JPH0553637B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、情報記録媒体、特に光等を利用した
ヒートモードの情報記録媒体に関する。 先行技術 ヒートモードの情報記録媒体は、高密度記録が
可能であり、かつ媒体と書き込みないし読み出し
ヘツドが非接触であるので、記録媒体が摩耗劣化
しないという特徴をもち、このため、種々のヒー
トモードの記録媒体の開発研究が行われている。 このヒートモードの情報記録媒体には、大別し
て、ピツト形成タイプと、いわゆる相転移タイプ
のものがある。 ピツト形成タイプのものは、レーザー等の記録
光により記録層を発熱させ、記録層にピツトと称
される小穴を形成するものであり、Te系や有機
色素系のものが知られている。 しかし、Te系では、蒸着、スパツタリング等
で記録層を設層するので、記録層形成に時間を要
し、生産性が低い。しかも、一旦記録したピツト
を再び熱で平坦化して消去を行うので、消去特性
が悪い。 これに対し、有機色素系では、塗布によつて記
録層を形成できるので、生産性は著しく向上す
る。 しかしながら、Te系同様、情報記録の際に、
記録層にピツトを形成するため、記録の消去が困
難である。 他方、相転移タイプのものは、レーザー等の記
録光により、照射部の記録層に非晶質−結晶質の
相転移や結晶系の変化等を生起させて情報を記録
し、読み出し光で反射率の変化等を検出して読み
出しを行うものである。 このような相転移タイプの記録層は、蒸着、ス
パツタリング等の方法によつて設層された金属や
カルコゲナイド系の薄膜から形成される。 従つて、生産性のよい塗布法に比べると、記録
層の形成に多くの時間を要し、生産性を向上させ
ることが困難である。 また、情報記録に使用するエネルギービームの
エネルギー効率が悪いという問題もある。 発明の目的 本発明の目的は、生産性に優れ、しかも記録に
際して、高密度記録が可能で、エネルギー効率が
良く、さらには記録層に記録された情報が容易に
消去可能である情報記録媒体を提供することにあ
る。 発明の開示 このような目的は下記の本発明によつて達成さ
れる。 基板上に記録層を有し、記録層が熱履歴により
光学的特性の異なる２種類以上の状態をとり得る
粉末状物質と、有機物からなるバインダーとを含
有し、前記熱履歴がエネルギービームによつて与
えられ、前記バインダーがエネルギービーム透過
性であり、前記バインダーが電子線もしくは紫外
線によつて硬化する樹脂化合物を含有し、前記バ
インダーの熱伝導率が0.01〜1W／ｍ・Ｋであつ
てかつ前記粉末状物質の熱伝導率よりも小さく、
前記粉末状物質が、結晶構造の変化によつて色変
化を生じるAg−Zn系（Zn30〜45wt％）または
Ag−Al−Cu系（Al5〜10wt％、Cu5〜10wt％）
を含有し、前記粉末状物質の粒径が0.01〜1μｍで
あり、前記記録層中において前記バインダー100
重量部に対し前記粉末状物質が50〜500重量部含
有されており、前記記録層の膜厚が0.01〜1μｍで
あることを特徴とする情報記録媒体である。 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明
する。 本発明の情報記録媒体は、基板の上に記録層を
設層することによつて形成される。 また、このようなものを２つ用い、互いの記録
層を対向させて一体化することによつて両面記録
型として構成してもよい。 ここで、基板としては、ガラス、樹脂、セラミ
ツクス、アルミニウム等からなる平板状やフイル
ム状等のものを用いる。記録手段として光などで
基板側から記録する場合は、光透過率の良いガラ
スまたは樹脂等を用いるのが好ましい。 これにより、基板裏面側からの書き込み、読み
出しなどが可能となる。 また、基板の記録層形成面には、トラツキング
用の溝が形成されていてもよい。 このような基板上には記録層が設層される。 記録層は、粉末状物質と、有機物からなるバイ
ンダーとを含有する。 粉末状物質は、熱履歴によつて光学的特性の異
なる２種以上の状態をとりうるものである。 この場合、熱履歴によつて変化する光学的特性
は、反射率、屈折率、透過率等いずれであつても
よいが、特に反射率ないし透過率の変化であるこ
とが好ましい。 このような物質のうちでは、より高い再生感度
を有し、しかも毒性が少なく色変化を生じる物質
が好ましいので、本発明ではAg−Zn系（Zn30〜
45wt％）またはAg−Al−Cu系（Al5〜10wt％、
Cu5〜10wt％）を用いる。 この場合、Ag−Zn系では、銀白色から、300
℃以上の加熱後の急冷によつてピンクに変化し、
100〜300℃に加熱後の除冷によつて銀白色に変化
する。またAg−Al−Cu系では、銀白色から、
550℃以上の加熱後の急冷によつて、黄金色に変
化し、200〜550℃に加熱後の除冷によつて銀白色
に変化する。 これらの粉末状物質の粒径は0.01〜1μｍ程度の
ものを用いることが好ましい。 このような熱履歴は、半導体レーザー、He−
Neレーザー等の各種レーザー光などのエネルギ
ービームによつて容易に与えられる。 このような粉末状物質は有機物からなるバイン
ダー中に分散され記録層を形成する。 バインダーは従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、電子線もしくは紫外線によつて硬化する
樹脂化合物を単独で、あるいは混合して用いれば
よい。これらの中には必要に応じて、種々の公知
の添加剤等を加えてもよい。 このような有機物からなるバインダーは、記録
等で用いられるエネルギービームに対して透過性
であり、これ自体でエネルギービームを10％以上
透過させるように設層することが好ましい。 また、バインダーの熱伝導率は上述した粉末物
質のそれより小さいことが好ましい。これらは、
情報記録に使用するエネルギービームのエネルギ
ー効率をさらに一層向上させるためである。この
場合、バインダーの熱伝導率は0.01〜1W／ｍ・
Ｋ程度とする。 記録層を形成するバインダーと粉末状物質の混
合比は、バインダー100重量部に対し、粉末物質
50〜500重量部とするのが好ましい。 このように形成された記録層は、記録に際し
て、いわゆる“にじみ”が少なく、記録点の境界
が明瞭である。従つて、さらに高密度の記録が可
能になる。 このような記録層中には、さらに光熱吸収能を
有する微粒子等を添加してもよい。 記録層の膜厚は0.01〜1μｍ程度とされ、このよ
うな記録層はきわめて生産性の良いデイツプコー
ト、リバースコート、グラビアコート等の塗布法
で設層することができる。 また、必要に応じて、記録層の上層および／ま
たは下層として反射層、蓄熱層、保護層、安定層
等を設けてもよい。 発明の具体的作用 このような記録層を基板上に有する情報記録媒
体に記録を行うには、レーザー光等のエネルギー
を付与すればよい。 そして、エネルギービームの照射により、記録
層中の粉末状物質が加熱され、そして急冷され、
結晶構造の変化や相転移が生起して記録点が形成
される。 一方、このような記録点を読み出すには、レー
ザー光で反射率、透過率等の変化を検出すればよ
い。 また、エネルギーを付与して記録層を加熱徐冷
すれば、粉末状物質の光学的特性はもとの状態に
もどり、消去が行われる。 発明の具体的効果 本発明の情報記録媒体は、記録層がバインダー
と熱履歴により、光学的特性の異なる二種類以上
の状態をとり得る粉末状物質とを含有する。 そのため真空成膜を必要とせず、塗布によつて
成膜が可能であるので、生産性はきわめて向上す
る。 また、記録に際して、このような記録層を用い
ることにより、エネルギー効率が向上するので、
きわめて低いエネルギーで書き込みが可能とな
る。特に本発明では熱伝導率が粉末状物質よりも
小さいバインダーを用いるので、エネルギー効率
が著しく高いものとなる。しかも、記録記録層中
に記録された記録点はいわゆる“にじみ”が少な
く、さらに高密度の記録が可能になる。 そして、消去特性も良好である。 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を
さらに詳細に説明する。 実施例 ガラス基板上に、下記に示されるような記録層
１および２を塗布法によつて、膜厚1μｍに、ま
た記録層３および４をスパツタリングによつて、
膜厚800Åに設層した。 記録層１ (1) 粉末状物質 Ag−Zn合金（Ag60at％、
Zn40at％）粒径 0.1〜1μｍ 50重量部 (2) バインダー 電子線硬化型アクリル樹脂脂溶
液 50重量部 これらの混合物をスピンナーコートで基板上に
設層し、その後160KVの電子線を2sec照射し、
架橋、硬化させた。このときの膜厚は1μｍとし
た。 記録層２ (1) 粉末状物質 Ag−Al−Cu（Ag85at％、
Al7at％、Cu8at％）粒径 0.1〜1μｍ 50重量部 (2) バインダー 電子線硬化型アクリル樹脂脂溶
液 50重量部 これらの混合物を記録層１の場合と同様に処
理、設層した。 記録層３ Ag−Zn（Ag60at％、Zn40at％）の金属薄膜 Ag−Zn合金をターゲツトとし、スパツタリン
グにより、厚さ800Åの記録層を設層した。 記録層４ Ag−Al−Cu（Ag85at％、Al7at％、Cu8at％）
の金属薄膜 Ag−Al−Cu合金をターゲツトとし、記録層３
の場合と同様に処理、設層した。 このような記録層をそれぞれ設層した後に、
Cd−Heレーザー（20ｍＷ、442nｍ）を用いて書
き込みを行い、コントラストが得られる出力、す
なわち記録に要する出力を測定した。 結果を表１に示す。

【表】 表１の結果により、本発明の効果があきらかで
ある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基板上に記録層を有し、記録層が熱履歴によ
   り光学的特性の異なる２種類以上の状態をとり得
   る粉末状物質と、有機物からなるバインダーとを
   含有し、 前記熱履歴がエネルギービームによつて与えら
   れ、 前記バインダーがエネルギービーム透過性であ
   り、前記バインダーが電子線もしくは紫外線によ
   つて硬化する樹脂化合物を含有し、前記バインダ
   ーの熱伝導率が0.01〜1W／ｍ・Ｋであつてかつ
   前記粉末状物質の熱伝導率よりも小さく、 前記粉末状物質が、結晶構造の変化によつて色
   変化を生じるAg−Zn系（Zn30〜45wt％）または
   Ag−Al−Cu系（Al5〜10wt％、Cu5〜10wt％）
   を含有し、前記粉末状物質の粒径が0.01〜1μｍで
   あり、 前記記録層中において前記バインダー100重量
   部に対し前記粉末状物質が50〜500重量部含有さ
   れており、 前記記録層の膜厚が0.01〜1μｍであることを特
   徴とする情報記録媒体。