JPH0550139U - ボルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業工程設計の自由度が得られるとともに、
部品等の仮止め作業も簡単にすることができるようにす
る。 【構成】 ウエルドナット１４に螺合されるねじ部２の
先端に、ウエルドナット１４を略貫通した位置まで押し
込まれると抜け止められる仮止め用の弾性クリップ部材
５を一体的に設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ナットまたはねじ穴にねじ込んで部品等を締結するボルトに関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のボルトは、ナットまたはねじ穴に、ねじ部を直接ねじ込んで取 り付けており、ねじ込む前の仮止め機能等は有していなかった。 したがって、ボルトの取り付けにあたって、最初に仮止め状態にしておくにし ても多少のねじ締めを必要とするので、仮止めであっても必ずねじ込み作業が必 要となる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように、従来におけるボルトの取付作業では、ボルトを本締めまたは 仮止めの何れの作業を行う場合であっても必ずねじ締めを必要としているので、 作業手順に制限を受けることになる。このため、作業工程設計等に自由度が得ら れない問題点や、仮止め作業も簡単にできないと言う問題点等があった。

【０００４】 本考案は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は作業工程設計 の自由度が得られ、また部品等の仮止め作業も簡単にできるようにしたボルトを 提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、ナットまたはねじ穴にねじ込んで部品を締 結するボルトにおいて、前記ナットまたはねじ穴に螺合されるねじ部の先端に、 前記ナットまたはねじ穴を略貫通した位置まで押し込まれると抜け止められる仮 止め用の弾性クリップ部を一体的に設けたものである。

【０００６】

【作用】

この構成によれば、ボルトを部品等に通した状態で、取付箇所における部分に 設けられたナットまたはねじ穴に弾性クリップ部を単に押し込んで挿入させるだ けで、ねじ締め作業を伴わずにボルトを部品と共に取付箇所に仮止め状態にする ことができる。したがって、このように仮止めさえしておけば、ねじ締めを伴う 本締め固定は後からでも良いことになるので、作業手順に制限を受けることもな くなる。これにより、作業工程設計の自由度が得られるとともに、部品等の仮止 め作業も簡単にできる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を用いて詳細に説明する。 図１および図２は本考案の一実施例に係るボルトを示すもので、図１はその一 部を破断して示す側面図、図２はそのボルトの斜視図である。

【０００８】 図１および図２において、ボルト１は、ねじ部２の後端側に六角形状の頭部３ を一体に有しているとともに、先端側に細長いピン状の軸部４がねじ部２より延 長した状態で一体に形成されている。また、軸部４には、仮留め用の弾性クリッ プ部として機能させるためのクリップ部材５が取り付けられている。

【０００９】 さらに、クリップ部材５は樹脂材で形成されており、軸部分６とクリップ部分 ７とを一体に有している。 このうち、軸部分６の中心には軸部４が圧入されて一体化結合される孔８（図 １参照）が設けられている。 一方、クリップ部分７は、軸部分６の先端側より延長した状態で形成されてお り、全体として平板状に作られている。また、クリップ部分７の２つの側面９， ９はそれぞれ傾斜面として作られており、各側面９，９は中間部分９ａ，９ａ間 の寸法が最大寸法Ｄとなるように形成されている。すなわち、図１および図２に 示しているように、側端側の傾斜面９ｂは中間部分９ａ側に進むに従って外側へ 向かうように傾斜し、先端側の傾斜面９ｃは中間部分９ａから先端側に進むに従 って内側に向かうように傾斜した状態になっている。加えて、クリップ部分７の 中心側には、比較的大きな貫通穴１０が設けられており、この貫通穴１０が形成 されていることによって、両側面９，９が外側から内側に向かって押された場合 に、このクリップ部分７の全体が細長く前後方向に弾性変形できる状態になって いる。そして、このクリップ部材５は、軸部分６の孔８に軸部４を圧入させるこ とによって図１および図２に示すように軸部４と一体化され、この一体化された 状態で取り扱われる。

【００１０】 図３および図４は、ボルト１の使用状態を示している図である。そこで、この 図３および図４を用いて、ボルト１の使用方法を次に説明する。 図３および図４は、自動車の車体１１にバンパー１２を取り付ける場合を一例 としており、車体１１側にはバンパー１２を取り付ける箇所に対応して貫通した 取付穴１３（図３参照）と、この取付穴１３に対応して車体１１の裏面側にウエ ルドナット１４が形成されている。なお、当然のことながら、ウエルドナット１ ４のねじ径寸法はボルト１のねじ部２に対応していて互いに螺合可能で、またク リップ部材５の上記最大寸法Ｄよりも小さく形成されている。 一方、バンパー１２側には、取付穴１３に対応して貫通した取付穴１５（図３ 参照）が形成されている。この取付穴１５の径寸法は取付穴１３に略等しく、ま た上記最大寸法Ｄよりも小さくて、かつねじ部２の外形寸法よりも大きく形成さ れている。

【００１１】 そして、車体１１にバンパー１２を取り付ける場合は、予めバンパー１２の各 取付穴１５にそれぞれボルト１３を仮止めしておく。すなわち、この仮止め作業 手順は、まずボルト１３をバンパー１２に対して押し付け、クリップ部材５の先 端を取付穴１５に押し込んで行く。すると、傾斜面９ｃが取付穴１５の孔縁に当 接するが、さらに押し込むとクリップ部分７が内側に弾性変形して挿入が許容さ れる。また、挿入後はクリップ部分７が再び自己復帰し、この自己復帰によって 抜け止めされ、仮止め状態になる。

【００１２】 次いで、バンパー１２を車体１の取付箇所に配置する。すると、バンパー１２ に仮止めされているクリップ部材５が取付穴１３にそれぞれ対応配置される。ま た、この状態で、ボルト１を車体１１に押し付けると、クリップ部材５の先端が 取付穴１３およびウエルドナット１４内に押し込まれる。このクリップ部材５が 押し込まれるとき、傾斜面９ｃが取付穴１３の孔縁に当接するが、さらに押し込 むと、クリップ部分７が内側に弾性変形して挿入が許容される。さらに、クリッ プ部分７の中間部分７ａがウエルドナット１４を貫通し終るまで挿入されると、 クリップ部分７が再び自己復帰し、この自己復帰によって抜け止めされる。これ により、ボルト１がバンパー１２と共に車体１１に仮止めされる。図３は、この 仮止め状態を示している。なお、ここまでの仮止め作業において、その手順とし て、ボルト１を予めバンパー１２に仮止めしておく場合について説明したが、予 めボルト１をバンパー１２に仮止めしておかずに、バンパー１２を車体１１に配 置した状態で、この後からボルト１を挿入させて仮止めするようにしても差し支 えないものである。

【００１３】 次に、この車体１１にバンパー１２を仮止めした状態にあるボルト１を、その ねじ部２をウエルドナット１４にねじ込み、さらに締め付けると、バンパー１２ を車体１１に締結固定することができる。図４は、この締結固定状態を示してい る。そして、ねじ込み時に、ボルト１の先端と対向する部分に、図４中に一点鎖 線で示すように障害壁１６等が存在していたような場合は、クリップ部分７が弾 性変形されてねじ込みを許容することになる。

【００１４】 したがって、このボルト１を使用した組立作業においては、ボルト１をバンパ ー１２に通した状態で、車体１１側の取付箇所における部分に設けられたウエル ドナット１４に弾性を有したクリップ部分７を単に押し込んで挿入させるだけで 、ねじ締め作業を伴わずにボルト１をバンパー１２と共に取付箇所に仮止め状態 にすることができる。よって、このように仮止めさえしておけば、ねじ締めを伴 う本締め固定は後からでも良いので、作業手順に制限を受けることもなくなる。 この結果、作業工程設計の自由度が得られるとともに、部品等の仮止め作業も簡 単にできる。

【００１５】 なお、上記実施例では、車体１１にバンパー１２を固定する場合について説明 したが、これに限ることなく、広く一般の取付部分に適用できるものである。ま た、ここでのボルトとは、ナットに螺合させる場合に限ることなく、取付部分に 形成されたねじ穴に直接螺合させるビスに類似したようなものも当然含むもので ある。さらに、クリップ部材５は、軸部４と一体に形成しても差し支えないもの である。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案に係るボルトによれば、ボルトを部品等に通した 状態で、取付箇所における部分に設けられたナットまたはねじ穴に弾性クリップ 部を単に押し込んで挿入させるだけで、ねじ締め作業を伴わずにボルトを部品と 共に取付箇所に仮止め状態にすることができる。すなわち、このように仮止めさ えしておけばねじ締めを伴う本締め固定は後からでも良いことになるので、作業 手順に制限を受けることもなくなる。これにより、作業工程設計の自由度が得ら れるとともに、部品等の仮止め作業も簡単にでき、作業性の向上が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るボルトの一部を破断し
て示す側面図である。

【図２】本考案の一実施例に係るボルトの全体斜視図で
ある。

【図３】本考案の一実施例に係るボルトを用いてバンパ
ーを車体に仮止めしている状態を示す断面図である。

【図４】本考案の一実施例に係るボルトを用いてバンパ
ーを車体に締結固定している状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１…ボルト ２…ねじ部 ３…頭部 ４…軸部 ５…クリップ部材（弾性クリップ部） １１…車体 １２…バンパー（部品） １４…ウエルドナット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ナットまたはねじ穴にねじ込んで部品を
   締結するボルトにおいて、 前記ナットまたはねじ穴に螺合されるねじ部の先端に、
   前記ナットまたはねじ穴を略貫通した位置まで押し込ま
   れると抜け止められる仮止め用の弾性クリップ部を一体
   的に設けたことを特徴とするボルト。