。これら錘り５０とワイヤ４
９のかわりに、スプリングでアーム１５を前方へ
押すようにしてもよい。特に、回転テーブル２を
傾けた状態もしくは横向き（すなわち回転軸９が
水平となるような向き）に使用するためには、ス
プリングをヘツド押圧手段として用いる必要があ
る。

この溶接装置１の使用に際しては、先ず回転テ
ーブル２上に被溶接物を、その中心がテーブル２
の中心とほぼ一致するように載置し、締付金具、
ボルト等の適当な固定手段で固定する。図示例で
は、被溶接物が角型鋼管５５とその下端部に溶着
されるフランジ用角鋼板５６である。被溶接物が
角型鋼管等の場合は、その辺が溶接モデルの辺と
平行になるように回転テーブルに取り付ける。つ
ぎに、支持装置６′を支柱４３に沿つて上下に移
動させ、駆動ローラ４０および遊動ローラ４１が
被溶接物である角型鋼管５５に対応する溶接モデ
ル１２に接触するように、駆動ヘツド５の高さを
調節する。そして、溶接ヘツド４の案内ローラ１
８，１８′を角型鋼管５５の外周面に当接させる
とともに、駆動ヘツド５の駆動ローラ４０および
遊動ローラ４１を溶接モデル１２の外周面に当接
させ、モータ２７を起動する。駆動ローラ４０が
回転すると、これが押し付けられている溶接モデ
ル１２がローラ４０との摩擦力によつて回転する
ので、回転軸９と一体の回転テーブル２が被溶接
物である角型鋼管５５およびフランジ板５６とと
もに回転し、溶接ヘツド４が相対的に角型鋼管５
５の周囲に沿つて走行することになる。この状態
で溶接電源を投入して溶接を行なえばよい。

溶接モデル１２の外周形状は角型鋼管５５のそ
れと同一もしくは相似形に形成され、しかも同一
軸上に同一方向を向けて取り付けられているた
め、被溶接物と溶接モデルとが同じ角速度で回転
運動を行なう。また、駆動ヘツド５および溶接ヘ
ツド４は、伸縮可能なアーム１５，１５′によつ
て回転テーブル２の軸芯側に付勢されて支持され
ており、しかも支持軸１４，１４′を中心として
自在に回動することができるので、被溶接物であ
る角型鋼管５５のコーナー部にあつても常に案内
ローラ１８，１８′、駆動ローラ４０、遊動ロー
ラ４１が溶接面および溶接モデル外周面に接触
し、溶接トーチ２３が溶接個所に対し常に一定の
姿勢で保たれる。また、被溶接物と同一もしくは
相似の外形を有する溶接モデル１２の外周面に接
触する駆動ローラ４０によつて被溶接物を回転駆
動するので、溶接トーチ２３と溶接個所との相対
速度すなわち溶接速度は常に一定に保たれる。こ
のため、表面が平坦ではない被溶接物の溶接をう
まく行なうことができるのである。

この溶接装置１は、溶接を司る溶接部と回転テ
ーブル２の回転を司る駆動部とが２つのヘツドに
分割され、熱による悪影響を受けやすいモータ２
７および駆動ローラ４０等の駆動装置が、溶接個
所から隔離された位置に設けられているので、常
に良好な溶接速度が維持され溶接むらが生じなく
なる。しかもモータ等が過度の高温にさらされな
いので、絶縁不良や焼切れ等の事故生じにくい。

なお、溶接モデルは、外形が被溶接物のそれと
相似形であれば、いかなる寸法の被溶接物に対し
ても使用することができる。また、実施例のよう
に、複数の溶接モデルを並設し、駆動ヘツドを上
下に駆動させることができるように構成しておけ
ば便利である。実施例の溶接モデル１２，１２′，
１２″は、第７図ａ，ｂ，ｃに示されるように、
寸法Ｂは等しいがコーナーのＲが異つており、そ
れぞれＲ／Ｂ比の異なる角型鋼管用である。多く
の角型鋼管はこの３種のＲ／Ｂ比に該当するの
で、角型鋼管を溶接する場合にはほとんど溶接モ
デルを取り換える必要がなく、能率的である。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明にかか
る溶接装置は、駆動装置が熱の影響を受けない構
造になつているため、モータ等の事故が生じにく
く、安定した溶接速度が保たれ、良好な溶接状態
を維持することができるようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明にかかる溶接装置の一
例の側面断面図、第３図と第４図は第１図におけ
るＸ−Ｘ断面図とＹ−Ｙ断面図、第５図および第
６図は部分拡大図、および第７図ａ，ｂ，ｃは溶
接モデルの平面図である。なお、第１図と第２図
は、第３図におけるＳ−Ｓ断面とＴ−Ｔ断面を、
また第５図は第１図におけるＷ−Ｗ断面をそれぞ
れあらわしている。 １……溶接装置、２……回転テーブル、４……
溶接ヘツド、５……駆動ヘツド、６，６′……支
持装置、９……回転軸、１０……基板、１２，１
２′，１２″……溶接モデル、１４，１４′……支
持軸、１８，１８′……案内ローラ、２３……溶
接トーチ、１５，１５′……アーム、２７……モ
ータ、４０……駆動ローラ、４１……遊動ロー
ラ、５５……角型鋼管（被溶接物）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表面側に被溶接物が取り付けられ、裏面側に
   設けた回転軸によつて回転自在に支持された被溶
   接物支持用の回転テーブルと、被溶接物の外形と
   同一もしくは相似形の外形を有し、回転テーブル
   と同芯に回転軸に取り付けられる溶接モデル、お
   よび前記回転テーブルの表面側および裏面側に分
   離して設けられ、それぞれが支持装置によつて回
   転テーブルの回転中心軸に接近する方向に付勢さ
   れて支持された溶接ヘツドと駆動ヘツドとをそな
   え、前記溶接ヘツドは、被溶接物の外周面に当接
   し該外周面に沿つて移動する案内部材と、溶接線
   に臨むように支持された溶接トーチをそなえ、前
   記駆動ヘツドは、前記溶接モデルの外周部に接触
   して該モデルに回転動力を伝達する駆動ローラと
   該駆動ローラを回転駆動する駆動装置をそなえて
   いることを特徴とする溶接装置。