JPH0550047U - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の冷間運転時の中速回転域における
打音発生を防止できると共に、熱間運転時における未燃
焼ガスの発生量を減少させて低エミッション化が図れる
内燃機関用ピストンを提供する。 【構成】 ピストン本体２のクラウン部３の少なくとも
トップランド外周部５ａを、該ピストン本体２の他部位
の材質よりも熱膨脹係数が大きい材質で形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、内燃機関用ピストンの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、内燃機関用ピストンには特開昭６２−１２９５５０号公報に記載された ものがある。このピストンでは、トップランド外周部に、該ピストン本体の他部 位の材質よりも熱膨脹係数が小さい材質で形成されたリングを固定し、このリン グによる拘束効果で内燃機関の熱間運転時（高速運転時）におけるクラウン部の 熱膨脹を抑制して、クラウン部とシリンダライナ部内面とのクリアランスを適正 範囲内に収め、シリンダブロックのシリンダライナ部との摺動による摩耗等を防 止しようとしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記従来の内燃機関用ピストンにあっては、ピストン本体のク ラウン部のランドに小さいテーパを付けているため、内燃機関の熱間運転時の場 合は良いが、内燃機関の冷間運転時の中速回転域では、クラウン部の熱膨脹が小 さいことと相俟って、ピストン本体のクラウン部とシリンダライナ部内面とのク リアランスは小さいから、シリンダブロックのシリンダライナ部にスカート部を 摺動させながらのピストン本体の挙動（首ふり運動）でピストン本体のクラウン 部がシリンダブロックのシリンダライナ部に衝突して打音が発生するおそれがあ った。

【０００４】 この考案は前記課題を解決するためになされたもので、内燃機関の冷間運転時 の中速回転域における打音発生を防止できると共に、熱間運転時における未燃焼 ガスの発生量を減少させて低エミッション化が図れる内燃機関用ピストンを提供 することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案に係る内燃機関用ピストンは、ピストン 本体のクラウン部の少なくともトップランド外周部を、該ピストン本体の他部位 の材質よりも熱膨脹係数が大きい材質で形成したものである。

【０００６】

【作用】

内燃機関の熱間運転時、クラウン部が熱膨脹すると共に、前記クラウン部のト ップランド外周部はより大きく熱膨脹するから、該トップランド外周部の表面と シリンダブロックのシリンダライナ部内面とのクリアランスは小さくなって適正 範囲内に収まる。また、内燃機関の冷間運転時における中速回転域では、クラウ ン部及びトップランド外周部の熱膨脹が小さいため、クラウン部とシリンダブロ ックのシリンダライナ部内面とのクリアランスは、ピストン本体の首ふり運動で クラウン部がシリンダライナ部と衝突しない位に大きくなる。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【０００８】 図１は内燃機関用ピストンの一部を示す縦断面図である。

【０００９】 ピストン１は、図示しないシリンダブロックのシリンダライナ部内に軸方向に 摺動自在に嵌入されており、コンロッドを介してクランク軸により駆動されるよ うになっている。

【００１０】 このピストン１は、ピストン本体２に図示しないトップリング、セカンドリン グ及びオイルリングを取り付けたものである。ピストン本体２はクラウン部３と スカート部４とから構成されている。クラウン部３のランド５には有底環状溝に 形成したリング溝６、７、８が適正間隔を保持して並設され、各リング溝６、７ 、８にはそれぞれ前記ピストンリングが挿入されている。また、スカート部４に はピストンピン孔部９ａを有するピストンボス９が形成されている。

【００１１】 前記クラウン部３のランドには、ピストン本体１の首ふり運動でクラウン部３ がシリンダライナ部と衝突しない位に大きなテーパが付けられている。

【００１２】 このランドのうち、少なくともトップランド外周部５ａは、リング１０の一体 的な鋳込み等によりピストン本体２の他部位の材質（実施例ではアルミニウム合 金）よりも熱膨脹係数が大きい材質（実施例ではマグネシウム）で形成されてお り、内燃機関の熱間運転時にクラウン部３のトップランド外周部５ａが大きく熱 膨脹してシリンダブロックのシリンダライナ部とのクリアランスが適正範囲内に 収まるようになっている。

【００１３】 このような内燃機関用ピストンにおいて、内燃機関の熱間運転時、クラウン部 ３が熱膨脹すると共に、クラウン部３のトップランド外周部５ａはより大きく熱 膨脹するから、トップランド外周部５ａの表面とシリンダブロックのシリンダラ イナ部内面とのクリアランスは小さくなって適正範囲内に収まる。

【００１４】 また、内燃機関の冷間運転時における中速回転域では、クラウン部３及びトッ プランド外周部５ａの熱膨脹が小さいため、ピストン本体１の首ふり運動でクラ ウン部３がシリンダライナ部と衝突しない位にシリンダライナ部内面とのクリア ランスが大きくなる。

【００１５】

【考案の効果】

以上の通り、この考案に係る内燃機関用ピストンは、ピストン本体のクラウン 部の少なくともトップランド外周部を、該ピストン本体の他部位の材質よりも熱 膨脹係数が大きい材質で形成しており、内燃機関の冷間運転時における中速回転 域では、クラウン部とシリンダライナ部内面とのクリアランスを大きくしたから 、ピストンの首ふり運動でクラウン部がシリンダブロックのシリンダライナ部に 衝突することがなく、打音発生の防止が図れる。また、熱間運転時には、クラウ ン部のトップランド外周部表面とシリンダブロックのシリンダライナ部内面との クリアランスが小さくなり、所謂未燃焼ガスが滞留するクレビスボリュームが減 少するので、完全燃焼が促進され、未燃焼ガスの発生量を減少させて低エミッシ ョン化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】内燃機関用ピストンの一部を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ピストン ２ ピストン本体 ３ クラウン部 ５ ランド ５ａ トップランド外周部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストン本体のクラウン部の少なくとも
   トップランド外周部を、該ピストン本体の他部位の材質
   よりも熱膨脹係数が大きい材質で形成したことを特徴と
   する内燃機関用ピストン。