JPH0554242B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は被絶縁電気コイル組立体、特に比較的
高い電圧および繰返し熱サイクルを受ける用途向
けに設計された電気コイル組立体に関する。本発
明はまたかゝる被絶縁電気コイルを製造する方法
にも関する。

本発明に従つて構成された電気コイルは、例え
ば回転電気機械の界磁磁極用の励磁コイルに適用
できる。

各種の電気装置を絶縁樹脂組成物でカプセル封
じすることは当業界で周知である。このような従
来の実例において、関連装置の動作条件により絶
縁樹脂にしばしば加えられる苛酷な応力が原因で
種々の問題が生起している。例えば、電動機の界
磁磁極にそのコイル巻線を覆う絶縁樹脂組成物を
設けたとき、絶縁組成物はしばしば過度の熱サイ
クル、機械的振動、それにある程度の摩耗を受け
るとともに、汚染物にもさらされる。かかる問題
が認識されたことから、かゝる界磁磁極組立体に
有効な絶縁特性を妥当な長い動作寿命の間確実に
維持するために、界磁磁極組立体用の絶縁材料の
種々の組合せが開発されてきた。このような複雑
な絶縁方式を適用した、回転電気機械用の最近の
界磁磁極組立体の１例が、特願昭55−065471号に
開示されている。

上記特許出願に記載されているような、複雑な
被絶縁界磁磁極コイル組立体の製造および適用時
に遭遇する幾つかの問題に加えて、この樹脂絶縁
方式のさらに重大な欠点が見出された。樹脂絶縁
方式を使用する従来の界磁磁極・コイル組立体構
造においては、樹脂を適用し硬化するとき、又は
その後の装置の動作中に、樹脂中に気孔や亀裂が
生じることが多い。このような気孔や亀裂中に閉
じ込められた空気が、機械の作動中に界磁コイル
に加えられる高電圧の下で電離する。この電離し
た空気は絶縁破壊してコロナを生じさせ、このた
め絶縁がさらに劣化し、しばしばコイルの完全な
破損につながる。気孔のない絶縁体を形成してコ
ロナ発生およびその結果としての絶縁の破壊とい
う問題を少くとも部分的になくすことが望まれて
おり、そのための種々の解決策が提案されてい
る。例えば、米国特許第3434087号には、周期的
な熱膨張と収縮を受ける電気装置用の亀裂抵抗性
（crack resistant）流し込み組成物が開示されて
いる。この特許では、絶縁樹脂を適用しようとす
る金属製装置の熱膨張係数に極めて近い膨張係数
を有する絶縁用流し込み（casting）組成物を製
造することが提案されている。従つて、このシス
テムの動作時には、絶縁用流し込み組成物および
関連装置がほゞ同じ割合で膨張および収縮し、こ
れにより絶縁用流し込み組成物と関連金属装置と
の間で亀裂が生じる恐れを減じている。

別の米国特許第3112357号（1963年11月26日発
行）には、亀裂のない被絶縁導体およびその製造
方法が開示されている。この特許によれば、積層
絶縁シートを、シートの隣接層間に亀裂が発生す
るのを回避するような態様で形成している。その
好適例においては、クレープ紙のような伸張可能
な層を絶縁樹脂組成物で含浸して、絶縁シートを
構成する各層間に亀裂が発生するのを避けようと
している。

絶縁体の亀裂や樹脂絶縁層同士および隣接金属
装置との間の亀裂の発生を回避しようとする上記
の比較的初期の例のほかに、従来技術として、モ
ータ、発電機または他の電気機械のコイルを絶縁
するための、気孔のない樹脂絶縁マイカシート材
料を製造する方法が開示されている。例えば、米
国特許第4013987号（1977年３月22日発行）には、
マイカ質材料を粘稠な液状エポキシ樹脂および適
当な触媒を含む諸成分からなる配合物で含浸した
柔軟な繊維シート裏張り上に支持することが開示
されている。この特許及び米国特許第4112183号
（1978年９月５日発行）ではともに、電気機械の
コイルを絶縁するために、可撓性高電圧絶縁テー
プ上に被着された気孔のないマイカ絶縁材料を使
用している。これらの特許で使用されるマイカ充
填テープは、その後テープを真空含浸法で含浸す
ることにより電気装置に適用される。従つて、こ
れらのシステムの欠点は、テープを適用し最終的
にそれを硬化して組立体の絶縁を完了する際に比
較的高い経費がかかることである。

電気コイル絶縁体を所定位置に保持し、組立体
内の気孔を埋めてコロナ発生を防止するために絶
縁樹脂を用いることに伴なう別の問題は、樹脂が
硬化する前に絶縁システムの部品から流れ出しや
すいことである。このため、従来、絶縁樹脂が絶
縁体中に流入するのを可能にすると共に、樹脂が
絶縁システムから急速に流出するのを防止するテ
ープを開発する努力がなされており、さらに、
種々の数の結合テープ層または多数回重ね巻きし
たテープを被絶縁コイルに適用することも試みら
れている。例えば、米国特許第3759734号（1973
年９月18日発行）および同第3845438号（1974年
10月29日発行）に開示された電気コイル絶縁シス
テムでは、重ね巻きした粗い織目のテープを使用
し、該テープにより膨潤性樹脂を電気コイルに隣
接した所定位置に十分な時間保持して、樹脂の早
期漏出によりコイルに気孔が生じるより前に樹脂
を硬化させるようにしている。これらの特許で
は、たて糸方向に少なくとも２％伸びる、熱的に
安定な繊維よりなる粗い織目のテープを使用し
て、無溶剤樹脂がテープを通過して導体まで流れ
込み（しみ込み）得るようにするとともに、硬化
前に樹脂が導体から流れ去るのを防止している。

本発明の主要目的は、上述したような従来の絶
縁システム、装置および方法の欠点をなくした被
絶縁コイル組立体およびその製造方法を提供する
ことにある。

本発明の他の目的は、粗い織目のガラステープ
で支持された亀裂抵抗性樹脂被覆を有する被絶縁
コイル組立体を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、粗い織目のガラス
テープを巻いたコイルを、樹脂の浸漬用
（dipping）コンパウンド中に浸し、該コンパウン
ドをそれが熱的に硬化されるまでガラステープに
よりコイル上に連続被覆して保持することにより
被絶縁コイル組立体を製造する方法を提供するこ
とにある。

本発明の好適例においては、回転電気機械の界
磁磁極に絶縁ワニスで被覆した導電性マグネツ
ト・ワイヤ（magnet wire）よりなる被絶縁コ
イル組立体が提供される。粗い織目のガラス繊維
テープの重ね巻きの層をコイルの各辺のまわりに
ぴつたり配置してコイルを完全に覆い、亀裂抵抗
性熱硬化性浸漬用コンパウンドの気孔のない連続
被覆を粗い織目のテープのまわりに配置しかつ該
テープの糸により保持し、これにより被覆を設け
るために真空含浸法を用いることなく、コイル用
の丈夫な亀裂抵抗性絶縁システムを形成する。本
発明の方法の好適例においては、界磁コイルを浸
漬用コンパウンドで絶縁するため、コイルのすべ
ての辺のまわりに粗い織目のテープを、テープの
重なり合いが半分以下になる巻き方で、ぴつたり
巻いて形成したコイルを浸漬用コンパウンド溶液
中に浸漬する。コンパウンド溶液が粗い織目のテ
ープにより支持された後、コイル溶液から取り出
し、加熱硬化して所望の亀裂抵抗性被覆を形成す
る。この被覆はコイルを堅く包囲し、粗い織目の
テープのガラス繊維により構造的に保持される。

以下に図面を参照しながら本発明の好適例を詳
述することにより本発明が一層明瞭に理解できよ
う。

第１図は回転電気機械の界磁磁極に取付けた被
絶縁コイル組立体を含む界磁磁極組立体１を示
す。コイル組立体は亀裂抵抗性絶縁材料の固体リ
ングで被覆され、リングは粗い織目のガラス繊維
テープの一部分重ね巻きの層によりコイル上に機
械的に支持されている。

第１図に例示したような回転電気機械用の界磁
磁極組立体は、種々の異なる形状をとることがで
き、それらの夫々の諸構成部品は、多数の異なる
構造的配置により機械的に支持および電気的に絶
縁を行うことができる。第１図に示す特定形状の
界磁磁極組立体１は、一般によく知られ形状の積
層界磁磁極構造体２を具え、構造体２は、積層し
た磁極胴部（鉄心部）２Ａと、１対の一体の磁極
先端部（磁極片部）２Ｂおよび２Ｃとを含む。通
常、かゝる界磁磁極は、磁極胴部の上面に示す適
当なねじ切穴２A′および２A″に固定したねじ付
ボルトまたは他の慣用の取付手段により動作位置
に支持される。かゝるボルトは関連電機子組立体
に周知の態様で固着される。

磁極２に所望の磁束を与えるために、個々の巻
線を絶縁分離するように絶縁ワニスで被覆した導
電性マグネツト・ワイヤを多回巻きにして構成し
たコイル３が磁極２に装着される。コイル３は、
磁極２の胴部２Ａの一部を受入れる多辺形の窓３
Ａを画成するように配置する。前述した特許出願
で説明されているように、コイル３と界磁磁極２
の胴部２Ａとの間にポツテイング（potting）コ
ンパウンドの適当な層４を配置して、コイル組立
体の構造的剛性を達成するとともに放熱特性を向
上させる。磁極先端部２Ｂおよび２Ｃの上面に普
通のダミング（damming）コンパウンドの層５
を配置して、コイル３を構造的に支持するととも
に、ポツテイング・コンパウンド４がそのゼリー
化および硬化前にコイルと磁極との間から流れ出
ないようにする。

本発明によれば、粗い織目のガラス繊維テープ
の重ね巻き層６をコイル３の各辺のまわりにぴつ
たり配置してコイルを完全に覆う。この目的に適
当なテープは、例えば熱清浄化ガラス繊維テープ
で、これはゼネラル・エレクトリツク社からGE
材料22L14として商業的に入手できる。或いはま
た、Carolina Narrow Fabric Co.（米国ノース
カロライナ州所在）が製造しているForm−Ｉ−
Glastapeがこの目的に適当である。

本発明の好適例では、上記の目的のため、テー
プ６を最大で半分重なるように巻く。最後に、第
１図に示すコイル組立体は、−50℃〜150℃の温度
範囲で熱的に安定な亀裂抵抗性熱硬化性浸漬用コ
ンパウンドの実質的に気孔のない連続被覆７を含
む。被覆７は粗い織目のテープ６のまわりに配置
されそしてテープの糸により保持されて、固体の
リング状被絶縁コイル組立体を形成する。この組
立体は真空含浸法を用いずに形成される。

本発明の好適例において、被覆７を形成するた
めに使用する浸漬用コンパウンドはチキソトロピ
ー性エポキシ樹脂である。本発明を実施する場
合、コイル３をしつかり包囲するのに使用する浸
漬用コンパウンドは、ポリイミド、ポリアミド、
シリコーン、ポリエステル、ポリエーテルイミド
およびポリウレタンを含む浸漬用コンパウンド群
から選択することができる。本発明の重要な特徴
として、固体リング状被覆が粗い織目ののガラス
繊維テープの夫々の糸上に機械的に支持され、従
つて被覆は構造的に強く、また硬化処理中に被覆
が固化する間にガラステープ６によりほゞ均一な
厚さに支持されていることにより、被覆はコイル
３の表面にわたつてほゞ均一に分布される。

この独特の被絶縁コイル組立体において、本発
明の目的物を得るために、コイル３上にテープ６
の半分以下の重ね巻きの層が必要なだけで、これ
により被覆７がコイル３のまわりの所定位置に、
硬化させる前でも後でも、構造的に支持されるこ
とを確かめた。本発明の顕著な利点は、被覆７を
形成するのに非常に多種の異なるチキソトロピー
性エポキシの浸漬用コンパウンドを使用できるこ
とである。例えば、商業的に入手できるかゝる浸
漬用コンパウンドとしては、商品名：
Amicon926−68、Sterling Ｅ−301、Sterling
Ｅ−301 LV−３およびＥ−301 LV−４ならびに
ゼネラル・エレクトリツク社のDipping
ComponudNo.GE110−036が掲げられる。これら
の浸漬用コンパウンドはすべて、普通の充填材で
高度に充填されているために非常に粘稠であると
きでも、テープ６の粗い織目構造に浸透する亀裂
抵抗性絶縁体を形成する。この場合、テープ６が
粗い織目、からめ織またはニツト編構造であるた
め、テープ６とコイル３の角や凹凸表面との適合
性が高く、従つて本発明の目的物を得るのにテー
プ６の半分以下の重ね巻きにした層が必要なだけ
である。

本発明の方法によれば、その好適例において
は、第２図に概略を示す通りに以下の工程を実施
することにより回転電気機械界磁磁極用の第１図
に示すような被絶縁コイル組立体を製造する。ま
ず最初に、被絶縁マグネツト・ワイヤの適当なコ
イルを形成して、界磁磁極の胴部の一部を受入れ
るための窓を画成する。次に粗い織目のガラス繊
維テープの半重ね巻きの層をコイルの各辺のまわ
りに巻き、次いでテープを巻いたコイルを熱硬化
性浸漬用コンパウンド、例えば上述した材料の内
の１種の浴中に浸漬する。最後に、コイルを浴か
ら取り出して、熱硬化させることにより、浸漬用
コンパウンドからなる、コイルのまわりにしつか
りと配置され且つ粗い織目のテープの糸上に支持
された連続の実質的に気孔のない亀裂抵抗性被覆
を形成する。本発明の好適方法を実施するにあた
つて、浸漬用コンパウンドは浸漬工程および次の
硬化工程の両方の間その周囲大気の圧力にほぼ維
持され、従つて、本発明を実施する際には、真空
含浸を行うような余分な経費を避けることができ
る。

本発明の方法の変形例として、浸漬用コンパウ
ンド溶液の浴を用いる代わりに、粗い織目ののテ
ープの半重ね巻きの層を巻き付けたコイルを、浸
漬用コンパウンド粉末の流動化した床中に十分な
時間浸漬して、粗い織目のテープのまわりおよび
その糸の間に所望の厚さの被覆を接着させる。か
かる流動化した床を用いる被覆操作の間、コイル
を加熱して浸漬用コンパウンド粉末をコイルおよ
びそれをとりまく粗い織目のテープに接着させる
か、または流動化した床への導入前にコイルを予
め加熱して、浸漬用コンパウンド粉末を部分的に
溶融しコイルに接着させることができる。適当な
厚さの流動化した粉末がコイル並びに粗い織目の
テープの糸のまわりに付着た後、コイルを浸漬用
コンパウンド粉末の流動化した床から取り出し、
浸漬用コンパウンドの被覆を硬化させてコイルの
まわりに所望の固体リング状絶縁被覆を形成す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転電気機械の界磁磁極およびこれに
取付けた被絶縁コイル組立体を一部断面で示す斜
視図、および第２図は本発明の方法の工程を示す
流れ図である。 １……界磁磁極組立体、２……界磁磁極、３…
…コイル、４……ポツテイング・コンパウンド、
５……ダミング・コンパウンド、６……テープ、
７……絶縁被覆。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 界磁磁極の一部を受け入れるための多辺形の
   窓を画成するように構成された、絶縁ワニス被覆
   導線からなるコイルと、該コイルの各辺のまわり
   にぴつたり配置されてコイルを完全に覆う粗い織
   目のガラス繊維テープの重ね巻き層と、−50℃〜
   150℃の温度範囲で熱的に安定な実質的に気孔の
   ない連続した亀裂抵抗性熱硬化浸漬用コンパウン
   ドであつて、前記コイルの表面にわたつて全体的
   に一様に分布し且つ前記テープによつて全体的に
   一様な厚さに支持された硬化した固体包囲被覆を
   形成する該コンパウンドとを有する、電気機械の
   界磁磁極用の被絶縁コイル組立体。 ２ 前記テープの重ね巻き層がテープをほゞ均一
   な間隔で巻いた単一の半重ね巻き層よりなる特許
   請求の範囲第１項記載のコイル組立体。 ３ 前記浸漬用コンパウンドがチキントロピー性
   エポキシ樹脂である特許請求の範囲第２項記載の
   コイル組立体。 ４ 前記浸漬用コンパウンドがポリアミド、ポリ
   エステル、シリコーン、ポリエーテルイミド、ポ
   リイミドおよびポリウレタンを含む浸漬用コンパ
   ウンド群から選択される特許請求の範囲第１項記
   載のコイル組立体。