JPH0554264U - 荷役器具に用いる金属製ボ−ド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】組立体を構成する材料に薄い金属板を用いて
も、荷重に対して耐久性に富み、且つ可能な限り軽量化
を図り、平パレット及びスキッドのデッキボ−ドやボッ
クスパレット用の枠体にも適用できるようにし、而も木
材を一切使用しないことにより自然資源の保存に寄与す
る。 【構成】第１に、金属製ボ−ドの薄板本体１の平面にあ
けた下孔２間に切込み３又はスリット３′を入れて連通
した部位をバ−リングによって鍔付き長円径穴４を成形
する。第２に、デッキボ−ドを鍔５の付いた長円径穴４
を配置した金属製ボ−ドで構成する。第３に、デッキボ
−ドを鍔付き長円径穴を複数列に配置すると共に、単位
列における各長円径穴に、隣接する列の前後の長円径穴
の間の繋ぎ部位７を重なるように配置した金属製ボ−ド
で構成する。第４にボックスパレット用枠体の壁面体を
鍔付き長円径穴を配置した金属製ボ−ドで構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、荷役器具に用いる金属製ボ−ドに関するもので、組立体を構成する 金属板に薄い板を用いても強度が保持され、且つ可能な限り軽量化が図れ、平パ レット又はスキッドのデッキボ−ドやボックスパレット用の枠体にも適用できる ようにして大量生産する木製パレットに使用する木材の消費を減らすことによっ て自然資源を保存することを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種の荷役器具に用いる金属製ボ−ドのうち、パレットに関しては平パ レットやスキッド若しくはボックスパレットを木材で製造したものが、金属製又 はプラスチック製の平パレット類に比べて軽量であり、且つ廃棄時の処分がし易 いことと、製造コストが安いこと等の理由で普及している。そして、その木材製 品の材料は、品質的にはそれほど高級なものは必要でなく、ラワン材や杉などの 間伐材でも得られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記従来の荷役器具に用いる木材は、国内においては、品薄である と共に、それが間伐材であっても定期的な大量需要には応じきれないため、輸入 に頼っているのが現状である。そのため、従来においても金属製やプラスチック 製のパレット類は生産されている。しかしながら、前者は強度を持たすために厚 めの鋼板を用いてア−ク溶接したり、ボルト締めしたりして組み立てている。ま た、後者は大型の射出成形機を用い、かつ成形材料を大量に使うためコスト的に かなり高くなっていると共に、不用になって廃棄する際にはその処分に困るとい う問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そこで、考案の目的を達成し、且つ従来技術の課題を解決するために本考案を 提供するものである。 本考案の第１は、荷役器具に用いる金属製ボ−ドにおいて、薄板本体の平面に 所定の間隔を保持してあけた下孔間に切込み又はスリットを入れて連通した部位 をバ−リングによって鍔付きの長円径穴又は鍔なしの長円径穴を複数成形したも のである。 本考案の第２は、上記第１の考案に係る金属製ボ−ドにおいて、平パレット又 はスキッドのデッキボ−ドを鍔付き長円径穴を単一列又は複数列に配置した金属 製ボ−ドで構成したものである。 本考案の第３は、上記第１の考案に係る金属製ボ−ドにおいて、平パレット又 はスキッドのデッキボ−ドを鍔付き長円径穴を複数列に配置すると共に、単位列 における各長円径穴に、所定の間隔を有して隣接する列の前後の長円径穴の間の 繋ぎ部位を重なるように配置した金属製ボ−ドで構成したものである。 本考案の第４は、上記第１の考案に係る金属製ボ−ドにおいて、ボックスパレ ット用枠体の壁面体を鍔付き長円径穴を単一列又は複数列に配置した金属製ボ− ドで構成したものである。 本考案の第５は、上記第１の考案に係る金属製ボ−ドにおいて、ボックスパレ ット用枠体の壁面体を鍔付き長円径穴を複数列に配置すると共に、単位列におけ る各長円径穴に、所定の間隔を有して隣接する列の前後の長円径穴の間の繋ぎ部 位を重なるように配置した金属製ボ−ドで構成したものである。

【０００５】

【作用】

上記の手段に基づく長円径穴を成形する作用は次の通りである。まず、荷役器 具の組立構成体の要部を成す薄板本体の平面に所定の間隔を保持して一対の下孔 をあける。次に、その下孔間に切込み又はスリットを入れて両下孔を連通する。 そして、両下孔の外周を囲むと共に両下孔間に渡ってバ−リングによって比較的 浅底の鍔付き長円径穴を成形する。さらに、前記の長円径穴を平パレットやスキ ッド又は平パレット若しくはスキッドの上に載置して形成するボックスパレット 用の枠体に単一列又は複数列に配置して成形する。また好ましくは、長円径穴を 複数列に設け、各単位列における長円径穴の長辺部位に隣接する列の前後の長円 径穴の間に形成されている繋ぎ部位を配置してある。

【０００６】

【実施例】

次に、本考案に係る荷役器具に用いる金属製ボ−ドの実施例を図面を以て説明 する。図１は金属製ボ−ドの一部を示す平面図、図２は図１の２─２線に沿う断 面図、図３は図１の断面図、図４は図１の金属製ボ−ドを平パレットのデッキボ −ドに適用した平面図、図５は図４の正面図、図６は図５の側面図、図７は図４ の一部の拡大平面図、図８は図７の８─８線に沿う断面図、図９は図７の９─９ 線に沿う断面図、図１０は図１の金属製ボ−ドをスキッドのデッキボ−ドに適用 した一部の平面図、図１１は図１０の正面図、図１２は図１０の側面図、図１３ は図１０の一部の拡大断面図、図１４は図１０の１４─１４線に沿う拡大断面図 、図１５は図１の金属製ボ−ドをボックスパレット用枠体に適用した正面図、図 １６は図１５の一部の平面図である。 図において、１は薄板本体であり、軟鋼板又はアルミ合金板等の材質で、板厚 は１．２ｍｍのものを用いることを可とする。２は薄板本体の平面に所定の距離 Ｌを保持してあけた一対の下孔、３はその下孔２・２の中心に向け、且つ両下孔 間に連通した切込み、３′は切込みの代わりに所定幅で設けるスリット、４は下 孔２・２の外周を囲むと共に両下孔間に渡ってバ−リングによって成形した長円 径穴である。その長円径穴の大きさ（長さと幅）は任意であるが、図１〜３の場 合は、長径と短径の比率は４：１から５：１程度を可とし、下穴の直径１３ｍｍ 、長径Ｌ′＝１５０ｍｍに対して短径Ｌ″＝３５ｍｍに設定してある。そして、 当該長円径穴を複数列に設ける場合は、単位列の長円径穴４の長辺に沿って重な るように隣接する前後の長円径穴４・４間の繋ぎ部位７を配置し、且つその繋ぎ 部位の距離Ｓは、長径と短径との比率における短径と略同一に設定し、また、単 位列の長円径穴４の長辺に隣接する列の前後における長円径穴の一部の繋ぎ部位 ８の間隔Ｓ′は、長径と短径との比率における短径の略３分の１程度に設定する 。 そして、前記の長円径穴４は、ボ−ドの厚さによって設定されるが、平パレッ トやスキッドのデッキボ−ドにあっては通常１５ｍｍ程度が通常であるから、そ の場合における長円径穴４も浅く形成され、これに伴って底穴部位６における鍔 ５が浅底を成している。 上記の長円径穴４を成形する「バ−リング」は、穴フランジ加工を意味し、一 般的には、単一の真円の円周の伸びを利用して円柱形雄型と、これを受ける雌型 によって円筒形に加工するものであり、また、そのバ−リングを利用した絞り加 工も知られているが、本考案においては、図１〜３の如く、円心間に所定の距離 Ｌを保持してあけた下孔２・２間に切込み３又はスリット３′を入れて連通させ てバ−リング加工することにより、長円径穴の底穴部位全周に又は少なくとも長 辺部位に鍔５を形成している。 そして、その薄板本体１には、複数列に長円径穴４が設けられ、いずれも前後 の長円径穴の間の繋ぎ部位７が、所定の間隔８を有して隣接する列の前後の長円 径穴４・４の一部に重なるように設けられている また、図示例は切込み３によって薄板本体の底穴部位６は平面が鉄亜鈴形状を 成しているが、必要に応じて所定幅のスリット３′を入れることによって、長円 径穴４より小さい長円径穴に形成することができる。９は前記長円径穴の鍔５の 一部を必要に応じてカ−ルした玉縁部である。 図４〜９において、１０は平パレットのデッキボ−ドであり、複数枚に分けて 適宜の間隔を保持して並べてあるが、その単位デッキボ−ドには、３列に長円径 穴４が設けられ、いずれも前後の長円径穴の間の繋ぎ部位７が、所定の間隔８を 有して隣接する列の前後の長円径穴４・４の一部に重なるように設けられている 。 図１０〜１４において、１１はスキッドのデッキボ−ド、図１５及び図１６に おいて、１２はボックスパレット用枠体の壁面体である。 前記の平パレットにおいて、１３は複数枚に分けて並べた両面のデッキボ−ド １０・１０₁ を支持する桁部材、１４はその桁部材のデッキボ−ドを支受する部 位にあけた逃げ穴を示し、各デッキボ−ドを桁部材１３に組付ける際、スポット 溶接するときのチップを挿入するためのものである。 また、スキッドにおけるデッキボ−ド１１は１枚の薄板本体１を用い、その両 側端部近傍の正面から背面に向けて深い凹溝を絞り加工して脚体１５を成形して ある。そして、当該脚体の凹溝方向に交差して長円径穴４脚体の外面から設けて ある。なお、デッキボ−ド１１に設ける長円径穴４には、鍔５が底穴部位の一部 だけ（長辺部位）に形成されてないものを示すが、当該底穴部位の全周に鍔を形 成しても支障がないことはもち論のことである。 さらに、ボックス用枠体の壁面体１２にあっては、幅方向の適宜個所に折り畳 み用ヒンジ部１６が設けられている。そして、壁面体１２の四隅には、ボックス パレットの積み重ね用受け皿１７を有する基脚１８が設けられている。

【０００７】

【具体的な製造工程例】

上記の手段に基づく本考案の具体的な製造工程例を図１〜３を以て説明する。 まず、荷役器具の組立構成体の要部を成す薄板本体１の平面に所定の距離Ｌを保 持して一対の下孔２・２をあける。次に、その下孔２・２間に切込み３又はスリ ット３′を入れて両下孔間を連通する。そして、両下孔２・２の外周を囲むと共 に両下孔間に渡ってバ−リングによって長円径穴をあけ、この穴あけ加工時に比 較的浅い底穴部位６の全周又は一部（長辺部）に鍔５を形成し、この鍔が浅底６ を形成する。 そして、この長円径穴４を薄板本体１に複数列に配置して成形し、単位列の長 円径穴に隣接する列の前後の長円径穴間の繋ぎ部位７で各長円径穴が重なるよう に配置する。そして、その長円径穴４を成形した金属薄板ボ−ドを平パレットの デッキボ−ド１０やスキッドのデッキボ−ド１１又は平パレット若しくはスキッ ドの上に載置して形成するボックスパレット用の枠体の壁面体１２に適用する。

【０００８】

【考案の効果】

本考案に係る荷役器具に用いる金属板製ボ−ドは上記の構成であるから、請求 項１及び２にあっては、金属製薄板を用いていることにより、軽量であるにも拘 わらず、強度が増大して耐久性に富み、さらにボ−ドとして適当な厚さ、例えば １０〜３０ｍｍ程度に長円径穴の高さを設定することができる。 そして、薄板本体に複数設けた長円径穴によって補強され、而も底穴部位に形 成された鍔によって、その補強効果がより増大すると共に、平パレットにあって は桁部材に安定した載置結合される。且つ単位列における前後の長円径穴の間の 繋ぎ部位が隣接する列の各長円径穴に重なるように設けてあることにより、薄板 本体の面積の半分以上を占める程大きくて複数の長円径穴でありながら、積載面 又は壁面への荷重に対しては十分な強度が確保されている。 さらに、木材を一切使用しないので、自然資源の保存にも役立つ結果が期待で きる。 請求項２及び３の平パレットにあっては、そのデッキボ−ドに請求項１の金属 製ボ−ドを適用することによって、積載面の半分以上が長円径穴で占め、きわめ て軽量化が図れると共に、各長円径穴の間の繋ぎ部位で隣接する穴に重なるよう に配置してあることにより、積載荷重に対して強度を確保すると共に、特に局部 的に荷重に対して弱くなる個所を補強して強度が増大する。 なお、この場合のデッキボ−ドを桁部材に組付けるときに桁部材のデッキボ− ドを支受する部位に逃げ穴をあけたことによって、スポット溶接のチップが容易 に挿入できるようになり、ボルト締めやア−ク溶接等が不要となり、きわめてす っきりしたスマ−トな平パレットが得られる。 また、同じく請求項２及び３のスキッドにあっては、そのデッキボ−ドに請求 項１の金属製ボ−ドを適用したことによって、１枚板で構成することができ、而 もその強度が増大しているから軽量化を図りながら積載荷重に対する強度が増大 したスキッドが得られる。 そして、その重量は複数の長円径穴によって軽量化が図れると共に、長円径穴 を形成し、さらに各長円径穴に隣接する前後の長円径穴の間の繋ぎ部位を重なる ように配置したことによって補強強度が増大して耐久性に富んでいる。 請求項４及び５のボックスバレット用枠体にあっては、その壁面体に請求項１ の金属製ボ−ドを適用したことによって、１枚ボ−トに形成することができ、又 は２分割してその継ぎ目をヒンジ結合して実質的には１枚ボ−ドに形成すること ができる。そして、その重量は複数の長円径穴によって軽量化が図れると共に、 長円径穴に鍔を形成し、さらに各長円径穴に隣接する前後の長円径穴の間の繋ぎ 部位を重なるように配置したことによって補強強度が増大して耐久性に富んでい る。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本考案に係る鍔付き長穴を成形した金属製
ボ−ドの一部を示す平面図である。

【図２】は、図１の２─２線に沿う断面図である。

【図３】は、図１の３─３線に沿う断面図である。

【図４】は、図１の金属製ボ−ドを平パレットのデッキ
ボ−ドに適用した 平面図である。

【図５】は、図４の正面図である。

【図６】は、図５の側面図である。

【図７】は、図４の一部の拡大平面図である。

【図８】は、図７の８─８線に沿う断面図である。

【図９】は、図７の９─９線に沿う断面図である。

【図10】は、図１の金属製ボ−ドをスキッドのデッキボ
−ドに適用した一部の平面図である。

【図11】は、図１０の正面図である。

【図12】は、図１０の側面図である。

【図13】は、図１０の一部の拡大面図である。

【図14】は、図１３の１４−１４に沿う拡大断面図であ
る。

【図15】は、図１の金属製ボ−ドをボックスパレット用
枠体に適用した正面図である。

【図16】は、図１５の一部の平面図である。

【符号の説明】

１ 薄板本体 ２ 下孔 ３ 切込み ４ 長円径穴 ５ 鍔 ６ 底孔 10 平パレットのデッキボ−ド 11 スキッドのデッキボ−ド 12 ボックスパレット用枠体の壁面体

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 薄板本体(1) の平面に所定の間隔(L) を
   保持してあけた下孔(2) ・(2) 間に切込み(3) 又はスリ
   ットを入れて連通した部位をバ−リングによって底穴部
   位(6) に鍔(5) の付いた長円径穴(4) 又は鍔なしの長円
   径穴(4) を複数成形したことを特徴とする荷役器具に用
   いる荷役器具に用いる金属製ボ−ド。
2. 【請求項２】 平パレットのデッキボ−ド(10)又はスキ
   ッドのデッキボ−ド(11)を請求項１記載の鍔付き長円径
   穴(4) を単一列又は複数列に配置した金属製ボ−ドで構
   成したことを特徴とする荷役器具に用いる金属製ボ−
   ド。
3. 【請求項３】 平パレットのデッキボ−ド(10)又はスキ
   ッドのデッキボ−ド(11)を請求項１記載の鍔付き長円径
   穴(4) を複数列に配置すると共に、単位列における各長
   円径穴(4) に所定の間隔(8) を有して隣接する列の前後
   の長円径穴の繋ぎ部位(7) を重なるように配置した金属
   製ボ−ドで構成したことを特徴とする荷役器具に用いる
   金属板製ボ−ド。
4. 【請求項４】 平パレット又はスキッドの上に載置する
   ボックスパレット用枠体の壁面体(12)を請求項１記載の
   鍔付き長円径穴(4) を単一列又は複数列に配置した金属
   製ボ−ドで構成したことを特徴とする荷役器具に用いる
   金属製ボ−ド。
5. 【請求項５】 平パレット又はスキッドの上に載置する
   ボックスパレット用枠体の壁面体(12)を請求項１記載の
   鍔付き長円径穴(4) を複数列に配置すると共に、単位列
   における各長円径穴(4) に所定の間隔(8) を有して隣接
   する列の前後の長円径穴の繋ぎ部位(7) を重なるように
   配置した金属製ボ−ドで構成したことを特徴とする荷役
   器具に用いる金属製ボ−ド。