JPH0551414U - オイルタンクのフィルタ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、タンク本体内のエア抜き性能を向
上させたオイルタンクのフィルタ構造を提供する。 【構成】 このオイルタンクのフィルタ構造は、オイル
流入口６とオイル流出口７とを有するタンク本体１内を
フィルタ４を備えた仕切部材５によって大気開放状態の
オイル戻り室２とオイル吸込室３とに区分する。オイル
流入口６をオイル流出口７より上方にタンク本体１に設
けると共に、タンク本体１内のオイル面１７より上方に
開口するエア抜き孔１１を備えたエア抜きパイプ１０を
仕切部材５に設け、エア抜き孔１１をオイル吸込室２に
連通する。オイル吸込室３に溜まったエアは、常にエア
抜きパイプ１０のエア抜き孔１１から大気へ逃がされ、
オイル吸込室３に溜まることがない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、オイル流入口とオイル流出口を備えたオイルタンクのフィルタ構 造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、フィルタ機能を備えたオイルタンクでは、基本構造として、オイル戻り 側のオイル戻り室を大気開放したタイプとオイルの吸い込み側のオイル吸込室を 大気開放したタイプとの二種類が開示されている。

【０００３】 図５及び図６を参照して、オイル戻り側のオイル戻り室を大気開放したタイプ のオイルタンクを概説する。タンク本体２１は、オイル流入口２６とオイル流出 口２７とを有し、上部に大気開放の蓋部２９を備えている。タンク本体２１内は 、仕切部材２５によって大気開放状態のオイル戻り室２２とオイル吸込室２３と に区分され、該仕切部材２５の全周はタンク本体２１の内壁との間でシール２８ されている。仕切部材２５は、図６に示すように、濾紙、メッシュ等から成るフ ィルタ２４と該フィルタ２４を支持するフィルタ支持部材３０から構成されてい る。オイル戻り室２２にはオイル流入口２６が設けられており、また、オイル吸 込室２３にはオイル流出口２７が設けられている。

【０００４】 次に、図７及び図８を参照して、オイル吸い込み側のオイル吸込室を大気開放 したタイプのオイルタンクを概説する。タンク本体４１は、オイル流入口４６と オイル流出口４７とを有し、上部に大気開放の蓋部４９を備えている。タンク本 体４１内は、仕切部材４５によってオイル戻り室４２と大気開放状態のオイル吸 込室４３とに区分され、オイル戻り室４２はオイル吸込室４３の中間部に形成さ れており、該仕切部材４５の上下の全周はタンク本体４１の内壁との間でシール ４８されている。仕切部材４５は、図８に示すように、濾紙、メッシュ等から成 るフィルタ４４と、フィルタ４４を支持するフィルタ４４の上下に設けたフィル タ支持部材５０から構成されている。オイル戻り室４２にはオイル流入口４６が 設けられており、また、オイル吸込室４３にはオイル流出口４７が設けられてい る。

【０００５】 次に、図９及び図１０を参照して、オイル吸い込み側のオイル吸込室を大気開 放したタイプのオイルタンクを概説する。タンク本体６１は、オイル流入口６６ とオイル流出口６７とを有し、上部に大気開放の蓋部６９を備えている。タンク 本体６１内は、仕切部材６５によってオイル戻り室６２と大気開放状態のオイル 吸込室６３とに区分され、オイル戻り室６２はオイル吸込室６３の内部に配置さ れており、オイル戻り室６２とオイル流入口６６とは戻りパイプ７０で連通して いる。また、戻りパイプ７０とオイル戻り室６２を形成する仕切部材６５とはシ ール６８されている。仕切部材６５は、図１０に示すように、濾紙、メッシュ等 から成るフィルタ６４から構成されている。オイル戻り室６２にはオイル流入口 ６６が設けられており、また、オイル吸込室６３にはオイル流出口６７が設けら れている。

【０００６】 また、実開昭５８−５６２０２号公報には、オイルリザーバが開示されている 。該オイルリザーバは、図７に示すタイプのオイルタンクと同様なものであり、 上方を屈曲垂下して円周方向へ張り出した連続する水平フランジ部を有するボデ ィ、該フランジ部にシール部材を介して嵌装されるカバー、該カバーの外周部に は等分に適数個の爪部が設けられ、前記水平フランジ部端はカバー外周部内壁に ほぼ当接する配置状態とされた下に、前記爪部のそれぞれを前記水平フランジ部 の下面内方へ折り曲げ、前記シール部材を狭縮すると共にボディとカバーが弾着 されているものである。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、図５に示すオイルタンクについては、仕切部材２５の上面及び側面 をフィルタ２４に構成でき、フィルタ２４の面積を大きく形成できる。オイル流 入口２６からオイル戻り室２２に流入したオイルに異物が混入していても、オイ ル流出口２７から放出されるオイルの吸い込みはフィルタ２４を通してからのた め、オイルに混入している異物は必ずフィルタ２４に引っ掛かる。また、フィル タ２４とタンク本体２１とのシールは全周の一箇所でよく、構造が簡単である。 しかしながら、オイル吸込室２３の内部、即ちフィルタ２４の内側に溜まったエ アが抜け難いという構造である。更に、オイル注油時に、フィルタ２４の内側ま でオイルが入らないという現象が発生する。即ち、メッシュ等のフィルタ２４に 表面張力が発生し、油膜ができ、フィルタ２４内が空洞になってしまうという問 題がある。そのため、オイル流出口２７にエアが溜まっているため、油圧回路内 のエア抜きに時間がかかる。

【０００８】 また、図７に示すタイプのオイルタンクでは、フィルタ４４の戻り側のオイル 戻り室４２の体積は、図５に示すものに比較して小さくなるため、エアがオイル 戻り室４２に溜まったとしても、影響が小さくなる。また、オイル吸込室４３側 は大気開放の状態であるから、エア抜き時間は短くて済む。しかしながら、オイ ル流入口４６に注油専用のフィルタを設けないと、オイル戻り室４２に異物が混 入すると取り出せない状態になり、場合によっては、油圧回路に異物が流れ込ん でしまい、不良発生の原因となる。更に、フィルタ４４をタンク本体４１に取り 付けるため、二箇所のシール４８を必要とし、それだけ構造が複雑になる。また 、フィルタ４４の面積は側面のみになるため、図５に示すものより小さくなると いう問題を有している。

【０００９】 また、図９に示すタイプのオイルタンクでは、図５に示すオイルタンクと同様 にフィルタ６４のシール６８は一箇所でよく、またフィルタ６４の戻り側のオイ ル戻り室６２の体積は、図５に示すものに比較して小さくなるため、エアがオイ ル戻り室６２に溜まったとしても、影響が小さくなる。また、オイル吸込室６３ 側は大気開放の状態であるから、エア抜き時間は短くて済む。しかしながら、オ イル流入口６６に注油専用のフィルタを設けないと、オイル戻り室６２に異物が 混入すると取り出せない状態になり、場合によっては、油圧回路に異物が流れ込 んでしまい、不良発生の原因となる。更に、フィルタ６４の上面側にメッシュを 設定すると、メッシュ戻り流量の関係でメッシュを通して吹き上げることがある 。また、フィルタ６４面積を大きくするためには、フィルタ径を大きくしなけれ ばならないが、フィルタ径を大きくすると、図５と同様に、フィルタ６４内にエ ア溜まりが発生する。

【００１０】 そこで、この考案の目的は、上記の課題を解決することであり、構造が簡単な オイル戻り側のオイル戻り室を大気開放にしたタイプのオイルタンクを用いて、 オイル吸込室からのエアを抜くのに、エア抜き性を良好にできるように構成した オイルタンクのフィルタ構造を提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記の目的を達成するために、次のように構成されている。即ち 、この考案は、オイル流入口とオイル流出口とを有するタンク本体、及び該タン ク本体内を前記オイル流入口を備えた大気開放状態のオイル戻り室と前記オイル 流出口を備えたオイル吸込室とに区分するフィルタを備えた仕切部材を有するオ イルタンクにおいて、前記オイル流入口を前記オイル流出口より上方に前記タン ク本体に設けると共に、前記タンク本体内のオイル面より上方に開口するエア抜 き孔を備えた前記オイル吸込室に連通するエア抜きパイプを前記仕切部材に設け たことを特徴とするオイルタンクのフィルタ構造に関する。

【００１２】

【作用】

この考案によるオイルタンクのフィルタ構造は、上記のように構成されており 、次のように作用する。即ち、このオイルタンクのフィルタ構造は、オイル流入 口をオイル流出口より上方にタンク本体に設けると共に、前記タンク本体内のオ イル面より上方に開口するエア抜き孔を備えたオイル吸込室に連通するエア抜き パイプを仕切部材に設けたので、前記オイル吸込室に溜まったエアは常に前記エ ア抜きパイプの前記エア抜き孔から大気へ逃がされ、前記オイル吸込室にエアが 溜まることがない。

【００１３】

【実施例】

以下、図面を参照して、この考案によるオイルタンクのフィルタ構造の実施例 について詳述する。図１はこの考案によるオイルタンクのフィルタ構造の一実施 例を示す断面図、図２は図１の平面図、図３は図１のフィルタ構造におけるエア 抜きパイプの一実施例を示す断面図、及び図４は図３の平面図である。

【００１４】 この考案によるオイルタンクのフィルタ構造は、オイル流入口６とオイル流出 口７とを有するタンク本体１、及び該タンク本体１内をオイル流入口６を備えた 大気開放状態のオイル戻り室２とオイル流出口７を備えたオイル吸込室３とに区 分するフィルタ４を備えた仕切部材５を有している。タンク本体１は、合成樹脂 等の材料から製作され、上部本体１４と下部本体１３から成り、接合部１５で互 いに熱溶着で接合されている。オイル流入口６は、オイル流出口７より上方にタ ンク本体１に形成されている。オイル本体１内には、フィルタ４を構成するスト レーナを取り付けた仕切部材５が嵌入されている。タンク本体１の下部に形成し た環状溝１６には仕切部材５の下部に形成したシール８が嵌入し、タンク本体１ 内をフィルタ４によってオイル戻り室２とオイル吸込室３とに分割している。ま た、タンク本体１の上部本体１４には、大気開放の開口１８をが形成されており 、該開口１８にはラバーキャップ９が嵌め込んである。

【００１５】 このオイルタンクのフィルタ構造は、特に、タンク本体１内のオイル面１７よ り上方に開口する複数個のエア抜き孔１１を備えたオイル吸込室３に連通するエ ア抜きパイプ１０を、仕切部材５に設けたことである。エア抜きパイプ１０は、 合成樹脂等の材料から製作され、一種のエア抜き煙突を構成し、仕切部材５の中 央部に形成した取付穴部１９に嵌合して取り付けられている。エア抜き孔１１を エア抜きパイプ１０の側面に設けることによって、オイル注油時に、異物がフィ ルタ４内に入ることが防止される。また、エア抜きパイプ１０をタンク本体１の 中央に設置したので、オイル面１７が傾斜してもオイルがエア抜き孔１１から流 入し難い構造になっている。

【００１６】 このオイルタンクのフィルタ構造を、パワーステアリングへのオイル供給に適 用し、従来の図５及び図９に示したオイルタンクと比較した結果は次の通りであ った。パワーステアリングをロックするまで回し、その状態で１０秒間ホールド する。パワーステアリングを左右に各５回だけ回転させて液面の変化を測定した 。図５に示すオイルタンクでは、オイル吸込室２３内に存在するエアが抜けずに エア溜まりが残っていた。また、図９に示したオイル吸い込み側大気開放タイプ のオイルタンクでは、オイル吸込室６３にエア溜まりはできなかったが、配管注 エアはフィルタ６４を通過しなければならず、エアが抜け難い状態であった。こ れらに対して、この考案によるオイルタンクのフィルタ構造では、オイル戻り側 が大気開放であり、配管内のエア抜けは容易に達成でき、エア抜け性は最も良好 であった。

【００１７】

【考案の効果】

この考案によるオイルタンクのフィルタ構造は、上記のように構成されており 、次のような効果を有する。即ち、このオイルタンクのフィルタ構造は、オイル 流入口をオイル流出口より上方にタンク本体に設けると共に、前記タンク本体内 のオイル面より上方に開口するエア抜き孔を備えたオイル吸込室に連通するエア 抜きパイプを仕切部材に設けたので、前記オイル吸込室に溜まったエアは常に前 記エア抜きパイプの前記エア抜き孔から大気へ逃がされ、前記オイル吸込室にエ アが溜まることがない。

【００１８】 従って、このオイルタンクのフィルタ構造は、油圧回路内にエアが入ることが なく、エア抜きに時間を取ることもなく、また、前記仕切部材に設けたフィルタ 内が空洞になることがなく、常に良好にオイルを濾過することができる。それ故 、このオイルタンクのフィルタ構造では、オイルに混入した異物が直接油圧回路 に流れ込むことがなく、不良発生の原因になることがない。更に、このオイルタ ンクのフィルタ構造を用いれば、オイルタンクへのオイルの注入量も従来のもの に比較して多く注入することができ、オイルタンクから流出させるオイルの流出 量も多くすることができる。また、タンク本体とフィルタとのシールは、一箇所 で済み、構造も簡単である。しかも、このオイルタンクのフィルタ構造では、フ ィルタの面積を大きく構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案によるオイルタンクのフィルタ構造を
示し、オイル戻り側が大気開放タイプの一実施例を示す
断面図である。

【図２】図１のオイルタンクのフィルタ構造の平面図で
ある。

【図３】図１のこのフィルタ構造のエア抜きパイプの一
実施例を示す断面図である。

【図４】図３の平面図である。

【図５】従来のオイル戻り側大気開放タイプのオイルタ
ンクのフィルタ構造の一例を示す説明図である。

【図６】図５に組み込んだフィルタを示す斜視図であ
る。

【図７】従来のオイル吸い込み側大気開放タイプのオイ
ルタンクのフィルタ構造の一例を示す説明図である。

【図８】図７に組み込んだフィルタを示す斜視図であ
る。

【図９】従来のオイル吸い込み側大気開放タイプのオイ
ルタンクのフィルタ構造の別の例を示す説明図である。

【図１０】図９に組み込んだフィルタを示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ タンク本体 ２ オイル戻り室 ３ オイル吸込室 ４ フィルタ ５ 仕切部材 ６ オイル流入口 ７ オイル流出口 ８ シール １０ エア抜きパイプ １１ エア抜き孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 尾高 真次 神奈川県藤沢市土棚８番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 オイル流入口とオイル流出口とを有する
   タンク本体、及び該タンク本体内を前記オイル流入口を
   備えた大気開放状態のオイル戻り室と前記オイル流出口
   を備えたオイル吸込室とに区分するフィルタを備えた仕
   切部材を有するオイルタンクにおいて、前記オイル流入
   口を前記オイル流出口より上方に前記タンク本体に設け
   ると共に、前記タンク本体内のオイル面より上方に開口
   するエア抜き孔を備えた前記オイル吸込室に連通するエ
   ア抜きパイプを前記仕切部材に設けたことを特徴とする
   オイルタンクのフィルタ構造。