JPH0553849U - センタ研磨装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削加工等に供されるワークの両端軸心に設
けるセンタ穴を、極めて高い真円度に設定し得るセンタ
研磨装置を提供する。 【構成】 ワークＷ両端のセンター穴Ｈに嵌合する円錐
状先端部５ａ，６ａを備えた非回転の主軸センタ５及び
心押し台センタ６と、主軸センタ５に回転自在に外嵌す
る回転駆動板１０と、ワークＷを軸心方向に押し付ける
押圧手段１８と、ワークＷをクランプして回転駆動板１
０と一体回転させるワーククランプ手段２４とを具備
し、両センタ５，６の円錐状先端部５ａ，６ａの表面が
砥石面９をなし、両センタ５，６間で支持したワークＷ
を回転させることによりセンタ穴Ｈを研磨するように構
成されてセンタ研磨装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、研削加工等に供される回転体形状のワークの両端軸心に設けられた センタ穴を研磨するのに使用されるセンタ研磨装置に関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】

一般に、円筒研削盤にて回転体形状のワーク外周を研削加工する場合、主軸セ ンタと心押し台センタによりワークを両端軸心でで回転自在に支持し、主軸セン タを非回転として、該主軸に外嵌する回転駆動板によりケレ等のクランプ機構を 介して該ワークを回転させ、その周面に回転砥石を接触させて研削を行う。しか して、上述のようにワークを前記両センタ間で支持する上で、図５に示すように 、予めワークＷの両端面の軸心位置に、該両センタの円錐状先端部に嵌合させる ための円錐形のセンタ穴１が形成される。このセンタ穴Ｈの円錐角θは通常６０ 度に設定される。

【０００３】 この研削加工において、ワークＷのセンタ穴の中心がワーク軸心から多少ずれ ていても、ワークＷを該センタ穴を中心に回転させて切削する過程で前記ずれに よる大半径側が先に削られるから、結果的には研削加工後の軸心がセンタ穴と一 致することになる。しかるに、該センタ穴の真円度に狂いがある場合は、研削加 工中のワークＷの回転軸心が一定せず、心振れや片当たりにより切削される外周 の真円度が出ず切削精度の著しい低下を招くことになる。

【０００４】 しかしながら、従来において上記センタ穴の穿孔後の研磨に使用されるセンタ 研磨機は、主軸が回転しながら偏心回転するヘリカル運動によって穴内周に切り 込んでいくという機構上、研磨不足の場合に研磨面が楕円形となり、また構造的 に偏心むらや回転むらを生じやすいため、真円度の高いセンタ穴が得られにくい という難点があった。

【０００５】 本考案は、上述の状況に鑑み、研削加工等に供されるワークの両端軸心に設け るセンタ穴を、極めて高い真円度に設定し得るセンタ研磨装置を提供することを 目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係るセンタ研磨装置は、ワークＷ両端の センター穴Ｈ，Ｈに嵌合する円錐状先端部５ａ，６ａを備えた非回転の主軸セン タ５及び心押し台センタ６と、前記主軸センタ５に回転自在に外嵌する回転駆動 板１０と、前記ワークＷを軸心方向に押し付ける押圧手段１８と、該ワークＷを クランプして回転駆動板１０と一体回転させるワーククランプ手段２４とを具備 し、前記両センタ５，６の円錐状先端部５ａ，６ａの表面が砥石面９をなし、こ れら両センタ５，６間で支持したワークＷを回転させることにより前記センタ穴 Ｈを研磨するように構成されてなるものである。

【０００７】

【作用】

ワークＷ両端の予め穿設されているセンタ穴Ｈ，Ｈに主軸センタ５及び心押し 台センタ６の円錐状先端部５ａ，６ａを嵌合して該ワークＷを両センタ５，６で 支持し、ワーククランプ手段２４によってクランプした上で回転駆動板１０を駆 動すると、これに伴ってワークＷが回転するが、前記両センタ５，６は非回転で あるため、その円錐状先端部５ａ，６ａの砥石面９がワークＷのセンタ穴Ｈ，Ｈ 内面と摺接し、両センタ穴Ｈ，Ｈが同時に研磨される。しかして、この研磨では 、ワークＷを支持する両センタ５，６自体が砥石をなし、該ワークＷが軸心不動 の両センタ５，６を中心として回転するだけであるから、研磨軸の振れがなく、 研磨されたセンタ穴Ｈ，Ｈは極めて高い真円度を有するものとなる。また、仮に 砥粒の被着条件等により砥石面９の真円精度が多少低い場合でも、研磨面は該砥 石面の回転形状に対応するから、研磨後のセンタ穴Ｈ，Ｈの真円度には影響しな い。

【０００８】 一方、このセンタ研磨装置の基本構成は円筒研削盤と同じであるから、通常の 円筒研削盤における主軸センタ及び心押し台センタを円錐状先端部が砥石面をな すものに代えるだけで本考案のセンタ研磨装置を構成できる。従って、既存の円 筒研削盤であっても、その両センタの円錐状先端部の表面に砥粒を被着させて砥 石面を構成することにより、本考案のセンタ研磨装置として利用可能である。な お、被着させる砥粒としてはダイヤモンド砥粒やボラゾン砥粒等が好適であり、 その被着手段としては電着法が簡易である。

【０００９】

【実施例】

図１〜図３は本考案のセンタ研磨装置の一実施例を示すものであり、図中の１ は機台、２は主軸台、３は機台１上のガイドバー４に沿って移動自在に設けられ た心押し台であり、主軸台２と心押し台３には、主軸センタ５と心押し台センタ ６がそれぞれ筒形のセンタホルダー７，８を介して、同軸線上で対向配置するよ うに取り付けられている。しかして、両センタ５，６の円錐状先端部５ａ，６ａ の表面は、砥粒の電着より砥石面９を構成している。

【００１０】 主軸台２側のセンタホルダー７の前部外周には、前面にリング状の回転駆動板 １０を固着したプーリー１１ａが軸受１２を介して回転自在に嵌装されており、 該プーリー１１ａは心押し台２の上部に取付けたモーター１３により駆動される プーリー１１ｂの回転に伴って伝達ベルト１４を介して連動回転するようになさ れている。また、回転駆動板１０の前面外周側にはドライブピン１５が突設され ている。１６は両プーリー１１ａ，１１ｂの周囲とプーリー１１ａの前面側を覆 うカバー、１７はセンタホルダー７と回転駆動板１０との間隙を封止するシール リングである。

【００１１】 一方、心押し台３側のセンタホルダー８は、該心押し台３の後部に設けたエア シリンダー１８を軸方向移動自在に貫通して配置されると共に、該エアシリンダ ー１８のピストン１９にスナップリング１９ａを介して一体化されている。なお 、３ａは心押し台３のガイドバー４貫通部に設けた摺動ガイド筒、１８ａはピス トン１９の移動ガイドバー、２０はセンタホルダー８の前部に外嵌した摺動ガイ ド筒、２１は心押し台３をガイドバー４上の所要位置で固定するためのクランプ レバーである。

【００１２】 また、センタホルダー７，８の後端部にセンタ抜出用ハンドル２２，２３ の 軸部２２ａ，２３ａが螺挿されており、これら軸部２２ａ，２３ａにはノックア ウトピン２２ｂ，２３ｂが周方向回転自在に植設されている。しかして、主軸セ ンタ５及び心押し台センタ６は、ハンドル２２，２３を進入方向に回動操作する ことにより、それぞれ前方へ突き出されてセンタホルダー７，８から抜出可能と なる。

【００１３】 ２４はワークＷをクランプするためのケレであり、図４に示すように、円形リ ング２４ａの周方向３ヵ所に等配して、２本のボルト状支持ピン２５，２５と枢 軸２４ｂを中心に回動自在な押圧レバー２６とが取付けられると共に、該リング ２４ａの外周に回転伝達ピン２７が凸設されている。しかして、押圧レバー２６ は、ばね２８により、そのカム形状の内端部２６ａがリング内側への突出するよ うに常時付勢されている。２６ｂは押圧レバー２６の前記付勢方向の回動限界位 置を定めるストッパーピンである。

【００１４】 上記構成において、ワークＷ両端のセンタ穴Ｈの研磨を行う場合、まず該ワー Ｗの一端側外周にケレ２４を嵌着する。この操作は、押圧レバー２６を図４の仮 想線の如く回動させて内端部２６ａの突出量が小さくなる状態においてリング２ ４ａをワークＷに外嵌し、該レバー２６を戻すだけでよく、これにより該レバー ２６の内端部２６ａと支持ピン２５，２５の各内端とでワークＷが３方向から挟 持される。なお、この場合、ワークＷの外径に応じて支持ピン２５，２５の突出 量を調整しておく。

【００１５】 次に、ケレ２４を嵌着したワークＷの両端センタ穴Ｈに主軸センタ５及び心押 し台センタ６の円錐状先端部５ａ，６ａを嵌合して、両センタ４，５間でワーク Ｗを支持し、ケレ２４の回転伝達ピン２７を回転駆動板１０の回転ドライブピン １５に係合させる。このとき、心押し台３のエアシリンダー１８の後室側に加圧 空気を導入し、その空気圧でセンタホルダー８を前方突出側へ付勢することによ り、心押し台センタ６をワークＷに弾圧させる。しかして、主軸台２のモーター １３を駆動すると、プーリー１１ａが回転し、これに連動して回転駆動板１０が プーリー１１ｂと一体に回転し、回転ドライブピン１５がケレ２４との係合を介 してワークＷを回転させ、回転しない両センタ５，６の砥石面９とワークＷ両端 のセンタ穴Ｈ，Ｈの内面とが摺接し、両センタ穴Ｈ，Ｈが同時に研磨される。

【００１６】 この研磨中、両センタ５，６の軸心が不動であるため、研磨軸も研磨終了まで 変動なく正確に定位置に保たれ、また心押し台センタ６はエアシリンダー１８の 空気圧により常時ワークＷを押圧しつつ研磨量に応じて前方へ突出していくから 、両センタ穴Ｈ，Ｈの研磨面には常に適切な圧力が加わることになる。従って、 研磨後のセンタ穴Ｈ，Ｈは極めて高い真円度を有するものとなり、このワークＷ の外周を円筒研削盤によって研削加工する際に心振れや片当たりを生じず高い加 工精度を達成できる。

【００１７】 なお、ワークＷのクランプ手段として、前記実施例ではケレ２４を用いている が、例えば回転駆動板１０の起動時の回転力によって自動的にクランプ爪がワー クＷを把持するクランプ装置等、種々のクランプ機構及びクランプ器具を採用で きる。またワークを軸心方向に押し付ける押圧手段としても、実施例の如きエア シリンダー１８以外に、ばね圧を利用するもの等、種々の機構を採用できる。そ の他、主軸台２及び心押し台３の細部構造、両センタ５，６の取付構造、回転駆 動板１０の駆動機構等、細部構成については実施例以外に種々設計変更可能であ る。

【００１８】

【考案の効果】

本考案に係るセンタ研磨装置によれば、研削加工等に供されるワークの両端軸 心に設けるセンタ穴を極めて高い真円度に設定でき、もって該研磨後のワークを 両端のセンタ穴で支持して研削加工等を施す際に心振れや片当たりを生じず、高 い加工精度が得られ、しかも上記研磨がワーク両端のセンタ穴について同時に行 われるため、研磨効率が著しく向上する。また、本考案に係るセンタ研磨装置は 基本構成が円筒研削盤と同じであるから、通常の円筒研削盤の構造を大幅な改変 を行うことなく当該センタ研磨装置に利用でき、もって設計及び製作コストが安 く済むと共に、既存の円筒研削盤も両センタの円錐状先端部に砥石面を形成する だけで本考案のセンタ研磨装置に転用できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例に係るセンタ研磨装置の側
面図である。

【図２】 同研磨装置の主軸台側の縦断側面図である。

【図３】 同研磨装置の心押し台側の縦断側面図であ
る。

【図４】 同研磨装置のワーククランプ手段に用いたケ
レの正面図である。

【図５】 ワークの一端部の縦断面図である。

【符号の説明】

２ 主軸台 ３ 心押し台 ５ 主軸センタ ５ａ 円錐状先端部 ６ 心押し台センタ ６ａ 円錐状先端部 ９ 砥石面 １０ 回転駆動板 １８ エアシリンダー（押圧手段） ２４ ケレ（ワーククランプ手段） Ｗ ワーク Ｈ センタ穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワーク両端のセンター穴に嵌合する円錐
   状先端部を備えた非回転の主軸センタ及び心押し台セン
   タと、前記主軸センタに回転自在に外嵌する回転駆動板
   と、前記ワークを軸心方向に押し付ける押圧手段と、該
   ワークをクランプして回転駆動板と一体回転させるワー
   ククランプ手段とを具備し、前記両センタの円錐状先端
   部の表面が砥石面をなし、これら両センタ間で支持した
   ワークを回転させることにより前記センタ穴を研磨する
   ように構成されてなるセンタ研磨装置。