JPH0551598U - 孔明け装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンチ外周面の摩耗を減少させてポンチの耐
久性を著しく向上させ、延てはポンチの研磨回数や交換
回数を減らして作業効率の大幅な向上を計る。 【構成】 ポンチ３の先端面に凸部５を形成し、剪断の
前段階で孔明け周辺部を引張り変形させ、剪断後におけ
る戻り変形に基づいてポンチ３と剪断切口との間に間隙
Ｋを形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ダイス開口部へのポンチの嵌入動作に伴つてダイス上の加工材料に 孔を剪断加工する孔明け装置に係り、詳しくはポンチの摩耗が極めて少なく耐久 性に優れた孔明け装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び考案が解決しようとする課題】

一般に、この種の孔明け装置は、開口部周縁に剪断刃を有するダイスに対し、 先端周縁に剪断刃を有するポンチを嵌入せしめることに基づいてダイス上にセツ トされる加工材料に孔を剪断加工するべく構成されている。しかるに、この様な 孔明け装置においては、剪断加工した孔の切口にギザギザな破断面や鋭利なかえ りがどうしても生じるため、ポンチの嵌入時および引抜き時にポンチ外周面がこ れに摺接して早期摩耗するという欠点がある。そこで従来では、定期的にポンチ を研磨または交換することで上記の摩耗に対処していたが、ポンチを研磨したり 交換する場合には他の部品を取外して交換し、しかる後再度組付ける等多大な工 数を要する許りか、研磨作業にあつては精度を要求される極めて面倒な作業であ つて、これが頻繁になると作業効率が著しく低下して大幅なコストアツプを招く という不都合があつた。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる孔明け 装置を提供することを目的として創案されたものであつて、ダイス開口部へのポ ンチの嵌入動作に伴つてダイス上の加工材料に孔を剪断加工する孔明け装置にお いて、前記ポンチの先端面に、先端周縁の剪断刃よりも先行して加工材料に押し 当てられて加工材料の孔明け部周辺を孔中心部に向けて引張り変形させる凸部を 設け、該凸部により引張り変形せしめられた孔明け部周辺が剪断加工後に戻り変 形することに基づいて加工材料の剪断切口とポンチの外周面との間に間隙を形成 することを特徴とするものである。

【０００４】 そして本考案は、この構成によつて、ポンチ外周面の摩耗を減少させてポンチ の耐久性を著しく向上させ、延てはポンチの研磨回数を減少させて作業効率の大 幅な向上を計ることができるようにしたものである。

【０００５】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図面において、１は所定 径寸法の丸孔を剪断加工するための孔明け装置であつて、該孔明け装置１の下型 は、開口部２ａが形成されたブロツク状のダイス２を、ダイホルダ（図示せず） に固定保持することによつて構成されるものであるが、前記開口部２ａは周縁に 剪断刃を有しており、そしてその径寸法は、剪断加工される丸孔の径寸法に所定 のクリアランスを付加して設定されている。

【０００６】 一方、孔明け装置１の上型は、上下方向に移動可能なポンチホルダ（図示せず ）に、円柱状のポンチ３を固定保持することで構成されるが、ポンチ３の先端周 縁には、剪断加工される丸孔の径寸法と略同径な輪郭を有する剪断刃が形成され ている。そして、この様に上下型が構成される孔明け装置１においては、ポンチ ホルダの下動に伴つてダイス２の開口部２ａにポンチ３を嵌入させることによつ てダイス２上に予めセツトされた鉄板等の加工材料４に所定寸法の丸孔を剪断加 工し、スクラツプ４ａを排出するが、これらの基本的な構成は何れも従来通りで ある。

【０００７】 ５は前記ポンチ３の先端面に形成される凸部であつて、該凸部５は、ポンチ３ よりも小径な径寸法で、かつ所定の突出寸法を有するべく円形状に形成されるも のであるが、このものは、丸孔を剪断加工すべくポンチ３を下動させた際、先端 周縁の剪断刃よりも先行して加工材料４に押し当てられ、これに基づいて加工材 料４の孔明け部（スクラツプ４ａ）を曲げ変形させるようになつている。即ち、 孔明け部を曲げ変形させることにより孔明け部周辺を孔中心部に向けて引張り変 形させ、該引張り変形せしめられた孔明け部周辺が剪断加工後に戻り変形するこ とに基づいて加工材料４の剪断切口とポンチ３の外周面との間に間隙Ｋを形成す るべく構成されている。

【０００８】 叙述の如く構成された本考案の実施例において、加工材料４に丸孔を剪断加工 すべくダイス２上に加工材料４をセツトし、ポンチ３を下動せしめると、まず加 工材料４に対してポンチ３の先端面に突設される凸部５が押し当てられ、該押し 当てられた凸部５は、加工材料４の孔明け部（スクラツプ４ａ）を曲げ変形せし めると共に、これに伴つて孔明け部周辺を孔中心部に向けて引張り変形させるこ とになる。そして、これに続くポンチ３の剪断刃の押し当てで丸孔が剪断加工さ れた後は、前記引張り変形せしめられた孔明け部周辺が戻り変形して加工材料４ の剪断切口とポンチ３の外周面との間に間隙Ｋを形成することになる。従つて、 剪断切口のギザギザな破断面や鋭利なかえりに対してポンチ３が摺接することに 基づいてポンチ３が早期摩耗する不都合を確実に防止し、ポンチ３の耐久性を著 しく向上し得ることになる。この結果、従来の如く頻繁にポンチ３を研磨または 交換するような極めて面倒な作業を不要とでき、もつて作業効率の著しい向上を 計れる許りでなく、著しいコストダウンを計ることができる。

【０００９】 尚、本考案は、前記実施例に限定されないものであることは勿論であつて、例 えば剪断加工する孔の形状は丸孔に限定されないことは言うまでもない。また、 凸部の形状は前記実施例の如く円柱形状に形成することなく、球面形状等に形成 してもよいものである。

【００１０】

【作用効果】

以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであるから、ダイス開口部 へのポンチの嵌入動作に伴つてダイス上の加工材料に孔を剪断加工するものであ りながら、ポンチの先端面には、先端周縁の剪断刃よりも先行して加工材料に押 し当てられる凸部が設けられているため、剪断加工に先立つて加工材料の孔明け 部周辺が孔中心部に向けて引張り変形し、剪断加工後は引張り変形した孔明け部 周辺が戻り変形することに基づいて加工材料の剪断切口とポンチの外周面との間 に間隙が形成されることになる。従つて、ポンチの嵌入および引抜き時において ポンチ外周面が加工材料の剪断切口に摺接することを可及的に回避できてポンチ が剪断切口のギザギザな破断面や鋭利なかえりによつて早期摩耗することを確実 に防止できることになり、この結果、ポンチの耐久性が著しく向上し、延てはポ ンチの研磨回数や交換回数を減少させて作業効率の大幅な向上を計り得る許りで なく、大幅なコストダウンも可能にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の作用を示す孔明け装置の要部正面図で
ある。

【図２】従来の作用を示す孔明け装置の要部正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 孔明け装置 ２ ダイス ２ａ 開口部 ３ ポンチ ４ 加工材料 ４ａ スクラツプ ５ 凸部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイス開口部へのポンチの嵌入動作に伴
   つてダイス上の加工材料に孔を剪断加工する孔明け装置
   において、前記ポンチの先端面に、先端周縁の剪断刃よ
   りも先行して加工材料に押し当てられて加工材料の孔明
   け部周辺を孔中心部に向けて引張り変形させる凸部を設
   け、該凸部により引張り変形せしめられた孔明け部周辺
   が剪断加工後に戻り変形することに基づいて加工材料の
   剪断切口とポンチの外周面との間に間隙を形成すること
   を特徴とする孔明け装置。