JPH10262970A - 超音波カラードプラ断層装置 - Google Patents

超音波カラードプラ断層装置

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JPH10262970A
JPH10262970A JP6589998A JP6589998A JPH10262970A JP H10262970 A JPH10262970 A JP H10262970A JP 6589998 A JP6589998 A JP 6589998A JP 6589998 A JP6589998 A JP 6589998A JP H10262970 A JPH10262970 A JP H10262970A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超音波ドプラ法に拠る断層面の運動情報の分布
情報から加速度やその他、運動時相、速度の位相解析な
どの物理的情報を迅速に演算し、適宜な態様で表示し
て、運動情報の検出構成を必要最小限に抑えながら、器
官の運動状態を多方面から定量的に解析できるようにす
る。 【解決手段】被検体の断層面を超音波ビームで走査する
とともに超音波エコーに対応した電気量のエコー信号を
得る手段(12、15、20、21)と、エコー信号に
基づき断層面のサンプル点の運動速度の分布情報をフレ
ーム毎に順次演算する手段(22)と、運動速度の分布
情報をフレーム間で差分演算して当該断層面内の運動す
る器官の運動加速度の分布情報を演算する手段(55)
と、運動加速度の分布情報を2次元カラー断層像として
表示する手段(24、25、18、19)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、心筋梗塞、狭心症な
どの虚血性心疾患、肥大型心筋症などの左室拡張障害、
WPW症候群などの刺激伝導系の異常などを有効に診断
できる超音波カラードプラ断層装置に係り、とくに、心
筋(心臓壁)や血管壁の運動速度をドプラ法を用いて検
出し、その運動速度から運動の種々の物理量や統計量を
演算・解析し、その結果を適宜な態様で表示できる超音
波カラードプラ断層装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、心臓や血管の機能を定量的に評価
することは、心臓病の診断にとって必須となっており、
各種の診断方法が試みられている。
【0003】この内、超音波による診断においては、例
えば心臓左室のリアルタイムのBモード断層像を観察す
ることで、行われることが多かった(左室は心臓の機能
評価の中心になる)。この観察によって、上述した虚血
性心疾患、左室拡張障害、刺激伝導系の異常などがかな
り重度の場合、ある程度の診断が可能ではある。しか
し、例えば、虚血性心疾患における局所的な収縮能低下
部位の検出、左室拡張障害の客観的診断、及び、刺激伝
導系の異常壁運動の位置と広がりの検出などについて、
詳細な情報を得ることは実際上、困難であった。
【0004】そこで、この困難を打破すべく、虚血性心
疾患に対しては専用の左室壁運動解析法がある。この解
析法は、左室の収縮期と拡張期における心筋の厚みの変
化を測定して、厚みの変化が少ない部位を「収縮能が低
下した部位」、即ち「虚血部位」と診断するものであ
る。この解析のアルゴリズムには種々の方式が考えられ
ているが、それらのアルゴリズムを実施するには、収縮
末期及び拡張末期における、Bモード断層像からの左室
心内膜又は心外膜のトレースが必要になる。
【0005】また、心筋梗塞を診断する方法として、ス
トレスエコー法も知られている。この診断方法は、運
動、薬物、電気刺激などにより心臓に負荷を与え、この
負荷の前後における心臓の超音波断層像(Bモード像)
を夫々録画しておく。そして、負荷をかける前と後の画
像を一つのモニタに並列に表示し、心臓の収縮期と拡張
期における心筋の厚みの変化(心筋は通常、収縮期に厚
くなる)を比較し、梗塞部位を検出するものである。こ
の検出にも、画像上で心筋の内壁や外壁、さらには心筋
の中心線をトレースして、その輪郭情報を得る必要があ
る。
【0006】上述したトレースは、従来は殆どの場合、
キーボードやトラックボ−ルをマニュアル操作してRO
Iを動かすことで行っている。このマニュアル操作に
は、多大な労力と操作時間が必要となり、リアルタイム
処理は不可能である上、再現性も悪い。
【0007】そこで、Bモード断層像の画像データから
心筋の輪郭を自動的にトレース(抽出)する手法も考え
られている。このトレース法は、心筋とその周辺の部位
とのエコーレベルが違う(心筋からのエコーレベルの方
がその周辺部位からのそれよりも大きい)ことを利用す
るものである。つまり、図64(a)に示すように、エ
コーレベルに一定の域値を設定し、この域値と同レベル
のエコー信号の位置を輪郭線として抽出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た自動トレース法にあっては、受信信号の増幅率(ゲイ
ン)を変えると、図64(a),(b)に示す如く、輪
郭線として抽出される位置がずれてしまう(同図(b)
中のずれS1参照)。このため、Bモード断層像を使っ
て心筋の輪郭をリアルタイム且つ高精度に自動抽出する
ことは今だ困難を極めていた。
【0009】ましてや、前述した左室拡張障害の客観的
診断、及び、刺激伝導系の異常壁運動の位置と広がりの
検出についても、超音波診断装置を用いた有用且つ簡便
な診断法は未だ確立されていない。
【0010】この発明は、上述した従来の問題に鑑みて
なされたもので、超音波信号を用いて心筋や血管壁の運
動情報をほぼリアルタイムに取得・表示して、それら器
官の機能低下を定量的且つ高精度に評価できるようにす
ることを目的とする。とくに、超音波ドプラ法に拠る断
層面の各サンプル点の運動情報の分布情報から加速度や
その他、運動時相、速度の位相解析などの物理的情報を
迅速に演算し、適宜な態様で表示することにより、運動
情報の検出構成を必要最小限に抑えながら、診断対象の
器官の運動状態を多方面から定量的に解析できるように
することを目的とする。また、それらの物理情報に対す
る計測機能をも充実させて、医用診断ツールとしての高
機能化を図ることも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、この発明に係る超音波カラードプラ断層装置は以下
の構成を備える。
【0012】第1の態様として、この超音波カラードプ
ラ断層装置は、被検体の断層面を超音波ビームで走査す
るとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコー
に対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前記
エコー信号に基づき前記断層面のサンプル点の運動速度
の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
と、前記運動速度の分布情報をフレーム間で差分演算し
て当該断層面内の運動する器官の運動加速度の分布情報
を演算する加速度演算手段と、前記運動加速度の分布情
報を2次元カラー断層像として表示する表示手段とを備
えたことを特徴とする。
【0013】また第2の態様では、この超音波カラード
プラ断層装置は、被検体の断層面を超音波ビームで走査
するとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコ
ーに対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前
記エコー信号に基づき前記断層面のサンプル点の運動速
度の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
と、前記運動速度の分布情報から前記断層面内で周期的
に運動する器官の運動速度の時相の分布情報を解析する
運動時相解析手段と、この運動速度の時相分布情報の解
析結果を画像として表示する表示手段とを備えたことを
特徴とする。
【0014】例えば、前記被検体の心電図情報を収集す
る心電図情報収集手段を備え、前記運動時相解析手段は
前記心電図情報の特定の波形に同期して前記器官の運動
速度の時相を解析する手段である。
【0015】また、前記表示手段により表示された前記
運動速度の時相を表す画像上にROI(関心領域)を設
定するROI設定手段と、前記ROI内の前記時相デー
タを用いて前記器官の運動速度の時相を表す運動情報を
演算する運動情報演算手段と、前記運動情報を表示する
運動情報表示手段とを備えてもよい。
【0016】さらに第3の態様によれば、この超音波カ
ラードプラ断層装置は、被検体の断層面を超音波ビーム
で走査するとともに当該超音波ビームの反射に因る超音
波エコーに対応した電気量のエコー信号を得る走査手段
と、前記エコー信号に基づき前記断層面の各サンプル点
の運動速度の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度
演算手段と、前記運動速度の分布情報をフレーム間で差
分演算して当該断層面の各サンプル点の運動加速度の分
布情報を演算する加速度演算手段と、前記運動加速度の
分布情報から前記断層面で周期的に運動する器官の運動
加速度の時相の分布情報を解析する運動時相解析手段
と、この運動加速度の時相分布情報の解析結果を画像と
して表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】この場合、好適な一例は、前記被検体の心
電図情報を収集する心電図情報収集手段を備え、前記運
動時相解析手段は前記心電図情報の特定の波形に同期し
て前記器官の運動加速度の時相を解析する手段である。
【0018】さらに、前記表示手段により表示された前
記運動加速度の時相分布情報を表す画像上にROI(関
心領域)を設定するROI設定手段と、前記ROI内の
前記時相データを用いて前記器官の運動加速度の時相を
表す運動情報を演算する運動情報演算手段と、前記運動
情報を表示する運動情報表示手段とを備えていてもよ
い。
【0019】さらに第4の態様によれば、この超音波カ
ラードプラ断層装置は、被検体の断層面を超音波ビーム
で走査するとともに当該超音波ビームの反射に因る超音
波エコーに対応した電気量のエコー信号を得る走査手段
と、前記エコー信号に基づき前記断層面の各サンプル点
の運動速度の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度
演算手段と、前記フレーム毎の前記運動速度の分布情報
から前記断層面内の周期的に運動する器官の運動速度の
位相の分布情報を解析する運動速度位相解析手段と、こ
の運動速度の位相分布情報の解析結果を画像として表示
する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】この一例に係る構成は、前記運動速度位相
解析手段は、前記運動速度の第n次周波数(n=1,
2,…)の位相角および振幅の内の少なくとも一方を求
める手段である。
【0021】さらに、前記表示手段により表示された前
記運動速度の位相を表す画像上にROI(関心領域)を
設定するROI設定手段と、前記ROI内の前記位相デ
ータを用いて前記器官の運動速度の位相を表す運動情報
を演算する運動情報演算手段と、前記運動情報を表示す
る運動情報表示手段とを備えることもできる。
【0022】
【作用】第1の態様に係る超音波ドプラ断層装置では、
被検体の断層面が超音波ビームで走査され、その超音波
ビームの反射に因る超音波エコーに対応した電気量のエ
コー信号が得られる。エコー信号に基づき断層面のサン
プル点の運動速度の分布情報がフレーム毎に順次演算さ
れ、その運動速度の分布情報がフレーム間で差分演算さ
れて断層面内の、心筋などの運動器官の運動加速度の分
布情報が演算され、その運動加速度の分布情報が2次元
カラー断層像として表示される。
【0023】また第2の態様に拠る超音波カラードプラ
断層装置では、被検体の断層面が超音波ビームで走査さ
れ、その超音波ビームの反射に因る超音波エコーに対応
した電気量のエコー信号が得られる。エコー信号に基づ
き断層面のサンプル点の運動速度の分布情報がフレーム
毎に順次演算され、その運動速度の分布情報から断層面
内で周期的に運動する器官(例えば心筋や血管壁)の運
動速度の時相の分布情報が解析され、この解析結果が画
像として表示される。
【0024】さらに第3の態様の超音波カラードプラ断
層装置においては、被検体の断層面が超音波ビームで走
査されて、そのビームの反射に因る超音波エコーに対応
した電気量のエコー信号が得られる。エコー信号に基づ
き断層面の各サンプル点の運動速度の分布情報がフレー
ム毎に順次演算され、その運動速度の分布情報がフレー
ム間で差分演算されて断層面の各サンプル点の運動加速
度の分布情報が演算され、さらに、運動加速度の分布情
報から断層面で運動器官(心筋など)の運動加速度の時
相の分布情報が解析され、この解析結果が画像として表
示される。
【0025】さらに第4の態様の超音波カラードプラ断
層装置の場合、被検体の断層面が超音波ビームで走査さ
れ、超音波ビームの反射に因る超音波エコーに対応した
電気量のエコー信号が得られる。エコー信号に基づき断
層面の各サンプル点の運動速度の分布情報がフレーム毎
に順次演算され、さらに、フレーム毎の運動速度の分布
情報から断層面内の周期的に運動する器官(心筋など)
の運動速度の位相の分布情報が解析され、その解析結果
が画像として表示される。
【0026】これにより、超音波ドプラ法により求めた
断層面の速度分布情報から加速度やその他、運動時相、
速度の位相解析などの物理的情報などを迅速に求め、適
宜な態様で表示することができる。
【0027】
【実施例】最初に、各実施例に共通する超音波ドプラ法
の原理について説明する。この原理は、これまで血流計
測に用いられたきたものと同様である。図2に示す如
く、速度Vで運動している物体Pに向けて超音波プロー
ブから周波数f0 の超音波を照射すると、物体での反射
超音波の周波数はドプラ効果に因り偏移する。この反射
超音波の周波数をf1 とすると、ドプラ偏移周波数fd
(=f1 −f0 )はおよそ次式で近似できる。
【0028】
【数1】 ここで、Cは生体内における音速、θは物体Pの移動方
向と超音波ビームのなす角度(移動物体に対する超音波
ビームの入射角)である。
【0029】上記(1)式から、物体の移動速度Vは、
【数2】 となる。つまり、ドプラ偏移周波数fd が分かれば、物
体の移動速度Vを(2)式から求めることができる。
【0030】ここで留意すべきは、ドプラ偏移周波数に
寄与して検出できるのは超音波ビーム方向の速度成分
「V・cos θ」のみであり、超音波ビームに直角な方向
の速度成分は検出できないことである。そして、(2)
式から速度Vを求めるためには、角度θ(≠90°)を
後述するように何らかの方法で推定する必要がある。
【0031】以下、この発明の実施例を図面を参照して
説明する。
【0032】(第1実施例)図3〜図8に基づき第1実
施例を説明する。この第1実施例は、心筋(心臓壁)の
カラードプラ画像を得る場合に適用したものである。
【0033】図3には、第1実施例の超音波カラードプ
ラ断層装置のブロック構成を示す。図に示すように、こ
の超音波カラードプラ断層装置10は、被検者との間で
超音波信号の送受信を担う超音波プローブ11と、この
超音波プローブ11を駆動し且つ超音波プローブ11の
受信信号を処理する装置本体12と、この装置本体12
に接続され且つ心電情報を検出するECG(心電計)1
3と、装置本体12に接続され且つオペレータからの指
示情報を装置本体に出力可能な操作パネル14とを備え
る。
【0034】装置本体12は、その扱う信号経路の種別
に拠り超音波プローブ系統、ECG系統及び操作パネル
系統に大別することができる。超音波プローブ系統とし
ては、超音波プローブ11に接続された超音波送受信部
15を備え、この超音波送受信部15の出力側に配置さ
れたBモード用DSC(デジタルスキャンコンバータ)
部16、Bモード用フレームメモリ(FM)17、メモ
リ合成部18及び表示器19を備える一方、同じく超音
波プローブ11に接続された、カラードプライメージン
グのための位相検波部20、フィルタ部21、周波数解
析部22、ベクトル演算部23、カラードプラ用DSC
部24、及びカラードプラ用フレームメモリ25を備え
ている。また、ECG系統としては、ECG13に接続
されたECG用アンプ40を備え、このアンプ40の出
力側に接続されたトリガ信号発生器41及び参照データ
メモリ42を備える。さらに、操作パネル系統として
は、操作パネル14からの操作情報を入力するCPU
(中央処理装置)43と、このCPU43の管理下に置
かれるタイミング信号発生器44とを備える。なお、C
PU43は、オペレータが操作パネル14を介して指令
したROI(関心領域)の設定信号を、ROI設定に必
要な各構成に供給できるようになっている。
【0035】この実施例にあっては、超音波プローブ1
1及び超音波送受信部15が本発明の走査手段を形成
し、位相検波部20、フィルタ部21、周波数解析部2
2及びベクトル演算部23が本発明の速度演算手段を形
成している。また、カラードプラ用DSC部24、カラ
ードプラ用フレームメモリ25、メモリ合成部18及び
表示器19が本発明の表示手段を形成している。
【0036】超音波プローブ11は、短冊状の複数の圧
電振動子を配列させたトランスデューサを内臓してい
る。各圧電振動子は、超音波送受信部15からの駆動信
号によって励振できる。各駆動信号の遅延時間を制御す
ることにより、スキャン方向を変更してセクタ電子走査
可能になっている。超音波送受信部15の遅延時間パタ
ーンは、後述するタイミング信号発生器44から送られ
てくる基準信号を基準時として、CPU43により制御
される。超音波送受信部15は、スキャン方向に対応し
て遅延時間パターンが制御された駆動電圧信号を超音波
プローブ11に出力する。この駆動電圧信号を受けた超
音波プローブ11は、そのトランスデューサにおいて電
圧信号を超音波信号に変換する。この変換された超音波
信号は、被検者の器官に向けて送波される。この送波さ
れた超音波信号は、心臓を含む各組織で反射され、再び
超音波プローブ11に戻ってくる。そこで、プローブ1
1内のトランスデューサでは反射超音波信号が再び電圧
信号(エコー信号)に変換され、そのエコー信号は超音
波送受信部15に出力される。
【0037】上記超音波送受信部15の信号処理回路
は、送信時と同様に、入力したエコー信号に遅延をかけ
て整相加算し、スキャン方向に超音波ビームを絞ったの
と等価なエコービーム信号を生成する。この整相加算さ
れたエコービーム信号は、検波された後、Bモード用D
SC部16に出力される。このDSC部16は超音波走
査のエコーデータを標準テレビ走査のデータに変換し、
メモリ合成部18に出力する。また、これと並行して、
Bモード用DSC部16は、任意の心時相における複数
枚の画像データをBモード用フレームメモリ17に記憶
させる。
【0038】一方、超音波送受信部15で処理されたエ
コー信号は、位相検波部20にも出力される。位相検波
部20はミキサとローパスフィルタを備える。心筋のよ
うな運動をしている部位で反射したエコー信号は、ドプ
ラ効果によって、その周波数にドプラ偏移(ドプラ周波
数)を受けている。位相検波部20はそのドプラ周波数
について位相検波を行い、低周波数のドプラ信号のみを
フィルタ部21に出力する。
【0039】フィルタ部21は、運動速度の大きさが
「心筋<弁<血流」の関係にあることを利用して(図4
参照)、位相検波されたドプラ信号から、心臓壁以外の
弁運動、血流などの不要なドプラ成分を除去し、超音波
ビーム方向の心筋のドプラ信号を効率良く検出する。こ
の場合、フィルタ部21はローパスフィルタとして機能
する。
【0040】上記フィルタ部は既に実用化されている、
血流情報を得るためのカラードプラ断層装置にも搭載さ
れているものである。この血流情報を得るカラードプラ
断層装置の場合には、血流と心臓壁、弁運動とのドプラ
信号が混在した信号に対してハイパスフィルタとして機
能させ、血流以外のドプラ信号を除去している。このた
め、フィルタ部は装置の目的に応じてローパスフィルタ
とハイパスフィルタとを切換可能にすることで汎用性を
高めることができる。
【0041】フィルタ部21でフィルタリングされたド
プラ信号は、次段の周波数解析部22に出力される。周
波数解析部22は、例えば超音波ドプラ血流計測で用い
られている血流信号(ドプラ信号)の代表的な周波数分
析法である、FFT法及び自己相関法を応用するもので
あり、個々のサンプルボリュームにおける観測時間(時
間窓)内での平均速度や最大速度を演算する。具体的に
は、例えば、FFT法又は自己相関法を用いて各サンプ
ル点(各サンプルボリューム位置)の平均ドプラ周波数
(即ち、その点での観測対象の運動の平均速度)や分散
値(ドプラスペクトラムの乱れ度)を、さらにはFFT
法を用いてドプラ周波数の最大値(即ち、その点での観
測対象の運動の最大速度)などをリアルタイムで演算す
る。このドプラ周波数の解析結果はカラードプラ情報と
して次段のベクトル演算部23に出力される。
【0042】ベクトル演算部23は、心筋などの運動の
絶対速度(ここでは、例えば図2に示すように、物体の
運動方向の速度Vそれ自体を言い、2次元の座標系にお
けるベクトル量(大きさ及び方向を有する))を例えば
下記の方式で推定演算するものである。
【0043】前述したように、超音波ドプラ法により直
接検出される移動物体の速度は、超音波ビーム方向の速
度成分「V・cos θ」である。しかし、実際に得たい速
度は、絶対速度Vである。この絶対速度ベクトルの推定
方式には、(i) 移動物体の目標位置に向けて、開
口位置及び入射角の異なる2方向から超音波ビームを個
別に照射し、各々のビーム照射で得られるドプラ偏移周
波数に基づいて推定する方式、(ii) 開口は同一で
あって照射方向が僅かに異なる2方向の超音波ビームの
ドプラ偏移周波数(動径成分)からビームに直角の方向
の成分(接線成分)を求め、係る絶対速度ベクトルを推
定する方式など、種々のものがある。これらの推定方式
は超音波ドプラ血流計測装置に用いられているが、心筋
及び血管壁の運動速度ベクトルの推定にも応用できる。
ここでは、(i)の推定方式を図5、6に基づいて説明
する。
【0044】図5において、開口1及び開口2で得られ
るドプラ偏移周波数から推定可能な各超音波ビーム方向
の速度成分Vd1,Vd2は、移動物体の絶対速度Vに
対して、
【数3】 の関係が成り立つ。これらの関係は図6のように表され
る。図6において、
【数4】 である。また、三角形ΔADEとΔBCEは相似形であ
るから、
【数5】 であり、
【数6】 であるから、
【数7】 となる。したがって、線分AB、即ち絶対速度Vは、
【数8】 により求められる。即ち、2つの開口からの超音波ビー
ムの成す角度φが既知であれば、2つのドプラ出力Vd
1,Vd2から絶対速度Vを入射角に無関係に決定する
ことができる。
【0045】そして、(3)式から絶対速度Vが求めら
れると、
【数9】Vd1=V・cosθ1 より
【数10】 θ1=cos−1(Vd1/V) ……(4) が得られ、絶対速度Vの方向が決定される。
【0046】以上のようにして絶対速度Vを演算できる
ことから、超音波送受信部15は、上述した2方向から
の超音波ビームの送受信に対応すべく遅延及び開口制御
を行うようになっている。これに呼応して、周波数解析
部22からは、上記片方ずつの超音波ビームの送受信に
対応したドプラ出力Vd1,Vd2が交互にベクトル演
算部23に出力される。ベクトル演算部23では、上記
(3)式及び(4)式の演算がサンプルボリューム毎に
行われる。
【0047】なお、上記速度ベクトルの推定には他の方
式も使うこともできる。一般に推定精度、リアルタイム
性、回路規模(即ちコストや大形化)は各々トレードオ
フの関係にある。
【0048】上述したように各サンプルボリューム毎に
演算された絶対速度ベクトルVのデータは、次段のカラ
ードプラ用DSC部24に出力される。カラードプラ用
DSC部24は、走査方式変換用のDSC24aと速度
データをカラー化するためにルックアップ用テーブルを
備えたカラー回路24bとを備えている。このため、ベ
クトル演算部23にて演算された2次元の絶対速度ベク
トルは、DSC24aで超音波走査信号が標準テレビ走
査信号に変換されると共に、カラー回路24bでカラー
表示用データに変換され、その変換信号が前記メモリ合
成部18に出力される。
【0049】ここで、上記カラー回路24bで処理され
る心筋速度のカラー表示方式について触れる。このカラ
ー表示を大別すると、(i)速度の大きさ(絶対値)の
表示、(ii)運動の方向と速度の大きさの表示、(i
ii)運動の方向の表示、に分けられる。(i)の表示
法としては、a:単色で大きさに応じて輝度を変える、
b:大きさに応じて色を変える、がある。(ii)の表
示法については、方向を色で示し、大きさを輝度で示す
方法があり、この内、方向については、得られる速度情
報の態様に応じて、適用可能な表現法が制限される。こ
こでは、カラードプラ用DSC部24のカラー回路24
bにおいて、図7に示したように、カラーが決められ
る。即ち、従来知られている超音波ビームに近づく運動
を赤、超音波ビームから遠ざかる運動を青で示す方法に
対応させて、心筋の収縮運動を赤、心筋の拡張運動を青
で示し、且つ、その絶対値が大きくなるにしたがって明
るい赤又は明るい青で(輝度を上げる)示すようにした
ものである。
【0050】また、カラードプラ用DSC部24のDS
C24aはさらに、任意の心時相における複数枚のカラ
ードプラ画像をカラードプラ用フレームメモリ25に記
憶させる。
【0051】一方、前述したECG13は被検者の各心
時相の心電図情報を検出するようになっている。この検
出信号は、ECG用アンプ40を経てトリガ信号発生器
41及び参照データメモリ42に各々出力される。この
内、参照データメモリ42は各心時相における心電図情
報を記憶しておき、必要に応じて必要な情報をメモリ合
成部18に供給する。トリガ信号発生器41は、各心時
相のタイミング情報を前記タイミング信号発生器44に
知らせるようになっている。タイミング信号発生器44
は、通常、操作パネル14からの指示に応じて超音波送
受信部15における遅延時間パターンを制御するCPU
43のコントロール下にあるが、トリガ信号発生器41
から各心時相のタイミングが告知されると、超音波送受
信部15に対して超音波送受のための基準信号を発振す
る。
【0052】上述したようにメモリ合成部18には、B
モード用DSC部18から出力されたBモード画像信
号、カラードプラ用DSC部25から出力されたカラー
ドプラ断層モードの画像信号、さらには必要に応じて前
記参照データメモリ42からの心電図情報が入力するよ
うになっている。メモリ合成部18では、それらの入力
信号データが重畳され、その重畳データが表示器19に
出力される。表示器19はここではCRTで成る。
【0053】この結果、血流や弁のドプラ信号は既にフ
ィルタ部21でカットされているから、表示器19には
心臓のBモード断層像(白黒階調)と、心筋の動きを図
6に示すカラースケールで色分けしたカラー画像とを重
畳させた断層像が、例えば図8に示すように(同図にお
いてハッチング部分が心筋HMを示す)表示される。つ
まり、図8に示す心筋HMのカラーは収縮運動時には
赤、拡張運動時には青となり、その赤、青が周期的に且
つリアルタイムに繰り返される。しかも収縮、拡張運動
の最中における運動速度の変化は、赤又は青の輝度変化
によってリアルタイムに表現される。よって、心筋HM
の運動速度、とくに、その運動方向の絶対速度をカラー
でほぼリアルタイム且つ精度良く表示させることがで
き、心臓の機能低下を定量的且つ高精度に評価するため
の基礎画像を取得できる。
【0054】なお、上記実施例における診断装置はBモ
ード用とカラードプラ用の2種類のフレームメモリ1
7、25を備えているため、必要に応じて、スローモー
ション再生、コマ送り再生などのシネループ再生や動画
再生を行ったり、心時相が異なる画像をBモード用とカ
ラードプラ用とで個別に或いは並列に表示させることが
できる。
【0055】また、上記断層装置には、心筋の動きをド
プラ表示させるためのドプラフィルタやFFT(高速フ
ーリエ変換)周波数分析器を付加することもできる。
【0056】さらに、上記実施例では心筋カラードプラ
画像を重畳させる画像がBモード断層像であり、また診
断対象が心臓である構成について説明してきたが、この
発明は必ずしもそのような構成に限定されるものではな
い。例えば、Bモード像の代わりに、Mモード像であっ
てもよいし(この場合には、Bモード像取得のための各
構成要素をMモード像のそれに置換すればよい)、心筋
の代わりに血管壁を診断してもよい(この場合には、フ
ィルタ部21のカットオフ周波数を血管壁用に合わせ
る)。また、それらBモード像やMモード像を重畳しな
いで、カラードプラ像のみを単独で表示させてもよい。
【0057】さらに、通常のBモード断層装置及びカラ
ーフローマッピング装置で見られるように、心電図など
の生体信号との対応を明確にするため、生体信号波形の
同時表示や、心電図R波などからの時間差表示を行って
もよい。
【0058】さらにまた、上記実施例では心筋の各サン
プルボリュームにおける絶対速度Vをベクトル量として
演算したが、その絶対速度Vの超音波ビーム方向の速度
成分Vdを心筋運動の速度としてカラー表示することも
でき、これによっても心筋の運動状態を良好に把握で
き、しかも装置を簡単にすることができる。そのための
装置のブロック図を図9に示す。同図のブロック構成に
よれば、周波数解析部22の出力データが直接カラード
プラ用DSC部24に供給されており、その他は図3の
ものと同一になっている。
【0059】一方、上記第1実施例の構成を用いた変形
例を図10に示す。この変形例は、正常な心拍と異常な
心拍の画像の同時表示を行うもので、参照データメモリ
42にて、例えば心電図R波の間隔時間を計測し、その
結果に拠り正常な心拍と異常な心拍を区別する。そし
て、Bモード用DSC部16及びカラードプラ用DSC
部24から出力された正常心拍のデータ及び異常心拍の
データをメモリ合成部18で合成し、それらを表示器1
9に出力させる。この結果、例えば図10に示すよう
に、正常心拍時と異常心拍時における絶対速度のカラー
画像が同時に表示されるから、両者の違いを比較検討し
易くなる。
【0060】さらに、上記第1実施例の構成を用いた別
の変形例を図11に示す。この変形例は、心電同期によ
る速度の重書き表示に関する。超音波ビーム走査に係る
単一フレームには、心筋のスペックルに因り、本来同じ
速さで運動している筈の心筋の画像内に黒抜けが現れ、
構造及び速度を認識する上で邪魔になることがある。そ
こで、カラードプラ表示に係る走査線間隔を狭めて分解
能を上げ、心電同期でカラー領域をずらしながら、メモ
リ上でその速度データを重書きする。例えば、図11に
示すように、1フレームを22.5°ずつずらして4分
割された最初の領域DV1を、最初の4回のスキャンの
スキャンデータを重書きして形成する。次いで、4分割
中の2番目の領域DV2を、次の4回のスキャンのスキ
ャンデータを重書きして形成する。同様に、4分割中の
3番目、4番目の領域DV3,DV4についても同様に
繰り返す。これにより、十分実用的な16心拍で1画像
が完結することになり、完結した画像は1心周期のシネ
ループ再生により表示される。以上の処理は、タイミン
グ信号発生器29及びカラードプラ用フレームメモリ2
4を中心として行われる。このように心時相が同じフレ
ームのデータを使って、同一領域を例えば4回重書きす
ることにより、心筋のスペックルに因る黒抜けを殆ど完
全に防止でき、画像の品質を上げることができると共
に、カラー領域をずらしながら走査してそれらを合成す
る手法により、従来と同様に心筋の全領域をカバーした
画像が得られる。
【0061】さらに、第1実施例の構成を用いた別の変
形例を図12に示す。この変形例は、心臓の収縮、拡張
運動をしない部分(例えば心臓骨)をリファレンス点と
し、各ボリュームサンプル点での検出速度から、そのリ
ファレンス点の速度を差し引いた値を心筋の真の運動速
度とするものである。この処理は周波数解析部22又は
ベクトル演算部30に行わせるもので、その内容は図1
2に示すように、表示器19にオペレータが設定したR
OI(このROIは例えば心臓骨の部分に設定される)
の範囲内での平均速度又は最大速度をVrefとし、各
サンプル点での検出速度からその速度Vrefを差し引
いた値を演算するものである。この処理を実施するよう
に構成すれば、より精度の高い速度データが得られる。
【0062】さらに、第1実施例における別の変形例を
図13に基づき説明する。この変形例はランダム性ノイ
ズの除去を目的としている。このノイズ除去は例えばメ
モリ合成部18で実施するもので、心臓の超音波断層像
において、心筋のエコーレベルが他の部位に比べて大き
いことを利用する。つまり、Bモード画像の輝度がある
域値以上の領域(例えば図13(b)ではA1の範囲)
を抽出し、この抽出領域のみについて運動速度に関する
カラー表示を行わせる。これにより、例えば図13
(a)の例では、カラードプラ用DSC部24から出力
されたオリジナルの速度データの内、領域A1に対応す
るデータのみが同図(c)のように残り、表示される。
したがって、心筋に相当しない領域のランダム性のノイ
ズ(同図(a)中のノイズN,N参照)が確実に除去さ
れ、画質の向上が図られる。
【0063】さらに、上記変形例を応用した例を図14
に基づき説明する。この変形例は心外膜の速度情報を除
去するものである。心内膜の運動を診断する際、心外膜
の運動に対する色付けがかえって邪魔になる場合があ
る。そこで、心外膜のエコーレベルが心内膜のそれに比
べて大きいことを利用し、Bモード画像の輝度がある域
値D2以上のデータを削除し(図14(b)参照)、域
値D2以下且つ域値D1以上(D1<D2)の領域A2
の運動速度のみを採用するようにしたものである(同図
(a)(c)参照)。ここで、域値D1を設定したの
は、上述した図13に係る変形例と組み合わせて実施す
るためである。なお、以上の処理はメモリ合成部18で
行わせる。このように実施すれば、心内膜の診断の際、
心外膜の色付けが邪魔になることもないし、画質も合わ
せて向上するという利点がある。
【0064】(第2実施例)第2実施例を図15、16
に基づき説明する。この実施例は、上述のようにして求
めた各サンプルボリュームにおける絶対速度を、前記リ
アルタイム表示に代えて、別の態様で表示するものであ
る。なお、この実施例において上記実施例と同一又は同
等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略又は
簡単化している(この方針は以下に説明する実施例にお
いても採用される)。
【0065】この実施例における超音波カラードプラ断
層装置は、図3に示した第1実施例のものと同じに構成
されているが、この装置中のカラードプラ用DSC部2
4は図15に示すように、絶対速度のマックスホールド
表示に関する処理を行うホールド処理回路24cを更に
備えている。つまり、カラードプラ用フレームメモリ2
5には、ベクトル演算部23が演算した絶対速度ベクト
ルのデータがフレーム毎に格納されているから、カラー
ドプラ用DSC部24は、そのカラードプラ用フレーム
メモリ25から1心拍分の速度データを読み出す。そし
て、各サンプルボリュームにおける1心拍内の最大速度
を演算し、その演算値で形成される1フレーム分の画像
データを形成する。ここで演算される最大速度は、EC
G13の検出信号に基づいて運動時相を特定した収縮運
動における収縮期最大速度Vmaxであり、この最大速度
Vmax が、例えば0<V1<V2<V3の如く3段階に
分けた速度域のいずれに入るかに応じて色又は輝度を変
えて表示する。例えば、0≦Vmax <V1の低速度領域
はある色又は特定色の低い輝度で示し、V1≦Vmax <
V2の中速度領域は別の色又は特定色の中位の輝度で示
し、V2≦Vmax <V3の高速度領域は更に別の色又は
特定色の高い輝度で示すデータとなる(図16参照)。
この画像データはメモリ合成部18に送られて、表示器
19にてホールド状態で表示される。
【0066】これにより、表示器19の画面には図16
に示したように、速度域に応じて分類されたカラー画像
が現れ、収縮期最大速度Vmax の高低の分布状態が一目
瞭然となる。つまり、最大速度Vmax が局所的に低い部
位を心筋虚血などにより心筋の活動が鈍っている部位で
あると直観的に診断できるし、さらにカラー表示されて
いる領域から心周期内の心臓の壁厚の変化が分かる。
【0067】さらに、上記実施例の変形例を図17、1
8に基づき説明する。この変形例はリアルタイムで得た
最大速度をホールド表示する際、収縮、拡張の最大速度
を一定時間だけ残像のようにホールド表示するものであ
る。まず、カラードプラ用フレームメモリ25を図17
に示すように、カラードプラ用DSC部24を介してベ
クトル演算部23からの速度データを受ける速度データ
変換部25aと、この変換部25aの変換データを入力
すると共に1フレーム前のデータを出力するフレームメ
モリ25bとで構成する。フレームメモリ25bの出力
データは、カラードプラDSC部24を介して表示系に
至ると共に速度データ変換部25aにもフィードバック
されている。
【0068】そして、速度データ変換部25aに、図1
8に示す処理を実行させる。ここで、扱う速度の方向を
ビーム方向におけるプローブに向かってくる方向と遠ざ
かる方向とし、その方向を符号の正負により判定するこ
ととする。さらに、m:超音波フレーム番号、VIm:
速度データ変換部25aへ入力する速度、SIm:速度
データ変換部25aへ入力する速度の符号、Vm:速度
データ変換部25aの出力速度、Sm:速度データ変換
部25aの出力速度の符号、Cm:超音波フレームmの
ときのフレームカウンタ値、Vm−1:フレームメモリ
の出力速度、Sm−1:フレームメモリの出力速度の符
号、Cm−1:超音波フレームm−1のときのフレーム
カウンタ値、とする。
【0069】図18のステップST1において、m=
0,Vm=0,Sm=0,Cm=0として、超音波スキ
ャン及びフレームメモリ25bの初期化を行う。次いで
ステップST2で、超音波フレーム番号mをインクリメ
ントし(m=m+1)、1枚目のフレームを指定すると
ともに、特定されているサンプル点の速度の符号を更新
する(Sm=SIm)。次いでステップST3におい
て、フレームカウンタ値Cm−1が最大ホールドフレー
ム期間CMAXに達した(Cm−1=CMAX)か否か
を判断する。この判断でNO、即ち最大ホールドフレー
ム期間CMAXに達していないときは、次いでステップ
ST4に移行し、前フレームに対して速度の方向が変化
したか否かを、SIm≠Sm−1且つVIm>0か否か
で判断する。この判断でNO、即ち速度の方向が変化し
ていないときは、次いでステップST5に移行して、前
フレームの速度Vm−1よりも速度VImが大きいか
(VIm>Vm−1)否かを判断する。この判断でN
O、即ち前フレームの速度Vm−1に対して速度VIm
が等しい又は小さいときは、次いでステップST6に移
行する。ステップST6では、mフレームのメモリ書込
み速度データVmはm−1フレームのデータVm−1と
し(Vm=Vm−1)、フレームカウンタCmをインク
リメントする(Cm=Cm+1)。この後、ステップ2
の処理に戻る。このように、未だ最大ホールド期間に達
せずに、速度の方向も変化せず、さらに速度が前フレー
ムよりも小さいときは、ステップST6で最大速度のホ
ールドが継続される。
【0070】このホールド処理が継続する中で、前フレ
ームよりも速度の絶対値が大きいとき(ステップST5
でYESの判断)、速度の方向が例えば正から負(収縮
から拡張)に変化したとき(ステップST4でYESの
判断)、最大ホールドフレーム期間CMAXに達したと
き(ステップST3でYESの判断)の内のいずれかの
事象が生じたとき、処理は直ちにステップST7に移行
させる。ステップST7では、mフレームのメモリ書込
み速度データVmはmフレームのデータVImとし(V
m=VIm)、フレームカウンタCmをクリアする(C
m=0)。この後、ステップ2の処理に戻る。これによ
り、上記事象が生じたときは、ホールド表示が中止され
る。
【0071】このように処理することにより、上記3つ
の事象の内のいずれかが生じるまでの一定時間だけ残像
の如くホールド表示され、そのホールドが終わると再び
リアルタイムに心筋の動きに追随した画面に切り換わ
る。つまり、ホールド表示が瞬時に消えることもなく且
ついつまでも続くこともない。したがって、収縮時、拡
張時の最大速度が交互に一定時間だけカラー表示される
から、それらの最大速度が見易くなり、収縮末期、急速
流入末期における心内膜をトレースし易くなる。さら
に、心筋のスペックルなどに因るカラーの黒抜けを減ら
し、画質を向上させることもできる。
【0072】(第3実施例)第3実施例を図19〜図2
0に基づき説明する。第3実施例の超音波カラードプラ
断層装置は、各サンプルボリュームにおける絶対速度を
2次元ベクトルで表すようにしたものである。
【0073】図19に示す超音波カラードプラ断層装置
では、ベクトル演算部23が演算した、各サンプルボリ
ュームにおける絶対速度の大きさ及び方向のデータがグ
ラフィックメモリ部50にも出力されるようになってい
る。グラフィックメモリ部50は、入力する速度の大き
さ及び方向に対応した矢印のグラフィックデータを発生
させるようになっている。この矢印を発生させる位置
は、円環状の心筋の輪郭を適宜にトレースして決める。
つまり、各サンプルボリュームにおける2次元の絶対速
度ベクトルの方向が矢印(線分)の向きで示され、大き
さが矢印の長さで示される。グラフィックメモリ部50
のの発生データはメモリ合成部18に出力される。メモ
リ合成部18は、Bモード用DSC部16、カラードプ
ラ用DSC部24、グラフィックメモリ部50、及び参
照データメモリ42から出力された画像やグラフィック
のデータを重畳し、その重畳データを表示器19に出力
するようになっている。
【0074】この結果、表示器19に表示される画像
は、例えば図20に示すように、第1実施例と同等のカ
ラードプラ断層像に、絶対速度を表す矢印AR…ARが
重畳されたものとなる。これにより、心筋の収縮時か拡
張時かで矢印の向きが変わり且つその各時相で矢印の大
きさが変わることから、心臓の活動状況を矢印の変化で
ほぼリアルタイムに把握できる。
【0075】なお、上記実施例の速度ベクトルの表し方
(その態様を(i)とする)のほか、2次元の絶対速度
ベクトルの別の表し方としては、(ii)その方向を矢
印の向きで示し、大きさの変化を単色の輝度変更で示す
態様、(iii)その方向を矢印の向きで示し、大きさ
の変化を色の変化で示す態様がある。また運動の方向の
みを表す場合には、上記(i)〜(iii)の態様にお
いて、速度の大きさに関する事項を除いた態様で対処で
きる。
【0076】(第4実施例)第4実施例を図21〜図2
9に基づき説明する。第4実施例の超音波カラードプラ
断層装置は、心筋の運動速度のベクトルを、第1実施例
で説明したように直接演算しないで、心筋の運動自体の
特徴に着目し、運動の方向を仮定(推定)した上で、そ
の方向のベクトル絶対速度を演算するようにしたもので
ある。
【0077】図21に示すカラードプラ断層装置10
は、各サンプルボリューム毎の超音波ビーム方向におけ
る速度ベクトルVdを演算する周波数解析部22の出力
側に、心内膜の輪郭を抽出するカラードプラ輪郭描出部
51と、速度ベクトルVdと輪郭情報とに基づき心筋の
ベクトル絶対速度を推定する速度変換演算部52とを備
えている。
【0078】まず、カラードプラ輪郭描出部51での描
出原理を説明する。図22に示すように、運動物体とし
ての心筋HMが超音波ビームの走査線UB1,…,UB
nによりセクタ走査される。このセクタ走査により周波
数解析部22から超音波ビーム方向の速度データVd
(即ち、心筋の運動速度の2次元マッピングデータ)
が、図23に模式的に示す如く、走査線毎に得られる。
そこで、走査線毎に、その深さ方向に速度変化のエッジ
を検出する(図24参照)。このエッジ検出は図25に
示すように、所定のしきい値VTHを設定することにより
行われる。次いで、方位方向(隣接する走査線に向かう
方向)に対しても同様に速度変化のエッジを検出する。
そして、走査線方向及び方位方向に得られたエッジを線
で繋ぐと、図26に示すように、心筋の外側、内側の輪
郭線LNout,LNinが形成される。この輪郭線LNout,
LNinのデータは、速度変換演算部52に出力される。
【0079】速度変換演算部52は、以下の述べる3通
りの方法(i)〜(iii)の内のいずれか一つを使っ
て絶対速度を推定・演算するように構成されている。
【0080】(i) まず、第1の方法を図27に基づ
き説明する。この方法は、心内膜の輪郭線と垂直な方向
の速度成分を心筋の絶対速度とするものである。速度変
換演算部52は、心内膜の輪郭線LNinのデータを入力
する。次いで、超音波ビームUB上の各サンプルボリュ
ームにおける、心内膜の輪郭線LNinに対する接線SS
を求め、さらに、この接線SSと超音波ビームUBとの
成す角を「90°−θ」として求める。次いで、超音波
ビームUBと輪郭線LNinとの交点における心筋HMの
運動方向は、上述した接線と垂直な方向であると仮定す
る。これにより、ドプラ法によって得られた超音波ビー
ム方向の速度成分Vdと角度θとに基づき、心筋の絶対
運動速度Vは、
【数11】V=Vd/cos θ の演算を行って求められる。なお、この速度Vの方向は
上記接線に垂直な方向である。
【0081】(ii) 第2の方法を図28に基づき説
明する。この方法は、左室はある定点に向かって収縮す
ると仮定し、その定点に向かう方向の速度成分を絶対速
度とするものである。速度変換演算部52は、左室内膜
の輪郭線LNinのデータを入力する。次いで、図に示す
ように、ECG信号などを参照して左室の重心(通常、
拡張末期の重心)を求め、これを定点Pとする。さら
に、超音波ビーム上の各サンプルボリュームにおいて、
サンプルボリューム点と定点Pとを結ぶ直線STと超音
波ビームUBとの成す角θを求める。そして、左室心筋
は全て定点Pに向かって収縮し、また定点Pを中心にし
て遠ざかる方向に拡張するものと仮定する。この仮定に
より、ドプラ法によって得られた超音波ビーム方向の速
度成分Vdを使って、心筋の絶対運動速度Vは、
【数12】V=Vd/cos θ から求められる。
【0082】(iii) 第3の方法を図29に基づき
説明する。この方法は、ECG信号などを参照して拡張
末期及び収縮末期の心内膜の輪郭線の中線を求め、その
中線に垂直な方向の速度成分を絶対速度とするものであ
る。速度変換演算部52は、左室拡張末期及び収縮末期
における左室内膜の輪郭線LNin1 ,LNin2 のデータ
を入力する。次いで、図に示すように、それらの輪郭線
LNin1 ,LNin2 間の中線CLを求める。そして、超
音波ビーム上の各サンプルボリュームにおいて、中線C
Lに対する接線SSを求め、さらに、この接線SSと超
音波ビームUBとの成す角を「90°−θ」として求め
る。接線SSと超音波ビームUBの交点における心筋の
運動方向は接線SSに垂直な方向であると仮定すると、
ドプラ法により得られた超音波ビーム方向の速度成分V
dを用いて、心筋の絶対運動速度Vは、
【数13】V=Vd/cos θ から算出される。
【0083】以上のように、速度変換演算部52におい
て、いずれかの方法で推定、演算された心筋の絶対運動
速度Vのベクトルはカラードプラ用DSC部24で第1
実施例と同様に色付けされ、表示器19で表示される。
このため、第1実施例のように直接演算しなくても、絶
対速度ベクトルを精度良く求めることができる。
【0084】なお、上述の推定、演算で用いた、左室末
期の重心及び左室中線を求める手法については、従来よ
りBモード画像による左室壁運動解析法において周知の
ものである。
【0085】また、上記実施例の断層装置は、心筋の運
動速度の2次元分布データから心内膜の輪郭描出を行っ
たが、この輪郭描出はBモード画像から従来周知の手法
を用いて行うようにしてもよい。この例を図30に示
す。つまり図30の断層装置では、第4実施例で設けて
いたカラードプラ用輪郭描出部51の代わりに、Bモー
ド用輪郭描出部53を超音波送受信部15の出力側に設
け、Bモード断層像から求めた心内膜の輪郭データを速
度変換演算部52に出力するようにしている。
【0086】(第5実施例)第5実施例を図31〜図3
6に基づき説明する。この第5実施例の超音波カラード
プラ断層装置は、前記第1、第2実施例における絶対運
動速度のカラー表示を更に展開したものである。
【0087】図31に示す断層装置10は、周波数解析
部22の出力側に、前述したベクトル演算部23及びカ
ラードプラ用輪郭描出部51を併設すると共に、ベクト
ル演算部23とカラードプラ用DSC部24との間に速
度成分分離部54を新たに介挿してある。そして、この
速度成分分離部54に、カラードプラ用輪郭描出部51
からの輪郭データを供給させている。
【0088】速度成分分離部54は、ベクトル演算部2
3が演算した、サンプルボリューム毎の心筋絶対速度V
のベクトル情報を入力し、絶対速度Vのベクトルを所定
の2方向の成分V1,V2に分解する。さらに、速度成
分分離部54は、その成分V1,V2の比率に応じた、
後述する2次元のカラースケールを参照してカラー及び
輝度を決定し、その決定データをカラードプラ用DSC
部24に出力するようになっている。
【0089】速度成分分離部54における分離態様に
は、下記(i)〜(iv)の種々のものがある。
【0090】(i) まず、図32に示す分解方法は、
絶対速度Vのベクトルを、心内膜輪郭線LNin(前述し
た図27参照)又は中線CL(前述した図29参照)の
各サンプルボリューム点における接線方向とこれに垂直
な方向とに分解するものである。ここでは、垂直方向の
速度成分をV1(収縮方向を正値、拡張方向を負値にと
る)とし、接線方向の速度成分をV2(ここでは体表に
近くなる方向を負値、深くなる方向を正値にとる)とす
る。
【0091】(ii) 図33に示す分解方法は、前述
した図28記載の定点Pと各サンプルボリュームを結ぶ
直線に平行な成分V1とこれに垂直な成分V2とに分離
するものである。ここでは、平行な成分V1の内、収縮
方向を正値、拡張方向を負値にとり、垂直な成分V2も
(i)の場合と同様にとっている。
【0092】(iii) 図34に示す分解方法では、
心室内に直交座標を図示の如く設定し、x方向の速度成
分V1及びy方向の速度成分V2に分解している。x
軸、y軸とも、左室中心付近に原点を設定している。
【0093】(iv) 図35に示す分解方法では、心
室内に極座標を図示の如く設定し、半径r方向の速度成
分V1及び角度θ方向の速度成分V2に分解している。
【0094】以上のようにして分解した速度成分V1,
V2に基づいた表示カラーをサンプルボリューム毎に決
めるため、カラードプラ用DSC部24のカラー回路2
4a(第1実施例参照)は、図36に示したカラースケ
ールの記憶テーブルを有している。同図のカラースケー
ルは、運動の方向を2方向に分解した色付けを行うもの
で、縦軸は絶対速度Vのベクトルの向きに応じて心筋の
収縮を表す赤系統(速度Vの値は正)及び拡張を表す青
系統(速度Vの値は負)の尺度とし(大きさが大きいほ
ど輝度を上げる)、横軸はその収縮運動及び拡張運動
の、決めた軸線からのずれを表す尺度(黄色又は緑色)
としている。また、縦軸は速度V=0のとき黒色とし、
このレベルを中心に速度の大きさを表している。
【0095】そこで、速度成分分離部54は上記カラー
スケールを参照するため、まず、「V/Vmax 」の演算
を行って縦軸における上側か下側かのカラー領域を決め
る。次いで、「V2/(V1+V2)」又は「V1/
(V1+V2)」の演算を行って横軸における位置を決
める。このように、決定した位置に対応したカラーデー
タは、次段のカラードプラ用DSC部24のDSC24
bに出力されるようになっている。
【0096】この結果、心筋の運動方向が2次元的に表
され、赤又は青を基調とする色によって収縮期か拡張期
かが表され、その赤の基調色が黄色味を帯びた合成色か
又は青の基調色が緑色を帯びた合成色かにより、収縮運
動又は拡張運動における、定めた軸からのずれの程度が
表される。例えば図32に示したサンプルボリュームの
絶対速度Vのベクトルで言えば、心筋内側に向かう速度
成分V1により赤が基調色として選択され、この基調色
に、体表からの深さ方向に向かう速度成分V2を表す若
干の黄色が加わる。これにより、表示器19では、黄色
がかった赤色が、速度Vの絶対値に対応した輝度で表示
されるから、運動の方向をより詳細に観察することがで
きる。
【0097】なお、この実施例において、速度成分分離
部54に輪郭情報を与える回路は、上記実施例記載のカ
ラードプラ用輪郭描出部51に限定されるものではな
く、例えば図30に記載したBモード用の輪郭描出部5
3であってもよい。
【0098】(第6実施例)第6実施例を図37、図3
8に基づき説明する。この第6実施例では、速度輪郭線
の表示及び自動トレースについて説明する。
【0099】図37に示すカラードプラ断層装置10
は、周波数解析部22の出力側に、前述したカラードプ
ラ用輪郭描出部51を設け、この描出部51の出力をグ
ラフィックメモリ部50を介してメモリ合成部18に供
給するようになっている。
【0100】このため、サンプルボリューム毎の心筋の
運動速度が周波数解析部22からカラードプラ用輪郭描
出部51に供給される。カラードプラ用輪郭描出部51
は前述した手法(図22〜26参照)を用いて、心筋の
運動速度として検出可能な最低速度Vmin 以上の速度V
(≧Vmin )の領域の輪郭データを自動的に演算する。
この輪郭データはグラフィックメモリ部50に出力さ
れ、そこで輪郭線に対応したグラフィックデータに変換
された後、このグラフィックデータがメモリ合成部18
に出力される。メモリ合成部18には、カラードプラ用
DSC部24から、心筋がその運動速度に応じて色付け
された断層画像データが出力されており、その断層画像
データに上述した輪郭線のグラフィックデータが重畳さ
れる。
【0101】この結果、表示器19には、図38に示し
たように、運動速度をパラメータとしてカラー表示され
た心筋の断層像が、その輪郭を輪郭線DL,…,DLで
区切った状態で表示される。この輪郭線DL,…,DL
の一部は心内膜の輪郭線である。周波数解析部22から
はサンプルボリューム毎の運動速度がリアルタイムに出
力されているから、上記心筋の輪郭像も心筋の収縮、拡
張に応じて時事刻々変化する。これにより、心筋の厚さ
変化をリアルタイムで把握できるなど、心筋の動きを直
感的に診断できる。
【0102】なお、上記実施例では輪郭線を単にリアル
タイムで表示する場合を説明したが、この発明はそのよ
うな態様に限定されるものではなく、リアルタイム表示
の他に、シネループ再生表示も可能であるし、速度表示
画像をフリーズさせた後の自動トレースを行うこともで
きる。
【0103】ここで、上述の輪郭表示を利用した、心内
膜の自動トレース法を説明する。このときのハード構成
は図37と同じである。
【0104】その第1のトレース法は図39に示すよう
に、カラードプラ用輪郭描出部51において、前述のよ
うに輪郭データを演算した後、左室心内膜の付近に例え
ば矩形ROIを設定する。そして、このROI内を横切
る輪郭線DLの一部を得る。次いで、その輪郭線DLを
辿りながら、左室心内膜のみの輪郭を示すデータを形成
し、このデータをグラフィックメモリ部50に出力す
る。これにより、左室心内膜のみの自動トレースが可能
になり、図39の実線図示の輪郭線DLのみが心筋HM
のカラードプラ断層像上に描出される。以上の処理はカ
ラードプラ用輪郭描出部51により実施される。
【0105】第2のトレース法は、左室腔内の定点を利
用したものである。カラードプラ用輪郭描出部51は前
述した手法で心筋HM全体の輪郭データを演算した後、
図40に示す如く、左室腔内に定点Pを設定する。そし
て、定点Pから放射状に輪郭線のデータをサーチしてい
き、各サーチ線SH上で最初に検出された輪郭線のデー
タのみを左室心内膜として採用し、その収集したデータ
をグラフィックメモリ部50に出力する。これにより、
左室心内膜のみの自動トレースが可能になり、図40の
実線図示の輪郭線DLのみが心筋HMのカラードプラ断
層像上に描出される。
【0106】このように左室心内膜は自動トレースでき
る。したがって、従来、Bモード法で問題となっていた
受信信号の増幅率の設定に起因した輪郭線の位置ずれを
回避でき、精度、再現性を著しく向上させた心内膜の自
動トレースを実現できる。
【0107】なお、自動トレースは心外膜についても同
様に可能である。
【0108】この自動トレースを左室断面積、左室容積
などの計測に用い、その計測結果に基づいて左室の機能
を評価するという使い方が可能であるが、収縮末期及び
拡張末期においては心筋の運動速度が殆ど零になるた
め、これらの末期においては上記自動トレースは不可能
になる。そこで、この不都合を排除するための対策を以
下に説明する。
【0109】まず、上記不都合を具体的に説明する。図
41は横軸に各セクタスキャン毎の超音波フレーム番号
m(m=1,2,…)をとり、縦軸にあるサンプル点に
おける超音波フレーム毎の検出速度Vmを示したもので
ある。検出速度Vmが図に示すように周期的に変化する
場合、−Vmin <V<+Vmin (Vmin はシステムが
検出可能な最低速度)の範囲内の速度Vは検知され
ず、V=0となる。このため、図41においてはフレ
ーム番号m=1,5,6,10,11でV=0とな
り、このときは速度のカラー表示からのエッジ検出は不
可能になる(つまり、心筋以外の運動速度が零の領域と
の区別がつかない)。
【0110】そこで、上記不都合を解決するため、カラ
ードプラ用輪郭描出部51は、各サンプル点における検
出速度V(mは超音波フレーム番号)を図42に示す
アルゴリズムにしたがってV′に変換し、この変換速
度V′をエッジ検出に用いる。
【0111】図42のステップST1においては、初期
設定として超音波フレーム番号m=1に設定される。次
いでステップST2では、検出速度Vの絶対値が所定
値Vmin よりも小さいか否か判断される。ここで、所定
値Vmin はシステムが検出可能な最低速度であってもよ
いし、検出可能な速度範囲内のあるしきい値であっても
よい。ステップST2でNOの判断のときは、ステップ
ST3で、検出速度Vをそのまま変換速度V′に置
き換えるが、反対にYESのときは、ステップST4
で、V′=0に設定する。これらステップST3又は
ST4の後は、ステップST5に進んで、超音波フレー
ム番号mをインクリメント(=m+1)する。さらにス
テップST6に移行して、インクリメントしたフレーム
番号mの検出速度Vの絶対値が所定値Vmin よりも小
さいか否かが判断される。このステップでNO、即ち検
出速度Vの絶対値が所定値Vmin 以上であると判断さ
れたときは、ステップST7にて、検出速度Vをその
まま変換速度V′に置き換える。しかし、ステップS
T6の判断でYES、即ち検出速度Vの絶対値が所定
値Vmin よりも小さいと判断されたときは、ステップS
T8にて、1フレーム前の変換速度V′m−1 (≧Vmi
n )を今回のフレームに対する変換速度V′として置
換する。以下、ステップST5〜ST8がフレーム番号
mに応じて繰り返される。このように検出速度Vの絶
対値が所定値Vmin よりも小さいときは、ステップST
8で、1フレーム枚の変換速度V′m−1 が疑似的に設
定される。この結果、図41の速度曲線は図43に示し
たように変換され、前述したV=0に見做される状態
が排除される。なお、図43の変換曲線において、たま
たまm=1のときV′=0になっているが、超音波フ
レーム番号mを途中でリセットしない限り、mは無限大
まで続くと考えてよいので、このことは特に問題になら
ない。
【0112】以上の速度変換を実施することにより、安
定した高精度な左室機能解析が可能になる。
【0113】なお、心内膜の運動速度のみを表示するた
めに、心内膜の輪郭線は、その運動速度の大きさに応じ
た色付けをするようにしてもよい。
【0114】(第7実施例)第7実施例を図44に基づ
き説明する。この第7実施例では、心筋の運動の加速度
を演算し、表示するようにしている。
【0115】図44に示すカラードプラ断層装置10
は、周波数解析部22の出力端をカラードプラ用DSC
部24に接続する一方で、その解析部22の出力端に、
心筋の運動の加速度を演算する加速度演算部55を並列
に接続し、その加速度演算部55の演算出力をもカラー
ドプラ用DSC部24に出力している。
【0116】加速度演算部55は、周波数解析部22の
解析結果、即ち超音波ビーム方向のサンプルボリューム
毎の運動速度から、その加速度を演算するものである。
具体的には、超音波スキャン領域内のあるサンプルボリ
ュームに着目すると、n−1番目の超音波フレームでの
そのサンプルボリュームの検出速度をVn−1、n番目
のその検出速度をVとすると、そのサンプルボリュー
ムの位置での心筋の運動加速度は、次式によって近似的
に求められる。
【0117】
【数14】dV/dt=(V−Vn−1)/T ここで、Tは超音波フレームのスキャン周期である。な
お、この式に基づく加速度演算はサンプルボリューム毎
に実施される。
【0118】このようにして加速度演算部55にて演算
された各サンプル点の加速度データは、カラードプラ用
DSC部24でカラー表示のための処理を受ける。加速
度を表示する場合にも、加速度の大きさ(絶対値)のみ
を表示する場合と、運動の方向と加速度の大きさを表示
する場合とに分けられる。夫々の表示態様に対する表現
法は、前述した実施例における速度表示項目を加速度表
示項目に置き換えたもので対応できる。
【0119】なお、この加速度演算部55は、速度演算
を行うベクトル演算部23と一緒に周波数解析部22の
出力側に併設する構造であってもよい。
【0120】(第8実施例)第8実施例を図45〜図4
9に基づき説明する。この第8実施例では、心筋の運動
時相を演算し、表示するようにしている。
【0121】図45に示すカラードプラ断層装置10
は、カラードプラ用フレームメモリ25の出力側に運動
時相解析部56を設け、この運動時相解析部56の解析
結果をメモリ合成部18に出力するようになっている。
【0122】この運動時相解析部56は、予め組み込ん
だソフトウエアにしたがって作動するコンピュータを搭
載しており、カラードプラ用フレームメモリ25から1
心拍分の運動速度データを読み出し、その運動速度の時
相を解析するものである。詳しくは、心電図のR波など
を基準事象(時刻0に仮定)として、心筋の運動速度の
心周期内での変化に基づき、収縮期及び拡張期におい
て、速度がある域値に到達する時刻や最大になる時刻を
求めるようになっている。
【0123】なお、図44に示した加速度演算部55を
搭載している場合には、運動時相解析の対象として、収
縮期及び拡張期における加速度がある域値に到達する時
刻や最大になる時刻を求めることができる。
【0124】あるサンプルボリュームでの心筋運動速度
の絶対値の変化の例を図46に示す。図に示すように、
心周期における基準事象(ここでは心電図のR波)が起
こる時刻を零とし、運動速度が収縮期、拡張期に応じて
変化する様子を示している。この速度変化に対して、運
動時相解析部56は、R波の出現時刻をt=0とし、こ
の時刻から収縮期時相tsn及び拡張期時相tdnを演算す
る。つまり、図47に示すように、tsn=n・Δt又は
sn=tED+n・Δt(n=0,1,2,…、tED:心
室拡張末期時刻、Δt:分割時間)であり、tdn=n・
Δt又はtdn=tES+n・Δt(n=0,1,2,…、
ES:心室収縮末期時刻、Δt:分割時間)である。こ
の収縮期時相tsn及び拡張期時相tdnの演算は、サンプ
ルボリューム毎に行われる。
【0125】そして、運動時相解析部56は、心筋の各
点の運動速度(又は運動加速度)がある域値に達する時
刻(又は最大となる時刻)tsn及びtdnの、サンプルボ
リューム毎の時間差を、色又は輝度の変化で対応させた
データをメモリ合成部18に送る。これにより、表示器
19では心室の収縮期時相の時間差を例えば図47のよ
うに2次元表示し、拡張期時相の時間差を例えば図48
のように2次元表示する。図48では、収縮期における
心筋各点の運動速度がある域値に到達するまでの時間差
が、しきい値ts0,ts1,ts2,ts3により3段階に分
類され、色分け又は輝度変化で示されている。また、図
49では、拡張期における心筋各点の運動速度がある域
値に到達するまでの時間差が、しきい値td0,td1,t
d2,td3により3段階に分類され、色分け又は輝度変化
で示されている。
【0126】さらに、上述の解析で得られた情報に基づ
き、下記項目(i)〜(v)記載のいずれかの領域を、
他の領域とは色又は輝度を変えた状態で強調表示され
る。この表示指令は、カラードプラ用DSC部24のカ
ラー回路でルックアップテーブルを用いて行われる。
【0127】 (i) 指定した時間差に相当する領域 (ii) 心室収縮が最も早く始まる領域 (iii) 心室収縮が最も遅く始まる領域 (iv) 心室拡張が最も早く始まる領域 (v) 心室拡張が最も遅く始まる領域 これにより、心筋局所における心周期内での運動時相に
関する種々の情報が得られる。
【0128】なお、上記実施例における運動時相解析は
心拍毎に行うものであるが、運動時相解析部56がカラ
ードプラ用フレームメモリ25から複数心拍分の運動速
度データを読み出して解析することにより、上述した解
析項目について、事象が出現した時刻を数心拍間にわた
って平均をとることができ、その平均値に基づく時間差
画像を上述したように2次元表示可能である。また、1
心拍前に事象が出現した時刻と現心拍で事象が出現した
時刻との時間差データを、上述した解析項目について2
次元表示可能である。さらに、正常な心拍と突発性の不
整脈などの異常な心拍を判別し、上記解析項目につい
て、正常な心拍における画像と異常な心拍における画像
とを同時に2次元表示することもできる。
【0129】ここで、超音波ビームの走査方向が運動時
相解析に及ぼす影響と、その補正に対策について説明す
る。
【0130】電子セクタ方式の超音波診断装置では、1
枚の断層像を得るのに、図50(a)(b)に示す如
く、右から左或いは左から右に向かって一方向に走査を
繰り返すのが一般的であり、この発明の心筋の運動速度
解析においても基本的にはその走査方式を採用してい
る。
【0131】この走査方式を採用して、運動時相に係る
事象が出現する時刻を求める場合、走査方向の影響を考
慮する必要がある。
【0132】サンプルボリュームの各々の位置で得られ
る速度情報は時間について離散的であり、走査線上の各
点で速度情報が得られる時刻tm,n は、心電図の例えば
R波の出現時刻をtm,n =0とすれば、
【数15】 tm,n =(m−1+n/N)T ……(5) となる。ここで、m:超音波フレーム番号(m=1,
2,3,…)、n:走査線番号(n=1,2,3,…,
N)、N:1フレーム内の総走査線数、T:超音波フレ
ームの走査周期、である。
【0133】(5)式から明らかなように、1枚の画像
の右端と左端の走査線上でデータが得られる時刻には、
【数16】tm,N −tm,1 =(1−1/N)T の時間差があり、上式の右辺はおよそ「T」に等しいこ
とから、結局、
【数17】 tm,N −tm,1 =T ……(6) の時間差がある。この時間差内に得られたデータを全て
時刻mTでの事象と考える場合、心筋の局所の運動時相
差解析に要求される時間分解能に対して、超音波フレー
ムの走査周期Tが十分短くないと問題が起こる。また同
様の時間差は画像の右端又は左端の走査線上において、
走査線を右から左へ走査した場合にデータが得られる時
刻と、左から右に走査した場合にデータが得られる時刻
との差にも現れる。
【0134】この状況を改善するには、走査周期Tその
ものを短くする方法と、時間差を補正する方法とが考え
られる。前者については、従来の超音波断層診断装置及
び超音波ドプラ断層診断装置において種々の方式が提案
されており、それらはこの発明にも適用できる。後者の
補正方法について、この発明での対策を以下に詳述す
る。
【0135】(i) 速度(又は加速度)がある域値に
到達する時刻を求める場合 速度の域値をVTHとし、走査線番号n上にある点で超音
波フレーム番号m及びm+1での速度Vm,n ,Vm+1,n
が収縮開始又は拡張開始から、
【数18】Vm,n ≦VTH≦Vm+1,n という関係に初めてなったとき、VTHに到達する時刻t
TH,nは、この時間内の速度の変化を線形近似して、
【数19】 となり、(5)式を代入すると、
【数20】 となる。ここで、心筋の運動速度の大きさ(絶対値)
は、収縮開始又は拡張開始の時点では単調に増加し、時
間Tがある程度短い範囲内での速度の変化は線形近似が
可能だと仮定している。上記補正演算は運動時相解析部
56に行わせる。
【0136】(ii) 速度(又は加速度)が最大とな
る時刻を求める場合 1心周期内での心室心筋の運動速度は定性的には前述し
た図46のようになることが予想される。同図に従っ
て、その速度の変化を周期T(超音波フレームの走査周
期)でサンプリングして速度が最大となる時刻を求める
と、収縮期にはt(=3T)、拡張期にはt(=8
T)となる。しかしながら、同図でも分かるように、速
度が真に最大となるのは、収縮期においては時刻t
の間の時間であり、拡張期においては時刻tとt
の間の時間である。即ち、この図46の方式によれ
ば、時間分解能はTであり、時間誤差は±T以内の値と
なるので、周期Tが長い場合には問題が多い。
【0137】そこで、この時間検出の誤差を低減する方
式を説明する。この方式は、心電図のR波などを基準と
して1心拍にわたって超音波スキャンを繰り返す場合、
R波からの超音波スキャンの開始タイミングを心拍毎に
ずらしながら数心拍分のデータをサンプリングし、この
中で速度が最大になる時刻を求めるものである。
【0138】この具体例を図51に示す。同図はR波か
らの超音波スキャンの開始タイミングをT/4ずつずら
して4心拍分のデータをサンプリングし、その中で速度
が最大となる時刻を求めるものである。即ちR波からの
スキャン開始タイミングのずれをΔtとすると、Δtを
心拍毎に、Δt=0,T/4,2T/4,3T/4とず
らしてデータをサンプリングする。この結果、図から明
らかなように、速度が最大となる時刻は、収縮期におい
てはt1,3(=3・(1/4)・T)又はt
2,3(=3・(2/4)・T)、拡張期においてはt
2,8(=8・(2/4)・T)となり、時間分解能は
T/4まで、また時間誤差は±T/4まで改善される。
【0139】なお、この方式では、1心拍内での速度変
化曲線が心拍毎に殆ど変化しないことを前提としてお
り、トリガ信号発生器41にて超音波のスキャン開始タ
イミングを心拍毎にずらしている。
【0140】また、ここでは説明を簡単にするため、前
述した1フレーム内での走査線毎の時間差については触
れていないが、実際に各サンプルボリューム点におけ
る、速度が最大になる時刻を求めると、(5)式及びΔ
tを考慮し、
【数21】 となる。ここで、L:用いる心拍数(図51ではL=
4)、B:心拍番号(=1,2,3,…,L)である。
【0141】(第9実施例)第9実施例を図52,図5
3に基づき説明する。この第9実施例では、心筋の運動
速度の位相解析を行い、表示するようにしている。
【0142】図52に示すカラードプラ断層装置10
は、カラードプラ用フレームメモリ25の出力側に運動
速度位相解析部57を設け、この運動速度位相解析部5
7の解析結果をメモリ合成部18に出力するようになっ
ている。
【0143】この運動速度位相解析部57は、予め組み
込んだソフトウエアにしたがって作動するコンピュータ
を搭載しており、カラードプラ用フレームメモリ25か
ら1心拍分の運動速度データを読み出し、その運動速度
の位相を以下の要領で解析し、第n次周波数の位相又は
振幅を演算するものである。
【0144】ここで、その位相解析を詳述する。
【0145】心臓の収縮は1心拍を周期とする周期運動
で、運動速度曲線は図53に示すように、心電図のR波
−R波を1周期(T0 )とした周期関数と見做すことが
できる。この運動速度曲線のフーリエ級数は次式で与え
られる。
【0146】
【数22】 但し、f0 =基本周波数、n=第n次周波数。ここで、
時間t=mT、
【数23】f0 =1/T0 =1/MT 但し、m:超音波フレーム番号(m=1,2,3,…,
M)、M:1心拍内のフレーム数、T:超音波フレーム
の走査周期とすると、
【数24】 となり、
【数25】 で与えられる。ここで、Vmはフレーム番号mにおける
速度である。
【0147】そして、第n次周波数の振幅をAn、位相
角をPnとすると、
【数26】
【数27】 であり、
【数28】 で表される。(10)式で求められる位相は局所の収縮
開始時相を示し、(9)式で求められる振幅は局所の収
縮能に対応する。
【0148】このように個々のサンプルボリュームにお
ける運動速度曲線をフーリエ変換することにより求めら
れた心筋局所の収縮時における第n次周波数の位相角及
び振幅は、運動速度位相解析部57により、その大きさ
に応じて色又は輝度を変えた画像データとして、メモリ
合成部18に出力される。このため、表示器19では、
2次元断層上の各サンプル点(サンプルボリューム)に
おける第n次周波数の位相角、振幅が各々1枚の画像と
してBモード断層像に重畳表示される。この内、第1次
周波数の位相角の表示は、前述した運動時相表示におけ
る時刻を位相角に置換したものに類似し、振幅の表示
は、前述した速度のマックスホールド表示に類似したも
のになる。この結果、心筋の収縮時において、例えばあ
る局所的な部位が他の部位に比べてどの位遅れて収縮運
動を行うかなどを定量的に解析することができるなど、
病変部位を局所的に且つ様々な角度から診断可能にな
る。
【0149】(第10実施例)第10実施例を図54〜
図63に基づき説明する。この第10実施例に係る装置
は、前述した心筋の各種の運動情報(即ち、速度、加速
度、運動時相、及び速度の時間変化に対する位相解析情
報)を得ると共に、その得られた情報から様々の物理量
や統計量を計測する機能を備えたものである。
【0150】図54に示すカラードプラ断層装置10
は、周波数解析部22の出力側に、ベクトル演算部2
3、カラードプラ用輪郭描出部51及び加速度演算部5
5を併設すると共に、ベクトル演算部23及び加速度演
算部55の出力はカラードプラ用DSC部24に供給
し、ベクトル演算部23及びカラードプラ用輪郭描出部
51の出力をグラフィックメモリ部50にも供給してい
る。また、カラードプラ用フレームメモリ25の読出し
側には、運動時相解析部56及び運動速度位相解析部5
7が併設され、それらの出力がグラフィックメモリ部5
0及びメモリ合成部18に供給されている。カラードプ
ラ用DSC部24の出力データはグラフィックメモリ部
50及びメモリ合成部18に送られる。グラフィックメ
モリ部50で出力されるグラフィックデータもメモリ合
成部18に送られ、Bモード断層データに重畳される。
【0151】以下、計測機能の種別毎に説明する。
【0152】i.速度 速度に関する物理量や統計量の計測は、図54における
操作パネル14、CPU43、ベクトル演算部23、カ
ラードプラ用輪郭描出部51、及びグラフィックメモリ
部50により行われるので、加速度演算部55、運動時
相解析部56、及び運動速度位相解析部57は取り外し
てもよい。
【0153】操作パネル14を介してROIを設定する
と、そのROI内のサンプル点における超音波フレーム
毎のベクトル速度データ(ここでは絶対速度V)がカラ
ードプラ用フレームメモリ25から夫々読み出される。
このフレーム毎の速度データに対して種々の量が演算さ
れ、その量が表示器19において例えば心筋のカラード
プラ画像と一緒に表示される。どの量を計測するかは、
オペレータが操作パネル14を介して選択できる。
【0154】上記選択に応じて、例えば、指定したRO
I内の平均速度、最大速度、又はそれらの速度の積分値
が演算され、図55に示すように表示される。同図
(a)の曲線が平均速度又は最大速度の時間変化を示
し、同図(b)がそれらの積分値の時間変化を示す(図
55では(a)及び(b)の両方を演算し、表示させて
いるが一方のみでもよい)。リアルタイムの速度カラー
画像だけでは、画像が瞬時に変化していくので時間軸方
向の変動を把握し難いが、上述のように時間変化を計測
するようにすれば、その把握が容易になる。
【0155】また、設定したROI内のフレーム毎の速
度データに対し、フレーム毎の最大速度となる位置(又
はROI内のカラー表示領域の重心位置)又は微小領域
を演算し、その位置を例えば図56のようにマーカー
(同図中の×印参照)で表示できる。また、そのマーカ
ーが1心周期内で移動した軌跡(同図中の×印を結ぶ線
を参照のこと)として表示でき、これから収縮及び拡張
の方向を読み取ることができる。
【0156】さらに、設定したROI内のフレーム毎の
速度データに対して、カラー表示領域の面積を演算し、
その時間変化を例えば図57のようにグラフで表示でき
る。同図のグラフにおいて、収縮時の変化曲線は本実施
例では赤系統の色で表示されたROI内の面積変化を表
し、拡張時のそれは青系統の色で表示されたROI内の
面積変化を表している。
【0157】さらに、設定したROI内のフレーム毎の
速度データの平均速度ベクトルを演算し、そのベクトル
軌跡を1心周期内で例えば図58のように示すものであ
る。同図のベクトル軌跡を示す曲線は拡張末期のもので
あり、このベクトル軌跡は図59(a)〜(f)に示す
ように収縮開始から拡張末期までリアルタイムに変化す
る曲線の一態様を示している。これにより、関心ある領
域の収縮、拡張の運動方向を視覚的に把握し易くなる。
【0158】一方、前述した第2実施例で説明したよう
に最大速度をホールド表示する場合にも、上述したと同
様の処理を行うことができる。例えば指定したROIの
範囲内のカラー表示面積を演算し、表示することができ
る。また、指定したROIの範囲内の速度ヒストグラム
を求め、この速度ヒストグラムからさらに平均速度、最
大速度、最低速度、標準偏差などを演算し、例えば図6
0の如く表示できる。また、ROI内のカラー表示面積
を例えば図61に示すように細かく分割し、その分割さ
れた区域(セグメント)毎にカラー面積(ピクセル数)
を演算し、グラフ表示することができる。この場合、速
度の範囲を指定して、その範囲に対応したカラー面積を
グラフ表示させてもよい。さらには、前述した自動トレ
ースの手法を用いてカラー表示領域の内側輪郭線LNi
n(又は外側輪郭線)をトレースし、得られた輪郭線で
囲まれた面積(例えば左室断面積となる)の時間変化
や、その輪郭線を楕円近似したときの長軸径や短軸径の
時間変化を演算して表示できる。図62には、左室心内
膜に対応した輪郭線LNinに囲まれた左室断面積の時
間変化の様子を示す。
【0159】ii.加速度 加速度に関する物理量や統計量の計測は、図54におけ
る操作パネル14、CPU43、加速度演算部55、カ
ラードプラ用輪郭描出部51、及びグラフィックメモリ
部50により行われるので、ベクトル演算部23、運動
時相解析部56、及び運動速度位相解析部57は取り外
してもよい。
【0160】この加速度の場合にも、操作パネル14を
介してROIを設定でき、その設定ROIに対して速度
の計測機能と同様の計測を行うことができる。得られる
計測データは、上述した項目iの場合の速度を加速度に
置き換えたものになり、心筋や血管壁の運動に対する解
析手法の拡大を図ることができる。
【0161】iii.運動時相 この運動時相に関する物理量や統計量の計測は、図54
における操作パネル14、CPU43、ベクトル演算部
23、カラードプラ用輪郭描出部51、グラフィックメ
モリ部50、及び運動時相解析部56により行われるの
で、運動速度位相解析部57は取り外してもよい。
【0162】操作パネル14を介して画像上に、例えば
図63に示す如くROIを設定し、このROI内での時
刻ヒストグラムを演算した上で、その平均時刻、最速時
刻、最遅時刻、標準偏差などを演算し、図示の如くカラ
ー画像(図は心室収縮時相を示す)と一緒に表示するこ
とができる。
【0163】iv.位相解析 この運動速度の時間変化に対する位相解析の物理量や統
計量の計測は、図54における操作パネル14、CPU
43、ベクトル演算部23、カラードプラ用輪郭描出部
51、グラフィックメモリ部50、及び運動速度位相解
析部57により行われるので、運動時相解析部56は取
り外してもよい。
【0164】この場合も同様に、画像上にROIを設定
し、そのROI内での第n次周波数の位相角ヒストグラ
ムを演算し、その平均角度、最大角度、最小角度、標準
偏差などを併せて表示できる。第1次周波数の位相角ヒ
ストグラムは、上述した運動時相で図示した時刻ヒスト
グラムにおける時刻を位相角に置換したデータとして得
られる。また、同様に、第n次周波数の振幅ヒストグラ
ムを演算し、その平均振幅、最大振幅、最小振幅、標準
偏差などを特定し、それらをカラー画像と一緒に表示す
ることができる。第1次周波数の振幅ヒストグラムは、
上述した速度の項で説明した速度ヒストグラムに類似し
たデータとなる。
【0165】以上説明した各実施例によれば、心筋や血
管壁の運動のビーム方向速度や絶対速度を検出し(或い
は推定し)、リアルタイムでしかも種々の態様でカラー
表示できるのみならず、運動速度から加速度、運動時相
及び速度変化の位相解析情報を演算でき、それらの種々
の態様でカラー表示できる。これにより、リアルタイム
に定量的な情報を得ることができる。しかも、そのカラ
ー表示画像において心筋の輪郭線を表示でき、さらに、
その心内膜や心外膜を自動トレースできることから、従
来の手作業による輪郭トレースに比べて、トレース精度
及び再現性が共に高く、作業性も向上すると共に、従来
の自動トレースのような増幅率による輪郭位置ずれの心
配も無い。したがって、心筋や血管壁の運動状態につい
て、多角的に且つ定量的に詳細な情報を迅速に得ること
ができ、従来困難であった、虚血性心疾患における局所
的な収縮能低下部位の検出、左室拡張障害の客観的診
断、及び、刺激伝導系の異常壁運動の位置と広がりなど
も高精度に診断できる。
【0166】さらに、得られたカラー画像データを元に
した種々の計測情報も迅速に得られるので、高機能且つ
汎用性の高い装置を提供できる。
【0167】一方、被診断対象から実際に検知する情報
は、ドプラ偏移による運動速度のみであって、その他の
運動情報は推定や演算によって得られるので、装置全体
の構成は超音波ドプラ血流測定装置などに比べても特に
大形化、複雑化するものでもない。
【0168】なお、上述した第2実施例以降では心筋を
中心に説明してきたが、診断対象が血管壁であってもよ
いことは勿論であり、血管壁に本発明を適用してそのカ
ラー情報を表示すれば、血管局所の動脈硬化の同定及び
その病状の定量的評価が可能になる。また、心臓や血管
のMモード像に心筋や血管壁の運動速度情報又は運動加
速度情報を前述と同様に重畳して表示することもでき
る。さらに、心筋又は血管壁の運動速度情報をMモード
像に重畳した画像の輪郭を抽出し、心内膜又は血管内膜
のリアルタイム自動トレースを行うこともできる。
【0169】さらに、上述した実施例の各部の回路は適
宜且つ実用上十分なリアルタイム性を保持できる限りに
おいて、アナログ、デジタル電子回路を用いて専用のプ
ロセッサ構成としてもよいし、コンピュータのソフトウ
エア処理で構成してもよい。
【0170】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の超音波
カラードプラ断層装置によれば、超音波ビームによる被
検体内のドプラ偏移に基づく運動速度の分布情報から加
速度の分布情報を求め、その加速度情報を2次元カラー
断層像として表示することを初め、速度分布情報から心
筋や血管壁などの運動速度の時相、運動加速度の時相、
および運動速度の位相を解析・表示したり、さらには、
それらの運動情報から種々の物理量や統計量を計測する
ように構成したため、それらの演算・解析や計測の結果
をリアルタイムでしかも種々の態様でカラー表示でき、
これにより、診断対象の器官の運動状態に関する定量的
な情報をその場で得ることができることは勿論、記録媒
体に容易に記録することもできる。
【0171】したがって、心筋や血管壁の運動状態につ
いて、多角的で且つ定量的な詳細情報を迅速に得ること
ができ、従来困難であった虚血性心疾患における局所的
な収縮能低下部位の検出、左室拡張障害の客観的診断、
及び、刺激伝導系の異常壁運動の位置と広がりなどの診
断を高精度に行う上で極めて有効な装置を提供すること
ができる。
【0172】また、診断対象から実際に検知する情報は
ドプラ偏移による運動速度のみであって、その他の運動
情報は推定や演算によって得られるので、装置全体の構
成は超音波ドプラ血流測定装置などに比べても、特に大
形化、複雑化するものでもないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波カラードプラ断層装置の主
要素を示すブロック図。
【図2】ドプラ偏移を説明する説明図。
【図3】第1実施例の超音波カラードプラ断層装置の構
成例を示すブロック図。
【図4】フィルタ部の特性例を示すグラフ。
【図5】絶対速度の演算原理を説明する説明図。
【図6】絶対速度の演算原理を説明する説明図。
【図7】色付け用カラースケールの例を示す説明図。
【図8】心筋の表示例を示す画像図。
【図9】第1実施例の変形例に係る超音波カラードプラ
断層装置のブロック図。
【図10】第1実施例の変形表示の一例を示す画像図。
【図11】第1実施例の変形処理の一例を示す説明図。
【図12】第1実施例の変形処理の別の例を示す画像
図。
【図13】第1実施例の変形処理の更に別の例を示す説
明図。
【図14】第1実施例の変形処理の更に別の例を示す説
明図。
【図15】第2実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成の一部を示すブロック図。
【図16】第2実施例における表示例を示す画像図。
【図17】第2実施例の変形例を示す部分的なブロック
図。
【図18】図17の変形例における処理例を示すフロー
チャート。
【図19】第3実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図20】第3実施例における表示例を示す画像図。
【図21】第4実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図22】輪郭描出の原理の過程を説明する説明図。
【図23】輪郭描出の原理の過程を説明する説明図。
【図24】輪郭描出の原理の過程を説明する説明図。
【図25】輪郭描出の原理の過程を説明する説明図。
【図26】輪郭描出の原理の過程を説明する説明図。
【図27】絶対速度の推定の一例を説明する説明図。
【図28】絶対速度の推定の別の例を説明する説明図。
【図29】絶対速度の推定の更に別の例を説明する説明
図。
【図30】第3実施例の変形例に係る装置を示すブロッ
ク図。
【図31】第5実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図32】速度成分の分離の一例を説明する説明図。
【図33】速度成分の分離の別の例を説明する説明図。
【図34】速度成分の分離の更に別の例を説明する説明
図。
【図35】速度成分の分離の更に別の例を説明する説明
図。
【図36】第5実施例における色付けのカラースケール
を説明する説明図。
【図37】第6実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図38】心筋の輪郭線表示の様子を示す画像図。
【図39】心内膜の自動トレースの一例を説明する画像
図。
【図40】心内膜の自動トレースの別の例を説明する画
像図。
【図41】自動トレース時の、速度零に対する改善を説
明する(改善前)グラフ。
【図42】自動トレース時の、運動速度の零に対する改
善処理を示すフローチャート。
【図43】自動トレース時の、速度零に対する改善を説
明する(改善後)グラフ。
【図44】第7実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図45】第8実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図46】心筋運動速度の絶対値変化を示すグラフ。
【図47】心筋の運動時相解析の例を示すグラフ。
【図48】心筋の運動時相解析の例を示す画像図。
【図49】心筋の運動時相解析の別の例を示す画像図。
【図50】(a)(b)はビーム走査方向の違いを説明
する説明図。
【図51】(a)〜(d)はビーム走査方向に対する補
正を説明するグラフ。
【図52】第9実施例の超音波カラードプラ断層装置の
構成を示すブロック図。
【図53】位相解析結果の例を示すグラフ。
【図54】第10実施例の超音波カラードプラ断層装置
の構成を示すブロック図。
【図55】(a)(b)を含み、速度に関する計測結果
の一例を示す画像図。
【図56】速度に関する計測結果の別の例を示す画像
図。
【図57】速度に関する計測結果の更に別の例を示す画
像図。
【図58】速度に関する計測結果の更に別の例を示す画
像図。
【図59】(a)〜(f)は図58に関するベクトル軌
跡の表示過程を示す説明図。
【図60】速度に関する計測結果の更に別の例を示す画
像図。
【図61】速度に関する計測結果の更に別の例を示す画
像図。
【図62】速度に関する計測結果の更に別の例を示す画
像図。
【図63】運動時相に関する計測結果の一例を示す画像
図。
【図64】(a)(b)は従来の自動トレース法に係る
域値処理を説明するグラフ。
【符号の説明】
10 超音波カラードプラ断層装置 11 超音波プローブ 12 装置本体 13 ECG 14 操作パネル 15 超音波送受信部 16 Bモード用DSC部 17 Bモード用フレームメモリ 18 メモリ合成部 19 表示器 20 位相検波部 21 フィルタ部 22 周波数解析部 23 ベクトル演算部 24 カラードプラ用DSC部 25 カラードプラ用フレームメモリ 40 ECGアンプ 41 トリが信号発生器 42 参照データメモリ 43 CPU 44 タイミング信号発生器 50 グラフィックメモリ部 51 カラードプラ用輪郭描出部 52 速度変換演算部 53 Bモード用輪郭描出部 54 速度成分分離部 55 加速度演算部 56 運動時相解析部 57 運動速度位相解析部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体の断層面を超音波ビームで走査す
    るとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコー
    に対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前記
    エコー信号に基づき前記断層面のサンプル点の運動速度
    の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
    と、前記運動速度の分布情報をフレーム間で差分演算し
    て当該断層面内の運動する器官の運動加速度の分布情報
    を演算する加速度演算手段と、前記運動加速度の分布情
    報を2次元カラー断層像として表示する表示手段とを備
    えたことを特徴とする超音波カラードプラ断層装置。
  2. 【請求項2】 被検体の断層面を超音波ビームで走査す
    るとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコー
    に対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前記
    エコー信号に基づき前記断層面のサンプル点の運動速度
    の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
    と、前記運動速度の分布情報から前記断層面内で周期的
    に運動する器官の運動速度の時相の分布情報を解析する
    運動時相解析手段と、この運動速度の時相分布情報の解
    析結果を画像として表示する表示手段とを備えたことを
    特徴とする超音波カラードプラ断層装置。
  3. 【請求項3】 前記被検体の心電図情報を収集する心電
    図情報収集手段を備え、前記運動時相解析手段は前記心
    電図情報の特定の波形に同期して前記器官の運動速度の
    時相を解析する手段である請求項2記載の超音波カラー
    ドプラ断層装置。
  4. 【請求項4】 前記表示手段により表示された前記運動
    速度の時相を表す画像上にROI(関心領域)を設定す
    るROI設定手段と、前記ROI内の前記時相データを
    用いて前記器官の運動速度の時相を表す運動情報を演算
    する運動情報演算手段と、前記運動情報を表示する運動
    情報表示手段とを備えた請求項3記載の超音波カラード
    プラ断層装置。
  5. 【請求項5】 被検体の断層面を超音波ビームで走査す
    るとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコー
    に対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前記
    エコー信号に基づき前記断層面の各サンプル点の運動速
    度の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
    と、前記運動速度の分布情報をフレーム間で差分演算し
    て当該断層面の各サンプル点の運動加速度の分布情報を
    演算する加速度演算手段と、前記運動加速度の分布情報
    から前記断層面で周期的に運動する器官の運動加速度の
    時相の分布情報を解析する運動時相解析手段と、この運
    動加速度の時相分布情報の解析結果を画像として表示す
    る表示手段とを備えたことを特徴とする超音波カラード
    プラ断層装置。
  6. 【請求項6】 前記被検体の心電図情報を収集する心電
    図情報収集手段を備え、前記運動時相解析手段は前記心
    電図情報の特定の波形に同期して前記器官の運動加速度
    の時相を解析する手段である請求項5記載の超音波カラ
    ードプラ断層装置。
  7. 【請求項7】 前記表示手段により表示された前記運動
    加速度の時相分布情報を表す画像上にROI(関心領
    域)を設定するROI設定手段と、前記ROI内の前記
    時相データを用いて前記器官の運動加速度の時相を表す
    運動情報を演算する運動情報演算手段と、前記運動情報
    を表示する運動情報表示手段とを備えた請求項6記載の
    超音波カラードプラ断層装置。
  8. 【請求項8】 被検体の断層面を超音波ビームで走査す
    るとともに当該超音波ビームの反射に因る超音波エコー
    に対応した電気量のエコー信号を得る走査手段と、前記
    エコー信号に基づき前記断層面の各サンプル点の運動速
    度の分布情報をフレーム毎に順次演算する速度演算手段
    と、前記フレーム毎の前記運動速度の分布情報から前記
    断層面内の周期的に運動する器官の運動速度の位相の分
    布情報を解析する運動速度位相解析手段と、この運動速
    度の位相分布情報の解析結果を画像として表示する表示
    手段とを備えたことを特徴とする超音波カラードプラ断
    層装置。
  9. 【請求項9】 前記運動速度位相解析手段は、前記運動
    速度の第n次周波数(n=1,2,…)の位相角および
    振幅の内の少なくとも一方を求める手段である請求項8
    記載の超音波カラードプラ断層装置。
  10. 【請求項10】 前記表示手段により表示された前記運
    動速度の位相を表す画像上にROI(関心領域)を設定
    するROI設定手段と、前記ROI内の前記位相データ
    を用いて前記器官の運動速度の位相を表す運動情報を演
    算する運動情報演算手段と、前記運動情報を表示する運
    動情報表示手段とを備えた請求項8記載の超音波カラー
    ドプラ断層装置。
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