JPH0555318B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はサーマルプリンタに用いられる感熱転
写媒体に関する。近年、オフイスコンピユータ
ー、ワードプロセツサー、電子タイプライタ等の
記録方式として、保守性、静寂性等すぐれたサー
マルプリンタを用いる感熱方式が多く用いられる
ようになつてきた。この方式には感熱記録紙を用
いた直接感熱法およびベースフイルムの片面に熱
溶融性インキ層を設けた感熱転写媒体を用いた感
熱転写法があるが、前者は保存性が悪い、改ざん
防止ができない等の欠点を有する為、後者が最近
広く用いられるようになつた。該感熱転写法は、
被記録紙と感熱転写媒体の熱溶融性インキ層とを
接触させ、感熱転写媒体の反対面からサーマルヘ
ツドにて選択加熱され、熱溶融性インキが被記録
紙に選択転写し記録するものである。

近年記録のスピード化がはかられ、その為短時
間にインキの融点以上に加熱する必要があり入力
電力が大きくされてきている。これ故、本来ベー
スフイルムの融点以下の加熱温度で熱溶融性イン
キ層の融点以上に加熱されるような条件下である
べきだが、入力電力を大きくすることによりベー
スフイルムの融点以上の加熱温度がしばしば加え
られ、ベースフイルムの一部が溶融してサーマル
ヘツドに融着する現象いわゆるステイツク現象が
生じ、印字不良や感熱転写媒体の走行が不可能と
なる。このステイツク現象を防止するため、ベー
スフイルムの熱溶融性インキ層と反対の面にシリ
コーン樹脂、フツ素樹脂等の耐熱性融着防止層を
コーテイングすることが提唱されているが、シリ
コーン樹脂は硬化条件がきびしく硬化不十分な場
合、低分子シリコーンが裏移りし熱溶融性インキ
層をコーテイングする時ハジキ現象が生じる為、
生産管理上の欠点があり、また、シリコーン樹脂
塗面の摩擦係数が極端に小さく滑りすぎリボンの
走行不良の原因ともなる。またフツ素樹脂はきわ
めて高価であり実用上は問題がある。

本発明は、これら欠点を解消し感熱転写時にお
けるステイツク現象を防止し、サーマルプリンタ
による記録のスピード化に対応しうる感熱記録媒
体を提供することを目的とするものである。すな
わち、本発明者はベースフイルムの片面に一般式 で表わされ、ｎ＋ｍが400〜4000までの整数であ
り、また0.1＜ｎ／ｎ＋ｍ＜0.9であり、Ｒは炭素
数が８以上のアルキル基または炭素数８以上のア
ルキル第二アミン基である長鎖アルキルペンダン
ト型樹脂をコーテイングすることにより、特別な
硬化処理をしなくても、他面に熱溶融性インキ層
をコーテイングする時、ハジキ現象を生じずステ
イツク現象を防止することを見い出し、より高速
度での印字を可能とする新規な感熱転写媒体を提
供するものである。

本発明に用いられる長鎖アルキンペンダント型
樹脂の共重合割合は0.1＜ｎ／ｎ＋ｍ＜0.9であ
り、望ましくは0.2＜ｎ／ｎ＋ｍ＜0.6である。0.9
以上では溶剤への溶解度が悪くなり、0.1以下で
は耐熱性融着防止層としての十分な物性が得られ
ない。また、平均重合度は400〜4000であり望ま
しくは、700〜3000である。400以下では十分な耐
熱性が得られず、4000以上では硬度が高すぎ、
1μ以下の塗工量でも塗膜が割られ剥離しやすく
なる。炭素数８以上のアルキル類の例としてはラ
ウリル、パルミチル、ステアリル等が上げられる
がこれに限定されるものではない。

該長鎖アルキルペンダント型樹脂はトルエン、
キシレン等の有機溶剤に対して優れた溶解性を有
する通常のソルベントコーテイング方法でコーテ
イングされ、該樹脂自体十分な物性を有する為特
別な硬化処理は必要としない。

該長鎖アルキルペンダント型樹脂は非常に硬度
が高い為、耐熱性融着防止層は厚すぎると塗膜が
割られ剥離しやすくなる。また、塗膜が厚すぎる
とサーマルヘツドからの熱伝導を阻害する。従つ
て塗膜厚は1μ以下が望ましく、融着防止効果と
しては0.5μあれば実用上十分である。本発明の感
熱転写媒体に用いられるベースフイルムは、従来
より公知のポリエチレンテレフタレート等のポリ
エステルフイルム、ポリカーボネートフイルム、
ナイロンフイルム等の厚さ2.5〜12μのものがあげ
られる。

また本発明の感熱転写媒体に用いられる熱溶融
性インキ層は、染料、有機顔料、無機顔料等の着
色材、及びバインダー剤、柔軟剤より組成される
従来より公知のものが使用される。該バインダー
剤としては、例えばカルナバワツクス、キヤンデ
リラワツクス等の植物系ワツクス、マイクロクリ
スタリンワツクス、パラフインワツクス等の石油
ワツクス、モンタン等の石炭ワツクス、合成ワツ
クス等のワツクス類があげられる。また柔軟剤と
しては植物油、鉱物油、ワセリン、石油樹脂、天
然ロジン系樹脂等があげられる。これらの組成物
はホツトメルトコーテイングまたはソルベントコ
ーテイング等、従来より公知の方法によりコーテ
イングされる。

次に本発明を実施例を挙げて説明する。

実施例 １ 平均重合度2000、共重合割合0.3で炭素数８以
上のアルキル基として、ステアリル基である長鎖
アルキルペンダント型樹脂をトルエンに溶解し、
6μポリエチレンテレフタレートフイルムに樹脂
塗膜厚0.1μになるように通常のソルベントコーテ
イング方法によりコーテイングした。

その後、他面にパラフインワツクス40部、カル
ナバワツクス30部、ラノリン10部、エチレン酢ビ
共重合体（住友化学社製商品名スミテートKE−
10）５部、カーボンブラツク15部からなる熱溶融
性インキをホツトメルトコーテイングにより、
4μの厚さにコーテイングしたところハジキ現象
はなく感熱転写媒体を得た。該感熱転写媒体を
8m／ｍ幅にスリツトしサーマルプリンタにセツ
トしてプリントした。その結果耐熱性融着防止層
の剥離もなく、またステイツク現象もなく、すべ
りによる走行不良等も生じず良好な印字が得られ
た。

実施例 ２ 平均重合度1500、共重合割合0.4で炭素数８以
上のアルキル第二アミン基が、ラウリル第二アミ
ン基である長鎖アルキルペンダント型樹脂をトル
エンに溶解し、6μポリエチレンテレフタレート
フイルムに樹脂塗膜厚が0.1μになるように通常の
ソルベントコーテイング方法によりコーテイング
した。

その後、他面に実施例１に使用した熱溶融性イ
ンキをホツトメルトコーテイングにより4μの厚
さにコーテイングしたところ、ハジキもなく感熱
転写媒体を得た。該感熱転写媒体を8m／ｍ幅に
スリツトして実施例１と同様のテストを行つたと
ころ、耐熱性融着防止層の剥離がなく、またステ
イツク現象もなく、リボンの滑りによる走行不良
も生じず良好な印字が得られた。

実施例 ３ 平均重合度2000、共重合割合0.5で炭素数８以
上のアルキル基がステアリル基である長鎖アルキ
ルペンダント型樹脂をトルエンに溶解して6μポ
リエチレンテレフタレートフイルムに樹脂塗膜厚
が0.1μになるように通常のソルベントコーテイン
グ方法によりコーテイングした。その後、他面に
実施例１に使用した熱溶融性インキをホツトメル
トコーテイングにより4μの厚さにコーテイング
したところ、ハジキ現象もなく均一にコーテイン
グすることができ感熱転写媒体を得た。該感熱転
写媒体を8m／ｍ幅にスリツトし実施例１と同様
のテストを行つたところ耐熱性融着防止層の剥離
がなく、またステイツク現象もなく、リボンの滑
りによる走行不良も生じず良好な印字が得られ
た。

比較例 １ 6μのポリエステルテレフタレートに実施例１
で用いた熱溶融性インキをホツトメルトコーテイ
ングにより、4μの厚さにコーテイングして感熱
転写媒体とした。該感熱転写媒体を8m／ｍ幅に
スリツトし実施例１と同一条件下でサーマルプリ
ンタにて印字したところ、ステイツク現象すなわ
ちポリエチレンテレフタレートフイルムがサーマ
ルヘツドに融着して走行不良となり印字できなか
つた。

比較例 ２ シリコーン樹脂ワニス（信越化学工業社製商品
名KR−255）と硬化触媒（同社製商品名Ｄ−11）
を重量比100／１で混ぜたものを実施例１と同様
に通常のソルベントコーテイングにより0.1μの樹
脂厚になるようにコーテイングした。その後、実
施例１に用いた熱溶融性インキをホツトメルトコ
ーテイングにより塗膜厚が4μになるようにコー
テイングしたところ、シリコーン樹脂の硬化不足
のため低分子シリコーン樹脂が裏移りして熱溶融
性インキが所々ハジかれ均一に塗工できなかつ
た。

この感熱転写媒体を8m／ｍ幅にスリツトして
実施例１と同一条件下でサーマルプリンタにて印
字させたところ、ステイツク現象はなかつたが、
リボンの滑りによつてしばしばリボンが折れ走行
不良となつた。

以上のように本発明は長鎖アルキルペンダント
型樹脂を通常のソルベントコーテイングすること
により、熱溶融性インキをコーテイングする時ハ
ジキ現象も生じず均一な塗工ができ、高速ソーマ
ルプリンタによる印字の際ステイツク現象を防止
し、リボンの滑りによる走行不良もない新規な感
熱転写媒体を提供するものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ベースフイルムの片面に熱溶融性インキ層を
   設け、他面に一般式 で表わされ、ｎ＋ｍは400〜4000までの整数であ
   り、また、0.1＜ｎ／ｎ＋ｍ＜0.9であり、Ｒは炭
   素数が８以上のアルキル基、または炭素数８以上
   のアルキル第二アミン基である長鎖アルキルペン
   ダント型樹脂による耐熱性融着防止層を設けたこ
   とを特徴とする感熱転写媒体。 ２ 該耐熱性融着防止層の厚さが1μ以下である
   特許請求の範囲第１項記載の感熱転写媒体。