JPH0558745U - 木質系防音床板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 集合住宅のコンクリート床スラブ上に直接接
着施工する木質系の床板で、詳しくは、生活振動ないし
騒音が床スラブを介して隣室や階下室に伝播するのを防
止し、又、施工した床面に単調でない接合部を提供す
る。 【構成】 数枚の矩形体５を接合して木質系防音床板を
構成し、接合する矩形体５をずらせる寸法は一体毎に異
なっている。又、矩形体５の表面にはゴムや合成樹脂シ
ート３を介して化粧単板を貼着し、最下面に中間層を比
較的軟くした３層構造をした合成樹脂発泡体８が一体的
に貼着される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、主として、集合住宅のコンクリート床スラブ上に直接接着施工さ れる木質系の床板で、詳しくは、生活振動ないし騒音が床スラブを介して隣室や 階下室に伝播するのを防止する為の木質複合遮音床板に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、合板等を基材とし、集合住宅などの床スラブ上に直接貼着して施工され ている床材は、表面に薄い突板等が貼着された基材の裏面に厚さが２〜４mm程度 のクッション性を有する発泡合成樹脂シートや不織布を独立に、又は複合的に貼 着されたものが提供され、裏面の発泡シートはクッション性を有するので、スラ ブ面の凹凸を吸収するとともに、歩行感を向上させる等の効果を有していたが、 騒音の伝播防止や歩行性には満足できるものではなかった。

【０００３】 そこで、出願人は、実願平１−７７９８２ 号に示した様に表面に薄い化粧単 板を貼着した厚さが２．０〜３．５mmの木質化粧板の下面に、接着剤を介してＪ ＩＳ Ｋ ６３０１号に規定するＣ形硬度計による硬度が１０〜４０度の範囲で 厚さが０．５〜２mmのゴム又は合成樹脂シートが貼着され、そのシートの下面に 接着剤を介して厚さが２〜４mmの木質基板が貼着され、その木質基板の下面に接 着剤を介してＪＩＳ Ｋ ６３０１号に規定するＣ形硬度計による硬度が１０〜 ４０度の範囲で厚さが０．５〜３mmのゴム又は合成樹脂シートが貼着され、その 下面に厚さが４〜７mmの範囲にある木質基板が貼着され、さらにその下面にＪＩ Ｓ Ｌ １０９６号に規定する方法により測定した厚さが２〜２０mmの範囲でか さ比重が０．０２〜０．１５の範囲にある布状物が貼着された木質系防音床板の 構成を検討した。

【０００４】 この構成の床板は、遮音等級値Ｌ−４５〜５０を達成し、且つ厚さも薄くする ために、床板の裏面には布状物が貼着されている。そして、該布状物とコンクリ ート床スラブを固着させる事が最も遮音性能が良く、効果的であることが明らか になってきた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、接着剤を塗布したコンクリート床スラブ上に直接床板を施工する場合 には、床板裏面の該布状物と接着剤が複雑にからみあって、以下の様な問題が生 じた。 一旦、接着剤上に置くと床板の裏面の布状物の繊維間に接着剤がからみ、横滑 りが悪くて、実の嵌合作業が手間取る。作業に手間取るため、更にコンクリート 床スラブ上に塗布した接着剤の粘度が一層上昇し、より一層嵌合作業は難しくな る。 接着剤が過度に塗布されていると、床板裏面の布状物の繊維間に接着剤が多く 浸透硬化して遮音効果が落ちる。 接着剤が少ないと床板裏面の布状物の繊維間に接着剤が浸透してしまい、床板 とコンクリート床スラブとの接着が不充分となる。 又、床板が矩形の為、施工後の床面が単調な仕上がりとなり、意匠的にも満足 できるものではなかった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記課題を解決するためなされたもので、その構成は、表面に薄 い化粧単板を貼着した木質化粧板の裏面にゴムや合成樹脂シートを介して木質系 基板が積層された矩形体の側面部に雄実と雌実が設けられ、そして該矩形体の複 数枚を、その長辺側で長辺方向に所定寸法ずらせて雄実と雌実が接合された木質 系防音床板において、接合された矩形体が一体毎に異なる寸法にずらされており 、且つ最下面に中間層を比較的軟くした３層構造をした合成樹脂発泡体が接着剤 を介して貼着された木質系防音床板に係る。

【０００７】 以下、この考案を図面を参照しながら詳述する。 第１図はこの考案の実施例になる木質系防音床板の平面図で、第２図はそのＡ −Ａ断面拡大図、第３図はこの考案の実施例による木質系防音床板の軽量床衝撃 音による遮音等級試験結果を示している。

【０００８】 矩形体５は、表面に厚さが０．２〜１．０mm程度の常用の薄い化粧単板１が貼 着された厚さ２．０〜３．５mmの化粧板２とＪＩＳ Ｋ ６３０１号に規定する Ｃ形硬度計による硬度が１０〜４０度の範囲で厚さが０．５〜２mmにあるゴムや 合成樹脂シート３及び、厚さ５〜９mm程度で合板、パーティクルボード、ＭＤＦ 、ＬＶＬ等の木質系基板４を積層したもので、４方の側面部には接合用の雄実６ と雌実７が形成されている。又、矩形体５の裏面側から木質系基板４の略半分の 厚さ程度までに所定間隔で矩形体５の短辺方向に溝加工することで、床材の反り やコンクリート床スラブ面との馴染みを良くしたり、防音効果を付与させること ができる。

【０００９】 そして、矩形体５を長さ方向に所定寸法ずらせて複数枚の矩形体５を長辺側で 第２図の様に接合させる。矩形体５を接合させる時にずらせる寸法は、矩形体５ 一体毎に異ならせる。又、矩形体５はゴム系の接着剤１１を介して実部６、７を 接合させることによって、矩形体５相互の接合を強固にすると共に、床板とした 時に実部で可撓性を持たせることが出来るので、コンクリート床スラブ面の凹凸 を吸収したり、施工時の実部の接合を容易にしたりする。更に、施工後の踏み鳴 り音の防止にも効果的である。

【００１０】 矩形体５の裏面には、中間層を比較的軟くした３層構造からなる合成樹脂発泡 体８が貼着されている。合成樹脂発泡体８は、中間層の発泡倍率が大きくなって いる一体型の発泡体や、密度が異なる合成樹脂発泡シートを一体的に接着剤で接 着したり、熱融着させたもので、ポリエチレン樹脂やウレタン樹脂を発泡させた ものを用いる。例えば発泡倍率１０〜４０倍程度で、密度０．０３〜０．３ｇ／ ｃｍ³ の範囲にある厚み１〜３mmのポリエチレン樹脂発泡体９の中間に、密度０ ．０２〜０．１ｇ／ｃｍ³ の範囲にある厚み１mm〜２mmのウレタン樹脂発泡体１ ０をサンドイッチ状に挟み込んで一体的に接着する。又は、密度０．０２〜０． ３ｇ／ｃｍ³ の範囲にある厚み１０mm程度のポリエチレン樹脂やウレタン樹脂発 泡体を圧縮成形して厚さ８mm程度で表裏面層を密としたものなどを用いる。

【００１１】 ゴム又は合成樹脂シート３、８と木質基板２、４との接着は常用の合成樹脂− 木材系用の接着剤、例えばゴム系やウレタン、アクリル樹脂系などの合成樹脂接 着剤が用いられる。この床板のコンクリート床スラブ面へはエポキシ樹脂系接着 剤や湿気硬化型の接着剤を介して施工する。

【００１２】 以下、この考案の作用を説明する。

【００１３】 実用新案登録請求の範囲において、表面に薄い化粧単板を貼着した木質化粧板 の裏面に合成樹脂シートを介して木質系基板を積層するのは、床板の表面から受 ける衝撃は、出来るだけ床板の表面に近い部分で緩衝した方が床板全体としての 防音効果が有ることが知られているが、床板に木質感を与え、且つ床板として沈 み込みを防止させる等の耐久性を持たせるためである。さらに、矩形体複数枚を 長辺側で、その長辺方向に一体毎に異なる寸法ずつずらせて接合するのは、施工 後の床面に単調な接合部が現れないようにする為である。又、最下面に中間層を 比較的軟くした３層構造をした合成樹脂発泡体を貼着するのは、床板全体として は快適な歩行感を与えつつも大きな荷重に対しては大きなたわみ量の発生を抑え るためで、メカニズムとしては歩行時のように軽量な荷重に対しては中間部の比 較的軟らかい層が敏感に反応してクッション効果を与え、ピアノや家具を置いた 場合には、中間部の比較的軟らかい層が潰れてしまった場合でも上下２層では潰 れが発生し難いので、大きな沈みが発生しないからである。

【００１４】

【実施例】

厚さ７mmの合板４の上面に、厚さ１mmでＪＩＳ Ｋ ６３０１号に規定するＣ 形硬度計による硬度が２７度のゴム系制振シート３、ついでその上面に厚さ２mm の合板表面に厚さ０．５mmのナラ化粧単板１を貼着した厚さ２．５mmの木質化粧 板２の順にビニル樹脂系接着剤を介して積層した１０．５×６１×９００mmの矩 形体５を５体用いて、各々の矩形体５を側面部に設けている実にゴム系の接着剤 １１を点状に塗布してから３０mm、７０mm、３０mm、７０mmの順にずらせて接合 し、裏面には発泡倍率３０倍前後で密度０．１ｇ／ｃｍ³ 程度の厚み１．５mmの ポリエチレン樹脂発泡体９間に、密度０．０５ｇ／ｃｍ³ 程度で厚み１．５mmの ウレタン樹脂発泡体１０をゴム系接着剤で一体的に接着した合成樹脂発泡体８を 接着剤で貼着して求める木質系防音床板を得た。

【００１５】 上記実施例において、床板を構成する矩形体５の短辺方向に合板４の下面に１ ０cmの間隔で幅が３mm程度の切り溝を合板4 の厚みの中間程度まで形成した木質 系防音床板を得た。 そして、上記実施例１及び実施例２の床板を厚さ１５０mm相当のコンクリート 床スラブ上にエポキシ樹脂接着剤を用いて固着し、床板の上面よりタッピングマ シンによる軽衝撃音を加え、スラブの下面で騒音計を用いて周波数毎の騒音を測 定し、遮音等級（Ｌ）値を求めた。試験の結果、第４図に示す様に実施例１はＬ −５０に、実施例２はＬ−４５に合格する性能であった。

【００１６】

【考案の効果】

この考案の木質系防音床板は上記の様に、床板表面から２層目にゴム又は合成 樹脂シートを介して、そのシートの下面に木質基板が貼着され、その下面に中間 層を比較的軟らくした３層構造からなる合成樹脂発泡体が貼着されているので、 表面が木質系で、かつ全体の厚みが従来の遮音床材に比較して非常に薄く、実施 例１及び２では共に１５mmとなる厚さにもかかわらず床板としての強度を保持し ながら、遮音等級値Ｌ−４５〜５０を達成するし、室内の空間を狭くすることが ないという効果を失わない。また、コンクリート床スラブ面ヘの施工の際にも床 板裏面に布状物を貼着していないのでスラブ面状に塗布した接着剤上をこの考案 の床材は横滑し、簡単に実を嵌合させることができる。加えるに、合成樹脂シー トや合成樹脂発泡 体がクッション性能を有しているので歩行感に優れ、床スラ ブ面の凹凸も良く吸収して平滑に施工できる等の効果を有している。さらに、矩 形体複数枚を長辺側で、その長辺方向に一体毎に異なる寸法ずつずらせて接合す るので、施工後の床面に単調な接合部が現れないので、意匠的にも満足できるも のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１図はこの考案の実施例になる床板の平面
図。

【図２】第２図は第１図のＡ−Ａ断面拡大図。

【図３】第３図は実施例による床板の軽量床衝撃試験に
よる遮音等級試験結果を示している。

【符号の説明】

１−化粧単板 ２−木質化粧板 ３−ゴムや合成樹脂シート ４−木質系基板 ５−矩形体 ６−雄実 ７−雌実 ８−合成樹脂発泡体 ９−ポリエチレン樹脂発泡体 １０−ウレタン樹脂発泡体 １１−ゴム系接着剤

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｆ 15/18 Ｊ 7805−2Ｅ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に薄い化粧単板（１）を貼着した木
   質化粧板（２）の裏面にゴムや合成樹脂シート（３）を
   介して木質系基板（４）が積層された矩形体（５）の側
   面部に雄実（６）と雌実（７）が設けられ、そして該矩
   形体（５）の複数枚を、その長辺側で長辺方向に所定寸
   法ずらせて雄実（６）と雌実（７）が接合された木質系
   防音床板において、接合された矩形体（５）が一体毎に
   異なる寸法にずらされており、且つ最下面に中間層を比
   較的軟くした３層構造をした合成樹脂発泡体（８）が接
   着剤を介して貼着されたことを特徴とした木質系防音床
   板。