JPH055445Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、ワイヤの巻き取り及び巻き戻し長さ
を測定する長さ発信器に関するものである。

（背景技術） 従来、軟弱地盤の改良のためにサンドドレーン
工法が広く用いられている。この工法において
は、鋼管よりなる打設管を軟弱地盤中に鉛直に打
ち込み、打設管内に砂を投入し、圧力をかけなが
ら打設管を引き抜くことにより地中に砂を残し
て、地盤を固めるものである。この工法におい
て、打設管内の砂面の高さを測るために、先端に
重錘を付けたワイヤを打設管内に垂らして、重錘
が砂面に達した時点でワイヤの降下を停止させ、
ワイヤの降下した長さを測る方法が提案されてい
る。

ワイヤの降下した長さを測定するための装置と
しては、モータの回転軸に減速機を介してリール
を装着し、このリールにワイヤを巻き取つて、重
錘の重量よりも若干弱いトルクでモータを動作さ
せることにより、砂面に重錘が達するまではワイ
ヤがリールから巻き戻され、ワイヤが砂面に達し
て重錘の降下が停止すると、ワイヤの巻き戻しも
停止して、ワイヤの巻き戻された長さをリールの
回転量として測定することにより、ワイヤの降下
長さを測定する装置が提案されている。

ところが、この装置では、ワイヤの巻き取られ
るリールと、このリールに回転力を与えるための
モータと、モータの回転力をリールに伝達するた
めの減速機と、リールの回転変位を測定する回転
変位測定器とを組み合わせて１つの長さ発信器を
構成する必要があり、装置が大型化するという問
題があつた。特に、パツクドレーン工法の場合、
打設機に多数本の打設管を設ける必要があり、こ
れらの各打設管にそれぞれ長さ発信器を取り付け
る必要があるので、装置が大型化することは同工
法の実施に大きな障害となつていた。

（考案の目的） 本考案は上述のような点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ワイヤの巻き
取り及び巻き戻し長さを測定するための長さ発信
器を小型化することにある。

（考案の開示） 本考案に係る長さ発信器は、第１図乃至第３図
に示すように、ワイヤの巻き取り及び巻き戻し長
さを測定する装置であつて、ワイヤを巻き取り及
び巻き戻しするための螺旋条１を外周面に備える
中空円筒体２と、中空円筒体２の内部に収納さ
れ、固定軸３を中空円筒体２の外部に突設し、こ
の固定軸３の内部を貫通する導線４を介して給電
されるモータ５と、中空円筒体２の内部に収納さ
れ、モータ５の回転速度を減速して中空円筒体２
に前記固定軸３に対する回転力を与える減速機６
と、固定軸３に対する中空円筒体２の回転変位に
対応した電気信号を発信する信号発信器７とを有
して成るものである。

第１図は本考案の一実施例に係る長さ発信器の
正面図である。中空円筒体２の外周面には、螺旋
条１が全面に亘つて穿設されている。この螺旋条
１は、長さ測定用のワイヤが嵌まり込むように、
ワイヤの外径よりも若干幅が広くなつている。ワ
イヤは螺旋条１に沿つて巻き取られ又は巻き戻さ
れるので、巻き乱れが生じることはなく、中空円
筒体２の回転変位とワイヤの巻き取り又は巻き戻
し長さとは良く対応し、測定誤差の発生は少な
い。

モータ５は、中心部に配された固定子５Ａと周
辺部に配された回転子５Ｂとからなり、固定子５
Ａは固定軸３と結合している。回転子５Ｂは減速
機６と結合している。減速機６は減速ギア列から
なり、回転子５Ｂの回転を減速して中空円筒体２
に伝達する。したがつて、中空円筒体２は固定軸
３に対して回転する力を与えられる。回転軸３の
内部には、モータ５に給電するための導線４が貫
挿されている。固定軸３の外部には、第２図に示
すように、回転防止用の凹所８が形成されてお
り、この凹所８の形状に合わせた回り止め金具に
固定することにより、固定軸３の回転は防止さ
れ、中空円筒体２の方が回転することになる。モ
ータ５はトルクモータ又は安価な誘導電動機等よ
りなり、その印加電圧を定格電圧よりも十分に低
い電圧とすることにより、回転停止時や逆回転時
においても巻線が過熱しないようにする。

中空円筒体２と固定軸３の間には、中空円筒体
２の回転変位に対応した電気信号を発信する信号
発信器７が設けられている。信号発信器７として
は、ロータリーエンコーダやポテンシヨメータ、
セルシン、パルス発信器などのように回転変位を
電気信号に変換する計器が用いられる。信号発信
器７からの電気信号は、中空の固定軸３の内部に
貫挿された導線９を介して外部に引き出される。
なお、信号発信器７は中空円筒体２の内部に収納
することが望ましいが、外部に別設しても良い。

本考案の長さ発信器を使用するに際しては、打
設管の上端部に取り付け金具を２箇所に配置し
て、中空円筒体２を固定軸３に対して回転自在に
支承する。取り付け金具の一方は回り止め金具を
用いることは言うまでもない。中空円筒体２の螺
旋条１にワイヤを巻き取つて、ワイヤの自由端に
重錘を装着し、打設管の内部に垂らす。モータ５
により中空円筒体２の回転力は、ワイヤを巻き取
る方向に作用させ、且つ、重錘の重量よりも若干
弱いトルクに設定する。重錘が砂面に達しないう
ちは、重錘の重量がモータ５による中空円筒体２
の回転力に打ち勝つて、重錘が打設管内を降下
し、ワイヤは中空円筒体２から巻き戻されて行
く。重錘が砂面に達すると、重錘の降下が停止
し、ワイヤはモータ５による中空円筒体２の回転
力により張られた状態で停止する。したがつて、
ワイヤの弛みによる測定誤差は生じず、ワイヤが
停止するまでの中空円筒体２の回転変位量を測定
すれば、ワイヤの降下した長さ、つまり、砂面ま
での距離が測定できる。

測定の終了後、重錘を上昇させるときには、モ
ータ５への印加電圧を上げて、モータ５による中
空円筒体２の回転力を重錘の重量よりも若干強く
し、中空円筒体２にワイヤを巻き取るものであ
る。

以上のように、本考案の長さ測定器は、打設管
内の砂面の高さを測る用途に特に適しているが、
打設管が上下に移動した長さを測定する用途にも
使用でき、その場合には、打設管にワイヤの一端
を固定して、ワイヤが引かれた長さを測れば良
い。

なお、本考案は外周面に螺旋条を切つた中空円
筒体の内部にモータと減速機を内蔵し、軸側を固
定することにより、小型化を図つたものである
が、巻き取りトルクを調整する必要がない場合に
は、モータに代えて渦巻きばねを収納し、渦巻き
ばねの中心部（巻き始め）を固定軸に結合し、渦
巻きばねの周辺部（巻き終わり）を減速機を介し
て又は介さずに中空円筒体に結合し、中空円筒体
に固定軸に対する回転力を与えるようにしても良
い。

（考案の効果） 本考案は上述のように、ワイヤを巻き取り及び
巻き戻しするための螺旋条を外周面に備える中空
円筒体の内部に、モータと減速機を内蔵し、固定
軸に対して中空円筒体を回転させるようにしたか
ら、中空円筒体１個分の容積で長さ発信器を構成
することができ、従来の長さ発信器に比べて飛躍
的に小型化できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る長さ発信器の
正面図、第２図は同上の要部拡大右側面図、第３
図は同上の断面図である。 １は螺旋条、２は中空円筒体、３は固定軸、４
は導線、５はモータ、６は減速機、７は信号発信
器である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイヤの巻き取り及び巻き戻し長さを測定する
   装置であつて、ワイヤを巻き取り及び巻き戻しす
   るための螺旋条を外周面に備える中空円筒体と、
   中空円筒体の内部に収納され、固定軸を中空円筒
   体の外部に突設し、この固定軸の内部を貫通する
   導線を介して給電されるモータと、中空円筒体の
   内部に収納され、モータの回転速度を減速して中
   空円筒体に前記固定軸に対する回転力を与える減
   速機と、固定軸に対する中空円筒体の回転変位に
   対応した電気信号を発信する信号発信器とを有し
   て成ることを特徴とする長さ発信器。