【発明の詳細な説明】 〔目次〕 概要 産業上の利用分野 従来の技術(第17図) 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段(第1図) 作用 実施例 (1) 第1実施例(第2図〜第5図) (2) 第2実施例(第6図、第7図) (3) 第3実施例(第8図、第9図) (4) 第4実施例(第10図、第11図) (5) 第5実施例(第12図〜第14図) (6) 第6実施例(第15図、第16図) 発明の効果 〔概要〕 超音波診断装置用の血液散乱パワ算出装置に関 し、 壁や弁からの反射成分を除去して血液からの散 乱成分にもとづき、正確に血液散乱パワを算出す ることを目的とし、 超音波反射信号を直交検波し、サンプル・ホー ルドし、これにもとづき血液散乱パワを得る超音 波診断装置において、ドップラスペクトルを各時 刻において出力するドップラスペクトル算出手段 と、各時刻のドップラスペクトルの不要の周波数 範囲を定める不要周波数範囲設定手段と、各時刻 において上記不要周波数範囲設定手段により指示 された周波数範囲を除いたドップラスペクトルの 各周波数成分の和を累積演算するドップラスペク トル累積手段を具備する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は血液散乱パワ算出装置に係り、特にサ イドローブ等により生体組織からの反射信号が血 液散乱信号に重なり、見掛け上血液散乱パワが大 きく測定されるのを効果的に除去して正確に血液 散乱パワを算出可能にしたものである。
例えば心臓内の血液に超音波を照射してその血 液散乱パワを測定することが超音波診断装置で研 究されている。血液散乱パワが個人差が少なく、 また血液のヘマトクリット値を測定することによ りその補正が可能であり、診断上有効な手段であ る血液散乱パワを計測することにより、血液とそ の血液が流れている回りの生体組織との散乱パワ の比を求めることにより生体組織の性質を定量的 に測定して正確な診断を行うことができ、また血 液散乱パワを、例えば心臓内の2個所で測定する ことにより、その中間部分の生体組織の減衰係数 を求めることができ、正確な診断を行うことがで きる。
このため血液散乱パワを正確に測定する必要が あり、特に血液散乱パワに比較して大きな値を有 する壁等の生体組織からの反射パワ等を除去して 血液散乱パワを測定することが必要である。
〔従来の技術〕
このため、従来では、第17図(A)に示す如 く、直交検波回路100、サンプル・ホールド回 路101、102、ハイパス・フイルタ103、 104、2乗回路105、106、加算回路10 7を具備し、第10図(C)に示す血液散乱パワ を得ていた。
即ち、超音波プローブの出力にもとづく超音波 反射信号を第17図(A)に示す直交検波回路1 00で受信し、乗算器108、109により90 度移相したcos信号、sin信号が乗算されて リアルとイマジナリ成分が得られ、これらの出力 がサンプル・ホールド回路101、102により サンプル・ホールドされる。そしてハイパスフィ ルタ103、104により、周波数の低い壁や弁 等の生体組織からの反射成分が除去されて速度の 速い血液からの散乱成分が抽出される。2乗回路 105、106によりそれぞれ2乗されたのち、 これらを加算回路107により加算して、第17 図(C)に示す如き血液散乱パワが得られる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、第17図(A)において、サンプル ・ホールド回路101、102により保持される ドップラ周波数成分(ドップラ信号)は、第17 図(B)に示す如く、血液散乱成分Pと壁や弁等 の反射成分Qを含んでいる。したがつて、これら サンプル・ホールド回路101、102に保持さ れるドップラ信号をハイパス・フィルタ103、 104を経由させて、動きの少ない壁や弁等の生 体組織からの成分を除去していた。
ところが時刻によつては心臓壁が速く動くとか、 弁にドップラ・サンプル・ボリュームがひっかか り弁を測定位置に設定することもあるので、これ らの動きよりも高い周波数にハイパス・フィルタ 103、104のカットオフ周波数を設定しなけ ればならなかった。即ち、第17図(B)に示す 如く、前記カットオフ周波数を±faに設定して、 壁や弁からの反射成分Qを除去しなければならな かった。
このため、区間T0、T2では、血液散乱成分 Pを大幅に削ってしまうことになり、血液散乱パ ワを実際よりも小さく見積もることになるとい問 題が存在した。
したがって本発明の目的は、血液散乱成分に極 力影響を与えることなく、生体組織からの反射成 分等の不要な成分を除去して血液散乱パワを算出 できる血液散乱パワ算出装置を提供することであ る。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するため、本発明では、第1図 に示す如く、超音波反射信号を直交検波回路1に 入力してリアル成分とイマジナリ成分である直交 した2種類のベースバンド信号を得る。そしてサ ンプル・ホールド回路2、3により所望の深さの ベースバンド信号をサンプル・ホールドし、これ らをドップラスペクトル算出回路4により高速フ ーリエ変換(FFT)し、2乗和してドップラス ペクトルを得る。
このようにして得られた、例えば第10図( B)に示す如きドップラスペクトルを、後述する 不要周波数範囲設定部6により、そのQで示す壁 や弁からの反射成分を除去し、その他をドップラ スペクトル累積部5で累積する。
〔作用〕
本発明によれば、時刻によりその周波数が変化 する反射成分Qを不要周波数範囲設定部6により 削除して、ドップラスペクトルを累積するので、 第17図(B)に示す特定の周波数範囲(±f a)を一律に除去するものと異なり、血液散乱成 分をカットしすぎることがなく、血液散乱パワを 従来よりも広い区間で安定に測定できる。
〔実施例〕
(1) 第1実施例 本発明の第1実施例を第2図〜第4図に基づき 説明する。
第2図は本発明の第1実施例構成図、第3図は そのドップラスペクトル累積部の詳細図、第4図 はその動作状態説明図である。
第2図において、第1図と同記号は同一部分を 示し、1は直交検波回路、2、3はサンプル・ホ ールド回路、4はドップラスペクトル算出回路、 5はドップラスペクトル累積部、6は不要周波数 範囲設定部、7はディスプレイである。
直交検波回路1は超音波反射信号を直交検波し て直交した2種類のベースバンド信号を得るもの であり、乗算器1−1、1−2を具備して90度 移相したcos信号、sin信号が乗算されてリ アル成分、イマジナリ成分が得られる。
ドップラスペクトル算出回路4はサンプル・ホ ールド回路2、3より出力された信号からドップ ラスペクトルを得るものであり、高速フーリエ変 換部4−1、2乗回路4−2、4−3、加算回路 4−4を具備する。
ドップラスペクトル累積部5は前記ドップラス ペクトル算出回路4から出力されたドップラスペ クトルをその周波数が不要周波数範囲設定部6に より指定された周波数範囲のものを除いたものを 累積するものであり、第3図に示す如く、不要周 波数指示部5−1、ゲート5−2、加算器5−3、 レジスタ5−4を具備する。不要周波数指示部5 −1は、不要周波数範囲設定部6から伝達された 演算不要の最高周波数fh(t)と、最低周波数 fl(t)により演算不要の周波数範囲fh( t)〜fl(t)に対して、ゲート5−2に例え ばゼロを出力してゲート5−2をオフに制御して、 fh(t)〜fl(t)の周波数範囲のドップラ スペクトルを加算器5−3に出力しない。また加 算器5−3の出力はレジスタ5−4で保持されて 再び加算器5−3の一方の入力値となりゲート5 −2から入力される値と加算され、このようなこ とを繰返してゲート5−2の出力すなわちドップ ラスペクトルを累積演算することができる。
不要周波数範囲設定部6は、ドップラスペクト ル加算を行わない不要周波数範囲を指定するもの であり、ポインテング・デバイス6−1、ポイン テング・デバイス状態読み取り回路6−2、最高 周波数用メモリ6−3、最低周波数用メモリ6− 4、切換スイッチSWを具備する。なお、ポイン テング・デバイス6−1として、例えばマウス、 トラックボール、ジョイステック等が使用される。
次に第2図の動作について説明する。
超音波反射信号が直交検波回路1に入力される と、その直交したベースバンド信号が出力され、 所望の深さのベースバンド信号がサンプル・ホー ルド回路2、3で保持、出力される。そしてこれ らの信号によりドップラスペクトル算出回路4に よりドップラスペクトルPD(f、t)が出力さ れ、ディスプレイ7に、例えば第4図(A)に示 す如き画面が表示される。このディスプレイ7に 表示されるドップラスペクトル画面は通常はスク ロール画面であるが、オペレータはこれをフリー ズ状態(静止状態)にし、図示省略した表示メモ リに保持し、切換スイッチSWの可動接点MCを 例えば固定接点CH側に接触させる。それからマ ウスの如きポインテング・デバイス6−1を使用 して不要周波数範囲である壁や弁からの反射成分 Qの上側部分のラインFHをカーソルでトレース する。このカーソル位置がポインテング・デバイ ス状態読み取り回路6−2により読み取られ、最 高周波数用メモリ6−3に、第4図(A)に示す 時刻t0〜t6の間におけるサンプリング時間Δ t毎の、多数のFHが順次記憶される。次に切換 スイッチSWの可動接点MCを固定接点CL側に 接触させて、ポインテング・デバイス6−1を使 用して不要周波数範囲である前記反射成分Qの下 側ラインFLをカーソルでトレースする。これに より最低周波数用メモリ6−4に第4図に示す時 刻t0〜t6の間におけるサンプリング時間Δt 毎の多数のFLが記憶される。
次に図示省略した表示メモリより、このドップ ラスペクトルPD(f、t)を第4図(A)に示 す左端の時刻t0の部分から順次出力し、これと 同期して最高周波数用メモリ6−3、最低周波数 用メモリ6−4、ドップラスペクトル累積部5を 動作させる。
したがって、図示省略した表示メモリより読み 出されたドップラスペクトルPD(f、t)は順 次ドップラスペクトル累積部5に伝達される。こ のとき、第3図に示すように、各サンプリング時 間毎の、−fmaxから+fmaxまでの周波数 信号が順次不要周波数指示部5−1に伝達される。
これと同期して、ゲート5−2にはドップラスペ クトルPD(f、t)の−fmaxから+fma xまでの範囲の周波数成分の値が順次入力される。
ところで不要周波数指示部5−1には、最高周波 数用メモリ6−3及び最低周波数用メモリ6−4 から各サンプリング時間毎の最高周波数fh及び 最低周波数flが伝達されているので、前記−f max〜+fmaxの周波数信号が伝達されたと き、それがfl〜fhの範囲にあるとき例えば 「0」を出力してゲート5−2をオフに制御し、 それ以外のとき「1」を出力してゲート5−2を オンにする。従ってゲート5−2により前記周波 数fl〜fhのドップラスペクトルがオフにされ、 それ以外の周波数成分のドップラスペクトルが、 ドップラスペクトル累積部5より、血液散乱パワ Pとして出力される。
例えば、第4図(A)における時刻t0では、 FH、FLで示される周波数fh、flの間のド ップラスペクトル成分を除いた残りの部分が累積 されて血液散乱パワとして出力される。
このようにして、t0〜t6間における各サン プリング時間毎に、その不要周波数部が除去され て血液散乱パワが得られるので、例えば、第4図 (B)に示す、t1〜t3区間及びt4−t5区 間の血液散乱パワが正確なものとなり、信頼のお けるデータ測定区間が非常に大きくなる。
ところで、前記説明では、ドップラスペクトル の値を輝度としてディスプレイ7に表示した例に ついて説明したが、色相表示することもできる。
例えば、第5図に示す如く、ドップラスペクトル を8ビット表示するとき、これをディスプレイ対 応のフレームメモリ8に保持し、ルックアップ・ テーブル9によりカラー信号を得る。いま、第5 図(A)に示す如く、8ビットオール1の255 の強さのとき赤(R)、8ビットオールゼロの0 のときブルー(B)、その中間をグレイとすると き、R、G、Bの強さをその8ビット入力に応じ 各グラフに示すように組み合わせ、これを第5図 (B)に示す如く、メモリ9−1に記入してルッ クアップ・テーブルとする。これによりドップラ スペクトルの8ビット入力すれば、その値に応じ た色相表示を行うことができる。なお、第5図 (A)に示す如く、ルックアップ・テーブル9− 0を輝度データで出力するように構成すれば、白 黒表示することができる。
このようにしてドップラスペクトル累積部5か ら得られる血液散乱パワP(t)は、 P(t)=ΣPD(f、t)+ΣPD(f、t) -fmax<f<fl(t)fh(t)<f<fmax で表わすことができる。
(2) 第2実施例 本発明の第2実施例を第6図及び第7図に基づ き説明する。
第6図は本発明の第2実施例構成図、第7図は その動作説明図である。
前記第1実施例の場合は、不要周波数範囲を、 例えばマウスの如きマニアル操作により行うが、 第2実施例の場合には自動的に不要周波数範囲を 定めるものである。
第6図において、第2図と同一記号は同一部分 を示し、5′はドップラスペクトル累積部、10 は比較部、11はインバータ、12は不要部分表 示抑正回路である。
比較部10は、前記壁や弁からの反射の如き不 要周波数範囲を指示するものである。ドップラス ペクトル算出回路4の出力は、サンプリング時間 でみると、例えば第7図に示す如く、−fmax から+fmaxまでのドップラ周波数のドップラ スペクトルである。即ち、第7図の横軸はドップ ラ周波数、縦軸はドップラスペクトルであり、第 7図は第4図(A)におけるa−a線部分の状態 を示している。
ところで、前述したように、血液散乱パワは小 さく、壁や弁などの生体組織からの反射パワは大 きい。したがって第7図に示す如く、閾値Tho を定めてこれより大きなドップラスペクトルの周 波数部分を除けば、血液散乱パワを正確に算出す ることができる。
即ち、第6図においては、ドップラスペクトル 算出回路4の出力はドップラスペクトル累積部5 ′のゲート5−2に伝達される。同時に比較器1 0にも伝達され、−fmax〜+fmaxの周波 数成分のドップラスペクトルが閾値Thoよりも 大きいか否か比較される。そして閾値Tho以上 のとき、比較器10は「1」を出力し、インバー タ11は「0」を出力し、ゲート5−2をオフに 制御する。
したがって、第7図におけるドップラ周波数f l〜fhの周波数範囲Wfのドップラスペクトル がゲート5−2によりオフになるので、ドップラ スペクトル累積部5′ではこの部分を除いて累積 演算が行われる。
なお、前記第7図のfl〜fhの範囲は、第4 図(A)における壁や弁等からの反射成分Qに相 当するものであり、第2実施例によれば、この部 分が自動的に除去された血液散乱パワP(t)が 自動的に得られることになる。
また、インバータ11が出力した「0」は、不 要部分表示抑圧回路12に伝達されてその部分を 輝度表示しないので、ディスプレイ7には、この 部分、即ち、第4図(A)に示す壁や弁等からの 反射成分Qが輝度表示されず、その範囲が黒いま まの状態のドップラ周波数−時刻のスクロール画 面が表示されることになる。
従って、第2実施例では、第1実施例のように、 反射成分Qをマウスの如きポインテング・デバイ スをフリーズされた図面をみてマニアル操作して 抽出する必要はなく、自動的にこの反射成分を抽 出することができ、ディスプレイ7にはスクロー ル画面を表示することができる。
(3) 第3実施例 本発明の第3実施例を第8図及び第9図に基づ き説明する。
第8図は本発明の第3実施例構成図、第9図は その動作説明図である。
前記第2実施例の場合は、第7図に示す如く、 ドップラスペクトル波形が閾値Thoを越えた部 分が1つの山の場合を示すものとして提案された。
しかしこのような状態のみではなく、第7図に 示すように、ボトムB1、B2…が存在する場合 がある。勿論ボトムは1個の場合もある。このよ うなとき、このボトムB1、B2の領域も含めた 周波数範囲Wf1を反射成分とみなして除去する 方が合理的と考えられる。したがって、第3実施 例ではこのようなことを可能とするものである。
このため、ドップラスペクトルを例えば、第9 図に示す−fmax→+fmax方向に処理する 場合には、第8図における比較器10より最初に 閾値Tho以上のドップラスペクトルのドップラ 周波数flを最低値検出部13に保持する。次に この閾値Tho以上のドップラスペクトルのドッ プラ周波数を順次最大値検出部14に書替えてゆ く。途中にボトムの存在のため閾値Thoより小 さなドップラスペクトルのドップラ周波数が存在 すれば、最大値検出部14に記入されたドップラ 周波数の書替えは行われない。そして再び閾値T ho以上のドップラスペクトルのドップラ周波数 が比較器10より検出されるとき、最大値検出部 14では書替えが行われる。このようにして第9 図に示す最低周波数flが最低値検出部13から 出力され、最高周波数fhが最大値検出部14よ り出力される。
勿論、+fmax→−fmax方向に処理が行 われるときは上記説明の逆となり、初めにfhが 検出されて最大値検出部14に保持されることに なる。
そしてこの最低周波数flと最高周波数fhが、 第3図に示す如く構成されている。ドップラスペ クトル累積部5に伝達されるので、第9図に示す 周波数範囲Wf1に対するドップラスペクトルの 累積加算は行われず、これらを除いた血液散乱パ ワが得られることになる。
また不要部分表示抑圧回路12′にこの最低周 波数flと最高周波数fhが伝達されるので、前 記周波数範囲Wf1を輝度表示せずに暗く表示し たものが、ディスプレイ7に表示されることにな る。
(4) 第4実施例 本発明の第4実施例を第10図及び第11図に 基づき説明する。
第10図は本発明の第4実施例構成図、第11 図はその動作説明図である。
前記各実施例の場合は、第11図において、ド ップラスペクトル波形が実質的に閾値Th0を越 えた部分を除去しようとするものである。しかし、 前記壁や弁の反射部分は、正確にはこの閾値Th0 以上の部分のみではなく、これ以下の部分も存 在する。第4実施例では、第11図において、閾 値Th0以上の部分を含む周波数範囲Wf2の部 分をドップラスペクトル累積演算しないように構 成することにより前記壁や弁の反射部分をほぼ完 全に除去するものである。
このため、第10図に示す如く、最低値検出部 13の出力を最低周波数減算部15により−Δf1 だけ周波数ポイント数を減少し、最大値検出部 14の出力を最大周波数加算部16により+Δf2 だけ周波数ポイント数を拡大する。すなわち、 最低値検出部13より、第11図に示すドップラ 周波数flが出力されるとこれが最低周波数減算 部15によりΔf1だけ減算され、第11図に示 すfl′が出力される。また最大値検出部14よ り、第11図に示すドップラ周波数fhが出力さ れると、これが最大周波数加算部16によりΔf2 だけ加算され、第11図に示すfh′が出力さ れる。したがって、第10図に示すドップラスペ クトル累積部5では、これらfl′とfh′を除 いた範囲での累積演算が行われる。このようにし て壁や弁の反射成分がほぼ完全に除去された、信 頼性の非常に高い血液散乱パワを演算することが できる。なお、前記減算される周波数ポイントΔ f1及び加算される周波数ポイントΔf2は、そ れぞれ実験により定めることができる。
(5) 第5実施例 本発明の第5実施例を第12図〜第14図に基 づき説明する。
第12図は本発明の第5実施例構成図、第13 図はその区間平均回路の詳細図、第14図はその 動作説明図である。
血液散乱パワの測定値としては、1点だけのデ ータではバラツキが存在するため、複数点のデー タを求め、平均値をとることが希望される。その ため、第5実施例では、第13図に示す如きディ スプレイ7に表示されたドップラ周波数画面より、 時刻ta〜tb、tc〜tdのように、壁や弁等 の反射成分Qを除いたとき、血液散乱成分Pが除 かれない時間のものを抽出して演算を行うように したものである。
第12図において、先ず切換えスイッチSWの 可動接点MCを有用範囲最低時刻保持部6−6側 の接点CLと接触させ、トラックボールやマウス の如きポインテング・デバイス6−1′にてPと Qが分離した点P1を入力すると、ポインテング ・デバイス状態読み取り回路6−2′がこれを解 読して時刻taを出力し、これを有用範囲最低時 刻保持部6−6に保持させる。次に可動接点MC を有用範囲最高時刻保持部6−5側の接点CHと 接触させ、同様にしてP2を入力する。これによ りポインテング・デバイス状態読み取り回路6− 2′がこれを解読して時刻tbを出力し、これを 有用範囲最高時刻保持部6−5に保持させる。そ れからオペレータがフリーズ状態を解除して、図 示省略した表示メモリよりこのドップラスペクト ルPDを出力し、ドップラスペクトル累積部5で 前記の如く血液散乱パワP(t)を演算され、区 間平均回路17に送出される。
区間平均回路17は、第14図の如く構成され ており、不要時刻指示部17−1には前記有用範 囲最低時刻保持部6−6及び有用範囲最高時刻保 持部6−5よりそれぞれtlowerとしてta、t higherとしてtbが出力されているので、不要時 刻指示部17−1はこのta〜tbの区間だけ 「1」を出力し、ゲート17−2をオンにして血 液散乱パワを加算器17−3を伝達し、レジスタ 17−4で一時保持し、これを加算器17−3の 他の入力としてta〜tbの区間の血液散乱パワ の累積加算を行う。
一方前記有用範囲最低時刻保持部6−6と有用 範囲最高時刻保持部6−5の出力taとtbは減 算器17−5に伝達されてその区間の時間が出力 され、これが回数算出部17−6においてサンプ リング時間Δtで割算され、taとtb間のサン プリング回数が割算部17−7に送出される。割 算部17−7には、レジスタ17−4より送出さ れたta〜tbの区間の血液散乱パワの累積加算 値が入力されているので、これによりta〜tb 間の平均血液散乱パワPavrが得られる。この 平均血液散乱パワPavrは下式で示すものとな る。
同様にして次に第13図のtc、tdがポイン テング・デバイス6−1で指示され、その平均血 液散乱パワが得られる。
勿論、第13図より、ta〜tb、tc〜td を入力し、これらの複数の各時刻を保持し、これ らにより一回の操作で各区間毎の平均血液散乱パ ワを求めることも可能である。
(6) 第6実施例 本発明の第6実施例を第15図及び第16図に 基づき説明する。
第15図は第6実施例の構成図、第16図はそ の動作説明図で示す。
前記第5実施例では有用な区間つまり有用時刻 範囲をフリーズ表示面からポインテング・デバイ スにより入力することが必要であるが、第6実施 例ではこれを自動的に選定するように構成したも のである。
第16図(A)に示す如く血液散乱パワP( t)が出力される場合、その大きな谷の部分や山 の部分は、血液からの反射信号が大きく除去され ているものと考えられ、信頼性のとぼしい部分と 考えられる。したがって、本発明の第6実施例で はこのような部分を自動的に削除しようとするも のである。
そのため、スライデングウインドウにより、第 16図(A)に示す如く、W1、W2、W3…と 血液散乱パワP(t)を切り出し、下記の式で得 られる分散算出を出力する。
であり、Nはこのウインドウ内のサンプリング数 である。
このようにして、第16図(B)に示す如く、 分散出力が得られるので、これを閾値Th1と比 較して、その大きな部分が信頼性のとぼしい部分 と判断される。これにより第16図(C)に示す 如きパルス出力を得て、その立上がりのt2をtl ower、立下りのt3をthigherとしてこのt2 〜t3を有用な区間と判断してこの区間内の血液 散乱パワの平均値を求めるものである。このよう なことをスクロール図面にもとづき順次行うこと になる。
即ち、第6実施例では、第15図に示す如く、 ドップラスペクトル累積部5より得られた血液散 乱パワ信号P(t)を分散算出回路18にも伝達 し、分散算出回路18において前記のスライデン グウインドウにもとづき分散算出を行い、この分 散算出出力を比較器19に送出して、第16図 (B)に示す閾値Th1と比較して有用範囲最低 時刻(tlower)t2と有用範囲最高時刻(th igher)t3を出力する。これらの各時刻はそれぞ れ有用範囲最低時刻保持部20、有用範囲最高時 刻保持部21に保持され、別に血液散乱パワP (t)が入力されている区間平均回路19′に伝 達される。
区間平均回路19′は、前記第14図に示した ものと同様に構成されており、かくして有用な時 刻範囲のみの平均血液散乱パワPavrが自動的 に得られるものとなる。
なお、上記説明では、ドップラスペクトルの値 を、ディスプレイ上で輝度あるいは色相画像とし て表示する側について説明したが、勿論3次元プ ロット等で表示することもできる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、ドップラスペクトル上の血液 の成分を極力保存した状態で、例えば心臓の壁、 弁などの反射成分のみを除去したうえで血液散乱 パワが算出できる。このため、本発明では、正確 な血液散乱パワを算出でき、さらには生体組織の 特徴付けを正確に行うことが可能となり、確実な 診断に寄与するきころが大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理図、 第2図は本発明の第1実施例構成図、 第3図はドップラスペクトル累積部の構成図、 第4図は第1実施例の動作説明図、 第5図がディスプレイにおけるカラー表示説明 図、 第6図は本発明の第2実施例構成図、 第7図は第2実施例の動作説明図、 第8図は本発明の第3実施例構成図、 第9図は第3実施例の動作説明図、 第10図は本発明の第4実施例構成図、 第11図は第4実施例の動作説明図、 第12図は本発明の第5実施例構成図、 第13図は第5実施例動作説明図、 第14図は区間平均回路の構成図、 第15図は本発明の第6実施例構成図、 第16図は第6実施例の動作説明図、 第17図は従来例を示す。 1…直交検波回路 2、3…サンプル・ホールド回路 4…ドップラスペクトル算出回路 5…ドップラスペクトル累積部 6…不要周波数範囲設定部